RHEL 8 でデスクトップ環境の使用
RHEL 8 で GNOME 3 デスクトップ環境の設定およびカスタマイズ
概要
多様性を受け入れるオープンソースの強化
Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。まずは、マスター (master)、スレーブ (slave)、ブラックリスト (blacklist)、ホワイトリスト (whitelist) の 4 つの用語の置き換えから始めます。この取り組みは膨大な作業を要するため、今後の複数のリリースで段階的に用語の置き換えを実施して参ります。詳細は、Red Hat CTO である Chris Wright のメッセージ をご覧ください。
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第1章 GNOME を使い始める
1.1. GNOME 3 とは
Red Hat Enterprise Linux 8 には、デフォルトで GNOME 3 が同梱されています。
GNOME 3 は、グラフィカルインターフェイスや生産性重視の作業環境を利用できるプレゼンテーション層環境を実現しています。この環境では、1 つの場所からすべての作業にアクセスできます。
GNOME が正しく機能するには、システムが 3D アクセラレーション をサポートしている必要があります。これには、ベアメタルシステムだけでなく、VMWare などのハイパーバイザーソリューションも含まれます。
VMWare 仮想マシン (VM) 上で GNOME が起動しない、またはパフォーマンスが低下する場合は、次の解決策を参照してください: VMware 仮想マシンで GUI が起動できないのはなぜですか?
1.2. GNOME 環境、バックエンド、およびディスプレイプロトコル
GNOME 3 は、2 つのユーザー環境を提供します。
- GNOME Standard
- GNOME クラシック
どちらの環境も、グラフィカルバックエンドとして 2 つのプロトコルを使用できます。
- X11 プロトコル (X.Org をディスプレイサーバーとして使用)
Wayland プロトコル (GNOME Shell を Wayland コンポジターおよびディスプレイサーバーとして使用)
ディスプレイサーバーに関するこのソリューションは、Wayland の GNOME Shell と呼ばれています。
RHEL 8 のデフォルトの組み合わせは、Wayland の GNOME Shell を使用した GNOME 標準環境です。ただし、Wayland の一部の制限により、グラフィックプロトコルスタックを X11 に切り替える場合があります。また、GNOME Standard から GNOME クラシックへの切り替えが必要になる可能性もあります。
関連情報
- Wayland プロトコルに基づいたグラフィックの詳細は、「Wayland と X11 プロトコルの主な相違点」 を参照してください。
- 環境を切り替える方法については、「GNOME 環境およびディスプレイプロトコルの選択」 を参照してください。
1.3. GNOME でのアプリケーションの起動
このセクションでは、GNOME 3 で利用できるアプリケーションの起動に使用できる、さまざまなアプローチを説明します。
1.3.1. GNOME Standard でのアプリケーションの起動
この手順では、GNOME Standard ユーザー環境でグラフィカルアプリケーションを起動します。
前提条件
- GNOME Standard 環境を使用している。
手順
- カーソルを左上隅の領域に移動し、画面隅にプッシュして、Activities Overview 画面に移動します。Activities Overview メニューが自動的に開きます。
以下の方法のいずれかを使用してアプリケーションを見つけます。
左側の垂直バーの アプリケーションの表示 アイコンをクリックします。
必要に応じて、画面の下で 頻繁 または すべて を使用して、すべて、または頻繁に使うアプリケーションの表示を選択できます。
- search entry (検索ワードを入力) に、必要なアプリケーションの名前を入力します。
- 表示されるリストからアプリケーションをクリックします。
1.3.2. GNOME クラシックでのアプリケーションの起動
この手順では、GNOME クラシックユーザー環境でグラフィカルアプリケーションを起動します。
前提条件
- GNOME クラシック環境を使用している。
手順
- アプリケーション メニューに移動します。
利用可能なカテゴリーの 1 つから必要なアプリケーションを選びます。これには以下が含まれます。
- お気に入り
- アクセサリー
- インターネット
- オフィス
- サウンドとビデオ
- その他
- システムのツール
- ユーティリティー
1.3.3. コマンドを使用した GNOME でのアプリケーションの起動
この手順では、コマンドを入力して GNOME でグラフィカルアプリケーションを起動します。
前提条件
- アプリケーションを起動するコマンドを知っている必要があります。
手順
以下のいずれかの方法でコマンドプロンプトを開きます。
- 端末プログラムを開きます。
Alt+F2 ショートカットを押して、コマンドの入力 画面を開きます。
- コマンドプロンプトにコマンドを書き込みます。
- Enter を押して、コマンドを確認します。
1.4. デスクトップアイコンの管理
デスクトップアイコン機能を有効にし、デスクトップにファイルを移動できます。
1.4.1. RHEL 8 のデスクトップアイコン
RHEL 8 では、ファイル アプリケーションがデスクトップアイコン機能を提供しなくなりました。代わりに、デスクトップアイコンは、gnome-shell-extension-desktop-icons
パッケージで利用できる GNOME Shell 拡張機能 Desktop icons で提供されています。
GNOME クラシックのデスクトップアイコン
GNOME クラシック環境には、デフォルトで gnome-shell-extension-desktop-icons
パッケージが含まれます。デスクトップアイコンは常にオンになっており、オフにすることはできません。
GNOME Standard のデスクトップアイコン
GNOME Standard では、デスクトップアイコンはデフォルトで無効になっています。
GNOME クラシックではなく GNOME Standard 環境のみが使用できる場合は、gnome-shell-extension-desktop-icons
パッケージをインストールする必要があります。
1.4.2. GNOME Standard のデスクトップアイコンの有効化
この手順では、GNOME Standard 環境でデスクトップアイコン機能を有効にします。
手順
- Tweak アプリケーションを開きます。
拡張 → デスクトップ を選択し、拡張機能を有効にします。
1.4.3. ファイルのデスクトップアイコンの作成
この手順では、既存のファイルにデスクトップアイコンを作成します。
前提条件
- Desktop icons 拡張機能が有効になります。
手順
-
選択したファイルを
~/Desktop/
ディレクトリーに移動します。
検証手順
- ファイルのアイコンがデスクトップに表示されることを確認します。
1.5. GNOME Shell のホットコーナー機能の無効化
GNOME 環境は、デフォルトで有効になっているホットコーナー機能を提供します。つまり、カーソルを左上隅の領域に移動してカーソルを画面隅にプッシュすると、Activities Overview メニューが自動的に開きます。
ただし、この機能を無効にして、アクティビティーの概要 を誤って開かないようにすることができます。
これを行うには、次のツールを使用できます。
- dconf Editor アプリケーション
- gsettings コマンドラインユーティリティー
- No topleft hot corner 拡張機能
ツールの選択は、システム上の 1 人のユーザーまたはすべてのユーザーに対してホットコーナー機能を無効にするかどうかによって異なります。dconf Editor または gsettings を使用して、1 人のユーザーに対してのみホットコーナーを無効にできます。システム全体でホットコーナーを無効にするには、No topleft hot corner 拡張機能を使用します。
1.5.1. 1 人のユーザーのホットコーナー機能の無効化
1 人のユーザーのホットコーナー機能を無効にするには、dconf Editor アプリケーションまたは gsettings コマンドラインユーティリティーを使用できます。
1.5.1.1. dconf エディターを使用してホットコーナーの無効化
dconf Editor アプリケーションを使用してホットコーナー機能を無効にするには、次の手順に従います。
この手順では、1 人の ユーザーのホットコーナー機能を無効にします。
前提条件
dconf Editor アプリケーションがシステムにインストールされている。
# yum install dconf-editor
手順
- dconf Editor アプリケーションを開きます。
-
org.gnome.desktop.interface
メニューを選択します。 enable-hot-corners
オプションを見つけます。このオプションは、デフォルトで
On
に設定されています。enable-hot-corners のデフォルト設定
enable-hot-corners
をOff
に設定します。これは、次のいずれかの方法で実行できます。
-
同じウィンドウで
enable-hot-corners
をOff
に設定します。 enable-hot-corners
のある行をクリックして、新しいウィンドウに進みます。新しいウィンドウで、ホットコーナー機能をオフに切り替えることができます。
ホットコーナー機能をオフにする
-
同じウィンドウで
1.5.1.2. gsettings を使用してホットコーナーの無効化
gsettings コマンドラインユーティリティーを使用してホットコーナー機能を無効にするには、次の手順を実行します。
この手順では、1 人の ユーザーのホットコーナー機能を無効にします。
手順
ホットコーナー機能を無効にします。
$ gsettings set org.gnome.desktop.interface enable-hot-corners false
検証手順
必要に応じて、ホットコーナー機能が無効になっていることを確認します。
$ gsettings get org.gnome.desktop.interface enable-hot-corners false
1.5.2. すべてのユーザーのホットコーナー機能の無効化
gnome-shell-extension-no-hot-corner
パッケージが提供する No topleft hot corner という名前の GNOME Shell 拡張機能を使用すると、システム全体でホットコーナー機能を無効にできます。
前提条件
gnome-shell-extension-no-hot-corner
パッケージがシステムにインストールされている。# yum install gnome-shell-extension-no-hot-corner
手順
Tweaks ツールで、No topleft hot corner 拡張機能をオンにして有効にします。
Tweaks の 使用方法の詳細は、「Tweak ツールでの GNOME Shell 環境のカスタマイズ」を参照してください。
- ログアウトし、ユーザーセッションを再起動して、拡張機能を有効にします。
1.6. GNOME でサウンドを設定する
GNOME でサウンドボリュームおよびその他のサウンドオプションを設定できます。
1.6.1. GNOME のサウンド設定ツール
RHEL 8 では、PulseAudio サウンドサーバーがサウンド出力と入力を処理します。PulseAudio により、プログラムは pulseaudio
デーモンを使用して音声を出力できるようになります。
サウンドを設定するには、GNOME で以下のグラフィカルアプリケーションのいずれかを使用できます。
システムメニュー
システムメニュー は、画面の右上隅にあります。サウンドバーからサウンドの出力または入力の強弱のみを設定できます。入力サウンドのサウンドバーは、テレカンファレンスツールなど、内部マイク (内蔵オーディオ) を使用するアプリケーションを実行してる場合にのみ利用できます。
GNOME コントロールセンター
GNOME Control Center (Settings) アプリケーションは、サウンドを設定するためのその他の一般的なオプションを提供します。
Tweak
Tweaks アプリケーションでは、ボリュームの過剰増幅のみを設定できます。
関連情報
-
PulseAudio の詳細は、
pulseaudio の
man ページを参照してください。
1.6.2. GNOME コントロールセンターでサウンド設定へのアクセス
この手順では、GNOME コントロールセンター アプリケーションでサウンド設定画面を開きます。
手順
GNOME Control Center を起動します。
「GNOME でのアプリケーションの起動」 で説明されている方法の 1 つを使用できます。また、そのアイコンをクリックして システムメニュー から起動することもできます。
- GNOME コントロールセンター の左の垂直バーから サウンド を選択します。
1.6.3. GNOME コントロールセンターのサウンドオプション
GNOME Control Center の Sound メニューから、次のサウンドオプションを設定できます。
- 出力 と 入力
出力 と 入力 メニューでは、サウンドを処理できる外部デバイスに接続しない限り、内蔵オーディオデバイスのみが表示されます。
出力 メニューでは、表示されている利用可能なアナログプロファイルまたはデジタルプロファイルから必要なプロファイルを選択できます。これは、利用可能な出力デバイスにより異なります。
- サウンドエフェクト
- サウンド効果 メニューは、システム音声アラートのボリュームおよびテーマを設定します。
- アプリケーション
- アプリケーション メニューでは、サウンドを処理できる実行中のアプリケーションがすべて表示され、特定のアプリケーションのサウンドの強弱の調整できます。
サウンド設定画面の出力タブ
1.7. グラフィックと写真の処理
GNOME では、グラフィックと写真を処理するツールを複数利用できます。
GNOME Software の グラフィックと写真 で、利用できるツールを確認できます。
手順
GNOME ソフトウェアを開きます。
- グラフィックと写真 に移動します。
次のような使用可能なツールを参照します。
- 写真
- 写真のアクセス、整理、共有を行います。
- GNU イメージ編集プログラム
- イメージの作成と写真の編集を行います。
- Inkspace
- スケーラブルなベクターグラフィックイメージの作成および編集を行います。
- XSane
- スキャナーでイメージをスキャンします。
- LibreOffice Draw
- 図、フローチャート、ロゴの作成および編集を行います。
1.8. 印刷の処理
GNOME では、設定 アプリケーションを使用して印刷を設定できます。
1.8.1. 設定アプリケーションを起動して印刷設定を行う
手順
「GNOME でのアプリケーションの起動」 で説明されている方法のいずれかを使用して、Settings アプリケーションを起動します。
さらに、設定アイコンをクリックして、右上隅の system menu から Settings アプリケーションを起動することもできます。
Settings アプリケーションが表示されたら、Devices → Printers に移動します。
図1.1 構成設定ツール
1.8.2. 設定で新しいプリンターを追加する
Settings アプリケーションを使用して、新しいプリンターを追加できます。
前提条件
Printers 画面の右上隅近くに表示される Unlock ボタンをクリックし、次のいずれかのユーザーとして認証します。
- スーパーユーザー
-
sudo
で与えられる管理者アクセスを持つユーザー (/etc/sudoers
に記載されているユーザー) -
/etc/group
内のprintadmin
グループに属するすべてのユーザー
手順
プリンターの追加 ダイアログを開きます。
利用可能なプリンター (ネットワークプリンターも含む) の中から 1 つを選択するか、プリンターサーバーのプリンター IP アドレスまたはホスト名を入力します。
1.8.3. 設定アプリケーションでのプリンターの設定
Settings アプリケーションを使用して、新しいプリンターを設定したり、プリンターの設定を保守したりできます。
プリンターの設定メニューの表示
手順
右側の設定 (⚙️) ボタンをクリックし、選択したプリンターの設定メニューを表示します。
プリンターの詳細の表示および編集
手順
プリンターの詳細 をクリックして、選択したプリンターの設定の表示と編集を行います。
このメニューでは、次のアクションを選択できます。
- ドライバーの検索
- GNOME コントロールセンターは、利用可能なレポジトリーで、適切なドライバーを検索する PackageKit と通信します。
- データベースから選択
- このオプションでは、システムにインストールされているデータベースから適切なドライバーを選択します。
- PPD ファイルのインストール
- このオプションでは、プラインターのドライバーとして使用できる、利用可能な PPD (Postscript Printer Description) のリストから選択できます。
デフォルトプリンターの設定
手順
デフォルトでプリンターを使用 をクリックして、選択したプリンターをデフォルトプリンターとして設定します。
プリンターの削除
手順
プリンターの削除 をクリックして、選択したプリンターを削除します。
1.8.4. 設定アプリでテストページを印刷する
テストページを印刷して、プリンターが正しく機能することを確認できます。
以下のいずれかの前提条件が満たされる場合は、テストページを印刷できます。
前提条件
- プリンターが設定されている。
- プリンター設定の変更が済んでいる。
手順
右側の設定 (⚙️) ボタンをクリックし、選択したプリンターの設定メニューを表示します。
- Printing Options → Test Page をクリックします。
1.8.5. Settings アプリケーションを使用した印刷オプションの設定
Settings アプリケーションを使用して印刷オプションを設定できます。
手順
右側の設定 (⚙️) ボタンをクリックし、選択したプリンターの設定メニューを表示します。
- 印刷オプション をクリックします。
1.9. アプリケーション間でのメディアの共有
Red Hat Enterprise Linux 8 には、マルチメディアデバイスへのアクセスとアプリケーション間のメディア共有を確立する PipeWire メディアサーバーが含まれます。
GNOME Shell on Wayland でリモートデスクトップセッションを実行すると、PipeWire や VNC サーバーが使用されます。リモートデスクトップセッションの機能は、gnome-remote-desktop
パッケージおよび pipewire
パッケージで利用できるようになります。
X.Org でリモートデスクトップセッションに必要なのは、VNC のみです。この機能は、X.Org では vino
パッケージで利用できます。
GNOME Shell on Wayland で実行すると、BlueJeans などのテレカンファレンスツールでも PipeWire が使用されます。このとき、テレカンファレンスツールで画面を共有し始めると、pipewire サービス
が自動的に有効化されます。
pipewire サービス
のステータスを確認するには、次のコマンドを実行します。
~]$ systemctl --user status pipewire
1.10. Tweak ツールでの GNOME Shell 環境のカスタマイズ
Tweak ツールを使用して、特定ユーザーの GNOME Shell 環境をカスタマイズできます。
手順
Tweak を開きます。
Tweak ツール
左側のサイドバーでカスタマイズする項目を選択します。
たとえば、スタートアップアプリケーション メニューを使用して、ログイン時に自動的に起動するアプリケーションを設定したり、トップバー メニューを使用してトップバーの外観をカスタマイズできます。
Tweak でのスタートアップアプリケーションの設定
Tweak のトップバーでの外観のカスタマイズ
第2章 GNOME 環境の概要
GNOME では、複数のユーザーインターフェイスを切り替えることができます。また、GNOME は、さまざまな異なるグラフィックバックエンドで実行できます。
GNOME が正しく機能するには、システムが 3D アクセラレーション をサポートしている必要があります。これには、ベアメタルシステムだけでなく、VMWare などのハイパーバイザーソリューションも含まれます。
VMWare 仮想マシン (VM) 上で GNOME が起動しない、またはパフォーマンスが低下する場合は、次の解決策を参照してください: VMware 仮想マシンで GUI が起動できないのはなぜですか?
