4.5. ストレージデバイスの設定

さまざまなストレージデバイスに Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。インストール先 画面で、ローカルでアクセス可能な、基本的なストレージデバイスを設定できます。ディスクやソリッドステートドライブなどのローカルシステムに直接接続する基本的なストレージデバイスは、その画面の Local Standard Disks セクションに表示されます。64 ビットの IBM Z の場合は、このセクションに、アクティベートした DASD (Direct Access Storage Devices) が含まれます。

警告

既知の問題により、HyperPAV エイリアスとして設定した DASD を、インストールの完了後に自動的にシステムに割り当てることができません。このようなストレージデバイスはインストール時に利用できますが、インストールが完了して再起動しても、すぐにはアクセスできません。HyperPAV エイリアスデバイスを接続するには、システムの /etc/dasd.conf 設定ファイルに手動で追加します。

4.5.1. 高度なストレージオプションの使用

高度なストレージデバイスを使用するには、iSCSI (SCSI over TCP/IP) ターゲットまたは FCoE (Fibre Channel over Ethernet) の SAN (Storage Area Network) を設定できます。

インストールに iSCSI ストレージデバイスを使用する場合は、インストールプログラム側で iSCSI ストレージデバイスを iSCSI ターゲットとして検出し、そのターゲットにアクセスするための iSCSI セッションを作成できるようにする必要があります。各手順で、CHAP (Challenge Handshake Authentication Protocol) 認証用のユーザー名とパスワードが必要になる場合があります。さらに、検出、またはセッション作成のいずれの場合も、iSCSI ターゲット側でターゲットの接続先となるシステムの iSCSI イニシエーターを認証する (リバース CHAP) ように設定することもできます。CHAP とリバース CHAP を併用する場合は、相互 CHAP または双方向 CHAP と呼ばれます。相互 CHAP を使用すると、特に CHAP 認証とリバース CHAP 認証でユーザー名やパスワードが異なる場合などに、iSCSI 接続に対する最大限の安全レベルを確保できます。

注記

iSCSI 検出と iSCSI ログインの手順を繰り返して、必要な iSCSI ストレージをすべて追加します。初回の検出試行後は、iSCSI イニシエーターの名前を変更できません。iSCSI イニシエーターの名前を変更する場合は、インストールを最初からやり直す必要があります。

4.5.1.1. iSCSI セッションの検出および開始

次の手順を完了して、iSCSI セッションを検出して開始する方法を説明します。

前提条件

  • インストール概要 画面が開いている。

手順

  1. Installation Summary 画面から、Installation Destination をクリックします。インストール先 画面が開き、利用可能なドライブのリストが表示されます。
  2. 特殊なディスクおよびネットワークディスク セクションで ディスクの追加 をクリックします。ストレージデバイスの選択画面が表示されます。
  3. iSCSI ターゲットを追加... をクリックします。​iSCSI ストレージターゲットの追加 画面が開きます。

    重要

    この方法を使用して手動で追加した iSCSI ターゲットには /boot パーティションを置くことができません。/boot パーティションを含む iSCSI ターゲットを iBFT で使用するように設定する必要があります。ただし、インストールされたシステムが、たとえば iPXE を使用して、ファームウェアの iBFT 以外の方法で提供された iBFT 設定で iSCSI から起動する場合は、inst.nonibftiscsiboot インストーラー起動オプションを使用して /boot パーティション制限を削除できます。

  4. ターゲットの IP アドレス フィールドに、iSCSI ターゲットの IP アドレスを入力します。
  5. iSCSI イニシエーター名 フィールドに、iSCSI 修飾名 (IQN) の形式で iSCSI イニシエーターの名前を入力します。IQN エントリーには次を含めてください。

    • iqn. の文字列 (ピリオドが必要)。
    • 日付コード (企業や組織のインターネットドメイン名またはサブドメイン名が登録された年と月。記述の順序は年を表す 4 桁の数字、ハイフン、月を表す 2 桁の数字、ピリオドの順で設定されます)。たとえば、2010 年 9 月の場合は 2010-09. のようになります。
    • 企業や組織のインターネットのドメイン名またはサブドメイン名 (トップレベルのドメインを先頭にして逆順で表します)。たとえば、storage.example.com のサブドメインは、com.example.storage のようになります。
    • コロン (:) と、ドメインまたはサブドメイン内でその iSCSI イニシエーターを固有に識別する文字列。たとえば、:diskarrays-sn-a8675309 のようになります。

