Red Hat Training

A Red Hat training course is available for RHEL 8

57.3. IdM でユーザーを認証する証明書を使用する利点と問題点

IdM でユーザーを認証する証明書を使用する利点は次のとおりです。

  • 通常、スマートカードの秘密鍵を保護する PIN は、通常のパスワードよりも簡単で覚えやすいものになります。
  • デバイスによっては、スマートカードに保存されている秘密鍵をエクスポートできません。これによりセキュリティーが強化されます。
  • スマートカードはログアウトを自動化できます。IdM は、ユーザーがリーダーからスマートカードを取り外すと、ユーザーをログアウトするように設定できます。
  • 秘密鍵を盗むには、スマートカードへの物理的なアクセスが必要で、スマートカードはハッキング攻撃に対して安全になります。
  • スマートカード認証は 2 要素認証の一例です。つまり、所有しているもの (カード) と、知っているもの (PIN) の両方が必要です。
  • スマートカードは、電子メールの暗号化など、他の目的に使用できる鍵を提供するため、パスワードよりも柔軟性があります。
  • IdM クライアントである共有マシンでスマートカードを使用しても、通常、システム管理者に対して追加で発生する問題はありません。実際、スマートカード認証は共有マシンにとって理想的な選択肢です。

IdM のユーザーを認証する証明書を使用する問題点は次のとおりです。

  • スマートカードまたは証明書を紛失したり忘れたりすることで、実質的にロックアウトされる可能性があります。
  • PIN を複数回誤入力すると、カードがロックされる可能性があります。
  • 一般に、セキュリティー担当者や承認者などによる要求と承認の間には中間ステップがあります。セキュリティー担当者または管理者が、IdM で ipa cert-request コマンドを実行する必要があります。
  • スマートカードとリーダーは、ベンダーとドライバーに固有である傾向があります。多くのリーダーはさまざまなカードに使用できますが、一部のベンダーのスマートカードは、別のベンダーのリーダーや、その目的で設計されていないリーダーでは機能しない場合があります。
  • 証明書とスマートカードの場合は、管理者が短期間で習得しなければならない内容が多くなります。