GNOME デスクトップ環境のスタートガイド

Red Hat Enterprise Linux 9

Red Hat Enterprise Linux 9 で GNOME デスクトップ環境を使い始める

Red Hat Customer Content Services

概要

本書では、RHEL 9 で利用可能な唯一のデスクトップ環境である GNOME 3 を使用する方法を説明します。GNOME Shell や特定の GNOME アプリケーションの使い方の基本を説明しています。

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。まずは、マスター (master)、スレーブ (slave)、ブラックリスト (blacklist)、ホワイトリスト (whitelist) の 4 つの用語の置き換えから始めます。この取り組みは膨大な作業を要するため、今後の複数のリリースで段階的に用語の置き換えを実施して参ります。詳細は、Red Hat CTO である Chris Wright のメッセージ をご覧ください。

Red Hat ドキュメントへのフィードバック (英語のみ)

Red Hat ドキュメントに関するご意見やご感想をお寄せください。また、改善点があればお知らせください。

Jira からのフィードバック送信 (アカウントが必要)

  1. Jira の Web サイトにログインします。
  2. 上部のナビゲーションバーで Create をクリックします。
  3. Summary フィールドにわかりやすいタイトルを入力します。
  4. Description フィールドに、ドキュメントの改善に関するご意見を記入してください。ドキュメントの該当部分へのリンクも追加してください。
  5. ダイアログの下部にある Create をクリックします。

第1章 GNOME 環境の概要

GNOME では、複数のユーザーインターフェイスとグラフィックスバックエンドを切り替えることができます。

重要

GNOME が正しく機能するには、システムが 3D アクセラレーション をサポートしている必要があります。これには、ベアメタルシステムだけでなく、VMWare などのハイパーバイザーソリューションも含まれます。

VMWare 仮想マシンで GNOME が起動しない場合、または GNOME のパフォーマンスが低下する場合は、こちらのソリューションを参照してください。Why does the GUI fail to start on my VMware virtual machine?

1.1. GNOME 環境、バックエンド、およびディスプレイプロトコル

RHEL 9 では、2 つの利用可能な GNOME 環境があります。

  • GNOME Standard
  • GNOME クラシック

どちらの環境も、グラフィカルバックエンドとして 2 つのプロトコルを使用できます。

  • Wayland プロトコル (GNOME ShellWayland コンポジターおよびディスプレイサーバーとして使用)

    ディスプレイサーバーに関するこのソリューションは、Wayland の GNOME Shell と呼ばれています。

  • X11 プロトコル (X.Org をディスプレイサーバーとして使用)

RHEL 9 のデフォルトの組み合わせは、Wayland の GNOME Shell を使用した GNOME 標準環境です。ただし、Wayland の一部の制限により、グラフィックプロトコルスタックを X11 に切り替える場合があります。GNOME Standard から GNOME クラシックに切り替えることもできます。

つまり、ログイン時に以下のバックエンドと環境の組み合わせから選択できます。

  • Wayland 上の GNOME Shell (RHEL 9 のデフォルトの組み合わせ)
  • X11 上の GNOME Shell
  • Wayland 上の GNOME クラシック
  • X11 上の GNOME クラシック

関連情報

1.2. GNOME Standard

GNOME Standard ユーザーインターフェイスには、以下の主なコンポーネントが含まれます。

トップバー
画面最上部にあるこの水平バーからは、アクティビティー画面、時計およびカレンダー、システムステータスアイコン、および システムメニュー など、GNOME Standard の基本的な機能の一部にアクセスできます。
システムメニュー

System menu

システムメニュー は右上隅にあり、次の機能を提供します。

  • 設定の更新
  • 音量調節
  • Wi-Fi 接続へのアクセス
  • ユーザーの切り替え
  • ログアウト
  • コンピューターの電源オフ
アクティビティー画面

アクティビティー画面 は、アプリケーションやウィンドウを実行したり、それらの切り替えを行うことのできるウィンドウおよびアプリケーションビューを特長としています。

上部の search entry (検索ワードを入力) からは、アプリケーション、ドキュメント、ファイルおよび設定ツールなどのデスクトップ上で利用可能な各種の項目を検索できます。

下部の水平バーには、お気に入りの実行中のアプリケーションのリストが含まれています。デフォルトのお気に入りリストからアプリケーションを追加または削除できます。

メッセージトレイ
メッセージトレイ では、保留中の通知にアクセスできます。Super+M を押すと、message tray が表示されます。

GNOME 標準デスクトップ

gnome standard 9

1.3. GNOME クラシック

GNOME Classic は、RHEL 6 で使用される GNOME 2 環境に類似した従来のデスクトップエクスペリエンスを好むユーザー向けのモードを表しています。これは GNOME 3 テクノロジーに基づいておいて、GNOME 2 に似た機能が複数含まれます。

GNOME クラシックユーザーインターフェイスは、次の主なコンポーネントから成ります。

アプリケーションおよび場所

画面の左上隅に Applications メニューが表示されます。カテゴリーに整理されたアプリケーションにアクセスできます。ウィンドウの概要を有効にすると、そのメニューから アクティビティーの概要 を開くこともできます。

場所メニューは、トップバーの アプリケーション メニューの横に表示されます。DownloadsPictures などの重要なフォルダーにすばやくアクセスできます。

タスクバー

タスクバー は画面下部に表示されます。以下の機能が含まれます。

  • ウィンドウリスト
  • ウィンドウリストの横に表示される通知アイコン
  • 通知アイコンの横に表示される現在のワークスペースの短い識別子、および利用可能なワークスペースの合計数
4 つの使用可能なワークスペース
GNOME Classic では、使用可能なワークスペースの数はデフォルトで 4 に設定されています。
最小化ボタンおよび最大化ボタン
GNOME クラシックのウィンドウのタイトルバーは、ウィンドウリストに対してウィンドウを簡単に最小化したり、デスクトップ上のすべてのスペースを占めるようにウィンドウを最大化したりすることを可能にする最小化ボタンおよび最大化ボタンを特長としています。
従来の Super+Tab によるウィンドウ切り替え
GNOME クラシックでは、ウィンドウスイッチャー Super+Tab で表示されるウィンドウは、アプリケーションごとにグループ化されません。
システムメニュー

システムメニュー は右上隅にあり、以下のアクションを有効にします。

  • 設定の更新
  • 音量調節
  • Wi-Fi 接続へのアクセス
  • ユーザーの切り替え
  • ログアウト
  • コンピューターの電源オフ

アプリケーションメニューのお気に入りサブメニューを備えた GNOME クラシックデスクトップ

gnome classic 9

1.4. GNOME クラシックでウィンドウの概要を有効にする

GNOME クラシックでは、開いているウィンドウの概要はデフォルトでは使用できません。この手順により、システム上のすべてのユーザーのウィンドウの概要が有効になります。

