Red Hat Training
A Red Hat training course is available for RHEL 8
2.2. 仮想マシンの作成
RHEL 8 で仮想マシンを作成する場合は、コマンドラインインターフェイス または RHEL 8 Web コンソール を使用します。
2.2.1. コマンドラインインターフェイスを使用した仮想マシンの作成
virt-install
ユーティリティーを使用して、RHEL 9 ホストで仮想マシンを作成するには、以下の手順に従ってください。
前提条件
- ホストシステムで仮想化が 有効 になっている。
- ディスク領域、RAM、CPU など、仮想マシンに割り当てるのに十分なシステムリソースがある。推奨される値は、仮想マシンで行うタスクやワークロードにより大きく異なる可能性があります。
オペレーティングシステム (OS) のインストールソースがローカルまたはネットワークで利用できる。これには、次のいずれかを使用できます。
- インストールメディアの ISO イメージ
既存の仮想マシンインストールのディスクイメージ
警告RHEL 8 では、ホストの CD-ROM デバイスまたは DVD-ROM デバイスからインストールすることができません。RHEL 8 で利用可能な仮想マシンのインストール方法を使用する際に、インストールソースに CD-ROM または DVD-ROM を選択するとインストールに失敗します。詳細は Red Hat ナレッジベース を参照してください。
また、Red Hat がサポートするのは、限られたゲストオペレーティングシステムのセット のみです。
- 任意: インストールをより速く、簡単に設定するために、キックスタートファイルを利用できます。
手順
仮想マシンを作成して OS のインストールを開始するには、以下の必須引数を指定して、virt-install
コマンドを使用します。
-
--name
: 新しいマシンの名前 -
--memory
: 割り当てるメモリーの量 -
--vcpus
: 割り当てる仮想 CPU の数 -
--disk
: 割り当てるストレージのタイプとサイズ -
--cdrom
または--location
: OS インストールソースのタイプと場所
選択したインストール方法に応じて、必要なオプションと値が異なります。例については、以下のコマンドを参照してください。
リストされているコマンドは、デフォルトの SPICE プロトコルの代わりに VNC リモート表示プロトコルを使用します。現在、VNC には SPICE が備えている機能の一部がありませんが、RHEL 9 では完全にサポートされています。その結果、ホストを RHEL 9 に移行しても、VNC を使用する VM の動作が停止することはありません。詳細は、RHEL 8 の導入における検討事項 参照してください。
次のコマンドでは、demo-guest1 という名前の仮想マシンを作成し、ローカルの /home/username/Downloads/Win10install.iso ファイルに保存されている ISO イメージから、Windows 10 OS をインストールします。この仮想マシンには、2048 MiB の RAM と 2 つの vCPU が割り当てられ、80 GiB の qcow2 仮想ディスクも自動的に割り当てられます。
# virt-install \ --graphics vnc \ --name demo-guest1 --memory 2048 \ --vcpus 2 --disk size=80 --os-variant win10 \ --cdrom /home/username/Downloads/Win10install.iso
次のコマンドは、demo-guest2 という名前の仮想マシンを作成し、/home/username/Downloads/rhel8.iso イメージを使用して、ライブ CD から RHEL 8 OS を実行します。この仮想マシンにはディスク領域が割り当てられないため、セッション中に行った変更は保持されません。また、仮想マシンには、4096 MiB の RAM と、4 つの vCPU が割り当てられます。