2.1. GNOME 環境、バックエンド、およびディスプレイプロトコル
GNOME 3 は、2 つのユーザー環境を提供します。
- GNOME Standard
- GNOME クラシック
どちらの環境も、グラフィカルバックエンドとして 2 つのプロトコルを使用できます。
- X11 プロトコル (X.Org をディスプレイサーバーとして使用)
Wayland プロトコル (GNOME Shell を Wayland コンポジターおよびディスプレイサーバーとして使用)
ディスプレイサーバーに関するこのソリューションは、Wayland の GNOME Shell と呼ばれています。
RHEL 8 のデフォルトの組み合わせは、Wayland の GNOME Shell を使用した GNOME 標準環境です。ただし、Wayland の一部の制限により、グラフィックプロトコルスタックを X11 に切り替える場合があります。また、GNOME Standard から GNOME クラシックへの切り替えが必要になる可能性もあります。
関連情報
- Wayland プロトコルに基づいたグラフィックの詳細は、「Wayland と X11 プロトコルの主な相違点」 を参照してください。
- 環境を切り替える方法については、「GNOME 環境およびディスプレイプロトコルの選択」 を参照してください。
2.2. GNOME Standard
GNOME Standard ユーザーインターフェイスには、以下の主なコンポーネントが含まれます。
- トップバー
- 画面最上部にあるこの水平バーからは、アクティビティー画面、時計およびカレンダー、システムステータスアイコン、および システムメニュー など、GNOME Standard の基本的な機能の一部にアクセスできます。
- システムメニュー
システムメニュー は右上隅にあり、以下のことができます。
- 設定の更新
- 音声バーの制御
- Wi-Fi 接続の情報の検索
- ユーザーの切り替え
- ログアウト
- コンピューターの電源オフ
- アクティビティー画面
アクティビティー画面 では、ユーザーがアプリケーションやウィンドウを実行したり、その切り替えができるウィンドウおよびアプリケーションビューを利用できます。
上部の search entry (検索ワードを入力) からは、アプリケーション、ドキュメント、ファイル、設定ツールなど、デスクトップで利用できる各種項目を検索できます。
左側の垂直バーには、お気に入りのアプリケーションや実行中のアプリケーションのリストがあります。ニーズに応じて、お気に入りのデフォルトリストからアプリケーションを追加または削除できます。
ユーザーは、右側に表示される workspace list (ワークスペースのリスト) から、複数のワークスペース間の切り替えを行ったり、別のワークスペースにアプリケーションやウィンドウを移動させることができます。
- メッセージトレイ
- メッセージトレイ では、保留中の通知にアクセスできます。メッセージトレイ は、Super+M で表示されます。
GNOME 3 Standard デスクトップ
2.3. GNOME クラシック
GNOME クラシックは、Red Hat Enterprise Linux 6 で使用されていた GNOME 2 環境に似た、より従来的なデスクトップの使用感を好むユーザー向けのモードです。これは GNOME 3 テクノロジーに基づいておいて、GNOME 2 に似た機能が複数含まれます。
GNOME クラシックユーザーインターフェイスは、次の主なコンポーネントから成ります。
- アプリケーションおよび場所
アプリケーション メニューは画面の左上に表示されます。ユーザーはここから、カテゴリー別にまとまっているアプリケーションにアクセスできます。ウィンドウの概要を有効にすると、そのメニューから アクティビティーの概要 を開くこともできます。
場所メニューは、トップバーの アプリケーション メニューの横に表示されます。ユーザーは、ここから ダウンロード、写真 などの重要なディレクトリーに簡単にアクセスできます。
- タスクバー
タスクバー は画面下部に表示されます。以下の機能が含まれます。
- ウィンドウリスト
- ウィンドウリストの横に表示される通知アイコン
- 通知アイコンの横に表示される現在のワークスペースの短い識別子、および利用可能なワークスペースの合計数
- 4 つの使用可能なワークスペース
- GNOME クラシックでは、ユーザーが利用できるワークスペースの数はデフォルトで 4 に設定されています。
- 最小化ボタンおよび最大化ボタン
- GNOME クラシックのウィンドウのタイトルバーは、ユーザーがウィンドウリストに対してウィンドウを簡単に最小化したり、デスクトップ上のすべてのスペースを占めるようにウィンドウを最大化したりすることを可能にする最小化ボタンおよび最大化ボタンを特長としています。
- 従来の Super+Tab によるウィンドウ切り替え
- GNOME クラシックでは、ウィンドウスイッチャー Super+Tab で表示されるウィンドウは、アプリケーションごとにグループ化されません。
- システムメニュー
システムメニュー は右上隅にあり、以下のアクションを有効にします。
- 設定の更新
- 音声バーの制御
- Wi-Fi 接続の情報の検索
- ユーザーの切り替え
- ログアウト
- コンピューターの電源オフ
Rhythmbox アプリケーションと、アプリケーションメニューのお気に入りサブメニューを備えた GNOME 3 クラシックデスクトップ
GNOME クラシックでは、開いているウィンドウの概要はデフォルトでは使用できません。画面下部の タスクバー に、開いているすべてのウィンドウのリストが表示されます。ただし、「GNOME クラシックでウィンドウの概要を有効にする」 で説明されているように GNOME クラシック環境のデフォルト設定を変更して、GNOME Standard でデフォルトで利用可能な内容とよく似たウィンドウの概要を有効にできます。
2.4. GNOME クラシックでウィンドウの概要を有効にする
GNOME クラシックでは、開いているウィンドウの概要はデフォルトでは使用できません。この手順により、システム上のすべてのユーザーのウィンドウの概要が有効になります。
この手順でウィンドウの概要を有効にしても、永続的な変更ではありません。gnome-classic-session
パッケージを更新するたびに、設定ファイルがデフォルト設定に上書きされ、ウィンドウの概要が無効になります。
ウィンドウの概要を有効にしておくには、gnome-classic-session
を更新するたびに手順を適用してください。
手順
-
root
ユーザーとして/usr/share/gnome-shell/modes/classic.json
ファイルを開きます。 ファイルで次の行を探します。
"hasOverview": false
その行を次のように変更します。
"hasOverview": true
-
変更を保存し、
/usr/share/gnome-shell/modes/classic.json
ファイルを閉じます。 - ユーザーセッションを再起動します。
検証手順
- GNOME クラシックセッションで、複数のウィンドウを開きます。
- Super キーを押して、ウィンドウの概要を開きます。
その概要で、次を確認します。
- ダッシュ (画面の左側にある垂直パネル) が表示されます。
- 下部のパネルは表示されません。
ワークスペーススイッチャーは、画面の右側に表示されます。
hasOverview: true を使用したウィンドウの概要
デフォルト設定 (
"hasOverview": false
) では、概要に次の機能があります。- ダッシュ は表示されません。
下のパネルが表示されます。左側には ウィンドウピッカー ボタンがあり、右側にはワークスペーススイッチャーがあります。
hasOverview": false を使用したウィンドウの概要
2.5. RHEL 8 でのグラフィックスバックエンド
RHEL 8 では、グラフィカルユーザーインターフェイスを構築するプロトコルを 2 つ使用できます。
- X11
- X11 プロトコルは、X.Org をディスプレイサーバーとして使用します。このプロトコルに基づいたグラフィックスの表示は、オプションでしかなかった RHEL 7 と同じように機能します。
- Wayland
- RHEL 8 の Wayland プロトコルは、GNOME Shell コンポジターおよびディスプレイサーバーとして使用します。これはさらに Wayland の GNOME Shell として参照されます。Wayland プロコトルに基づいたグラフィックの表示には、X11 と比較して一部相違点と制限があります。
RHEL 8 の新規インストールでは Wayland の GNOME Shell が自動的に選択されます。ただし、「GNOME 環境およびディスプレイプロトコルの選択」 で説明されているように、X.Org に切り替えることや、GNOME 環境とディスプレイサーバーの必要な組み合わせを選択することもできます。
X.Org が GNOME Shell on Wayland よりも優先される環境は、以下のようなごく一部の状況であることに注意してください。
- VM 環境で使用される Cirrus グラフィックス
- Matrox グラフィックス
- Aspeed グラフィックス
- 仮想マシン環境で使用される QXL グラフィックス
- 専用ドライバーで使用された場合の Nvidia グラフィックス
Nvidia グラフィックスはデフォルトで、オープンソースドライバーの nouveau
を使用します。nouveau
は Wayland で対応しているため、Wayland の GNOME Shell の nouveau
で制限なく Nvidia グラフィックスを使用できます。ただし、GNOME Shell on Wayland では、プロプライエタリー Nvidia バイナリードライバーを持つ Nvidia グラフィックスの使用に対応していません。この場合は、「GNOME 環境およびディスプレイプロトコルの選択」 で説明されているように、X.Org に切り替える必要があります。
関連情報
-
Wayland が利用できない環境の現在のリストは、
/usr/lib/udev/rules.d/61-gdm.rules
ファイルで確認できます。 - Wayland プロジェクトの詳細は、Wayland ドキュメント を参照してください。
2.6. Wayland と X11 プロトコルの主な相違点
X11 アプリケーション
クライアントアプリケーションは、Wayland プロトコルにポートする必要があり、GTK などの Wayland バックエンドを持つグラフィカルツールキットを使用して、Wayland に基づいたコンポジターおよびディスプレイサーバーとネイティブに動作できるようにします。
Wayland に移植できないレガシーな X11 アプリケーションは、Xwayland を、X11 レガシークライアントと Wayland コンポジターとの間のプロキシーとして自動的に使用します。Xwayland は、X11 サーバーと Wayland クライアントの両方として機能します。Xwayland のロールは、X11 のレガシーアプリケーションが、Wayland に基づいたディスプレイサーバーと連携するように、X11 プロトコルから Wayland プロトコルへ、または Wayland プロトコルから X11 プロトコルへ変換します。
GNOME Shell on Wayland では、Xwayland が、システムの起動時に自動的に起動します。これにより、GNOME Shell on Wayland を使用する際に X11 のレガシーアプリケーションが期待通りに動作するようになります。ただし、X11 と Wayland プロコトルは異なるため、X11 固有の機能に依存する一部のクライアントは、Xwayland で動作が異なる場合があります。このようなクライアントでは、「GNOME 環境およびディスプレイプロトコルの選択」 で説明されているように、X.Org ディスプレイ サーバーに切り替えることができます。
libinput
Red Hat Enterprise Linux 8 は、新しい統合入力スタック libinput
を使用して、マウス、タッチパッド、タッチスクリーン、タブレット、トラックボール、ポインティングスティックなど、共通するすべてのデバイスタイプを管理します。この統合スタックは、X.Org および GNOME Shell on Wayland コンポジターの両方に使用されます。
GNOME Shell on Wayland は、すべてのデバイスに直接 libinput
を使用し、切り替え可能なドライバーサポートは利用できません。X.Org では、X.Org libinput
ドライバーとして libinput
が実装されています。ドライバーサポートの概要を以下に示します。
- マウス、タッチスクリーン、トラックボール、ポインティングスティック
-
Red Hat Enterprise Linux 8 は、上記のデバイスに X.Org
libinput
ドライバーを使用します。Red Hat Enterprise Linux 7 で使用されていたX.Org evdev
ドライバーは、必要に応じてフォールバックとして利用できます。 - タッチパッド
-
Red Hat Enterprise Linux 8 は、タッチパッドに X.Org
libinput
ドライバーを使用します。Red Hat Enterprise Linux 7 のタッチパッドに使用されていたX.Org synaptics
ドライバーは利用できなくなりました。 - グラフィックタブレット
-
Red Hat Enterprise Linux 8 では、Red Hat Enterprise Linux 7 のタブレットデバイスに使用していた X.Org
wacom
ドライバーを引き続き使用します。ただし、X.Orglibinput
ドライバーは、必要に応じて利用できます。 - その他の入力デバイス
-
Red Hat Enterprise Linux 7 は、上記のカテゴリーに含まれていないその他の入力デバイスに X.Org
evdev
ドライバーを使用していました。Red Hat Enterprise Linux 8 は、X.Orglibinput
ドライバーをデフォルトで使用していますが、デバイスがlibinput
と互換性がない場合は、X.Orgevdev
ドライバーにフォールバックできます。
ジェスチャー
Wayland の GNOME Shell は、新しいタッチパットおよびタッチスクリーンのジェスチャーに対応します。以下のようなジェスチャーが含まれます。
- 4 本の指で、上下にドラッグしてワークスペースを切り替えます。
- 3 本の指をそれぞれ近づけて、アクティビティー 画面を開きます。
2.7. 現在の Wayland 制限
Nvidia ドライバー
Wayland の GNOME Shell では、プロプライエタリーの Nvidia バイナリードライバーには対応していません。Nvidia GPU の使用時の複雑さを回避するために、GNOME Shell は自動的に X.Org にフォールバックします。これは、ログイン画面では Wayland プロトコルに基づいたオプションを利用できないことを意味します。
nouveau
ドライバーのサポートは継続し、このドライバーが Nvidia グラフィックスのデフォルトとなります。
リモートデスクトップ
GNOME Shell on Wayland では、gnome-remote-desktop
パッケージで VNC サポートを利用できます。gnome-remote-desktop
から VNC を使用してリモートアクセスするには、セッションにログインしている必要があります。また、プライマリーモニターのみがアクセスできるようになります。GNOME Shell on Wayland での画面の共有は、PipeWire メディアサーバーを使用して行うことができます。PipeWire メディアサーバーの詳細は、PipeWire プロジェクト を参照してください。
より高度な VNC を使用するには、従来的な VNC ツールを利用できる X.org に切り替える必要があります。詳細については、GNOME 環境の概要 を参照してください。
X ディスプレイマネージャー
XDMCP (X Display Manager Control Protocol) は、Wayland の GNOME Shell でサポートされていません。
よって、X ディスプレイマネージャーを使用して、同じコンピューターまたは別のコンピューターから X.Org ディスプレイサーバーでセッションを開始することはできません。
その他の制限
以下に示す Wayland プロトコルに関連する追加制限に注意してください。
- X.Org 画面操作ユーティリティーは利用できません。
-
Wayland ではレイアウト、回転、解像度の処理が異なるため、
xrandr
ユーティリティーはサポートされません。 - Alt+F2 r ショートカットを使用して GNOME Shell を再起動することはできません。
-
安定性の問題により、仮想環境では、Wayland の代わりに X.org を使用することが推奨されます。Wayland プロトコルに基づいたグラフィックは、
qxl
ドライバーを使用する仮想マシンでは利用できません。 -
Wayland は、
libinput
ドライバーが処理できないカスタムまたはニッチな入力デバイスには対応していません。
関連情報
-
Wayland ベースのグラフィックが利用できない環境の現在のリストは、
/usr/lib/udev/rules.d/61-gdm.rules
ファイルで確認できます。
2.8. GNOME 環境およびディスプレイプロトコルの選択
Red Hat Enterprise Linux 8 のデフォルトのデスクトップ環境は、GNOME Shell on Wayland をディスプレイサーバーとして使用した GNOME Standard です。ただし、Wayland には特定の制限があるため、グラフィックプロトコルスタックの切り替えが必要になる場合があります。また、GNOME Standard から GNOME クラシックへの切り替えが必要になる可能性もあります。
手順
ログイン画面 (GDM) で、Sign In ボタンの横にある歯車のボタンをクリックします。
注記ロック画面からはこのオプションにアクセスできません。最初に Red Hat Enterprise Linux 8 を起動するか、現在のセッションからログアウトすると、ログイン画面が表示されます。
表示されるドロップダウンメニューから、オプションを選択します。
注記ログイン画面に表示されるメニューで、X.Org ディスプレイサーバーが X11 ディスプレイサーバーとして表示されます。
GNOME 環境、および上記手順のグラフィックプロトコルスタックの変更は、ユーザーがログアウトしたり、コンピューターの電源を落としたり、システムを再起動しても持続します。
第3章 GNOME へのアプリケーションのインストール
このセクションでは、GNOME 3 への新しいアプリケーションのインストールに使用できるさまざまなアプローチを説明します。
前提条件
- 管理者権限。
3.1. GNOME Software アプリケーション
GNOME ソフトウェアは、アプリケーション、ソフトウェアコンポーネント、および GNOME Shell 拡張機能をグラフィカルインターフェイスでインストールおよび更新できるユーティリティーです。
GNOME ソフトウェアは、グラフィカルアプリケーションのカタログを提供します。これは、*.desktop
ファイルーを含むアプリケーションです。利用できるアプリケーションは、目的に応じて複数のカテゴリーにまとめられます。
GNOME ソフトウェアは、バックエンドとして PackageKit テクノロジーおよび Flatpak テクノロジーを使用します。
3.2. GNOME ソフトウェアを使用したアプリケーションのインストール
この手順では、GNOME ソフトウェアインストーラーを使用してグラフィカルアプリケーションをインストールします。
手順
- GNOME Software アプリケーションを起動します。
利用可能なカテゴリーにインストールするアプリケーションを見つけます。
- オーディオとビデオ
- 通信とニュース
- 生産性
- グラフィックと写真
アドオン
Add-on には、GNOME Shell 拡張機能、コーデック、フォントなどが含まれます。
- 開発者ツール
- ユーティリティー
選択したアプリケーションをクリックします。
Install ボタンをクリックします。
3.3. アプリケーションをインストールしてファイルタイプを開く
この手順では、特定のファイルタイプを開くことができるアプリケーションをインストールします。
前提条件
- ファイルシステムで、必要なファイルタイプのファイルにアクセスできます。
手順
- 現在システムにインストールされていないアプリケーションに関連するファイルを開いてみてください。
- GNOME は、ファイルを開くことができる適切なアプリケーションを自動的に識別し、アプリケーションのダウンロードを提供します。
3.4. GNOME への RPM パッケージのインストール
この手順では、手動でファイルとしてダウンロードした RPM ソフトウェアパッケージをインストールします。
手順
- 必要な RPM パッケージをダウンロードします。
ファイル アプリケーションで、ダウンロードした RPM パッケージを保存するディレクトリーを開きます。
注記デフォルトでは、ダウンロードしたファイルは
/home/user/Downloads/
ディレクトリーに保存されます。- RPM パッケージのアイコンをダブルクリックしてインストールします。
3.5. GNOME のアプリケーション検索からアプリケーションのインストール
この手順では、GNOME アプリケーション検索で見つかったグラフィカルアプリケーションをインストールします。
手順
- アクティビティーの概要 画面を開きます。
search entry (検索ワードを入力) に、必要なアプリケーションの名前を入力します。
GNOME は、リポジトリーでアプリケーションを自動的に検出し、アプリケーションのアイコンを表示します。
アプリケーションのアイコンをクリックして、GNOME ソフトウェア を開きます。
アプリケーションのアイコンを再度クリックします。
- インストール をクリックして、GNOME ソフトウェア でインストールを終了します。
3.6. 関連情報
- コマンドラインでソフトウェアをインストールする場合は、yum でソフトウェアのインストール を参照してください。
第4章 GNOME を使用した更新のためのシステムの登録
システムのソフトウェア更新を取得するには、システムを登録する必要があります。本セクションでは、GNOME を使用してシステムを登録する方法を説明します。
前提条件
Red Hat カスタマーポータルの有効なアカウント
新規ユーザー登録は、Red Hat アカウントの作成 ページを参照してください。
- アクティベーションキーを使用してシステムを登録する場合は、アクティベーションキーまたはキー
- 登録サーバーを使用してシステムを登録する場合は、登録サーバー
4.1. GNOME での Red Hat アカウントを使用したシステム登録
以下の手順に従って、システムを Red Hat アカウントに登録します。
前提条件
Red Hat カスタマーポータルで有効なアカウント
新規ユーザー登録は、Red Hat アカウントの作成 ページを参照してください。
手順
画面の右上隅からアクセスできる システムメニュー を開き、設定 アイコンをクリックします。
- Details → About セクションで、Register をクリックします。
- Registration Server を選択します。
- Red Hat サーバーを使用しない場合は、URL フィールドにサーバーアドレスを入力します。
- Registration Type メニューで、Red Hat Account を選択します。
Registration Details で以下を行います。
- Login フィールドに、Red Hat アカウントのユーザー名を入力します。
- Password フィールドに、Red Hat アカウントのパスワードを入力します。
- Organizaiton フィールドに組織の名前を入力します。
- Register をクリックします。
4.2. GNOME でのアクティベーションキーを使用したシステム登録
以下の手順に従って、システムをアクティベーションキーに登録します。組織の管理者からアクティベーションキーを取得できます。
前提条件
アクティベーションキーまたはキー。
新しい アクティベーションキー を作成するには、アクティベーションキーページを参照してください。
手順
画面の右上隅からアクセスできる システムメニュー を開き、設定 アイコンをクリックします。
- Details → About セクションで、Register をクリックします。
- Registration Server を選択します。
- Red Hat サーバーを使用しない場合は、URL フィールドにサーバーアドレスを入力します。
- Registration Type メニューで、Activation keys を選択します。
Registration Details で以下を行います。
アクティベーションキーフィールドにアクティベーション キーを入力します。
キーをコンマ (
,
) で区切ります。- 組織 フィールドに組織の名前または ID を入力します。
- Register をクリックします。
4.3. GNOME を使用したシステムの登録解除
以下の手順に従って、システムの登録を解除します。登録解除後、システムはソフトウェアの更新を受け取らなくなります。
手順
画面の右上隅からアクセスできる システムメニュー を開き、設定 アイコンをクリックします。
Details → About セクションで Details をクリックします。
登録の詳細 画面が表示されます。
登録解除 をクリックします。
システムの登録解除による影響に関する警告が表示されます。
- 登録解除 をクリックします。
4.4. 関連情報
第5章 デスクトップにリモートでアクセス
リモートクライアントから RHEL サーバーのデスクトップに接続できます。
5.1. リモートデスクトップのアクセスオプション
RHEL は、デスクトップにリモートで接続するオプションを複数提供します。各オプションは、異なるユースケースに対応します。
- GNOME ツールを使用したシングルユーザーアクセス
この方法では、グラフィカルな GNOME アプリケーションを使用したクライアントおよびサーバーでのリモートアクセスを有効にします。一度に 1 人のユーザーのみが、サーバーのデスクトップに接続できるように、Virtual Network Computing (VNC) セッションを設定します。
セッションタイプに応じて、この方法は異なるコンポーネントを使用して画面共有を実装します。
-
X11 セッションでは、
vino
コンポーネントを使用します。 Wayland セッションでは、
gnome-remote-desktop
コンポーネントを使用します。このメソッドは、常にディスプレイ番号 0 を使用します。これにより、VNC セッションはサーバーシステムにログインしたユーザーに常に接続します。
VNC クライアントアプリケーションは
tls_anon
接続をサポートする必要があります。たとえば、Linux システムで Remote Desktop Viewer (vinagre
) アプリケーションを使用できます。RealVNC などの Microsoft Windows クライアントから接続できるようにするには、サーバーで VNC 暗号化を無効にする必要があります。
-
X11 セッションでは、
- コマンドラインツールを使用したマルチユーザーアクセス
この方法では、複数のリモートクライアントが並行してサーバーに接続できるように VNC セッションを設定します。まず、コマンドラインツールを使用して、クライアントとサーバーで VNC アクセスを有効にする必要があります。
VNC クライアントアプリケーションは、この方法を使用して設定したサーバーに接続できます。
- SSH を介した X11 転送を使用した単一アプリケーションへのアクセス
この方法では、サーバーで個別のグラフィカルを起動するクライアントで SSH コマンドを実行します。クライアントでアプリケーションウィンドウが開きます。
この方法は、完全なリモートデスクトップセッションを必要としない場合に役立ちます。
5.2. シングルユーザーとしてデスクトップにリモートでアクセス
グラフィカル GNOME アプリケーションで、RHEL サーバー上のデスクトップにリモートから接続できます。一度に 1 人のユーザーのみが、サーバーのデスクトップに接続できます。
5.2.1. GNOME を使用したサーバーでのデスクトップ共有の有効化
この手順では、1 台のクライアントからリモートデスクトップ接続を有効にするように RHEL サーバーを設定します。
前提条件
GNOME リモートデスクトップサービスがインストールされている。
# yum install gnome-remote-desktop
手順
サーバーへの VNC アクセスを有効にするためにファイアウォールルールを設定します。
# firewall-cmd --permanent --add-service=vnc-server success
ファイアウォールルールを再読み込みします。
# firewall-cmd --reload success
- GNOME で 設定 を開きます。
共有 メニューに移動します。
スクリーンの共有 をクリックします。
画面の共有設定が開きます。
ウィンドウヘッダーのスイッチボタンをクリックして、画面の共有を有効にします。
- Allow connection to control the screen チェックボックスを選択します。
- アクセスオプション で、パスワードを要求する オプションを選択します。
Password フィールドにパスワードを設定します。
サーバー上のデスクトップに接続する場合は、リモートクライアントがこのパスワードを入力する必要があります。
5.2.2. GNOME を使用した共有デスクトップへの接続
この手順では、Remote Desktop Viewer アプリケーション (vinagre
) を使用してリモートデスクトップセッションに接続します。これは、サーバーに現在ログインしているユーザーのグラフィカルセッションに接続します。
前提条件
- ユーザーがサーバー上の GNOME グラフィカルセッションにログインしている。
- デスクトップ共有がサーバーで有効になっている。詳細は 「GNOME を使用したサーバーでのデスクトップ共有の有効化」 を参照してください。
手順
クライアントに Remote Desktop Viewer アプリケーションをインストールします。
# yum install vinagre
-
Remote Desktop Viewer アプリケーション (
vinagre
) を起動します。 Connect をクリックします。
- Protocol メニューで VNC を選択します。
Host フィールドにサーバーの IP アドレスを入力します。
- Connect をクリックします。
検証手順
- クライアントで、共有サーバーのデスクトップが表示されていることを確認します。
サーバーで、画面共有インジケーターが上部パネルの右側に表示されます。
システムメニューで画面共有を制御できます。
5.2.3. GNOME VNC で暗号化の無効化
暗号化は、GNOME リモートデスクトップソリューションで無効にできます。これにより、サーバーに接続するための暗号化をサポートしない VNC クライアントが有効になります。
手順
サーバーユーザーとして、
org.gnome.desktop.remote-desktop.vnc
GSettings スキーマの暗号化
キーを'none'
に設定します。$ gsettings set org.gnome.desktop.remote-desktop.vnc encryption "['none']"
必要に応じて、Red Hat は、SSH を介して VNC 接続を VNC ポートにトンネルすることを推奨します。これにより、SSH トンネルは接続を暗号化された状態にします。
以下に例を示します。
クライアントで、ポート転送を設定します。
# ssh -N -T -L 5901:server-ip-address:5901 user@server-ip-address
-
localhost:5901
アドレスの VNC セッションに接続します。
5.3. 複数のユーザーとしてデスクトップにリモートアクセス
RHEL サーバーのデスクトップにリモートから接続し、別のユーザーとして複数のセッションを同時に開くことができます。
次の手順は、RHEL 8.3 以降に適用されます。RHEL 8.0 - 8.2 を使用している場合は、How to configure user specific VNC Server in Red Hat Enterprise Linux 8.0 - 8.2? を参照してください。
前提条件
VNC サーバーをインストールします。
# yum install tigervnc-server
VNC クライアントをインストールします。
# yum install tigervnc
5.3.1. VNC でのユーザーへのポートおよび表示番号のマッピング
VNC を使用すると、クライアントはサーバーの異なるユーザーのデスクトップセッションに接続できます。ディスプレイ番号と TCP ポート番号は、VNC セッションをエクスポートする各サーバーユーザーに割り当てられます。クライアントはポート番号を使用して、接続するサーバーユーザーを指定します。
複数のクライアントが同じポート番号を使用して接続している場合は、すべてのクライアントが VNC セッションを同じサーバーユーザーで開きます。
VNC セッションをエクスポートする各サーバーユーザーにマッピングを設定する必要があります。このようなユーザーはすべて、一意のポートとディスプレイ番号を選択する必要があります。
推奨されるマッピング
Red Hat では、最初のユーザーに対してポート番号 5902 およびディスプレイ番号 2 を使い始め、その後のユーザーにはその数を 1 つずつ増やしていくことを推奨します。
ポート番号 5900 およびディスプレイ番号 0 は、現在グラフィカルセッションにログインしているサーバーユーザーを表します。グラフィカルセッションにすでにログインしているユーザーの VNC サーバーを開始することはできません。
表5.1 ポートとディスプレイ番号のペア
ポート番号 | ディスプレイ番号 | 備考 |
---|---|---|
5900 | 0 | ログインしているユーザー |
5901 | 1 | |
5902 | 2 | 最初に推奨される VNC ユーザー |
5903 | 3 | |
… | … |
Red Hat は、VNC セッションをエクスポートするように root
ユーザーを設定しないことを推奨します。root
VNC セッションは安全でないため、セッションの特定要素が期待どおりに機能しない可能性があります。
ファイアウォールのルール
ファイアウォール設定で選択したポートを開く必要があります。ファイアウォールで vnc-server
サービスを許可すると、5900 から 5903 にポートが開きます。追加のサーバーユーザーへのアクセスを有効にする必要がある場合は、手動でポート番号を指定して 5903 を超えるポートを開く必要があります。
5.3.2. VNC サーバー設定ファイル
複数の設定ファイルが VNC サーバーの動作に影響します。ユーザーマッピングとさまざまなグローバルオプションを設定できます。
一般的なオプション
VNC サーバーの一般的なオプションは、/etc/tigervnc/vncserver-config-defaults
設定ファイルで設定できます。ファイルは、以下の形式を使用します。
option1=value option2
以下に例を示します。
session=gnome alwaysshared securitytypes=vncauth,tlsvnc desktop=sandbox geometry=2000x1200
設定ファイルの優先順位
VNC サーバーは、降順の重要度で、一般オプションに対して以下のファイルを読み込みます。
/etc/tigervnc/vncserver-config-mandatory
このファイルは、デフォルト設定に置き換わるもので、ユーザー別の設定よりも優先度が高くなります。これは、特定の VNC オプションを適用するシステム管理者を対象としています。
$HOME/.vnc/config
個々のユーザーは、このファイルでデフォルトの VNC 設定をオーバーライドできます。
/etc/tigervnc/vncserver-config-defaults
このファイルは、デフォルトの VNC 設定を保管します。
ユーザーマッピング
/etc/tigervnc/vncserver.users
設定ファイルで、ユーザーと関連するポートとディスプレイ番号のマッピングを設定できます。ファイルは、以下の形式を使用します。
:number=user
以下に例を示します。
:2=test :3=vncuser
関連情報
-
利用可能な設定オプションのリストは、
Xvnc(1)
の man ページを参照してください。
5.3.3. サーバーでマルチユーザー VNC アクセスの有効化
この手順では、複数のユーザーが同時に VNC セッションを開くように RHEL サーバーを設定します。
前提条件
systemd
ユニットファイルを使用して VNC を設定している場合は、古い VNC 設定を削除します。[root]# rm /etc/systemd/system/vncserver@.service
手順
ユーザーをディスプレイとポート番号にぱっします。
/etc/tigervnc/vncserver.users
設定ファイルで、VNC セッションをエクスポートする各サーバーユーザーに行を追加します。:user-number=user-name
- user-number を、選択した既存ユーザーにマッピングされたポートおよびディスプレイ番号に置き換えます。
- user-name を、選択した既存ユーザーのユーザー名に置き換えます。
以下に例を示します。
:2=vncuser
ファイアウォールで TCP ポート 5900 から 5903 を開きます。
[root]# firewall-cmd --permanent --add-service=vnc-server
ファイアウォールルールを再読み込みします。
[root]# firewall-cmd --reload
以下の行を
/etc/tigervnc/vncserver-config-defaults
設定ファイルに追加します。session=gnome alwaysshared
この設定には、以下の影響があります。
- VNC サーバーは、リモートユーザーがログインすると GNOME セッションを開始します。
- 複数のユーザーが同時に VNC サーバーに接続できます。
VNC セッションをエクスポートする各サーバーユーザーとして、ユーザーの VNC パスワードを設定します。
[regular-user]$ vncpasswd
サーバー上のデスクトップに接続する場合は、リモートクライアントがこのパスワードを入力する必要があります。
ユーザーに VNC を設定している場合は、設定ファイルに正しい SELinux コンテキストがあることを確認します。
[regular-user]$ restorecon -RFv ~/.vnc
通常ユーザーの VNC サーバーユニットを有効にして起動します。
[root]# systemctl enable --now vncserver@:user-number
サーバーがプロプライエタリー Nvidia ドライバーを使用する場合は、Wayland を無効にします。
-
/etc/gdm/custom.conf
設定ファイルのWaylandEnable=False
行のコメントを解除します。 -
DefaultSession=gnome-xorg.desktop
オプションを、設定ファイルの[daemon]
セクションに追加します。 - サーバーを再起動します。
-
関連情報
- 複数のサーバーユーザーへの VNC アクセスを有効にするには、5903 を超える TCP ポートを開きます。詳細は、Opening a port using CLI または Opening ports using GUI を参照してください。
5.3.4. 複数のユーザーとして VNC サーバーへの接続
この手順では、vncviewer
アプリケーションを使用してリモートデスクトップセッションに接続します。リモートデスクトップへの複数の接続を同時に開くことができます。
前提条件
- 複数のユーザーのデスクトップアクセスが、サーバーで有効になります。詳細は 「サーバーでマルチユーザー VNC アクセスの有効化」 を参照してください。
手順
VNC サーバーに接続します。
$ vncviewer --shared server-ip:display
- server-ip を、接続しているサーバーの IP アドレスに置き換えます。
- display を、サーバーユーザーが VNC セッションをエクスポートするディスプレイ番号に置き換えます。
5.4. 個々のアプリケーションへのリモートアクセス
RHEL サーバーでグラフィカルなアプリケーションをリモートから起動し、X11 転送を使用して、リモートクライアントから使用できます。
5.4.1. サーバーでの X11 転送の有効化
リモートクライアントが SSH 経由でサーバー上のグラフィカルアプリケーションを使用できるように、RHEL サーバーを設定します。
手順
基本的な X11 パッケージをインストールします。
# yum install xorg-x11-xauth xorg-x11-fonts-\* xorg-x11-utils dbus-x11
注記アプリケーションは、追加のグラフィカルライブラリーに依存する場合があります。
/etc/ssh/sshd_config
設定ファイルでX11Forwarding
オプションを有効にします。X11Forwarding yes
このオプションは、RHEL ではデフォルトで無効になっています。
sshd
サービスを再起動します。# systemctl restart sshd.service
5.4.2. X11 転送を使用したリモートからのアプリケーションの起動
SSH を使用して、リモートクライアントから RHEL サーバー上のグラフィカルアプリケーションにアクセスします。
前提条件
- そのサーバーで SSH での X11 転送が有効になります。詳細は 「サーバーでの X11 転送の有効化」 を参照してください。
X11 ディスプレイサーバーがシステムで実行されていることを確認します。
- RHEL では、グラフィカルインターフェイスで X11 がデフォルトで利用できます。
- Microsoft Windows に、Xming などの X11 サーバーをインストールします。
- macOS に、XQuartz X11 サーバーをインストールします。
- OpenSSH サーバーを設定および再起動しました。詳しくは、OpenSSH サーバーの設定と開始 を参照してください。
手順
SSH を使用してサーバーにログインします。
[local-user]$ ssh -X -Y remote-server The authenticity of host 'remote-server (192.168.122.120)' can't be established. ECDSA key fingerprint is SHA256:uYwFlgtP/2YABMHKv5BtN7nHK9SHRL4hdYxAPJVK/kY. Are you sure you want to continue connecting (yes/no/[fingerprint])?
