22.3. RHEL 9 仮想化で対応していない機能

以下の機能は、Red Hat Enterprise Linux 9 (RHEL 9) に含まれる KVM ハイパーバイザーでは対応していません。

重要

この制限の多くは、Red Hat が提供するその他の仮想化ソリューション (Red Hat Virtualization (RHV) や Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) など) には適用されない場合があります。

他の仮想化ソリューションでサポートされる機能については、次の段落で説明します。

ホストシステムのアーキテクチャー

KVM を使用した RHEL 9 は、RHEL 9 仮想化で推奨される機能 に記載されていないホストアーキテクチャーではサポートされません。

特に、64 ビット ARM アーキテクチャー (ARM 64) は、RHEL 9 での KVM 仮想化のテクノロジープレビューとしてのみ提供されているため、Red Hat は実稼働環境での使用を推奨していません。

ゲストのオペレーティングシステム

RHEL 9 ホストは、次のゲストオペレーティングシステム (OS) を使用する KVM 仮想マシンには対応していません。

  • Microsoft Windows 8.1 以前
  • Microsoft Windows Server 2008 R2 以前
  • MacOS
  • x86 システム用の Solaris
  • 2009 年より前にリリースされたすべての OS

RHEL ホストおよびその他の仮想化ソリューションでサポートされるゲスト OS の一覧は、Certified Guest Operating Systems in Red Hat OpenStack Platform, Red Hat Virtualization, OpenShift Virtualization and Red Hat Enterprise Linux with KVM を参照してください。

コンテナーでの仮想マシンの作成

Red Hat は、RHEL 9 ハイパーバイザーの要素を含むコンテナーの種類 (QEMU エミュレーターや libvirt パッケージなど) に関係なく、KVM 仮想マシンの作成に対応していません。

コンテナーに仮想マシンを作成する場合は、OpenShift Virtualization オファリングの使用を推奨します。

特定の virsh コマンドおよびオプション

virsh ユーティリティーで使用できるすべてのパラメーターが Red Hat によってテストされ、本番環境で使用できると認定されているわけではありません。したがって、Red Hat のドキュメントで明示的に推奨されていない virsh コマンドおよびオプションは、正しく機能しない可能性があります。Red Hat では、実稼働環境でのこれらの使用を推奨しません。

特に、サポートされていない virsh コマンドには次のものがあります。

  • virsh iface-* コマンド (virsh iface-startvirsh iface-destroy など)
  • virsh blkdeviotune
  • virsh snapshot-* コマンド (virsh snapshot-createvirsh snapshot-revert など)

QEMU コマンドライン

QEMU は、RHEL 9 における仮想化アーキテクチャーの必須コンポーネントですが、手動で管理することが難しく、QEMU 設定に誤りがあるとセキュリティーの脆弱性を引き起こす可能性があります。したがって、qemu-kvm などの qemu-* コマンドラインユーティリティーの使用は、Red Hat ではサポートされていません。代わりに、virt-installvirt-xml、およびサポートされている virsh コマンドなどの libvirt ユーティリティーを使用してください。これらはベストプラクティスに従って QEMU を調整します。ただし、仮想ディスクイメージの管理 には qemu-img ユーティリティーがサポートされています。

vCPU のホットアンプラグ

実行中の仮想マシンから仮想 CPU (vCPU) を削除することは vCPU ホットアンプラグと呼ばれますが、RHEL 9 では対応していません。

メモリーのホットアンプラグ

実行中の仮想マシンに接続されているメモリーデバイスの削除 (メモリーのホットアンプラグとも呼ばれる) は、RHEL 9 では対応していません。

QEMU 側の I/O スロットリング

virsh blkdeviotune ユーティリティーを使用して、仮想ディスクでの操作の最大入出力レベルを設定することは、QEMU 側の I/O スロットリング としても知られていますが、RHEL 9 では対応していません。

RHEL 9 で I/O スロットリングを設定するには、virsh blkiotune を使用します。これは、libvirt 側の I/O スロットリングとしても知られています。手順は、Disk I/O throttling in virtual machines を参照してください。

その他のソリューション:

  • QEMU 側の I/O スロットリングは RHOSP でもサポートされています。詳細は、RHOSP ストレージガイドディスクでのリソース制限の設定 およびサービス品質の仕様の使用セクションを参照してください。
  • さらに、OpenShift Virtualizaton は QEMU 側の I/O スロットリングもサポートします。

ストレージのライブマイグレーション

実行している仮想マシンのディスクイメージをホスト間で移行することは、RHEL 9 では対応していません。

その他のソリューション:

  • ストレージライブマイグレーションは RHOSP でサポートされますが、制限がいくつかあります。詳細は ボリュームの移行 を参照してください。

ライブスナップショット

実行中の仮想マシンのスナップショットの作成または読み込み (ライブスナップショットとも呼ばれる) は、RHEL 9 では対応していません。

さらに、ライブ以外の仮想マシンスナップショットは RHEL 9 で非推奨となっていることに注意してください。したがって、シャットダウンされた仮想マシンのスナップショットの作成または読み込みには対応していますが、Red Hat は推奨していません。

その他のソリューション:

  • RHOSP はライブスナップショットをサポートしています。詳細は、Importing virtual machines into the overcloud を参照してください。
  • ライブスナップショットは OpenShift Virtualization でもサポートされています。

vHost Data Path Acceleration

RHEL 9 ホストでは、virtio デバイス用に vHost Data Path Acceleration (vDPA) を設定できますが、Red Hat は現在この機能をサポートしておらず、実稼働環境では使用しないことを強く推奨します。

vhost-user

RHEL 9 は、ユーザー空間の vHost インターフェイスの実装には対応していません。

その他のソリューション:

  • vhost-user は RHOSP でサポートされていますが、対象は、virtio-net インターフェイスのみです。詳細は virtio-net implementation および vhost user ports を参照してください。
  • OpenShift Virtualization は vhost-user もサポートします。

S3 および S4 のシステムの電力状態

仮想マシンを Suspend to RAM (S3) または Suspend to disk (S4) のシステム電源状態にサスペンドすることには対応していません。この機能はデフォルトでは無効になっており、有効にすると、仮想マシンが Red Hat のサポート対象外となります。

現在、S3 および S4 の状態は、Red Hat が提供する他の仮想化ソリューションでもサポートされていないことに注意してください。

マルチパス化された vDisk の S3-PR

マルチパス化された vDisk の SCSI3 の永続的な予約 (S3-PR) は、RHEL 9 では対応していません。これにより、RHEL 9 では、Windows Cluster に対応していません。

virtio-crypto

virtio-crypto デバイスを使用することは RHEL 9 では対応していないため、これを使用しないことが強く推奨されています。

virtio-crypto デバイスは、Red Hat が提供する他の仮想化ソリューションでもサポートされていないことに注意してください。

インクリメンタルバックアップ

最後のバックアップ (増分ライブバックアップとも呼ばれる) 以降の VM の変更のみを保存する VM バックアップの設定は、RHEL 9 ではサポートされておらず、Red Hat はこれを使用しないことを強く推奨しています。

net_failover

RHEL 9 では、net_failover ドライバーを使用した自動ネットワークデバイスフェイルオーバーメカニズムの設定はサポートされていません。

現在、net_failover は、Red Hat が提供する他の仮想化ソリューションでもサポートされていないことに注意してください。

マルチ FD の移行

RHEL 9 では、マルチ FD マイグレーションとも呼ばれる、複数のファイル記述子 (FD) を使用する仮想マシンの移行には対応していません。

TCG

QEMU および libvirt には、QEMU Tiny Code Generator (TCG) を使用した動的な変換モードが含まれます。このモードでは、ハードウェアの仮想化のサポートは必要ありません。ただし、TCG は Red Hat ではサポートされていません。

TCG ベースのゲストは、virsh dumpxml コマンドを使用するなど、XML 設定を調べることで確認できます。

  • TCG ゲストの設定ファイルでは、以下の行が含まれます。

    <domain type='qemu'>
  • KVM ゲストの設定ファイルでは、以下の行が含まれます。

    <domain type='kvm'>

SR-IOV InfiniBand ネットワークデバイス

シングルルート I/O 仮想化 (SR-IOV) を使用した VM への InfiniBand ネットワークデバイスの接続はサポートされていません。