      完全な IQN は iqn.2010-09.storage.example.com:diskarrays-sn-a8675309 のようになります。インストールプログラムでは、IQN を設定しやすいように、この形式による任意の名前がすでに iSCSI Initiator Name フィールドに自動入力されています。IQN の詳細は、tools.ietf.org の RFC 3720 - Internet Small Computer Systems Interface (iSCSI) に記載されている 3.2.6. iSCSI Names と、tools.ietf.org の RFC 3721 - Internet Small Computer Systems Interface (iSCSI) Naming and Discovery に記載されている 1. iSCSI Names and Addresses を参照してください。

  6. 認証のタイプの探索 ドロップダウンメニューを使用して、iSCSI 検出に使用する認証タイプを指定します。以下のタイプが使用できます。

    • 証明書なし
    • CHAP 秘密鍵
    • CHAP 秘密鍵と逆順鍵
    1. 認証タイプに CHAP ペア を選択した場合は、CHAP ユーザー名CHAP パスワード の各フィールドに、iSCSI ターゲットのユーザー名とパスワードを入力します。
    2. 認証タイプに CHAP 秘密鍵と逆順鍵 を選択した場合は、CHAP ユーザー名CHAP パスワード の各フィールドに、iSCSI ターゲットのユーザー名とパスワードを入力します。また、リバース CHAP ユーザー名 CHAP パスワード の各フィールドに、iSCSI イニシエーターのユーザー名とパスワードを入力します。
  7. 必要に応じて、ターゲットをネットワークインターフェイスへバインドする チェックボックスをオンにします。
  8. 探索を開始 をクリックします。

    入力した情報に基づいて、インストールプログラムが iSCSI ターゲットを調べます。検出に成功すると、iSCSI ターゲットを追加 画面には、ターゲットで検出された iSCSI ノードのリストが表示されます。

  9. インストールに使用するノードのチェックボックスを選択します。

    注記

    ノードのログイン認証のタイプ メニューには、認証のタイプの探索 メニューと同じオプションがあります。ただし、ディスカバリー認証に証明書が必要な場合は、見つかったノードに同じ証明書を使用してログインします。

  10. 探索に証明書を使用 ドロップダウンメニューをクリックします。適切な認証情報を指定すると、ログイン ボタンが利用可能になります。
  11. ログイン をクリックして、iSCSI セッションを開始します。

4.5.1.2. FCoE パラメーターの設定

FCoE パラメーターを設定するには、次の手順を実行します。

前提条件

インストール概要 画面が開いている。

手順

  1. Installation Summary 画面から、Installation Destination をクリックします。インストール先 画面が開き、利用可能なドライブのリストが表示されます。
  2. 特殊なディスクおよびネットワークディスク セクションで ディスクの追加…をクリックします。ストレージデバイスの選択画面が表示されます。
  3. Add FCoE SAN…​ をクリックします。FCoE ストレージデバイスを検出するようにネットワークインターフェイスを設定するダイアログボックスが開きます。
  4. NIC ドロップダウンメニューで、FCoE スイッチに接続するネットワークインターフェイスを選択します。
  5. FCoE ディスクの追加 をクリックして、SAN デバイスのネットワークをスキャンします。
  6. 必要なチェックボックスを選択します。

    • Use DCB: Data Center Bridging (DCB) は、ストレージネットワークやクラスターでイーサネット接続の効率性を向上させる目的で設計されたイーサネットプロトコルに対する拡張セットです。このチェックボックスを選択して、インストールプログラムによる DCB 認識を有効または無効にします。このオプションは、ネットワークインターフェイスでホストベースの DCBX クライアントを必要とする場合にのみ有効にします。ハードウェアの DCBX クライアントを使用するインターフェイスで設定する場合は、このチェックボックスを無効にします。
    • Use auto vlan: 自動 VLAN はデフォルトで有効になり、VLAN 検出を行うかどうかを指定します。このチェックボックスを選択すると、リンク設定が検証された後、イーサネットインターフェイスで FIP (FCoE Initiation Protocol) VLAN 検出プロトコルが実行します。設定が行われていない場合は、検出されたすべての FCoE VLAN に対してネットワークインターフェイスが自動的に作成され、VLAN インターフェイスに FCoE のインスタンスが作成されます。
  7. 検出された FCoE デバイスが、インストール先 画面の 他の SAN デバイス タブに表示されます。

