Ansible を使用した Identity Management のインストールと管理

Red Hat Enterprise Linux 8

Ansible を使用した IdM 環境の維持

Red Hat Customer Content Services

概要

Red Hat は、管理者が Ansible を使用して Red Hat Identity Management (IdM) を実行できるようにする ansible-freeipa パッケージを提供します。Playbook を使用して IdM をインストールし、ユーザー、グループ、ホスト、アクセス制御、設定を管理できます。

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。まずは、マスター (master)、スレーブ (slave)、ブラックリスト (blacklist)、ホワイトリスト (whitelist) の 4 つの用語の置き換えから始めます。この取り組みは膨大な作業を要するため、今後の複数のリリースで段階的に用語の置き換えを実施して参ります。詳細は、Red Hat CTO である Chris Wright のメッセージ を参照してください。

Identity Management では、次のような用語の置き換えが計画されています。

  • ブラックリスト から ブロックリスト
  • ホワイトリスト から 許可リスト
  • スレーブ から セカンダリー
  • マスター という言葉は、文脈に応じて、より正確な言葉に置き換えられています。

    • IdM マスター から IdM サーバー
    • CA 更新マスター から CA 更新サーバー
    • CRL マスター から CRL パブリッシャーサーバー
    • マルチマスター から マルチサプライヤー

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第1章 Ansible の用語

本書の章では、公式の Ansible 用語を使用します。Ansible の用語に慣れていない場合は、公式の Ansible アップストリームドキュメント、特に次のセクションを読んでから続行してください。

  • Ansible のセクションの基本概念 は、Ansible で最も一般的に使用される概念の概要を説明します。
  • ユーザーガイド では、コマンドラインの使用、インベントリーの使用、データの操作、タスク、Play および Playbook の記述、Playbook の実行など、Ansible の使用を開始する際の最も一般的な状況や疑問点について概説しています。
  • インベントリーの構築方法 では、インベントリーの設計方法のヒントがあります。インベントリーは、Ansible がインフラストラクチャー内の複数の管理ノードまたはホストに対して機能するために使用するリストのグループです。
  • Intro to playbooks では、設定の管理、マシンのデプロイ、および複雑なアプリケーションのデプロイのための反復可能で再利用可能なシステムとして、Ansible Playbook の概念を紹介します。
  • Ansible ロール セクションでは、既知のファイル構造に基づいて特定の変数、タスク、およびハンドラーの読み込みを自動化する方法を説明します。
  • 用語集 は、他の Ansible ドキュメントで使用される用語です。

第2章 Ansible Playbook で Identity Management サーバーのインストール

Ansible を使用してシステムを IdM サーバーとして設定する方法を説明します。システムを IdM サーバーとして設定すると、IdM ドメインを確立し、システムが IdM クライアントに IdM サービスを提供できるようになります。ipaserver Ansible ロールを使用してデプロイメントを管理できます。

前提条件

  • Ansibleと IdM の概念を理解している:

    • Ansible ロール
    • Ansible ノード
    • Ansible インベントリー
    • Ansible タスク
    • Ansible モジュール
    • Ansible プレイおよび Playbook

2.1. Ansible と、IdM をインストールする利点

Ansible は、システムの設定、ソフトウェアのデプロイ、ローリング更新の実行に使用する自動化ツールです。Ansible には Identity Management (IdM) のサポートが含まれるため、Ansible モジュールを使用して、IdM サーバー、レプリカ、クライアント、または IdM トポロジー全体の設定などのインストールタスクを自動化できます。

IdM のインストールに Ansible を使用する利点

以下のリストは、手動インストールとは対照的に、Ansible を使用して Identity Management をインストールする利点を示しています。

  • 管理ノードにログインする必要はありません。
  • デプロイする各ホストに個別に設定する必要はありません。代わりに、完全なクラスターをデプロイするためのインベントリーファイルを 1 つ使用できます。
  • ユーザーおよびホストを追加するなど、後で管理タスクにインベントリーファイルを再利用できます。IdM には関係のないタスクであっても、インベントリーファイルを再利用できます。

2.2. ansible-freeipa パッケージのインストール

以下の手順に従って、Identity Management (IdM) をインストールおよび管理する Ansible ロールとモジュールを提供する ansible-freeipa パッケージをインストールします。

前提条件

  • マネージドノード で以下を行っている。

    • 管理ノードが、静的 IP アドレスと作業パッケージマネージャーを備えた Red Hat Enterprise Linux 8 システムである。
  • コントローラー で以下を行っている。

    • コントローラーが、有効なサブスクリプションを備えた Red Hat Enterprise Linux システムである。そうでない場合は、公式の Ansible ドキュメントの Installation guide で、代替のインストール方法を参照してください。
    • コントローラーから、SSH プロトコルで管理ノードに到達できる。管理ノードが、コントローラーの /root/.ssh/known_hosts ファイルのリストに記載されていることを確認します。

手順

Ansible コントローラーで以下の手順を使用します。

  1. システムが RHEL 8.5 以前で実行されている場合は、必要なリポジトリーを有効にします。

    # subscription-manager repos --enable ansible-2.8-for-rhel-8-x86_64-rpms
  2. システムが RHEL 8.5 以前で実行されている場合は、ansible パッケージをインストールします。

    # yum install ansible
  3. ansible-freeipa パッケージをインストールします。

    # yum install ansible-freeipa

    ロールとモジュールは、/usr/share/ansible/roles/ および /usr/share/ansible/plugins/modules ディレクトリーにインストールされます。

2.3. ファイルシステム内の Ansible ロールの場所

デフォルトでは、ansible-freeipa ロールは /usr/share/ansible/roles/ ディレクトリーにインストールされます。ansible-freeipa パッケージの構造は以下のとおりです。

  • /usr/share/ansible/roles/ ディレクトリーには、Ansible コントローラーの ipaserver ロール、ipareplica ロール、および ipaclient ロールが保存されています。各ロールディレクトリーには、サンプル、基本的な概要、ライセンス、および Markdown ファイルの README.md のロールに関する情報が保存されています。

    [root@server]# ls -1 /usr/share/ansible/roles/
    ipaclient
    ipareplica
    ipaserver
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーには、Markdown ファイルの README.md に、各ロールおよびトポロジーに関する情報が保存されています。また、playbooks/ サブディレクトリーも保存されています。

    [root@server]# ls -1 /usr/share/doc/ansible-freeipa/
    playbooks
    README-client.md
    README.md
    README-replica.md
    README-server.md
    README-topology.md
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/ ディレクトリーは、Playbook のサンプルを保存します。

    [root@server]# ls -1 /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/
    install-client.yml
    install-cluster.yml
    install-replica.yml
    install-server.yml
    uninstall-client.yml
    uninstall-cluster.yml
    uninstall-replica.yml
    uninstall-server.yml

2.4. 統合 DNS と、root CA としての統合 CA を使用したデプロイメントのパラメーターの設定

以下の手順に従って、IdM 統合 DNS ソリューションを使用する環境で、統合 CA を持つ IdM サーバーを root CA としてインストールするようにインベントリーファイルを設定します。

注記

この手順のインベントリーは、INI 形式を使用します。または、YAML 形式または JSON 形式を使用できます。

手順

  1. 編集するインベントリーファイルを開きます。IdM サーバーとして使用するホストの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を指定します。FQDN が以下の基準を満たしていることを確認してください。

    • 英数字およびハイフン (-) のみが使用できる。たとえば、アンダーラインは使用できないため、DNS の障害が発生する原因となる可能性があります。
    • ホスト名がすべて小文字である。
  2. IdM ドメインおよびレルムの情報を指定します。
  3. 以下のオプションを追加して、統合 DNS を使用することを指定します。

    ipaserver_setup_dns=yes
  4. DNS 転送設定を指定します。以下のいずれかのオプションを選択します。

    • インストーラーが /etc/resolv.conf ファイルからのフォワーダーを使用する場合は、ipaserver_auto_forwarders=yes オプションを使用します。/etc/resolv.conf ファイルで指定する nameserver が localhost 127.0.0.1 アドレスである場合、または仮想プライベートネットワークにあり、使用している DNS サーバーが通常パブリックインターネットから到達できない場合は、このオプションは使用しないでください。
    • ipaserver_forwarders を使用して、フォワーダーを手動で指定します。インストールプロセスにより、インストールした IdM サーバーの /etc/named.conf ファイルに、フォワーダーの IP アドレスが追加されます。
    • 代わりに使用する root DNS サーバーを設定する場合は、ipaserver_no_forwarders=yes オプションを使用します。

      注記

      DNS フォワーダーがないと、環境は分離され、インフラストラクチャー内の他の DNS ドメインからの名前は解決されません。

  5. DNS の逆引きレコードとゾーンの設定を指定します。次のいずれかのオプションを選択します。

    • ゾーンがすでに解決可能であっても、ipaserver_allow_zone_overlap=yes オプションを使用して (リバース) ゾーンの作成を許可します。
    • ipaserver_reverse_zones オプションを使用して、手動でリバースゾーンを指定します。
    • インストーラーが DNS ゾーンを逆引きで作成しない場合は、ipaserver_no_reverse=yes オプションを使用します。

      注記

      オプションで、逆引きゾーンの管理に IdM を使用できます。代わりに、この目的で外部 DNS サービスを使用することもできます。

  6. adminDirectory Manager のパスワードを指定します。Ansible Vault を使用してパスワードを保存し、Playbook ファイルから Vault ファイルを参照します。あるいは、安全性は低くなりますが、インベントリーファイルにパスワードを直接指定します。
  7. (必要に応じて) IdM サーバーで使用する個別の firewalld ゾーンを指定します。カスタムゾーンを設定しないと、サービスがデフォルトの firewalld ゾーンに追加されます。事前定義されたデフォルトゾーンは public です。

    重要

    指定する firewalld ゾーンは存在し、永続的でなければなりません。

    必要なサーバー情報を含むインベントリーファイルの例 (パスワードを除く)

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
    
    [ipaserver:vars]
    ipaserver_domain=idm.example.com
    ipaserver_realm=IDM.EXAMPLE.COM
    ipaserver_setup_dns=yes
    ipaserver_auto_forwarders=yes
    [...]

    必要なサーバー情報を含むインベントリーファイルの例 (パスワードを含む)

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
    
    [ipaserver:vars]
    ipaserver_domain=idm.example.com
    ipaserver_realm=IDM.EXAMPLE.COM
    ipaserver_setup_dns=yes
    ipaserver_auto_forwarders=yes
    ipaadmin_password=MySecretPassword123
    ipadm_password=MySecretPassword234
    
    [...]

    カスタムの firewalld 損を使用したインベントリーファイルの例

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
    
    [ipaserver:vars]
    ipaserver_domain=idm.example.com
    ipaserver_realm=IDM.EXAMPLE.COM
    ipaserver_setup_dns=yes
    ipaserver_auto_forwarders=yes
    ipaadmin_password=MySecretPassword123
    ipadm_password=MySecretPassword234
    ipaserver_firewalld_zone=custom zone

    Ansible Vault ファイルに保存された admin パスワードおよび Directory Manager パスワードを使用して IdM サーバーを設定する Playbook の例

    ---
    - name: Playbook to configure IPA server
      hosts: ipaserver
      become: true
      vars_files:
      - playbook_sensitive_data.yml
    
      roles:
      - role: ipaserver
        state: present

    インベントリーファイルの admin パスワードおよび Directory Manager パスワードを使用して IdM サーバーを設定する Playbook の例

    ---
    - name: Playbook to configure IPA server
      hosts: ipaserver
      become: true
    
      roles:
      - role: ipaserver
        state: present

関連情報

  • フォワードポリシーのデフォルト設定は、ipa-dns-install(1) man ページに記載されている --forward-policy の説明を参照してください。
  • ipaserver ロールが使用する DNS 変数の詳細は、/usr/share/doc/ansible-freeipa ディレクトリーの README-server.md ファイルにある DNS Variables セクションを参照してください。

2.5. 外部 DNS と、root CA としての統合 CA を使用したデプロイメントのパラメーターの設定

以下の手順に従って、外部 DNS ソリューションを使用する環境で、統合 CA の IdM サーバーを root CA としてインストールするようにインベントリーファイルを設定します。

注記

この手順のインベントリーファイルは、INI形式を使用します。または、YAML 形式または JSON 形式を使用できます。

手順

  1. 編集するインベントリーファイルを開きます。IdM サーバーとして使用するホストの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を指定します。FQDN が以下の基準を満たしていることを確認してください。

    • 英数字およびハイフン (-) のみが使用できる。たとえば、アンダーラインは使用できないため、DNS の障害が発生する原因となる可能性があります。
    • ホスト名がすべて小文字である。
  2. IdM ドメインおよびレルムの情報を指定します。
  3. ipaserver_setup_dns オプションが no に設定されているか、存在しないことを確認します。
  4. adminDirectory Manager のパスワードを指定します。Ansible Vault を使用してパスワードを保存し、Playbook ファイルから Vault ファイルを参照します。あるいは、安全性は低くなりますが、インベントリーファイルにパスワードを直接指定します。
  5. (必要に応じて) IdM サーバーで使用する個別の firewalld ゾーンを指定します。カスタムゾーンを設定しないと、サービスがデフォルトの firewalld ゾーンに追加されます。事前定義されたデフォルトゾーンは public です。

    重要

    指定する firewalld ゾーンは存在し、永続的でなければなりません。

    必要なサーバー情報を含むインベントリーファイルの例 (パスワードを除く)

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
    
    [ipaserver:vars]
    ipaserver_domain=idm.example.com
    ipaserver_realm=IDM.EXAMPLE.COM
    ipaserver_setup_dns=no
    [...]

