第5章 インストーラーおよびイメージの作成
5.1. アドオン
5.1.1. OSCAP
Red Hat Enterprise Linux 8 では、OSCAP アドオンがデフォルトで有効になっています。
5.1.2. Kdump
Kdump アドオンは、インストール時にカーネルクラッシュダンプの設定に対応します。このアドオンには、Kickstart (%addon com_redhat_kdump
コマンドおよびそのオプション) のフルサポートがあり、グラフィカルおよびテキストベースのユーザーインターフェースの追加ウィンドウとして完全に統合されます。
5.2. インストーラーネットワーキング
5.2.1. デバイスの命名スキーム
Red Hat Enterprise Linux 8 では、ユーザー定義の接頭辞に基づいてネットワークインターフェース名を生成する新しいネットワークデバイスの命名スキームが利用できます。net.ifnames.prefix
起動オプションを使用すると、インストールプログラムおよびインストール済みシステムでデバイスの命名スキームが使用できます。詳細は、man ページの dracut.cmdline(7)
を参照してください。
5.3. インストールイメージおよびパッケージ
5.3.1. システムを登録し、RHEL サブスクリプションを割り当て、Red Hat CDN からインストールする機能
Red Hat Enterprise Linux 8.2 では、パッケージのインストール前に、システムを登録し、RHEL サブスクリプションを割り当て、Red Hat コンテンツ配信ネットワーク (CDN) からインストールすることができます。インタラクティブな GUI インストールと、自動キックスタートインストールが、この機能をサポートしています。詳細は『RHEL 8.2 リリースノート』を参照してください。
5.3.2. インストール時にシステムを Red Hat Insights に登録する機能
Red Hat Enterprise Linux 8.2 以降、インストール時にシステムを Red Hat Insights に登録できます。インタラクティブな GUI インストールと、自動キックスタートインストールが、この機能をサポートしています。詳細は『RHEL 8.2 リリースノート』を参照してください。
5.3.3. 統一された ISO
Red Hat Enterprise Linux 8 では、統合 ISO が、インストールソースリポジトリー BaseOS および AppStream を読み込みます。この機能は、インストール時に読み込まれる最初のベースリポジトリーに対して有効です。たとえば、リポジトリーが設定されず、グラフィカルユーザーインターフェース (GUI) のベースリポジトリーとして統合 ISO がある場合、または統合 ISO を指定する inst.repo=
オプションを使用してインストールを起動した場合です。
したがって、AppStream リポジトリーは、Installation Source GUI ウィンドウの Additional Repositories セクションで有効になります。AppStream リポジトリーを削除したり、その設定を変更することはできませんが、インストールソース で無効にできます。別のベースリポジトリーを使用してインストールを起動し、そのあとで統合 ISO に変更した場合はこの機能が無効になります。これを行うと、ベースリポジトリーが置き換えられます。ただし、AppStream リポジトリーは置き換えられず、元のファイルを指定します。
5.3.4. Stage2 イメージ
Red Hat Enterprise Linux 8 では、インストールが失敗しないように、ネットワーク上の stage2
、またはキックスタートファイルの場所を指定できます。この更新により、ネットワーク上の stage2
、およびキックスタートファイルを使用して、inst.stage2
および inst.ks
の起動オプションを複数指定できるようになりました。これにより、stage2
またはキックスタートファイルが置いてあるサーバーにアクセスできず、必要なファイルが使用できないためにインストールに失敗する状況を回避します。
この新しい更新により、複数の場所が指定されている場合にインストールに失敗するのを回避できます。定義するすべての場所が URL (主に HTTP
、HTTPS
、または FTP
) の場合は、必要なファイルが正常にフェッチされるまで、順番に試行されます。URL 以外の場所がある場合は、最後に指定した場所が試行されます。残りの場所は無視されます。
5.3.5. inst.addrepo パラメーター
以前は、カーネル起動パラメーターからベースリポジトリーだけを指定できました。Red Hat Enterprise Linux 8 では、新しいカーネルパラメーター inst.addrepo=<name>,<url>
により、インストール時に追加リポジトリーを指定できるようになりました。このパラメーターでは、リポジトリーの名前と、リポジトリーを指定する URL の 2 つの値が必要になります。詳細は「inst-addrepo usage」を参照してください。
5.3.6. 拡張 ISO からのインストール
Red Hat Enterprise Linux 8 は、ローカルのハードドライブで、リポジトリーからのインストールをサポートします。以前は、ハードドライブからのインストール方法といえば、ISO イメージをインストールソースとして使用するだけでした。ただし、ファイルシステムによっては、Red Hat Enterprise Linux 8 ISO イメージが大きすぎる場合があります。たとえば、FAT32 ファイルシステムは、4 GiB 以上のファイルを保存できません。Red Hat Enterprise Linux 8 では、ローカルハードドライブのリポジトリーからインストールできます。ISO イメージの代わりにディレクトリーのみを指定する必要があります。たとえば、inst.repo=hd:<device>:<path to the repository>
です。
Red Hat Enterprise Linux 8 の BaseOS リポジトリーおよび AppStream リポジトリーは、本ガイドの「リポジトリー」セクションを参照してください。
5.4. インストーラーのグラフィカルユーザーインターフェース
5.4.1. インストール概要画面
Red Hat Enterprise Linux 8 グラフィカルインストールのインストール概要ウィンドウは、新たに 3 列のレイアウトになり、グラフィカルインストール設定で改善された統合が提供されるようになりました。
5.5. システムの目的が RHEL に新登場
5.5.1. システムの目的がグラフィカルインストールに対応
Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムは、システムの目的の情報を Subscription Manager に提供していませんでした。Red Hat Enterprise Linux 8 では、グラフィカルインストール時のシステムの目的ウィンドウ、またはキックスタートの設定ファイルの syspurpose