重要

この手順でウィンドウの概要を有効にしても、永続的な変更ではありません。gnome-classic-session パッケージを更新するたびに、設定ファイルがデフォルト設定に上書きされ、ウィンドウの概要が無効になります。

ウィンドウの概要を有効にしておくには、gnome-classic-session を更新するたびに手順を適用してください。

手順

  1. root ユーザーとして /usr/share/gnome-shell/modes/classic.json ファイルを開きます。
  2. ファイルで次の行を探します。

    "hasOverview": false
  3. その行を次のように変更します。

    "hasOverview": true
  4. 変更を保存し、/usr/share/gnome-shell/modes/classic.json ファイルを閉じます。
  5. ユーザーセッションを再起動します。

検証手順

  1. GNOME クラシックセッションで、複数のウィンドウを開きます。
  2. Super キーを押して、ウィンドウの概要を開きます。
  3. その概要で、次を確認します。

    • Dash (画面下部の水平パネル) が表示されます。
    • 下部のパネルは表示されません。

    hasOverview: true を使用したウィンドウの概要

    Window overview with "hasOverview": true

    デフォルト設定 ("hasOverview": false) では、概要に次の機能があります。

    • ダッシュ は表示されません。
    • 下のパネルが表示されます。左側には ウィンドウピッカー ボタンがあり、右側にはワークスペーススイッチャーがあります。

    hasOverview": false を使用したウィンドウの概要

    Window overview with "hasOverview": false

1.5. RHEL 9 でのグラフィックスバックエンド

RHEL 9 では、グラフィカルユーザーインターフェイスを構築するプロトコルを 2 つ使用できます。

Wayland
Wayland プロトコルは、GNOME Shell コンポジターおよびディスプレイサーバーとして使用します。これはさらに Wayland の GNOME Shell として参照されます。
X11
X11 プロトコルは、X.Org をディスプレイサーバーとして使用します。このプロトコルに基づいたグラフィックスの表示は、オプションでしかなかった RHEL 7 と同じように機能します。

RHEL 9 の新規インストールでは Wayland の GNOME Shell が自動的に選択されます。ただし、X.Org に切り替えたり、GNOME 環境とディスプレイサーバーを必要な組み合わせで選択することは可能です。

X11 アプリケーション

クライアントアプリケーションは、Wayland プロトコルにポートする必要があり、GTK などの Wayland バックエンドを持つグラフィカルツールキットを使用して、Wayland に基づいたコンポジターおよびディスプレイサーバーとネイティブに動作できるようにします。

Wayland に移植できないレガシーな X11 アプリケーションは、Xwayland を、X11 レガシークライアントと Wayland コンポジターとの間のプロキシーとして自動的に使用します。Xwayland は、X11 サーバーと Wayland クライアントの両方として機能します。Xwayland のロールは、X11 のレガシーアプリケーションが、Wayland に基づいたディスプレイサーバーと連携するように、X11 プロトコルから Wayland プロトコルへ、または Wayland プロトコルから X11 プロトコルへ変換します。

GNOME Shell on Wayland では、ログイン時に Xwayland が自動的に起動するため、GNOME Shell on Wayland の使用時にほとんどの X11 レガシーアプリケーションが期待通りに動作することが保証されます。ただし、X11 プロトコルと Wayland プロトコルは異なり、X11 に固有の機能に依存する特定のクライアントは、Xwayland では動作が異なる場合があります。このような特定のクライアントの場合は、X.Org ディスプレイサーバーに切り替えることができます。

入力デバイス

RHEL 9 は、統合入力スタック libinput を使用して、マウス、タッチパッド、タッチスクリーン、タブレット、トラックボール、ポインティングスティックなど、共通するすべてのデバイスタイプを管理します。この統合スタックは、X.Org および GNOME Shell on Wayland コンポジターの両方に使用されます。

GNOME Shell on Wayland は、すべてのデバイスに直接 libinput を使用し、切り替え可能なドライバーサポートは利用できません。X.Org では、libinputX.Orglibinput ドライバーとして実装されています。libinput が入力デバイスをサポートしていない場合、オプションでレガシー X.Orgevdev ドライバーを有効にすることが可能です。

関連情報

  • Wayland が利用できない環境の現在のリストは、/usr/lib/udev/rules.d/61-gdm.rules ファイルで確認できます。
  • Wayland プロジェクトの詳細は、Wayland ドキュメント を参照してください。

1.6. GNOME 環境およびディスプレイプロトコルの選択

RHEL 9 のデフォルトのデスクトップ環境は、ディスプレイサーバーとして GNOME Shell on Wayland を備えた GNOME Standard です。ただし、Wayland には特定の制限があるため、グラフィックプロトコルスタックの切り替えが必要になる場合があります。また、GNOME Standard から GNOME クラシックへの切り替えが必要になる可能性もあります。

GNOME 環境とグラフィックスプロトコルスタックの変更は、ユーザーのログアウト後も、コンピューターの電源を切ったり再起動したりしても持続します。

手順

  1. ログイン画面 (GDM) から、画面右下の歯車ボタンをクリックします。

    注記

    ロック画面からはこのオプションにアクセスできません。最初に RHEL を起動するか、現在のセッションからログアウトすると、ログイン画面が表示されます。

    gnome environments 9

  2. 表示されるドロップダウンメニューから、オプションを選択します。

    メニューでは、X.Org ディスプレイサーバーも X11 としてマークされています。

1.7. すべてのユーザーの Wayland を無効にする

システム上のすべてのユーザーの Wayland セッションを無効にして、ユーザーが常に X11 セッションでログインできるようにすることができます。

手順

  1. /etc/gdm/custom.conf ファイルを root ユーザーとして開きます。
  2. ファイルの [daemon] セクションで次の行を見つけます。

    #WaylandEnable=false
  3. # 文字を削除して、行のコメントを解除します。その結果、次のようになります。

    WaylandEnable=false
  4. システムを再起動します。

第2章 GNOME でのアプリケーションの起動

GNOME デスクトップ環境では、複数の異なる方法を使用して、インストールされたアプリケーションを起動できます。

2.1. 標準の GNOME セッションでのアプリケーションの起動

この手順では、GNOME デスクトップ環境でグラフィカルアプリケーションを起動します。

前提条件

  • 標準の GNOME セッションを使用している。

手順

  1. 以下のいずれかの方法で、Activities Overview 画面を開きます。

    • 上部パネルで Activities をクリックします。
    • スーパーキー (通常は、Windows ロゴのラベル) または🔍を押します。
  2. 以下の方法のいずれかを使用してアプリケーションを見つけます。

