Red Hat Training

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2.2.3. キックスタートを使ったインストール

キックスタートを使ったインストールの準備は、Red Hat Enterprise Linux インストールガイドの キックスタートを 使ったインストール の章の説明に従ってください。Red Hat Enterprise Linux Atomic Host のキックスタートインストールは、特定の考慮事項を除き、Red Hat Enterprise Linux インストールとはあまり異なります。

Red Hat Enterprise Linux Atomic Host は、パッケージの管理および更新に rpm-ostree テクノロジーを使用します。したがって、キックスタートファイルでは %packages セクションは使用されません。代わりに、ファイルにはインストールメディアから interactive-defaults.ks ファイルを追加 する ためのコマンドが含まれている必要があります。このファイルには、メディア上の OSTree リポジトリーを参照するキックスタートコマンドが含まれ、cloud-init サービスも無効にされます。

以下は、参照として使用できる Atomic Host のキックスタートファイルの例です。

lang en_US.UTF-8
keyboard us
timezone America/Chicago
#rootpw --iscrypted password_hash
rootpw --plaintext atomic
auth --enableshadow --passalgo=sha512
ostreesetup --nogpg --osname=rhel-atomic-host --remote=rhel-atomic-host --url=file:///install/ostree --ref=rhel-atomic-host/7/x86_64/standard
services --disabled cloud-init,cloud-config,cloud-final,cloud-init-local
clearpart --all --initlabel
zerombr
autopart
#%include /usr/share/anaconda/interactive-defaults.ks
%post --erroronfail
fn=/etc/ostree/remotes.d/rhel-atomic-host.conf; if test -f ${fn} && grep -q -e '^url=file:///install/ostree' ${fn}$; then rm ${fn}; fi
%end
%post --erroronfail
rm -f /etc/ostree/remotes.d/*.conf
echo 'unconfigured-state=This system is not registered to Red Hat Subscription Management. You can use subscription-manager to register.' >> $(ostree admin --print-current-dir).origin
%end"

以下は、キックスタートファイル内のコマンドです。

  • rootpw コマンドは、以下のプレーンテキスト引数を使用して root ユーザーのパスワードを設定するようにインストーラーに指示します(この場合は、パスワードは atomicに設定されます)。以前に作成したパスワードハッシュがある場合は、代わりに --iscrypted オプションを使用できます。
  • auth コマンドは、--enableshadow を使用してユーザーパスワードを /etc/shadow ファイルに保存するよう指示し、--passalgo=sha512 は SHA512 アルゴリズムを使用してこれらのパスワードを暗号化することを指示します。
  • ostreesetup コマンドはインストーラーに対し、ostree ファイルシステムを取得および設定する方法を指示します。
  • services コマンドは、Atomic ホストに不適切な一部のサービスを無効にします。
  • clearpart --all --initlabel コマンドは、アタッチされたネットワークストレージを含む、インストーラーが到達できるディスクをすべて削除します。
  • zerombr を使用すると、Anaconda が無人インストールを可能にする確認を求めるプロンプトを出さないようにします。
  • autopart コマンドは、自動的にパーティションを設定します(後で追加)。
  • %include コマンドは、OSTree リポジトリーを参照するコマンドが含まれ、cloud-init サービスを無効にするコマンドが含まれるファイルを参照します。このコマンドは、RHEL Atomic Host には必須です。
  • ファイルの最後にある %post セクションは、いくつかのコマンドを実行して、インストール完了後にシステムをさらに設定します。

デフォルトでは、Red Hat Enterprise Linux Atomic Host のパーティション設定は、autopart コマンドで自動的に行われ、論理ボリューム管理(LVM)スタイルのパーティション設定を設定します。autopart パーティション設定が推奨されますが、物理ボリューム、ボリュームグループ、論理ボリュームの名前、およびこれらのエンティティーに関連付けられたディスク領域の容量などを独自にパーティション設定するオプションがあります。以下は、上記のキックスタート例に示されている autopart エントリーを置き換えるためにパーティションを手動で設定する方法の例になります。

zerombr
part /boot --ondisk=sda --asprimary --fstype="xfs"   --size=512
part pv.01 --ondisk=sda --asprimary --fstype="lvmpv" --grow
volgroup vg.atomic --pesize=16384 pv.01
logvol swap --fstype="swap" --name=lv.swap --vgname=vg.atomic --size=4096
logvol / --fstype="xfs" --name=lv.root --vgname=vg.atomic --grow

この例では、/boot パーティションに割り当てられたディスク /dev/sda に xfs ファイルシステムタイプで 512MB のプライマリーパーティションを設定します。残りのディスクは、pv.01 という名前の LVM 物理ボリューム(lvmpv)に割り当てられます。その物理ボリュームは、vg.atomic という名前のボリュームグループに割り当てられます。そのボリュームグループから 2 つの論理ボリュームが作成されます。4G swap パーティションと、ボリュームグループの残りの領域を消費する XFS ファイルシステムを持つルートパーティション(/)です。