付録C Boot オプションの参照

このセクションは、インストールプログラムのデフォルトの挙動を変更するのに使用できる起動オプションの一部を説明します。キックスタートと高度な起動オプションについては、RHEL インストーラーの起動オプション を参照してください。

C.1. インストールソースの起動オプション

このセクションでは、さまざまなインストールソースのブートオプションについて説明します。

inst.repo=

inst.repo= 起動オプションはインストールソースを指定します。つまり、パッケージリポジトリーと、そのリポジトリーを記述する有効な .treeinfo ファイルを提供する場所にあたります。たとえば、inst.repo=cdrom になります。inst.repo= オプションの対象は、以下のいずれかのインストールメディアになります。

  • インストール可能なツリー (インストールプログラムのイメージ、パッケージ群、リポジトリーデータおよび有効な .treeinfo ファイルを含むディレクトリー設定)
  • DVD (システムの DVD ドライブにある物理ディスク)
  • Red Hat Enterprise Linux のフルインストール用 DVD の ISO イメージ (ハードドライブ、またはシステムにアクセスできるネットワーク上の場所)

    inst.repo= 起動オプションでは、さまざまなインストール方法を設定します。以下の表は、inst.repo= 起動オプションの詳細な構文を記載します。

    表C.1 inst.repo= ブートオプションおよびインストールソースのタイプおよびフォーマット

    ソースタイプ起動オプションの形式ソースの形式

    CD/DVD ドライブ

    inst.repo=cdrom:<device>

    物理ディスクとしてのインストール DVD。 [a]

    マウント可能なデバイス (HDD および USB スティック)

    inst.repo=hd:<device>:/<path>

    インストール DVD のイメージファイル

    NFS サーバー

    inst.repo=nfs:[options:]<server>:/<path>

    インストール DVD のイメージファイル、またはインストールツリー (インストール DVD にあるディレクトリーおよびファイルの完全なコピー)。 [b]

    HTTP サーバー

    inst.repo=http://<host>/<path>

    インストールツリー (インストール DVD 上にあるディレクトリーおよびファイルの完全なコピー)。

    HTTPS サーバー

    inst.repo=https://<host>/<path>

    FTP サーバー

    inst.repo=ftp://<username>:<password>@<host>/<path>

    HMC

    inst.repo=hmc

     
    [a] device が省略された場合、インストールプログラムはインストール DVD を含むドライブを自動的に検索します。
    [b] NFS サーバーのオプションでは、デフォルトで NFS プロトコルのバージョン 3 が使用されます。別のバージョンを使用するには、nfsvers=Xオプション に追加し、X を、使用するバージョン番号に置き換えます。

ディスクデバイス名は、次の形式で設定します。

  • カーネルデバイス名 (例: /dev/sda1 または sdb2)
  • ファイルシステムのラベル (例: LABEL=Flash または LABEL=RHEL8)
  • ファイルシステムの UUID (例: UUID=8176c7bf-04ff-403a-a832-9557f94e61db)

英数字以外は \xNN で表す必要があります。NN は文字の 16 進数表示になります。たとえば、\x20 なら空白 (" ") になります。

inst.addrepo=

inst.addrepo= 起動オプションを使用して、別のインストールソースとして、メインリポジトリー (inst.repo=) とともに追加のリポジトリーを追加します。起動時に、inst.addrepo= 起動オプションを複数回使用できます。以下の表では、inst.addrepo= 起動オプションの構文の詳細を記載します。

注記

REPO_NAME はリポジトリーの名前であり、インストールプロセスでは必須です。これらのリポジトリーは、インストールプロセス時にのみ使用され、インストールしたシステムにはインストールされません。

統一された ISO に関する詳細は、Unified ISO を参照してください。

表C.2 インストールソースおよびブートオプションの形式

インストールソース起動オプションの形式関連情報

URL にあるインストール可能なツリー

inst.addrepo=REPO_NAME,[http,https,ftp]://<host>/<path>

指定の URL にあるインストール可能なツリーを探します。

NFS パスにあるインストール可能なツリー

inst.addrepo=REPO_NAME,nfs://<server>:/<path>

指定した NFS パスのインストール可能なツリーを探します。コロンは、ホストの後に必要です。インストールプログラムは、RFC 2224 に従って URL の解析を行うのではなく、nfs:// ディレクトリーの後のすべてを mount コマンドに渡します。

インストール環境でインストール可能なツリー

inst.addrepo=REPO_NAME,file://<path>

インストール環境の指定した場所にあるインストール可能なツリーを探します。このオプションを使用するには、インストールプログラムが利用可能なソフトウェアグループのロードを試行する前に、リポジトリーがマウントされる必要があります。このオプションの利点は、起動可能な ISO に複数のリポジトリーを利用でき、ISO からメインリポジトリーと追加のリポジトリーの両方をインストールできることです。追加のリポジトリーへのパスは /run/install/source/REPO_ISO_PATH です。また、キックスタートファイルの %pre セクションにリポジトリーディレクトリーをマウントできます。パスは、inst.addrepo=REPO_NAME,file:///<path> など、/ で始まる必要があります。