    必要なサーバー情報を含むインベントリーファイルの例 (パスワードを含む)

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
    
    [ipaserver:vars]
    ipaserver_domain=idm.example.com
    ipaserver_realm=IDM.EXAMPLE.COM
    ipaserver_setup_dns=no
    ipaadmin_password=MySecretPassword123
    ipadm_password=MySecretPassword234
    
    [...]

    カスタムの firewalld 損を使用したインベントリーファイルの例

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
    
    [ipaserver:vars]
    ipaserver_domain=idm.example.com
    ipaserver_realm=IDM.EXAMPLE.COM
    ipaserver_setup_dns=no
    ipaadmin_password=MySecretPassword123
    ipadm_password=MySecretPassword234
    ipaserver_firewalld_zone=custom zone

    Ansible Vault ファイルに保存された admin パスワードおよび Directory Manager パスワードを使用して IdM サーバーを設定する Playbook の例

    ---
    - name: Playbook to configure IPA server
      hosts: ipaserver
      become: true
      vars_files:
      - playbook_sensitive_data.yml
    
      roles:
      - role: ipaserver
        state: present

    インベントリーファイルの admin パスワードおよび Directory Manager パスワードを使用して IdM サーバーを設定する Playbook の例

    ---
    - name: Playbook to configure IPA server
      hosts: ipaserver
      become: true
    
      roles:
      - role: ipaserver
        state: present

2.6. Ansible Playbook を使用して、統合 CA を root CA として備えた IdM サーバーをデプロイメント

以下の手順に従って、Ansible Playbook を使用して、統合された認証局 (CA) を備えた IdM サーバーをデプロイします。

注記

この手順のインベントリーは、INI 形式を使用します。または、YAML 形式または JSON 形式を使用できます。

前提条件

  • 以下のいずれかの手順を選択して、シナリオに対応するパラメーターを設定している。

  • ipaserver ロールで使用できる変数について、/usr/share/doc/ansible-freeipa/README-server.md ファイルの説明を読み、理解している。

手順

  1. ansible-playbook コマンドを、Playbook ファイルの名前 (install-server.yml など) で実行します。-i オプションでインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i <path_to_inventory_directory>/hosts <path_to_playbooks_directory>/install-server.yml

    -v オプション、-vv オプション、または -vvv オプションを使用して、詳細のレベルを指定します。

    コマンドラインインターフェイス (CLI) で Ansible Playbook スクリプトの出力を表示できます。次の出力は、失敗したタスクが 0 個のため、スクリプトが正常に実行されたことを示しています。

    PLAY RECAP
    server.idm.example.com : ok=18   changed=10   unreachable=0    failed=0    skipped=21   rescued=0    ignored=0
  2. 以下のいずれかのオプションを選択します。

    • IdM デプロイメントで外部 DNS を使用する場合: /tmp/ipa.system.records.UFRPto.db ファイルに含まれる DNS リソースレコードを、既存の外部 DNS サーバーに追加します。DNS レコードの更新プロセスは、特定の DNS ソリューションによって異なります。

      ...
      Restarting the KDC
      Please add records in this file to your DNS system: /tmp/ipa.system.records.UFRBto.db
      Restarting the web server
      ...
    重要

    既存の DNS サーバーに DNS レコードを追加するまで、サーバーのインストールは完了しません。

    • IdM デプロイメントで統合 DNS を使用している場合は、次のコマンドを実行します。

      • 親ドメインから ldM DNS ドメインに DNS 委譲を追加します。たとえば、IdM DNS ドメインが idm.example.com の場合は、ネームサーバー (NS) レコードを親ドメイン example.com に追加します。

        重要

        IdM DNS サーバーをインストールするたびに、この手順を繰り返します。

      • タイムサーバーの _ntp._udp サービス (SRV) レコードを IdM DNS に追加します。IdM DNS に新たにインストールした IdM サーバーのタイムサーバーの SRV レコードが存在すると、このプライマリー IdM サーバーが使用するタイムサーバーと同期するように、今後のレプリカおよびクライアントインストールが自動的に設定されます。

関連情報

2.7. 統合 DNS と、ルート CA としての外部 CA を使用したデプロイメントのパラメーターの設定

以下の手順に従って、IdM 統合 DNS ソリューションを使用する環境で、外部 CA を持つ IdM サーバーを root CA としてインストールするようにインベントリーファイルを設定します。

注記

この手順のインベントリーファイルは、INI形式を使用します。または、YAML 形式または JSON 形式を使用できます。

手順

  1. 編集するインベントリーファイルを開きます。IdM サーバーとして使用するホストの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を指定します。FQDN が以下の基準を満たしていることを確認してください。

    • 英数字およびハイフン (-) のみが使用できる。たとえば、アンダーラインは使用できないため、DNS の障害が発生する原因となる可能性があります。
    • ホスト名がすべて小文字である。
  2. IdM ドメインおよびレルムの情報を指定します。
  3. 以下のオプションを追加して、統合 DNS を使用することを指定します。

    ipaserver_setup_dns=yes
  4. DNS 転送設定を指定します。以下のいずれかのオプションを選択します。

    • インストールプロセスで /etc/resolv.conf ファイルのフォワーダーを使用する場合は、ipaserver_auto_forwarders=yes を使用します。/etc/resolv.conf ファイルで指定する nameserver が localhost 127.0.0.1 アドレスである場合、または仮想プライベートネットワークにあり、使用している DNS サーバーが通常パブリックインターネットから到達できない場合は、このオプションを使用することが推奨されません。
    • ipaserver_forwarders を使用して、フォワーダーを手動で指定します。インストールプロセスにより、インストールした IdM サーバーの /etc/named.conf ファイルに、フォワーダーの IP アドレスが追加されます。
    • 代わりに使用する root DNS サーバーを設定する場合は、ipaserver_no_forwarders=yes オプションを使用します。

      注記

      DNS フォワーダーがないと、環境は分離され、インフラストラクチャー内の他の DNS ドメインからの名前は解決されません。

  5. DNS の逆引きレコードとゾーンの設定を指定します。次のいずれかのオプションを選択します。

    • ゾーンがすでに解決可能であっても、ipaserver_allow_zone_overlap=yes オプションを使用して (リバース) ゾーンの作成を許可します。
    • ipaserver_reverse_zones オプションを使用して、手動でリバースゾーンを指定します。
    • インストールプロセスで DNS ゾーンの逆引きを作成しない場合は、ipaserver_no_reverse=yes オプションを使用します。

      注記

      オプションで、逆引きゾーンの管理に IdM を使用できます。代わりに、この目的で外部 DNS サービスを使用することもできます。

  6. adminDirectory Manager のパスワードを指定します。Ansible Vault を使用してパスワードを保存し、Playbook ファイルから Vault ファイルを参照します。あるいは、安全性は低くなりますが、インベントリーファイルにパスワードを直接指定します。
  7. (必要に応じて) IdM サーバーで使用する個別の firewalld ゾーンを指定します。カスタムゾーンを設定しないと、サービスがデフォルトのfirewalld ゾーンに追加されます。事前定義されたデフォルトゾーンは public です。

    重要

    指定する firewalld ゾーンは存在し、永続的でなければなりません。

    必要なサーバー情報を含むインベントリーファイルの例 (パスワードを除く)

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
    
    [ipaserver:vars]
    ipaserver_domain=idm.example.com
    ipaserver_realm=IDM.EXAMPLE.COM
    ipaserver_setup_dns=yes
    ipaserver_auto_forwarders=yes
    [...]

    必要なサーバー情報を含むインベントリーファイルの例 (パスワードを含む)

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
    
    [ipaserver:vars]
    ipaserver_domain=idm.example.com
    ipaserver_realm=IDM.EXAMPLE.COM
    ipaserver_setup_dns=yes
    ipaserver_auto_forwarders=yes
    ipaadmin_password=MySecretPassword123
    ipadm_password=MySecretPassword234
    
    [...]

    カスタムの firewalld 損を使用したインベントリーファイルの例

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
    
    [ipaserver:vars]
    ipaserver_domain=idm.example.com
    ipaserver_realm=IDM.EXAMPLE.COM
    ipaserver_setup_dns=yes
    ipaserver_auto_forwarders=yes
    ipaadmin_password=MySecretPassword123
    ipadm_password=MySecretPassword234
    ipaserver_firewalld_zone=custom zone
    
    [...]

  8. インストールの最初ステップ用の Playbook を作成します。証明書署名要求 (CSR) を生成し、それをコントローラーからマネージドノードにコピーする指示を入力します。

    ---
    - name: Playbook to configure IPA server Step 1
      hosts: ipaserver
      become: true
      vars_files:
      - playbook_sensitive_data.yml
      vars:
        ipaserver_external_ca: yes
    
      roles:
      - role: ipaserver
        state: present
    
      post_tasks:
      - name: Copy CSR /root/ipa.csr from node to "{{ groups.ipaserver[0] + '-ipa.csr' }}"
        fetch:
          src: /root/ipa.csr
          dest: "{{ groups.ipaserver[0] + '-ipa.csr' }}"
          flat: yes
  9. インストールの最終ステップ用に、別の Playbook を作成します。

    ---
    - name: Playbook to configure IPA server Step -1
      hosts: ipaserver
      become: true
      vars_files:
      - playbook_sensitive_data.yml
      vars:
        ipaserver_external_cert_files: "/root/chain.crt"
    
      pre_tasks:
      - name: Copy "{{ groups.ipaserver[0] + '-chain.crt' }}" to /root/chain.crt on node
        copy:
          src: "{{ groups.ipaserver[0] + '-chain.crt' }}"
          dest: "/root/chain.crt"
          force: yes
    
      roles:
      - role: ipaserver
        state: present

関連情報

  • フォワードポリシーのデフォルト設定は、ipa-dns-install(1) man ページに記載されている --forward-policy の説明を参照してください。
  • ipaserver ロールが使用する DNS 変数の詳細は、/usr/share/doc/ansible-freeipa ディレクトリーの README-server.md ファイルにある DNS Variables セクションを参照してください。

2.8. 外部 DNS と、ルート CA としての外部 CA を使用したデプロイメントのパラメーターの設定

以下の手順に従って、外部 DNS ソリューションを使用する環境で、外部 CA を持つ IdM サーバーを root CA としてインストールするようにインベントリーファイルを設定します。

注記

この手順のインベントリーファイルは、INI形式を使用します。または、YAML 形式または JSON 形式を使用できます。

手順

  1. 編集するインベントリーファイルを開きます。IdM サーバーとして使用するホストの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を指定します。FQDN が以下の基準を満たしていることを確認してください。

    • 英数字およびハイフン (-) のみが使用できる。たとえば、アンダーラインは使用できないため、DNS の障害が発生する原因となる可能性があります。
    • ホスト名がすべて小文字である。
  2. IdM ドメインおよびレルムの情報を指定します。
  3. ipaserver_setup_dns オプションが no に設定されているか、存在しないことを確認します。
  4. adminDirectory Manager のパスワードを指定します。Ansible Vault を使用してパスワードを保存し、Playbook ファイルから Vault ファイルを参照します。あるいは、安全性は低くなりますが、インベントリーファイルにパスワードを直接指定します。
  5. (必要に応じて) IdM サーバーで使用する個別の firewalld ゾーンを指定します。カスタムゾーンを設定しないと、サービスがデフォルトの firewalld ゾーンに追加されます。事前定義されたデフォルトゾーンは public です。

    重要

    指定する firewalld ゾーンは存在し、永続的でなければなりません。

    必要なサーバー情報を含むインベントリーファイルの例 (パスワードを除く)

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
    
    [ipaserver:vars]
    ipaserver_domain=idm.example.com
    ipaserver_realm=IDM.EXAMPLE.COM
    ipaserver_setup_dns=no
    [...]

    必要なサーバー情報を含むインベントリーファイルの例 (パスワードを含む)

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
    
    [ipaserver:vars]
    ipaserver_domain=idm.example.com
    ipaserver_realm=IDM.EXAMPLE.COM
    ipaserver_setup_dns=no
    ipaadmin_password=MySecretPassword123
    ipadm_password=MySecretPassword234
    
    [...]

    カスタムの firewalld 損を使用したインベントリーファイルの例

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
    
    [ipaserver:vars]
    ipaserver_domain=idm.example.com
    ipaserver_realm=IDM.EXAMPLE.COM
    ipaserver_setup_dns=no
    ipaadmin_password=MySecretPassword123
    ipadm_password=MySecretPassword234
    ipaserver_firewalld_zone=custom zone
    
    [...]

