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19.8. 多数のリソースを使用した大規模なクラスターの設定

デプロイするクラスターにノードとリソースが多数含まれる場合に、クラスターの以下のパラメーターのデフォルト値を変更する必要がある場合があります。

cluster-ipc-limit クラスタープロパティー

cluster-ipc-limit クラスタープロパティーは、あるクラスターデーモンが別のクラスターデーモンを切断するまでに対応できる IPC メッセージバッグログの最大数になります。多数のリソースを消去するか、大規模なクラスターで同時にリソースを変更すると、多数の CIB 更新が一度に行われます。これが原因で、CIB イベントキューのしきい値に到達するまでに Pacemaker サービスで全設定の更新を処理する時間がない場合には、低速なクライアントがエビクトされる可能性がありました。

大規模なクラスターで使用するための cluster-ipc-limit の推奨値は、クラスターのリソース数にノード数を乗算した値です。この値は、クラスターデーモン PID の Evicting client メッセージがログに表示されると増える可能性があります。

pcs property set コマンドを使用して、cluster-ipc-limit の値をデフォルト値 500 から増やすことができます。たとえば、リソースが 200 個ある 10 ノードクラスターの場合には、以下のコマンドを使用して cluster-ipc-limit の値を 2000 に設定できます。

# pcs property set cluster-ipc-limit=2000
PCMK_ipc_buffer Pacemaker パラメーター

非常に大規模なデプロイメントでは、内部 Pacemaker メッセージがメッセージバッファーのサイズを超える可能性があります。バッファーサイズを超えると、以下の形式のシステムログにメッセージが表示されます。

Compressed message exceeds X% of configured IPC limit (X bytes); consider setting PCMK_ipc_buffer to X or higher

このメッセージが表示されると、各ノードの /etc/sysconfig/pacemaker 設定ファイルで PCMK_ipc_buffer の値を増やしてください。たとえば、PCMK_ipc_buffer の値をデフォルト値から 13396332 バイトに増やすには、以下のようにクラスター内の各ノードの /etc/sysconfig/pacemaker ファイルのアンコメントされている PCMK_ipc_buffer フィールドを変更します。

PCMK_ipc_buffer=13396332

この変更を適用するには、以下のコマンドを実行します。

# systemctl restart pacemaker