    • 下部の水平バーの Show Applications アイコンをクリックします。

      GNOME の Activities Overview
    • 検索エントリーに必要なアプリケーションの名前を入力します。
  3. 表示されるリストでアプリケーションをクリックします。

2.2. GNOME クラシックでのアプリケーションの起動

この手順では、GNOME Classic デスクトップ環境でグラフィカルアプリケーションを起動します。

前提条件

  • GNOME Classic セッションを使用している。

手順

  1. 上部パネルで Applications メニューを開きます。
  2. 利用可能なカテゴリーの 1 つから必要なアプリケーションを選びます。これには以下が含まれます。

    • お気に入り
    • アクセサリー
    • グラフィック
    • インターネット
    • オフィス
    • サウンドとビデオ
    • システムのツール
    • ユーティリティー

2.3. コマンドを使用した GNOME でのアプリケーションの起動

この手順では、コマンドを入力して GNOME でグラフィカルアプリケーションを起動します。

前提条件

  • アプリケーションを起動するコマンドを知っている必要があります。

手順

  1. 以下のいずれかの方法でコマンドプロンプトを開きます。

    • 端末プログラムを開きます。
    • Alt+F2 ショートカットを押して、コマンドの入力 画面を開きます。

      コマンドの入力画面
  2. コマンドプロンプトでアプリケーションコマンドを入力します。
  3. Enter を押して、コマンドを確認します。

2.4. ログイン時のアプリケーション自動起動

Tweaks ツールを使用して、ログイン時に自動的に起動するようにアプリケーションを設定できます。Tweaks は、特定ユーザーの GNOME Shell 環境をカスタマイズするツールです。

前提条件

  • システムに gnome-tweaks がインストールされている。詳細は GNOME でのソフトウェアインストール を参照してください。
  • ログイン時に起動するアプリケーションをインストールしている。

手順

  1. Tweak を開きます。詳細は GNOME でのアプリケーションの起動 を参照してください。
  2. 左側のバーで Startup Applications を選択します。

    Select Startup Applications

  3. プラス記号のボタン (+) をクリックします。

    Click plus sign button

  4. 利用可能なアプリケーション一覧からアプリケーションを選択し、Add をクリックします。

    Add application

検証

  1. Tweak を開きます。
  2. 左側のバーで Startup Applications を選択します。
  3. 起動時に起動されたアプリケーションの一覧が、中央のセクションに表示されます。

    Select Startup Applications

関連情報

第3章 GNOME Shell のホットコーナー機能の無効化

GNOME 環境は、デフォルトで有効になっているホットコーナー機能を提供します。つまり、カーソルを左上隅の領域に移動してカーソルを画面隅にプッシュすると、Activities Overview メニューが自動的に開きます。

ただし、この機能を無効にして、アクティビティーの概要 を誤って開かないようにすることができます。

3.1. 設定を使用したホットコーナーの無効化

Settings アプリケーションを使用してホットコーナー機能を無効にするには、以下の手順に従います。

注記

この手順では、1 人の ユーザーのホットコーナー機能を無効にします。

手順

  1. 歯車ボタンをクリックして、Settings アプリケーションを開きます。
  2. Settings アプリケーションで Multitasking に移動します。
  3. General セクションで、Hot Corner ボタンを無効にします。

    Settings アプリケーションを使用したホットコーナーの無効化

    disabling hot corner using settings

3.2. gsettings を使用してホットコーナーの無効化

gsettings コマンドラインユーティリティーを使用してホットコーナー機能を無効にするには、次の手順を実行します。

手順

  • ホットコーナー機能を無効にします。

    $ gsettings set org.gnome.desktop.interface enable-hot-corners false

検証手順

  • 必要に応じて、ホットコーナー機能が無効になっていることを確認します。

    $ gsettings get org.gnome.desktop.interface enable-hot-corners
    
    false

3.3. すべてのユーザーのホットコーナー機能の無効化

すべてのユーザーのホットコーナー機能を無効にするには、dconf プロファイルを作成する必要があります。

手順

  1. /etc/dconf/profile/user ファイルにユーザープロファイルを作成します。

    user-db:user
    system-db:local
  2. 以下の内容で /etc/dconf/db/local.d/locks/00-interface ファイルを作成します。

    # Specify the dconf path
    [org/gnome/desktop/interface]
    
    # GSettings key names and their corresponding values
    enable-hot-corners='FALSE'
  3. 以下の内容で、/etc/dconf/db/local.d/locks ディレクトリーにファイルを作成します (例: /etc/dconf/db/local.d/locks/00-interface)。

    # Prevent users from changing values for the following keys:
    /org/gnome/desktop/interface/enable-hot-corners

    設定ファイルは、すべてのユーザーの /org/gnome/desktop/interface/enable-hot-corners キーをロックします。このキーは、ホットコーナーを有効にするかどうかを制御します。

  4. システムデータベースを更新して、変更を適用します。

    # dconf update
  5. すべてのユーザーがログアウトしていることを確認します。ユーザーが再度ログインすると、変更が有効になります。

第4章 GNOME でのファイルの検索

GNOME 環境のユーザーとして、Files アプリケーションを使用してファイルを検索できます。

4.1. 基本的なファイル検索の実行

GNOME でファイルを検索できます。この基本的な検索では、ファイル名に基づいて、ホームディレクトリーとその中のすべてのフォルダー内のファイルを検索します。

手順

  1. Files アプリケーションを開きます。
  2. Search ボタンを押します。
  3. テキストフィールドに、検索するファイル名またはファイル名の一部を入力します。

    ファイル名による基本的な検索
  4. ウィンドウには、ファイル名に一致するホームディレクトリー内のすべてのファイルが一覧表示されます。

4.2. ファイルの詳細検索の実行

GNOME でファイルを検索できます。この詳細検索では、ファイル名、アクセス時刻、変更時刻、ファイルタイプに基づいて、特定の場所にあるファイルを検索します。

手順

  1. Files アプリケーションを開きます。
  2. ファイルを検索するフォルダーに移動します。

    この検索では、この場所に含まれるすべてのフォルダーを再帰的に検索します。

  3. Search ボタンを押します。
  4. 必要に応じて、テキストフィールドに検索するファイル名またはファイル名の一部を入力します。

    ファイル名を指定しない場合は、ファイル名に関係なく、他の条件に一致するすべてのファイルが一覧表示されます。

    ファイル名による基本的な検索
  5. テキストフィールドの横の三角ボタンをクリックします。

    このメニューでは、他の検索条件を選択できます。

    検索メニュー
  6. アクセスまたは変更時刻を指定するには、When ラベルの横にある Select dates… をクリックします。日付を入力するか、リストから時刻を選択します。