  6. インストールの最初ステップ用の Playbook を作成します。証明書署名要求 (CSR) を生成し、それをコントローラーからマネージドノードにコピーする指示を入力します。

    ---
    - name: Playbook to configure IPA server Step 1
      hosts: ipaserver
      become: true
      vars_files:
      - playbook_sensitive_data.yml
      vars:
        ipaserver_external_ca: yes
    
      roles:
      - role: ipaserver
        state: present
    
      post_tasks:
      - name: Copy CSR /root/ipa.csr from node to "{{ groups.ipaserver[0] + '-ipa.csr' }}"
        fetch:
          src: /root/ipa.csr
          dest: "{{ groups.ipaserver[0] + '-ipa.csr' }}"
          flat: yes
  7. インストールの最終ステップ用に、別の Playbook を作成します。

    ---
    - name: Playbook to configure IPA server Step -1
      hosts: ipaserver
      become: true
      vars_files:
      - playbook_sensitive_data.yml
      vars:
        ipaserver_external_cert_files: "/root/chain.crt"
    
      pre_tasks:
      - name: Copy "{{ groups.ipaserver[0] + '-chain.crt' }}" to /root/chain.crt on node
        copy:
          src: "{{ groups.ipaserver[0] + '-chain.crt' }}"
          dest: "/root/chain.crt"
          force: yes
    
      roles:
      - role: ipaserver
        state: present

関連情報

2.9. 外部 CA を root CA として備えた IdM サーバーの Ansible Playbook を使用したデプロイメント

以下の手順に従って、Ansible Playbook を使用して、外部認証局 (CA) を備えた IdM サーバーをデプロイします。

注記

この手順のインベントリーファイルは、INI形式を使用します。または、YAML 形式または JSON 形式を使用できます。

前提条件

  • 以下のいずれかの手順を選択して、シナリオに対応するパラメーターを設定している。

  • ipaserver ロールで使用できる変数について、/usr/share/doc/ansible-freeipa/README-server.md ファイルの説明を読み、理解している。

手順

  1. ansible-playbook コマンドに、インストールの最初ステップの指示を含む Playbook ファイルの名前 (install-server-step1.yml など) を指定して実行します。-i オプションでインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i <path_to_inventory_directory>/host.server <path_to_playbooks_directory>/install-server-step1.yml

    -v オプション、-vv オプション、または -vvv オプションを使用して、詳細のレベルを指定します。

    コマンドラインインターフェイス (CLI) で Ansible Playbook スクリプトの出力を表示できます。次の出力は、失敗したタスクが 0 個のため、スクリプトが正常に実行されたことを示しています。

    PLAY RECAP
    server.idm.example.com : ok=18   changed=10   unreachable=0    failed=0    skipped=21   rescued=0    ignored=0
  2. コントローラー上の ipa.csr 証明書署名要求ファイルを見つけ、これを外部 CA に送信します。
  3. 外部 CA が署名した IdM CA 証明書をコントローラーファイルシステムに配置して、次のステップの Playbook で見つけられるようにします。
  4. ansible-playbook コマンドに、インストールの最終ステップの指示を含む Playbook ファイルの名前 (install-server-step2.yml など) を指定して実行します。-i オプションでインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook -v -i <path_to_inventory_directory>/host.server <path_to_playbooks_directory>/install-server-step2.yml
  5. 以下のいずれかのオプションを選択します。

    • IdM デプロイメントで外部 DNS を使用する場合: /tmp/ipa.system.records.UFRPto.db ファイルに含まれる DNS リソースレコードを、既存の外部 DNS サーバーに追加します。DNS レコードの更新プロセスは、特定の DNS ソリューションによって異なります。

      ...
      Restarting the KDC
      Please add records in this file to your DNS system: /tmp/ipa.system.records.UFRBto.db
      Restarting the web server
      ...
    重要

    既存の DNS サーバーに DNS レコードを追加するまで、サーバーのインストールは完了しません。

    • IdM デプロイメントで統合 DNS を使用している場合は、次のコマンドを実行します。

      • 親ドメインから ldM DNS ドメインに DNS 委譲を追加します。たとえば、IdM DNS ドメインが idm.example.com の場合は、ネームサーバー (NS) レコードを親ドメイン example.com に追加します。

        重要

        IdM DNS サーバーをインストールするたびに、この手順を繰り返します。

      • タイムサーバーの _ntp._udp サービス (SRV) レコードを IdM DNS に追加します。IdM DNS に新たにインストールした IdM サーバーのタイムサーバーの SRV レコードが存在すると、このプライマリー IdM サーバーが使用するタイムサーバーと同期するように、今後のレプリカおよびクライアントインストールが自動的に設定されます。

関連情報

ルート CA として 統合 CA を使用して IdM サーバーをデプロイする方法については、Ansible Playbook を使用して、統合 CA を root CA として備えた IdM サーバーをデプロイメント を参照してください。

2.10. 関連情報

第3章 Ansible Playbook で Identity Management レプリカのインストール

Ansible を使用してシステムを IdM レプリカとして設定すると、IdM ドメインに登録され、ドメインの IdM サーバーにある IdM サービスをシステムが使用できるようになります。

デプロイメントは、Ansible ロール ipareplica で管理されます。このロールは、自動検出モードを使用して、IdM サーバー、ドメイン、およびその他の設定を識別できます。ただし、複数のレプリカを階層のようなモデルでデプロイし、そのレプリカのグループを異なるタイミングでデプロイする場合には、グループごとに特定のサーバーまたはレプリカを定義する必要があります。

前提条件

  • Ansible コントロールノードに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
  • Ansibleと IdM の概念を理解している:

    • Ansible ロール
    • Ansible ノード
    • Ansible インベントリー
    • Ansible タスク
    • Ansible モジュール
    • Ansible プレイおよび Playbook

3.1. IdM レプリカをインストールするためのベース変数、サーバー変数、およびクライアント変数の指定

IdM レプリカをインストールするためのインベントリーファイルを設定するには、以下の手順を完了します。

前提条件

  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. 編集するインベントリーファイルを開きます。IdM レプリカとなるホストの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を指定します。FQDN は有効な DNS 名である必要があります。

    • 数字、アルファベット、およびハイフン (-) のみを使用できる。たとえば、アンダーラインは使用できないため、DNS の障害が発生する原因となる可能性があります。
    • ホスト名がすべて小文字である。

      レプリカの FQDN のみが定義されている単純なインベントリーホストファイルの例

      [ipareplicas]
      replica1.idm.example.com
      replica2.idm.example.com
      replica3.idm.example.com
      [...]

      IdM サーバーがデプロイされており、SRV レコードが IdM DNS ゾーンに適切に設定されている場合、スクリプトはその他に必要な値をすべて自動的に検出します。

  2. [オプション] トポロジーの設計方法に基づいて、インベントリーファイルに追加情報を入力します。

    シナリオ 1

    自動検出を回避し、[ipareplicas] セクションに記載されているすべてのレプリカが特定の IdM サーバーを使用するようにするには、インベントリーファイルの [ipaservers] セクションにそのサーバーを設定します。

    IdM サーバーとレプリカの FQDN が定義されているインベントリーホストファイルの例

    [ipaservers]
    server.idm.example.com
    
    [ipareplicas]
    replica1.idm.example.com
    replica2.idm.example.com
    replica3.idm.example.com
    [...]

    シナリオ 2

    または、自動検出を回避して、特定のサーバーで特定のレプリカをデプロイする場合は、インベントリーファイルの [ipareplicas] セクションに、特定のレプリカのサーバーを個別に設定します。

    特定のレプリカ用に特定の IdM サーバーが定義されたインベントリーファイルの例

    [ipaservers]
    server.idm.example.com
    replica1.idm.example.com
    
    [ipareplicas]
    replica2.idm.example.com
    replica3.idm.example.com ipareplica_servers=replica1.idm.example.com

    上記の例では、replica3.idm.example.com が、すでにデプロイされた replica1.idm.example.com を複製元として使用します。

    シナリオ 3

    1 つのバッチに複数のレプリカをデプロイする場合は、多層レプリカのデプロイメントが役に立ちます。インベントリーファイルにレプリカの特定グループ (例: [ipareplicas_tier1] および [ipareplicas_tier2]) を定義し、Playbook install-replica.yml で各グループに個別のプレイを設計します。

    レプリカ階層が定義されているインベントリーファイルの例

    [ipaservers]
    server.idm.example.com
    
    [ipareplicas_tier1]
    replica1.idm.example.com
    
    [ipareplicas_tier2]
    replica2.idm.example.com \ ipareplica_servers=replica1.idm.example.com,server.idm.example.com

    ipareplica_servers の最初のエントリーが使用されます。次のエントリーは、フォールバックオプションとして使用されます。IdM レプリカのデプロイに複数の層を使用する場合は、最初に tier1 からレプリカをデプロイし、次に tier2 からレプリカをデプロイするように、Playbook に個別のタスクが必要です。

    レプリカグループごとに異なるプレイを定義した Playbook ファイルの例

    ---
    - name: Playbook to configure IPA replicas (tier1)
      hosts: ipareplicas_tier1
      become: true
    
      roles:
      - role: ipareplica
        state: present
    
    - name: Playbook to configure IPA replicas (tier2)
      hosts: ipareplicas_tier2
      become: true
    
      roles:
      - role: ipareplica
        state: present

  3. [オプション] firewalld と DNS に関する追加情報を入力します。

    シナリオ 1

    レプリカが、デフォルトのゾーンの代わりに指定した firewalld ゾーンを使用するようにする場合は、インベントリーファイルに指定できます。これは、たとえば、デフォルトとして設定されているパブリックゾーンの代わりに、IdM インストールに内部 firewalld ゾーンを使用する場合に役立ちます。

    カスタムゾーンを設定しないと、サービスがデフォルトの firewalld ゾーンに追加されます。事前定義されたデフォルトゾーンは public です。

    重要

    指定する firewalld ゾーンは存在し、永続的でなければなりません。

    カスタム firewalld 帯を持つシンプルなインベントリーホストファイルの例

    [ipaservers]
    server.idm.example.com
    
    [ipareplicas]
    replica1.idm.example.com
    replica2.idm.example.com
    replica3.idm.example.com
    [...]
    
    [ipareplicas:vars]
    ipareplica_firewalld_zone=custom zone

    シナリオ 2

    レプリカが IdM DNS サービスをホストするようにする場合は、ipareplica_setup_dns=yes 行を [ipareplicas:vars] セクションに追加します。また、サーバーごとの DNS フォワーダーを使用するかどうかを指定します。

    • サーバーごとのフォワーダーを設定するには、ipareplica_forwarders 変数と文字列のリストを [ipareplicas:vars] セクションに追加します (例: ipareplica_forwarders=192.0.2.1,192.0.2.2)。
    • サーバーごとにフォワーダーを設定しない場合は、ipareplica_no_forwarders=yes の行を [ipareplicas:vars] セクションに追加します。
    • レプリカの /etc/resolv.conf ファイルにリスト表示されているフォワーダーに基づいてサーバーごとにフォワーダーを設定するには、[ipareplicas:vars] セクションに ipareplica_auto_forwarders を追加します。

    レプリカに DNS とサーバーごとのフォワーダーを設定する手順を含むインベントリーファイルの例

    [ipaservers]
    server.idm.example.com
    
    [ipareplicas]
    replica1.idm.example.com
    replica2.idm.example.com
    replica3.idm.example.com
    [...]
    
    [ipareplicas:vars]
    ipareplica_setup_dns=yes
    ipareplica_forwarders=192.0.2.1,192.0.2.2

    シナリオ 3

    ipaclient_configure_dns_resolve および ipaclient_dns_servers オプション (使用可能な場合) を使用して DNS リゾルバーを指定し、クラスターのデプロイメントを簡素化します。これは、IdM デプロイメントが統合 DNS を使用している場合に特に便利です。

    DNS リゾルバーを指定するインベントリーファイルスニペット:

    [...]
    [ipaclient:vars]
    ipaclient_configure_dns_resolver=true
    ipaclient_dns_servers=192.168.100.1

    注記

    ipaclient_dns_servers リストには IP アドレスのみを含める必要があります。ホスト名を含めることはできません。

関連情報

  • ipareplica 変数の詳細は、/usr/share/ansible/roles/ipareplica/README.md Markdown ファイルを参照してください。

3.2. Ansible Playbook を使用して IdM レプリカをインストールするための認証情報の指定

この手順は、IdM レプリカのインストールに認可を設定します。

前提条件

  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. レプリカをデプロイする権限のあるユーザーのパスワード (IdM の admin など) を指定します。

    • Red Hat は、Ansible Vault を使用してパスワードを保存し、Playbook ファイルから Vault ファイルを参照する (install-replica.yml など) ことを推奨します。

      Ansible Vault ファイルのインベントリーファイルおよびパスワードのプリンシパルを使用した Playbook ファイルの例

      - name: Playbook to configure IPA replicas
        hosts: ipareplicas
        become: true
        vars_files:
        - playbook_sensitive_data.yml
      
        roles:
        - role: ipareplica
          state: present

      Ansible Vault の使用方法は、公式の Ansible Vault ドキュメントを参照してください。

    • あまり安全ではありませんが、インベントリーファイルで admin の認証情報を直接提供します。インベントリーファイルの [ipareplicas:vars] セクションで ipaadmin_password オプションを使用します。インベントリーファイルと、Playbook ファイル install-replica.yml は以下のようになります。