フィンガープリントをチェックして、サーバーキーが有効であることを確認します。
注記サーバーに定期的にログインする場合は、
ssh-copy-id
コマンドを使用して、ユーザーの公開鍵をサーバーに追加します。yes と入力して、接続を続行します。
Warning: Permanently added 'remote-server' (ECDSA) to the list of known hosts.
プロンプトが表示されたら、サーバーのパスワードを入力します。
local-user's password: [local-user ~]$
コマンドラインからアプリケーションを起動します。
[remote-user]$ application-binary
中間ターミナルセッションをスキップするには、次のコマンドを使用します。
$ ssh user@server -X -Y -C binary_application
第6章 具体的な GNOME の設定
6.1. GNOME 設定の概要
次のコンポーネントは、GNOME デスクトップ環境に設定を保存します。
- GSettings
- GNOME アプリケーション設定用の高レベル API。
dconf
データベース- GNOME 設定を保存するためのキーベースの Binary Large Object (BLOB) データベース。GDM、アプリケーション、プロキシー設定などのユーザー設定を管理し、GSettings のバックエンドとして機能します。
次のいずれかのツールを使用して、GSettings 値を表示および編集できます。
- dconf-editor グラフィカルアプリケーション
- dconf-editor は、設定および編集を確認する GUI を提供します。設定の階層はツリービューで表示され、説明、タイプ、デフォルト値などの各設定の追加情報も表示します。
gsettings
コマンドラインユーティリティー-
gsettings
ユーティリティーを使用すると、dconf
の値を表示および設定できます。gsettings
ユーティリティーは、コマンドおよび設定の Bash 補完に対応します。このツールを使用すると、シェルスクリプトでの設定を自動化することもできます。 dconf
コマンドラインユーティリティーdconf
データベースとの間で個々の値またはディレクトリー全体を読み書きするために使用されるコマンドラインユーティリティーです。警告ユーザーまたはアプリケーション開発者は、
dconf
ユーティリティーを直接使用しないでください。dconf
値を操作するには、常に dconf エディター アプリケーションまたはgsettings
ユーティリティーを使用します。dconf
を直接使用する唯一の例外は、システム全体のデフォルト設定を設定する場合です。これは、他のツールではそのような設定を操作できないためです。
これらのツールは次の機能を共有します。
- システムおよびアプリケーション設定のオプションの閲覧および変更
- 設定の変更
- 両方のツールは、現在のユーザーの GSettings データベースの閲覧および変更を目的としているため、通常ユーザーによって実行される
図6.1 org.gnome.desktop.background
キーを表示する dconf エディター
6.2. GSettings のスキーマとキー
GSettings データベースは、すべての設定をスキーマとキーのツリーに保存します。
- キーには、設定の特定の値が保存されます。
- スキーマは、各設定とそのデフォルト値の概要と説明を含む、関連する設定のグループとサブグループを定義します。
通常、GSettings データベース内の各スキーマには、特定の既知のパスが関連付けられています。ただし、状況によってはスキーマが 再配置可能 であるため、GSettings データベース内の複数のパスにスキーマを適用できます。再配置可能なスキーマは、任意の数のインスタンスを持つことができます。たとえば、これはスキーマでアカウントが記述されており、GSettings に任意の数のアカウントを保存できるようにしたい場合に便利です。
スキーマパスは通常、設定されたプログラムまたはライブラリーに関連付けられたドメイン名を指します。
gsettings
ユーティリティーは、キーがスペースで区切られた形式でスキーマとキーを指定します。
domain.name key
スキーマが再配置可能な場合は、スキーマ名の後にパスも指定する必要があります。
domain.name:path key
dconf
ユーティリティーは、スキーマとキーを単一のスラッシュで区切られた文字列として指定します。
/domain/name/key
例6.1 ファイルのフォルダー表示設定
次の形式を使用して、Files アプリケーションのフォルダービューを制御する設定にアクセスできます。
gsettings
を使用する場合:
org.gnome.nautilus.preferences default-folder-viewer
dconf
を使用する場合:
/org/gnome/nautilus/preferences/default-folder-viewer
6.3. GSettings 値
各 GSettings キーは、特定の設定の値を GVariant データ型として保存します。キーの値を変更するには、GVariant テキスト形式で値を指定する必要があります。
GVariant は次のデータ型をサポートします。
データのタイプ | GVariant テキスト形式の例 |
---|---|
Boolean |
|
String |
|
Number |
|
タプル |
|
アレイ |
|
辞書 |
|
バリアント |
|
Maybe |
|
バイト文字列 |
|
6.4. ユーザーおよびシステムの GNOME 設定の管理
dconf データベースは、システム管理者とユーザーに GNOME 設定に対するいくつかのレベルの制御を提供します。
- 管理者は、すべてのユーザーに適用されるデフォルト設定を定義できます。
- ユーザーは、各自の設定でデフォルトを上書きできます。
- 管理者は、設定をロックして、ユーザーが上書きできないようにすることもできます。
6.5. dconf プロファイル
dconf
プロファイルは、dconf
システムが収集するシステムのハードウェアおよびソフトウェアの設定データベースの一覧です。
dconf
プロファイルを使用すると、同一のシステムを比較して、ハードウェアまたはソフトウェアの問題をトラブルシューティングすることができます。
dconf
システムは、/etc/dconf/profile/
ディレクトリー、または他の場所にあるテキストファイルのプロファイルを格納します。$DCONF_PROFILE
環境変数は、/etc/dconf/profile/
からファイルへの相対パス、またはユーザーのホームディレクトリーなどからの絶対パスを指定できます。
dconf
プロファイルに設定されたキーペアはデフォルト設定をオーバーライドすることに注意してください。
起動時に、dconf
は $DCONF_PROFILE
環境を確認し、開こうとしている dconf
プロファイルの名前を見つけます。その結果は、変数が設定されているかどうかによって異なります。
-
変数が設定されていると、
dconf
は変数に設定されたプロファイルを開こうとし、失敗すると停止します。 -
変数が設定されていないと、
dconf
はuser
という名前のプロファイルを開こうとし、失敗すると内部に組み込まれた設定を使用します。
dconf
プロファイルでは、1 つの dconf
データベースを 1 行で指定します。
最初の行は、変更の書き込みに使用するデータベースを示します。残りの行は読み取り専用データベースを示します。
以下は、/etc/dconf/profile/user
に格納されるプロファイルの例になります。
user-db:user system-db:local system-db:site
この例では、dconf
プロファイルは 3 つのデータベースを指定します。
user
-
~/.config/dconf
にあるユーザーデータベースの名前 ローカル
とサイト
-
システムデータベース (
/etc/dconf/db/
にあります)
セッションの dconf
プロファイルはログイン時に決定するため、新しい dconf
ユーザープロファイルをユーザーのセッションに適用するには、一度ログアウトしてログインし直す必要があります。
6.6. カスタムデフォルト値の設定
dconf
プロファイル内のキーのデフォルトを指定することで、マシン全体のデフォルト設定を設定できます。ユーザーはこれらのデフォルトをオーバーライドできます。
手順
設定する設定の GSettings スキーマ、キー、および許可される値を特定します。
dconf エディター アプリケーションまたは
gsettings
ユーティリティーを使用できます。gsettings
の詳細は、コマンドラインで GSettings キーの設定 を参照してください。/etc/dconf/profile/user
設定ファイルでユーザープロファイルが有効になっていることを確認します。user-db:user system-db:local
/etc/dconf/db/local.d/
ディレクトリーにデフォルト設定のプレーンテキストキーファイルを作成します。設定を表すファイル名を選択します。ファイル名は通常、
/etc/dconf/db/local.d/01-background
のように数字で始まります。キーファイルでは、次の形式でデフォルト設定を指定します。
[path/to/schema] key-name=value another-key-name=another-value
重要ここでは、スキーマコンポーネントをドット (
.
) ではなくスラッシュ (/
) で区切ります。例6.2 デフォルトの背景
たとえば、デフォルトのデスクトップの背景を設定するには、
/etc/dconf/db/local.d/01-background
で次の設定を指定します。[org/gnome/desktop/background] picture-uri='file:///usr/local/share/backgrounds/wallpaper.jpg' 1 picture-options='scaled' 2 primary-color='000000' 3 secondary-color='FFFFFF' 4
システムデータベースを更新します。
# dconf update
- 変更を有効にするには、ユーザーはログアウトしてから再度ログインする必要があります。
関連情報
-
ユーザープロファイルが作成されることを防ぐ必要がある場合は、
dconf
ユーティリティーを使用して、dconf
データベース間で個々の値やディレクトリー全体の読み取りおよび書き込みを行うことができます。詳細は、dconf(1)
の man ページを参照してください。
6.7. 特定設定のロックダウン
デフォルトでは、ユーザーが行った設定はシステム設定よりも優先されます。したがって、ユーザーはシステム設定を独自の設定で上書きできます。ユーザーが特定の設定を変更できないように、dconf
でロックダウンモードを使用できます。
手順
-
/etc/dconf/db/local.d/locks/
ディレクトリーを作成します。 - このディレクトリーに、ロックするキーをリストしたファイルの任意の数を追加します。
例6.3 デフォルトの壁紙の設定のロック
- デフォルトの壁紙を設定します。
-
/etc/dconf/db/local.d/locks/
ディレクトリーを作成します。 次の内容で
/etc/dconf/db/local.d/locks/00-default-wallpaper
ファイルを作成し、1 行に 1 つのキーをリストします。# Prevent users from changing values for the following keys: /org/gnome/desktop/background/picture-uri /org/gnome/desktop/background/picture-options /org/gnome/desktop/background/primary-color /org/gnome/desktop/background/secondary-color
システムデータベースを更新します。
# dconf update
6.8. NFS でユーザー設定の保存
NFS ホームディレクトリーを使用するシステムで GNOME を使用する場合は、dconf
データベースの keyfile
バックエンドを設定する必要があります。そうしないと、dconf
が正常に機能しない可能性があります。この設定では、dconf
は設定を ~/.config/dconf-keyfile/user
ファイルに保存します。
手順
システムに
glib2-fam
パッケージがインストールされていることを確認します。# yum install glib2-fam
このパッケージがインストールされていないと、リモートマシンで変更した設定に関する通知が適切に表示されません。
-
すべてのクライアントで
/etc/dconf/profile/user
ファイルを作成または編集します。 /etc/dconf/profile/user
ファイルの先頭に、次の行を追加します。service-db:keyfile/user
ユーザーはログアウトしてから再度ログインする必要があります。
dconf
はkeyfile
バックエンドをポーリングして更新が行われたかどうかを判断するため、設定がすぐに更新されない可能性があります。
6.9. コマンドラインで GSettings キーの設定
gsettings
ユーティリティーを使用して、GSettings キーを設定、操作、管理できます。gsettings
ユーティリティーの使用を含むユースケースの例を以下に示します。
6.9.1. キーの値の設定
$ gsettings set SCHEMA[:PATH] KEY VALUE
値はシリアル可能な GVariant として指定されることに注意してください。
操作が成功した場合、コマンドは出力を表示しません。この変更は即座に有効になります。
例6.4 選択したアプリケーションをお気に入りのアプリケーションに追加する
$ gsettings set org.gnome.shell favorite-apps \ "['firefox.desktop', 'evolution.desktop', 'rhythmbox.desktop']"
6.9.2. キー変更の監視
キーの変更を監視し、変更した値を出力するには、次のコマンドを実行します。
$ gsettings monitor SCHEMA[:PATH] [KEY]
KEY
引数を指定しない場合、スキーマ内のすべてのキーがモニターされます。プロセスを停止するまでモニタリングは継続されます。
例6.5 favorite applications キー変更の監視
お気に入りのアプリケーションの変更をモニタリングするには、以下のようにします。
favorite-apps
キーをモニターします。$ gsettings monitor org.gnome.shell favorite-apps
別の端末で、
favorite-apps
キーを変更します。$ gsettings set org.gnome.shell favorite-apps \ "['firefox.desktop', 'evolution.desktop', 'rhythmbox.desktop']"
その結果、最初のターミナルのコマンドは、
favorite-apps
キーが変更されたという通知を表示します。favorite-apps: ['firefox.desktop', 'evolution.desktop', 'rhythmbox.desktop']
6.9.3. キーが書き込み可能かどうかを確認する
$ gsettings writable SCHEMA[:PATH] KEY
例6.6 favoriate applications キーが書き込み可能であるかを確認
次のキーは書き込み可能です。
$ gsettings writable org.gnome.shell favorite-apps True
6.9.4. キーの有効な値のリスト
$ gsettings range SCHEMA[:PATH] KEY
例6.7 remember-mount-password キー値の有効な範囲の確認
次のキーにはブール値が格納されます。
$ gsettings range org.gnome.shell remember-mount-password type b
詳細は、GVariant Format Strings を参照してください。
6.9.5. キーの説明を表示する
$ gsettings describe SCHEMA[:PATH] KEY
例6.8 picture-uri
キーの説明の表示
$ gsettings describe org.gnome.desktop.screensaver picture-uri URI to use for the background image. Note that the backend only supports local `file://` URIs.
6.9.6. キーの値を表示する
$ gsettings get SCHEMA[:PATH] KEY
値はシリアル可能な GVariant として表示されることに注意してください。
例6.9 remember-mount-password
キー値のクエリー
$ gsettings get org.gnome.shell remember-mount-password false
6.9.7. キーの値をリセットする
$ gsettings reset SCHEMA[:PATH] KEY
リセットが成功した場合、コマンドは出力を表示しません。
デフォルト値は、dconf
および gsettings-desktop-schemas
ファイルに保存されます。
例6.10 lock-delay キーのデフォルト値へのリセット
lock-delay
キーのデフォルト値は 0 で、/usr/share/glib-2.0/schemas/org.gnome.desktop.screensaver.gschema.xml
ファイルに格納されています。
$ gsettings reset org.gnome.desktop.screensaver lock-delay
このコマンドを実行すると、lock-delay
の値が 0 に設定されます。
6.9.8. スキーマ全体をリセットする
$ gsettings reset-recursively SCHEMA[:PATH]
例6.11 org.gnome.desktop.screensaver
スキーマをデフォルト値にリセット
$ gsettings reset-recursively org.gnome.desktop.screensaver
このコマンドを実行すると、lock-delay
の値は 0 にリセットされ、ユーザーが変更した org.gnome.desktop.screensaver
スキーマ内のその他のキーもデフォルト値にリセットされます。
6.9.9. インストール済みで再配置不能なスキーマのリスト表示
$ gsettings list-schemas
例6.12 インストール済みで再配置不能なスキーマのリスト表示
システムにインストールされている再配置不能なスキーマのリストを表示するには、次のコマンドを実行します。
$ gsettings list-schemas org.gnome.rhythmbox.library org.gnome.shell.overrides org.gnome.system.proxy.https org.gnome.clocks org.gnome.eog.fullscreen org.gnome.login-screen org.gnome.eog.view ...
6.9.10. スキーマ内のすべてのキーをリストする
$ gsettings list-keys SCHEMA[:PATH]
例6.13 org.gnome.shell
スキーマ内のすべてのキーのリストを表示する
$ gsettings list-keys org.gnome.shell enabled-extensions command-history remember-mount-password always-show-log-out had-bluetooth-devices-setup looking-glass-history disable-user-extensions app-picker-view disable-extension-version-validation development-tools favorite-apps ...
6.9.11. スキーマ内にネストされたすべてのスキーマのリスト
$ gsettings list-children SCHEMA[:PATH]
スキーマに他のスキーマが含まれていない場合、リストは空であることに注意してください。
例6.14 org.gnome.shell スキーマ内のスキーマのリスト
$ gsettings list-children org.gnome.shell keyboard org.gnome.shell.keyboard keybindings org.gnome.shell.keybindings
6.9.12. スキーマ内のキーと値を再帰的にリストする
$ gsettings list-recursively [SCHEMA[:PATH]]
スキーマを指定しない場合、コマンドはすべてのスキーマ内のすべてのキーをリストします。
例6.15 システム上のすべてのキーと値を再帰的にリストする
$ gsettings list-recursively org.gnome.nautilus.desktop network-icon-visible false org.gnome.nautilus.desktop font '' org.gnome.nautilus.desktop network-icon-name 'Network Servers' org.gnome.nautilus.desktop home-icon-name 'Home' org.gnome.nautilus.desktop volumes-visible true org.gnome.Vinagre always-enable-listening false org.gnome.Vinagre always-show-tabs false org.gnome.Vinagre show-accels false org.gnome.Vinagre history-size 15 org.gnome.Vinagre shared-flag true ...
