5.7. 既知の問題
このパートでは Red Hat Enterprise Linux 8.2 の既知の問題を説明します。
5.7.1. インストーラーおよびイメージの作成
キックスタートコマンドの auth
および authconfig
で AppStream リポジトリーが必要になる
インストール中に、キックスタートコマンドの auth
および authconfig
で authselect-compat
パッケージが必要になります。auth
または authconfig
を使用したときに、このパッケージがないとインストールに失敗します。ただし、設計上、 authselect-compat
パッケージは AppStream リポジトリーでしか利用できません。
この問題を回避するには、BaseOS リポジトリーおよび AppStream リポジトリーがインストーラーで利用できることを確認するか、インストール中にキックスタートコマンドの authselect
コマンドを使用します。
(BZ#1640697)
reboot --kexec
コマンドおよび inst.kexec
コマンドが、予測可能なシステム状態を提供しない
キックスタートコマンド reboot --kexec
またはカーネル起動パラメーター inst.kexec
で RHEL インストールを実行しても、システムの状態が完全な再起動と同じになるわけではありません。これにより、システムを再起動せずにインストール済みのシステムに切り替えると、予期しない結果が発生することがあります。
kexec
機能は非推奨になり、Red Hat Enterprise Linux の今後のリリースで削除されることに注意してください。
(BZ#1697896)
Anaconda インストールに、最小リソース設定要件の低い制限が含まれています。
Anaconda は最小限のリソース設定を必要とするシステムでインストールを開始し、インストールを成功させるのに必要なリソースに関する以前のメッセージ警告を提供しません。その結果、インストールが失敗し、出力エラーでデバッグや復元の可能性を明確に示すメッセージが提供されない場合があります。この問題を回避するには、システムに、インストールに必要な最小リソース設定 (PPC64 (LE) の場合は 2GB メモリー、x86_64 の場合は 1GB) があることを確認します。これにより、インストールを成功できます。
(BZ#1696609)
reboot --kexec
コマンドを使用するとインストールが失敗します。
reboot --kexec
コマンドを含むキックスタートファイルを使用すると、RHEL 8 のインストールに失敗します。この問題を回避するには、キックスタートファイルで reboot --kexec
の代わりに reboot
コマンドを使用します。
SSH から RHEL 8 初期セットアップを実行できません
現在、SSH を使用してシステムにログインする際に、RHEL 8 の初期セットアップインターフェイスは表示されません。これにより、SSH を介して管理される RHEL 8 マシンの初期設定を実行できません。この問題を回避するには、メインのシステムコンソール (ttyS0) で初期設定を行ってから、SSH を使用してログインします。
インストールプログラムでは、ネットワークアクセスがデフォルトで有効になっていません。
一部のインストール機能、たとえば、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) を使用したシステムの登録、NTP サーバーサポート、およびネットワークインストールソースなどには、ネットワークアクセスが必要です。ただし、ネットワークアクセスはデフォルトでは有効になっていません。そのためこの機能は、ネットワークアクセスが有効になるまで使用できません。
この問題を回避するには、インストールの開始時にネットワークアクセスを有効にする起動オプション ip=dhcp
を追加します。オプションで、起動オプションを使用して、ネットワーク上にあるキックスタートファイルまたはリポジトリーを渡しても、問題が解決されます。結果として、ネットワークベースのインストール機能を使用できます。
(BZ#1757877)
複数の組織に属するユーザーアカウントの登録に失敗していました
現在、複数の組織に属するユーザーアカウントでシステムを登録しようとすると、登録プロセスが失敗し、You must specifiy an organization for new units (新しいユニットの組織を指定する必要があります)。というメッセージが表示されます。
この問題を回避するには、以下のいずれかを行います。
- 複数の組織に属さない別のユーザーアカウントを使用します。
- GUI および Kickstart インストールの Connect to Red Hat 機能で利用できる アクティベーションキー 認証方法を使用します。
- Connect to Red Hat の登録手順を省略し、Subscription Manager を使用してインストール後にシステムを登録します。
Binary DVD ISO イメージを使用した GUI インストールを、CDN 登録なしで続行できないことがありました。
Binary DVD ISO イメージファイルを使用して GUI インストールを実行する場合は、Red Hat 機能への接続機能を使用してシステムを登録するまで、インストーラーの競合状態によりインストールが続行できなくなることがあります。この問題を回避するには、以下の手順を実施します。
- GUI インストールのインストール インストール概要 画面から インストールソース を選択します。
- 自動検出したインストールメディア が選択されていることを確認します。
- 完了 をクリックして選択を確定し、インストール概要 画面に戻ります。
- インストール 概要 画面に、ローカルメディア が インストールソース ステータスとして表示されることを確認します。
これにより、Red Hat への接続機能を使用してシステムを登録しなくてもインストールに進むことができます。
(BZ#1823578)
Binary DVD.iso
ファイルのコンテンツをパーティションにコピーしても、.treeinfo
ファイルおよび .discinfo
ファイルはコピーされません。
ローカルインストールで、RHEL 8 Binary DVD.iso イメージファイルの内容をパーティションにコピーする際に、cp <path>/\* <mounted partition>/dir
コマンドの *
で、.treeinfo
ファイルおよび .discinfo
ファイルがコピーされません。インストールを成功させるには、このファイルが必要です。これにより、BaseOS リポジトリーおよび AppStream のリポジトリーが読み込まれず、anaconda.log
ファイルのデバッグ関連のログメッセージでしか問題を確認できません。
この問題を回避するには、不足している .treeinfo
ファイルおよび .discinfo
ファイルをパーティションにコピーします。
(BZ#1687747)
Kickstart インストールでは、自己署名 HTTPS サーバーを使用できません。
現在では、インストールソースが Kickstart ファイルで指定され、--noverifyssl
オプションが指定されると、インストーラーは自己署名の https サーバーからのインストールに失敗します。
url --url=https://SERVER/PATH --noverifyssl
この問題を回避するには、Kickstart インストールの開始時に、inst.noverifyssl
パラメーターをカーネルコマンドラインに追加します。
以下に例を示します。
inst.ks=<URL> inst.noverifyssl
(BZ#1745064)
リポジトリーの更新が完了する前に CDN を使用した登録解除を試みると、GUI インストールが失敗することがあります。
RHEL 8.2 では、システムを登録し、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) を使用してサブスクリプションを割り当てると、GUI インストールプログラムにより、リポジトリーメタデータの更新が開始されます。更新プロセスは、登録およびサブスクリプションプロセスの一部ではないため、Red Hat への接続 ウィンドウで 登録解除 ボタンが有効になります。ネットワーク接続によっては、更新プロセスが完了するのに 1 分以上かかることがあります。更新プロセスが完了する前に 登録解除 ボタンをクリックすると、登録解除プロセスで、インストールプログラムが CDN との通信に必要とする証明書と CDN リポジトリーファイルが削除されるため、GUI インストールが失敗する可能性があります。
この問題を回避するには、Red Hat への接続 ウィンドウで 登録 ボタンをクリックした後に、GUI インストールで次の手順を実行します。
- Red Hat への接続 画面から 完了 をクリックして、インストールの概要 画面に戻ります。
- インストールの概要 ウィンドウで、インストールソース および ソフトウェアの選択 の斜体のステータスメッセージに処理情報が表示されていないことを確認します。
- インストールソースとソフトウェアの選択のカテゴリーが準備できたら、Red Hat への接続 をクリックします。
- 登録解除 ボタンをクリックします。
これらの手順を完了したら、GUI のインストール時にシステムの登録を安全に解除できます。
(BZ#1821192)