    時刻の一覧の下で、Last modifiedLast used を切り替えることができます。

    時刻の条件
  7. ファイルタイプを指定するには、What ラベルの横にある Anything をクリックします。一覧からファイルタイプを選択します。

    ファイルタイプの基準
  8. ファイルのコンテンツまたはファイル名に基づいて検索を切り替えるには、それぞれ Full Text ボタンと File Name ボタンを使用します。

    注記

    フルテキスト検索は、インデックス化された場所でのみ有効です。Settings アプリケーションの Search セクションで、インデックス化された場所を設定できます。

  9. テキストフィールドの横の三角ボタンをクリックすると、メニューが非表示になります。
  10. ウィンドウには、検索条件に一致する指定したディレクトリーのすべてのファイルが一覧表示されます。

第5章 ファイルと場所のブックマーク

GNOME では、ファイルを管理するアプリケーションとダイアログは、左側のサイドバーにブックマークをリストします。ブックマークは追加、削除、編集できます。

5.1. ブックマークの追加

Files アプリケーションでフォルダーをブックマークすることにより、フォルダーへの参照を保存できます。

前提条件

  • Files アプリケーションでフォルダーを見つけます。

手順

  • 次のいずれかの方法を使用して、フォルダーをブックマークに追加します。

    • ドラッグする方法

      1. フォルダーを左側のサイドバーにドラッグします。
      2. New bookmark 項目の上にドロップします。
    • キーボードショートカットを使用する方法

      1. フォルダーを開きます。
      2. Ctrl+D を押します。
    • メニューの使用する方法

      1. フォルダーを開きます。
      2. ウィンドウの上部にあるナビゲーションバーで、フォルダーの名前をクリックします。

        ブックマークメニュー
      3. Add to Bookmarks を選択します。

検証

  • ブックマークがサイドバーに表示されることを確認します。

5.2. ブックマークの削除

Files アプリケーションで既存のブックマークを削除できます。

手順

  1. サイドバーのブックマークを右クリックします。
  2. メニューから Remove を選択します。

    ブックマークメニューを削除する

検証

  • ブックマークがサイドバーに表示されなくなったことを確認します。

5.3. ブックマークの名前の変更

ブックマークの名前を変更して、他のブックマークと区別できます。複数のフォルダーに同じ名前のブックマークがある場合は、名前を変更するとブックマークを区別できます。

ブックマークの名前を変更しても、フォルダーの名前は変更されません。

手順

  1. サイドバーのブックマークを右クリックします。
  2. Rename… を選択します。

    ブックマークメニューの名前を変更する
  3. Name フィールドに、ブックマークの新しい名前を入力します。

    ブックマークの名前フィールド
  4. Rename をクリックします。

検証

  • サイドバーに新しい名前でブックマークがリストされていることを確認します。

    ブックマークの名前が変更されました

5.4. すべてのユーザーのブックマーク追加

システム管理者は、一度に複数のユーザーのブックマークを設定して、すべてのユーザーがファイル共有に簡単にアクセスできるようにすることができます。

手順

  1. 既存の各ユーザーのホームディレクトリーで、~user/.config/gtk-3.0/bookmarks ファイルを編集します。
  2. ファイルに、ブックマークを識別する Uniform Resource Identifiers (URI) 行を追加します。

    たとえば、次の行はブックマークを /usr/share/doc/ ディレクトリーと GNOME FTP ネットワーク共有に追加します。

    file:///usr/share/doc/
    ftp://ftp.gnome.org/
  3. オプション: システム上で新しく作成されたすべてのユーザーのブックマークも追加するには、次の手順を実行します。

    1. /etc/skel/.config/gtk-3.0/bookmarks ファイルを作成します。
    2. ファイルにブックマーク URI 行を入力します。

第6章 絵文字の入力

GNOME では、アプリケーションのタイプに応じて、複数の異なる方法で絵文字を入力できます。

6.1. GTK アプリケーションでの絵文字の入力

この手順では、ネイティブの GNOME アプリケーションなど、GTK グラフィカルツールキットを使用するアプリケーションで絵文字を挿入します。

前提条件

  • アプリケーションが GTK ツールキットでビルドされていることを確認します。

手順

  1. GTK アプリケーションを開きます。
  2. テキストフィールドがアクティブであることを確認します。
  3. Ctrl+; を押します。

    絵文字選択メニューが開きます。

  4. 文字を参照するか、挿入する絵文字を識別するキーワード (smile など) を入力します。

    絵文字に関連付けられたキーワードの全リストは、Emoji List ページの Other Keywords 列を参照してください。

  5. 選択した文字をクリックするか、カーソルキーを使用してその文字に移動し、Enter を押します。

検証

  • 目的の絵文字がカーソルに表示されることを確認します。

6.2. 任意のアプリケーションでの絵文字の入力

この手順では、アプリケーションが使用するグラフィカルツールキットに関係なく、すべてのアプリケーションで絵文字を挿入します。

手順

  1. アプリケーションを開きます。
  2. テキストフィールドがアクティブであることを確認します。
  3. Ctrl+. を押します。

    カーソルに下線が引かれた e が表示されます。

  4. 挿入する絵文字を識別するキーワード (smile など) を入力します。

    絵文字に関連付けられたキーワードの全リストは、Emoji List ページの Other Keywords 列を参照してください。

  5. Space を繰り返し押して、キーワードに一致する絵文字を参照します。
  6. Enter を押して、選択した絵文字を確認します。

検証

  • 目的の絵文字がカーソルに表示されることを確認します。

第7章 中国語、日本語、または韓国語の文字入力の有効化

中国語、日本語、または韓国語の文字を使用する場合には、お使いの言語で文字入力ができるように RHEL を設定できます。

7.1. 入力メソッド

中国語、日本語、韓国語などの特定の文字では、ネイティブテキストの入力にインプットメソッドエディター (IME) が必要です。

入力メソッドは、テキスト入力と選択した文字の間の変換ルールのセットです。IME は、入力メソッドで指定した入力変換を実行するソフトウェアです。

上記の文字でテキストを入力するには、IME を設定する必要があります。お使いの言語でシステムをインストールし、GNOME 初期セットアップ 画面でその言語を選択すると、言語の入力メソッドがデフォルトで有効になります。

