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第21章 Pacemaker クラスターのプロパティー

クラスターのプロパティーは、クラスター動作中に発生する可能性がある状況に直面した場合に、クラスターの動作を制御します。

21.1. クラスタープロパティーおよびオプションの要約

以下の表には、Pacemaker クラスターのプロパティーのデフォルト値や、設定可能な値などをまとめています。

フェンス動作を決定するクラスタープロパティーがあります。これらのプロパティーの詳細は、高度なフェンス設定オプション の「フェンス動作を決定するクラスタープロパティー」の表を参照してください。

注記

この表に記載しているプロパティー以外にも、クラスターソフトウェアで公開されるクラスタープロパティーがあります。このようなプロパティーでは、デフォルト値を別の値には変更しないことが推奨されます。

表21.1 クラスターのプロパティー

オプションデフォルト説明

batch-limit

0

クラスターを並列に実行できるリソースアクションの数。「正しい」値は、ネットワークおよびクラスタノードの速度と負荷によって異なります。デフォルト値の 0 は、任意のノードで CPU の負荷が高い場合に動的に制限を課すことを意味します。

migration-limit

-1 (無制限)

クラスターが、ノードで並行に実行することが許可されている移行ジョブの数。

no-quorum-policy

stop

クラスターにクォーラムがない場合のアクション。使用できる値は以下のようになります。

* ignore - 全リソースの管理を続行する

* freeze - リソース管理は継続するが、影響を受けるパーティションに含まれないノードのリソースは復帰させない

* stop - 影響を受けるクラスターパーティション内の全リソースを停止する

* suicide - 影響を受けるクラスターパーティション内の全ノードをフェンスする

* demote - クラスターパーティションのクォーラムが失われる場合は、昇格されたリソースを降格し、その他のリソースをすべて停止する

symmetric-cluster

true

リソースを、デフォルトで任意のノードで実行できるかどうかを示します。

cluster-delay

60s

(アクションの実行を除く) ネットワーク上のラウンドトリップ遅延です。「正しい」値は、ネットワークおよびクラスタノードの速度と負荷によって異なります。

stop-orphan-resources

true

削除されたリソースを停止すべきかどうかを示します。

stop-orphan-actions

true

削除されたアクションをキャンセルするかどうかを示します。

start-failure-is-fatal

true

特定のノードでリソースの起動に失敗した場合に、そのノードで開始試行を行わないようにするかを示します。false に設定すると、クラスターは、同じノードで開始するかどうかを、リソースが失敗した回数と、移行しきい値により設定します。リソースに migration-threshold オプションを設定する方法は、「リソースのメタオプションの設定」を参照してください。

start-failure-is-fatalfalse に設定すると、リソースを起動できない障害があるノードが、すべての依存アクションを遅らせる可能性があるというリスクが発生します。この理由により、start-failure-is-fatal のデフォルトは true となっています。start-failure-is-fatal=false を設定するリスクは、移行しきい値を低く設定することで軽減できます。これにより、何度も失敗してもその他のアクションを続行できます。

pe-error-series-max

-1 (すべて)

「ERROR」となるスケジューラー入力を保存する数。問題を報告する場合に使用されます。

pe-warn-series-max

-1 (すべて)

「WARNING」となるスケジューラー入力を保存する数。問題を報告する場合に使用されます。

pe-input-series-max

-1 (すべて)

「normal」となるスケジューラー入力を保存する数。問題を報告する場合に使用されます。

cluster-infrastructure

 

Pacemaker が現在実行しているメッセージングスタック。情報提供および診断目的に使用されます。ユーザーは設定できません。

dc-version

 

クラスターの DC (Designated Controller) で Pacemaker のバージョン。診断目的に使用され、ユーザーは設定できません。

cluster-recheck-interval

15 分

時間ベースでオプション、リソースパラメーター、および制約を変更するポーリング間隔。使用できる値は、ポーリングを無効にする 0 (ゼロ) と、秒単位で間隔を示す正の値です (5min など、他の SI 単位が指定されていない場合に限ります)。この値は確認が行われる間隔に対する最大時間であることに注意してください。クラスターイベントが、この値で指定された時間よりも早く発生した場合は、確認が行われるタイミングが早くなります。

maintenance-mode

false

メンテナンスモードでは、クラスターが「干渉されない」モードになり、指示されない限り、サービスを起動したり、停止したりしません。メンテナンスモードが完了すると、クラスターは、サービスの現在の状態のサニティーチェックを実行してから、これを必要とするサービスを停止するか、または開始します。

shutdown-escalation

20min

正常にシャットダウンして終了を試みるのをやめる時間。高度な使用のみ。

stop-all-resources

false

クラスターがすべてのリソースを停止します。

enable-acl

false

クラスターが、pcs acl コマンドで設定したアクセス制御一覧を使用できるかどうかを示します。

placement-strategy

default

クラスターノードでリソースの配置を決定する際に、クラスターが使用率属性を考慮にいれるかどうかと、どのように考慮するかを示します。

priority-fencing-delay

0 (無効)

(RHEL 8.3 以降) スプリットブレインが発生した場合に、実行中のリソースが最も少ないノードがフェンシングされるように、2 ノードクラスターを設定できます。

priority-fencing-delay プロパティーは期間に設定できます。このプロパティーのデフォルト値は 0 (無効) です。このプロパティーがゼロ以外の値に設定されている場合や、priority メタ属性が 1 つ以上のリソースに対して設定されている場合は、スプリットブレインが発生すると、実行されているすべてのリソースの中で、最も優先順位が高い組み合わせのノードが存続する可能性が高くなります。

たとえば、pcs resource defaults priority=1 および pcs property set priority-fencing-delay=15s を設定し、他の優先度が設定されていない場合は、他のノードがフェンシングを開始する前に 15 秒待機するため、ほとんどのリソースを実行するノードが存続する可能性が高くなります。特定のリソースが他のリソースよりも重要である場合は、優先度を高く設定できます。

昇格可能なクローンに優先順位が設定されている場合、そのクローンのマスターロールを実行しているノードの優先度が 1 ポイント追加されます。

priority-fencing-delay プロパティーで設定した遅延は、pcmk_delay_base および pcmk_delay_max フェンスデバイスプロパティーの遅延に追加されます。この動作により、両方のノードの優先度が同等の場合、またはノードの損失以外の理由で両方ノノードをフェンシングする必要がある場合 (例: on-fail=fencing がリソースモニター操作用に設定されている)、ある程度の遅延を許容します。組み合わせて使用する場合には、優先ノードが優先されるよう、priority-fencing-delay プロパティーを、pcmk_delay_base および pcmk_delay_max の最大遅延よりもはるかに大きい値に設定することをお勧めします (値を 2 倍すると完全に安全となります)。

Pacemaker がスケジュールするフェンシングだけは priority-fencing-delay を観察します。dlm_controld などの外部コードでスケジュールされるフェンシングは、フェンスデバイスに必要な情報を提供しません。