ディスク

inst.addrepo=REPO_NAME,hd:<device>:<path>

指定した <device> パーティションをマウントして、<path> で指定した ISO からインストールします。<path> を指定しないと、インストールプログラムは <device> 上の有効なインストール ISO を探します。このインストール方法には、有効なインストール可能ツリーを持つ ISO が必要です。

inst.stage2=

inst.stage2= 起動オプションは、インストールプログラムのランタイムイメージの場所を指定します。このオプションは、有効な .treeinfo ファイルが含まれるディレクトリーへのパスを想定し、.treeinfo ファイルからランタイムイメージの場所を読み取ります。.treeinfo ファイルが利用できないと、インストールプログラムは、images/install.img からイメージを読み込もうとします。

inst.stage2 オプションを指定しない場合、インストールプログラムは inst.repo オプションで指定された場所を使用しようとします。

このオプションは、後でインストールプログラム内でインストールソースを手動で指定する場合に使用します。たとえば、インストールソースとしてコンテンツ配信ネットワーク (CDN) を選択する場合などに使用します。インストール DVD および Boot ISO には、それぞれの ISO からインストールプログラムを起動するための適切な inst.stage2 オプションがすでに含まれています。

インストールソースを指定する場合は、代わりに inst.repo= オプションを使用します。

注記

デフォルトでは、インストールメデイアで inst.stage2= 起動オプションが使用され、これは特定のラベル (たとえば inst.stage2=hd:LABEL=RHEL-x-0-0-BaseOS-x86_64) に設定されています。ランタイムイメージが含まれるファイルシステムのデフォルトラベルを修正する場合、またはカスタマイズされた手順を使用してインストールシステムを起動する場合は、inst.stage2= 起動オプションに正しい値が設定されていることを確認してください。

inst.noverifyssl

inst.noverifyssl 起動オプションを使用して、追加のキックスタートリポジトリーを除き、すべての HTTPS 接続の SSL 証明書が検証されないようにします。ただし、--noverifyssl はリポジトリーごとに設定できます。

たとえば、リモートのインストールソースが自己署名 SSL 証明書を使用している場合には、inst.noverifyssl 起動オプションは、SSL 証明書を検証せずにインストーラーがインストールを完了できるようにします。

inst.stage2= を使用してソースを指定する場合の例

inst.stage2=https://hostname/path_to_install_image/ inst.noverifyssl

inst.repo= を使用してソースを指定する場合の例

inst.repo=https://hostname/path_to_install_repository/ inst.noverifyssl

inst.stage2.all

inst.stage2.all 起動オプションを使用して、複数の HTTP、HTTPS、または FTP ソースを指定します。inst.stage2= 起動オプションは、inst.stage2.all オプションとともに複数回使用して、成功するまで、イメージを順番にフェッチできます。以下に例を示します。

inst.stage2.all
inst.stage2=http://hostname1/path_to_install_tree/
inst.stage2=http://hostname2/path_to_install_tree/
inst.stage2=http://hostname3/path_to_install_tree/
inst.dd=
インストール時にドライバーの更新を実行する場合は、inst.dd= 起動オプションを使用します。インストール時にドライバーを更新する方法の詳細は、高度な RHEL 8 インストールの実行 を参照してください。
inst.repo=hmc
このオプションにより、外部ネットワーク設定の必要がなくなるため、インストールのオプションが増えます。Binary DVD から起動すると、インストーラープログラムにより、追加のカーネルパラメーターを入力するように求められます。DVD をインストールソースとして設定するには、inst.repo=hmc オプションをカーネルパラメーターに追加します。インストールプログラムは、サポート要素 (SE) およびハードウェア管理コンソール (HMC) のファイルアクセスを有効にし、DVD から stage2 のイメージをフェッチし、ソフトウェア選択のために DVD のパッケージへのアクセスを提供します。
inst.proxy=

HTTP、HTTPS、および FTP プロトコルからインストールを実行する場合には、inst.proxy= 起動オプションが使用されます。以下に例を示します。

[PROTOCOL://][USERNAME[:PASSWORD]@]HOST[:PORT]
inst.nosave=

inst.nosave= 起動オプションを指定して、インストールログや関連ファイルがインストール済みのシステムに保存されないように制御します (例: input_ksoutput_ksall_kslogsall)。複数の値をコンマで区切って組み合わせることができます。以下に例を示します。

inst.nosave=Input_ks,logs
注記

inst.nosave ブートオプションは、インストール済みのシステムから、キックスタートのログや入力/出力などの Kickstart %post スクリプトで削除できないファイルの除外に使用されます。

input_ks
キックスタートによる入力を保存する機能を無効にします。
output_ks
インストールプログラムで生成されたキックスタートによる出力を保存する機能を無効にします。
all_ks
キックスタートによる入出力を保存する機能を無効にします。
logs
すべてのインストールログを保存する機能を無効にします。
all
すべてのキックスタート結果とすべてのログを保存する機能を無効にします。
inst.multilib
inst.multilib 起動オプションを使用して、DNF の multilib_policy を、best ではなく all に設定します。
inst.memcheck
inst.memcheck 起動オプションは、インストールを完了するのにシステムに十分な RAM があることを確認するためのチェックを実行します。RAM が十分でない場合は、インストールプロセスが停止します。システムのチェックはおおよそのもので、インストールの際のメモリー使用率は、パッケージ選択やユーザーインターフェイス (グラフィカル、テキスト)、その他のパラメーターにより異なります。
inst.nomemcheck
inst.nomemcheck 起動オプションは、インストールを完了するのに十分な RAM があるかどうかの確認を実行しません。推奨よりも低いメモリー量でのインストールはサポートされていないため、インストールプロセスが失敗する場合があります。