7.2. 利用可能なインプットメソッドエンジン

以下のインプットメソッドエンジン (IME) は、記載のパッケージから RHEL で利用できます。

表7.1 利用可能なインプットメソッドエンジン

言語文字IME 名パッケージ

中国語

簡体字中国語

Intelligent Pinyin

ibus-libpinyin

中国語

繁体字中国語

New Zhuyin

ibus-libzhuyin

日本語

漢字、ひらがな、カタカナ

Anthy

ibus-anthy

韓国語

ハングル

ハングル

ibus-hangul

その他

Various

M17N

ibus-m17n

7.3. インプットメソッドエンジンのインストール

この手順では、中国語、日本語、および韓国語の入力に使用可能なインプットメソッドエンジン (IME) をインストールします。

手順

  • 利用可能な入力メソッドパッケージをすべてインストールします。

    # dnf install @input-methods

7.4. GNOME での入力方法の切り替え

この手順では、中国語、日本語、韓国語などの文字の入力メソッドを設定します。

前提条件

  • 入力メソッドパッケージがインストールされている。

手順

  1. 画面右上からアクセスできる システムメニュー に移動し、設定 をクリックします。

    System menu

  2. Keyboard セクションを選択します。
  3. 入力ソース リストで、現在有効な入力メソッドを確認します。

    入力ソース
  4. 入力メソッドがない場合は、以下を行います。

    1. Input Sources リストの + ボタンをクリックします。

      入力ソースの追加
    2. 言語を選択します。

      言語メニュー
      注記

      メニューで言語が見つからない場合は、メニューの最後にある 3 つの点のアイコン (More…) をクリックします。

    3. 使用する入力メソッドを選択します。歯車アイコンは、全インプットメソッドにマークを付けて、シンプルなキーボードレイアウトと区別します。

      入力メソッドメニュー
    4. Add をクリックして、選択を確定します。
  5. 以下のいずれかの方法で、有効な入力メソッドを切り替えます。

    • 上部パネルの右側にある入力メソッドインジケーターをクリックし、入力メソッドを選択します。

      入力メソッドインジケーター
    • Super+Space キーボードショートカットを使用して、有効な入力メソッドを切り替えます。

検証

  1. テキストエディターを開きます。
  2. お使いの言語でテキストを入力します。
  3. お使いの言語でテキストが表示されることを確認します。

第8章 GNOME Screen Recording

GNOME Screen Recording は、GNOME デスクトップ環境のビルトイン機能です。これを使用すると、デスクトップや特定のアプリケーションのアクティビティーを記録できます。レコーディングは WebM 形式のビデオファイルとして保存されます。

手順

  1. レコーディングを開始するには、Ctrl+Alt+Shift+R キーボードショートカットを押します。

    レコーディングが開始すると、画面の右上隅に赤い円のインジケーターが表示されます。これはレコーディングがアクティブであることを示します。

  2. レコーディングを停止するには、Ctrl+Alt+Shift+R キーボードショートカットをもう一度押します。

    赤い丸のインジケーターが消えます。これはレコーディングが終了したことを示します。

記録されたビデオファイルは ~/Videos ディレクトリーに保存されます。記録されたビデオのファイル名は Screencast で始まります。名前にはレコーディングの日付と時刻が含まれます。

第9章 GNOME でのエンタープライズ認証情報による認証の有効化

職場で Active Directory または IPA というシステムを使用していて、そのアカウントをお持ちの場合は、そのアカウントを使用して GNOME デスクトップ環境にログインできます。

エンタープライズ認証情報を使用してログインすると、一元的なアカウント管理を実現し、仕事関連のリソースへのアクセスを効率化して、Single Sign-On (SSO) の利便性を得ることができます。

9.1. GNOME でのエンタープライズ認証情報の設定

Settings を使用して、エンタープライズ認証情報を使用するようにシステムを設定できます。

手順

  1. Settings を開きます。
  2. Online Accounts をクリックします。
  3. Enterprise Login (Kerberos) を選択します。
  4. Principal フィールドに、ドメインのユーザー名を username@domain.com の形式で入力します。
  5. Connect をクリックします。
  6. エンタープライズパスワードを入力し、Continue をクリックします。

    ドメインの設定によっては、ドメイン管理者の認証情報の入力を求められる場合があります。

9.2. GNOME でのエンタープライズユーザーの追加

Settings を使用してエンタープライズユーザーを GNOME に追加できます。

前提条件

手順

  1. Settings を開きます。
  2. Users をクリックします。
  3. Unlock ボタンを選択し、パスワードを入力します。
  4. Add User をクリックします。
  5. Enterprise Login を選択します。
  6. エンタープライズアカウントのドメイン、ユーザー名、パスワードを入力します。
  7. Add をクリックします。

    ドメイン設定によっては、管理者の認証情報の入力が必要になる場合があります。

9.3. エンタープライズ認証情報を使用した GNOME へのログイン

お使いのネットワークで Active Directory または IPA ドメインが利用可能で、ドメインアカウントをお持ちの場合は、エンタープライズ認証情報を使用して GNOME にログインできます。

手順

  • GNOME ログインプロンプトで、ドメインユーザー名、@ 記号、ドメイン名を入力します。

    username@domain.com

9.4. 関連情報

  • トラブルシューティングについては、realm man ページを参照してください。

第10章 シングルユーザーとしてデスクトップにリモートからアクセス

グラフィカル GNOME アプリケーションで、RHEL サーバー上のデスクトップにリモートから接続できます。一度に 1 人のユーザーのみが、サーバーのデスクトップに接続できます。

10.1. GNOME を使用したサーバーでのデスクトップ共有の有効化

この手順では、1 台のクライアントからリモートデスクトップ接続を有効にするように RHEL サーバーを設定します。

前提条件

  • GNOME リモートデスクトップサービスがインストールされている。

    # dnf install gnome-remote-desktop

手順

  1. サーバーへの VNC アクセスを有効にするためにファイアウォールルールを設定します。

    # firewall-cmd --permanent --add-service=vnc-server
    success
  2. ファイアウォールルールを再読み込みします。

    # firewall-cmd --reload
    success
  3. GNOME で 設定 を開きます。
  4. 共有 メニューに移動します。

    screen sharing 0

  5. スクリーンの共有 をクリックします。

    画面の共有設定が開きます。

    screen sharing 1 off

  6. ウィンドウヘッダーのスイッチボタンをクリックして、画面の共有を有効にします。

    screen sharing 2 on highlight

  7. Allow connection to control the screen チェックボックスを選択します。
  8. アクセスオプション で、パスワードを要求する オプションを選択します。
  9. Password フィールドにパスワードを設定します。

