8.14. wg-quick サービスを使用した WireGuard クライアントの設定

/etc/wireguard/ ディレクトリーに設定ファイルを作成することで、WireGuard クライアントを設定できます。この方法を使用して、NetworkManager からサービスを独立して設定します。

この手順では、次の設定を前提としています。

  • クライアント:

    • 秘密鍵: aPUcp5vHz8yMLrzk8SsDyYnV33IhE/k20e52iKJFV0A=
    • トンネル IPv4 アドレス:192.0.2.2/24
    • トンネル IPv6 アドレス:2001:db8:1::2/32
  • サーバー

    • 公開鍵:UtjqCJ57DeAscYKRfp7cFGiQqdONRn69u249Fa4O6BE=
    • トンネル IPv4 アドレス:192.0.2.1/24
    • トンネル IPv6 アドレス:2001:db8:1::1/32

前提条件

  • サーバーとクライアントの両方に公開鍵と秘密鍵を生成している。
  • 以下の情報を把握している。

    • クライアントの秘密鍵
    • クライアントの静的トンネルの IP アドレスとサブネットマスク
    • サーバーの公開鍵
    • サーバーの静的トンネル IP アドレスおよびサブネットマスク

手順

  1. wireguard-tools パッケージをインストールします。

    # dnf install wireguard-tools
  2. 以下の内容で /etc/wireguard/wg0.conf ファイルを作成します。

    [Interface]
    Address = 192.0.2.2/24, 2001:db8:1::2/32
    PrivateKey = aPUcp5vHz8yMLrzk8SsDyYnV33IhE/k20e52iKJFV0A=
    
    [Peer]
    PublicKey = UtjqCJ57DeAscYKRfp7cFGiQqdONRn69u249Fa4O6BE=
    AllowedIPs = 192.0.2.1, 2001:db8:1::1
    Endpoint = server.example.com:51820
    PersistentKeepalive = 20
    • [Interface] セクションでは、クライアントのインターフェイスの WireGuard 設定を説明します。

      • Address:クライアントのトンネル IP アドレスをコンマで区切ったリストです。
      • PrivateKey:クライアントの秘密鍵。
    • [Peer] セクションでは、サーバーの設定を説明します。

      • PublicKey:サーバーの公開鍵。
      • AllowedIPs:このクライアントにデータを送信できる IP アドレス。たとえば、このパラメーターを次のように設定します。

        • サーバーのみがこのクライアントと通信できるようにするサーバーのトンネル IP アドレス。上記の例の値は、このシナリオを設定します。
        • リモートの IPv4 アドレスおよび IPv6 アドレスが、このクライアントと通信できるように許可する 0.0.0.0/0, ::/0この設定を使用して、すべてのトラフィックをトンネル経由でルーティングし、WireGuard サーバーをデフォルトゲートウェイとして使用します。
      • Endpoint:サーバーのホスト名または IP アドレスとポートを設定します。クライアントはこの情報を使用して接続を確立します。
      • オプションの persistent-keepalive パラメーターは、WireGuard がサーバーにキープアライブパケットを送信する間隔を秒単位で定義します。ネットワークアドレス変換 (NAT) を使用するネットワークでクライアントを使用する場合、またはしばらく非アクティブにした後にファイアウォールが UDP 接続を閉じる場合は、このパラメーターを設定します。
  3. WireGuard 接続を有効にして起動します。

    # systemctl enable --now wg-quick@wg0

    systemd インスタンス名は、/etc/wireguard/ ディレクトリーの設定ファイル名に、.conf の接尾辞を付けずに、同じ名前にする必要があります。このサービスは、仮想ネットワークインターフェイスにもこの名前を使用します。

検証

  1. サーバーの IP アドレスの ping を実行します。

    # ping 192.0.2.1
    # ping6 2001:db8:1::1
  2. wg0 デバイスのインターフェイス設定を表示します。

    # wg show wg0
    interface: wg0
      public key: bnwfQcC8/g2i4vvEqcRUM2e6Hi3Nskk6G9t4r26nFVM=
      private key: (hidden)
      listening port: 51820
    
    peer: UtjqCJ57DeAscYKRfp7cFGiQqdONRn69u249Fa4O6BE=
      endpoint: server.example.com:51820
      allowed ips: 192.0.2.1/32, 2001:db8:1::1/128
      latest handshake: 1 minute, 41 seconds ago
      transfer: 824 B received, 1.01 KiB sent
      persistent keepalive: every 20 seconds

    出力で秘密鍵を表示するには、WG_HIDE_KEYS=never wg show wg0 コマンドを使用します。

    VPN トンネルを介してトラフィックを送信している場合は、latest handshake エントリーと transfer エントリーのみが含まれることに注意してください。

  3. wg0 デバイスの IP 設定を表示します。

    # ip address show wg0
    10: wg0: <POINTOPOINT,NOARP,UP,LOWER_UP> mtu 1420 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000
        link/none
        inet 192.0.2.2/24 scope global wg0
           valid_lft forever preferred_lft forever
        inet6 2001:db8:1::2/32__ scope global
           valid_lft forever preferred_lft forever

関連情報

  • man ページの wg(8)
  • wg-quick(8) の man ページ