6.10. 確認
このテキストの一部は、GNOME Desktop System Administration Guide に最初に登場しました (Copyright © 2014 The GNOME Project, Michael Hill, Jim Campbell, Jeremy Bicha, Ekaterina Gerasimova, minnie_eg, Aruna Sankaranarayanan, Sindhu S, Shobha Tyagi, Shaun McCance, David King, and others)。ライセンスは Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 Unported License です。
GNOME コミュニティーメンバー方々の GNOME Desktop System Administration Guide への貢献に、Red Hat Enterprise Linux 8 の編集者一同感謝いたします。
第7章 ファイル関連付けの設定
本セクションでは、RHEL を設定して、異なる形式でファイルを開くか、アクセスする方法を説明します。
GNOME では、MIME (Multipurpose Internet Mail Extension) タイプを使用して、これらのファイルを開くために使用するファイルおよびアプリケーションの形式を特定するのに役立ちます。
7.1. 多目的インターネットメール拡張の種類
GNOME デスクトップは MIME タイプを使用して次のことを行います。
- デフォルトで特定のファイル形式を開くアプリケーションを決定します。
- 特定の形式のファイルを開くことができる他のアプリケーションを登録します。
- ファイルアプリケーションのファイルプロパティーダイアログなどで、ファイルのタイプを記述する文字列を設定します。
- ファイルアプリケーションのファイルプロパティーダイアログなどで、特定のファイル形式を表すアイコンを設定します。
MIME タイプ名は指定された形式に従います。
media-type/subtype-identifier
たとえば、image/jpeg
です。
ここで、image
はメディアタイプで、jpeg
はサブタイプ識別子です。
GNOME は、Freedesktop.org からの MIME (Multipurpose Internet Mail Extension) 情報仕様に従って以下を特定します。
- すべての MIME タイプ仕様ファイルを保存するためのマシン全体およびユーザー固有の場所。
- 特定のファイル形式を開くために使用できるアプリケーションをデスクトップ環境で認識できるように MIME タイプを登録する方法。
- どのアプリケーションをどのファイル形式で開くかを変更する方法。
MIME データベース
MIME データベースは、GNOME が既知の MIME タイプの情報を保存するために使用するすべての MIME タイプ仕様ファイルのコレクションです。
システム管理者の観点から見た MIME データベースの最も重要な部分は、/usr/share/mime/packages/
ディレクトリーです。ここには、既知の MIME タイプに関する情報を指定する MIME タイプ関連のファイルが保存されます。このようなファイルの例として、/usr/share/mime/packages/freedesktop.org.xml
があります。デフォルトでは、システムで利用可能な標準 MIME タイプの情報が指定されます。Shared-mime-info パッケージがこのファイルを提供します。
関連情報
- MIME タイプシステムの詳細は、Freedesktop の Web サイト の Shared MIME Info 仕様を参照してください。
7.2. 全ユーザー用のカスタム MIME タイプの追加
/usr/share/mime/packages/
ディレクトリーに新規の MIME タイプ仕様ファイルを作成し、/usr/share/applications/
ディレクトリーに .desktop
ファイルを作成し、システム上の全ユーザーに対してカスタムの MIME タイプを追加し、その MIME タイプのデフォルトアプリケーションを登録する必要があります。
手順
以下の内容で
/usr/share/mime/packages/application-x-newtype.xml
ファイルを作成します。<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <mime-info xmlns="http://www.freedesktop.org/standards/shared-mime-info"> <mime-type type="application/x-newtype"> <comment>new mime type</comment> <glob pattern="*.xyz"/> </mime-type> </mime-info>
ここにあるサンプルファイル application-x-newtype.xml 例は、新しい MIME タイプ application/x-newtype を定義し、.xyz 拡張子の付いたファイル名をその MIME タイプに割り当てます。
/usr/share/applications/
に、以下のような内容で、myapplication1.desktop
などの名前の付いた新しい.desktop
ファイルを作成します。[Desktop Entry] Type=Application MimeType=application/x-newtype Name=My Application 1 Exec=myapplication1 field_code
ここで、サンプル
myapplication1.desktop
ファイルはapplication/x-newtype
MIME タイプをMy Application 1
という名前のアプリケーションに関連付けます。これは、コマンドmyapplication1
で実行します。myapplication1
の開始方法に基づいて、Desktop Entry Specification からそれぞれのフィールドコードを 1 つ選択します。たとえば、複数のファイルを開くことができるアプリケーションの場合は、次のように使用します。Exec=myapplication1 %F
root ユーザーとして、変更を有効にするために MIME データベースを更新します。
# update-mime-database /usr/share/mime
root ユーザーとして、アプリケーションデータベースを更新します。
# update-desktop-database /usr/share/applications
検証手順
*.xyz
ファイルを MIME タイプapplication/x-newtype
に正常に関連付けたことを確認するには、まず test.xyz などの空のファイルを作成し、以下のコマンドを実行します。$ touch test.xyz $ gvfs-info test.xyz | grep "standard::content-type" standard::content-type: application/x-newtype
myapplication1.desktop
が MIME タイプapplication/x-newtype
のデフォルトの登録アプリケーションとして正しく設定されていることを確認するには、以下のコマンドを実行します。$ gio mime --query application/x-newtype Default application for 'application/x-newtype': myapplication1.desktop Registered applications: myapplication1.desktop Recommended applications: myapplication1.desktop
7.3. 個別ユーザー用のカスタム MIME タイプの追加
個々のユーザーのためにカスタム MIME タイプを追加するために、~/.local/share/mime/packages/
ディレクトリーに MIME タイプ仕様ファイルを、~/.local/share/applications/
の .desktop
ファイルを作成する必要があります。
手順
~/.local/share/mime/packages/application-x-newtype.xml
ファイルを以下の内容で作成します。<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <mime-info xmlns="http://www.freedesktop.org/standards/shared-mime-info"> <mime-type type="application/x-newtype"> <comment>new mime type</comment> <glob pattern="*.xyz"/> </mime-type> </mime-info>
ここでのサンプルファイル
application-x-newtype.xml
は、新しい MIME タイプapplication/x-newtype
を定義し、.xyz
拡張子の付いたファイル名をその MIME タイプに割り当てます。たとえば
myapplication1.desktop
と名前を付けた新しい .desktop ファイルを作成し、以下の内容で~/.local/share/applications/
ディレクトリーに置きます。[Desktop Entry] Type=Application MimeType=application/x-newtype Name=My Application 1 Exec=myapplication1 field_code
上記のサンプルファイル
myapplication1.desktop
は、MIME タイプapplication/x-newtype
を My Application 1 という名前のアプリケーションに関連付けます。これは、コマンドmyapplication1
で実行します。myapplication1
の開始方法に基づいて、Desktop Entry Specification からそれぞれのフィールドコードを 1 つ選択します。たとえば、複数のファイルを開くことができるアプリケーションの場合は、次のように使用します。Exec=myapplication1 %F
変更を有効にするために MIME データベースを更新します。
$ update-mime-database ~/.local/share/mime
アプリケーションデータベースを更新します。
$ update-desktop-database ~/.local/share/applications
検証手順
*.xyz
ファイルを MIME タイプapplication/x-newtype
に正常に関連付けたことを確認するには、最初に空のファイル (例: test.xyz) を作成し、以下のコマンドを実行します。$ touch test.xyz $ gvfs-info test.xyz | grep "standard::content-type" standard::content-type: application/x-newtype
myapplication1.desktop
が MIME タイプapplication/x-newtype
のデフォルトの登録アプリケーションとしてが正しく設定されていることを確認するには、次のコマンドを実行します。$ gio mime --query application/x-newtype Default application for 'application/x-newtype': myapplication1.desktop Registered applications: myapplication1.desktop Recommended applications: myapplication1.desktop
7.4. デフォルトの MIME タイプを上書きするオプション
デフォルトで、パッケージがインストールした /usr/share/applications/mimeapps.list
および /usr/share/applications/gnome-mimeapps.list
ファイルは、特定の MIME タイプを開くために登録するアプリケーションを指定します。
システム管理者は、デフォルトの登録アプリケーションで上書きする MIME タイプのリストで、/etc/xdg/mimeapps.list
または /etc/xdg/gnome-mimeapps.list
ファイルを作成できます。
ローカルユーザーは、デフォルトの登録アプリケーションをオーバーライドする MIME タイプのリストで、~/.local/share/applications/mimeapps.list
または ~/.local/share/applications/gnome-mimeapps.list
ファイルを作成できます。
設定は、以下の順序で適用されます。
-
/usr/share/applications/
-
/etc/xdg/
-
~/.local/share/application/
特定の場所内では、設定が以下の順序で適用されます。
- mimeapps.list
- gnome-mimeapps.list
7.5. すべてのユーザーに対してデフォルトの登録アプリケーションの上書き
システム管理者は、要件に基づいて設定を更新できます。システム管理者の設定は、デフォルトのパッケージ設定よりも優先されます。それぞれで、デスクトップ固有の設定は、デスクトップ環境を指定しない設定よりも優先されます。
手順
デフォルトの登録アプリケーションを変更する MIME タイプを確認するには、
/usr/share/applications/mimeapps.list
ファイルを参照してください。たとえば、mimeapps.list
ファイルの以下のサンプルは、MIME タイプtext/html
およびapplication/xhtml+xml
のデフォルトの登録アプリケーションを指定します。[Default Applications] text/html=firefox.desktop application/xhtml+xml=firefox.desktop
上記の例では、対応する
.desktop
ファイル (firefox.desktop
) を指定してデフォルトのアプリケーション (Firefox) を指定します。その他のアプリケーションの.desktop
ファイルは、/usr/share/applications/
ディレクトリーにあります。/etc/xdg/mimeapps.list
ファイルを作成し、このファイルに MIME タイプと対応するデフォルトの登録アプリケーションを指定します。[Default Applications] text/html=myapplication1.desktop application/xhtml+xml=myapplication2.desktop
この例では、MIME タイプ
text/html
のデフォルトの登録アプリケーションをmyapplication1.desktop
に設定し、MIME タイプapplication/xhtml+xml
をmyapplication2.desktop
に設定します。
検証手順
-
これらの設定が適切に機能するには、
myapplication1.desktop
およびmyapplication2.desktop
ファイルの両方が/usr/share/applications/
ディレクトリーに置かれていることを確認します。 gio mime query
コマンドを実行して、デフォルトの登録アプリケーションが正しく設定されていることを確認します。$ gio mime text/html Default application for 'text/html': myapplication1.desktop Registered applications: myapplication1.desktop firefox.desktop Recommended applications: myapplication1.desktop firefox.desktop
7.6. 個々のユーザー用にデフォルトの登録アプリケーションの上書き
個々のユーザーは、要件に基づいて設定を更新することもできます。この設定は、システム管理者の設定よりも優先され、システム管理者の設定はパッケージ設定よりも優先されます。それぞれで、デスクトップ固有の設定は、デスクトップ環境を指定しない設定よりも優先されます。
手順
デフォルトの登録アプリケーションを変更する MIME タイプを確認するには、
/usr/share/applications/mimeapps.list
ファイルを参照してください。たとえば、mimeapps.list
ファイルの以下のサンプルは、MIME タイプtext/html
およびapplication/xhtml+xml
のデフォルトの登録アプリケーションを指定します。[Default Applications] text/html=firefox.desktop application/xhtml+xml=firefox.desktop
上記の例では、対応する
.desktop
ファイル (firefox.desktop
) を指定してデフォルトのアプリケーション (Firefox) を指定します。その他のアプリケーションの.desktop
ファイルは、/usr/share/applications/
ディレクトリーにあります。~/.local/share/applications/mimeapps.list
ファイルを作成し、このファイルに MIME タイプと対応するデフォルトの登録アプリケーションを指定します。[Default Applications] text/html=myapplication1.desktop application/xhtml+xml=myapplication2.desktop
この例では、MIME タイプ
text/html
のデフォルトの登録アプリケーションをmyapplication1.desktop
に設定し、MIME タイプapplication/xhtml+xml
をmyapplication2.desktop
に設定します。
検証手順
-
これらの設定が適切に機能するには、
myapplication1.desktop
およびmyapplication2.desktop
ファイルの両方が/usr/share/applications/
ディレクトリーに置かれていることを確認します。 gio mime query
コマンドを実行して、デフォルトの登録アプリケーションが正しく設定されていることを確認します。$ gio mime text/html Default application for 'text/html': myapplication1.desktop Registered applications: myapplication1.desktop firefox.desktop Recommended applications: myapplication1.desktop firefox.desktop
第8章 デスクトップ外観のカスタマイズ
このセクションでは、システムの管理者がシステムの各種ユーザーのデスクトップ環境の外観をカスタマイズする方法を説明します。
8.1. デスクトップ背景のカスタマイズ
システム管理者は、デフォルトのデスクトップの背景を設定したり、背景を追加したり、システムのすべてのユーザーが使用できる複数の背景を追加したりできます。
ユーザーがデフォルトの背景を変更できない場合は、locks
ディレクトリーを使用して設定をロックする必要があります。ロックしない場合は、各ユーザーは設定に応じて背景をカスタマイズできます。
8.1.1. デフォルトのデスクトップ背景のカスタマイズ
関連する GSettings キーを org.gnome.desktop.background
スキーマに設定して、デフォルトのデスクトップ背景とその外観を設定できます。
手順
システム全体の設定用に、ローカルデータベースを
/etc/dconf/db/local.d/00-background
に作成します。[org/gnome/desktop/background] picture-uri='file:///usr/local/share/backgrounds/wallpaper.jpg' 1 picture-options='scaled' 2 primary-color='000000' 3 secondary-color='FFFFFF' 4
オプション: デフォルトの背景をユーザーが変更できないようにする場合は、
/etc/dconf/db/local.d/locks/background
ファイルでユーザーの設定をオーバーライドします。# List the keys used to configure the desktop background /org/gnome/desktop/background/picture-uri /org/gnome/desktop/background/picture-options /org/gnome/desktop/background/primary-color /org/gnome/desktop/background/secondary-color
システムデータベースを更新します。
# dconf update
- システム全体の設定に変更を適用するために、ユーザーは、一度ログアウトしてログインし直す必要があります。
関連情報
- GSettings の詳細は、「GNOME 設定の概要」 を参照してください。
8.1.2. その他の背景の追加
システムユーザーが、追加の背景を利用できるようにすることができます。
手順
-
/usr/share/gnome-background-properties/extra-backgrounds.xml
ファイルを作成します。 新しいファイルで、追加の背景ファイルとその外観を以下の形式で指定します。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <!DOCTYPE wallpapers SYSTEM "gnome-wp-list.dtd"> <wallpapers> <wallpaper deleted="false"> <name>Background name</name> <filename>full-path-to-the-image</filename> <options>display-option</options> <shade_type>background-shade</shade_type> <pcolor>primary-color</pcolor> <scolor>secondary-color</scolor> </wallpaper> </wallpapers>
- 新しい背景は、Settings アプリケーションの Background セクションで、すべてのユーザーが利用できるようになりました。
8.1.3. 頻繁に使用される背景スキーマキー
以下の設定は、GSettings システムのデスクトップ背景の動作を制御します。
表8.1 頻繁に使用される GSettings および XML 背景キー
キー名 | XML 名 | 使用できる値 | 説明 |
---|---|---|---|
|
|
|
|
|
|
| 背景色のシェードを決定します。 |
|
|
デフォルト: | グラデーション時の左側または上側の色、あるいは単色時の色です。 |
|
|
デフォルト: | グラデーション時の右側または下側の色です。単色時には使用されません。 |
例8.1 1 つの <wallpaper>
要素を含む追加の背景ファイル
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <!DOCTYPE wallpapers SYSTEM "gnome-wp-list.dtd"> <wallpapers> <wallpaper deleted="false"> <name>Company Background</name> <name xml:lang="de">Firmenhintergrund</name> <filename>/usr/local/share/backgrounds/company-wallpaper.jpg</filename> <options>zoom</options> <shade_type>solid</shade_type> <pcolor>#ffffff</pcolor> <scolor>#000000</scolor> </wallpaper> </wallpapers>
例8.2 2 つの <wallpaper>
要素を含む追加の背景ファイル
1 つの設定ファイルに複数の <wallpaper>
要素を指定してその他の背景を追加することで、2 種類の背景を追加できます。2 つの <wallpaper>
要素を持つ例を以下に示します。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <!DOCTYPE wallpapers SYSTEM "gnome-wp-list.dtd"> <wallpapers> <wallpaper deleted="false"> <name>Company Background</name> <name xml:lang="de">Firmenhintergrund</name> <filename>/usr/local/share/backgrounds/company-wallpaper.jpg</filename> <options>zoom</options> <shade_type>solid</shade_type> <pcolor>#ffffff</pcolor> <scolor>#000000</scolor> </wallpaper> <wallpaper deleted="false"> <name>Company Background 2</name> <name xml:lang="de">Firmenhintergrund 2</name> <filename>/usr/local/share/backgrounds/company-wallpaper-2.jpg</filename> <options>zoom</options> <shade_type>solid</shade_type> <pcolor>#ff0000</pcolor> <scolor>#00ffff</scolor> </wallpaper> </wallpapers>
8.1.4. スクリーンシールドの設定
スクリーンシールドは、システムをロックする際に下方向にスライドする画面です。システム上のすべてのユーザーに対して、デフォルトのスクリーンシールドを設定できます。
手順
/etc/dconf/db/gdm.d/01-screensaver
ファイルを作成します。[org/gnome/desktop/screensaver] picture-uri='file:///opt/corp/background.jpg'
/opt/corp/background.jpg
を、デフォルトのスクリーンシールドとして使用するイメージファイルへの絶対パスに置き換えます。サポートされる形式は PNG、JPG、JPEG、および TGA です。スクリーンシールドは必要に応じて、画面に合わせてイメージをスケーリングすることに注意してください。システムデータベースを更新します。
# dconf update
- システム全体の設定に変更を適用するために、ユーザーは、一度ログアウトしてログインし直す必要があります。
トラブルシューティング
スクリーンシールドが更新されない場合は、以下を実行します。
システムデータベースが更新されていることを確認します。
# dconf update
GDM を再起動します。
# systemctl restart gdm.service
警告gdm
サービスを再起動すると、ログインしているすべてのデスクトップユーザーの現在実行中の GNOME セッションがすべて終了します。これにより、ユーザーが保存していないデータが失われる可能性があります。
関連情報
- GSettings および dconf についての詳細は、「GNOME 設定の概要」 を参照してください。
8.2. ログイン画面のブランディングのカスタマイズ
dconf
プロファイルを使用して、GNOME ログイン画面 (GDM) に表示されるロゴを変更できます。
前提条件
- サポート対象のいずれかの形式でイメージファイル (ANI、BPM、GIF、GTIFF、ICNS、ICO、JPEG、JPEG 2000、PCX、PNM、PBM、PGM、PPM、RAS、SVG、TGA、TIFF、WBMP、XBM、または XPM) を準備します。
- イメージの高さは約 48 ピクセルである必要があります。著しく大きい場合は、ロゴエリアを超えてしまいます。
-
イメージファイルを
gdm
ユーザーがアクセスできる場所に保存します。たとえば、/opt/
や/usr/local/
などの汎用的に読み取り可能なシステムディレクトリーを選択します。
手順
以下の内容で
/etc/dconf/db/gdm.d/01-override-logo
設定ファイルを作成します。[org/gnome/login-screen] logo='/path/to/logo.png'
/path/to/logo.png
は、ログイン画面のロゴとして使用するイメージファイルへのフルパスに置き換えます。システムデータベースを更新します。
# dconf update
検証
- ログアウトするか、ログイン画面に切り替えます。
- 選択したロゴが表示されているか確認します。
ロゴが更新されない場合は、GDM を再起動します。
# systemctl restart gdm
警告gdm
サービスを再起動すると、ログインしているすべてのデスクトップユーザーの現在実行中の GNOME セッションがすべて終了します。これにより、ユーザーが保存していないデータが失われる可能性があります。
8.3. GNOME Shell 拡張機能でデストップ環境のカスタマイズ
GNOME Shell 拡張機能は、デフォルトの GNOME Shell インターフェイスと、ウィンドウ管理やアプリケーション起動などの各部分のカスタマイズを可能にします。
サードパーティーの GNOME Shell 拡張機能を Red Hat Enterprise Linux に実装する前に、以下の文書に必ず目を通し、サードパーティーソフトウェアに関する Red Hat サポートポリシー (Red Hat グローバルサポートサービスは、サードパーティーのソフトウェア、ドライバー、そして認定されていないハードウェアおよびハイパーバイザー、もしくはゲストのオペレーティングシステムについてどのようなサポートを提供していますか ?) を確認するようにしてください。
8.3.1. GNOME Shell 拡張機能の概要
以下では、RHEL 8 で利用可能な GNOME Shell 拡張機能の概要を説明します。これには、特定の拡張機能を提供するパッケージの名前や、各拡張機能の説明が含まれます。
表8.2 利用可能な GNOME Shell 拡張機能の概要
パッケージ名 | 拡張名 | 説明 |
---|---|---|
gnome-shell-extension-apps-menu | apps-menu | GNOME Shell の アプリケーション メニュー |
gnome-shell-extension-top-icons | Top Icons | 上部にレガシーアイコンを表示する |
gnome-shell-extension-user-theme | user-theme | GNOME Shell でのカスタムテーマのサポート |
gnome-shell-extension-drive-menu | drive-menu | GNOME Shell のドライブステータスメニュー |
gnome-shell-extension-window-list | window-list | GNOME Shell で画面の下部にウィンドウリストを表示する |
gnome-shell-extension-dash-to-dock | Dash to Dock | micxgx.gmail.com による Gnome Shell のドック |
gnome-shell-extension-desktop-icons | Desktop Icons | GNOME クラシックのエクスペリエンスのデスクトップアイコンのサポート |