# virt-install \ --graphics vnc \ --name demo-guest2 --memory 4096 --vcpus 4 \ --disk none --livecd --os-variant rhel8.0 \ --cdrom /home/username/Downloads/rhel8.iso
次のコマンドは、既存のディスクイメージ /home/username/backup/disk.qcow2 に接続する demo-guest3 という名前の RHEL 9 仮想マシンを作成します。これは、マシン間でハードドライブを物理的に移動するのと似ています。したがって、demo-guest3 で使用できる OS およびデータは、イメージが処理された方法により決定します。また、仮想マシンには、2048 MiB の RAM および 2 つの vCPU が割り当てられます。
# virt-install \ --graphics vnc \ --name demo-guest3 --memory 2048 --vcpus 2 \ --os-variant rhel8.0 --import \ --disk /home/username/backup/disk.qcow2
ディスクイメージをインポートする場合は、
--os-variant
オプションを使用することが強く推奨されます。このオプションを指定しないと、作成された仮想マシンのパフォーマンスに影響を及ぼします。次のコマンドは、demo-guest4 という名前の仮想マシンを作成し、URL
http://example.com/OS-install
からインストールします。インストールを開始するには、作業中の OS インストールツリーを URL に指定する必要があります。さらに、OS は、キックスタートファイル /home/username/ks.cfg で自動的に設定されます。この仮想マシンには、2048 MiB の RAM、2 つの vCPU、および 160 GiB の qcow2 仮想ディスクも割り当てられます。# virt-install \ --graphics vnc \ --name demo-guest4 --memory 2048 --vcpus 2 --disk size=160 \ --os-variant rhel8.0 --location http://example.com/OS-install \ --initrd-inject /home/username/ks.cfg --extra-args="inst.ks=file:/ks.cfg console=tty0 console=ttyS0,115200n8"
次のコマンドは、demo-guest5 という名前の仮想マシンを作成し、グラフィックスがない、テキストのみのモードである
RHEL8.iso
イメージファイルからインストールします。ゲストコンソールをシリアルコンソールに接続します。仮想マシンには、16384 MiB のメモリー、16 個の vCPU、および 280 GiB のディスクが割り当てられます。このようなインストールは、低速なネットワークリンクを介してホストに接続する際に便利です。# virt-install \ --name demo-guest5 --memory 16384 --vcpus 16 --disk size=280 \ --os-variant rhel8.0 --location RHEL8.iso \ --graphics none --extra-args='console=ttyS0'
次のコマンドは、demo-guest6 という名前の仮想マシンを作成します。この仮想マシンの設定は demo-guest5 と同じですが、リモートホスト 192.0.2.1 に置かれます。
# virt-install \ --connect qemu+ssh://root@192.0.2.1/system --name demo-guest6 --memory 16384 \ --vcpus 16 --disk size=280 --os-variant rhel8.0 --location RHEL8.iso \ --graphics none --extra-args='console=ttyS0'
検証
- 仮想マシンが問題なく作成されると、仮想マシンのグラフィカルコンソールで virt-viewer 画面が開き、ゲスト OS のインストールが開始します。
トラブルシューティング
virt-install
がcannot find default network
エラーを出力する場合は、以下のようにします。libvirt-daemon-config-network
パッケージがインストールされていることを確認します。# {PackageManagerCommand} info libvirt-daemon-config-network Installed Packages Name : libvirt-daemon-config-network [...]
