第36章 ブートパラメーターのカスタマイズ

インストールを開始する前に、必須の起動パラメーターをいくつか設定する必要があります。z/VM でインストールする場合は、generic.prm ファイルで起動する前にこれらのパラメーターを設定する必要があります。LPAR にインストールする場合は、rd.cmdline パラメーターはデフォルトで ask するよう設定されています。つまり、これらのブートパラメーターを入力することができるプロンプトが表示されます。いずれの場合も、必須パラメーターは同じです。

注記

すべてのネットワーク設定は、パラメーターファイルまたはプロンプトで指定する必要があります。

インストールソース
インストールソースは常に設定される必要があります。inst.repo= オプションを指定して、インストール用のパッケージソースを指定します。
ネットワークデバイス

インストール中にネットワークアクセスが必要となる場合は、ネットワークを設定する必要があります。ディスクなどのローカルメディアのみを使用して無人 (キックスタートベース) インストールを行う場合は、ネットワーク設定を省略できます。

必要に応じて、基本的なネットワーク設定には ip= オプションなどのオプションを使用します。

また、rd.znet= カーネルオプションも指定します。このオプションは、ネットワークプロトコルタイプ、コンマ区切りのサブチャネルリスト、およびオプションでコンマ区切りの sysfs パラメーターと値のペアを取ります。複数のネットワークデバイスをアクティベートするには、このパラメーターを複数回にわたり指定することができます。

以下に例を示します。

rd.znet=qeth,0.0.0600,0.0.0601,0.0.0602,layer2=1,portname=foo
注記

複数の rd.znet ブートオプションを指定すると、最後のオプションだけがインストールされているシステムのカーネルコマンドラインに渡されます。インストール中に設定されたすべてのネットワークデバイスは、起動時に適切にアクティブ化および設定されるため、これはシステムのネットワークには影響しません。

qeth デバイスドライバーは、イーサネットデバイスと Hipersockets デバイスに同じインターフェイス名 (enc<device number>) を割り当てます。バス ID は、チャンネルのサブシステム ID、サブチャンネルセット ID、およびデバイス番号で設定されており、ドットで区切られています。また、デバイス番号は、先頭のゼロとドットを除いた、バス ID の最後の部分になります。たとえば、インターフェイス名は、バス ID が 0.0.0a00 のデバイスに対して enca00 になります。

ストレージデバイス

テキストモードインストールには、少なくとも 1 つのストレージデバイスが常に設定される必要があります

rd.dasd= オプションは、DASD (Direct Access Storage Device) アダプターデバイスバス識別子を取ります。複数の DASD の場合は、パラメーターを複数回指定するか、バス ID のコンマ区切りリストを使用します。DASD の範囲を指定するには、最初と最後のバス ID を指定します。

以下に例を示します。

rd.dasd=0.0.0200 rd.dasd=0.0.0202(ro),0.0.0203(ro:failfast),0.0.0205-0.0.0207

rd.zfcp= オプションは、zFCP (SCSI over FCP) アダプターデバイスバス識別子、WWPN (world wide port name) 、FCP LUN を受け取ってデバイスを作動させます。複数の zFCP デバイスをアクティベートするには、このパラメーターを複数回にわたり指定することができます。

例: 8 版以降、ターゲットワールドワイドポート名 (WWPN) と FCP LUN は、zFCP デバイスが NPIV モードで設定されていない場合や、zfcp.allow_lun_scan=0 カーネルモジュールパラメーターにより auto LUN スキャンが無効になっている場合のみ提供する必要があります。これは、指定されたバス ID を持つ FCP デバイスに接続されたストレージエリアネットワークで見つかったすべての SCSI デバイスへのアクセスを提供します。同じディスクへの複数のパスをアクティブにするには、このパラメーターを少なくとも 2 回指定する必要があります。

rd.zfcp=0.0.4000,0x5005076300C213e9,0x5022000000000000
rd.zfcp=0.0.4000
Kickstart のオプション
Kickstart ファイルを使用して自動インストールを行う場合は、inst.ks= オプションで Kickstart ファイルの場所を常に指定している必要があります。無人の完全自動 Kickstart インストールの場合は、inst.cmdline オプションを指定すると便利です。

必須パラメーターすべてを含むカスタマイズした generic.prm ファイルの例を以下に示します。

例36.1 カスタマイズ generic.prm ファイル

ro ramdisk_size=40000 cio_ignore=all,!condev
inst.repo=http://example.com/path/to/repository
rd.znet=qeth,0.0.0600,0.0.0601,0.0.0602,layer2=1,portno=0,portname=foo
ip=192.168.17.115::192.168.17.254:24:foobar.systemz.example.com:enc600:none
nameserver=192.168.17.1
rd.dasd=0.0.0200 rd.dasd=0.0.0202
rd.zfcp=0.0.4000,0x5005076300c213e9,0x5022000000000000
rd.zfcp=0.0.5000,0x5005076300dab3e9,0x5022000000000000
inst.ks=http://example.com/path/to/kickstart

インストール方法によっては、DVD または FTP サーバーのファイルシステムのインストールデータの場所のマッピングがあり、データがコピーされるメモリーの場所を持つファイルが必要です。

このファイルは、通常 generic.ins と名前が付けられ、初期 RAM ディスク、カーネルイメージ、パラメーターファイル (generic.prm) のファイル名と各ファイルのメモリーの場所が格納されています。generic.ins の例は、以下のサンプルのようになります。

例36.2 generic.ins サンプルファイル

images/kernel.img 0x00000000
images/initrd.img 0x02000000
images/genericdvd.prm 0x00010480
images/initrd.addrsize 0x00010408

有効な generic.ins ファイルは、インストーラーの起動に必要なその他すべてのファイルとともに Red Hat から提供されます。このファイルは、たとえば、デフォルト以外のカーネルバージョンをデフォルトからロードする場合にのみ変更します。