4.5.1.3. DASD ストレージデバイスの設定

DASD ストレージデバイスを設定するには、以下の手順を実行してください。

前提条件

インストール概要 画面が開いている。

手順

  1. Installation Summary 画面から、Installation Destination をクリックします。インストール先 画面が開き、利用可能なドライブのリストが表示されます。
  2. 特殊なディスクおよびネットワークディスク セクションで ディスクの追加…をクリックします。ストレージデバイスの選択画面が表示されます。
  3. DASD の追加 をクリックします。DASD ストレージターゲットの追加 ダイアログボックスが開いて、0.0.0204 などのデバイス番号を指定し、インストールの開始時に検出されなかった DASD を登録するように求められます。
  4. デバイス番号 フィールドに、接続する DASD のデバイス番号を入力します。
  5. 探索を開始 をクリックします。
注記
  • 指定したデバイス番号を持つ DASD が検出され、その DASD が接続されていない場合は、ダイアログボックスが閉じ、新たに検出されたドライブが、ドライブのリストに表示されます。次に、必要なデバイスのチェックボックスを選択して、完了 をクリックします。インストール先 画面の ローカルの標準ディスク セクションで、新しい DASD が選択できるようになります (DASD device 0.0.xxxx と表示されます)。
  • 無効なデバイス番号を入力した場合、または指定したデバイス番号の DASD がすでにシステムに割り当てられている場合は、ダイアログボックスにエラーメッセージとその理由が表示され、別のデバイス番号で再試行するように求められます。

4.5.1.4. FCP デバイスの設定

FCP デバイスは、64 ビットの IBM Z が DASD デバイスの代わりに、または DASD デバイスに加えて、SCSI デバイスを使用できるようにするものです。FCP デバイスは交換ファブリックスイッチを提供し、これにより 64 ビットの IBM Z システムが SCSI LUN を従来の DASD デバイスとして用いる使い方に加えて、ディスクデバイスとして使えるようにします。

前提条件

  • インストール概要 画面が開いている。
  • FCP のみのインストールで、DASD がないことを示すために、CMS 設定ファイルから DASD= オプションを削除するか、パラメーターファイルから rd.dasd= オプションを削除した。

手順

  1. Installation Summary 画面から、Installation Destination をクリックします。インストール先 画面が開き、利用可能なドライブのリストが表示されます。
  2. 特殊なディスクおよびネットワークディスク セクションで ディスクの追加…をクリックします。ストレージデバイスの選択画面が表示されます。
  3. zFCP LUN を追加 をクリックします。zFCP ターゲットの追加 ダイアログボックスが開いて、FCP (ファイバーチャネルプロトコル) ストレージデバイスを追加できます。

    64 ビットの IBM Z では、インストールプログラムが FCP LUN をアクティベートするために、FCP デバイスを手動で入力する必要があります。これは、グラフィカルインストールで指定するか、パラメーターもしくは CMS 設定ファイル内で一意のパラメーターエントリーとして指定することで可能になります。設定する各サイトに固有の値を入力する必要があります。

  4. 4 桁の 16 進数のデバイス番号を、デバイス番号 フィールドに入力します。
  5. RHEL-9.0 以前のリリースをインストールする場合、zFCP デバイスが NPIV モードで設定されていない場合や、zfcp.allow_lun_scan=0 カーネルモジュールパラメーターで auto LUN スキャンが無効になっている場合は、以下の値を指定します。

    1. 16 桁の 16 進数の WWPN (World Wide Port Number) を、WWPN フィールドに入力します。
    2. 16 桁の 16 進数の FCP LUN 識別子を、LUN フィールドに入力します。
  6. 探索を開始 をクリックして、FCP デバイスに接続します。