      インベントリーの hosts.replica ファイルの例

      [...]
      [ipareplicas:vars]
      ipaadmin_password=Secret123

      インベントリーファイルのプリンシパルおよびパスワードを使用した Playbook の例

      - name: Playbook to configure IPA replicas
        hosts: ipareplicas
        become: true
      
        roles:
        - role: ipareplica
          state: present

    • または、安全性は低くなりますが、レプリカをインベントリーファイルに直接デプロイすることを許可されている別のユーザーの認証情報を提供します。別の認証ユーザーを指定するには、ユーザー名に ipaadmin_principal オプションを使用し、パスワードに ipaadmin_password オプションを使用します。インベントリーファイルと、Playbook ファイル install-replica.yml は以下のようになります。

      インベントリーの hosts.replica ファイルの例

      [...]
      [ipareplicas:vars]
      ipaadmin_principal=my_admin
      ipaadmin_password=my_admin_secret123

      インベントリーファイルのプリンシパルおよびパスワードを使用した Playbook の例

      - name: Playbook to configure IPA replicas
        hosts: ipareplicas
        become: true
      
        roles:
        - role: ipareplica
          state: present

関連情報

  • Ansible ロール ipareplica で使用できるオプションの詳細は、Markdown ファイル /usr/share/ansible/roles/ipareplica/README.md を参照してください。

3.3. Ansible Playbook で IdM レプリカのデプロイメント

以下の手順に従って、Ansible Playbook を使用して IdM レプリカをデプロイします。

手順

  • Ansible Playbook を使用して IdM レプリカをインストールするには、ansible-playbook コマンドに Playbook ファイルの名前 (install-replica.yml など) を使用します。-i オプションでインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i <path_to_inventory_directory>/hosts.replica <path_to_playbooks_directory>/install-replica.yml

    -v オプション、-vv オプション、または -vvv オプションを使用して、詳細のレベルを指定します。

    Ansible には、Ansible Playbook スクリプトの実行が通知されます。次の出力は、失敗したタスクが 0 個のため、スクリプトが正常に実行されたことを示しています。

    PLAY RECAP
    replica.idm.example.com : ok=18   changed=10   unreachable=0    failed=0    skipped=21   rescued=0    ignored=0

これで、IdM レプリカがインストールされました。

第4章 Ansible Playbook で Identity Management クライアントのインストール

Ansible を使用して、システムを Identity Management (IdM) クライアントとして設定する方法を説明します。システムを IdM クライアントとして設定すると、IdM ドメインに登録され、システムがドメインの IdM サーバーで IdM サービスを使用できるようになります。

デプロイメントは、Ansible ロール ipaclient により管理されます。デフォルトでは、ロールは自動検出モードを使用して、IdM サーバー、ドメイン、およびその他の設定を特定します。ロールは、Ansible Playbook がインベントリーファイルなどに指定した設定を使用するように変更できます。

前提条件

  • Ansible コントロールノードに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
  • Ansibleと IdM の概念を理解している:

    • Ansible ロール
    • Ansible ノード
    • Ansible インベントリー
    • Ansible タスク
    • Ansible モジュール
    • Ansible プレイおよび Playbook

4.1. 自動検出クライアントインストールモードでインベントリーファイルのパラメーターの設定

Ansible Playbook を使用して Identity Management クライアントをインストールするには、インベントリーファイルでターゲットホストパラメーターを設定します (例: inventory/hosts)。

  • ホストに関する情報
  • タスクの承認

インベントリーファイルは、所有するインベントリープラグインに応じて、多数ある形式のいずれかになります。INI-like 形式は Ansible のデフォルトで、以下の例で使用されています。

注記

RHEL でグラフィカルユーザーインターフェイスでスマートカードを使用するには、Ansible Playbook に ipaclient_mkhomedir 変数を含めるようにします。

前提条件

手順

  1. IdM クライアントになるホストの完全修飾ホスト名 (FQDN) を指定します。完全修飾ドメイン名は、有効な DNS 名である必要があります。

    • 数字、アルファベット、およびハイフン (-) のみを使用できる。たとえば、アンダーラインは使用できないため、DNS の障害が発生する原因となる可能性があります。
    • ホスト名がすべて小文字である。大文字は使用できません。

    SRV レコードが IdM DNS ゾーンで正しく設定されている場合は、スクリプトが自動的に必要な値をすべて検出します。

    クライアントの FQDN のみが定義されている単純なインベントリーホストファイルの例

    [ipaclients]
    client.idm.example.com
    [...]

  2. クライアントを登録するための認証情報を指定します。以下の認証方法を使用できます。

    • クライアントを登録する権限のあるユーザーのパスワード。以下はデフォルトのオプションになります。

      • Red Hat は、Ansible Vault を使用してパスワードを保存し、Playbook ファイル (install-client.yml など) から Vault ファイルを直接参照することを推奨します。

        Ansible Vault ファイルのインベントリーファイルおよびパスワードのプリンシパルを使用した Playbook ファイルの例

        - name: Playbook to configure IPA clients with username/password
          hosts: ipaclients
          become: true
          vars_files:
          - playbook_sensitive_data.yml
        
          roles:
          - role: ipaclient
            state: present

      • あまり安全ではありませんが、inventory/hosts ファイルの [ipaclients:vars] セクションに ipaadmin_password オプションを使用して、admin の認証情報を提供します。また、別の認証ユーザーを指定するには、ユーザー名に ipaadmin_principal オプション、パスワードに ipaadmin_password オプションを使用します。inventory/hosts インベントリーファイルと、Playbook ファイル install-client.yml は以下のようになります。

        インベントリーホストファイルの例

        [...]
        [ipaclients:vars]
        ipaadmin_principal=my_admin
        ipaadmin_password=Secret123

        インベントリーファイルのプリンシパルおよびパスワードを使用した Playbook の例

        - name: Playbook to unconfigure IPA clients
          hosts: ipaclients
          become: true
        
          roles:
          - role: ipaclient
            state: true

    • 以前登録した クライアントキータブ が利用できる場合は、以下を行います。

      このオプションは、システムが Identity Management クライアントとして登録されたことがある場合に使用できます。この認証方法を使用するには、#ipaclient_keytab オプションのコメントを解除して、キータブを保存するファイルへのパスを指定します (例: inventory/hosts[ipaclient:vars] セクション)。

    • 登録時に生成される ランダムなワンタイムパスワード (OTP)。この認証方法を使用するには、インベントリーファイルの ipaclient_use_otp=yes オプションを使用します。たとえば、inventory/hosts ファイルの [ipaclients:vars] セクションで ipaclient_use_otp=yes オプションのコメントを解除できます。OTP では、以下のいずれかのオプションも指定する必要があります。

      • クライアントを登録する権限のあるユーザーのパスワード (例: inventory/hosts ファイルの [ipaclients:vars] セクションに ipaadmin_password の値を指定)。
      • 管理者キータブ (例: inventory/hosts[ipaclients:vars] セクションに ipaadmin_keytab の値を指定)。
  3. (オプション) ipaclient_configure_dns_resolve および ipaclient_dns_servers オプション (使用可能な場合) を使用して DNS リゾルバーを指定し、クラスターのデプロイメントを簡素化します。これは、IdM デプロイメントが統合 DNS を使用している場合に特に便利です。

    DNS リゾルバーを指定するインベントリーファイルスニペット:

    [...]
    [ipaclients:vars]
    ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
    ipaclient_domain=idm.example.com
    ipaclient_configure_dns_resolver=true
    ipaclient_dns_servers=192.168.100.1

    注記

    ipaclient_dns_servers リストには IP アドレスのみを含める必要があります。ホスト名を含めることはできません。

関連情報

4.2. クライアントのインストール時に自動検出ができない場合に備えてインベントリーファイルのパラメーターの設定

Ansible Playbook を使用して Identity Management クライアントをインストールするには、インベントリーファイルでターゲットホストパラメーターを設定します (例: inventory/hosts)。

  • ホストと、IdM サーバーおよび IdM ドメインまたは IdM レルムに関する情報
  • タスクの承認

インベントリーファイルは、所有するインベントリープラグインに応じて、多数ある形式のいずれかになります。INI-like 形式は Ansible のデフォルトで、以下の例で使用されています。

注記

RHEL でグラフィカルユーザーインターフェイスでスマートカードを使用するには、Ansible Playbook に ipaclient_mkhomedir 変数を含めるようにします。

前提条件

手順

  1. IdM クライアントになるホストの完全修飾ホスト名 (FQDN) を指定します。完全修飾ドメイン名は、有効な DNS 名である必要があります。

    • 数字、アルファベット、およびハイフン (-) のみを使用できる。たとえば、アンダーラインは使用できないため、DNS の障害が発生する原因となる可能性があります。
    • ホスト名がすべて小文字である。大文字は使用できません。
  2. inventory/hosts ファイルの関連セクションに、他のオプションを指定します。

    • [ipaservers] セクションのサーバーの FQDN は、クライアントが登録される IdM サーバーを示します。
    • 以下のいずれかのオプションを使用できます。

      • クライアントが登録される IdM サーバーの DNS ドメイン名を指定する [ipaclients:vars] セクションの ipaclient_domain オプション
      • IdM サーバーが制御する Kerberos レルムの名前を示す [ipaclients:vars] セクションの ipaclient_realm オプション

        クライアント FQDN、サーバーの FQDN、およびドメインが定義されているインベントリーホストファイルの例

        [ipaclients]
        client.idm.example.com
        
        [ipaservers]
        server.idm.example.com
        
        [ipaclients:vars]
        ipaclient_domain=idm.example.com
        [...]

  3. クライアントを登録するための認証情報を指定します。以下の認証方法を使用できます。

    • クライアントを登録する権限のあるユーザーのパスワード。以下はデフォルトのオプションになります。

      • Red Hat は、Ansible Vault を使用してパスワードを保存し、Playbook ファイル (install-client.yml など) から Vault ファイルを直接参照することを推奨します。

        Ansible Vault ファイルのインベントリーファイルおよびパスワードのプリンシパルを使用した Playbook ファイルの例

        - name: Playbook to configure IPA clients with username/password
          hosts: ipaclients
          become: true
          vars_files:
          - playbook_sensitive_data.yml
        
          roles:
          - role: ipaclient
            state: present

    • 安全性は低くなりますが、inventory/hosts ファイルの [ipaclients:vars] セクションの ipaadmin_password オプションを使用して、admin の認証情報が提供されます。また、別の認証ユーザーを指定するには、ユーザー名に ipaadmin_principal オプション、パスワードに ipaadmin_password オプションを使用します。これにより、Playbook ファイル install-client.yml は、以下のようになります。

      インベントリーホストファイルの例

      [...]
      [ipaclients:vars]
      ipaadmin_principal=my_admin
      ipaadmin_password=Secret123

      インベントリーファイルのプリンシパルおよびパスワードを使用した Playbook の例

      - name: Playbook to unconfigure IPA clients
        hosts: ipaclients
        become: true
      
        roles:
        - role: ipaclient
          state: true

    • 以前登録した クライアントキータブ が利用できる場合は、以下を行います。

      このオプションは、システムが Identity Management クライアントとして登録されたことがある場合に使用できます。この認証方法を使用するには、ipaclient_keytab オプションをコメント解除します。たとえば、inventory/hosts[ipaclient:vars] セクションにあるように、キータブを格納しているファイルへのパスを指定します。

    • 登録時に生成される ランダムなワンタイムパスワード (OTP)。この認証方法を使用するには、インベントリーファイルの ipaclient_use_otp=yes オプションを使用します。たとえば、inventory/hosts ファイルの [ipaclients:vars] セクションで、#ipaclient_use_otp=yes オプションをコメント解除できます。OTP では、以下のいずれかのオプションも指定する必要があります。

      • クライアントを登録する権限のあるユーザーのパスワード (例: inventory/hosts ファイルの [ipaclients:vars] セクションに ipaadmin_password の値を指定)。
      • 管理者キータブ (例: inventory/hosts[ipaclients:vars] セクションに ipaadmin_keytab の値を指定)。

関連情報

  • Ansible ロール ipaclient で使用できるオプションの詳細は、/usr/share/ansible/roles/ipaclient/README.md を参照してください。
  • subID 範囲の手動管理

4.3. install-client.yml ファイルのパラメーターの確認

Playbook ファイル install-client.yml には、IdM クライアントのデプロイメント手順が含まれています。

手順

  • ファイルを開き、Playbook の命令がデプロイメントのプランニング内容に対応するかどうかを確認します。通常、内容は以下のようになります。

    ---
    - name: Playbook to configure IPA clients with username/password
      hosts: ipaclients
      become: true
    
      roles:
      - role: ipaclient
        state: present

    以下は、個々のエントリーが意味するものです。

    • hosts エントリーは、ipa-client-install スクリプトを実行するホストの FQDNs を ansaible スクリプトが検索する inventory/hosts のセクションを指定します。
    • become: true エントリーは、ipa-client-install スクリプトの実行時に root の認証情報が呼び出されるように指定します。
    • role: ipaclient エントリーは、ホストにインストールされるロールを指定します。この場合は ipa クライアントロールになります。
    • state: present エントリーは、アンインストール (absent) ではなくクライアントをインストールするように指定します。

