第30章 障害復旧クラスターの設定

高可用性クラスターに障害復旧を提供する 1 つの方法は、2 つのクラスターを構成することです。次に、1 つのクラスターをプライマリーサイトクラスターとして構成し、2 番目のクラスターを災害復旧クラスターとして構成できます。

通常の場合、プライマリークラスターは実稼働モードでリソースが実行されている状態です。障害復旧クラスターにはすべてのリソースが設定されており、それらを降格モードで実行するか、または全く実行しません。たとえば、昇格モードでプライマリークラスターで実行され、降格モードで障害復旧クラスターで実行されているデータベースがあるとします。この設定のデータベースが、プライマリーから障害復旧サイトにデータが同期されるように設定されます。これは、pcs コマンドインターフェースではなく、データベース設定自体で行われます。

プライマリークラスターがダウンした場合、ユーザーは pcs コマンドラインインターフェースを使用して、手動でリソースを障害復旧サイトにフェイルオーバーできます。その後、障害のサイトにログインして、そのサイトを昇格し、そこでリソースを起動できます。プライマリークラスターが復元した後、pcs コマンドラインインターフェースを使用してリソースをプライマリーサイトに手動で移動できます。

Red Hat Enterprise Linux 8.2 以降では、pcs コマンドを使用して、いずれかのサイトの 1 つのノードから、プライマリーおよび障害復旧サイトクラスターの両方のステータスを表示できます。

30.1. 障害復旧クラスターに関する考慮事項

pcs コマンドラインインターフェースで管理および監視を行う障害復旧サイトの計画および構成を行うときは、次の考慮事項に注意してください。

  • 障害復旧サイトはクラスターである必要があります。これにより、プライマリーサイトと同じツールや同様の手順で設定できるようになります。
  • プライマリークラスターおよび障害復旧クラスターは、独立した pcs cluster setup コマンドで作成されます。
  • クラスターとそのリソースは、データが同期され、フェイルオーバーが可能になるように設定する必要があります。
  • 復旧サイトのクラスターノードには、プライマリーサイトのノードと同じ名前を持つことができません。
  • pcs コマンドを実行するノードの両方のクラスターに対して、pcs ユーザー hacluster が認証されている必要があります。

30.2. 復旧クラスターの状態の表示 (RHEL 8.2 以降)

両方のクラスターのステータスを表示できるように、プライマリークラスターおよび障害復旧クラスターを設定するには、次の手順を実行します。

注記

障害復旧クラスターを設定すると、自動的にリソースを設定したり、データを複製したりしません。これらのアイテムはユーザーが手動で設定する必要があります。

この例の場合:

  • プライマリークラスターは PrimarySite という名前で、z1.example.com ノードと z2.example.com ノードで構成されます。
  • 障害復旧サイトのクラスターは DRsite という名前で、z3.example.com ノードおよび z4.example.com ノードで構成されます。

この例では、リソースやフェンスが設定されていない基本的なクラスターを設定します。

  1. 両方のクラスターで使用されるすべてのノードを認証します。

    [root@z1 ~]# pcs host auth z1.example.com z2.example.com z3.example.com z4.example.com -u hacluster -p password
    z1.example.com: Authorized
    z2.example.com: Authorized
    z3.example.com: Authorized
    z4.example.com: Authorized
  2. プライマリークラスターとして使用されるクラスターを作成し、クラスターのクラスターサービスを開始します。

    [root@z1 ~]# pcs cluster setup PrimarySite z1.example.com z2.example.com --start
    {...}
    Cluster has been successfully set up.
    Starting cluster on hosts: 'z1.example.com', 'z2.example.com'...
  3. 障害復旧クラスターとして使用されるクラスターを作成し、クラスターのクラスターサービスを開始します。

    [root@z1 ~]# pcs cluster setup DRSite z3.example.com z4.example.com --start
    {...}
    Cluster has been successfully set up.
    Starting cluster on hosts: 'z3.example.com', 'z4.example.com'...
  4. プライマリークラスターのノードから、2 つ目のクラスターを復旧サイトとして設定します。復旧サイトは、ノードのいずれかの名前により定義されます。

    [root@z1 ~]# pcs dr set-recovery-site z3.example.com
    Sending 'disaster-recovery config' to 'z3.example.com', 'z4.example.com'
    z3.example.com: successful distribution of the file 'disaster-recovery config'
    z4.example.com: successful distribution of the file 'disaster-recovery config'
    Sending 'disaster-recovery config' to 'z1.example.com', 'z2.example.com'
    z1.example.com: successful distribution of the file 'disaster-recovery config'
    z2.example.com: successful distribution of the file 'disaster-recovery config'
  5. 障害復旧設定を確認します。

    [root@z1 ~]# pcs dr config
    Local site:
      Role: Primary
    Remote site:
      Role: Recovery
      Nodes:
        z1.example.com
        z2.example.com
  6. プライマリークラスターのステータスと、プライマリークラスターのノードの障害復旧クラスターのステータスを確認します。

    [root@z1 ~]# pcs dr status
    --- Local cluster - Primary site ---
    Cluster name: PrimarySite
    
    WARNINGS:
    No stonith devices and stonith-enabled is not false
    
    Cluster Summary:
      * Stack: corosync
      * Current DC: z2.example.com (version 2.0.3-2.el8-2c9cea563e) - partition with quorum
      * Last updated: Mon Dec  9 04:10:31 2019
      * Last change:  Mon Dec  9 04:06:10 2019 by hacluster via crmd on z2.example.com
      * 2 nodes configured
      * 0 resource instances configured
    
    Node List:
      * Online: [ z1.example.com z2.example.com ]
    
    Full List of Resources:
      * No resources
    
    Daemon Status:
      corosync: active/disabled
      pacemaker: active/disabled
      pcsd: active/enabled
    
    
    --- Remote cluster - Recovery site ---
    Cluster name: DRSite
    
    WARNINGS:
    No stonith devices and stonith-enabled is not false
    
    Cluster Summary:
      * Stack: corosync
      * Current DC: z4.example.com (version 2.0.3-2.el8-2c9cea563e) - partition with quorum
      * Last updated: Mon Dec  9 04:10:34 2019
      * Last change:  Mon Dec  9 04:09:55 2019 by hacluster via crmd on z4.example.com
      * 2 nodes configured
      * 0 resource instances configured
    
    Node List:
      * Online: [ z3.example.com z4.example.com ]
    
    Full List of Resources:
      * No resources
    
    Daemon Status:
      corosync: active/disabled
      pacemaker: active/disabled
      pcsd: active/enabled

災害復旧構成の追加の表示オプションは、pcs dr コマンドのヘルプ画面を参照してください。


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