    サーバー上のデスクトップに接続する場合は、リモートクライアントがこのパスワードを入力する必要があります。

    screen sharing 4 password

10.2. GNOME を使用した共有デスクトップへの接続

この手順では、Connections アプリケーションを使用してリモートデスクトップセッションに接続します。これは、サーバーに現在ログインしているユーザーのグラフィカルセッションに接続します。

前提条件

  • ユーザーがサーバー上の GNOME グラフィカルセッションにログインしている。
  • デスクトップ共有がサーバーで有効になっている。

手順

  1. クライアントに Connections アプリケーションをインストールします。

    # dnf install gnome-connections
  2. Connections アプリケーションを起動します。
  3. + ボタンをクリックして、新しい接続を開きます。

    gnome connections 1

  4. サーバーの IP アドレスを入力します。

    gnome connections 2

  5. 接続するオペレーティングシステムに基づいて接続タイプを選択します。
  6. Connect をクリックします。

検証手順

  1. クライアントで、共有サーバーのデスクトップが表示されていることを確認します。
  2. サーバーで、画面共有インジケーターが上部パネルの右側に表示されます。

    screen sharing indicator 9

    システムメニューで画面共有を制御できます。

10.3. GNOME VNC で暗号化の無効化

暗号化は、GNOME リモートデスクトップソリューションで無効にできます。これにより、サーバーに接続するための暗号化をサポートしない VNC クライアントが有効になります。

手順

  1. サーバーユーザーとして、org.gnome.desktop.remote-desktop.vnc GSettings スキーマの 暗号化 キーを 'none' に設定します。

    $ gsettings set org.gnome.desktop.remote-desktop.vnc encryption "['none']"
  2. オプション: Red Hat は、SSH を介して VNC 接続を VNC ポートにトンネルすることを推奨します。これにより、SSH トンネルは接続を暗号化された状態にします。

    以下に例を示します。

    1. クライアントで、ポート転送を設定します。

      # ssh -N -T -L 5901:server-ip-address:5901 user@server-ip-address
    2. localhost:5901 アドレスの VNC セッションに接続します。

第11章 複数のユーザーとしてデスクトップにリモートアクセス

RHEL サーバーのデスクトップにリモートから接続し、別のユーザーとして複数のセッションを同時に開くことができます。

前提条件

  • VNC サーバーをインストールします。

    # dnf install tigervnc-server
  • VNC クライアントをインストールします。

    # dnf install tigervnc

11.1. VNC でのユーザーへのポートおよび表示番号のマッピング

VNC を使用すると、クライアントはサーバーの異なるユーザーのデスクトップセッションに接続できます。ディスプレイ番号と TCP ポート番号は、VNC セッションをエクスポートする各サーバーユーザーに割り当てられます。クライアントはポート番号を使用して、接続するサーバーユーザーを指定します。

複数のクライアントが同じポート番号を使用して接続している場合は、すべてのクライアントが VNC セッションを同じサーバーユーザーで開きます。

VNC セッションをエクスポートする各サーバーユーザーにマッピングを設定する必要があります。このようなユーザーはすべて、一意のポートとディスプレイ番号を選択する必要があります。

推奨されるマッピング

Red Hat では、最初のユーザーに対してポート番号 5902 およびディスプレイ番号 2 を使い始め、その後のユーザーにはその数を 1 つずつ増やしていくことを推奨します。

ポート番号 5900 およびディスプレイ番号 0 は、現在グラフィカルセッションにログインしているサーバーユーザーを表します。グラフィカルセッションにすでにログインしているユーザーの VNC サーバーを開始することはできません。

表11.1 ポートとディスプレイ番号のペア

ポート番号ディスプレイ番号備考

5900

0

ログインしているユーザー

5901

1

 

5902

2

最初に推奨される VNC ユーザー

5903

3

 

 
重要

Red Hat は、VNC セッションをエクスポートするように root ユーザーを設定しないことを推奨します。root VNC セッションは安全でないため、セッションの特定要素が期待どおりに機能しない可能性があります。

ファイアウォールのルール

ファイアウォール設定で選択したポートを開く必要があります。ファイアウォールで vnc-server サービスを許可すると、5900 から 5903 にポートが開きます。追加のサーバーユーザーへのアクセスを有効にする必要がある場合は、手動でポート番号を指定して 5903 を超えるポートを開く必要があります。

11.2. VNC サーバー設定ファイル

複数の設定ファイルが VNC サーバーの動作に影響します。ユーザーマッピングとさまざまなグローバルオプションを設定できます。

一般的なオプション

VNC サーバーの一般的なオプションは、/etc/tigervnc/vncserver-config-defaults 設定ファイルで設定できます。ファイルは、以下の形式を使用します。

option1=value
option2

以下に例を示します。

session=gnome
alwaysshared
securitytypes=vncauth,tlsvnc
desktop=sandbox
geometry=2000x1200

設定ファイルの優先順位

VNC サーバーは、降順の重要度で、一般オプションに対して以下のファイルを読み込みます。

  1. /etc/tigervnc/vncserver-config-mandatory

    このファイルは、デフォルト設定に置き換わるもので、ユーザー別の設定よりも優先度が高くなります。これは、特定の VNC オプションを適用するシステム管理者を対象としています。

  2. $HOME/.vnc/config

    個々のユーザーは、このファイルでデフォルトの VNC 設定をオーバーライドできます。

  3. /etc/tigervnc/vncserver-config-defaults

    このファイルは、デフォルトの VNC 設定を保管します。

ユーザーマッピング

/etc/tigervnc/vncserver.users 設定ファイルで、ユーザーと関連するポートとディスプレイ番号のマッピングを設定できます。ファイルは、以下の形式を使用します。

:number=user

以下に例を示します。

:2=test
:3=vncuser

関連情報

  • 利用可能な設定オプションのリストは、Xvnc(1) の man ページを参照してください。

11.3. サーバーでマルチユーザー VNC アクセスの有効化

この手順では、複数のユーザーが同時に VNC セッションを開くように RHEL サーバーを設定します。

前提条件

  • systemd ユニットファイルを使用して VNC を設定している場合は、古い VNC 設定を削除します。

    [root]# rm /etc/systemd/system/vncserver@.service

手順

  1. ユーザーをディスプレイとポート番号にぱっします。

    /etc/tigervnc/vncserver.users 設定ファイルで、VNC セッションをエクスポートする各サーバーユーザーに行を追加します。

    :user-number=user-name
    • user-number を、選択した既存ユーザーにマッピングされたポートおよびディスプレイ番号に置き換えます。
    • user-name を、選択した既存ユーザーのユーザー名に置き換えます。