gnome-shell-extension-no-hot-corner | nohotcorner | GNOME Shell でホットコーナーを無効にする |
gnome-shell-extension-systemMonitor | systemMonitor | GNOME Shell の システムモニター |
gnome-shell-extension-updates-dialog | Updates Dialog | ソフトウェアの更新があるときにモーダルダイアログを表示する |
gnome-shell-extension-window-grouper | window-grouper | 同じワークスペースの同じプロセスに属するウィンドウを保持する |
gnome-shell-extension-panel-favorites | panel-favorites | GNOME Shell のトップバーにあるお気に入りのランチャー |
gnome-shell-extension-windowsNavigator | windowNavigator | GNOME shell でのウィンドウおよびワークスペースのキーボード選択のサポート |
gnome-shell-extension-auto-move-windows | Autom Move Windows | GNOME Shell で特定のワークスペースをアプリケーションに割り当て |
gnome-shell-extension-launch-new-instance | launch-new-instance | 常に GNOME Shell の新しいアプリケーションインスタンスの起動 |
gnome-shell-extension-workspace-indicator | workspace-indicator | GNOME Shell のワークスペースインジケーター |
gnome-shell-extension-disable-screenshield | Disable Screen Shield | ロックが無効になっている場合は、GNOME Shell スクリーンシールドを無効にする |
gnome-shell-extension-native-window-placement | native-window-placement | GNOME Shell のネイティブウィンドウの配置 |
gnome-shell-extension-screenshot-window-sizer | screenshot-window-sizer | GNOME Shell のスクリーンショットのウィンドウサイザー |
gnome-shell-extension-horizontal-workspaces | horizontal-workspaces | GNOME クラシックのエクスペリエンスのデスクトップアイコンのサポート |
gnome-shell-extension-places-menu | places-menu | GNOME Shell のステータスメニューを 配置 する |
gnome-classic-session | – | GNOME クラシックのモードセッション |
8.3.2. マシン全体の拡張機能の有効化
前提条件
システムの全ユーザーが拡張機能を利用できるように、拡張機能を /usr/share/gnome-shell/extensions
ディレクトリーにインストールしている。
手順
マシン全体の設定用に、ローカルデータベースファイルを
/etc/dconf/db/local.d/00-extensions
に作成します。[org/gnome/shell] # List all extensions that you want to have enabled for all users enabled-extensions=['myextension1@myname.example.com', 'myextension2@myname.example.com']
enabled-extensions
キーは、拡張機能の UUID (myextension1@myname.example.com
およびmyextension2@myname.example.com
) を使用して有効にした拡張機能を指定します。システムデータベースを更新します。
# dconf update
システム全体の設定に変更を適用するために、ユーザーは、一度ログアウトしてログインし直す必要があります。
注記現在、ログインしているユーザーに対して追加の拡張機能を有効にする方法はありません。また、独自の GNOME 拡張機能をインストールして有効にした既存のユーザーには適用されません。
8.3.3. 有効にした拡張機能のロックダウン
ユーザーが拡張機能の有効化または無効化を行わないようにするには、org.gnome.shell.enabled-extensions
キーをロックします。
手順
マシン全体の設定用に、ローカルデータベースファイルを
/etc/dconf/db/local.d/00-extensions
に作成します。[org/gnome/shell] # List all extensions that you want to have enabled for all users enabled-extensions=['myextension1@myname.example.com', 'myextension2@myname.example.com']
enabled-extensions
キーは、拡張機能の UUID (myextension1@myname.example.com
およびmyextension2@myname.example.com
) を使用して有効にした拡張機能を指定します。ユーザーの設定を上書きし、ユーザーが
/etc/dconf/db/local.d/locks/extensions
で設定を変更できないようにします。# Lock the list of mandatory extensions /org/gnome/shell/enabled-extensions
システムデータベースを更新します。
# dconf update
- システム全体の設定に変更を適用するために、ユーザーは、一度ログアウトしてログインし直す必要があります。
org.gnome.shell.enabled-extensions
をロックすると、~/.local/share/gnome-shell/extensions
または /usr/share/gnome-shell/extensions
にインストールされていても、org.gnome.shell.enabled-extensions
キーのリストに記載されていない拡張機能は GNOME Shell により読み込まれないため、ユーザーが拡張機能を使用することができなくなります。
8.3.4. 必須の拡張機能の設定
GNOME Shell では、ユーザーが使用する必要がある拡張機能セットを指定できます。
前提条件
拡張機能が、/usr/share/gnome-shell/extensions
ディレクトリーにインストールされている。
手順
マシン全体の設定用に、ローカルデータベースファイルを
/etc/dconf/db/local.d/00-extensions-mandatory
に作成します。[org/gnome/shell] # List all mandatory extensions enabled-extensions=['myextension1@myname.example.com', 'myextension2@myname.example.com']
enabled-extensions
キーは、拡張機能の UUID (myextension1@myname.example.com
およびmyextension2@myname.example.com
) を使用して有効にした拡張機能を指定します。ユーザーの設定を上書きし、ユーザーが
/etc/dconf/db/local.d/locks/extensions-mandatory
で設定を変更できないようにします。# Lock the list of mandatory extensions /org/gnome/shell/enabled-extensions
システムデータベースを更新します。
# dconf update
- システム全体の設定に変更を適用するために、ユーザーは、一度ログアウトしてログインし直す必要があります。
第9章 GNOME デスクトップ機能のカスタマイズ
9.1. デスクトップ GUI を使用した言語の変更
デスクトップ GUI を使用してシステム言語を変更できます。
前提条件
- システムに必要な言語パッケージがインストールされている。
手順
システムメニューから Settings アプリケーションのアイコンをクリックして開きます。
- Settings で、左側の垂直バーから Region & Language を選択します。
言語 メニューをクリックします。
メニューから必要な地域および言語を選択します。
該当する地域および言語が表示されない場合はスクロールダウンし、詳細 をクリックして、利用可能な地域および言語を選択します。
- 完了 をクリックします。
再起動 をクリックして変更を有効にします。
アプリケーションによっては、特定の言語に対応していないものもあります。選択した言語に翻訳できないアプリケーションのテキストは、アメリカ英語のままになります。
関連情報
9.2. Ctrl+Alt+Backspace ショートカットの有効化
ショートカットキー Ctrl+Alt+Backspace の組み合わせは、X.Org ディスプレイサーバーを終了するのに使用します。
とくに以下の場合は X.Org を終了する必要があります。
- プログラムにより、X.Org サーバーの動作を停止した。
- すぐにログインセッションから切り替える必要がある。
- 障害のあるプログラムを起動した。
- 現在のセッションで動作しない。
- 画面がフリーズした。
手順
マシン全体の設定用に、ローカルデータベースファイルを
/etc/dconf/db/local.d/00-input-sources
に作成します。[org/gnome/desktop/input-sources] # Enable Ctrl-Alt-Backspace for all users xkb-options=['terminate:ctrl_alt_bksp']
ユーザーの設定を上書きし、ユーザーが
/etc/dconf/db/local.d/locks/input-sources
で設定を変更できないようにします。# Lock the list of enabled XKB options /org/gnome/desktop/input-sources/xkb-options
システムデータベースを更新して、変更を適用します。
# dconf update
- システム全体の設定に変更を適用するために、ユーザーは、一度ログアウトしてログインし直す必要があります。
Ctrl+Alt+Backspace キーの組み合わせが有効になると、すべてのユーザーが X.Org を終了できるようになります。終了すると、ログインプロンプトに戻ります。
9.3. コマンドラインアクセスの無効化
デスクトップユーザー向けのコマンドラインのアクセスを無効にするには、いくつかの異なるコンテキストで設定を変更する必要があります。
- 「org.gnome.desktop.lockdown.disable-command-line キーの設定」
- 「X.Org での仮想端末切り替えの無効化」
- GNOME Shell の Applications メニューおよび Activities Overview から、Terminal およびターミナルへのアクセスを提供するその他のアプリケーションを削除します。これは、削除するアプリケーションのメニュー項目を削除することにより行われます。
以下の手順ではデスクトップユーザーがコマンドラインへアクセスするパーミッションを削除するわけではなく、デスクトップユーザーがコマンドラインにアクセスする方法を削除します。
9.3.1. org.gnome.desktop.lockdown.disable-command-line キーの設定
この方法では、ユーザーの次の操作を禁止します。
- ターミナルへのアクセス
- Alt+F2 コマンドプロンプトを使用した、実行するコマンドラインの指定
手順
システム全体の設定用に、ローカルデータベースを
etc/dconf/db/local.d/00-lockdown
に作成します。[org/gnome/desktop/lockdown] # Disable command-line access disable-command-line=true
ユーザーの設定を上書きし、ユーザーが
/etc/dconf/db/local.d/locks/lockdown
で設定を変更できないようにします。# Lock the disabled command-line access /org/gnome/desktop/lockdown/disable-command-line
システムデータベースを更新します。
# dconf update
- システム全体の設定に変更を適用するために、ユーザーは、一度ログアウトしてログインし直す必要があります。
9.3.2. X.Org での仮想端末切り替えの無効化
X.Org ディスプレイサーバーにより、ユーザーはショートカットキー Ctrl+Alt+function を使用して、GNOME デスクトップおよび X.Org から仮想ターミナルへ切り替えることができます。すべての仮想端末へのアクセスは、X.Org 設定で無効にできます。
GNOME Shell on Wayland がディスプレイサーバーとして使用されていると、手順を適用できません。
手順
/etc/X11/xorg.conf.d/
ディレクトリーに X 設定ファイルを作成または編集します。注記通常、このホストに固有の設定ファイル名は 2 桁の数字とハイフンで始まり、常に
.conf
拡張子が付きます。このため、次のファイル名は/etc/X11/xorg.conf.d/10-xorg.conf
になります。Section "Serverflags" Option "DontVTSwitch" "yes" EndSection
- 変更を有効にするには、X.Org ディスプレイサーバーを再起動します。
9.4. ノート PC を閉じたときにコンピューターがサスペンドしないようにする
ノート PC を閉じると、コンピューターはデフォルトで節電のためサスペンドします。この動作の設定を変更すると、ノート PC を閉じてもサスペンドしないようにすることができます。
マシンによっては、特に狭いところに入れた状態でノート PC を閉じたまま作動させ続けるとオーバーヒートしてしまう場合があります。したがって、デフォルトの設定を suspend から他のオプションに変更しても有益であるかどうかを検討してください。
手順
-
/etc/systemd/logind.conf
ファイルをエディターで開きます。 ファイルの
HandleLidSwitch=suspend
行を見つけます。システムの起動時に
#
文字で引用されている場合は、#
を削除して引用を解除できます。この行がファイルにない場合は、行を追加します。
デフォルトの
suspend
パラメーターを以下のいずれかに置き換えます。-
画面をロックする場合は
lock
-
何もしない場合は
ignore
-
コンピューターをオフにする場合は
poweroff
以下に例を示します。
[Login] HandleLidSwitch=lock
-
画面をロックする場合は
- 変更を保存してエディターを終了します。
次のコマンドを実行して、次回の再起動時に変更が保存されるようにします。
# systemctl restart systemd-logind.service
警告サービスを再起動すると、ログインしているデスクトップユーザーの現在実行中の GNOME セッションが強制的に中断されます。これにより、ユーザーが保存していないデータは削除される可能性があります。
/etc/systemd/logind.conf
ファイルの詳細は、logind.conf
の man ページを参照してください。
9.5. グラフィカルターゲットモードで電源ボタンを押した際の動作の変更
グラフィカルログイン画面またはグラフィカルユーザーセッションで電源ボタンを押すと、デフォルトでマシンがサスペンドします。これはユーザーが物理的に電源ボタンを押した場合と、リモートコンソールから仮想の電源ボタンを押した場合の両方で起きます。電源ボタンの動作は、別のものを選択することもできます。
手順
システム全体の設定用に、ローカルデータベースを
/etc/dconf/db/local.d/01-power
に作成します。[org/gnome/settings-daemon/plugins/power] power-button-action='suspend'
suspend
を次の電源ボタンのアクションのいずれかに置き換えます。nothing
- 何も実行しません。
suspend
- システムをサスペンドします。
hibernate
- システムをハイバネートします。
interactive
何を実行するかをユーザーに質問するポップアップクエリーを表示します。
対話モードでは、電源ボタンを押すと、60 秒後に自動的にシステムの電源がオフになります。ただし、次の図のように、ポップアップクエリーとは別の動作を選択できます。
対話モードのポップアップクエリー
ユーザーの設定を上書きし、ユーザーが
/etc/dconf/db/local.d/locks/01-power
ファイルで設定を変更できないようにします。/org/gnome/settings-daemon/plugins/power/power-button-action
システムデータベースを更新します。
# dconf update
- システム全体の設定に変更を適用するために、一度ログアウトしてログインし直す必要があります。
第10章 システムのセキュリティー分類の表示
システムのセキュリティー分類をユーザーに知らせる必要があるデプロイメントの管理者は、セキュリティー分類の通知を設定できます。永続的なバナーと一時的な通知のどちらかを、ログイン画面、GNOME セッション、およびロック画面に表示できます。
10.1. システムのセキュリティー分類バナーの有効化
システムの全体的なセキュリティー分類レベルを示す永続的な分類バナーを作成できます。これは、ログインしているシステムのセキュリティー分類レベルをユーザーに常に意識させる必要があるデプロイメントに役立ちます。
実行中のセッション、ロック画面、およびログイン画面で永続的な分類バナーを表示し、その背景色、フォント、および画面内の位置をカスタマイズできます。
この手順では、ログイン画面の上部と下部の両方に配置する、白い文字の赤いバナーを作成します。
手順
gnome-shell-extension-classification-banner
パッケージをインストールします。# yum install gnome-shell-extension-classification-banner
注記このパッケージは、RHEL 8.6 以降でのみ使用できます。
次のいずれかの場所に
99-class-banner
ファイルを作成します。-
ログイン画面で通知を設定するには、
/etc/dconf/db/gdm.d/99-class-banner
を作成します。 -
ユーザーセッションで通知を設定するには、
/etc/dconf/db/local.d/99-class-banner
を作成します。
-
ログイン画面で通知を設定するには、
作成したファイルに次の設定を入力します。
[org/gnome/shell] enabled-extensions=['classification-banner@gnome-shell-extensions.gcampax.github.com'] [org/gnome/shell/extensions/classification-banner] background-color='rgba(200,16,46,0.75)' message='TOP SECRET' top-banner=true bottom-banner=true system-info=true color='rgb(255,255,255)'
警告この設定は、システムセキュリティー分類の通知 など拡張機能も有効にする同様の設定ファイルをオーバーライドします。
複数の拡張機能を有効にするには、
enabled-extensions
リストでそのすべてを指定します。以下に例を示します。enabled-extensions=['heads-up-display@gnome-shell-extensions.gcampax.github.com', 'classification-banner@gnome-shell-extensions.gcampax.github.com']
dconf
データベースを更新します。# dconf update
- システムを再起動します。
トラブルシューティング
- 既存のユーザーの分類バナーが表示されない場合は、ユーザーとしてログインし、Tweaks アプリケーションを使用して 分類バナー 拡張機能を有効にします。
10.2. システムのセキュリティー分類の通知
オーバーレイバナーに定義済みのメッセージを含む通知を設定できます。これは、ログイン前にシステムのセキュリティー分類をユーザーに知らせる必要があるデプロイメントに役立ちます。
設定に応じて、通知はログイン画面、ログイン後、ロック画面、または長時間ユーザーアクティビティーがない場合に表示されます。通知が表示されたら、いつでも閉じることができます。
手順
gnome-shell-extension-heads-up-display
パッケージをインストールします。# yum install gnome-shell-extension-heads-up-display
次のいずれかの場所に
99-hud-message
ファイルを作成します。-
ログイン画面で通知を設定するには、
/etc/dconf/db/gdm.d/99-hud-message
を作成します。 -
ユーザーセッションで通知を設定するには、
/etc/dconf/db/local.d/99-hud-message
を作成します。
-
ログイン画面で通知を設定するには、
作成したファイルに次の設定を入力します。
[org/gnome/shell] enabled-extensions=['heads-up-display@gnome-shell-extensions.gcampax.github.com'] [org/gnome/shell/extensions/heads-up-display] message-heading="Security classification title" message-body="Security classification description" # The following options control when the notification appears: show-when-locked=true show-when-unlocking=true show-when-unlocked=true
以下の値を、システムのセキュリティー分類を記述するテキストに置き換えます。
- Security classification title
- セキュリティー分類を示す簡単な見出し。
- Security classification description
- さまざまなガイドラインへの参照など、追加情報を提供する長いメッセージ。
警告この設定は、システムのセキュリティー分類バナーの有効化 など、拡張機能も有効にする同様の設定ファイルをオーバーライドします。
複数の拡張機能を有効にするには、
enabled-extensions
リストでそのすべてを指定します。以下に例を示します。enabled-extensions=['heads-up-display@gnome-shell-extensions.gcampax.github.com', 'classification-banner@gnome-shell-extensions.gcampax.github.com']
dconf
データベースを更新します。# dconf update
- システムを再起動します。
トラブルシューティング
- 既存のユーザーの通知が表示されない場合は、ユーザーとしてログインし、Tweaks アプリケーションを使用して Heads-up ディスプレイメッセージ 拡張機能を有効にします。
第11章 中国語、日本語、または韓国語の文字入力の有効化
中国語、日本語、または韓国語の文字を使用する場合には、お使いの言語で文字入力ができるように RHEL を設定できます。
11.1. 入力メソッド
中国語、日本語、韓国語などの特定の文字では、ネイティブテキストの入力にインプットメソッドエディター (IME) が必要です。
入力メソッドは、テキスト入力と選択した文字の間の変換ルールのセットです。IME は、入力メソッドで指定した入力変換を実行するソフトウェアです。
上記の文字でテキストを入力するには、IME を設定する必要があります。お使いの言語でシステムをインストールし、GNOME 初期セットアップ 画面でその言語を選択すると、言語の入力メソッドがデフォルトで有効になります。
11.2. 利用可能なインプットメソッドエンジン
以下のインプットメソッドエンジン (IME) は、記載のパッケージから RHEL で利用できます。
表11.1 利用可能なインプットメソッドエンジン
言語 | 文字 | IME 名 | パッケージ |
---|---|---|---|
中国語 | 簡体字中国語 | Intelligent Pinyin |
|
中国語 | 繁体字中国語 | New Zhuyin |
|
日本語 | 漢字、ひらがな、カタカナ | かな漢字 |
|
韓国語 | ハングル | ハングル |
|
その他 | Various | M17N |
|
11.3. インプットメソッドエンジンのインストール
この手順では、中国語、日本語、および韓国語の入力に使用可能なインプットメソッドエンジン (IME) をインストールします。
手順
利用可能な入力メソッドパッケージをすべてインストールします。
# yum install @input-methods
11.4. GNOME での入力方法の切り替え
この手順では、中国語、日本語、韓国語などの文字の入力メソッドを設定します。
前提条件
- 入力メソッドパッケージがインストールされている。
手順
画面右上からアクセスできる システムメニュー に移動し、設定 をクリックします。
- 地域と言語 セクションを選択します。
入力ソース リストで、現在有効な入力メソッドを確認します。
入力メソッドがない場合は、以下を行います。
Input Sources リストの + ボタンをクリックします。
言語を選択します。
注記メニューで言語が見つからない場合は、メニューの最後にある 3 つの点のアイコン (More…) をクリックします。
使用する入力メソッドを選択します。歯車アイコンは、全インプットメソッドにマークを付けて、シンプルなキーボードレイアウトと区別します。
- Add をクリックして、選択を確定します。
以下のいずれかの方法で、有効な入力メソッドを切り替えます。
上部パネルの右側にある入力メソッドインジケーターをクリックし、入力メソッドを選択します。
- Super+Space キーボードショートカットを使用して、有効な入力メソッドを切り替えます。
検証
- テキストエディターを開きます。
- お使いの言語でテキストを入力します。
- お使いの言語でテキストが表示されることを確認します。
第12章 GNOME での特殊文字の使用
GNOME では、Compose キーを使用して、キーボードで使用できないものも含め、さまざまな言語や記号セットの特殊文字を入力できます。さまざまな言語や記号セットの特殊文字を入力および表示できるため、GNOME ではさまざまな文字セットを簡単に操作できます。
このような特殊文字を入力するには、キーボードの既存のキーの 1 つを Compose キーとして定義します。Compose キーを有効にすると、複数のキーを特定の順序で押すことで、特殊文字や記号を入力できるようになります。
12.1. Tweak アプリケーションを使用した個別ユーザー用の Compose キーの有効化
Tweak アプリケーションで個別ユーザーの Compose キーを有効にするには、以下の手順に従います。
前提条件
Tweak アプリケーションがシステムにインストールされている。
# yum install gnome-tweaks
手順
- Tweak アプリケーションを開きます。
- サイドバーで Keyboard & Mouse を選択します。
- Compose Key を有効にします。
リストされたキーから、Compose 機能をトリガーするキーを選択します。
12.2. 別のユーザーの Compose キーを有効にする
gsettings
ユーティリティーを使用して、別のユーザーの Compose キーを有効にできます。
前提条件
- 管理アクセスがある。
手順
すべてのクライアントが X サーバーに接続できるようにします。
# xhost +
次のコマンドを実行して Compose キーを設定します。
# su - <username> -c "gsettings set org.gnome.desktop.input-sources xkb-options \"['compose:<compose_key>']\""
<username>
は、Compose キーを有効にするユーザーのユーザー名に置き換えます。<compose_key>
は、Compose キーとして使用するキーに置き換えます。ralt
オプションを使用すると、右の Alt キーを Compose キーとして指定できます。キーボードに Compose キーを設定するのに使用できる他の Compose キーオプションを表示するには、次のコマンドを使用します。
$ grep compose /usr/share/X11/xkb/rules/evdev.lst
アクセス制御をリセットします。
# xhost -
検証
別のユーザーの Compose キー設定を確認するには、次を使用します。
# su - <username> -c "gsettings get org.gnome.desktop.input-sources xkb-options"
<username>
は、Compose キー設定を確認するユーザーのユーザー名に置き換えます。
12.3. 全ユーザー用の Compose キーの有効化
全ユーザーに Compose キーを有効にするには、以下の手順に従います。
手順
-
root
ユーザーとして/etc/dconf/db/local.d/00-input-sources
ファイルを開きます。 ファイルに以下の内容を入力します。
[org/gnome/desktop/input-sources] # Enable the Compose key xkb-options=['compose:selected-key']
selected-key
を、Compose をトリガーするキーに置き換えます。たとえば、右の Alt キーを設定するには、ralt
を使用します。ユーザーの Compose 設定を上書きし、ユーザーがそれらを変更できないようにするには、
/etc/dconf/db/local.d/locks/input-sources
ファイルを作成し、次のように入力します。# Lock the list of enabled XKB options /org/gnome/desktop/input-sources/xkb-options
システムデータベースを更新して、変更を適用します。
# dconf update
- システム全体の設定に変更を適用するために、ユーザーは、一度ログアウトしてログインし直す必要があります。
関連情報
-
その他のキーの名前については、
xkeyboard-config(7)
man ページを参照してください。
12.4. 特殊文字用の Compose キーのシーケンス
次の表は、GNOME でダイアクリティカルマークまたはアクセント記号を含む特殊文字を入力するために使用する Compose キーのシーケンスを示しています。各行に、Compose キーのシーケンスと対応する結果が表示されています。
表12.1 特殊文字用の Compose キーのシーケンス
