Red Hat Training
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33.2. ファイルシステムのフォーマットに利用可能なチューニングオプション
一部のファイルシステム設定は一旦決定すると、デバイスのフォーマット後に変更できません。
以下は、ストレージデバイスをフォーマットする前に利用可能なオプションです。
Size (サイズ)
- ワークロードに適したサイズのファイルシステムを作成します。ファイルシステムが小さいと、ファイルシステムのチェックにかかる時間とメモリーが少なくて済みます。ただし、ファイルシステムが小さすぎると、断片化が多くなり、パフォーマンスが低下します。
ブロックサイズ
ブロックは、ファイルシステムの作業単位です。ブロックサイズで、単一のブロックに保存可能なデータ量が決まるので、1 度に書き込みまたは読み取りされる最小データ量を指します。
デフォルトのブロックサイズは、ほとんどのユースケースに適しています。ただし、ブロックサイズや複数のブロックのサイズが、一般的に一度に読み取る/書き込むデータ量と同じか、若干多い場合には、ファイルシステムのパフォーマンスは向上し、データの保存をより効率的に行います。ファイルが小さい場合は、引き続きブロック全体を使用します。ファイルは複数のブロックに分散できますが、ランタイム時のオーバーヘッドが増える可能性があります。
また、ファイルシステムによっては、特定のブロック数が上限となっており、ファイルシステムの最大数が制限されます。
mkfs
コマンドでデバイスをフォーマットする時に、ファイルシステムのオプションの一部としてブロックサイズを指定します。ブロックサイズを指定するパラメーターは、ファイルシステムによって異なります。ジオメトリー
ファイルシステムジオメトリーは、ファイルシステム全体でのデータの分散に関係があります。システムで RAID などのストライプ化ストレージを使用する場合は、デバイスのフォーマット時にデータおよびメタデータを下層にあるストレージジオメトリーに合わせて調整することで、パフォーマンスを向上させることができます。
多くのデバイスは推奨のジオメトリーをエクスポートし、デバイスが特定のファイルシステムでフォーマットされるとそのジオメトリーが自動的に設定されます。デバイスでこのような推奨ジオメトリーをエクスポートしない場合や、推奨の設定を変更する場合には、
mkfs
コマンドでデバイスのフォーマット時にジオメトリーを指定する必要があります。ファイルシステムのジオメトリーを指定するパラメーターは、ファイルシステムによって異なります。
外部ジャーナル
- ジャーナリングファイルシステムは、操作を実行する前に、ジャーナルファイルに書き込み操作中に加えられる変更を文書化します。これにより、システムクラッシュや電源異常の発生時にストレージデバイスが破損する可能性が低下し、復旧プロセスが高速化されます。
Red Hat では、外部ジャーナルオプションの使用は推奨していません。
メタデータ集約型のワークロードでは、ジャーナルへの更新頻度が非常に多くなります。ジャーナルが大きいと、より多くのメモリーを使用しますが、書き込み操作の頻度は低減します。さらに、プライマリーストレージと同じか、それ以上の速度の専用ストレージにジャーナルを配置することで、メタデータ集約型のワークロードでデバイスのシーク時間を短縮できます。
外部ジャーナルが信頼できることを確認します。外部ジャーナルデバイスが損失すると、ファイルシステムが破損します。外部ジャーナルは、フォーマット時に作成し、マウント時にジャーナルデバイスを指定する必要があります。
関連情報
-
man ページの
mkfs(8)
およびmount(8)
- 利用可能なファイルシステムの概要