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第2章 アップグレードの計画
インプレースアップグレードは、システムを RHEL の次のメジャーバージョンにアップグレードする方法です。この方法は、推奨され、サポートされています。
RHEL 8 にアップグレードする前に、以下の点を検討する必要があります。
オペレーティングシステム - オペレーティングシステムは、以下の条件下で、
Leapp
ユーティリティーによりアップグレードされます。利用可能な最新の RHEL 7 バージョン の Server バリアントがインストールされている。現在は以下のとおりです。
- 64 ビット Intel アーキテクチャー、IBM POWER 8(リトルエンディアン)、64 ビット IBM Z アーキテクチャー上の RHEL 7.9、64 ビット Intel アーキテクチャーで SAP HANA を使用している場合
カーネルバージョン 4.14 を必要とする アーキテクチャー (BM POWER 9 (リトルエンディアン)、または 64 ビット IBM Z (Structure A)) での RHEL 7.6
注記IBM POWER 9(リトルエンディアン)と 64 ビット IBM Z(Structure A)のアーキテクチャは、ライフサイクルを終えました。これらのアーキテクチャーの最後のアップグレードパスは、RHEL 7.6 から RHEL 8.4 までです。新しいアップグレードパス、機能、およびバグフィックスを含む、インプレースアップグレードの後続リリースには、これらのアーキテクチャは含まれません。
詳細は「Supported in-place upgrade paths for Red Hat Enterprise Linux」を参照してください。
- RHEL 8 の最小 ハードウェア要件 が満たされている。
- 提供されている最新の RHEL 7.9 およびターゲット OS バージョン(RHEL 8.6 など)へのアクセス。詳細は、「Preparing a RHEL 7 system for the upgrade」の手順 1 を参照してください。
-
アプリケーション -
Leapp
を使用して、システムにインストールされているアプリケーションを移行できます。ただし、特定のケースでは、アップグレード時にLeapp
が実行するアクションを指定するカスタムアクターを作成する必要があります。たとえば、アプリケーションの再設定や特定のハードウェアドライバーのインストールなどです。詳細は、「Handling the migration of your custom and third-party applications」を参照してください。Red Hat は、カスタムアクターに対応していません。 Security - アップグレード前にこの要素を評価し、アップグレードプロセスの完了時に追加の手順を実行する必要があります。特に以下の点を考慮してください。
- アップグレードの前に、システムが準拠する必要のあるセキュリティー標準を定義し、「RHEL 8 のセキュリティー変更」を理解します。
-
Leapp
ユーティリティーは、アップグレードプロセス時に SELinux モードを Permissive に設定します。 - FIPS モードでのシステムのインプレースアップグレードはサポートされていません。
- アップグレードが完了したら、セキュリティーポリシーを再評価し、再適用します。アップグレード中に無効になった、または RHEL 8 で新たに導入されたセキュリティーポリシーを適用する方法は、セキュリティーポリシーの適用 を参照してください。
- ストレージおよびファイルシステム - アップグレードする前に、必ずシステムのバックアップを作成してください。たとえば、ReaR(Relax-and-Recover)ユーティリティー、LVM スナップショット、RAID 分割、または仮想マシンのスナップショットを使用できます。
- 高可用性: High Availability アドオンを使用したシステムのアップグレードはサポートされていません。
- ダウンタイム - アップグレードプロセスには数分から数時間かかる場合があります。
- Satellite: Satellite からホストを管理する場合は、Satellite Web UI を使用して RHEL 7 から RHEL 8 に複数のホストを同時にアップグレードできます。詳細は、Upgrading Hosts from RHEL 7 to RHEL 8を参照してください。
- SAP HANA - SAP HANA を使用している場合は、「SAP 環境を RHEL 7 から RHEL 8 にインプレースアップグレードする方法」に従ってください。SAP HANA を使用した RHEL のアップグレードパスは異なる場合があることに注意してください。
- パブリッククラウド: インプレースアップグレードは、Red Hat Update Infrastructure (RHUI) を使用して Amazon Web Services (AWS) および Microsoft Azure のオンデマンドインスタンスでサポートされます。インプレースアップグレードは、RHEL サブスクリプションに RHSM を使用するすべてのパブリッククラウドの Bring Your Own Subscription インスタンスでもサポートされます。
-
言語: すべての
Leapp
のレポート、ログ、その他の生成されたドキュメントは、言語設定に関わらず、英語で表示されます。 - Bootloader: RHEL 7 または RHEL 8 のブートローダーを BIOS から UEFI に切り替えることはできません。RHEL 7 システムが BIOS を使用し、RHEL 8 システムで UEFI を使用する場合は、インプレースアップグレードの代わりに RHEL 8 の新規インストールを実行します。詳細は、Is it possible to switch the BIOS boot to UEFI boot on preinstalled Red Hat Enterprise Linux machine? を参照してください。
既知の制限 - 現在、
Leapp
の注目すべき既知の制限には以下が含まれます。- 現在、ディスク全体またはパーティションの暗号化、またはファイルシステムの暗号化は、インプレースアップグレードの対象となるシステムでは使用できません。
- ネットワークベースのマルチパスやネットワークストレージマウントは、システムパーティション (iSCSI、NFS など) として使用できません。
- 現在、インプレースアップグレードは、RHEL サブスクリプションに Red Hat Update Infrastructure を使用して Red Hat Subscription Manager (RHSM) を使用しない、残りのパブリッククラウド (Huawei Cloud、Alibaba Cloud、Google Cloud) のオンデマンドインスタンスではサポートされません。
既知の問題 も参照してください。
Red Hat Insights を使用して、Insights に登録したどのシステムが RHEL 8 への対応アップグレードパスであるかを確認できます。これを行うには、Insights の該当する Advisor 推奨事項 に移動し、Actions ドロップダウンメニューで推奨事項を有効にして、Affected systems の見出しにある一覧を確認します。Advisor 推奨は RHEL 7 マイナーバージョンのみを考慮し、システムのアップグレード前の評価は行わないことに注意してください。「 Advisor Service Recommendations 」も参照してください。