Compose キーのシーケンス | 結果 |
---|---|
Compose+'+文字 | アキュートアクセント付きの文字 (é、á、ñ) |
Compose+`+文字 | グレイヴアクセント付きの文字 (è、ù、ò) |
Compose+"+文字 | ウムラウトまたは分音符付きの文字 (ë、ö、ü) |
Compose+-+文字 | マクロン付きの文字 (ā、ē、ō) |
Compose+/+文字 | ストロークまたはダイアクリティカルマーク付きの文字 (ø、ł、ǿ) |
Compose+=+文字 | 二重アキュートアクセント付きの文字 (ő、ű、ȁ) |
Compose+.+文字 | 上ドット付きの文字 (ȧ、ċ、ḋ) |
Compose+,+文字 | セディージャ付きの文字 (ç、ş、ņ) |
Compose+^+文字 | 曲折アクセント付きの文字 (â、ê、î) |
Compose+~+文字 | チルダアクセント付きの文字 (ã、ñ、õ) |
第13章 絵文字の入力
GNOME では、アプリケーションのタイプに応じて、複数の異なる方法で絵文字を入力できます。
13.1. GTK アプリケーションでの絵文字の入力
この手順では、ネイティブの GNOME アプリケーションなど、GTK グラフィカルツールキットを使用するアプリケーションで絵文字を挿入します。
前提条件
- アプリケーションが GTK ツールキットでビルドされていることを確認します。
手順
- GTK アプリケーションを開きます。
- テキストフィールドがアクティブであることを確認します。
Ctrl+. を押します。
絵文字選択メニューが開きます。
文字を参照するか、挿入する絵文字を識別するキーワード (
smile
など) を入力します。絵文字に関連付けられたキーワードの全リストは、Emoji List ページの Other Keywords 列を参照してください。
- 選択した文字をクリックするか、カーソルキーを使用してその文字に移動し、Enter を押します。
検証
- 目的の絵文字がカーソルに表示されることを確認します。
13.2. 任意のアプリケーションでの絵文字の入力
この手順では、アプリケーションが使用するグラフィカルツールキットに関係なく、すべてのアプリケーションで絵文字を挿入します。
手順
- アプリケーションを開きます。
- テキストフィールドがアクティブであることを確認します。
Ctrl+Shift+e を押します。
カーソルに下線が引かれた
e
が表示されます。挿入する絵文字を識別するキーワード (
smile
など) を入力します。絵文字に関連付けられたキーワードの全リストは、Emoji List ページの Other Keywords 列を参照してください。
- Space を繰り返し押して、キーワードに一致する絵文字を参照します。
- Enter を押して、選択した絵文字を確認します。
検証
- 目的の絵文字がカーソルに表示されることを確認します。
第14章 GNOME でのストレージボリュームの管理
このセクションでは、仮想ファイルシステムを使用して GNOME でストレージボリュームを管理する方法を説明します。GNOME 仮想ファイルシステム (GVFS) は、GNOME デスクトップを構築するライブラリーが提供する仮想ファイルシステムインターフェイスの拡張です。
14.1. GVFS システム
GVFS は完全な仮想ファイルシステムインフラストラクチャーを提供し、GNOME デスクトップのストレージを処理します。これは、Web ブラウザーの URL アドレスと構文的に似た URI (Uniform Resource Identifier) 標準仕様に基づいて完全識別のアドレスを使用します。この、schema://user@server/path
形式のアドレスは、サービスの種類を決定する主要な情報です。
GVFS はリソースをマウントするのに役立ちます。これらのマウントは複数のアプリケーション間で共有されます。リソースは実行中のデスクトップセッション内でグローバルに追跡されます。つまり、マウントをトリガーしたアプリケーションを終了した場合でも、他のアプリケーションで引き続き使用できます。複数のアプリケーションは、バックエンドによって制限されない限り、マウントに同時にアクセスできます。設計によるプロトコルによっては、許可されたチャンネルは 1 つのみになります。
GVFS は、リムーバブルメディアを /run/media/
ディレクトリーにマウントします。
14.2. GVFS URI 文字列の形式
バックエンドサービスを使用するには、URI 文字列を作成する必要があります。この文字列は GVFS で使用される基本的な識別子で、サービスのタイプ、バックエンド ID、絶対パス、または必要に応じてユーザー名などの一意な識別に必要なすべての情報が含まれます。この情報は、Files アドレスバーと GTK+ のオープンダイアログまたは保存ダイアログに表示されます。
次の例は、非常に基本的な形式の URI 文字列であり、ftp.myserver.net
ドメインで実行しているファイル転送プロトコル (FTP) サーバーのルートディレクトリー (/
) を指します。
例14.1 例: ルート FTP ディレクトリーを参照する URI 文字列
ftp://ftp.myserver.net/
例14.2 FTP 上のテキストファイルを指す URI 文字列
ssh://joe@ftp.myserver.net/home/joe/todo.txt
14.3. GNOME でのストレージボリュームのマウント
ローカルストレージボリュームまたはネットワーク共有を Files アプリケーションに手動でマウントできます。
手順
- Files アプリケーションを開きます。
サイドバーの Other Locations をクリックします。
ウィンドウには、接続されているすべてのストレージボリュームと、ローカルエリアネットワークで公開されているすべてのネットワーク共有が一覧表示されます。
このリストにボリュームまたはネットワーク共有が表示される場合は、項目をクリックしてマウントします。
別のネットワーク共有に接続する場合は、以下の手順に従います。
- Connect to Server フィールドで、GVFS URI 文字列をネットワーク共有に入力します。
- Connect を押します。
- ダイアログでログイン認証情報の入力を求められた場合は、関連するフィールドに名前とパスワードを入力します。
- マウントプロセスが完了すると、ボリュームまたはネットワーク共有のファイルを参照できます。
14.4. GNOME でのストレージボリュームのアンマウント
Files アプリケーションのストレージボリューム、ネットワーク共有、または別のリソースをアンマウントできます。
手順
- Files アプリケーションを開きます。
- サイドバーで、選択したマウントの横にある Unmount アイコン (⏏) をクリックします。
- サイドバーからマウントが消えるか、安全な削除に関する通知が表示されるまで待ちます。
14.5. ファイルシステムの GVFS マウントへのアクセス
GVFS 仮想ファイルシステムのメインデーモンである FUSE について詳しく説明します。
GIO ライブラリーでビルドされたアプリケーションは、GVFS マウントにアクセスできます。さらに、GVFS はアクティブな GVFS マウントを公開する FUSE デーモンを提供します。すべてのアプリケーションは、マウントが通常のファイルシステムであるかのように標準の POSIX API を使用してアクティブな GVFS マウントにアクセスできます。
特定のアプリケーションでは、追加のライブラリー依存関係と新しい仮想ファイルシステム (VFS) サブシステムの詳細が不安定または複雑ではない可能性があります。このような理由から、また互換性を強化するために、GVFS は FUSE (File System in Userspace) デーモンを提供します。これは、標準の Portable Operating System Interface (POSIX) アクセス用にマウントを介してアクティブなマウントを公開します。このデーモンは、受信要求を透過的に変換して、アプリケーションのローカルファイルシステムを模倣します。
アプリケーションと GVFS バックエンドの特定の組み合わせで問題が発生する可能性があります。
FUSE デーモンは、メインの gvfs
デーモンで自動的に起動し、フォールバックとして /run/user/UID/gvfs/
または ~/.gvfs/
ディレクトリーのいずれかにボリュームをマウントします。
手動による参照では、各 GVFS マウントの個別のディレクトリーが表示されます。変換されたパスは、ネイティブでないアプリケーションで GVFS の場所からドキュメントを開く際に引数として渡されます。ネイティブ GIO アプリケーションは、このパスをネイティブ URI に自動的に変換することに注意してください。
14.6. 利用可能な GIO コマンド
GIO は、スクリプト作成やテストに役立つ可能性のある複数のコマンドを提供します。
以下は、対応する POSIX コマンドのセットです。
コマンド | 説明 |
---|---|
| ファイルの内容を表示します。 |
| 新しいディレクトリーを作成します。 |
| ファイルの名前を変更します。 |
|
|
| ファイルにファイル属性を設定します。 |
| ファイルのコピーを作成します。 |
| ディレクトリーの内容をリスト表示します。 |
| ファイルをある場所から別の場所に移動します。 |
| ファイルを削除します。 |
|
ファイルまたはディレクトリーを |
| 指定の場所の情報を表示します。 |
| 標準入力から読み取り、データを指定の場所に保存します。 |
| 指定した場所の内容をツリーのような形式で再帰的にリスト表示します。場所を指定しないと、デフォルトで現在のディレクトリーに設定されます。 |
追加のコマンドにより、GIO 固有の制御が強化されます。
コマンド | 説明 |
---|---|
| ファイルまたはディレクトリーの変更 (作成、削除、コンテンツおよび属性の変更、監視される場所に影響するマウントおよびマウント解除の操作など) を監視します。 |
| ハンドラーが指定されていない場合に、登録済みおよび推奨されるアプリケーションをリスト表示します。それ以外の場合は、これはデフォルトのハンドラーとして設定されます。 |
| このタイプのファイルを処理するために登録されているデフォルトアプリケーションでファイルを開きます。 |
ユーザーの利便性のため、bash
補完はパッケージの一部として提供されます。
これらのコマンドはすべてネイティブ GIO クライアントであるため、フォールバック FUSE デーモンを実行する必要はありません。この目的は、POSIX コマンドのドロップイン置換ではなく、実際にはスイッチの範囲はほとんどサポートされていません。基本的な形式では、このコマンドは URI 文字列をローカルパスではなく引数として取ります。
関連情報
-
gio(1)
の man ページ
14.7. サンプル GIO コマンド
次のセクションでは、GIO コマンドの使用例をいくつか示します。
例14.3 ローカルの /tmp
ディレクトリー内のすべてのファイルをリスト表示します
$ gio list file:///tmp
例14.4 リモートシステムからのテキストファイルの内容をリスト表示します
$ gio cat ssh://joe@ftp.myserver.net/home/joe/todo.txt
例14.5 前のテキストファイルをローカルの /tmp
ディレクトリーにコピーします
$ gio copy ssh://joe@ftp.myserver.net/home/joe/todo.txt /tmp/
関連情報
-
gio
の man ページ
14.8. GVFS メタデータの概要
GVFS メタデータストレージは、情報を特定のファイルにバインドするキーと値のペアのセットとして実装されます。そのため、アイコンの位置、最後に再生された場所、ドキュメントの場所、メール、メモなど、ランタイム情報用に設計された小規模なデータを保存するためのユーザーまたはアプリケーション用のツールがあります。
ファイルまたはディレクトリーを移動するたびに、GVFS はメタデータを適宜移動し、メタデータがそれぞれのファイルに接続されている状態にします。GVFS はすべてのメタデータをプライベートに保存します。そのため、メタデータはそのマシンでのみ利用できます。ただし、GVFS はマウントおよびリムーバブルメディアも追跡します。
GVFS は、リムーバブルメディアを /run/media/
ディレクトリーにマウントします。
メタデータを表示し、操作するには、以下いずれかを使用します。
-
gio info
コマンド -
gio set
コマンド - 属性を操作する他のネイティブ GIO の方法。
関連情報
-
gio
の man ページ
14.9. カスタム GIO メタデータ属性の設定
この手順では、カスタムメタデータ属性を設定する方法を説明します。
特定の gio info
呼び出しと、移動または名前変更後のデータの永続性の違いに注意してください。gio info
コマンドの出力に注意してください。
手順
空のファイルの作成:
$ touch /tmp/myfile
このファイルのメタデータを表示します。
$ gio info -a 'metadata::*' /tmp/myfile uri: file:///tmp/myfile attributes:
このファイルに文字列を設定します。
$ gio set -t string /tmp/myfile 'metadata::mynote' 'Please remember to delete this file!'
メタデータを表示します。
$ gio info -a 'metadata::*' /tmp/myfile uri: file:///tmp/myfile attributes: metadata::mynote: Please remember to delete this file!
このファイルを新しい場所に移動します。
$ gio move /tmp/myfile /tmp/newfile
メタデータを表示します。
$ gio info -a 'metadata::*' /tmp/newfile uri: file:///tmp/newfile attributes: metadata::mynote: Please remember to delete this file!
メタデータは、GIO API を使用してファイルを移動すると持続します。
関連情報
-
gio
の man ページ
14.10. GVFS マウントのパスワード管理
GVFS マウントの認証について詳しく説明します。
通常の GVFS マウントは、リソースが匿名認証を許可する場合、または認証を全く必要としない場合を除き、アクティベーション時に認証されます。
標準の GTK+ ダイアログでは、パスワードを保存するかどうかを選択できます。
永続ストレージを選択すると、パスワードはユーザーのキーリングに保存されます。GNOME キーリング は、シークレットストレージの中心となる場所です。パスワードは暗号化され、ログイン時に提供されたパスワードを使用してデスクトップセッションの開始時に自動的にロック解除されます。別のパスワードで保護するには、最初に使用する時にパスワードを設定します。
Passwords および Keys アプリケーションは、保存されたパスワードと GNOME キーリング を管理するのに役立ちます。これにより、個別のレコードの削除やパスワードの変更が可能になります。
14.11. GVFS バックエンド
GVFS のバックエンドは、特定タイプのリソースへのアクセスを提供します。このセクションでは、使用可能な GVFS バックエンドとその仕様のリストを提供します。
一部のバックエンドは別個にパッケージ化され、デフォルトではインストールされません。追加のバックエンドをインストールするには、yum
パッケージマネージャーを使用します。
表14.1 利用可能なバックエンド
バックエンド | 説明 |
---|---|
| MTP (メディア転送プロトコル) と同様。USB 経由で接続した Apple iDevice でファイルを表示します。 |
| macOS およびオリジナルの Mac オペレーティングシステムのファイルサービスにアクセスする AFP (Aicroling Protocol) クライアント。 |
| 読み取り専用でさまざまなアーカイブファイル (ZIP、TAR) を処理します。 |
| ローカルファイルシステムへの管理者アクセスを提供します。 |
| アプリケーションが新しい CD、DVD、または BD のメディアコンテンツの一時ストレージとして使用する仮想バックエンド。 |
| 別の Waveform Audio File Format (WAV) ファイルでオーディオ CD を公開します。 |
| アクティブなマウントと物理ボリュームを統合している仮想バックエンド。signpost と同様の動作になります。以前は、Files が Computer ビューに使用していました。 |
| セキュアなバリアントを含む WebDAV クライアント。認証はマウント時にのみ可能です。バックエンドは、後の、フォルダーごとの再認証をサポートしていません。 |
| DNS Service Discovery: ネットワークの参照時に使用される Avahi クライアント。検出されたサービスに対する永続的な URI を形成します。 |
|
完全機能の File Transfer Protocol (FTP) クライアント。デフォルトでは、パッシブ転送に対応します。また、 |
| USB または FireWire が割り当てたカメラにアクセスするための PTP (Postformal Transfer Protocol) クライアント。 |
| Google ドライブへのアクセスを提供します。Google Drive アカウントは、Online Accounts 設定で設定する必要があります。 |
| すべての HTTP リクエストを処理します。クライアントアプリケーションで Web からファイルを簡単にダウンロードするのに便利です。 |
|
|
| メディアプレーヤーおよびスマートフォンのメモリーにアクセスするためのメディア転送プロトコルバックエンド (MTP)。 |
| Window Network を参照し、Avahi で検出された共有を表示できるようにします。 |
| GNOME アプリケーションで使用される最近のファイルをリスト表示するには、ファイル選択ダイアログでバックエンドを使用します。 |
| 完全機能の SSH ファイル転送プロトコル (SFTP) クライアント。 |
| Samba および Windows 共有にアクセスします。 |
| 削除されたファイルを復元できるゴミ箱のバックエンド。 |
第15章 GNOME でのボリューム管理のトラブルシューティング
以下は、GNOME でのボリューム管理の一般的なエラーと、その解決方法です。
15.1. 非 GIO クライアントから GVFS の場所へのアクセスに関するトラブルシューティング
アプリケーションから GVFS の場所へアクセスする際に問題がある場合は、ネイティブ GIO クライアントではない可能性があります。通常、ネイティブ GIO クライアントは GNOME ライブラリー (glib
、gio
) を使用するすべての GNOME アプリケーションです。gvfs-fuse
サービスは、GIO 以外のクライアントのフォールバックとして提供されます。
前提条件
gvfs-fuse
パッケージがインストールされます。$ yum install gvfs-fuse
手順
gvfs-fuse
が実行されていることを確認します。$ ps ax | grep gvfsd-fuse
gvfs-fuse
が実行されていない場合は、ログアウトしてから再度ログインします。Red Hat は、gvfs-fuse
を手動で開始することが推奨されていません。/run/user/UID/gvfs/
パスのシステムユーザー ID (UID) を見つけます。gvfsd-fuse
デーモンには、サービスを公開できるパスが必要です。/run/user/UID/gvfs/
パスが使用できない場合、gvfsd-fuse
は~/.gvfs
パスを使用します。$ id -u
gvfsd-fuse
が実行していない場合は、gvfsd-fuse
デーモンを起動します。$ /usr/libexec/gvfsd-fuse -f /run/user/_UID_/gvfs
これで FUSE マウントが利用可能になり、アプリケーション内のパスを手動で参照できるようになりました。
-
/run/user/UID/gvfs/
または~/.gvfs
の場所にある GVFS マウントを探します。
15.2. 非表示の接続 USB ディスクのトラブルシューティング
特定の状況では、フラッシュドライブに接続すると、GNOME デスクトップが表示されない場合があります。フラッシュドライブが Files に表示されないものの、Disks アプリケーションで確認できる場合は、Disks に Show in user interface オプションを設定できます。
手順
- Disks アプリケーションを開きます。
- サイドバーでディスクを選択します。
- Volumes の下で、Additional partition options (⚙) → Edit Mount Options… をクリックします。
- Show in user interface をクリックします。
- OK をクリックして確認します。
- フラッシュドライブが表示されない場合は、ドライブを物理的に取り外して、もう一度接続してください。
15.3. Files に記載されている不明なパーティションまたは不要なパーティションのトラブルシューティング
ディスクをプラグインすると、不明なパーティションまたは不要なパーティションが表示される場合があります。たとえば、フラッシュディスクをプラグインすると、自動的にマウントされ、そのボリュームが Files サイドバーに表示されます。一部のデバイスには、バックアップを含む特殊なパーティションがあるか、デバイスに接続するたびに表示されない可能性があるファイルのヘルプがあります。
手順
- Disks アプリケーションを開きます。
- サイドバーでディスクを選択します。
- Volumes の下で、Additional partition options (⚙) → Edit Mount Options… をクリックします。
- Show in user interface チェックボックスをオフにします。
- OK をクリックして確認します。
15.4. リモート GVFS ファイルシステムへの接続が利用できない場合のトラブルシューティング
クライアントが仮想ファイルシステムまたはリモートディスクマウントから予期せずに切断され、自動的に再接続されない状況が数多くあります。
このような状況では、エラーメッセージが表示される場合があります。このような状況を引き起こす原因はいくつかあります。
- 接続が中断される。たとえば、ラップトップが Wi-Fi から切断されていている。
- ユーザーがしばらく非アクティブになり、サーバーによって切断される (アイドルタイムアウト)。
- コンピューターがスリープモードから再開した。
手順
- ファイルシステムのマウントを解除します。
- 再度マウントします。
- 接続が頻繁に無効になる場合は、GNOME 設定 の ネットワーク パネルでその設定を確認します。
15.5. GNOME でのビジーディスクのトラブルシューティング
ディスクがビジーであるという通知を受け取った場合は、ディスクにアクセスしているプログラムを特定します。これにより、実行中のプログラムを終了できます。システムモニター アプリケーションを使用して、プログラムを強制的に強制終了することもできます。
前提条件
iotop
ユーティリティーがインストールされている。# yum install iotop
手順
開いているファイルのリストを確認します。
-
lsof
コマンドを実行して、開いているファイルのリストを取得します。 -
lsof
が利用できない場合は、ps ax
コマンドを実行します。 - System Monitor を使用すると、GUI で実行中のプロセスを表示できます。
-
プログラムを決定したら、以下のいずれかの方法で終了します。
-
コマンドラインで
kill
コマンドを実行します。 - System Monitor で、プログラムのプロセス名のある行を右クリックし、コンテキストメニューで End または Kill をクリックします。
-
コマンドラインで
関連情報
-
kill
の man ページ
第16章 GNOME でのブックマークの管理
GNOME では、ファイルを管理するアプリケーションおよびダイアログに表示されるブックマークを編集できます。
16.1. GNOME のブックマーク
ブックマークは GTK+ および GNOME デスクトップに統合されます。標準 GTK+ の Open ダイアログおよび Save ダイアログ (GtkFileChooser
) を表示するすべてのアプリケーションは、ダイアログの左側のパネルにブックマークのリストを表示します。また、Files とそのクローンは、サイドバーにブックマークを表示します。
ブックマークのほかにも、GtkFileChooser
は利用可能な他の GVFS ボリュームのリストを表示し、サイドバーにマウントします。
ブックマークの初回アクティベーション時に GVFS サブシステムは既存のマウントを検索し、マウントが存在していない場合はその場所をマウントしようとします。これにより、Open ダイアログ内または Save ダイアログ内でも認証を行うことができます。
ブックマークは ~/.config/gtk-3.0/bookmarks
ファイルにあります。以下の例では、ブックマークの場所は ~/Music
、~/Pictures
、~/Videos
、~/Downloads
、~/bin
で、~/.config/gtk-3.0/bookmarks
ファイルの内容は以下のようになります。
file:///home/username/Music file:///home/username/Pictures file:///home/username/Videos file:///home/username/Downloads file:///home/username/bin
ユーザー名を、ログインしているユーザー名に置き換えます。
このファイルを使用して、要件に基づいてブックマークを編集できます。
16.2. ファイルのブックマークの追加
参照をブックマークすると、その参照を保存できます。
手順
- ブックマークするフォルダーまたはファイルを選択します。
次のいずれかを行います。
- Ctrl+D を押す。
- ファイルまたはフォルダーをサイドバーにドラッグアンドドロップします。
16.3. すべてのユーザーのブックマーク追加
システム管理者は、一度に複数のユーザーのブックマークを設定して、すべてのユーザーがファイル共有に簡単にアクセスできるようにすることができます。
手順
-
既存の各ユーザーのホームディレクトリーで、
~user/.config/gtk-3.0/bookmarks
ファイルを編集します。 ファイルに、ブックマークを識別する Uniform Resource Identifiers (URI) 行を追加します。
たとえば、次の行はブックマークを
/usr/share/doc/
ディレクトリーと GNOME FTP ネットワーク共有に追加します。file:///usr/share/doc/ ftp://ftp.gnome.org/
オプション: システム上で新しく作成されたすべてのユーザーのブックマークも追加するには、次の手順を実行します。
-
/etc/skel/.config/gtk-3.0/bookmarks
ファイルを作成します。 - ファイルにブックマーク URI 行を入力します。
-
第17章 デフォルトのお気に入りアプリケーションのカスタマイズ
頻繁に使用するアプリケーションをお気に入りのアプリケーションとしてカスタマイズできます。このようなお気に入りのアプリケーションは、アクティビティーの概要の GNOME Shell の ダッシュ で確認できます。dconf
を使用して、個々のユーザーまたはすべてのユーザーにお気に入りのアプリケーションを設定できます。
17.1. 個々のユーザーに異なるお気に入りのアプリケーションの設定
個々のユーザーにデフォルトのお気に入りのアプリケーションを設定できます。
手順
- スクリーンの左上にある Activities をクリックして、Activities の概要を開きます。
次のいずれかの方法で、お気に入りのリストにアプリケーションを追加します。
- グリッドボタンをクリックして目的のアプリケーションを見つけ、アプリケーションアイコンを右クリックして Add to Favorites を選択します。
- アイコンをクリックしてダッシュにドラッグします。
お気に入りリストに存在するアプリケーションをすべて表示します。
$ dconf read /org/gnome/shell/favorite-apps
上記の設定をロックダウンして、ユーザーが変更できないようにする場合は、19章選択したタスクのロック を参照してください。
17.2. すべてのユーザーに同じお気に入りのアプリケーションを設定
dconf
の鍵ファイルを使用してシステムデータベースファイルを変更し、すべてのユーザーに同じお気に入りを設定できます。次の手順では、dconf
プロファイルを編集してから、鍵ファイルを作成して、ローカル設定データベース内のすべてのユーザーのデフォルトのお気に入りアプリケーションを設定します。
手順
/etc/dconf/db/local.d/00-favorite-apps
キーファイルを作成して、ローカルデータベースに情報を提供します。/etc/dconf/db/local.d/00-favorite-apps
の内容:# Snippet sets gedit, terminal and nautilus as default favorites for all users [org/gnome/shell] favorite-apps = ['gedit.desktop', 'gnome-terminal.desktop', 'nautilus.desktop']
ユーザーがこの設定を上書きできないようにするには、次の内容で
/etc/dconf/db/local.d/locks/favorite-apps
ファイルを作成します。# Lock default favorite applications /org/gnome/shell/favorite-apps
-
dconf update
コマンドを実行して、変更をシステムデータベースに組み込みます。 - システム全体の変更を有効にするには、ログアウトして再度ログインします。
第18章 デスクトップ環境でユーザーの認証
以下の操作を実行できます。
- GNOME でエンタープライズログインオプションの設定
- スマートカード認証の有効化
- 指紋認証の有効化
18.1. GNOME での認証にエンタープライズの認証情報を使用
エンタープライズドメインの認証情報を使用して、システムにアクセスできます。本セクションでは、GNOME でエンタープライズ認証情報を使用してログインし、GNOME のようこそ画面でエンタープライズ認証情報を設定し、GNOME でエンタープライズ認証情報で認証されたユーザーを追加する方法を説明します。
18.1.1. GNOME でエンタープライズ認証情報でログイン
ネットワークに Active Directory または Identity Management ドメインがあり、ドメインアカウントがある場合は、ドメインの認証情報を使用して GNOME にログインできます。
前提条件
システムが、エンタープライズドメインアカウントを使用するように設定されている。
詳細は、Web コンソールを使用した RHEL 8 システムの IdM ドメインへの参加 を参照してください。
手順
ログイン時に、ドメインのユーザー名、@ 記号、ドメイン名の順に入力します。
たとえば、ドメイン名が example.com で、ユーザー名が User の場合は、次のコマンドを実行します。
User@example.com
注記マシンがドメインアカウントに対してすでに設定されている場合は、ログイン形式について説明する便利なヒントが表示されるはずです。
18.1.2. GNOME のようこそ画面でエンタープライズ認証情報の設定