4.4. Ansible Playbook で IdM クライアント登録の認可オプション

インベントリーおよび Playbook ファイルの例を使用した IdM クライアント登録の個別認証オプションは以下のとおりです。

表4.1 Ansible で IdM クライアント登録の認可オプション

認可オプション備考インベントリーファイルの例Playbook ファイル install-client.yml の例

クライアントを登録する権限のあるユーザーのパスワード - オプション 1

Ansible vault に保存されているパスワード

[ipaclients:vars]
[...]
- name: Playbook to configure IPA clients with username/password
  hosts: ipaclients
  become: true
  vars_files:
  - playbook_sensitive_data.yml

  roles:
  - role: ipaclient
    state: present

クライアントを登録する権限のあるユーザーのパスワード - オプション 2

インタベントリーファイルに格納されるパスワード

[ipaclients:vars]
ipaadmin_password=Secret123
- name: Playbook to configure IPA clients
  hosts: ipaclients
  become: true

  roles:
  - role: ipaclient
    state: true

ランダムなワンタイムパスワード (OTP) - オプション 1

OTP および管理者パスワード

[ipaclients:vars]
ipaadmin_password=Secret123
ipaclient_use_otp=true
- name: Playbook to configure IPA clients
  hosts: ipaclients
  become: true

  roles:
  - role: ipaclient
    state: true

ランダムなワンタイムパスワード (OTP) - オプション 2

OTP および管理者キータブ

[ipaclients:vars]
ipaadmin_keytab=/root/admin.keytab
ipaclient_use_otp=true
- name: Playbook to configure IPA clients
  hosts: ipaclients
  become: true

  roles:
  - role: ipaclient
    state: true

前回登録時のクライアントキータブ

 
[ipaclients:vars]
ipaclient_keytab=/root/krb5.keytab
- name: Playbook to configure IPA clients
  hosts: ipaclients
  become: true

  roles:
  - role: ipaclient
    state: true
注記

RHEL 8.8 以降、上記の 2 つの OTP 承認シナリオでは、kinit コマンドを使用した管理者の TGT の要求は、最初に指定または検出された IdM サーバーで行われます。したがって、Ansible コントロールノードを追加変更する必要はありません。RHEL 8.8 より前は、制御ノードに krb5-workstation パッケージが必要でした。

4.5. Ansible Playbook を使用した IdM クライアントのデプロイ

Ansible Playbook を使用して IdM 環境に IdM クライアントをデプロイするには、この手順を完了します。

手順

  • Ansible Playbook を使用して IdM クライアントをインストールする場合は、ansible-playbook コマンドに Playbook ファイルの名前 (install-client.yml など) を指定します。-i オプションでインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory/hosts install-client.yml

    -v オプション、-vv オプション、または -vvv オプションを使用して、詳細のレベルを指定します。

    Ansible には、Ansible Playbook スクリプトの実行が通知されます。次の出力は、失敗したタスクがないため、スクリプトが正常に実行されたことを示しています。

    PLAY RECAP
    client1.idm.example.com : ok=18 changed=10 unreachable=0 failed=0 skipped=21 rescued=0 ignored=0
    注記

    Ansible は、さまざまな色を使用して、実行中のプロセスに関するさまざまな情報を提供します。/etc/ansible/ansible.cfg ファイルの [colors] セクションで、デフォルトの色を変更できます。

    [colors]
    [...]
    #error = red
    #debug = dark gray
    #deprecate = purple
    #skip = cyan
    #unreachable = red
    #ok = green
    #changed = yellow
    [...]

Ansible Playbook を使用して、ホストに IdM クライアントをインストールしました。

4.6. Ansible インストール後の Identity Management クライアントのテスト

コマンドラインインターフェイス (CLI) により、ansible-playbook コマンドが成功したことが表示されますが、独自のテストを行うこともできます。

Identity Management クライアントが、サーバーに定義したユーザーに関する情報を取得できることをテストするには、サーバーに定義したユーザーを解決できることを確認します。たとえば、デフォルトの admin ユーザーを確認するには、次のコマンドを実行します。

[user@client1 ~]$ id admin
uid=1254400000(admin) gid=1254400000(admins) groups=1254400000(admins)

認証が適切に機能していることをテストするには、別の既存 IdM ユーザーで su - を実行します。

[user@client1 ~]$ su - idm_user
Last login: Thu Oct 18 18:39:11 CEST 2018 from 192.168.122.1 on pts/0
[idm_user@client1 ~]$

4.7. Ansible Playbook での IdM クライアントのアンインストール

以下の手順に従って、Ansible Playbook を使用して IdM クライアントと機能していたホストをアンインストールします。

前提条件

  • IdM 管理者の認証情報

手順

  • IdM クライアントをアンインストールするには、uninstall-client.yml など Playbook ファイルの名前を指定して ansible-playbook コマンドを実行します。-i オプションでインベントリーファイルを指定し、必要に応じて -v-vv または -vvv オプションを使用して詳細レベルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory/hosts uninstall-client.yml
重要

クライアントをアンインストールすると、基本的な IdM 設定のみがホストから削除されますが、クライアントの再インストールを行うことになった場合に備え、ホストに設定ファイルが残されます。また、アンインストールには以下の制限があります。

  • IdM LDAP サーバーからクライアントホストエントリーは削除されない。アンインストールすると、ホストの登録が解除されるだけである。
  • クライアントにあるサービスは、IdM から削除されない。
  • クライアントの DNS エントリーは、IdM サーバーから削除されない。
  • /etc/krb5.keytab を除き、以前の Keytab のプリンシパルは削除されない。

アンインストールを行うと、IdM CA がホスト向けに発行した証明書がすべて削除されることに注意してください。

関連情報

第5章 Ansible Playbook を使用して IdM を管理する環境の準備

Identity Management (IdM) を管理するシステム管理者は、Red Hat Ansible Engine を使用する際に以下を行うことが推奨されます。

  • ホームディレクトリーに Ansible Playbook 専用のサブディレクトリー (例: ~/MyPlaybooks) を作成します。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/*/usr/share/doc/rhel-system-roles/* ディレクトリーおよびサブディレクトリーから ~/MyPlaybooks ディレクトリーにサンプル Ansible Playbook をコピーして調整します。
  • ~/MyPlaybooks ディレクトリーにインベントリーファイルを追加します。

このプラクティスを使用すると、すべての Playbook を 1 か所で見つけることができます。

注記

マネージドノードで root 権限を呼び出さずに ansible-freeipa Playbook を実行できます。例外には、ipaserveripareplicaipaclientipasmartcard_serveripasmartcard_client、および ipabackup ansible-freeipa ロールを使用する Playbook が含まれます。これらのロールには、ディレクトリーおよび dnf ソフトウェアパッケージマネージャーへの特権アクセスが必要です。

Red Hat Enterprise Linux IdM ドキュメントの Playbook は、次の セキュリティー設定 を前提としています。

  • IdM admin は、管理ノードのリモート Ansible ユーザーです。
  • Ansible vault に暗号化された IdM admin パスワードを保存します。
  • Ansible vault を保護するパスワードをパスワードファイルに配置しました。
  • ローカルの ansible ユーザーを除く全員に対して、vault パスワードファイルへのアクセスをブロックします。
  • vault パスワードファイルを定期的に削除して再作成します。

別のセキュリティー設定 も検討してください。

5.1. Ansible Playbook を使用して IdM を管理するためのコントロールノードと管理ノードの準備

~/MyPlaybooks ディレクトリーを作成し、それを使用して Ansible Playbook を保存および実行できるように設定するには、次の手順に従います。

前提条件

  • 管理対象ノードに IdM サーバー (server.idm.example.com および replica.idm.example.com) をインストールしている。
  • DNS およびネットワークを設定し、コントロールノードから直接管理対象ノード (server.idm.example.com および replica.idm.example.com) にログインすることができる。
  • IdM admin のパスワードを把握している。

手順

  1. Ansible 設定および Playbook のディレクトリーをホームディレクトリーに作成します。

    $ mkdir ~/MyPlaybooks/
  2. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks
  3. ~/MyPlaybooks/ansible.cfg ファイルを以下の内容で作成します。

    [defaults]
    inventory = /home/your_username/MyPlaybooks/inventory
    remote_user = admin
  4. ~/MyPlaybooks/inventory ファイルを以下の内容で作成します。

    [eu]
    server.idm.example.com
    
    [us]
    replica.idm.example.com
    
    [ipaserver:children]
    eu
    us

    この設定は、これらの場所にあるホストの 2 つのホストグループ (euus) を定義します。さらに、この設定は、eu および us グループのすべてのホストを含む ipaserver ホストグループを定義します。

  5. [オプション] SSH 公開鍵および秘密鍵を作成します。テスト環境でのアクセスを簡素化するには、秘密鍵にパスワードを設定しないでください。

    $ ssh-keygen
  6. 各マネージドノードの IdM admin アカウントに SSH 公開鍵をコピーします。

    $ ssh-copy-id admin@server.idm.example.com
    $ ssh-copy-id admin@replica.idm.example.com

    これらのコマンドでは、IdM 管理者 パスワードを入力します。

  7. Vault パスワードを含む password_file ファイルを作成します。

    redhat
  8. ファイルを変更する権限を変更します。

    $ chmod 0600 password_file
  9. IdM の admin パスワードを保存する secret.yml Ansible Vault を作成します。

    1. Vault パスワードを保存するように password_file を設定します。

      $ ansible-vault create --vault-password-file=password_file secret.yml
    2. プロンプトが表示されたら、secret.yml ファイルの内容を入力します。

      ipaadmin_password: Secret123
注記

Playbook で暗号化された ipaadmin_password を使用するには、vars_file ディレクティブを使用する必要があります。たとえば、IdM ユーザーを削除する単純な Playbook は次のようになります。

---
- name: Playbook to handle users
  hosts: ipaserver

  vars_files:
  - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml

  tasks:
  - name: Delete user robot
    ipauser:
      ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
      name: robot
      state: absent

Playbook を実行するときに、--vault-password-file=password_file オプションを追加して、Ansible に Vault パスワードを使用して ipaadmin_password を復号するように指示します。以下に例を示します。

ansible-playbook -i inventory --vault-password-file=password_file del-user.yml
警告

セキュリティー上の理由から、各セッションの終了時に Vault パスワードファイルを削除し、新しいセッションの開始時に手順 7 ~ 9 を繰り返します。

5.2. ansible-freeipa Playbook に必要な認証情報を提供するさまざまな方法

ansible-freeipa ロールおよびモジュールを使用する Playbook の実行に必要な認証情報を提供するための様々な方法には長所と短所があります。

Playbook にパスワードを平文で保存する

利点:

  • Playbook を実行するたびにプロンプトが表示されません。
  • 実装が簡単。

短所:

  • ファイルにアクセスできるすべてのユーザーがパスワードを読み取ることができます。内部または外部のリポジトリーなどで間違った権限を設定してファイルを共有すると、セキュリティーが損なわれる可能性があります。
  • 高いメンテナンス作業: パスワードが変更された場合は、すべての Playbook で変更する必要があります。

Playbook の実行時に対話的にパスワードを入力する

利点:

  • パスワードはどこにも保存されないため、誰もパスワードを盗むことはできません。
  • パスワードを簡単に更新できます。
  • 実装が簡単。

短所:

  • スクリプトで Ansible Playbook を使用している場合は、パスワードを対話的に入力する必要があると不便な場合があります。

パスワードを Ansible Vault に保存し、Vault パスワードをファイルに保存します。

利点:

  • ユーザーパスワードは暗号化されて保存されます。
  • 新しい Ansible Vault を作成することで、ユーザーパスワードを簡単に更新できます。
  • ansible-vault rekey --new-vault-password-file=NEW_VAULT_PASSWORD_FILE secret.yml コマンドを使用して、ansible Vault を保護するパスワードファイルを簡単に更新できます。
  • スクリプトで Ansible Playbook を使用している場合は、Ansible Vault を対話的に保護するパスワードを入力する必要がないのは便利です。

短所:

  • 機密性の高いプレーンテキストパスワードを含むファイルは、ファイルのアクセス許可やその他のセキュリティー対策によって保護することが重要です。

パスワードを Ansible Vault に保存し、Vault のパスワードを対話的に入力する

利点:

  • ユーザーパスワードは暗号化されて保存されます。
  • Vault のパスワードはどこにも保存されていないため、誰も盗むことはできません。
  • 新しい Ansible Vault を作成することで、ユーザーパスワードを簡単に更新できます。
  • ansible-vault rekey file_name コマンドを使用して、Vault パスワードも簡単に更新できます。

短所:

  • スクリプトで Ansible Playbook を使用している場合は、Vault のパスワードを対話的に入力する必要があると不便な場合があります。

第6章 Ansible Playbook でのグローバル IdM 設定

Ansible 設定 モジュールを使用すると、Identity Management (IdM) のグローバル設定パラメーターを取得および設定できます。

6.1. Ansible Playbook での IdM 設定の取得

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、現在のグローバル IdM 設定に関する情報を取得する方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. Ansible Playbook ファイル /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/config/retrieve-config.yml を開いて編集します。

