Red Hat Training

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第3章 IBM POWER での仮想化の使用

IBM POWER8 または POWER9 のハードウェアで RHEL 8 を使用する場合は、KVM 仮想化を使用できます。ただし、システムで KVM ハイパーバイザーを有効にする 場合は、AMD64 および Intel64 のアーキテクチャーの仮想化に、追加の手順が必要になります。特定の RHEL 8 の仮想化機能には、IBM POWER の 機能が異なったり、制限されている ものもあります。

以下のセクションの情報とは別に、IBM POWER で仮想化を使用すると、AMD64 および Intel 64 と同じように機能します。したがって、IBM POWER で仮想化を使用する方法は、その他の RHEL 8 仮想化ドキュメントを参照してください。

3.1. IBM POWER での仮想化の有効化

KVM ハイパーバイザーを設定し、RHEL 8 を実行している IBM POWER8 または IBM POWER9 のシステムで仮想マシンを作成するには、以下の手順に従います。

前提条件

  • ホストマシンに RHEL 8 がインストールされ、登録されている。
  • 最低でも、以下のシステムリソースが利用できる。

    • ホスト用に 6 GB と、各仮想マシン用に 6 GB の空きディスク容量。
    • ホスト用に 2 GB と、各仮想マシン用に 2 GB の RAM。
    • ホスト上の 4 つの CPU通常、仮想マシンは、割り当てられた 1 つの vCPU で実行できますが、Red Hat は、高負荷時に仮想マシンが応答しなくならないように、仮想マシンごとに 2 つ以上の vCPU を割り当てることを推奨します。
  • CPU マシンタイプは、IBM POWER 仮想化に対応している必要があります。

    これを確認するには、/proc/cpuinfo ファイルでプラットフォーム情報を探してください。

    # grep ^platform /proc/cpuinfo/
    platform        : PowerNV

    このコマンドの出力に PowerNV エントリーが含まれる場合は、マシンタイプ PowerNV を実行しており、IBM POWER で仮想化を使用できます。

手順

  1. KVM-HV カーネルモジュールを読み込みます。

    # modprobe kvm_hv
  2. KVM カーネルモジュールが読み込まれていることを確認します。

    # lsmod | grep kvm

    KVM が正常に読み込まれると、このコマンドの出力には kvm_hv が含まれます。

  3. 仮想化モジュールにパッケージをインストールします。

    # yum module install virt
  4. virt-install パッケージをインストールします。

    # yum install virt-install
  5. libvirtd サービスを開始します。

    # systemctl start libvirtd

検証

  1. システムが仮想ホストとして準備されていることを確認します。

    # virt-host-validate
    [...]
    QEMU: Checking if device /dev/vhost-net exists                : PASS
    QEMU: Checking if device /dev/net/tun exists                  : PASS
    QEMU: Checking for cgroup 'memory' controller support         : PASS
    QEMU: Checking for cgroup 'memory' controller mount-point     : PASS
    [...]
    QEMU: Checking for cgroup 'blkio' controller support          : PASS
    QEMU: Checking for cgroup 'blkio' controller mount-point      : PASS
    QEMU: Checking if IOMMU is enabled by kernel                  : PASS
  2. virt-host-validate のすべての項目で PASS 値が返された場合は、システムに 仮想マシンを作成する 準備ができています。

    いずれかの項目で FAIL が返された場合は、表示される指示に従って問題を解決してください。

    いずれかの項目で WARN が返された場合は、表示される指示に従って仮想化機能を向上させることを検討してください。

トラブルシューティング

  • KVM 仮想化がホスト CPU でサポートされていない場合は、virt-host-validate は以下の出力を生成します。

    QEMU: Checking for hardware virtualization: FAIL (Only emulated CPUs are available, performance will be significantly limited)

    ただし、このようなホストシステムにある仮想マシンは、パフォーマンス上の問題が発生するのではなく、起動に失敗します。

    これを回避するには、仮想マシンの XML 設定の <domain type> 値を qemu に変更します。ただし、Red Hat は qemu ドメインタイプを使用する仮想マシンに対応していないため、実稼働環境ではこれを設定しないことを強く推奨している点に注意してください。