第3章 Squid キャッシングプロキシーサーバーの設定

Squid は、コンテンツをキャッシュして帯域幅を削減し、Web ページをより迅速に読み込むプロキシーサーバーです。本章では、HTTP、HTTPS、FTP のプロトコルのプロキシーとして Squid を設定する方法と、アクセスの認証および制限を説明します。

3.1. 認証なしで Squid をキャッシングプロキシーとして設定

認証なしで Squid をキャッシュプロキシーとして設定できます。以下の手順では、IP 範囲に基づいてプロキシーへのアクセスを制限します。

前提条件

  • /etc/squid/squid.conf ファイルが、squid パッケージにより提供されている。このファイルを編集した場合は、ファイルを削除して、パッケージを再インストールしている。

手順

  1. squid パッケージをインストールします。

    # dnf install squid
  2. /etc/squid/squid.conf ファイルを編集します。

    1. localnet アクセス制御リスト (ACL) を、プロキシーを使用できる IP 範囲と一致するように変更します。

      acl localnet src 192.0.2.0/24
      acl localnet 2001:db8:1::/64

      デフォルトでは、/etc/squid/squid.conf ファイルには localnet ACL で指定されたすべての IP 範囲のプロキシーを使用できるようにする http_access allow localnet ルールが含まれます。http_access allow localnet ルールの前に、localnet の ACL をすべて指定する必要があります。

      重要

      環境に一致しない既存の acl localnet エントリーをすべて削除します。

    2. 以下の ACL はデフォルト設定にあり、HTTPS プロトコルを使用するポートとして 443 を定義します。

      acl SSL_ports port 443

      ユーザーが他のポートでも HTTPS プロトコルを使用できるようにするには、ポートごとに ACL を追加します。

      acl SSL_ports port port_number
    3. Squid が接続を確立できるポートに設定する acl Safe_ports ルールの一覧を更新します。たとえば、プロキシーを使用するクライアントがポート 21 (FTP)、80 (HTTP)、443 (HTTPS) のリソースにのみアクセスできるようにするには、その設定の以下の acl Safe_ports ステートメントのみを保持します。

      acl Safe_ports port 21
      acl Safe_ports port 80
      acl Safe_ports port 443

      デフォルトでは、設定には http_access deny !Safe_ports ルールが含まれ、Safe_ports ACL で定義されていないポートへのアクセス拒否を定義します。

    4. cache_dir パラメーターにキャッシュの種類、キャッシュディレクトリーへのパス、キャッシュサイズ、さらにキャッシュの種類ごとの設定を設定します。

      cache_dir ufs /var/spool/squid 10000 16 256

      この設定により、以下が可能になります。

      • Squid は、ufs キャッシュタイプを使用します。
      • Squid は、キャッシュを /var/spool/squid/ ディレクトリーに保存します。
      • キャッシュのサイズが 10000 MB まで大きくなります。
      • Squid は、16 個の レベル 1 サブディレクトリーを /var/spool/squid/ ディレクトリーに作成します。
      • Squid は、レベル 1 の各ディレクトリーに 256 個のサブディレクトリーを作成します。

        cache_dir ディレクティブを設定しないと、Squid はキャッシュをメモリーに保存します。

  3. cache_dir パラメーターに /var/spool/squid/ 以外のキャッシュディレクトリーを設定する場合は、以下を行います。

    1. キャッシュディレクトリーを作成します。

      # mkdir -p path_to_cache_directory
    2. キャッシュディレクトリーの権限を設定します。

      # chown squid:squid path_to_cache_directory
    3. SELinux を enforcing モードで実行する場合は、squid_cache_t コンテキストをキャッシュディレクトリーに設定します。

      # semanage fcontext -a -t squid_cache_t "path_to_cache_directory(/.*)?"
      # restorecon -Rv path_to_cache_directory

      semanage ユーティリティーがシステムで利用できない場合は、policycoreutils-python-utils パッケージをインストールします。

  4. ファイアウォールで 3128 ポートを開きます。

    # firewall-cmd --permanent --add-port=3128/tcp
    # firewall-cmd --reload
  5. squid サービスを有効にして開始します。

    # systemctl enable --now squid

検証手順

プロキシーが正しく機能することを確認するには、curl ユーティリティーを使用して Web ページをダウンロードします。

# curl -O -L "https://www.redhat.com/index.html" -x "proxy.example.com:3128"

curl でエラーが表示されず、index.html ファイルが現在のディレクトリーにダウンロードされている場合は、プロキシーが動作します。