コマンドを使用して、システムの目的 を設定できます。システムの目的が記録されると、エンタイトルメントサーバーが、システムの使用目的を満たすサブスクリプションを自動添付するのに役に立つ情報を受け取ります。
5.5.2. Pykickstart におけるシステムの目的のサポート
以前は、pykickstart
ライブラリーで、Subscription Manager にシステムの目的の情報が提供されていました。Red Hat Enterprise Linux 8 では、pykickstart
が、新しい syspurpose
コマンドを解析し、完全または一部自動化しているインストール時に、システムの使用目的を記録します。その後、その情報はインストールプログラムに渡され、新たにインストールしたシステムに保存され、システムのサブスクライブ時に Subscription Manager で利用できるようになります。
5.6. インストーラーモジュールサポート
5.6.1. キックスタートを使用したモジュールのインストール
Red Hat Enterprise Linux 8 では、インストールプログラムが、モジュール機能をすべて処理するようになりました。キックスタートスクリプトは、モジュールとストリームの組み合わせを有効にし、モジュールプロファイルをインストールし、モジュールパッケージをインストールします。
5.7. キックスタートの変更
以下のセクションでは、Red Hat Enterprise Linux 8 におけるキックスタートコマンドおよびオプションの変更を説明します。
5.7.1. RHEL 8 で auth または authconfig が非推奨に
authconfig
ツールおよびパッケージが削除されたため、Red Hat Enterprise Linux 8 では、キックスタートコマンドの auth
または authconfig
が非推奨になっています。
コマンドラインで実行した authconfig
コマンドと同様、キックスタートスクリプトの authconfig
コマンドが authselect-compat
ツールを使用して、新しい authselect
ツールを実行するようになりました。この互換性層や、その既知の問題の説明は、man ページの authselect-migration(7)
を参照してください。このインストールプログラムは、非推奨のコマンドの使用を自動的に検出し、互換性層を提供する authselect-compat
パッケージをインストールします。
5.7.2. キックスタートで Btrfs がサポート対象外に
Red Hat Enterprise Linux 8 は、Btrfs ファイルシステムに対応していません。そのため、グラフィカルユーザーインターフェース (GUI) およびキックスタートコマンドが Btrfs に対応しなくなりました。
5.7.3. 以前の RHEL リリースのキックスタートファイルの使用
以前の RHEL リリースのキックスタートファイルを使用する場合は、Red Hat Enterprise Linux 8 BaseOS リポジトリーおよび AppStream リポジトリーの詳細について、「RHEL 8 の導入における検討事項」の「リポジトリー」セクションを参照してください。
5.7.4. キックスタートで非推奨になったコマンドおよびオプション
次のキックスタートのコマンドとオプションが、Red Hat Enterprise Linux 8 で非推奨になりました。
特定のオプションだけが一覧表示されている場合は、基本コマンドおよびその他のオプションは引き続き利用でき、非推奨ではありません。
-
auth
またはauthconfig
(代わりにauthselect
を使用) -
device
-
deviceprobe
-
dmraid
-
install
(サブコマンドまたはメソッドをコマンドとして直接使用) -
multipath
-
bootloader --upgrade
-
ignoredisk --interactive
-
partition --active
-
reboot --kexec
auth
コマンドまたは authconfig
コマンドを除き、キックスタートファイルのコマンドを使用すると、ログに警告が出力されます。
inst.ksstrict
ブートオプションで、auth
コマンドまたは authconfig
コマンドを除いた非推奨のコマンドの警告をエラーに変えることができます。
5.7.5. キックスタートから削除されたコマンドおよびオプション
次のキックスタートのコマンドとオプションが、Red Hat Enterprise Linux 8 から完全に削除されました。キックスタートファイルでこれを使用すると、エラーが発生します。
-
upgrade
(このコマンドはすでに非推奨になっています) -
btrfs
-
part/partition btrfs
-
part --fstype btrfs
またはpartition --fstype btrfs
-
logvol --fstype btrfs
-
raid --fstype btrfs
-
unsupported_hardware
特定のオプションおよび値だけが表示されている場合は、基本コマンドおよびその他のオプションは引き続き利用でき、削除されません。
5.7.6. キックスタートに新たに追加されたコマンドおよびオプション
Red Hat Enterprise Linux 8.2 に、次のコマンドとオプションが追加されました。
RHEL 8.2
-
rhsm
-
zipl
Red Hat Enterprise Linux 8 に、次のコマンドとオプションが追加されました。
RHEL 8.0
-
authselect
-
module
5.8. イメージ作成
5.8.1. Image Builder でカスタムのシステムイメージ作成
RHEL イメージのカスタマイズには、Image Builder ツールを使用できます。Red Hat Enterprise Linux 8.3 の時点で、Image Builder はシステムサービス osbuild-composer パッケージとして実行されます。
Image Builder を使用すると、追加パッケージを含むカスタムのシステムイメージを作成できます。Image Builder 機能は、以下から使用できます。
- Web コンソールのグラフィカルユーザーインターフェース
-
composer-cli
ツールのコマンドラインインターフェース
Image Builder の出力の形式には、以下のようなものがあります。
- TAR アーカイブ
- 仮想マシンまたは OpenStack で直接使用する qcow2 ファイル
- QEMU QCOW2 イメージ
- Azure、VMWare、および AWS のクラウドイメージ
Image Builder の詳細は『RHEL システムイメージのカスタマイズ』を参照してください。
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