Menu Close

3.3. LDAP から IdM への移行時のパスワードの移行の計画

ユーザーを LDAP から Identity Management (IdM) に移行する前に決定すべき重大な問題は、ユーザーパスワードを移行するかどうかです。以下のタイプが使用できます。

パスワードを使用しないユーザーの移行

より迅速に実行できますが、管理者とユーザーによるより多くの手作業が必要です。特定の状況では、これが唯一の選択肢となります (元の LDAP 環境にクリアテキストのユーザーパスワードが保存されている 場合やパスワードが IdM で定義されているパスワードポリシーの要件を満たしていない 場合など)。

パスワードを使用せずにユーザーアカウントを移行する場合は、すべてのユーザーパスワードをリセットします。移行したユーザーには、最初のログイン時に変更する一時パスワードが割り当てられます。パスワードのリセット方法は、RHEL 7 IdM ドキュメント Changing and resetting user passwords を参照してください。

パスワードを使用したユーザーの移行

移行はよりスムーズになりますが、移行および移行プロセスで LDAP ディレクトリーと IdM を並列に管理することも必要になります。これは、IdM がデフォルトで認証に Kerberos を使用し、各ユーザーには、標準ユーザーパスワードのほかに、IdM Directory Server に保存されている Kerberos ハッシュが必要であるためです。このハッシュを生成するには、IdM サーバー側でユーザーのパスワードがクリアテキストで利用可能である必要があります。新しいユーザーパスワードを作成すると、パスワードはハッシュされて IdM に保存される前に、クリアテキストで利用できるようになります。ただし、ユーザーを LDAP ディレクトリーから移行する場合には関連するユーザーパスワードがすでにハッシュ化されているため該当する Kerberos キーは生成できません。

重要

デフォルトでは、ユーザーアカウントが存在しても、Kerberos ハッシュが発生するまで、ユーザーは IdM ドメインに認証したり、IdM リソースにアクセスしたりできません。回避策の 1 つが利用できます。Kerberos 認証の代わりに、IdM で LDAP 認証を使用します。この回避策では、ユーザーに Kerberos ハッシュは必要ありません。ただし、この回避策により IdM の機能が制限されるため、推奨できません。

次のセクションでは、ユーザーとそのパスワードを移行する方法を説明します。

3.3.1. Methods for migrating passwords when migrating LDAP to IdM

ユーザーにパスワードの変更を強制せずに、ユーザーアカウントを LDAP から Identity Management (IdM) に移行するには、以下の方法を使用できます。

方法 1: 移行 Web ページの使用

ユーザーに、IdM Web UI (https://ipaserver.example.com/ipa/migration) のスペシャルページに LDAP 認証情報を一度入力するように指示します。バックグラウンドで実行しているスクリプトが、クリアテキストパスワードをキャプチャーして、パスワードと適切な Kerberos ハッシュを使用してユーザーアカウントを適切に更新します。

方法 2 (推奨) - SSSD の使用

SSSD (System Security Services Daemon) を使用して必要なユーザーキーを生成することで、移行によるユーザーへの影響を軽減します。大量のユーザーを導入する場合やユーザーにパスワード変更の面倒をかけさせない場合に最適なシナリオです。

ワークフロー

  1. ユーザーが SSSD でマシンにログインします。
  2. SSSD は、IdM サーバーに対して Kerberos 認証の実行を試みます。
  3. ユーザーがシステムに存在していも Kerberos ハッシュがないため key type is not supported エラーで認証に失敗します。
  4. SSSD は、セキュアな接続でプレーンテキストの LDAP バインドを実行します。
  5. IdM はこのバインド要求をインターセプトします。ユーザーが Kerberos プリンシパルは持っているのに Kerberos ハッシュを持っていない場合、IdM ID プロバイダーはハッシュを生成してユーザーのエンティティーに格納します。
  6. 認証に成功すると SSSD は IdM との接続を切断し Kerberos 認証を再試行します。この場合、エンティティーにハッシュが存在しているため要求は成功します。

方法 2 では、ユーザーにはプロセス全体が表示されません。ユーザーは、パスワードが LDAP から IdM に移動したことに気が付かずにクライアントサービスにログインします。