SAP HANA、S/4HANA および NetWeaver ベースの SAP アプリケーション向け Red Hat HA ソリューション

Red Hat Enterprise Linux for SAP Solutions 8

Red Hat Customer Content Services

概要

このドキュメントでは、SAP で利用可能な HA ソリューションの概要を説明し、各ソリューションについて詳しく説明している関連ドキュメントを紹介します。

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメントにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。まずは、マスター (master)、スレーブ (slave)、ブラックリスト (blacklist)、ホワイトリスト (whitelist) の 4 つの用語の置き換えから始めます。この取り組みは膨大な作業を要するため、今後の複数のリリースで段階的に用語の置き換えを実施して参ります。多様性を受け入れる用語に変更する取り組みの詳細は、Red Hat CTO である Chris Wright のメッセージ を参照してください。

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第1章 はじめに

SAP 実稼働アプリケーションを運用している組織では、高可用性設定でデプロイすることで、ミッションクリティカルなアプリケーションに対して可能な限り最高のアップタイムを確保する必要があります。Red Hat はこのようなお客様に、SAP HANA、S/4HANA、および NetWeaver ベースの SAP アプリケーション向けの Red Hat HA ソリューションによって、業界トップクラスの Red Hat Enterprise Linux High Availability クラスターフレームワーク上に高可用性 SAP 環境を構築するためのソリューションのセットを提供しています。

Red Hat Enterprise Linux High Availability Add-On は、信頼性、スケーラビリティー、および可用性を重要な実稼働サービスに提供する pacemaker ベースのクラスターを設定するのに必要なすべてのパッケージを提供します。さらに、SAP HANA、S/4HANA、および NetWeaver ベースの SAP アプリケーション向けの Red Hat HA ソリューションを使用することで、可用性の高い SAP HANA、S/4HANA、および NetWeaver ベースの SAP アプリケーションの構築と設定が可能になり、対応する SAP 環境で、計画的および予定外のダウンタイムを削減するための標準ベースアプローチを実現できます。

第2章 SAP HANA 向け HA ソリューション

2.1. 自動化された SAP HANA システムレプリケーション

SAP HANA システムレプリケーション (HSR) は、ビジネス継続性をサポートするビルトインの高可用性機能および障害復旧機能です。HANA システムレプリケーションを使用すると、SAP HANA データベースを 1 つ以上の場所にコピーして継続的に同期することができます。目標復旧時間 (RTO) を最小限に抑えるために、データは常にセカンダリーシステムにプリロードされます。

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しかし、SAP HANA には、HANA システムレプリケーションセットアップの一部であるコンポーネントで問題が発生した場合に、フェイルオーバーを自動的にトリガーするメカニズムが含まれていません。ただし、サードパーティーのクラスターソリューションを使用して、HANA システムレプリケーション環境の正常性を監視し、障害検出時にフェイルオーバーをトリガーできます。
RHEL では、Red Hat Enterprise Linux HA Add-On を使用してフェイルオーバーを自動化できます。Red Hat は、単一システムの SAP HANA セットアップ (スケールアップ) またはスケーラブルなマルチシステム SAP HANA セットアップ (スケールアウト) の両方に HA ソリューションを提供します。

2.2. 自動化された SAP HANA スケールアップシステムレプリケーションのサポート対象シナリオ

サポート対象シナリオ注記

Performance Optimized

セカンダリーサイトがクライアント/アプリケーションサーバーに対してアクティブではありません。

Cost Optimized

セカンダリーサイトで実行されている QA/テストインスタンスをサポートします (Cost-Optimized)。Prod のフェイルオーバー時は、QA/テストインスタンスが最初にシャットダウンされます。

Active/Active (読み取り可能)

セカンダリー HANA インスタンスが読み取り専用の問い合わせを受けることができます。

多層システムレプリケーション

多層システムレプリケーションは可能ですが、ターシャリーサイトをクラスターで管理することはできません。

2.2.1. サポートポリシー

RHEL 高可用性クラスターのサポートポリシー - クラスター内の SAP HANA の管理 を参照してください。

2.2.2. Performance Optimized

Performance Optimized シナリオでは、セカンダリー HANA データベースがテーブルをメモリーにプリロードするように設定されているため、通常、テイクオーバー時間が非常に短くなります。ただし、セカンダリー HANA データベースはシステムレプリケーション専用であり、クライアントからの問い合わせを受け付けないため、このセットアップではハードウェアコストが高くなります。