GNOME 初期セットアップ プログラムに属するようこそ画面を使用してエンタープライズ認証情報にワークステーションを設定するには、以下の手順を実行します。
初期設定は、新しいユーザーを作成し、そのアカウントの初回ログイン時にのみ実行されます。
手順
- ログインのようこそ画面で、Use Enterprise Login を選択します。
- Domain フィールドにドメイン名を入力します。
- ドメインアカウントのユーザー名とパスワードを入力します。
- 次へ をクリックします。
- ドメインの設定に応じて、ポップアップにドメイン管理者の認証情報のプロンプトが出されます。
18.1.3. GNOME でエンタープライズ認証情報を使用した認証ユーザーの追加
この手順では、GNOME Settings アプリケーションで新規ユーザーを作成する方法を説明します。ユーザーは、企業の認証情報を使用して認証されます。
前提条件
- GNOME のようこそ画面でエンタープライズ認証情報を設定している。詳細は、GNOME ようこそ画面でエンタープライズ認証情報を設定 を参照してください。
手順
- Settings ウィンドウを開きます。画面右上にあるアイコンをクリックします。
- 項目のリストから、Details > Users を選択します。
- Unlock をクリックし、管理者のパスワードを入力します。
- Add user… をクリックします。
- Enterprise Login をクリックします。
- 企業アカウントの Domain、Username、および Password フィールドに入力します。
- Add をクリックします。
- ドメインの設定に応じて、ポップアップにドメイン管理者の認証情報のプロンプトが出されます。
18.1.4. GNOME でのエンタープライズログインのトラブルシューティング
realm ユーティリティーとそのサブコマンドを使用して、エンタープライズログイン設定のトラブルシューティングを行うことができます。
手順
マシンがエンタープライズログイン用に設定されているかどうかを確認するには、以下のコマンドを実行します。
$ realm list
ネットワーク管理者は、kickstart realm join
コマンドを使用するか、スクリプトから自動化された方法で レルム結合
を実行することにより、ワークステーションを設定して関連ドメインに事前結合できます。
関連情報
-
realm
の man ページ
18.2. スマートカード認証の有効化
ワークステーションを有効にして、スマートカードを使用して認証することができます。これを実行するには、スマートカードのプロンプトを許可し、オペレーティングシステムがスマートカードを使用してログインするように GDM を設定する必要があります。
GUI またはコマンドラインを使用してスマートカード認証を要求できるように GDM を設定するには、2 つの方法を使用できます。
18.2.1. GUI を使用した GDM でのスマートカード認証の設定
dconf
エディター GUI を使用してスマートカード認証を有効にできます。dconf
Editor アプリケーションは、dconf データベースの設定関連の値を更新するのに役立ちます。
前提条件
dconf-editor パッケージをインストールします。
# yum install dconf-editor
手順
-
dconf-Editor アプリケーションを開き、
/org/gnome/login-screen
に移動します。 - enable-password-authentication オプションをオンにします。
- enable-smartcard-authentication オプションを有効にします。
関連情報
-
dconf-editor
の man ページ。 -
dconf
の man ページ。
18.2.2. コマンドラインで GDM でのスマートカード認証の設定
dconf
コマンドラインユーティリティーを使用して GDM ログイン画面がスマートカード認証を認識できるようにします。
手順
/
etc/dconf/db/gdm.d/login-screen
に、以下の内容を含む GDM データベースのキーファイルを作成します。[org/gnome/login-screen] enable-password-authentication='false' enable-smartcard-authentication='true'
システムの
dconf
データベースを更新します。# dconf update
関連情報
-
dconf
の man ページ。
18.2.3. システムでスマートカード認証方法を有効にする
スマートカード認証の場合は、system-config-authentication
ツールを使用して、スマートカードを使用できるようにシステムを設定できます。そのため、グラフィカル環境の有効な認証方法として GDM を利用できます。ツールは authconfig-gtk パッケージで提供されます。
前提条件
-
authconfig-gtk
パッケージをインストールします。 - スマートカード認証用の GDM の設定
関連情報
- スマートカード認証および system-config-authentication ツールを許可するようにシステムを設定する方法は、authselect を使用したスマートカードの設定 を参照してください。
18.3. 指紋認証
system-config-authentication
ツールを使用してフィンガープリント認証を有効にし、ユーザーが登録したフィンガープリントを使用してログインできるようにします。ツールは authconfig-gtk パッケージで提供されます。
関連情報
-
指紋認証および
system-config-authentication
ツールの詳細は、authselect を使用したユーザー認証の設定 を参照してください。
第19章 選択したタスクのロック
本セクションでは、次のタスクをユーザーが行わないようにロックする方法を説明します。
- 印刷
- ディスク上でのファイルの保存
- パーティションの再設定
- ユーザーのログアウトおよびユーザーの切り替え
19.1. 印刷のロック
ユーザーに印刷ダイアログボックスが表示されないように、無効にすることができます。これは、ユーザーに一時的なアクセスを提供する場合や、ユーザーがネットワークプリンターで印刷できないようにする場合に役に立ちます。
この機能は、この機能に対応するアプリケーションでのみ動作します。すべての GNOME およびサードパーティーアプリケーションでこの機能が有効になっているわけではありません。この機能に対応していないアプリケーションでは、変更しても何も起こりません。
アプリケーションから印刷できないようにするには、org.gnome.desktop.lockdown.disable-printing
キーをロックします。
手順
ユーザープロファイルがない場合は、
/etc/dconf/profile/user
に作成します。user-db:user system-db:local
マシン全体の設定用にローカルデータベースを
/etc/dconf/db/local.d/00-lockdown
ファイルに作成します。[org/gnome/desktop/lockdown] # Prevent applications from printing disable-printing=true
ユーザーの設定を上書きし、ユーザーが
/etc/dconf/db/local.d/locks/lockdown
ファイルの設定を変更できないようにします。# List the keys used to configure lockdown /org/gnome/desktop/lockdown/disable-printing
システムデータベースを更新します。
# dconf update
上記手順の実行後は、Evolution、Evince、Gedit など、このロックダウンキーに対応しているアプリケーションによる印刷が無効になります。
19.2. ディスク上に保存しているファイルのロック
保存 ダイアログおよび 名前を付けて保存 ダイアログは無効にすることができます。これは、ユーザーに一時的なアクセスを提供する場合や、ユーザーがコンピューターにファイルを保存できないようにする場合に役立ちます。
この機能は、この機能に対応するアプリケーションでのみ動作します。すべての GNOME およびサードパーティーアプリケーションでこの機能が有効になっているわけではありません。この機能に対応していないアプリケーションには、この変更による影響はありません。
org.gnome.desktop.lockdown.disable-save-to-disk
キーをロックすることにより、アプリケーションでファイルが保存されないようにすることができます。
手順
ユーザープロファイルがない場合は、
/etc/dconf/profile/user
に作成します。user-db:user system-db:local
マシン全体の設定用に、ローカルデータベースを
/etc/dconf/db/local.d/00-lockdown
ファイルに作成します。[org/gnome/desktop/lockdown] # Prevent the user from saving files on disk disable-save-to-disk=true
ユーザーの設定を上書きし、ユーザーが
/etc/dconf/db/local.d/locks/lockdown
ファイルの設定を変更できないようにします。# Lock this key to disable saving files on disk /org/gnome/desktop/lockdown/disable-save-to-disk
システムデータベースを更新します。
# dconf update
この手順の実行後は、ビデオ、イメージビューアー、Evolution、ドキュメントビューアー、GNOME Shell など、このロックダウンキーに対応するアプリケーションでは 名前を付けて保存 ダイアログが無効になります。
19.3. パーティション再設定のロック
polkit
により、個別操作のパーミッションを設定できます。ディスク管理サービスのユーティリティーである udisks2 の場合、設定は /usr/share/polkit-1/actions/org.freedesktop.udisks2.policy
にあります。このファイルには、システム管理者が上書きできる操作およびデフォルト値のセットが含まれます。
/etc
に保存される polkit
設定が /usr/share/
のパッケージで提供される設定内容を上書きします。
手順
/usr/share/polkit-1/actions/org.freedesktop.udisks2.policy
と同じ内容のファイルを作成します。cp /usr/share/polkit-1/actions/org.freedesktop.udisks2.policy /etc/share/polkit-1/actions/org.freedesktop.udisks2.policy
/usr/share/polkit-1/actions/org.freedesktop.udisks2.policy
ファイルは変更しないようにしてください。変更を加えても、次のパッケージの更新で上書きされます。不要な操作を削除し、以下の行を
/etc/polkit-1/actions/org.freedesktop.udisks2.policy
ファイルに追加します。<action id="org.freedesktop.udisks2.modify-device"> <message>Authentication is required to modify the disks settings</message> <defaults> <allow_any>no</allow_any> <allow_inactive>no</allow_inactive> <allow_active>yes</allow_active> </defaults> </action>
root
ユーザーのみがこの操作を実行できるようにする必要がある場合は、no
をauth_admin
に置き換えます。- 変更を保存します。
ユーザーがディスク設定を変更しようとすると、以下のメッセージが返されます。
Authentication is required to modify the disks settings.
19.4. ユーザーによるログアウトおよび切り替えのロック
ユーザーがログアウトできないようにするには、次の手順を行います。
手順
以下の行を含む
/etc/dconf/profile/user
プロファイルを作成します。user-db:user system-db:local
local
は、dconf データベースの名前に置き換えます。-
/etc/dconf/db/local.d/
ディレクトリーがない場合は作成します。 /etc/dconf/db/local.d/00-logout
キーファイルを作成して、ローカルデータベースに情報を提供します。[org/gnome/desktop/lockdown] # Prevent the user from user switching disable-log-out=true
ユーザーの設定を上書きし、ユーザーが
/etc/dconf/db/local.d/locks/lockdown
ファイルで設定を変更できないようにします。# Lock this key to disable user logout /org/gnome/desktop/lockdown/disable-log-out
システムデータベースを更新します。
# dconf update
- システム全体の設定に変更を適用するために、ユーザーは、一度ログアウトしてログインし直す必要があります。
ユーザーは別のユーザーに切り替えることで、ログアウトのロックダウンを回避できます。このような回避に対処するために、ユーザー切り替えもロックします。
ユーザーの切り替えをロックするには、以下の手順に従います。
手順
以下の行を含む
/etc/dconf/profile/user
プロファイルを作成します。user-db:user system-db:local
local
は、dconf データベースの名前に置き換えます。-
/etc/dconf/db/local.d/
ディレクトリーがない場合は作成します。 /etc/dconf/db/local.d/00-user-switching
キーファイルを作成して、ローカルデータベースに情報を提供します。# Prevent the user from user switching [org/gnome/desktop/lockdown] disable-user-switching=true [org/gnome/desktop/screensaver] user-switch-enabled=false
ユーザーの設定を上書きし、ユーザーが
/etc/dconf/db/local.d/locks/lockdown
ファイルで設定を変更できないようにします。# Lock this key to disable user switching /org/gnome/desktop/lockdown/disable-user-switching /org/gnome/desktop/screensaver/user-switch-enabled
システムデータベースを更新します。
# dconf update
- システム全体の設定に変更を適用するために、ユーザーは、一度ログアウトしてログインし直す必要があります。
第20章 セッションを 1 つのアプリケーションに制限する
GNOME セッションは、シングルアプリケーションモード (キオスクモードとも呼ばれます) で開始できます。このセッションでは、GNOME により、選択したアプリケーションのフルスクリーンウィンドウのみが表示されます。
20.1. シングルアプリケーションモード
シングルアプリケーションモードは、Mutter ウィンドウマネージャーを対話式キオスクに再設定する改変された GNOME セッションです。このセッションでは、特定の動作がロックされ、標準的なデスクトップの制限が強化されます。ユーザーは、管理者が選択した 1 つのアプリケーションのみと対話できます。
シングルアプリケーションモードは、次のような複数のユースケース向けに設定できます。
- 通信、娯楽、または教育の分野で
- セルフサービスマシンとして
- イベントマネージャーとして
- 登録ポイントとして
gnome-session-kiosk-session
パッケージは、RHEL 8 で単一アプリケーションモードの設定とセッションを提供します。
20.2. シングルアプリケーションモードの有効化
この手順では、シングルアプリケーションモードをインストールして有効にします。これにより、GNOME セッションが 1 つのアプリケーションに限定されます。
手順
gnome-session-kiosk-session
パッケージをインストールします。# yum install gnome-session-kiosk-session
シングルアプリケーションセッションを開くユーザーとして、
/home/user/.local/bin/redhat-kiosk
ファイルーを作成します。[user]$ mkdir -p ~/.local/bin [user]$ touch ~/.local/bin/redhat-kiosk
/home/user/.local/bin/redhat-kiosk
ファイルを編集し、シングルアプリケーションモードで起動するアプリケーションの実行ファイル名を入力します。たとえば、シングルアプリケーションモードでFirefox ブラウザーを起動する場合は、次の内容を入力します。
#!/bin/sh while true; do firefox --kiosk https://example.org done
while true
ループは、アプリケーションがなんらかの理由で終了した場合にそのアプリケーションを再起動することを保証します。ファイルを実行可能にします。
[user]$ chmod +x ~/.local/bin/redhat-kiosk
ファイルまたはそのファイルが含まれるディレクトリーを、
root
などの 1 つのアプリケーションユーザーとは別のユーザーとして作成した場合は、ファイルに正しいパーミッションがあることを確認します。# chown -R user:group ~user/.local
- GNOME ログイン画面で、歯車ボタンメニューから Kiosk セッションを選択し、シングルアプリケーションユーザーとしてログインします。
第21章 ユーザーセッションの管理
21.1. GDM とは
GNOME ディスプレイマネージャー (GDM) は、バックグラウンドで実行しているグラフィカルログインプログラムで、ローカルおよびリモートのログイン用に X.Org ディスプレイサーバーを実行および管理します。
GDM は、X ディスプレイマネージャー (XDM: X Display Manager) に置き換わるものです。ただし、GDM は XDM から派生するものではなく、元の XDM コードは含まれません。さらに、GDM にはグラフィカル設定ツールに対応していないため、GDM 設定を変更するには /etc/gdm/custom.conf
設定ファイルを編集する必要があります。
21.2. GDM の再起動
ログイン画面のバナーメッセージ、ログイン画面のロゴ、ログイン画面の背景などのシステム設定に変更を加える場合は、変更を有効にするために GDM を再起動する必要があります。
gdm
サービスを再起動すると、ログインしているすべてのデスクトップユーザーの現在実行中の GNOME セッションがすべて終了します。これにより、ユーザーが保存していないデータが失われる可能性があります。
手順
GDM サービスを再起動するには、次のコマンドを実行します。
# systemctl restart gdm.service
手順
GDM 設定の結果を表示するには、次のコマンドを実行します。
$ DCONF_PROFILE=gdm gsettings list-recursively org.gnome.login-screen
21.3. 全ユーザー用の自動起動アプリケーションの追加
ユーザーが GNOME 環境にログインすると、自動的に起動するようにアプリケーションを設定できます。
手順
/etc/xdg/autostart/
ディレクトリーに.desktop
ファイルを作成します (例:/etc/xdg/autostart/nautilus.desktop
)。ファイルに以下の内容を入力します。[Desktop Entry] Type=Application Name=Files Exec=/usr/bin/nautilus -n OnlyShowIn=GNOME; X-GNOME-Autostart-enabled=true
-
Files
を、アプリケーションの名前に置き換えます。 -
/usr/bin/nautilus -n
は、アプリケーションを起動するコマンドに置き換えます。完全なファイルパスを使用します。
-
必要に応じて、選択した GSettings キーが有効になっている場合にのみアプリケーションが起動するように設定します。GNOME は、キーの値が true の場合にアプリケーションを自動的に実行します。実行中のセッションでキーの値が変わると、新しい値と一致するように GNOME はアプリケーションを起動または停止します。
.desktop
ファイルに以下の行を追加します。AutostartCondition=GSettings org.gnome.desktop.background show-desktop-icons
-
org.gnome.desktop.background show-desktop-icons
は、自動起動が依存する GSettings スキーマとキーに置き換えます。
-
関連情報
-
特定のユーザー向けに自動起動アプリケーションを設定することもできます。
gnome-tweaks
パッケージから利用できる Tweaks アプリケーションを使用します。
21.4. 自動ログインの設定
管理者であれば GNOME 設定 の ユーザー パネルから自動ログインを有効にしたり、以下のように GDM カスタム設定ファイルで自動ログインを手動で設定したりできます。
次の手順を実行し、ユーザー john
用の自動ログインを設定します。
手順
/etc/gdm/custom.conf
ファイルを編集し、ファイル内の[daemon]
セクションで以下が指定されていることを確認します。[daemon] AutomaticLoginEnable=True AutomaticLogin=john
john
を、自動的にログインできるように設定するユーザーに置き換えます。
21.5. 自動ログアウトの設定
特定の期間アイドル状態であったユーザーセッションは自動的に終了できます。対応する GSettings キーを設定してからこれをロックし、マシンがバッテリーまたは主電源を使用しているかに応じて異なる動作を設定できます。
アイドルセッションが自動的に終了する場合は、ユーザーが保存していないデータは削除される可能性があります。
電源搭載マシンの自動ログアウトを設定するには、以下を行います。
手順
マシン全体の設定用に、ローカルデータベースを
/etc/dconf/db/local.d/00-autologout
ファイルに作成します。[org/gnome/settings-daemon/plugins/power] # Set the timeout to 900 seconds when on mains power sleep-inactive-ac-timeout=900 # Set action after timeout to be logout when on mains power sleep-inactive-ac-type='logout'
ユーザーの設定を上書きし、ユーザーが
/etc/dconf/db/local.d/locks/autologout
ファイルで設定を変更できないようにします。# Lock automatic logout settings /org/gnome/settings-daemon/plugins/power/sleep-inactive-ac-timeout /org/gnome/settings-daemon/plugins/power/sleep-inactive-ac-type
システムデータベースを更新します。
# dconf update
- システム全体の設定に変更を適用するために、ユーザーは、一度ログアウトしてログインし直す必要があります。
関連する GSettings キーは以下のとおりです。
org.gnome.settings-daemon.plugins.power.sleep-inactive-ac-timeout
コンピューターが AC 電源から実行している場合にスリープ状態に切り替わる前に非アクティブな状態にする必要がある秒数です。
org.gnome.settings-daemon.plugins.power.sleep-inactive-ac-type
コンピューターが AC 電源から実行している場合にタイムアウトが経過するとどうなるかを設定します。
org.gnome.settings-daemon.plugins.power.sleep-inactive-battery-timeout
コンピューターが電源から実行している場合にスリープ状態に切り替わる前に非アクティブな状態にする必要のある秒数です。
org.gnome.settings-daemon.plugins.power.sleep-inactive-battery-type
コンピューターがバッテリー電源から実行している場合にタイムアウトが経過したらどうなるかを設定します。
利用可能なキーの値をリスト表示するには、以下の手順に従います。
手順
-
必要なキーで
gsettings range
コマンドを実行します。以下に例を示します。
$ gsettings range org.gnome.settings-daemon.plugins.power sleep-inactive-ac-type enum 'blank' 'suspend' 'shutdown' 'hibernate' 'interactive' 'nothing' 'logout'
21.6. すべてのユーザーに対するデフォルトのデスクトップセッションの設定
ログインしていないすべてのユーザーに対して事前に選択されているデフォルトのデスクトップセッションを設定できます。
ユーザーがデフォルト以外のセッションを使用してログインしても、選択した内容は次回のログイン時に持続します。
手順
設定ファイルテンプレートをコピーします。
# cp /usr/share/accountsservice/user-templates/standard \ /etc/accountsservice/user-templates/standard
-
新しい
/etc/accountsservice/user-templates/standard
を編集します。Session=gnome
の行で、gnome
を、デフォルトとして設定するセッションに置き換えます。 Optional: 特定のユーザーのデフォルトセッションの例外を設定するには、以下の手順に従います。
テンプレートファイルを
/var/lib/AccountsService/users/user-name
にコピーします。# cp /usr/share/accountsservice/user-templates/standard \ /var/lib/AccountsService/users/user-name
-
新しいファイルで、
${USER}
や${ID}
などの変数を、ユーザーの値に置き換えてください。 -
Session
の値を編集します。
21.7. 画面の明るさとアイドル時間の設定
ローカルデータベースを作成すると、たとえば次のことが可能になります。
- 明るさのレベルを下げる設定
- 明るさのレベルの設定
- アイドル時間の設定
明るさのレベルを下げる設定
デバイスがしばらくアイドル状態になったときに明るさのレベルを下げるには、以下を行います。
手順
/etc/dconf/db/local.d/00-power
ファイルに、マシン全体の設定用に、以下の行を含むローカルデータベースを作成します。[org/gnome/settings-daemon/plugins/power] idle-dim=true
システムデータベースを更新します。
# dconf update
- システム全体の設定に変更を適用するために、ユーザーは、一度ログアウトしてログインし直す必要があります。
明るさのレベルの設定
明るさのレベルを設定するには、以下を行います。
手順
以下の例のように、
/etc/dconf/db/local.d/00-power
ファイルに、マシン全体の設定用にローカルデータベースを作成します。[org/gnome/settings-daemon/plugins/power] idle-brightness=30
30
を、使用する整数値に置き換えます。システムデータベースを更新します。
# dconf update
- システム全体の設定に変更を適用するために、ユーザーは、一度ログアウトしてログインし直す必要があります。
アイドル時間の設定
画面が空白になり、デフォルトのスクリーンセーバーが表示されるアイドル時間を設定するには、以下を行います。
手順
以下の例のように、
/etc/dconf/db/local.d/00-session
ファイルに、マシン全体の設定用にローカルデータベースを作成します。[org/gnome/desktop/session] idle-delay=uint32 900
900
を、使用する整数値に置き換えます。上記に示されるように、整数値と共に
uint32
が含まれている必要があります。システムデータベースを更新します。
# dconf update
- システム全体の設定に変更を適用するために、ユーザーは、一度ログアウトしてログインし直す必要があります。
21.8. ユーザーのアイドル時の画面のロック
スクリーンセーバーを有効にし、ユーザーがアイドル状態になったときにスクリーンが自動的にロックされるようにするには、以下の手順に従います。
手順
システム全体の設定用に、ローカルデータベースを
/etc/dconf/db/local.d/00-screensaver
に作成します。[org/gnome/desktop/session] # Set the lock time out to 180 seconds before the session is considered idle idle-delay=uint32 180 [org/gnome/desktop/screensaver] # Set this to true to lock the screen when the screensaver activates lock-enabled=true # Set the lock timeout to 180 seconds after the screensaver has been activated lock-delay=uint32 180
以下に示すように、整数キーの値と共に
uint32
を組み込む必要があります。ユーザーの設定を上書きし、ユーザーが
/etc/dconf/db/local.d/locks/screensaver
ファイルの設定を変更できないようにします。# Lock desktop screensaver settings /org/gnome/desktop/session/idle-delay /org/gnome/desktop/screensaver/lock-enabled /org/gnome/desktop/screensaver/lock-delay
システムデータベースを更新します。
# dconf update
- システム全体の設定に変更を適用するために、ユーザーは、一度ログアウトしてログインし直す必要があります。
21.9. スクリーンキャストの録画
GNOME Shell は、組み込みスクリーンレコーダーを採用しています。この機能により、ユーザーはセッション中にデスクトップまたはアプリケーションのアクティビティーを録画したり、録画内容を webm
形式の高解像度ビデオファイルとして配信したりできます。
スクリーンキャストを作成するには、以下を行います。
手順
録画を開始するには、ショートカット Ctrl+Alt+Shift+R を押します。