新たに追加されたデバイスは、インストール先 画面の System z デバイス のタブに表示されます。

注記
  • FCP デバイスの対話形式の作成は、グラフィカルモードでのみ可能です。テキストモードのインストールでは、FCP デバイスを対話形式で設定することはできません。
  • 16 進法で小文字のみを使用してください。間違った値を入力して 探索を開始 をクリックすると、インストールプログラムにより警告が表示されます。設定情報の編集と、探索の再試行が可能です。
  • 値の詳細は、ハードウェアに添付のドキュメントを参照し、システム管理者に確認してください。

4.5.2. NVDIMM デバイスへのインストール

不揮発性デュアルインラインメモリーモジュール (NVDIMM) デバイスは、電源が供給されていない時に、RAM のパフォーマンスと、ディスクのようなデータの持続性を兼ね備えています。特定の状況下では、NVDIMM デバイスから Red Hat Enterprise Linux 9 を起動して実行できます。

4.5.2.1. NVDIMM デバイスをインストール先として使用するための基準

Red Hat Enterprise Linux 9 は、nd_pmem ドライバーがサポートする Intel 64 アーキテクチャーおよび AMD64 アーキテクチャーにある、セクターモードの不揮発性デュアルインラインメモリーモジュール (NVDIMM) デバイスにインストールできます。

NVDIMM デバイスをストレージとして使用するための条件

NVDIMM デバイスをストレージとして使用するには、次の条件を満たす必要があります。

  • システムのアーキテクチャーが Intel 64 または AMD64 である。
  • NVDIMM デバイスがセクターモードに設定されている。インストールプログラムにより NVDIMM デバイスをこのモードに再設定できます。
  • NVDIMM デバイスが、nd_pmem ドライバーで対応している。

NVDIMM デバイスからの起動の条件

以下の条件が満たされる場合には、NVDIMM デバイスからの起動が可能です。

  • NVDIMM デバイスを使用するための条件がすべて満たされている。
  • システムが UEFI を使用している。
  • システムで使用可能なファームウェアまたは UEFI ドライバーが NVDIMM デバイスをサポートしている。UEFI ドライバーは、デバイス自体のオプション ROM から読み込むことができます。
  • NVDIMM デバイスが名前空間で利用可能である。

システムの起動中に高性能な NVDIMM デバイスを利用するには、/boot ディレクトリーおよび /boot/efi ディレクトリーをデバイスに置きます。NVDIMM デバイスの XIP (Execute-in-place) 機能は、起動時にはサポートされません。カーネルは従来どおりメモリーに読み込まれます。

4.5.2.2. グラフィカルインストールモードを使用した NVDIMM デバイスの設定

不揮発性デュアルインラインメモリーモジュール (NVDIMM) デバイスは、Red Hat Enterprise Linux 9 で使用するために、グラフィカルインストールを使用して正しく設定する必要があります。

警告

NVDIMM デバイスを再設定するプロセスにより、デバイスに格納されていたデータがすべて失われます。

前提条件

  • NVDIMM デバイスがシステムに存在し、その他の、インストールターゲットとして使用するための条件を満たしている。
  • インストールが起動し、インストール概要 画面が開いている。

手順

  1. Installation Summary 画面から、Installation Destination をクリックします。インストール先 画面が開き、利用可能なドライブのリストが表示されます。
  2. 特殊なディスクおよびネットワークディスク セクションで ディスクの追加 をクリックします。ストレージデバイスの選択画面が表示されます。
  3. NVDIMM デバイス タブをクリックします。
  4. デバイスを再設定する場合は、リストから選択します。

    デバイスがリストにない場合は、セクターモードになっていません。

  5. NVDIMM の再設定 をクリックします。再設定ダイアログが開きます。
  6. 必要なセクターサイズを入力し、再設定の開始 をクリックします。

    サポートされるセクターサイズは 512 バイトおよび 4096 バイトです。

  7. 再設定が終了したら、OK をクリックします。
  8. デバイスのチェックボックスを選択します。
  9. 完了 をクリックして、インストール先 画面に戻ります。

    再設定した NVDIMM は、特殊なディスクおよびネットワークディスク セクションに表示されます。

  10. 完了 をクリックして、インストール概要 画面に戻ります。

NVDIMM デバイスがインストール先として選択できるようになります。デバイスが起動の要件を満たしている場合は、そのように設定できます。