    以下に例を示します。

    :2=vncuser
  2. ファイアウォールで TCP ポート 5900 から 5903 を開きます。

    [root]# firewall-cmd --permanent --add-service=vnc-server
  3. ファイアウォールルールを再読み込みします。

    [root]# firewall-cmd --reload
  4. 以下の行を /etc/tigervnc/vncserver-config-defaults 設定ファイルに追加します。

    session=gnome
    alwaysshared

    この設定には、以下の影響があります。

    • VNC サーバーは、リモートユーザーがログインすると GNOME セッションを開始します。
    • 複数のユーザーが同時に VNC サーバーに接続できます。
  5. VNC セッションをエクスポートする各サーバーユーザーとして、ユーザーの VNC パスワードを設定します。

    [regular-user]$ vncpasswd

    サーバー上のデスクトップに接続する場合は、リモートクライアントがこのパスワードを入力する必要があります。

  6. ユーザーに VNC を設定している場合は、設定ファイルに正しい SELinux コンテキストがあることを確認します。

    [regular-user]$ restorecon -RFv ~/.vnc
  7. 通常ユーザーの VNC サーバーユニットを有効にして起動します。

    [root]# systemctl enable --now vncserver@:user-number
  8. サーバーがプロプライエタリー Nvidia ドライバーを使用する場合は、Wayland を無効にします。

    1. /etc/gdm/custom.conf 設定ファイルの WaylandEnable=False 行のコメントを解除します。
    2. DefaultSession=gnome-xorg.desktop オプションを、設定ファイルの [daemon] セクションに追加します。
    3. サーバーを再起動します。

関連情報

  • 複数のサーバーユーザーへの VNC アクセスを有効にするには、5903 を超える TCP ポートを開きます。詳細は、Opening a port using CLI または Opening ports using GUI を参照してください。

11.4. 複数のユーザーとして VNC サーバーへの接続

この手順では、vncviewer アプリケーションを使用してリモートデスクトップセッションに接続します。リモートデスクトップへの複数の接続を同時に開くことができます。

前提条件

手順

  • VNC サーバーに接続します。

    $ vncviewer --shared server-ip:display
    • server-ip を、接続しているサーバーの IP アドレスに置き換えます。
    • display を、サーバーユーザーが VNC セッションをエクスポートするディスプレイ番号に置き換えます。

第12章 X11 ベースのアプリケーションへのリモートアクセス

RHEL サーバーでグラフィカルな X11 ベースのアプリケーションをリモートから起動し、X11 転送を使用して、リモートクライアントから使用できます。

注記

この手順は、従来の X11 アプリケーション、つまり X11 表示プロトコルをサポートするアプリケーションに有効です。

12.1. サーバーでの X11 転送の有効化

リモートクライアントが SSH 経由でサーバー上のグラフィカルアプリケーションを使用できるように、RHEL サーバーを設定します。

手順

  1. 基本的な X11 パッケージをインストールします。

    # dnf install xorg-x11-xauth xorg-x11-fonts-\* xorg-x11-utils dbus-x11
    注記

    アプリケーションは、追加のグラフィカルライブラリーに依存する場合があります。

  2. /etc/ssh/sshd_config 設定ファイルで X11Forwarding オプションを有効にします。

    X11Forwarding yes

    このオプションは、RHEL ではデフォルトで無効になっています。

  1. sshd サービスを再起動します。

    # systemctl restart sshd.service

12.2. X11 転送を使用したリモートからのアプリケーションの起動

SSH を使用して、リモートクライアントから RHEL サーバー上のグラフィカルアプリケーションにアクセスします。

前提条件

  • そのサーバーで SSH での X11 転送が有効になります。詳細は 「サーバーでの X11 転送の有効化」 を参照してください。
  • X11 ディスプレイサーバーがシステムで実行されていることを確認します。

    • RHEL では、グラフィカルインターフェイスで X11 がデフォルトで利用できます。
    • Microsoft Windows に、Xming などの X11 サーバーをインストールします。
    • macOS に、XQuartz X11 サーバーをインストールします。
  • OpenSSH サーバーを設定および再起動しました。詳しくは、OpenSSH サーバーの設定と開始 を参照してください。

手順

  1. SSH を使用してサーバーにログインします。

    [local-user]$ ssh -X -Y remote-server
    The authenticity of host 'remote-server (192.168.122.120)' can't be established.
    ECDSA key fingerprint is SHA256:uYwFlgtP/2YABMHKv5BtN7nHK9SHRL4hdYxAPJVK/kY.
    Are you sure you want to continue connecting (yes/no/[fingerprint])?
  2. フィンガープリントをチェックして、サーバーキーが有効であることを確認します。

    注記

    サーバーに定期的にログインする場合は、ssh-copy-id コマンドを使用して、ユーザーの公開鍵をサーバーに追加します。

  3. yes と入力して、接続を続行します。

    Warning: Permanently added 'remote-server' (ECDSA) to the list of known hosts.
  4. プロンプトが表示されたら、サーバーのパスワードを入力します。

    local-user's password:
    [local-user ~]$
  5. コマンドラインからアプリケーションを起動します。

    [remote-user]$ application-binary
ヒント

中間ターミナルセッションをスキップするには、次のコマンドを使用します。

$ ssh user@server -X -Y -C binary_application

12.3. 関連情報

第13章 Wayland ベースのアプリケーションへのリモートアクセス

RHEL サーバーでグラフィカルな Wayland ベースのアプリケーションをリモートから起動し、waypipe を使用して、Wayland のリモートクライアントから使用できます。

注記

RHEL 9 に同梱されているデスクトップアプリケーションは、Wayland と X11 ディスプレイプロトコルの両方をサポートしています。ただし、両方が利用可能な場合は、Wayland が推奨されるオプションです。

13.1. クライアントとサーバーで waypipe を有効にする

Wayland で個々のアプリケーションを起動できるようにするには、waypipe パッケージをインストールする必要があります。

前提条件

  • クライアントとサーバーの両方が RHEL 9 オペレーティングシステムを使用します。

手順

  1. waypipe パッケージをローカルシステムにインストールします。

    # dnf install waypipe
  2. waypipe パッケージをリモートシステムにインストールします。

    # dnf install waypipe

13.2. waypip を使用して、アプリケーションをリモートから起動する

SSH と waypipe を使用して、リモートクライアントから RHEL サーバー上の Wayland のグラフィカルアプリケーションにアクセスできます。

注記

この手順は、レガシー X11 アプリケーションでは機能しません。X11 アプリケーションについては、X11 上の個々のアプリケーションへのリモートアクセス を参照してください。