libvirt
のデフォルトネットワークがアクティブで、自動的に起動するように設定されていることを確認します。# virsh net-list --all Name State Autostart Persistent -------------------------------------------- default active yes yes
そうでない場合は、デフォルトのネットワークをアクティブにし、自動起動に設定します。
# virsh net-autostart default Network default marked as autostarted # virsh net-start default Network default started
デフォルトのネットワークをアクティベートしても以下のエラーが出て失敗する場合は、
libvirt-daemon-config-network
パッケージが正常にインストールされていません。error: failed to get network 'default' error: Network not found: no network with matching name 'default'
この問題を修正するには、
libvirt-daemon-config-network
を再インストールします。# {PackageManagerCommand} reinstall libvirt-daemon-config-network
以下のようなエラーでデフォルトのネットワークをアクティベートできない場合には、デフォルトネットワークのサブネットとホストの既存インターフェイスで競合が発生しています。
error: Failed to start network default error: internal error: Network is already in use by interface ens2
これを修正するには、
virsh net-edit default
コマンドを使用して、設定の192.0.2.*
の値を、ホストで使用していないサブネットに変更します。
関連情報
-
virt-install(1)
man ページ - Web コンソールを使用した仮想マシンの作成、およびゲストのオペレーティングシステムのインストール
- 仮想マシンのクローン作成
2.2.2. Web コンソールを使用した仮想マシンの作成、およびゲストのオペレーティングシステムのインストール
RHEL 8 ホストの GUI で仮想マシンを管理するには、Web コンソールを使用します。次のセクションでは、RHEL 8 Web コンソールを使用して仮想マシンを作成し、仮想マシンにゲストオペレーティングシステムをインストールする方法を説明します。
現在、Web コンソールを使用して作成された VM は、デフォルトで SPICE リモートデスクトッププロトコルを使用します。ただし、SPICE は RHEL 9 ではサポートされていないため、ホストを RHEL 9 にアップグレードすると、VM は動作しなくなります。詳細は、RHEL 8 の導入における検討事項 参照してください。
RHEL 9 で正しく動作する VNC プロトコルを使用する VM を作成するには、コマンドラインインターフェイスを 使用します。
2.2.2.1. Web コンソールを使用した仮想マシンの名前の変更
RHEL 8 Web コンソールが接続しているホストマシン上に仮想マシンを作成するには、以下の手順を使用します。
前提条件
- ホストシステムで仮想化が有効になっている。
- Web コンソールの仮想マシンプラグインがホストシステムにインストールされている。
- ディスク領域、RAM、CPU など、仮想マシンに割り当てるのに十分なシステムリソースがある。推奨される値は、仮想マシンで行うタスクやワークロードにより大きく異なる可能性がある。
手順
Web コンソールの Virtual Machines インターフェイスで、Create VM をクリックします。
Create new virtual machine ダイアログが表示されます。
作成する仮想マシンの基本設定を入力します。
- 名前 - 仮想マシンの名前
- 接続 - セッションに付与される権限のレベル。詳細は、Web コンソールで関連するダイアログボックスをデプロイメントしてください。
- インストールタイプ - インストールでは、ローカルのインストールメディア、URL、PXE ネットワークブート、クラウドベースイメージを使用したり、または限定されたオペレーティングシステムのセットからオペレーティングシステムをダウンロードしたりできます。
Operating system - 仮想マシン上で実行されているゲストオペレーティングシステム。Red Hat がサポートするのは、限られたゲストオペレーティングシステムのセット のみです。
注記Web コンソールから Red Hat Enterprise Linux を直接ダウンロードしてインストールする場合は、Offline token フィールドにオフライントークンを追加する必要があります。
- Storage - ストレージのタイプ。
- Storage Limit - ストレージ領域の容量。
- Memory - メモリーの容量。
仮想マシンを作成します。
- 仮想マシンでオペレーティングシステムを自動的にインストールする場合は、Create and run をクリックします。
- オペレーティングシステムをインストールする前に仮想マシンを編集する場合は、Create and edit をクリックします。
次のステップ
- Web コンソールでゲストオペレーティングシステムのインストール