    ---
    - name: Playbook to handle global IdM configuration
      hosts: ipaserver
      become: no
      gather_facts: no
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Query IPA global configuration
        ipaconfig:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
        register: serverconfig
    
      - debug:
          msg: "{{ serverconfig }}"
  2. 以下を変更してファイルを調整します。

    • IdM 管理者のパスワード。
    • その他の値 (必要な場合)。
  3. ファイルを保存します。
  4. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/config/retrieve-config.yml
    [...]
    TASK [debug]
    ok: [server.idm.example.com] => {
        "msg": {
            "ansible_facts": {
                "discovered_interpreter_
            },
            "changed": false,
            "config": {
                "ca_renewal_master_server": "server.idm.example.com",
                "configstring": [
                    "AllowNThash",
                    "KDC:Disable Last Success"
                ],
                "defaultgroup": "ipausers",
                "defaultshell": "/bin/bash",
                "emaildomain": "idm.example.com",
                "enable_migration": false,
                "groupsearch": [
                    "cn",
                    "description"
                ],
                "homedirectory": "/home",
                "maxhostname": "64",
                "maxusername": "64",
                "pac_type": [
                    "MS-PAC",
                    "nfs:NONE"
                ],
                "pwdexpnotify": "4",
                "searchrecordslimit": "100",
                "searchtimelimit": "2",
                "selinuxusermapdefault": "unconfined_u:s0-s0:c0.c1023",
                "selinuxusermaporder": [
                    "guest_u:s0$xguest_u:s0$user_
                ],
                "usersearch": [
                    "uid",
                    "givenname",
                    "sn",
                    "telephonenumber",
                    "ou",
                    "title"
                ]
            },
            "failed": false
        }
    }

6.2. Ansible Playbook での IdM CA 更新サーバーの設定

組み込みの認証局 (CA) を使用する Identity Management (IdM) デプロイメントでは、CA 更新サーバーが IdM システム証明書を維持および更新します。IdM デプロイメントを確実に堅牢化します。

IdM CA 更新サーバーロールの詳細は、IdM CA 更新サーバーの使用 を参照してください。

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して IdM CA 更新サーバーを設定する方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. 必要に応じて、現在の IdM CA 更新サーバーを特定します。

    $ ipa config-show | grep 'CA renewal'
      IPA CA renewal master: server.idm.example.com
  2. inventory.file などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルに ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  3. Ansible Playbook ファイル /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/config/set-ca-renewal-master-server.yml を開いて編集します。

    ---
    - name: Playbook to handle global DNS configuration
      hosts: ipaserver
      become: no
      gather_facts: no
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
    
      tasks:
      - name: set ca_renewal_master_server
        ipaconfig:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          ca_renewal_master_server: carenewal.idm.example.com
  4. 以下を変更してファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数で設定した IdM 管理者のパスワード
    • ca_renewal_master_server 変数で設定した CA 更新サーバーの名前。
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/config/set-ca-renewal-master-server.yml

検証手順

CA 更新サーバーが変更されたことを確認します。

  1. IdM 管理者として ipaserver にログインします。

    $ ssh admin@server.idm.example.com
    Password:
    [admin@server /]$
  2. IdM CA 更新サーバーの ID を要求します。

    $ ipa config-show | grep ‘CA renewal’
    IPA CA renewal master:  carenewal.idm.example.com

    この出力には、carenewal.idm.example.com サーバーが新しい CA 更新サーバーであることが分かります。

6.3. Ansible Playbook での IdM ユーザーのデフォルトシェルの設定

シェルとは、コマンドを受け入れて変換するプログラムです。Red Hat Enterprise Linux (RHEL) では、bashshkshzshfish など、複数のシェルが利用できます。Bash (または /bin/bash) は、ほとんどの Linux システムで一般的なシェルです。通常は、RHEL のユーザーアカウントのデフォルトシェルです。

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、IdM ユーザーのデフォルトシェルとして別のシェルである sh を設定する方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. 必要に応じて、Ansible Playbook retrieve-config.yml を使用して、IdM ユーザーの現在のシェルを特定します。詳細は、Ansible Playbook での IdM 設定の取得 を参照してください。
  2. inventory.file などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルに ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  3. Ansible Playbook /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/config/ensure-config-options-are-set.yml ファイルを開いて編集します。

    ---
    - name: Playbook to ensure some config options are set
      hosts: ipaserver
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
    
      tasks:
      # Set defaultlogin and maxusername
      - ipaconfig:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          defaultshell: /bin/bash
          maxusername: 64
  4. 以下を変更してファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数で設定した IdM 管理者のパスワード
    • defaultshell 変数で設定されている IdM ユーザーのデフォルトのシェルが /bin/sh に設定されます。
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/config/ensure-config-options-are-set.yml

検証手順

IdM で新しいセッションを開始すると、デフォルトのユーザーシェルが変更されていることを確認できます。

  1. IdM 管理者として ipaserver にログインします。

    $ ssh admin@server.idm.example.com
    Password:
    [admin@server /]$
  2. 現在のシェルを表示します。

    [admin@server /]$ echo "$SHELL"
    /bin/sh

    ログインしているユーザーが sh シェルを使用している。

6.4. Ansible を使用した IdM ドメインの NETBIOS 名の設定

NetBIOS 名は、Microsoft Windows (SMB) タイプの共有およびメッセージングに使用されます。NetBIOS 名を使用して、ドライブをマップしたり、プリンターに接続したりできます。

以下の手順に従って、Ansible Playbook を使用して Identity Management (IdM) ドメインの NetBIOS 名を設定します。

前提条件

  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • ansible-freeipa パッケージをインストールしている。

想定条件

  • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
  • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されており、ボールトファイルのパスワードを知っていることを前提としています。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. netbios-domain-name-present.yml Ansible Playbook ファイルを作成します。
  3. 以下の内容をファイルに追加します。

    ---
    - name: Playbook to change IdM domain netbios name
      hosts: ipaserver
      become: no
      gather_facts: no
    
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
    
      tasks:
        - name: Set IdM domain netbios name
          ipaconfig:
            ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
            netbios_name: IPADOM
  4. ファイルを保存します。
  5. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory netbios-domain-name-present.yml

    プロンプトが表示されたら、ボールトファイルのパスワードを入力します。

6.5. Ansible を使用して IdM ユーザーとグループに SID があることを確認する

Identity Management (IdM) サーバーは、ローカルドメインの ID 範囲のデータに基づいて、一意のセキュリティー識別子 (SID) を IdM ユーザーおよびグループに内部的に割り当てることができます。SID は、ユーザーオブジェクトとグループオブジェクトに格納されます。

IdM ユーザーとグループに SID があることを確認する目的は、特権属性証明書 (PAC) の生成を許可することです。これは、IdM-IdM 信頼への最初のステップです。IdM ユーザーおよびグループが SID を持っている場合、IdM は PAC データを使用して Kerberos チケットを発行できます。

次の目標を達成するには、次の手順に従ってください。

  • 既存の IdM ユーザーおよびユーザーグループの SID を生成します。
  • IdM の新しいユーザーおよびグループの SID の生成を有効にします。

前提条件

  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • ansible-freeipa パッケージをインストールしている。

想定条件

  • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
  • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されており、ボールトファイルのパスワードを知っていることを前提としています。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. sids-for-users-and-groups-present.yml Ansible Playbook ファイルを作成します。
  3. 以下の内容をファイルに追加します。

    ---
    - name: Playbook to ensure SIDs are enabled and users and groups have SIDs
      hosts: ipaserver
      become: no
      gather_facts: no
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
    
      tasks:
        - name: Enable SID and generate users and groups SIDS
          ipaconfig:
            ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
            enable_sid: true
            add_sids: true

    enable_sid 変数は、将来の IdM ユーザーおよびグループの SID 生成を有効にします。add_sids 変数は、既存の IdM ユーザーおよびグループの SID を生成します。

    注記

    add_sids: true を使用する場合は、enable_sid 変数を true に設定する必要もあります。

  4. ファイルを保存します。
  5. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory sids-for-users-and-groups-present.yml

    プロンプトが表示されたら、ボールトファイルのパスワードを入力します。

6.6. 関連情報

  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-config.md を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/config ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

第7章 Ansible Playbook を使用したユーザーアカウントの管理

Ansible Playbook を使用して IdM のユーザーを管理できます。ユーザーのライフサイクル を示した後、本章では以下の操作に Ansible Playbook を使用する方法を説明します。

7.1. ユーザーのライフサイクル

Identity Management (IdM) は、次の 3 つのユーザーアカウント状態に対応します

  • ステージ ユーザーは認証できません。これは初期状態です。アクティブユーザーに必要なユーザーアカウントプロパティーをすべて設定できるわけではありません (例: グループメンバーシップ)。
  • アクティブ ユーザーは認証が可能です。必要なユーザーアカウントプロパティーはすべて、この状態で設定する必要があります。
  • 保存済み ユーザーは、以前にアクティブであったユーザーで、現在は非アクティブであるとみなされており、IdM への認証ができません。保存済みユーザーには、アクティブユーザーのときに有効になっていたアカウントプロパティーの大部分が保持されていますが、ユーザーグループからは除外されています。

A flow chart displaying 4 items: Active users - Stage users - Preserved users - Deleted users. Arrows communicate the relationships between each kind of user: Active users can be "preserved" as Preserved users. Preserved users can be "restored" as Active users. Preserved users can be "staged" as Stage users and Stage users can be "activated" into Active users. All users can be deleted to become "Deleted users".

IdM データベースからユーザーエントリーを完全に削除できます。

重要

削除したユーザーアカウントを復元することはできません。ユーザーアカウントを削除すると、そのアカウントに関連する情報がすべて完全に失われます。

新規管理者は、デフォルトの管理ユーザーなど、管理者権限を持つユーザーのみが作成できます。すべての管理者アカウントを誤って削除した場合は、Directory Manager が、Directory Server に新しい管理者を手動で作成する必要があります。

警告

admin ユーザーを削除しないでください。admin は IdM で必要な事前定義ユーザーであるため、この操作では特定のコマンドで問題が生じます。別の admin ユーザーを定義して使用する場合は、管理者権限を少なくとも 1 つのユーザーに付与してから、ipa user-disable admin を使用して、事前定義された admin ユーザーを無効にします。

警告

ローカルユーザーを IdM に追加しないでください。Name Service Switch (NSS) は、ローカルユーザーとグループを解決する前に、IdM ユーザーとグループを常に解決します。つまり、たとえば IdM グループのメンバーシップは、ローカルユーザーでは機能しません。

7.2. Ansible Playbook を使用して IdM ユーザーを存在させる手順

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して IdM にユーザーを 1 つ存在させる方法を説明します。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルに ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. IdM に存在させるユーザーのデータを指定して Ansible Playbook ファイルを作成します。この手順は、/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/user/add-user.yml ファイルのサンプルをコピーして変更し、簡素化できます。たとえば、idm_user という名前のユーザーを作成し、 Password123 をユーザーパスワードとして追加するには、次のコマンドを実行します。

    ---
    - name: Playbook to handle users
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Create user idm_user
        ipauser:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: idm_user
          first: Alice
          last: Acme
          uid: 1000111
          gid: 10011
          phone: "+555123457"
          email: idm_user@acme.com
          passwordexpiration: "2023-01-19 23:59:59"
          password: "Password123"
          update_password: on_create

    ユーザーを追加するには、以下のオプションを使用する必要があります。

    • 名前: ログイン名
    • first: 名前 (名) の文字列
    • last: 名前 (姓) の文字列

    利用可能なユーザーオプションの完全なリストは、/usr/share/doc/ansible-freeipa/README-user.md Markdown ファイルを参照してください。

    注記

    update_password: on_create オプションを使用する場合には、Ansible はユーザー作成時にのみユーザーパスワードを作成します。パスワードを指定してユーザーが作成されている場合には、Ansible では新しいパスワードは生成されません。

  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/add-IdM-user.yml

検証手順

  • ipa user-show コマンドを使用して、新しいユーザーアカウントが IdM に存在するかどうかを確認できます。

    1. admin として ipaserver にログインします。

      $ ssh admin@server.idm.example.com
      Password:
      [admin@server /]$
    2. admin の Kerberos チケットを要求します。

      $ kinit admin
      Password for admin@IDM.EXAMPLE.COM:
    3. idm_user に関する情報を要求します。

      $ ipa user-show idm_user
        User login: idm_user
        First name: Alice
        Last name: Acme
        ....

    idm_userという名前のユーザー が IdM に存在しています。

7.3. Ansible Playbook を使用して IdM ユーザーを複数存在させる手順

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して IdM にユーザーを複数存在させる方法を説明します。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルに ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. IdM に存在させるユーザーのデータを指定して Ansible Playbook ファイルを作成します。この手順は、/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/user/ensure-users-present.yml ファイルのサンプルをコピーして変更し、簡素化できます。たとえば、ユーザー idm_user_1idm_user_2idm_user_3 を作成し、idm_user_1 のパスワードを Password123 として追加します。