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2.2.2.1. 設定ガイド

2.2.3. Cost Optimized

Cost Optimized シナリオでは、セカンダリーサイトで追加の TEST/QA HANA データベースをサポートし、クライアントからの問い合わせに対応します。ハードウェアリソースを TEST/QA インスタンスに割り当てる必要があるため、実稼働 HANA データベースをプリロードすることはできません。テイクオーバーの前に、まず TEST/QA インスタンスをシャットダウンして、それに割り当てられたハードウェアリソースを解放し、昇格してプライマリーインスタンスになるセカンダリー HANA インスタンスに再割り当てする必要があります。したがって、テイクオーバー時間は、Performance Optimized セットアップよりも長くなります。

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2.2.3.1. 設定ガイド

2.2.4. Active/Active (読み取り可能)

セカンダリー HANA インスタンスが読み取り専用の問い合わせを受けることができます。このセットアップは、セカンダリーサイトで 2 番目の仮想 IP をサポートします。

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詳細は、Active/Active (読み取り可能) HANA システムレプリケーションセットアップ用セカンダリー仮想 IP アドレスの追加 を参照してください。

2.2.5. 多層システムレプリケーション

多層システムレプリケーションは可能ですが、ターシャリーサイトをクラスターで管理することはできません。

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ターシャリーサイトへのテイクオーバーは手動でトリガーする必要があります。ターシャリーサイトへの手動テイクオーバー後に環境を以前の状態に戻す必要がある場合は、HANA システムレプリケーションのセットアップを再設定するすべての手順を手動で実行する必要があります。クラスターが無効になっている間も同様です。クラスターによる管理が必要な HANA インスタンスで、HANA システムレプリケーションセットアップが再び正常に機能していることを確認したら、クラスターを再アクティブ化できます。

2.2.5.1. 設定ガイド

2.3. 自動化された SAP HANA スケールアウトシステムレプリケーションのサポート対象シナリオ

サポート対象シナリオ説明

Performance Optimized

セカンダリーサイトがクライアント/アプリケーションサーバーに対してアクティブではありません

Active/Active (読み取り可能)

セカンダリー HANA インスタンスが読み取り専用の問い合わせを受けることができます。

マルチターゲットシステムレプリケーション

プライマリー HANA インスタンスが複数のセカンダリー HANA インスタンスにレプリケートされます

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2.3.1. サポートポリシー

RHEL 高可用性クラスターのサポートポリシー - クラスター内の SAP HANA の管理 を参照してください。

2.3.2. Performance Optimized HANA スケールアウトシステムレプリケーション HA セットアップの設定ガイド

2.3.3. Active/Active (読み取り可能) HANA スケールアウトシステムレプリケーション

HANA 2.0 では、セカンダリーインスタンスは読み取り専用の問い合わせを受けることができます。このセットアップは、セカンダリーサイトで 2 番目の仮想 IP をサポートします。詳細は、SAP HANA スケールアウトおよびシステムレプリケーション向け Red Hat Enterprise Linux HA ソリューション の「Active/Active (読み取り可能) セットアップ用のセカンダリー仮想 IP アドレスリソースの追加」の章を参照してください。
詳細は、Active/Active (Read-Enabled) を参照してください。

2.3.4. マルチターゲットシステムレプリケーション (スケールアウト)

HANA 2.0 SPS 04 以降では、マルチターゲットレプリケーションがクラスター環境でサポートされています。プライマリーサイトはセカンダリーサイトにレプリケートされ、追加の可用性要件を満たすために追加のセカンダリーサイトにもレプリケートされます。障害に関しては、この追加の第 3 サイトが、以前のセカンダリーサイトであった新しいプライマリーサイトに自動的に登録されます。
詳細は、以下を参照してください。

第3章 ABAP Platform 1809 以降をベースとする S/4HANA 向け HA ソリューション

3.1. Standalone Enqueue Server 2 (ENSA2)

Application Server ABAP のコンポーネントである Standalone Enqueue Server は、ロックテーブルとそのエントリーの高可用性を確保するメカニズムです。
NetWeaver 7.51 以降、Standalone Enqueue Server は Standalone Enqueue Server 2 (ENSA2) として知られる第 2 世代に進化しました。ENSA2 では、ASCS に障害が発生した場合、クラスター内の別のノードで ASCS を起動しエンキューレプリケーター 2 からロックエントリーをコピーできます。

