12.2. ストレージ

12.2.1. BOOM ブートマネージャーが、ブートエントリーを作成するプロセスを簡素化

BOOM は、Linux システム用のブートマネージャーで、ブートエントリー設定の BootLoader 仕様に対応するブートローダーを使用します。柔軟なブート設定が可能になり、ブートエントリーの新規作成や変更が容易になります。たとえば、LVM を使用して作成したシステムのスナップショットイメージを起動するためのエントリーです。

BOOM は、既存のブートローダー設定を変更せず、追加エントリーを挿入するだけです。既存の設定は維持され、ディストリビューションの統合 (カーネルのインストールや更新のスクリプトなど) は、以前と同じように引き続き機能します。

BOOM には、ブートエントリーを作成するタスクを容易にする、単純化されたコマンドラインインターフェース (CLI) および API があります。

12.2.2. Stratis が利用可能に

Stratis は、新しいローカルストレージマネージャーです。ユーザーへの追加機能を備えたストレージプールに、管理されるファイルシステムを提供します。

Stratis を使用すると、次のようなストレージタスクをより簡単に実行できます。

  • スナップショットおよびシンプロビジョニングを管理する
  • 必要に応じてファイルシステムのサイズを自動的に大きくする
  • ファイルシステムを維持する

Stratis ストレージを管理するには、バックグランドサービス stratisd と通信する stratis ユーティリティーを使用します。

Stratis はテクノロジープレビューとして提供されます。

詳細は、Stratis のドキュメント「Stratis を使用した階層化ローカルストレージの管理」を参照してください。

12.2.3. LUKS2 が、ボリューム暗号化のデフォルト形式に

RHEL 8 では、レガシーの LUKS (LUKS1) 形式に代わり、LUKS バージョン 2 (LUKS2) の形式が使用されます。dm-crypt サブシステムおよび cryptsetup ツールでは、暗号化ボリュームのデフォルト形式として LUKS2 が使用されるようになりました。LUKS2 は、部分的なメタデータ破損イベントが発生した場合に備えて、暗号化されたボリュームにメタデータの冗長性と自動回復を提供します。

内部の柔軟なレイアウトにより、LUKS2 は将来の機能も可能にします。これは、libcryptsetup に組み込まれた一般的なカーネルキーリングトークンによる自動ロック解除に対応し、カーネルキーリング保持サービスに保存されているパスフレーズを使用して LUKS2 ボリュームのロックを解除します。

以下は、その他の主な機能強化です。

  • ラップ鍵暗号方式を使用した保護鍵の設定
  • Policy-Based Decryption (Clevis) とのより簡単な統合
  • 最大 32 個の鍵スロット (LUKS1 は鍵スロットを 8 個のみ提供します)

詳細は、man ページの cryptsetup(8) および cryptsetup-reencrypt(8) を参照してください。

12.2.4. ブロックデバイスにおけるマルチキュースケジューリング

Red Hat Enterprise Linux 8 では、ブロックデバイスがマルチキュースケジューリングを使用するようになりました。これにより、高速ソリッドステートドライブ (SSD) およびマルチコアシステムでの拡張が向上します。

SCSI マルチキュー (scsi-mq) ドライバーがデフォルトで有効になり、カーネルが scsi_mod.use_blk_mq=Y オプションで起動します。この変更は、アップストリームの Linux カーネルと同じです。

デバイスマッパーマルチパス (DM Multipath) を使用するには、scsi-mq ドライバーがアクティブになっている必要があります。

12.2.5. VDO がすべてのアーキテクチャーに対応

Virtual Data Optimizer (VDO) が、RHEL 8 で対応しているすべてのアーキテクチャーで利用可能になりました。

12.2.6. VDO が読み込みキャッシュに対応しなくなる

読み込みキャッシュ機能は、VDO (Virtual Data Optimizer) から削除されました。読み込みキャッシュは常に VDO ボリュームで無効になり、vdo ユーティリティーの --readCache オプションを使用して有効にできなくなりました。

Red Hat は、異なる実装を使用して、後続の Red Hat Enterprise Linux リリースで VDO 読み取りキャッシュを再実装できるようになりました。

12.2.7. dmraid パッケージが削除される

dmraid パッケージは、Red Hat Enterprise Linux 8 から削除されました。ハードウェアとソフトウェアの RAID ホストバスアダプター (HBA) ヘの対応が必要な場合は、ネイティブの MD software RAID、SNIA RAID Common Disk Data Format (DDF)、Intel® Matrix Storage Manager (IMSM) の形式に対応する mdadm ユーティリティーを使用する必要があります。

