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7.5. ソフトウェアパッケージの更新
yum を使用すると、システムに保留中の更新があるかどうかを確認できます。更新が必要なパッケージをリスト表示して、1 つのパッケージ、複数のパッケージ、またはすべてのパッケージを一度に更新できます。更新パッケージに依存関係がある場合は、合わせて更新されます。
以下のセクションでは、yum を使用して以下を行う方法を説明します。
- 更新の有無を確認する
- 1 つのパッケージを更新する
- パッケージグループを更新する
- すべてのパッケージとその依存関係を更新する
- セキュリティー更新を適用する
- ソフトウェアの更新を自動化する
7.5.1. YUM による更新の確認
以下の手順では、yum
を使用して、システムにインストールされているパッケージで利用可能な更新を確認する方法を説明します。
手順
システムにインストールされているパッケージで更新を利用できるのはどれかを確認するには、以下のコマンドを実行します。
# yum check-update
このコマンドは、更新が利用可能なパッケージおよびその依存関係のリストを表示します。
7.5.2. YUM を使用した単一パッケージの更新
以下の手順を使用し、yum
を使用して単一のパッケージとその依存関係を更新します。
パッケージを更新するには、以下を使用します。
# yum update package-name
package-name を、パッケージ名に置き換えます。
カーネルの更新を適用する場合、yum は、yum update
コマンドまたは yum install
コマンドを使用しているかどうかに関わらず、新しいカーネルを常に インストール します。
7.5.3. YUM を使用したパッケージグループの更新
以下の手順を使用し、yum
を使用してパッケージのグループとその依存関係を更新します。
手順
パッケージグループを更新するには、以下を使用します。
# yum group update group-name
group-name は、パッケージグループの名前に置き換えます。
7.5.4. YUM を使用したすべてのパッケージとその依存関係の更新
以下の手順を使用し、yum
を使用してすべてのパッケージとその依存関係を更新します。
手順
すべてのパッケージとその依存関係を更新するには、次のコマンドを実行します。
# yum update
7.5.5. YUM を使用したセキュリティー関連パッケージの更新
以下の手順を使用し、yum
を使用してセキュリティーエラータを持つ利用可能なパッケージを更新します。
手順
セキュリティーエラータが含まれる、利用可能な最新パッケージにアップグレードするには以下を使用します。
# yum update --security
最新のセキュリティーエラータパッケージにアップグレードするには、以下を使用します。
# yum update-minimal --security
7.5.6. ソフトウェア更新の自動化
パッケージの更新の確認とダウンロードを定期的に行うには、dnf-automatic
パッケージの DNF Automatic ツールを使用できます。
DNF Automatic は、systemd タイマー、cron ジョブ、その他のツールを使用した自動実行および定期実行に適した yum の代替コマンドラインインターフェイスです。
DNF Automatic は、必要に応じてパッケージのメタデータを同期し、利用できる更新を確認します。その後、このツールは、設定方法に応じて以下のアクションのいずれかを実行できます。
- 終了
- 更新済みパッケージのダウンロード
- 更新のダウンロードおよび適用
その後、標準出力やメールなど、選択したメカニズムによって操作の結果が報告されます。
7.5.6.1. DNF Automatic のインストール
以下の手順では、DNF Automatic ツールをインストールする方法を説明します。
手順
dnf-automatic
パッケージをインストールするには、次のコマンドを実行します。# yum install dnf-automatic
検証手順
インストールの成功を確認するには、以下のコマンドを実行して
dnf-automatic
パッケージが存在することを確認します。# rpm -qi dnf-automatic
7.5.6.2. DNF Automatic 設定ファイル
デフォルトでは、DNF Automatic は、動作を定義するための設定ファイルとして /etc/dnf/automatic.conf
を使用します。
設定ファイルは、以下のトピックセクションに分かれています。
[commands]
セクションDNF Automatic の操作モードを設定します。
[emitters]
セクションDNF Automatic の結果が報告される方法を定義します。
[command_email]
セクション電子メールの送信に使用する外部コマンドのメールエミッター設定を提供します。
[email]
セクション電子メールエミッターの設定を提供します。
[base]
セクションyum の主な設定ファイルのオプションを上書きします。
/etc/dnf/automatic.conf
のデフォルト設定では、DNF Automatic は、利用可能な更新を自動的にチェックし、ダウンロードして、結果を標準出力として報告します。
[commands]
セクションの操作モードの設定は、dnf-automatic.timer
以外のすべてのタイマーユニットに対して、systemd タイマーユニットで使用される設定によって上書きされます。
関連情報
- 特定のセクションの詳細は、DNF Automatic ドキュメント を参照してください。
-
systemd タイマーユニットの詳細は、
man dnf-automatic
で man ページを参照してください。 -