    ---
    - name: Playbook to handle users
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Create user idm_users
        ipauser:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          users:
          - name: idm_user_1
            first: Alice
            last: Acme
            uid: 10001
            gid: 10011
            phone: "+555123457"
            email: idm_user@acme.com
            passwordexpiration: "2023-01-19 23:59:59"
            password: "Password123"
          - name: idm_user_2
            first: Bob
            last: Acme
            uid: 100011
            gid: 10011
          - name: idm_user_3
            first: Eve
            last: Acme
            uid: 1000111
            gid: 10011
    注記

    update_password: on_create オプションを指定しないと、Ansible は Playbook が実行されるたびにユーザーパスワードを再設定します。最後に Playbook が実行されてからユーザーがパスワードを変更した場合には、Ansible はパスワードを再設定します。

  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/add-users.yml

検証手順

  • ipa user-show コマンドを使用して、ユーザーアカウントが IdM に存在するかどうかを確認できます。

    1. 管理者として ipaserver にログインします。

      $ ssh administrator@server.idm.example.com
      Password:
      [admin@server /]$
    2. idm_user_1 に関する情報を表示します。

      $ ipa user-show idm_user_1
        User login: idm_user_1
        First name: Alice
        Last name: Acme
        Password: True
        ....

    idm_user_1 という名前のユーザーが IdM に存在しています。

7.4. Ansible Playbook を使用して JSON ファイルに指定してある複数の IdM ユーザーを存在させる手順

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して IdM に複数のユーザーを存在させる方法を説明します。ユーザーは JSON ファイルに保存されます。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルに ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. 必要なタスクが含まれる Ansible Playbook ファイルを作成します。存在させるユーザーのデータが指定された JSON ファイルを参照します。この手順は、/usr/share/doc/ansible-freeipa/ensure-users-present-ymlfile.yml ファイルのサンプルをコピーして変更し、簡素化できます。

    ---
    - name: Ensure users' presence
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Include users.json
        include_vars:
          file: users.json
    
      - name: Users present
        ipauser:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          users: "{{ users }}"
  3. users.json ファイルを作成し、IdM ユーザーを追加します。この手順を簡素化するには、/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/user/users.json ファイルのサンプルをコピーして変更できます。たとえば、ユーザー idm_user_1idm_user_2idm_user_3 を作成し、idm_user_1 のパスワードを Password123 として追加します。

    {
      "users": [
       {
        "name": "idm_user_1",
        "first": "Alice",
        "last": "Acme",
        "password": "Password123"
       },
       {
        "name": "idm_user_2",
        "first": "Bob",
        "last": "Acme"
       },
       {
        "name": "idm_user_3",
        "first": "Eve",
        "last": "Acme"
       }
      ]
    }
  4. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/ensure-users-present-jsonfile.yml

検証手順

  • ipa user-show コマンドを使用して、ユーザーアカウントが IdM に存在するかどうかを確認できます。

    1. 管理者として ipaserver にログインします。

      $ ssh administrator@server.idm.example.com
      Password:
      [admin@server /]$
    2. idm_user_1 に関する情報を表示します。

      $ ipa user-show idm_user_1
        User login: idm_user_1
        First name: Alice
        Last name: Acme
        Password: True
        ....

    idm_user_1 という名前のユーザーが IdM に存在しています。

7.5. Ansible Playbook を使用してユーザーが存在しないことを確認する手順

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、特定のユーザーが IdM に存在しないことを確認する方法を説明します。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルに ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. IdM に存在させないユーザーを指定して Ansible Playbook ファイルを作成します。この手順は、/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/user/ensure-users-present.yml ファイルのサンプルをコピーして変更し、簡素化できます。たとえば、ユーザー idm_user_1idm_user_2idm_user_3 を削除するには、次のコマンドを実行します。

    ---
    - name: Playbook to handle users
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Delete users idm_user_1, idm_user_2, idm_user_3
        ipauser:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          users:
          - name: idm_user_1
          - name: idm_user_2
          - name: idm_user_3
          state: absent
  3. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/delete-users.yml

検証手順

ipa user-show コマンドを使用して、ユーザーアカウントが IdM に存在しないことを確認できます。

  1. 管理者として ipaserver にログインします。

    $ ssh administrator@server.idm.example.com
    Password:
    [admin@server /]$
  2. idm_user_1 に関する要求情報:

    $ ipa user-show idm_user_1
    ipa: ERROR: idm_user_1: user not found

    idm_user_1 という名前のユーザーは IdM に存在しません。

7.6. 関連情報

  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-user.md Markdown ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/user ディレクトリーのサンプルの Ansible Playbook を参照してください。

第8章 Ansible Playbook を使用したユーザーグループの管理

本セクションでは、Ansible Playbook を使用したユーザーグループの管理について紹介します。

ユーザーグループは、共通の特権、パスワードポリシーなどの特性が指定された一連のユーザーです。

Identity Management (IdM) のユーザーグループには以下が含まれます。

  • IdM ユーザー
  • 他の IdM ユーザーグループ
  • 外部ユーザー (IdM の外部に存在するユーザー)

このセクションには、以下のトピックが含まれます。

8.1. IdM のさまざまなグループタイプ

IdM は、以下のグループタイプをサポートします。

POSIX グループ (デフォルト)

POSIX グループは、メンバーの Linux POSIX 属性に対応します。Active Directory と対話するグループは POSIX 属性を使用できないことに注意してください。

POSIX 属性は、ユーザーを個別のエンティティーとして識別します。ユーザーに関連する POSIX 属性の例には、uidNumber (ユーザー番号 (UID))、および gidNumber (グループ番号 (GID)) が含まれます。

非 POSIX グループ

非 POSIX グループは、POSIX 属性に対応していません。たとえば、これらのグループには GID が定義されていません。

このタイプのグループのすべてのメンバーは、IdM ドメインに属している必要があります。

外部グループ

外部グループを使用して、以下のような IdM ドメイン外の ID ストアに存在するグループメンバーを追加できます。

  • ローカルシステム
  • Active Directory ドメイン
  • ディレクトリーサービス

外部グループは、POSIX 属性に対応していません。たとえば、これらのグループには GID が定義されていません。

表8.1 デフォルトで作成されたユーザーグループ

グループ名デフォルトのグループメンバー

ipausers

すべての IdM ユーザー

admins

管理権限を持つユーザー (デフォルトの admin ユーザーを含む)

editors

特権のないレガシーグループ

trust admins

Active Directory 信頼を管理する権限を持つユーザー

ユーザーをユーザーグループに追加すると、ユーザーはグループに関連付けられた権限とポリシーを取得します。たとえば、ユーザーに管理権限を付与するには、ユーザーを admins グループに追加します。

警告

admins グループを削除しないでください。admins は IdM で必要な事前定義グループであるため、この操作では特定のコマンドで問題が生じます。

さらに、IdM で新しいユーザーが作成されるたびに、IdM は、デフォルトで ユーザーのプライベートグループ を作成します。プライベートグループの詳細は、プライベートグループのないユーザーの追加 を参照してください。

8.2. 直接および間接のグループメンバー

IdM のユーザーグループ属性は、直接メンバーと間接メンバーの両方に適用されます。グループ B がグループ A のメンバーである場合、グループ B のすべてのユーザーはグループ A の間接メンバーと見なされます。

たとえば、以下の図の場合:

  • ユーザー 1 とユーザー 2 は、グループ A の 直接メンバー です。
  • ユーザー 3、ユーザー 4、およびユーザー 5 は、グループ A の 間接メンバー です。

図8.1 直接および間接グループメンバーシップ

グループ A (ユーザー 2 つ) およびグループ B (ユーザー 3 つ) のチャート。グループ B はグループ A 内でネスト化されているので、グループ A にはユーザーが合計 5 つ含まれます。

ユーザーグループ A にパスワードポリシーを設定すると、そのポリシーはユーザーグループ B のすべてのユーザーにも適用されます。

8.3. Ansible Playbook を使用して IdM グループおよびグループメンバーの存在を確認する

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、IdM グループとグループメンバー (ユーザーとユーザーグループの両方) を存在させる方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • Ansible Playbook で参照するユーザーが IdM に存在する。Ansible を使用してユーザーの存在を確認する方法は、Ansible Playbook を使用したユーザーアカウントの管理 を参照してください。

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルに ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. 必要なユーザーおよびグループ情報を使用して Ansible Playbook ファイルを作成します。

    ---
    - name: Playbook to handle groups
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Create group ops with gid 1234
        ipagroup:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: ops
          gidnumber: 1234
    
      - name: Create group sysops
        ipagroup:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: sysops
          user:
          - idm_user
    
      - name: Create group appops
        ipagroup:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: appops
    
      - name: Add group members sysops and appops to group ops
        ipagroup:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: ops
          group:
          - sysops
          - appops
  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/add-group-members.yml

検証手順

ipa group-show コマンドを使用すると、ops グループに sysops および appops がダイレクトメンバーとして追加され、idm_user が間接メンバーとして追加されているかどうかを確認できます。

  1. 管理者として ipaserver にログインします。

    $ ssh admin@server.idm.example.com
    Password:
    [admin@server /]$
  2. ops についての情報を表示します。

    ipaserver]$ ipa group-show ops
      Group name: ops
      GID: 1234
      Member groups: sysops, appops
      Indirect Member users: idm_user

    appops および sysops グループ (後者には idm_user ユーザーを含む) が IdM に存在します。

関連情報

  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/README-group.md Markdown ファイルを参照してください。

8.4. Ansible を使用して AD ユーザーが IdM を管理できるようにする手順

Ansible Playbook を使用してユーザー ID オーバーライドが Identity Management (IdM) グループに存在することを確認するには、次の手順に従います。ユーザー ID オーバーライドは、Active Directory (AD) とのトラストを確立した後に、デフォルトの Trust View で作成した AD ユーザーのオーバーライドです。Playbook を実行すると、AD 管理者などの AD ユーザーは、2 つの異なるアカウントとパスワードを持たなくても IdM を完全に管理できるようになります。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • AD とのトラストをインストール している。
  • IdM に AD ユーザーのユーザー ID オーバーライドがすでに存在する。存在しない場合は、ipa idoverrideuser-add 'default trust view' ad_user@ad.example.com コマンドで作成します。
  • ユーザー ID オーバーライドを追加しようとしているグループが、IdM にすでに存在する
  • IdM 4.8.7 バージョン以降の IdM を使用している。サーバーにインストールされている IdM のバージョンを表示するには、ipa --version を実行します。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. 次の内容で add-useridoverride-to-group.yml playbook を作成します。

    ---
    - name: Playbook to ensure presence of users in a group
      hosts: ipaserver
    
    
      - name: Ensure the ad_user@ad.example.com user ID override is a member of the admins group:
        ipagroup:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: admins
          idoverrideuser:
          - ad_user@ad.example.com

    上記の例では、以下のようになります。

    • Secret123 は IdM admin パスワードです。
    • admins は、ad_user@ad.example.com ID オーバーライドを追加する IdM POSIX グループの名前です。このグループのメンバーには、完全な管理者権限があります。
    • ad_user@ad.example.com は、AD 管理者のユーザー ID オーバーライドです。ユーザーは、信頼が確立された AD ドメインに保存されます。
  3. ファイルを保存します。
  4. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory add-useridoverride-to-group.yml

関連情報

8.5. Ansible Playbook を使用して IdM ユーザーグループにメンバーマネージャーを存在させる手順

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、ユーザーとユーザーグループ両方の IdM メンバーマネージャーが存在させる方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • メンバーマネージャーとして追加するユーザーまたはグループの名前と、メンバーマネージャーが管理するグループ名を用意する。

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルに ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. 必要なユーザーおよびグループメンバー管理情報を使用して、Ansible Playbook ファイルを作成します。

    ---
    - name: Playbook to handle membership management
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure user test is present for group_a
        ipagroup:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: group_a
          membermanager_user: test
    
      - name: Ensure group_admins is present for group_a
        ipagroup:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: group_a
          membermanager_group: group_admins
  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/add-member-managers-user-groups.yml

検証手順

ipa group-show コマンドを使用すると、group_a グループにメンバーマネージャーの test が含まれており、group_adminsgroup_a のメンバーであることが確認できます。

  1. 管理者として ipaserver にログインします。

    $ ssh admin@server.idm.example.com
    Password:
    [admin@server /]$
  2. managergroup1 についての情報を表示します。

    ipaserver]$ ipa group-show group_a
      Group name: group_a
      GID: 1133400009
      Membership managed by groups: group_admins
      Membership managed by users: test

関連情報

  • ipa host-add-member-manager --help を参照してください。
  • ipa の man ページを参照してください。

8.6. Ansible Playbook を使用して IdM ユーザーグループにメンバーマネージャーを存在させないようにする手順

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、ユーザーとユーザーグループ両方の IdM メンバーマネージャーが存在させないようにする方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • 削除する既存のメンバーマネージャーのユーザーまたはグループの名前と、そのメンバーマネージャーが管理するグループ名が必要です。

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルに ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. 必要なユーザーおよびグループメンバー管理情報を使用して、Ansible Playbook ファイルを作成します。

    ---
    - name: Playbook to handle membership management
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure member manager user and group members are absent for group_a
        ipagroup:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: group_a
          membermanager_user: test
          membermanager_group: group_admins
          action: member
          state: absent
  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/ensure-member-managers-are-absent.yml

検証手順

ipa group-show コマンドを使用すると、group_a グループにメンバーマネージャーの test が含まれておらず、group_adminsgroup_a のメンバーであることが確認できます。

