2.6. Wayland と X11 プロトコルの主な相違点

X11 アプリケーション

クライアントアプリケーションは、Wayland プロトコルにポートする必要があり、GTK などの Wayland バックエンドを持つグラフィカルツールキットを使用して、Wayland に基づいたコンポジターおよびディスプレイサーバーとネイティブに動作できるようにします。

Wayland に移植できないレガシーな X11 アプリケーションは、Xwayland を、X11 レガシークライアントと Wayland コンポジターとの間のプロキシーとして自動的に使用します。Xwayland は、X11 サーバーと Wayland クライアントの両方として機能します。Xwayland のロールは、X11 のレガシーアプリケーションが、Wayland に基づいたディスプレイサーバーと連携するように、X11 プロトコルから Wayland プロトコルへ、または Wayland プロトコルから X11 プロトコルへ変換します。

GNOME Shell on Wayland では、Xwayland が、システムの起動時に自動的に起動します。これにより、GNOME Shell on Wayland を使用する際に X11 のレガシーアプリケーションが期待通りに動作するようになります。ただし、X11Wayland プロコトルは異なるため、X11 固有の機能に依存する一部のクライアントは、Xwayland で動作が異なる場合があります。このようなクライアントでは、「GNOME 環境およびディスプレイプロトコルの選択」 で説明されているように、X.Org ディスプレイ サーバーに切り替えることができます。

libinput

Red Hat Enterprise Linux 8 は、新しい統合入力スタック libinput を使用して、マウス、タッチパッド、タッチスクリーン、タブレット、トラックボール、ポインティングスティックなど、共通するすべてのデバイスタイプを管理します。この統合スタックは、X.Org および GNOME Shell on Wayland コンポジターの両方に使用されます。

GNOME Shell on Wayland は、すべてのデバイスに直接 libinput を使用し、切り替え可能なドライバーサポートは利用できません。X.Org では、X.Org libinput ドライバーとして libinput が実装されています。ドライバーサポートの概要を以下に示します。

マウス、タッチスクリーン、トラックボール、ポインティングスティック
Red Hat Enterprise Linux 8 は、上記のデバイスに X.Org libinput ドライバーを使用します。Red Hat Enterprise Linux 7 で使用されていた X.Org evdev ドライバーは、必要に応じてフォールバックとして利用できます。
タッチパッド
Red Hat Enterprise Linux 8 は、タッチパッドに X.Org libinput ドライバーを使用します。Red Hat Enterprise Linux 7 のタッチパッドに使用されていた X.Org synaptics ドライバーは利用できなくなりました。
グラフィックタブレット
Red Hat Enterprise Linux 8 では、Red Hat Enterprise Linux 7 のタブレットデバイスに使用していた X.Org wacom ドライバーを引き続き使用します。ただし、X.Org libinput ドライバーは、必要に応じて利用できます。
その他の入力デバイス
Red Hat Enterprise Linux 7 は、上記のカテゴリーに含まれていないその他の入力デバイスに X.Org evdev ドライバーを使用していました。Red Hat Enterprise Linux 8 は、X.Org libinput ドライバーをデフォルトで使用していますが、デバイスが libinput と互換性がない場合は、X.Org evdev ドライバーにフォールバックできます。

ジェスチャー

Wayland の GNOME Shell は、新しいタッチパットおよびタッチスクリーンのジェスチャーに対応します。以下のようなジェスチャーが含まれます。

  • 4 本の指で、上下にドラッグしてワークスペースを切り替えます。
  • 3 本の指をそれぞれ近づけて、アクティビティー 画面を開きます。