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第1章 デバイスマッパーマルチパスの概要

DM Multipath は以下を提供します。

冗長性
DM Multipath は、アクティブ/パッシブ設定でフェイルオーバーを提供できます。アクティブ/パッシブ設定では、常にパスのサブセットのみが I/O に使用されます。ケーブル、スイッチ、コントローラーなどの I/O パスの要素に障害が発生した場合、DM Multipath は代替パスに切り替わります。
注記

パスの数はセットアップによって異なります。通常、DM Multipath 設定にはストレージへのパスが 2、4、または 8 個ありますが、これは一般的な設定であり、他の数となる可能性もあります。

パフォーマンスの向上
DM Multipath は、アクティブ/アクティブモードで設定できます。このモードでは、I/O はラウンドロビン方式でパスに分散されます。一部の設定では、DM Multipath は I/O パスの負荷を検出し、負荷を動的に再調整できます。

1.1. 1 つの RAID デバイスを使用したアクティブ/パッシブのマルチパス設定

この設定では、サーバー上に 2 つのホストバスアダプター (HBA)、2 つの SAN スイッチ、および 2 つの RAID コントローラーがあります。この設定では、次のような障害が発生する可能性があります。

  • HBA の障害
  • ファイバーチャネルケーブルの障害
  • SAN スイッチの障害
  • アレイコントローラーポートの障害

DM Multipath が設定されると、上記のポイントのいずれかで障害が発生すると、DM Multipath は別の I/O パスに切り替わります。以下の図は、サーバーから RAID デバイスへの 2 つの I/O パスを使用した設定を説明します。ここでは、hba1SAN1、および cntrlr1 を通る 1 つの I/O パスと、hba2SAN2、および cntrlr2 を通る別の I/O パスがあります。

図1.1 1 つの RAID デバイスを使用したアクティブ/パッシブのマルチパス設定

1 つの RAID デバイスを使用したアクティブ/パッシブのマルチパス設定