5.4.3. シェルおよびコマンドラインツール
ReaR
が更新されました。
RHEL 8.2 では、ReaR
(Relax-and-Recover) ユーティリティーに多くの更新が導入されました。
build ディレクトリーの処理が変更されました。以前のリリースでは、ReaR
に障害が発生した場合に、build ディレクトリーが一時的な場所に保持されていました。今回の更新で、非対話的な実行で build ディレクトリーがデフォルトで削除され、ディスク領域が消費されなくなりました。
KEEP_BUILD_DIR
設定変数のセマンティクスが拡張され、新しい errors
値が追加されるようになりました。KEEP_BUILD_DIR
変数を以下の値に設定できます。
-
errors
- エラーのある build ディレクトリーを保存を保存してデバッグする (以前の動作) -
y
(true
) - 常に build ディレクトリーを保持する -
n
(false
) - build ディレクトリーを保持しない
デフォルト値は空の文字列です。これは、ReaR
を対話的に (端末内で) 実行した場合に errors
を、ReaR
を非対話的に実行する場合は false
として処理されます。KEEP_BUILD_DIR
は、デバッグモード (-d
) とデバッグスクリプトモード (-D
) では自動的に true
に設定され、この動作は変更されていません。
以下は、主なバグ修正です。
- NetBackup 8.0 のサポートが修正されました。
-
ReaR
は、ユーザー、グループ、グループごとのユーザー数が多いシステムで、xrealloc: cannot allocate
と同様なバッシュエラーで中断されなくなりました。 -
bconsole
コマンドで、プロンプトが表示され、Bacula 統合の使用時に復元操作を実行できるようになりました。 -
ReaR
は、docker
サービスが実行中ではあるものの、docker
の root ディレクトリーが定義されていない状況や、docker
サービスのステータスが判断できない場合に、正しくファイルをバックアップするようになりました。 - 移行モードでシンプールを使用したり、システムを復旧したりする場合にリカバリーに失敗しなくなりました。
-
LVM を使用したリカバリープロセス中に
initramfs
の再ビルドに時間がかかる問題が解決されました。 -
ReaR
は、UEFI ブートローダーの使用時に、AMD および Intel 64 ビットアーキテクチャーで、正しく機能するブータブル ISO イメージを作成するようになりました。このセットアップでレスキューイメージを起動すると、エラーメッセージUnknown command 'configfile' (…) Entering rescue mode…
で Grub で中止されなくなりました。この設定での GRUB_RESCUE のサポート (XFS ファイルシステムのサポートがないため、以前は失敗する可能性がありました) も修正されました。
mlocate
パッケージのインストール時に mlocate-updatedb.timer
が有効化されるようになりました。
以前のバージョンでは、 mlocate
パッケージのインストール後に mlocate-updatedb.timer
が無効になるため、ファイルデータベースの再インデックスは自動的に実行されませんでした。今回の更新で、mlocate-updatedb.timer
タイマーが 90-default.preset
ファイルに含まれるようになり、mlocate
パッケージのインストール後にデフォルトで有効になります。その結果、ファイルデータベースが自動的に更新されます。