Red Hat Training
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29.3. chrony への移行
Red Hat Enterprise Linux 7 では、正確な時間管理を行う方法として、ntp または chrony を選択できます。ntp と chrony の相違点、ntpd
と chronyd
の相違点は、ntpd と chronyd の違い を参照してください。
Red Hat Enterprise Linux 8 以降、ntp はサポートされなくなりました。chrony は、デフォルトで有効になっています。このため、ntp から chrony への移行が必要になる場合があります。
ntp から chrony への移行は、ほとんどの場合簡単です。プログラムの、設定ファイル、およびサービスに対応する名前は、次のとおりです。
表29.1 ntp から chrony へ移行する際に、プログラム、設定ファイル、サービスに対応する名前
ntp の名前 | chrony の名前 |
---|---|
/etc/ntp.conf | /etc/chrony.conf |
/etc/ntp/keys | /etc/chrony.keys |
ntpd | chronyd |
ntpq | chronyc |
ntpd.service | chronyd.service |
ntp-wait.service | chrony-wait.service |
ntpdate ユーティリティーおよび sntp ユーティリティーは ntp
ディストリビューションに含まれていますが、-q
オプションまたは -t
オプションを使用して chronyd
に置き換えることができます。この設定は、/etc/chrony.conf
を読み込まないようにコマンドラインで指定できます。たとえば、ntpdate ntp.example.com
を実行する代わりに、以下のように chronyd
を起動できます。
# chronyd -q 'server ntp.example.com iburst' 2018-05-18T12:37:43Z chronyd version 3.3 starting (+CMDMON +NTP +REFCLOCK +RTC +PRIVDROP +SCFILTER +SIGND +ASYNCDNS +SECHASH +IPV6 +DEBUG) 2018-05-18T12:37:43Z Initial frequency -2.630 ppm 2018-05-18T12:37:48Z System clock wrong by 0.003159 seconds (step) 2018-05-18T12:37:48Z chronyd exiting
ntpstat ユーティリティーは、ntp
パッケージに含まれていましたが、ntpd
だけをサポートしていました。現在は、ntpd
と chronyd
の両方をサポートします。これは、ntpstat
パッケージで入手できます。
29.3.1. 移行スクリプト
chrony
パッケージのドキュメント (/usr/share/doc/chrony
) には、ntp2chrony.py
という名前の Python スクリプトがあります。このスクリプトは、既存の ntp
設定を chrony
に自動的に変換します。ntp.conf
ファイルで最も一般的なディレクティブおよびオプションがサポートされます。変換で無視されている行はすべて、確認のために、生成された chrony.conf
ファイルにコメントとして追加されます。ntp
鍵ファイルに指定し、ntp.conf
で信頼される鍵としてマークされていない鍵は、生成された chrony.keys
ファイルにコメントとして追加されます。
デフォルトでは、スクリプトはいずれのファイルも上書きしません。/etc/chrony.conf
または /etc/chrony.keys
が存在する場合は、-b
オプションを使用してファイルの名前を変更すれば、バックアップとして使用できます。このスクリプトはその他のオプションもサポートします。--help
オプションを使用すると、サポートされるすべてのオプションが表示されます。
ntp
パッケージで提供されるデフォルトの ntp.conf
を使用したスクリプトの呼び出し例は以下のようになります。
# python3 /usr/share/doc/chrony/ntp2chrony.py -b -v Reading /etc/ntp.conf Reading /etc/ntp/crypto/pw Reading /etc/ntp/keys Writing /etc/chrony.conf Writing /etc/chrony.keys
この場合に無視される唯一のディレクティブは disable monitor
です。これは、noclientlog
ディレクティブで chrony に相当するものがありますが、アンプ攻撃を軽減するためだけに、デフォルトの ntp.conf
に含まれていました。
生成した chrony.conf
ファイルには、通常、ntp.conf
の制御行に対応する allow
ディレクティブが多数含まれています。chronyd
を NTP
サーバーとして実行しない場合は、allow
ディレクティブをすべて chrony.conf
から削除します。