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ABAP プラットフォーム 1809 以降では、Standalone Enqueue Server 2 (ENSA2) がデフォルトのインストールになっています。

3.2. サポート対象シナリオ

サポート対象シナリオ説明

マルチノードクラスター

ENSA2 では、ASCS が ERS に従う必要がないため、マルチノードクラスターが可能です。

2 ノードクラスター

アップグレードされた 2 ノードクラスターは、セットアップを簡単に調整して、ENSA1 から ENSA2 に切り替えることができます。

まったく新しいインストールでは、この機会にアーキテクチャーを設計し、マルチノードクラスターまたは 2 ノードクラスターを選択できます。以下は、典型的な 3 ノードクラスターのアーキテクチャー図です。もちろん、お客様のデータセンターにおける要件やニーズに応じて、さらにノードを追加することも可能です。

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3.3. サポートポリシー

RHEL 高可用性クラスターのサポートポリシー - SAP S/4HANA の管理 を参照してください。

3.4. 設定ガイド

3.5. Cost-Optimized SAP S/4HANA HA セットアップ (HANA Sシステムレプリケーションと ENSA2 の組み合わせ)

S/4HANA の現行バージョンでは、HANA と ABAP Application Server インスタンスを同じシステムで実行できます。これにより、同じクラスターノードで実行されている単一クラスターによって HANA システムレプリケーションと ENSA2 の両方が管理される、"コスト最適化" S/4HANA セットアップを提供できます。

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詳細は、RHEL HA アドオンを使用して、コスト最適化された SAP S/4HANA HA クラスター (HANA システムレプリケーション + ENSA2) を設定する を参照してください。

第4章 ABAP プラットフォーム 1709 以前をベースとする NetWeaver または S/4 向け HA ソリューション

4.1. Standalone Enqueue Server 1 (ENSA1)

古い Standalone Enqueue Server (ENSA1) を使用する場合、ASCS インスタンスは、アクティブな ERS インスタンスが実行されているクラスターノードにフェイルオーバーする必要があります。また、ERS インスタンスがシャットダウンされ、オンライン時に ASCS インスタンスが実行されていたノードに移動されていることを確認する必要があります。これは、アクティブなトランザクションのエンキューロックを追跡し続けるために、ERS インスタンスがエンキューロックテーブルのコピーを保持している共有メモリーに ASCS インスタンスがアクセスする必要があるためです。ENSA1 は、主に ASCS インスタンスが ERS インスタンスに "従う" 必要があるという制限のために、2 ノードクラスター設定として Pacemaker でサポートされます。

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4.2. サポート対象シナリオ

サポート対象シナリオ説明

2 ノードクラスター

ENSA1 の場合、ASCS インスタンスは必ず ERS インスタンスが実行されているノードに移動する必要があります。

ABAP/Java Dual-Stack

すべての RHEL 7.x リリースのマスター/スレーブリソースでサポートされています。

4.2.1. ABAP/Java Dual-Stack

ABAP/JAVA Dual-Stack は、すべての RHEL 7.x マイナーリリースでサポートされているマスター/スレーブ方式を使用してサポートされています。設定ガイド (A)SCS/ERS SAPInstance クラスターリソースの設定 を参照してください。
ただし、SAP は ABAP と JAVA のインスタンスが同じ SID を共有するデュアルスタック設定を推奨していないため、ABAP と JAVA スタックが別々の SID を使用するように、Dual-Stack Split を検討することをお勧めします。このようなセットアップでは、スタンドアロンアプローチを使用して、ABAP スタックの ASCS/ERS インスタンスと JAVA スタックの SCS/ERS インスタンスを管理できます。インスタンスごとに個別のリソースグループを設定し、環境の各部分で使用する個別の SID に基づいて適切な制約を設定する必要があります。設定ガイド RHEL 7.5 以降および RHEL 8 でのスタンドアロンリソースを使用した SAP NetWeaver ASCS/ERS ENSA1 の設定 を参照してください。

4.3. サポートポリシー

RHEL 高可用性クラスターのサポートポリシー - クラスター内の SAP NetWeaver の管理 を参照してください。

4.4. 設定ガイド

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