5.7. z/VM へのインストール

端末エミュレーター x3270 または c3270 を使用して、その他の Linux システムから z/VM にログインしたり、64 ビットの IBM Z Hardware Management Console (HMC) で IBM 3270 端末エミュレーターを使用します。Microsoft Windows オペレーティングシステムを実行している場合は、インターネットの検索で確認できる複数のオプションが利用できます。wc3270 と呼ばれる、無料でネイティブの Windows ポート c3270 もあります。

z/VM 環境にインストールする場合は、以下から起動できます。

  • z/VM 仮想リーダー
  • DASD または FCP 接続の SCSI ディスク (zipl ブートローダーを設定済み)

Linux インストールに選択した z/VM ゲストの仮想マシンにログオンします。

注記

使用中の 3270 接続が割り込みを受け、それまでのセッションがまだアクティブなために再ログインができない場合は、z/VM ログイン画面で以下のコマンドを入力すると、それまでのセッションを新規のセッションに置き換えることができます。

logon user here

user には z/VM ゲスト仮想マシンの名前を入れてください。RACF などの外部セキュリティーマネージャーが使用されているかどうかによって、ログオンコマンドが異なる場合があります。

ゲスト内で CMS (z/VM 同梱のシングルユーザー用オペレーティングシステム) を実行していない場合は、以下のコマンドを実行してここで起動します。

cp ipl cms

インストールターゲットには、A ディスク (多くの場合デバイス番号は 0191) などの CMS ディスクを使用しないようにしてください。CMS で使用されているディスクを確認するには、以下のクエリーを使用します。

query disk

以下の CP (z/VM ハイパーバイザーである z/VM 制御プログラム) の query コマンドを使用すると、z/VM ゲスト仮想マシンのデバイス設定を確認できます。

  • 利用できるメインメモリーをクエリーします。64 ビットの IBM Z の用語では ストレージ と呼ばれています。ゲストには少なくとも 1GiB のメインメモリーが必要です。

    cp query virtual storage
  • 利用できるネットワークデバイスを以下のタイプ別にクエリーします。

    osa
    OSA - CHPID タイプ OSD、物理または仮想 (VSWITCH または GuestLAN)、いずれも QDIO モード
    hsi
    HiperSockets - CHPID タイプ IQD、物理または仮想 (GuestLAN タイプ Hipers)
    lcs

    LCS - CHPID タイプ OSE

    たとえば、上記のネットワークデバイスタイプをすべて問い合わせる場合は、次を実行します。

    cp query virtual osa
  • 利用できる DASD をクエリーします。インストールターゲットとして使用できるのは、RW のフラグが付いた読み書きモードの DASD のみです。

    cp query virtual dasd
  • 使用可能な FCP デバイス (vHBA) のクエリー:

    cp query virtual fcp

5.7.1. z/VM リーダーの使用

以下の手順に従って z/VM リーダーから起動します。

手順

  1. 必要に応じて、z/VM の TCP/IP ツールを含むデバイスを CMS ディスクのリストに追加します。以下に例を示します。

    cp link tcpmaint 592 592
    acc 592 fm

    fmFILEMODE 文字で置き換えます。

  2. コマンドを実行します。

    ftp host

    host は、ブートイメージ (kernel.img および initrd.img) をホストする FTP サーバーのホスト名または IP アドレスです。

  3. ログインして以下のコマンドを実行します。既存の kernel.img ファイル、initrd.img ファイル、generic.prm ファイル、または redhat.exec ファイルを上書きしている場合は、(repl オプションを使用します。

    cd /location/of/install-tree/images/
    ascii
    get generic.prm (repl
    get redhat.exec (repl
    locsite fix 80
    binary
    get kernel.img (repl
    get initrd.img (repl
    quit
  4. 必要に応じて、CMS コマンド filelist を使用して受信したファイルとその形式を表示することにより、ファイルが正しく転送されたかどうかを確認します。kernel.imginitrd.img では、Format 列の固定レコード長の形式が F と示され、Lrecl 列のレコード長が 80 であることが重要です。以下に例を示します。

