3.3. tarball へのソースコードの追加

tarball は、.tar.gz または .tgz の接尾辞が付いたアーカイブファイルです。tarball へのソースコードの追加は、後でパッケージ化して配布するソフトウェアをリリースする一般的な方法です。

次のセクションでは、3 つのバージョンの Hello World プログラムgzip で圧縮した tarball に追加する方法を説明します。

3.3.1. bello プログラムを tarball に追加する

bello プロジェクトは、BashHello World を実装しています。この実装には bello シェルスクリプトのみが含まれています。したがって、作成される tar.gz アーカイブには、LICENSE ファイルのほかにファイルが 1 つだけ含まれます。

前提条件

  • bello プログラムのバージョン 0.1 を使用する。

手順

  1. 必要なファイルをすべて 1 つのディレクトリーに追加します。

    $ mkdir bello-0.1
    
    $ mv ~/bello bello-0.1/
    
    $ mv LICENSE bello-0.1/
  2. 配布用のアーカイブを作成します。

    $ tar -cvzf bello-0.1.tar.gz bello-0.1
    bello-0.1/
    bello-0.1/LICENSE
    bello-0.1/bello
  3. 作成したアーカイブを ~/rpmbuild/SOURCES/ ディレクトリーに移動します。これは、rpmbuild コマンドがパッケージをビルドするためのファイルを保存するデフォルトのディレクトリーです。

    $ mv bello-0.1.tar.gz ~/rpmbuild/SOURCES/

3.3.2. pello プログラムを tarball に追加する

pello プロジェクトは、PythonHello World を実装しています。この実装には pello.py プログラムのみが含まれています。したがって、作成される tar.gz アーカイブには、LICENSE ファイルのほかにファイルが 1 つだけ含まれます。

前提条件

  • pello プログラムのバージョン 0.1.1 を使用する。

手順

  1. 必要なファイルをすべて 1 つのディレクトリーに追加します。

    $ mkdir pello-0.1.1
    
    $ mv pello.py pello-0.1.1/
    
    $ mv LICENSE pello-0.1.1/
  2. 配布用のアーカイブを作成します。

    $ tar -cvzf pello-0.1.1.tar.gz pello-0.1.1
    pello-0.1.1/
    pello-0.1.1/LICENSE
    pello-0.1.1/pello.py
  3. 作成したアーカイブを ~/rpmbuild/SOURCES/ ディレクトリーに移動します。これは、rpmbuild コマンドがパッケージをビルドするためのファイルを保存するデフォルトのディレクトリーです。

    $ mv pello-0.1.1.tar.gz ~/rpmbuild/SOURCES/

3.3.3. cello プログラムを tarball に追加する

cello プロジェクトは、C で Hello World を実装しています。この実装には cello.cMakefile ファイルのみが含まれています。したがって、作成される tar.gz アーカイブには、LICENSE ファイルに加えて 2 つのファイルが含まれます。

注記

patch ファイルは、プログラムとともにアーカイブで配布されません。RPM パッケージマネージャーは、RPM のビルド時にパッチを適用します。パッチは、tar.gz アーカイブとともに ~/rpmbuild/SOURCES/ ディレクトリーに配置されます。

前提条件

  • cello プログラムのバージョン 1.0 を使用する。

手順

  1. 必要なファイルをすべて 1 つのディレクトリーに追加します。

    $ mkdir cello-1.0
    
    $ mv cello.c cello-1.0/
    
    $ mv Makefile cello-1.0/
    
    $ mv LICENSE cello-1.0/
  2. 配布用のアーカイブを作成します。

    $ tar -cvzf cello-1.0.tar.gz cello-1.0
    cello-1.0/
    cello-1.0/Makefile
    cello-1.0/cello.c
    cello-1.0/LICENSE
  3. 作成したアーカイブを ~/rpmbuild/SOURCES/ ディレクトリーに移動します。これは、rpmbuild コマンドがパッケージをビルドするためのファイルを保存するデフォルトのディレクトリーです。

    $ mv /tmp/cello-1.0.tar.gz ~/rpmbuild/SOURCES/