12.2.8. Software FCoE および Fibre Channel ではターゲットモードに対応しない

  • Software FCoE - Red Hat Enterprise Linux 8.0 から、NIC Software FCoE ターゲット機能が削除されました。
  • ファイバーチャンネルは、ターゲットモードに対応しません。ターゲットモードは、Red Hat Enterprise Linux 8.0 の qla2xxx QLogic Fibre Channel ドライバーに対して無効になります。

詳細は「FCoE ソフトウェアの削除」を参照してください。

12.2.9. DM Multipath のマージナルパスの検出が改善

multipathd サービスでは、マージナルパスの検出が改善しました。これにより、マルチパスデバイスが、繰り返し失敗する可能性があるパスを回避して、パフォーマンスを向上します。マージナルパスは、永続的で断続的な I/O エラーがあるパスです。

マージナルパスの動作は、/etc/multipath.conf ファイルの以下のオプションで制御します。

  • marginal_path_double_failed_time
  • marginal_path_err_sample_time
  • marginal_path_err_rate_threshold
  • marginal_path_err_recheck_gap_time

以下の場合、DM Multipath はパスを無効にし、サンプル期間中に繰り返し I/O でテストします。

  • multipath.conf オプションが設定されている
  • 設定した期間内にパスが 2 回失敗する
  • その他のパスが利用できる

このテスト時に、パスのエラー率が、設定されたエラー率よりも大きいと、設定したギャップ時間中 DM Multipath がパスを無視し、それが復旧できるぐらいに適切に機能しているかどうかを再確認します。

詳細は、man ページの multipath.conf を参照してください。

12.2.10. DM Multipath 設定ファイルの overrides セクションが追加

/etc/multipath.conf ファイルには、全デバイスの設定値を設定できる overrides セクションが追加されました。この属性は、デバイスを含むパスに対して、/etc/multipath.conf ファイルの multipaths セクションに指定した属性で上書きした場合を除き、DM Multipath によりすべてのデバイスに使用されます。この機能は、現在は対応していない設定ファイルの devices セクションの all_devs パラメーターに代わるものです。

12.2.11. Broadcom Emulex および Marvell Qlogic のファイバーチャンネルアダプターで NVMe/FC に完全対応

NVMe に対応する Broadcom Emulex アダプターおよび Marvell Qlogic Fibre Channel 32Gbit アダプターとともに使用すると、イニシエーターモードで NVMe/FC (NVMe over Fibre Channel) トランスポートタイプに完全に対応するようになりました。

Red Hat Enterprise Linux に同梱されていた RDMA (Remote Direct Memory Access) プロトコルに加えて、NVMe over Fibre Channel が、NVMe (Nonvolatile Memory Express) プロトコルのファブリックトランスポートタイプとして追加されました。

NVMe/FC を有効にするには、以下を行います。

  • lpfc ドライバーで NVMe/FC を有効にするには、/etc/modprobe.d/lpfc.conf ファイルに以下のオプションを追加します。

    lpfc_enable_fc4_type=3
  • qla2xxx ドライバーで NVMe/FC を有効にするには、/etc/modprobe.d/qla2xxx.conf ファイルに以下のオプションを追加します。

    qla2xxx.ql2xnvmeenable=1

その他の制限:

  • NVMe/FC は、マルチパスに対応していません。
  • NVMe クラスタリングは、NVMe/FC ではサポートされません。
  • Marvell Qlogic アダプターを使用すると、Red Hat Enterprise Linux は、イニシエーターポートで NVMe/FC および SCSI/FC の同時使用をサポートしていません。
  • NVMe/FC は、kdump に対応していません。
  • SAN (Storage Area Network) の NVMe/FC からのシステム起動には対応していません。

12.2.12. DIF/DIX (Data Integrity Field/Data Integrity Extension) への対応

DIF/DIX は SCSI 規格への追加分です。対応していると明記されている場合を除き、引き続き HBA およびストレージアレイに対するテクノロジープレビューとなります。

DIF/DIX により DIF (Data Integrity Field) が追加され、一般的に使用される 512 バイトのディスクブロックのサイズが 520 バイトに増えます。DIF は、書き込みの発生時に HBA (Host Bus Adapter) により算出されるデータブロックのチェックサム値を保存します。その後、受信時にストレージデバイスがチェックサムを確認し、データとチェックサムの両方を保存します。読み取りが発生すると、チェックサムが、ストレージデバイス、および受信する HBA により検証されます。