    VMUSER FILELIST A0 V 169 Trunc=169 Size=6 Line=1 Col=1 Alt=0
    Cmd Filename	Filetype	Fm	Format	Lrecl	Records	Blocks	Date	Time
    REDHAT	EXEC		B1	V	22	1 	1	4/15/10	9:30:40
    GENERIC	PRM		B1	V	44	1	1	4/15/10	9:30:32
    INITRD	IMG		B1	F	80	118545	2316	4/15/10	9:30:25
    KERNEL	IMG		B1	F	80	74541	912	4/15/10	9:30:17

    PF3 を押して filelist を終了し、CMS プロンプトに戻ります。

  5. 必要に応じて、generic.prm 内の起動パラメーターをカスタマイズします。詳細は、ブートパラメーターのカスタマイズ を参照してください。

    CMS 設定ファイルを使用して、ストレージデバイスおよびネットワークデバイスを設定する方法もあります。そのような場合は、CMSDASD= パラメーターおよび CMSCONFFILE= パラメーターを generic.prm に追加します。詳細は、IBM Z/VM 設定ファイル を参照してください。

  6. 最後に、REXX スクリプト redhat.exec を実行してインストールプログラムを起動します。

    redhat

5.7.2. 設定済み DASD の使用

設定済み DASD を使用するには、以下の手順を実行します。

手順

  1. 準備済みの DASD から起動して、Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムを参照する zipl ブートメニューエントリーを選択します。コマンドを次の形式で使用します。

    cp ipl DASD_device_number loadparm boot_entry_number

    DASD_device_number を、起動デバイスのデバイス番号に置き換え、boot_entry_number を、このデバイスの zipl 設定メニューに置き換えます。以下に例を示します。

    cp ipl eb1c loadparm 0

5.7.3. 設定済み FCP を接続した SCSI ディスクの使用

設定済み FCP を接続した SCSI ディスクから起動するには、以下の手順を実行します。

手順

  1. FCP ストレージエリアネットワーク内に準備した SCSI ディスクにアクセスできるように z/VM の SCSI ブートローダーを設定します。Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムを参照する設定済み zipl ブートメニューエントリーを選択します。コマンドを次の形式で使用します。

    cp set loaddev portname WWPN lun LUN bootprog boot_entry_number

    WWPN を、ストレージシステムのワールドワイドポート名に置き換え、LUN を、ディスクの論理ユニット番号に置き換えます。16 桁の 16 進数は、それぞれ 8 桁の 2 つのペアに分割する必要があります。以下に例を示します。

    cp set loaddev portname 50050763 050b073d lun 40204011 00000000 bootprog 0
  2. 必要に応じて、次のコマンドで設定を確認します。

    query loaddev
  3. 以下のコマンドを使用して、ディスクを含むストレージシステムに接続している FCP デバイスを起動します。

    cp ipl FCP_device

    以下に例を示します。

    cp ipl fc00

5.7.4. 64 ビット IBM Z でのパラメーターおよび設定ファイルの使用

64 ビットの IBM Z アーキテクチャーでは、カスタマイズされたパラメーターファイルを使用して、カーネルとインストールプログラムに起動パラメーターを渡すことができます。

次を行う場合は、パラメーターを変更する必要があります。

  • キックスタートによる無人インストール
  • レスキューモードなど、インストールプログラムの対話式ユーザーインターフェイスからはアクセスできない、デフォルト以外のインストール設定を選択します。

パラメーターファイルは、インストールプログラム (Anaconda) の開始前に、非対話式にネットワークを設定するために使用できます。

カーネルパラメーターファイルは、895 文字に行末文字を加えた長さに制限されています。パラメーターファイルには、可変長または固定長のレコードフォーマットのいずれかが使用されます。固定長レコードフォーマットは、レコードの長さまで各行を追加してファイルサイズを増やします。インストールプログラムが LPAR 環境内のすべての指定パラメーターを認識しないという問題が生じた場合は、すべてのパラメーターを 1 行に収めるか、各行を空白文字で開始および終了することを試してください。

パラメーターファイルには、ro のような カーネルパラメーターと、vncpassword=testvnc などのインストールプロセス用のパラメーターが含まれます。