第1章 High Availability Add-On の概要

High Availability Add-On は、基幹実稼働サービスに、信頼性、スケーラビリティー、および可用性を提供するクラスターシステムです。

クラスターは、連携してタスクを実行する 2 つ以上のコンピューター (ノード または メンバー と呼ばれています) を指します。クラスターを使用すると、可用性の高いサービスまたはリソースを提供できます。複数のマシンによ r 冗長性は、様々な障害から保護するために使用されます。

高可用性クラスターは、単一障害点を排除し、ノードが稼働しなくなった場合に、あるクラスターノードから別のクラスターノードにサービスをフェイルオーバーして、可用性が高いサービスを提供します。通常、高可用性クラスターのサービスは、(read-write でマウントされたファイルシステム経由で) データの読み取りや書き込みを行います。したがって、あるクラスターノードが別のクラスターノードからサービスの制御を引き継ぐ際に、高可能性クラスターでデータ整合性を維持する必要があります。高可用性クラスター内のノードの障害は、クラスター外にあるクライアントからは確認できません。また、高可用性クラスターはフェイルオーバークラスターと呼ばれることがあります。 High Availability Add-On は、高可用性サービス管理コンポーネントの Pacemaker を介して、高可用性クラスタリングを提供します。

Red Hat は、Red Hat 高可用性クラスターの計画、設定、保守に関する多様なドキュメントを提供しています。Red Hat クラスターのさまざまな分野に関するドキュメントのガイド付きインデックスを提供する記事リストについては、Red Hat High Availability Add-On Documentation Guide を参照してください。

1.1. High Availability Add-On コンポーネント

Red Hat High Availability Add-On は、高可用性サービスを提供する複数のコンポーネントで構成されます。

High Availability Add-On の主なコンポーネントは以下のとおりです。

  • クラスターインフラストラクチャー - クラスターとして連携するように、ノード群に基本的な機能 (設定ファイル管理、メンバーシップ管理、ロック管理、およびフェンシング) を提供します。
  • 高可用性サービス管理 - 1 つのクラスターノードが動作不能になった場合は、そのクラスターノードから別のノードにサービスのフェイルオーバーを提供します。
  • クラスター管理ツール - High Availability Add-On のセットアップ、設定、および管理を行うツール。このツールは、クラスターインフラストラクチャーのコンポーネント、高可用性およびサービス管理のコンポーネント、ならびにストレージで使用されます。

以下のコンポーネントで、High Availability Add-On を補完できます。

  • Red Hat GFS2 (Global File System 2) - Resilient Storage Add-On に同梱され、High Availability Add-On で使用するクラスターファイルシステムを提供します。GFS2 により、ストレージがローカルで各クラスターノードに接続されているかのように、ブロックレベルにおいて、複数ノードでストレージを共有できるようになります。GFS2 クラスターファイルシステムを使用する場合は、クラスターインフラストラクチャーが必要になります。
  • LVM ロッキングデーモン (lvmlockd) - Resilient Storage Add-On に同梱され、クラスターストレージのボリューム管理を提供します。lvmlockd に対応するには、クラスターインフラストラクチャーも必要になります。
  • HAProxy - レイヤー 4 (TCP) およびレイヤー 7 (HTTP および HTTPS) サービスで高可用性負荷分散とフェイルオーバーを提供するルーティングソフトウェアです。