第4章 Ansible Playbook で Identity Management クライアントのインストール

Ansible を使用して、システムを Identity Management (IdM) クライアントとして設定する方法を説明します。システムを IdM クライアントとして設定すると、IdM ドメインに登録され、システムがドメインの IdM サーバーで IdM サービスを使用できるようになります。

デプロイメントは、Ansible ロール ipaclient により管理されます。デフォルトでは、ロールは自動検出モードを使用して、IdM サーバー、ドメイン、およびその他の設定を特定します。ロールは、Ansible Playbook がインベントリーファイルなどに指定した設定を使用するように変更できます。

前提条件

  • Ansible コントロールノードに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
  • Ansibleと IdM の概念を理解している:

    • Ansible ロール
    • Ansible ノード
    • Ansible インベントリー
    • Ansible タスク
    • Ansible モジュール
    • Ansible プレイおよび Playbook

4.1. 自動検出クライアントインストールモードでインベントリーファイルのパラメーターの設定

Ansible Playbook を使用して Identity Management クライアントをインストールするには、インベントリーファイルでターゲットホストパラメーターを設定します (例: inventory/hosts)。

  • ホストに関する情報
  • タスクの承認

インベントリーファイルは、所有するインベントリープラグインに応じて、多数ある形式のいずれかになります。INI-like 形式は Ansible のデフォルトで、以下の例で使用されています。

注記

RHEL でグラフィカルユーザーインターフェイスでスマートカードを使用するには、Ansible Playbook に ipaclient_mkhomedir 変数を含めるようにします。

前提条件

手順

  1. IdM クライアントになるホストの完全修飾ホスト名 (FQDN) を指定します。完全修飾ドメイン名は、有効な DNS 名である必要があります。

    • 数字、アルファベット、およびハイフン (-) のみを使用できる。たとえば、アンダーラインは使用できないため、DNS の障害が発生する原因となる可能性があります。
    • ホスト名がすべて小文字である。大文字は使用できません。

    SRV レコードが IdM DNS ゾーンで正しく設定されている場合は、スクリプトが自動的に必要な値をすべて検出します。

    クライアントの FQDN のみが定義されている単純なインベントリーホストファイルの例

    [ipaclients]
    client.idm.example.com
    [...]

  2. クライアントを登録するための認証情報を指定します。以下の認証方法を使用できます。

    • クライアントを登録する権限のあるユーザーのパスワード。以下はデフォルトのオプションになります。

      • Red Hat は、Ansible Vault を使用してパスワードを保存し、Playbook ファイル (install-client.yml など) から Vault ファイルを直接参照することを推奨します。

        Ansible Vault ファイルのインベントリーファイルおよびパスワードのプリンシパルを使用した Playbook ファイルの例

        - name: Playbook to configure IPA clients with username/password
          hosts: ipaclients
          become: true
          vars_files:
          - playbook_sensitive_data.yml
        
          roles:
          - role: ipaclient
            state: present

      • あまり安全ではありませんが、inventory/hosts ファイルの [ipaclients:vars] セクションに ipaadmin_password オプションを使用して、admin の認証情報を提供します。また、別の認証ユーザーを指定するには、ユーザー名に ipaadmin_principal オプション、パスワードに ipaadmin_password オプションを使用します。inventory/hosts インベントリーファイルと、Playbook ファイル install-client.yml は以下のようになります。

        インベントリーホストファイルの例

        [...]
        [ipaclients:vars]
        ipaadmin_principal=my_admin
        ipaadmin_password=Secret123

        インベントリーファイルのプリンシパルおよびパスワードを使用した Playbook の例

        - name: Playbook to unconfigure IPA clients
          hosts: ipaclients
          become: true
        
          roles:
          - role: ipaclient
            state: true

    • 以前登録した クライアントキータブ が利用できる場合は、以下を行います。

      このオプションは、システムが Identity Management クライアントとして登録されたことがある場合に使用できます。この認証方法を使用するには、#ipaclient_keytab オプションのコメントを解除して、キータブを保存するファイルへのパスを指定します (例: inventory/hosts[ipaclient:vars] セクション)。

    • 登録時に生成される ランダムなワンタイムパスワード (OTP)。この認証方法を使用するには、インベントリーファイルの ipaclient_use_otp=yes オプションを使用します。たとえば、inventory/hosts ファイルの [ipaclients:vars] セクションで ipaclient_use_otp=yes オプションのコメントを解除できます。OTP では、以下のいずれかのオプションも指定する必要があります。

      • クライアントを登録する権限のあるユーザーのパスワード (例: inventory/hosts ファイルの [ipaclients:vars] セクションに ipaadmin_password の値を指定)。
      • 管理者キータブ (例: inventory/hosts[ipaclients:vars] セクションに ipaadmin_keytab の値を指定)。
  3. (オプション) ipaclient_configure_dns_resolve および ipaclient_dns_servers オプション (使用可能な場合) を使用して DNS リゾルバーを指定し、クラスターのデプロイメントを簡素化します。これは、IdM デプロイメントが統合 DNS を使用している場合に特に便利です。

    DNS リゾルバーを指定するインベントリーファイルスニペット:

    [...]
    [ipaclients:vars]
    ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
    ipaclient_domain=idm.example.com
    ipaclient_configure_dns_resolver=true
    ipaclient_dns_servers=192.168.100.1

    注記

    ipaclient_dns_servers リストには IP アドレスのみを含める必要があります。ホスト名を含めることはできません。

  4. RHEL 9.3 以降では、ipaclient_subid: true オプションを指定して、IdM ユーザーのサブ ID 範囲を IdM レベルで設定することもできます。

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