2.2.2.2. Web コンソールでディスクイメージをインポートして仮想マシンを作成する手順
RHEL 8 Web コンソールで既存の仮想マシンインストールのディスクイメージをインポートすることで、仮想マシンを作成できます。
前提条件
- Web コンソールの仮想マシンプラグインがシステムにインストールされている。
- ディスク領域、RAM、CPU など、仮想マシンに割り当てるのに十分なシステムリソースがある。推奨値は、仮想マシンで行うタスクやワークロードにより大きく異なる可能性があります。
- 既存の仮想マシンインストールのディスクイメージがダウンロードされている。
手順
Web コンソールの Virtual Machines インターフェイスで、Import VM をクリックします。
Import a virtual machine ダイアログが表示されます。
作成する仮想マシンの基本設定を入力します。
- 名前 - 仮想マシンの名前
- ディスクイメージ - ホストシステム上の仮想マシンに存在するディスクイメージのパスです。
- Operating system - 仮想マシンディスク上で実行されているオペレーティングシステム。Red Hat がサポートするのは、限られたゲストオペレーティングシステムのセット のみです。
- Memory - 仮想マシンによる使用のために割り当てるメモリーの容量。
仮想マシンをインポートします。
- 仮想マシン設定をさらに編集せずに仮想マシンにオペレーティングシステムをインストールするには、Import and run をクリックします。
- オペレーティングシステムのインストール前に仮想マシン設定を編集するには、Import and edit をクリックします。
2.2.2.3. Web コンソールでゲストオペレーティングシステムのインストール
仮想マシンを初めて起動するときは、仮想マシンにオペレーティングシステムをインストールする必要があります。
新しい仮想マシンを作成するときに Create and run または Import and run をクリックすると、仮想マシン作成時にオペレーティングシステムのインストールルーチンが自動的に開始されます。
手順
Virtual Machines インターフェイスで、ゲスト OS をインストールする仮想マシンをクリックします。
選択した仮想マシンの基本情報を含む新しいページが開き、仮想マシンのさまざまな側面を管理するための制御を行います。
任意: ファームウェアを変更します。
注記新しい仮想マシンの作成時に Create and edit または Import and edit を選択し、かつ仮想マシンに OS がまだインストールされていない場合にのみ、ファームウェアを変更できます。
- ファームウェアをクリックします。
- Change Firmware ウィンドウで、必要なファームウェアを選択します。
- Save をクリックします。
インストール をクリックします。
仮想マシンコンソールで、オペレーティングシステムのインストールルーチンが実行します。
トラブルシューティング
- インストールルーチンが失敗した場合は、インストールを再度開始する前に、仮想マシンを削除して再作成します。
2.2.3. Web コンソールを使用したクラウドイメージ認証による仮想マシンの作成
デフォルトでは、ディストリビューションクラウドイメージにはログインアカウントがありません。ただし、RHEL Web コンソールを使用して、仮想マシン (VM) を作成し、root アカウントとユーザーアカウントのログイン認証情報を指定して、cloud-init に渡すことができるようになりました。
前提条件
- Web コンソールの仮想マシンプラグインが システムにインストールされている。
- ホストシステムで仮想化が 有効 になっている。
- ディスク領域、RAM、CPU など、仮想マシンに割り当てるのに十分なシステムリソースがある。推奨される値は、仮想マシンで行うタスクやワークロードにより大きく異なる可能性があります。
手順
Web コンソールの Virtual Machines インターフェイスで、Create VM をクリックします。
仮想マシンの新規作成ダイアログが表示されます。
- 名前 フィールドに、仮想マシンの名前を入力します。
Details タブの Installation type フィールドで、Cloud base image を選択します。
- インストールソース フィールドで、ホストシステム上のイメージファイルへのパスを設定します。
作成する仮想マシンの設定を入力します。
- オペレーティングシステム - 仮想マシンのオペレーティングシステム。Red Hat がサポートするのは、限られたゲストオペレーティングシステムのセット のみです。
- ストレージ - 仮想マシンを設定するストレージの種類
- ストレージのサイズ - 仮想マシンを設定するストレージ容量
- メモリー - 仮想マシンを設定するメモリーのサイズ
Automation タブをクリックします。
クラウド認証の認証情報を設定します。
- root パスワード - 仮想マシンの root パスワードを入力します。root パスワードを設定しない場合は、フィールドを空白のままにします。
- ユーザーログイン - cloud-init ユーザーログインを入力します。ユーザーアカウントを作成しない場合は、このフィールドを空白のままにします。
ユーザーパスワード - パスワードを入力します。ユーザーアカウントを作成しない場合は、このフィールドを空白のままにします。
Create and run をクリックします。
仮想マシンが作成されます。