dnf-automatic パッケージ
に含まれる systemd タイマーユニットの概要については、Overview of the systemd timer units included in the dnf-automatic package Overview of the systemd timer units included in the dnf-automatic package のセクションを参照してください。
7.5.6.3. DNF Automatic の有効化
DNF Automatic を実行するには、常に特定の systemd タイマーユニットを有効にして起動する必要があります。dnf-automatic
パッケージで提供されるタイマーユニットのいずれかを使用するか、必要に応じて独自のタイマーユニットを作成することができます。
以下のセクションでは、DNF Automatic を有効にする方法を説明します。
前提条件
-
/etc/dnf/automatic.conf
設定ファイルを変更して、DNF Automatic の動作を指定している。
DNF Automatic 設定ファイルの詳細は、セクション 2.5.6.2 DNF Automatic 設定ファイルを参照してください。
手順
ニーズに合った systemd タイマーユニットを選択し、有効にして開始します。
# systemctl enable --now <unit>
ここで、<unit>
は以下のタイマーのいずれかです。
-
dnf-automatic-download.timer
-
dnf-automatic-install.timer
-
dnf-automatic-notifyonly.timer
dnf-automatic.timer
利用可能な更新 をダウンロードする には、次を使用します。
# systemctl enable dnf-automatic-download.timer # systemctl start dnf-automatic-download.timer
利用可能な更新を ダウンロードしてインストールする には、次を使用します。
# systemctl enable dnf-automatic-install.timer # systemctl start dnf-automatic-install.timer
利用可能な更新について レポートする には、次を使用します。
# systemctl enable dnf-automatic-notifyonly.timer # systemctl start dnf-automatic-notifyonly.timer
必要に応じて、以下を使用できます。
# systemctl enable dnf-automatic.timer # systemctl start dnf-automatic.timer
更新のダウンロードおよび適用では、このタイマーユニットは /etc/dnf/automatic.conf
設定ファイルの設定に応じて動作します。デフォルトの動作は dnf-automatic-download.timer
に似ています。更新されたパッケージをダウンロードしますが、インストールはしません。
別の方法として、/usr/bin/dnf-automatic
ファイルをコマンドラインまたはカスタムスクリプトから直接実行して、DNF Automatic も実行できます。
検証手順
タイマーが有効になっていることを確認するには、次のコマンドを実行します。
# systemctl status <systemd timer unit>
関連情報
-
dnf-automatic タイマーの詳細は、
man dnf-automatic
の man ページを参照してください。 -
dnf-automatic
パッケージに含まれる systemd タイマーユニットの概要は、dnf-automatic パッケージに含まれる systemd タイマーユニットの概要 のセクションを参照してください。
7.5.6.4. dnf-automatic パッケージに含まれる systemd タイマーユニットの概要
systemd タイマーユニットが優先され、更新のダウンロードと適用に関する /etc/dnf/automatic.conf
設定ファイルのオプションを上書きします。
たとえば、/etc/dnf/automatic.conf
設定ファイルで以下のオプションを設定していても、dnf-automatic-notifyonly.timer
ユニットをアクティブにした場合は、パッケージはダウンロードされません。
download_updates = yes
dnf-automatic
パッケージには、次の systemd タイマーユニットが含まれます。
タイマーユニット | 機能 | /etc/dnf/automatic.conf ファイルの設定を上書きしますか ? |
---|---|---|
| キャッシュにパッケージをダウンロードし、更新を利用できるようにします。
注記: このタイマーユニットでは更新パッケージはインストールされません。インストールを実行するには、 | はい |
| 更新したパッケージをダウンロードしてインストールします。 | はい |
| リポジトリーデータのみをダウンロードして、リポジトリーキャッシュを最新の状態に維持し、利用可能な更新について通知します。 注記: このタイマーユニットでは、更新されたパッケージはダウンロードまたはインストールされません。 | はい |
|
更新のダウンロードと適用に関するこのタイマーの動作は、
デフォルトの動作は、 | いいえ |
関連情報
-
dnf-automatic
タイマーの詳細は、man dnf-automatic
の man ページを参照してください。 -
/etc/dnf/automatic.conf
設定ファイルの詳細については、セクション DNF Automatic 設定ファイル を参照してください。