レコーダーがスクリーンアクティビティーをキャプチャーする際に、画面の右下の隅に赤い円が表示されます。
録画を停止するには、Ctrl+Alt+Shift+R ショートカットを押します。
画面の右下隅にあった赤い円は表示されなくなります。
-
~/Videos
ディレクトリーに移動します。ここには、Screencast で始まるファイル名で録画されたビデオがあり、録画の日時が記載されています。
組み込みレコーダーは、マルチモニター設定のすべてのモニターを含む、常に画面全体をキャプチャーします。
第22章 画面の回転の設定
22.1. シングルユーザーの画面の回転の設定
この手順では、現在のユーザーの画面の回転を設定します。
手順
画面右上からアクセスできる システムメニュー に移動し、設定 アイコンをクリックします。
- Settings → Devices セクションで、Displays を選択します。
- Orientation フィールドを使用してローテーションを設定します。
- Apply をクリックして、選択した内容を確定します。
- 新しい設定プレビューに満足できる場合は、Keep changes をクリックします。
この設定は、次回のログインまで継続されます。
関連情報
- システム上のすべてのユーザー向けにスクリーンを回転させる方法は、すべてのユーザー向けの画面の回転の設定 を参照してください。
22.2. すべてのユーザー向けの画面の回転の設定
この手順では、システム上のすべて ユーザー向けにデフォルトの画面の回転を設定します。これは、均質化されたディスプレイ設定の大規模デプロイメントに適しています。
手順
- シングルユーザーの画面の回転の設定 に従って、シングルユーザーに適したセットアップを準備します。
~/.config/monitors.xml
設定ファイルの transform セクションをコピーします。これにより、画面の回転が設定されます。縦方向の例<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <transform> <rotation>left</rotation> <flipped>no</flipped> </transform>
-
システム全体の設定を保存する
/etc/xdg/monitors.xml
ファイルに内容を貼り付けます。 - 変更を保存します。
新しい設定は、システムに次にログインするすべてのユーザーに対して有効になります。
関連情報
第23章 視覚障害のあるユーザーのアクセシビリティーを有効にする
システム管理者は、視覚障害のあるユーザーをサポートするように、デスクトップ環境を設定できます。
アクセシビリティーを有効にするには、以下の手順を実行します。
23.1. アクセシビリティー機能を提供するコンポーネント
RHEL 8 デスクトップでは、Orca スクリーンリーダーが視覚障害のあるユーザーのアクセシビリティーを保証します。Orca は、デフォルトの RHEL インストールに含まれています。
Orca は、画面から情報を読み取り、以下のコンポーネントを使用してその情報をユーザーに伝えます。
- スピーチディスパッチャー
- Orca は、スピーチディスパッチャー を使用して、音声シンセサイザーと通信します。スピーチディスパッチャー は、さまざまな音声合成バックエンドをサポートし、他のアプリケーションからのメッセージが Orca からのメッセージに割り込むのを防ぐとともに、その他の機能を提供します。
- スピーチシンセサイザー
- 音声出力を提供します。デフォルトの音声シンセサイザーは eSpeak-NG です。
- 点字ディスプレイ
- 触覚出力を提供します。この機能は、BRLTTY サービスにより実現されています。
関連情報
23.2. Universal Access メニューの有効化
トップパネルの Universal Access Menu アイコンを有効にすると、複数のアクセシビリティーオプションを備えたメニューが提供されます。
手順
- Settings アプリケーションを開きます。
- Universal Accessを選択します。
Always Show Universal Access Menu 項目を有効にします。
Settings で Universal Access メニューを有効にする
検証
このメニューのすべてのオプションが無効になっている場合でも、トップバーにUniversal Access Menuアイコンが表示されていることを確認してください。
23.3. スクリーンリーダーの有効化
デスクトップ環境で Orca スクリーンリーダーを有効にできます。スクリーンリーダーが画面に表示されたテキストを読み上げるようになり、アクセシビリティーが向上します。
手順
次のいずれかの方法を使用して、スクリーンリーダーを有効にします。
- Super+Alt+S キーボードショートカットを押します。
- トップパネルに Universal Access メニューが表示されている場合は、メニューで Screen Reader を選択します。
検証
- テキストコンテンツを含むアプリケーションを開きます。
- スクリーンリーダーがアプリケーション内のテキストを読み上げることを確認します。
23.4. 点字ディスプレイデバイスの有効化
点字ディスプレイは、brltty
サービスを使用して視覚障害のあるユーザーに触覚出力を提供するデバイスです。
点字ディスプレイを正しく機能させるためには、以下の手順を実行します。
23.4.1. サポートされている点字ディスプレイデバイスのタイプ
RHEL 8 では、以下のタイプの点字表示デバイスがサポートされています。
表23.1 点字ディスプレイデバイスのタイプと対応する構文
点字デバイスのタイプ | タイプの構文 | 注記 |
---|---|---|
シリアルデバイス |
|
相対パスは |
USB デバイス |
|
ここでの括弧 ( |
Bluetooth デバイス |
|
23.4.2. brltty サービスの有効化
点字ディスプレイを有効にするには、システムの起動時に brltty
サービスが自動的に起動するように設定します。デフォルトでは、brltty
は無効になっています。
前提条件
brltty
パッケージがインストールされていることを確認します。# yum install brltty
オプションで、
brltty
の音声合成サポートをインストールできます。# yum install brltty-espeak-ng
手順
システムの起動時に
brltty
サービスが起動するように設定します。# systemctl enable --now brltty
検証手順
- システムを再起動します。
brltty
サービスが実行されていることを確認します。# systemctl status brltty ● brltty.service - Braille display driver for Linux/Unix Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/brltty.service; enabled; vendor pres> Active: active (running) since Tue 2019-09-10 14:13:02 CEST; 39s ago Process: 905 ExecStart=/usr/bin/brltty (code=exited, status=0/SUCCESS) Main PID: 914 (brltty) Tasks: 3 (limit: 11360) Memory: 4.6M CGroup: /system.slice/brltty.service └─914 /usr/bin/brltty
23.4.3. 点字ディスプレイデバイスのユーザーの許可
点字ディスプレイデバイスを使用するには、点字ディスプレイデバイスの使用を許可するユーザーを設定する必要があります。
手順
/etc/brltty.conf
ファイルで、keyfile
が/etc/brlapi.key
に設定されていることを確認します。api-parameters Auth=keyfile:/etc/brlapi.key
これはデフォルト値です。組織によっては変更されている可能性があります。
選択したユーザーを
brlapi
グループに追加して許可します。# usermod --append -G brlapi user-name
23.4.4. 点字ディスプレイデバイスのドライバーの設定
brltty
サービスは、点字ディスプレイデバイスのドライバーを自動的に選択します。自動検出に失敗したり、時間がかかりすぎる場合は、ドライバーを手動で設定できます。
前提条件
- ドライバーの自動検出に失敗したか、時間がかかりすぎている。
手順
-
/etc/brltty.conf
設定ファイルを開きます。 -
点字ディスプレイデバイスのドライバーを指定する
braille-driver
ディレクティブを見つけます。 braille-driver
ディレクティブで、必要なドライバーの識別コードを指定します。/etc/brltty.conf
で提供されるリストから、必要なドライバーの識別コードを選択します。たとえば、XWindow ドライバーを使用するには、次のようにします。# XWindow braille-driver xw
複数のドライバーを設定するには、コンマで区切ってリストします。すると、自動検出により、リストされたドライバーから選択されます。
23.4.5. 点字ディスプレイデバイスの接続
brltty
サービスは、点字ディスプレイデバイスに自動的に接続します。自動検出に失敗した場合は、接続方法を手動で設定できます。
前提条件
- 点字ディスプレイデバイスがシステムに物理的に接続されている。
- 自動接続に失敗した。
手順
デバイスがシリアル USB 変換アダプターで接続されている場合は、デバイスプラグのカーネルメッセージで実際のデバイス名を見つけます。
# journalctl --dmesg | fgrep ttyUSB
-
/etc/brltty.conf
設定ファイルを開きます。 -
braille-device
ディレクティブを見つけます。 braille-device
ディレクティブで、接続を指定します。また、複数のデバイスをコンマで区切って設定することもできます。その場合、各デバイスが順番に検索されます。
以下に例を示します。
例23.1 最初のシリアルデバイスの設定
braille-device serial:ttyS0
例23.2 点字ドライバーに一致する最初の USB デバイスの設定
braille-device usb:
例23.3 シリアル番号による特定の USB デバイスの設定
braille-device usb:nnnnn
例23.4 シリアル USB 変換アダプターの設定
以前にカーネルメッセージで見つけたデバイス名を使用します。
braille-device serial:ttyUSB0
注記braille-device
をusb:
に設定しても、シリアル USB 変換アダプターでは機能しません。例23.5 アドレスによる特定の Bluetooth デバイスの設定
braille-device bluetooth:xx:xx:xx:xx:xx:xx
23.4.6. テキストテーブルの設定
brltty
サービスは、システム言語に基づいて、テキストテーブルを自動的に選択します。システム言語が、読み上げるドキュメントの言語と同じでない場合は、テキストテーブルを手動で設定できます。
手順
-
/etc/brltty.conf
ファイルを編集します。 選択したテキストテーブルのコードを特定します。
/etc/brltty/Text/
ディレクトリーに、利用可能なすべてのテキストテーブルがあります。コードは、ファイル接尾辞を除いたテキストテーブルのファイル名です。選択したテキストテーブルのコードを
text-table
ディレクティブで指定します。たとえば、アメリカ英語のテキストテーブルを使用するには、次を指定します。
text-table en_US # English (United States)
23.4.7. 短縮形テーブルの設定
点字ディスプレイデバイスで短縮形をエンコードするために使用するテーブルを選択できます。特定の短縮形テーブルへの相対パスは、/etc/brltty/Contraction/
ディレクトリー内に保存されます。
テーブルが指定されていない場合、brltty
サービスは短縮形テーブルを使用しません。
手順
/etc/brltty.conf
ファイルのリストから短縮形テーブルを選択します。たとえば、グレード 2 のアメリカ英語の短縮形テーブルを使用するには、次を指定します。
contraction-table en-us-g2 # English (US, grade 2)
第24章 タブレット
システムに接続している Wacom タブレットを管理するには、次のツールを使用します。
-
gnome-settings-daemon
サービス GNOME 環境の
Wacom タブレット
設定パネルタブレット用の Wacom タブレット設定パネル
グリップペン用の Wacom タブレット設定パネル
libinput
スタックとこの両ツールは、Wacom タブレットのデータを格納する libwacom
タブレットのクライアントライブラリーを使用します。
新規タブレットのサポートを libwacom
ライブラリーに追加する場合は、この新規タブレットの定義ファイルが存在することを確認する必要があります。
24.1. タブレット定義ファイルの準備
libwacom
タブレットのクライアントライブラリーでは、追加するタブレットに定義ファイルが必要です。
タブレット定義ファイルが存在することを確認するには、以下の手順に従います。
前提条件
libwacom
が認識するローカルデバイスのリストを表示します。$ libwacom-list-local-devices
出力で、デバイスが認識されている。
お使いのデバイスがリストにない場合は、デバイスが
libwacom
のデータベースにないことを示しています。ただし、デバイスが、/proc/bus/input/devices
配下にカーネルのイベントデバイスとして表示され、X.Org ディスプレイサーバーを使用する場合は、xinput
リストの X11 に表示されます。
手順
タブレット定義ファイルを提供するパッケージをインストールします。
# yum install libwacom-data
このパッケージは、
/usr/share/libwacom/
ディレクトリーにタブレット定義をインストールします。定義ファイルが
/usr/share/libwacom/
ディレクトリーにあるかどうかを確認します。画面のマッピングを正しく使用するには、使用しているタブレットのサポートが、
libwacom
データベースおよびudev
ルールファイルに組み込まれている必要があります。重要デバイスが
libwacom
に対応していない一般的なインジケーターは、GNOME セッションでは正常に機能しても、デバイスは画面に正しくマッピングされません。デバイスの定義ファイルが
/usr/share/libwacom/
で利用できない場合は、以下のいずれかの方法で対処できます。- linuxwacom/libwacom アップストリームリポジトリーで、必要な定義ファイルが利用できる可能性があります。そのリポジトリーで、必要な定義ファイルを探してみてください。タブレットモデルがリストにある場合は、ファイルをローカルマシンにコピーします。
タブレットの定義ファイルを新たに作成できます。以下のような
data/wacom.example
ファイルを使用し、デバイスの特性に基づいて特定の行を編集します。例24.1 タブレットのモデルファイルの説明例
[Device] # The product is the product name announced by the kernel Product=Intuos 4 WL 6x9 # Vendor name of this tablet Vendor=Wacom # DeviceMatch includes the bus (usb, serial), the vendor ID and the actual # product ID DeviceMatch=usb:056a:00bc # Class of the tablet. Valid classes include Intuos3, Intuos4, Graphire, Bamboo, Cintiq Class=Intuos4 # Exact model of the tablet, not including the size. Model=Intuos 4 Wireless # Width in inches, as advertised by the manufacturer Width=9 # Height in inches, as advertised by the manufacturer Height=6 # Optional features that this tablet supports # Some features are dependent on the actual tool used, e.g. not all styli # have an eraser and some styli have additional custom axes (e.g. the # airbrush pen). These features describe those available on the tablet. # # Features not set in a file default to false/0 [Features] # This tablet supports styli (and erasers, if present on the actual stylus) Stylus=true # This tablet supports touch. Touch=false # This tablet has a touch ring (Intuos4 and Cintiq 24HD) Ring=true # This tablet has a second touch ring (Cintiq 24HD) Ring2=false # This tablet has a vertical/horizontal scroll strip VStrip=false HStrip=false # Number of buttons on the tablet Buttons=9 # This tablet is built-in (most serial tablets, Cintiqs) BuiltIn=false
24.2. 新しいタブレットのサポートの追加
libwacom
タブレット情報クライアントライブラリーに、新規タブレットのサポートを追加するには、以下の手順に従います。
前提条件
追加するタブレットの定義ファイルが存在する。
定義ファイルの存在を確認する方法は、「タブレット定義ファイルの準備」 を参照してください。
手順
.tablet
接尾辞を含む定義ファイルを追加およびインストールします。# cp the-new-file.tablet /usr/share/libwacom/
インストールが完了すると、タブレットは
libwacom
のデータベースの一部になります。次に、このタブレットはlibwacom-list-local-devices
から利用できるようになります。以下の内容で
/etc/udev/rules/99-libwacom-override.rules
ファイルを新規作成し、設定が上書きされないようにします。ACTION!="add|change", GOTO="libwacom_end" KERNEL!="event[0-9]*", GOTO="libwacom_end" [new tablet match entries go here] LABEL="libwacom_end"
- システムを再起動します。
24.3. Wacom タブレット設定の保存場所
Wacom タブレットの設定は、/org/gnome/settings-daemon/peripherals/wacom/machine-id-device-id
キーの GSettings に保存されます。machine-id
は D-Bus マシン ID で、device-id
はタブレットデバイス ID です。
タブレットの設定スキーマは、org.gnome.settings-daemon.peripherals.wacom
です。
stylus 設定は、/org/gnome/settings-daemon/peripherals/wacom/device-id/tool-id
キーに保存されます。tool-id
は、プロフェッショナルで使用される stylus の識別子です。tool-id
に対応しないコンシューマーでは、代わりに汎用識別子が使用されます。
stylus の設定スキーマは、org.gnome.settings-daemon.peripherals.wacom.stylus
です。イレイサーの設定スキーマは、org.gnome.settings-daemon.peripherals.wacom.eraser
です。
24.4. 利用可能な Wacom タブレット設定パスのリスト表示
特定のマシンで使用されるタブレット設定パスの詳細なリストを取得するには、gnome-settings-daemon
パッケージで利用できる gsd-list-wacom
ツールを使用します。
前提条件
gnome-settings-daemon
パッケージがシステムにインストールされていることを確認してください。# yum install gnome-settings-daemon
手順
マシンで使用されるタブレット設定パスのリストを取得するには、次のコマンドを実行します。
$ /usr/libexec/gsd-list-wacom
設定パスで machine-id
、device-id
、および tool-id
を使用すると、マシンごとに個別のタブレット設定を持つ共有ホームディレクトリーの使用が可能になります。ただし、マシン間でホームディレクトリーを共有した場合に、Wacom 設定が適用されるのは 1 台のマシンのみとなります。
これは、Wacom タブレットの machine-id
が /org/gnome/settings-daemon/peripherals/wacom/machine-id-device-id GSettings
キーの設定パスに組み込まれており、これにタブレット設定が保存されます。
第25章 Flatpak を使用したアプリケーションのインストール
Flatpak パッケージマネージャーを使用して特定のアプリケーションをインストールできます。次のセクションでは、コマンドラインおよびグラフィカルインターフェイスで、Flatpak アプリケーションを検索、インストール、起動、および更新する方法を説明します。
Red Hat は、Flatpak アプリケーションをテクノロジープレビュー機能としてのみ提供しています。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品サポートのサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではない場合があります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビュー機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
Flatpak パッケージマネージャー自体は完全にサポートされています。
25.1. Flatpak 技術
Flatpak は、アプリケーションの構築、デプロイメント、配布、インストールのためのサンドボックス環境を提供します。
Flatpak を使用して起動するアプリケーションには、ホストシステムへの最小限のアクセス権があり、サードパーティーのアプリケーションからシステムのインストールを保護します。Flatpak は、ホストシステムにインストールされているライブラリーのバージョンに関係なく、アプリケーションの安定性を提供します。
Flatpak アプリケーションは、リモートと呼ばれるリポジトリーから配布されます。Red Hat は、RHEL アプリケーションでリモートを提供します。また、サードパーティーのリモートも利用できます。Red Hat は、サードパーティーのリモートからのアプリケーションをサポートしません。
25.2. Flatpak のセットアップ
この手順では、Flatpak パッケージマネージャーをインストールします。
手順
flatpak
パッケージをインストールします。# yum install flatpak
25.3. Red Hat Flatpak リモートの有効化
この手順では、Red Hat Container Catalog をシステムの Flatpak リモートとして設定します。
前提条件
Red Hat カスタマーポータルにアカウントがある。
注記ユーザーがカスタマーポータルのアカウントを持たない大規模なデプロイメントでは、Red Hat はレジストリーサービスアカウントを使用することを推奨します。詳細は、Registry Service Accounts を参照してください。
手順
rhel
Flatpak リモートを有効にします。$ flatpak remote-add \ --if-not-exists \ rhel \ https://flatpaks.redhat.io/rhel.flatpakrepo
Red Hat Container Catalog にログインします。
$ podman login registry.redhat.io Username: your-user-name Password: your-password
Red Hat カスタマーポータルアカウントの認証情報またはレジストリーサービスアカウントのトークンを指定します。
デフォルトで、Podman はログアウトするまでしか認証情報を保存しません。
必要に応じて、認証情報を永続的に保存します。以下のオプションのいずれかを使用します。
現在のユーザーの認証情報を保存する。
$ cp $XDG_RUNTIME_DIR/containers/auth.json \ $HOME/.config/flatpak/oci-auth.json
システム全体に認証情報を保存する。
# cp $XDG_RUNTIME_DIR/containers/auth.json \ /etc/flatpak/oci-auth.json
Red Hat では、認証情報をシステム全体にインストールする際には、レジストリーアカウントトークンを使用して Red Hat Container Catalog にログインすることをベストプラクティスとして推奨します。
検証
有効な Flatpak リモートをリスト表示します。
$ flatpak remotes Name Options rhel system,oci,no-gpg-verify
25.4. Flatpak アプリケーションの検索
この手順では、コマンドラインで、有効な Flatpak リモートでアプリケーションを検索します。検索では、アプリケーション名と説明を使用します。
前提条件
- Flatpak がインストールされている。
- Red Hat Flatpak リポジトリーが有効になっている。
手順
名前でアプリケーションを検索します。
$ flatpak search application-name
たとえば、LibreOffice アプリケーションを検索するには、以下を使用します。
$ flatpak search LibreOffice
検索結果には、アプリケーションの ID が含まれます。
Application ID Version Branch Remotes Description org.libreoffice.LibreOffice stable rhel The LibreOffice productivity suite
25.5. Flatpak アプリケーションのインストール
この手順では、コマンドラインで、有効な Flatpak リモートから選択したアプリケーションをインストールします。
前提条件
- Flatpak がインストールされている。
- Red Hat Flatpak リモートが有効になっている。
手順
rhel
リモートからアプリケーションをインストールします。$ flatpak install rhel application-id
application-id を、アプリケーションの ID に置き換えます。以下に例を示します。
$ flatpak install rhel org.libreoffice.LibreOffice
25.6. Flatpak アプリケーションの起動
この手順では、コマンドラインから、インストールされた Flatpak アプリケーションを起動します。
前提条件
- Flatpak がインストールされている。
- 選択した Flatpak アプリケーションがインストールされている。
手順
アプリケーションを起動します。
$ flatpak run application-id
application-id を、アプリケーションの ID に置き換えます。以下に例を示します。
$ flatpak run org.libreoffice.LibreOffice
25.7. Flatpak アプリケーションの更新
この手順では、1 つ以上のインストールされた Flatpak アプリケーションを、対応する Flatpak リモート内の最新バージョンに更新します。
前提条件
- Flatpak がインストールされている。
- Flatpak リモートが有効になっている。
手順
1 つまたは複数の Flatpak アプリケーションを更新します。
特定の Flatpak アプリケーションを更新するには、アプリケーション ID を指定します。
$ flatpak update application-id
すべての Flatpak アプリケーションを更新するには、アプリケーション ID を指定しません。
$ flatpak update
25.8. グラフィカルインターフェイスでの Flatpak アプリケーションのインストール
この手順では、Software アプリケーションを使用して Flatpak アプリケーションを検索します。
前提条件
- Flatpak がインストールされている。
- Red Hat Flatpak リモートが有効になっている。
手順
- Software アプリケーションを開きます。
- Explore タブがアクティブであることを確認します。
- ウィンドウの左上隅にある検索ボタンをクリックします。
- 入力ボックスに、LibreOffice などの、インストールするアプリケーションの名前を入力します。
検索結果で適切なアプリケーションを選択します。
アプリケーションが複数回リストされている場合は、Details セクションの Source フィールドが
flatpaks.redhat.io
を報告するバージョンを選択します。- Install ボタンをクリックします。
- Software がログインを要求する場合は、カスタマーポータルの認証情報またはレジストリーサービスアカウントのトークンを入力します。
- インストールプロセスが完了するまで待ちます。
- オプション:Launch ボタンをクリックしてアプリケーションを起動します。
25.9. グラフィカルインターフェイスでの Flatpak アプリケーションの更新
この手順では、Software アプリケーションを使用して、インストールされている 1 つ以上の Flatpak アプリケーションを更新します。
前提条件
- Flatpak がインストールされている。
- Flatpak リモートが有効になっている。
手順
- Software アプリケーションを開きます。
- Updates タブを選択します。
- Application Updates セクションでは、Flatpak アプリケーションに対して利用可能な更新をすべて見つけることができます。
1 つ以上のアプリケーションを更新します。
- 利用可能な更新をすべて適用するには、Update All ボタンをクリックします。
- 特定のアプリケーションのみを更新するには、アプリケーションアイテムの横にある Update ボタンをクリックします。
オプション: アプリケーションの自動更新を有効にします。
- ウィンドウの右上隅にあるメニューボタンをクリックします。
- Update Preferences を選択します。
Automatic Updatesを有効にします。
Flatpak アプリケーションが自動的に更新されるようになりました。