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9.8. firewalld を使用した NAT の設定
firewalld
では、以下のネットワークアドレス変換 (NAT) タイプを設定できます。
- マスカレーディング
- ソース NAT (SNAT)
- 宛先 NAT (DNAT)
- リダイレクト
9.8.1. NAT タイプ
以下は、ネットワークアドレス変換 (NAT) タイプになります。
- マスカレードおよびソースの NAT (SNAT)
この NAT タイプのいずれかを使用して、パケットのソース IP アドレスを変更します。たとえば、インターネットサービスプロバイダーは、プライベート IP 範囲 (
10.0.0.0/8
など) をルーティングしません。ネットワークでプライベート IP 範囲を使用し、ユーザーがインターネット上のサーバーにアクセスできるようにする必要がある場合は、この範囲のパケットのソース IP アドレスをパブリック IP アドレスにマップします。マスカレードと SNAT は互いに非常に似ています。相違点は次のとおりです。
- マスカレードは、出力インターフェイスの IP アドレスを自動的に使用します。したがって、出力インターフェイスが動的 IP アドレスを使用する場合は、マスカレードを使用します。
- SNAT は、パケットのソース IP アドレスを指定された IP に設定し、出力インターフェイスの IP アドレスを動的に検索しません。そのため、SNAT の方がマスカレードよりも高速です。出力インターフェイスが固定 IP アドレスを使用する場合は、SNAT を使用します。
- 宛先 NAT (DNAT)
- この NAT タイプを使用して、着信パケットの宛先アドレスとポートを書き換えます。たとえば、Web サーバーがプライベート IP 範囲の IP アドレスを使用しているため、インターネットから直接アクセスできない場合は、ルーターに DNAT ルールを設定し、着信トラフィックをこのサーバーにリダイレクトできます。
- リダイレクト
- このタイプは、チェーンフックに応じてパケットをローカルマシンにリダイレクトする DNAT の特殊なケースです。たとえば、サービスが標準ポートとは異なるポートで実行する場合は、標準ポートからこの特定のポートに着信トラフィックをリダイレクトすることができます。
9.8.2. IP アドレスのマスカレードの設定
システムで IP マスカレードを有効にできます。IP マスカレードは、インターネットにアクセスする際にゲートウェイの向こう側にある個々のマシンを隠します。
手順
external
ゾーンなどで IP マスカレーディングが有効かどうかを確認するには、root
で次のコマンドを実行します。# firewall-cmd --zone=external --query-masquerade
このコマンドでは、有効な場合は
yes
と出力され、終了ステータスは0
になります。無効の場合はno
と出力され、終了ステータスは1
になります。zone
を省略すると、デフォルトのゾーンが使用されます。IP マスカレードを有効にするには、
root
で次のコマンドを実行します。# firewall-cmd --zone=external --add-masquerade
-
この設定を永続化するには、
--permanent
オプションをコマンドに渡します。 IP マスカレードを無効にするには、
root
で次のコマンドを実行します。# firewall-cmd --zone=external --remove-masquerade
この設定を永続化するには、
--permanent
をコマンドラインに渡します。