前提条件

  • Wayland ディスプレイサーバーがシステムで実行されています。RHEL 9 では、Wayland コンポジターとしての GNOME がデフォルトです。
  • waypipe パッケージは、クライアントとリモートシステムの両方にインストールされます。
  • アプリケーションは、Wayland でネイティブに実行できます。

手順

  1. waypipe と SSH を介してアプリケーションをリモートから起動します。

    [local-user]$ waypipe -c lz4=9 ssh remote-server application-binary
    
    The authenticity of host 'remote-server (192.168.122.120)' can't be established.
    ECDSA key fingerprint is SHA256:uYwFlgtP/2YABMHKv5BtN7nHK9SHRL4hdYxAPJVK/kY.
    Are you sure you want to continue connecting (yes/no/[fingerprint])?
  2. フィンガープリントをチェックして、サーバーキーが有効であることを確認します。
  3. yes と入力して、接続を続行します。

    Warning: Permanently added 'remote-server' (ECDSA) to the list of known hosts.
  4. プロンプトが表示されたら、サーバーのパスワードを入力します。

    remote-user's password:
    [remote-user]$

13.3. 関連情報

第14章 ネットワーク共有上のファイルの閲覧

サーバーが提供するネットワーク共有に接続し、ローカルファイルのようにサーバー上のファイルを閲覧できます。ファイルブラウザーを使用してファイルをダウンロードまたはアップロードできます。

14.1. ネットワーク共有の GVFS URI 形式

GNOME は GVFS URI 形式を使用して、ネットワーク共有およびそれら上のファイルを参照します。GNOME からネットワーク共有に接続する場合は、次の形式でネットワーク共有のアドレスを指定します。

URL (Uniform Resource Locator) は、ネットワーク上のファイルの場所を参照するアドレス形式です。アドレスは以下のようになります。

基本的な GVFS URI 形式には、以下の構文を使用します。

protocol://server.example.com/folder/file

スキームは、プロトコルまたはサーバーのタイプを指定します。アドレスの example.com 部分はドメイン名と呼ばれます。ユーザー名が必要な場合は、サーバー名の前に挿入されます。

また、ネットワーク共有にユーザー名またはポート番号を指定することもできます。

protocol://user@server.example.com:port/folder/file

表14.1 一般的なネットワーク共有プロトコル

プロトコルGVFS URI の例

SSH

ssh://user@server.example.com/path

NFS

nfs://server/path

Windows SMB

smb://server/Share

WebDAV

dav://example.server.com/path

パブリック FTP

ftp://ftp.example.com/path

認証済み FTP

ftp://user@ftp.example.com/path

14.2. GNOME でのストレージボリュームのマウント

ローカルストレージボリュームまたはネットワーク共有を Files アプリケーションに手動でマウントできます。

手順

  1. Files アプリケーションを開きます。
  2. サイドバーの Other Locations をクリックします。

    ウィンドウには、接続されているすべてのストレージボリュームと、ローカルエリアネットワークで公開されているすべてのネットワーク共有が一覧表示されます。

    このリストにボリュームまたはネットワーク共有が表示される場合は、項目をクリックしてマウントします。

    別のネットワーク共有に接続する場合は、以下の手順に従います。

  3. Connect to Server フィールドで、GVFS URI 文字列をネットワーク共有に入力します。
  4. Connect を押します。
  5. ダイアログでログイン認証情報の入力を求められた場合は、関連するフィールドに名前とパスワードを入力します。
  6. マウントプロセスが完了すると、ボリュームまたはネットワーク共有のファイルを参照できます。

14.3. GNOME でのストレージボリュームのアンマウント

Files アプリケーションのストレージボリューム、ネットワーク共有、または別のリソースをアンマウントできます。

手順

  1. Files アプリケーションを開きます。
  2. サイドバーで、選択したマウントの横にある Unmount アイコン (⏏) をクリックします。
  3. サイドバーからマウントが消えるか、安全な削除に関する通知が表示されるまで待ちます。

14.4. 関連情報 (または次の手順)

第15章 NFS でユーザー設定の保存

NFS ホームディレクトリーを使用するシステムで GNOME を使用する場合は、dconf データベースの keyfile バックエンドを設定する必要があります。そうしないと、dconf が正常に機能しない可能性があります。この設定では、dconf は設定を ~/.config/dconf-keyfile/user ファイルに保存します。

手順

  1. すべてのクライアントで /etc/dconf/profile/user ファイルを作成または編集します。
  2. /etc/dconf/profile/user ファイルの先頭に、次の行を追加します。

    service-db:keyfile/user
  3. ユーザーはログアウトしてから再度ログインする必要があります。

    dconfkeyfile バックエンドをポーリングして更新が行われたかどうかを判断するため、設定がすぐに更新されない可能性があります。

法律上の通知

Copyright © 2024 Red Hat, Inc.
The text of and illustrations in this document are licensed by Red Hat under a Creative Commons Attribution–Share Alike 3.0 Unported license ("CC-BY-SA"). An explanation of CC-BY-SA is available at http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/. In accordance with CC-BY-SA, if you distribute this document or an adaptation of it, you must provide the URL for the original version.
Red Hat, as the licensor of this document, waives the right to enforce, and agrees not to assert, Section 4d of CC-BY-SA to the fullest extent permitted by applicable law.
Red Hat, Red Hat Enterprise Linux, the Shadowman logo, the Red Hat logo, JBoss, OpenShift, Fedora, the Infinity logo, and RHCE are trademarks of Red Hat, Inc., registered in the United States and other countries.
Linux® is the registered trademark of Linus Torvalds in the United States and other countries.
Java® is a registered trademark of Oracle and/or its affiliates.
XFS® is a trademark of Silicon Graphics International Corp. or its subsidiaries in the United States and/or other countries.
MySQL® is a registered trademark of MySQL AB in the United States, the European Union and other countries.
Node.js® is an official trademark of Joyent. Red Hat is not formally related to or endorsed by the official Joyent Node.js open source or commercial project.
The OpenStack® Word Mark and OpenStack logo are either registered trademarks/service marks or trademarks/service marks of the OpenStack Foundation, in the United States and other countries and are used with the OpenStack Foundation's permission. We are not affiliated with, endorsed or sponsored by the OpenStack Foundation, or the OpenStack community.
All other trademarks are the property of their respective owners.