  1. 管理者として ipaserver にログインします。

    $ ssh admin@server.idm.example.com
    Password:
    [admin@server /]$
  2. group_a についての情報を表示します。

    ipaserver]$ ipa group-show group_a
      Group name: group_a
      GID: 1133400009

関連情報

  • ipa host-remove-member-manager --help を参照してください。
  • ipa の man ページを参照してください。

第9章 Ansible を使用した IdM のグループメンバーシップの自動化

自動グループメンバーシップを使用すると、ユーザーとホストのユーザーグループとホストグループを、その属性に基づいて自動的に割り当てることができます。たとえば、以下を行うことができます。

  • 従業員のユーザーエントリーを、従業員のマネージャー、場所、役職などの属性に基づいてグループに分割します。コマンドラインに ipa user-add --help と入力すると、すべての属性をリスト表示できます。
  • ホストを、クラス、場所、またはその他の属性に基づいてグループに分割します。コマンドラインに ipa host-add --help と入力すると、すべての属性をリスト表示できます。
  • 全ユーザーまたは全ホストを 1 つのグローバルグループに追加する。

Red Hat Ansible Engine を使用すると、Identity Management (IdM) で自動グループメンバーシップの管理を自動化できます。

このセクションでは、以下のトピックについて説明します。

9.1. Ansible を使用した IdM ユーザーグループの automember ルールが存在することの確認

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、Identity Management (IdM) グループの automember ルールが存在することを確認する方法について説明しますこの例では、testing_group ユーザーグループに対して automember ルールの存在が保証されます。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • testing_group ユーザーグループが IdM に存在します。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/automember/ ディレクトリーにある automember-group-present.yml Ansible Playbook ファイルをコピーします。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/automember/automember-group-present.yml automember-group-present-copy.yml
  3. automember-group-present-copy.yml ファイルを開いて編集します。
  4. ipaautomember タスクセクションで次の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM admin のパスワードに設定します。
    • name 変数を testing_group に設定します。
    • automember_type 変数を group に設定します。
    • state 変数は present に設定されていることを確認します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Automember group present example
      hosts: ipaserver
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure group automember rule admins is present
        ipaautomember:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: testing_group
          automember_type: group
          state: present
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory automember-group-present-copy.yml

9.2. Ansible を使用した、IdM ユーザーグループの automember ルールに指定した条件が存在することの確認

関連情報

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、Identity Management (IdM) グループの automember ルールに、指定した条件が存在することを確認する方法について説明しますこの例では、testing_group グループに対して、automember ルールに UID 関連の条件が存在することが保証されます。.* 条件を指定することで、今後使用する IdM ユーザーがすべて自動的に testing_group のメンバーになるようにします。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • testing_group ユーザーグループおよび automember ユーザーグループルールが IdM に存在します。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/automember/ ディレクトリーにある automember-hostgroup-rule-present.yml Ansible Playbook ファイルをコピーして、名前を付けます (automember-usergroup-rule-present.yml など)。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/automember/automember-hostgroup-rule-present.yml automember-usergroup-rule-present.yml
  3. automember-usergroup-rule-present.yml を開いて編集します。
  4. 次のパラメーターを変更して、ファイルを調整します。

    • ユースケースに対応するように Playbook の名前を変更します (例: Automember user group rule member present)。
    • ユースケースに合わせて、タスクの名前を変更します (例: Ensure an automember condition for a user group is present)。
    • ipaautomember タスクセクションで、以下の変数を設定します。

      • ipaadmin_password 変数は IdM admin のパスワードに設定します。
      • name 変数を testing_group に設定します。
      • automember_type 変数を group に設定します。
      • state 変数は present に設定されていることを確認します。
      • action 変数が member に設定されていることを確認します。
      • inclusive key 変数を UID に設定します。
      • inclusive expression 変数を .* に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Automember user group rule member present
      hosts: ipaserver
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure an automember condition for a user group is present
        ipaautomember:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: testing_group
          automember_type: group
          state: present
          action: member
          inclusive:
            - key: UID
              expression: .*
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory automember-usergroup-rule-present.yml

検証手順

  1. IdM 管理者としてログインします。

    $ kinit admin
  2. ユーザーを追加します。以下に例を示します。

    $ ipa user-add user101 --first user --last 101
    -----------------------
    Added user "user101"
    -----------------------
      User login: user101
      First name: user
      Last name: 101
      ...
      Member of groups: ipausers, testing_group
      ...

9.3. Ansible を使用した IdM ユーザーグループの automember ルールに条件がないことの確認

関連情報

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、Identity Management (IdM) グループの automember ルールに条件がないことを確認する方法を説明します。この例では、automember ルールに条件がないことが保証されており、initialsdp であるユーザーを含める必要があることを指定しています。automember ルールが testing_group グループに適用されます。条件を適用することにより、今後は、イニシャルがdpである IdM ユーザーがtesting_groupのメンバーにならないようにします。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • testing_group ユーザーグループおよび automember ユーザーグループルールが IdM に存在します。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/automember/ ディレクトリーにある automember-hostgroup-rule-absent.yml Ansible Playbook ファイルをコピーして、名前を付けます (automember-usergroup-rule-absent.yml など)。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/automember/automember-hostgroup-rule-absent.yml automember-usergroup-rule-absent.yml
  3. automember-usergroup-rule-absent.yml を開いて編集します。
  4. 次のパラメーターを変更して、ファイルを調整します。

    • ユースケースに対応するように Playbook の名前を変更します (例: Automember user group rule member absent)。
    • ユースケースに合わせて、タスクの名前を変更します (例: Ensure an automember condition for a user group is absent)。
    • ipaautomember タスクセクションで、以下の変数を設定します。

      • ipaadmin_password 変数は IdM admin のパスワードに設定します。
      • name 変数を testing_group に設定します。
      • automember_type 変数を group に設定します。
      • state 変数は、absent に設定されていることを確認します。
      • action 変数が member に設定されていることを確認します。
      • inclusive key 変数を initials に設定します。
      • inclusive expression 変数を dp に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Automember user group rule member absent
      hosts: ipaserver
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure an automember condition for a user group is absent
        ipaautomember:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: testing_group
          automember_type: group
          state: absent
          action: member
          inclusive:
            - key: initials
              expression: dp
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory automember-usergroup-rule-absent.yml

検証手順

  1. IdM 管理者としてログインします。

    $ kinit admin
  2. automember グループを表示します。

    $ ipa automember-show --type=group testing_group
     Automember Rule: testing_group

出力に Inclusive Regex: initials=dp エントリーがない場合は、testing_group automember ルールに指定した条件が含まれていないことを確認します。

9.4. Ansible を使用した IdM ユーザーグループの automember ルールがないことの確認

関連情報

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、Identity Management (IdM) グループに automember ルールがないことを確認する方法を説明します。この例では、testing_group グループに automember ルールがないことが保証されます。

注記

automember ルールを削除すると、そのルールに関連付けられた条件もすべて削除されます。ルールから特定の条件のみを削除するには、Ansible を使用した IdM ユーザーグループの automember ルールに条件がないことの確認 を参照してください。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/automember/ ディレクトリーにある automember-group-absent.yml Ansible Playbook ファイルをコピーします。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/automember/automember-group-absent.yml automember-group-absent-copy.yml
  3. automember-group-absent-copy.yml を開いて編集します。
  4. ipaautomember タスクセクションで次の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM admin のパスワードに設定します。
    • name 変数を testing_group に設定します。
    • automember_type 変数を group に設定します。
    • state 変数は、absent に設定されていることを確認します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Automember group absent example
      hosts: ipaserver
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure group automember rule admins is absent
        ipaautomember:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: testing_group
          automember_type: group
          state: absent
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory automember-group-absent.yml

関連情報

  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-automember.md ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/automember ディレクトリーを参照してください。

9.5. Ansible を使用した IdM ホストグループの automember ルールに条件が存在することの確認

以下の手順に従って、Ansible を使用して、IdM ホストグループの automember ルールに条件が存在することを確認します。この例では、FQDN.*.idm.example.com のホストが、primary_dns_domain_hosts ホストグループのメンバーであることと、FQDN.*.example.org であるホストが primary_dns_domain_hosts ホストグループのメンバーではないことを確認する方法を説明します。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • primary_dns_domain_hosts ホストグループおよび automember ホストグループルールが IdM に存在します。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/automember/ ディレクトリーにある automember-hostgroup-rule-present.yml Ansible Playbook ファイルをコピーします。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/automember/automember-hostgroup-rule-present.yml automember-hostgroup-rule-present-copy.yml
  3. automember-hostgroup-rule-present-copy.yml を開いて編集します。
  4. ipaautomember タスクセクションで次の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM admin のパスワードに設定します。
    • name 変数を primary_dns_domain_hosts に設定します。
    • automember_typehostgroup に設定します。
    • state 変数は present に設定されていることを確認します。
    • action 変数が member に設定されていることを確認します。
    • inclusive key 変数が fqdn に設定されていることを確認します。
    • 対応する inclusive expression 変数を.*.idm.example.comに設定します。
    • exclusive key 変数を UID に設定します。
    • 対応する exclusive expression 変数を .*.example.org に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Automember user group rule member present
      hosts: ipaserver
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure an automember condition for a user group is present
        ipaautomember:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: primary_dns_domain_hosts
          automember_type: hostgroup
          state: present
          action: member
          inclusive:
            - key: fqdn
              expression: .*.idm.example.com
          exclusive:
            - key: fqdn
              expression: .*.example.org
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory automember-hostgroup-rule-present-copy.yml

関連情報

  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-automember.md ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/automember ディレクトリーを参照してください。

第10章 Ansible Playbook を使用した IdM でのセルフサービスルールの管理

本セクションでは、Identity Management (IdM) のセルフサービスルールを紹介し、Ansible Playbook を使用してセルフサービスアクセスルールを作成および編集する方法を説明します。セルフサービスのアクセス制御ルールにより、IdM エンティティーは IdM Directory Server エントリーで指定の操作を実行できます。

10.1. IdM でのセルフサービスアクセス制御

セルフサービスのアクセス制御ルールは、Identity Management (IdM) エンティティーが IdM Directory Server エントリーで実行できる操作を定義します (例: IdM ユーザーが独自のパスワードを更新できるなど)。

この制御方法では、認証された IdM エンティティーがその LDAP エントリー内の特定の属性を編集できますが、エントリー全体での 追加削除 の操作は許可されません。

警告

セルフサービスのアクセス制御規則を使用する場合は注意が必要です。アクセス制御ルールを誤って設定すると、エンティティーの特権が誤って昇格する可能性があります。

10.2. Ansible を使用してセルフサービスルールを存在させる手順

以下の手順では、Ansible Playbook を使用してセルフサービスルールを定義し、Identity Management (IdM) サーバーに存在させる方法を説明します。この例では、ユーザーが自分の名前の情報を管理できる 新しいルールでは、ユーザーに、自分の givennamedisplaynametitle、および initials 属性を変更できるよ権限を付与します。たとえば、表示名や初期などを変更することができます。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/ MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/selfservice/ ディレクトリーにある selfservice-present.yml のコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/selfservice/selfservice-present.yml selfservice-present-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (selfservice-present-copy.yml) を開きます。
  4. ipaselfservice タスクセクションに以下の変数を設定してファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は、新しいセルフサービスルールの名前に設定します。
    • permission 変数は、付与するパーミッションをコンマ区切りのリスト (read および write) で設定します。
    • attribute 変数は、ユーザーが管理できる属性 (givennamedisplaynametitle、および initials) をリストとして設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Self-service present
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure self-service rule "Users can manage their own name details" is present
        ipaselfservice:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: "Users can manage their own name details"
          permission: read, write
          attribute:
          - givenname
          - displayname
          - title
          - initials
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory selfservice-present-copy.yml

関連情報

  • IdM でのセルフサービスアクセス制御 を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-selfservice.md ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/selfservice ディレクトリーを参照してください。

10.3. Ansible を使用してセルフサービスルールがないことを確認する手順

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、指定したセルフサービスルールが IdM 設定に存在しないことを確認する方法を説明します。以下の例では、ユーザーが自分の名前の詳細 のセルフサービスルールが IdM に存在しないことを確認する方法を説明します。これにより、ユーザーは自分の表示名や初期などを変更できないようにします。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/ MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/selfservice/ ディレクトリーにある selfservice-absent.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/selfservice/selfservice-absent.yml selfservice-absent-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (selfservice-absent-copy.yml) を開きます。
  4. ipaselfservice タスクセクションに以下の変数を設定してファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は、セルフサービスルールの名前に設定します。
    • state 変数は absent に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Self-service absent
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure self-service rule "Users can manage their own name details" is absent
        ipaselfservice:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: "Users can manage their own name details"
          state: absent
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory selfservice-absent-copy.yml

関連情報

  • IdM でのセルフサービスアクセス制御 を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-selfservice.md ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/selfservice ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

10.4. Ansible を使用してセルフサービスルールに固有の属性を含める手順

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、既存のセルフサービスルールに特定の設定を追加する方法を説明します。この例では、ユーザーは自分の名前詳細を管理できる のセルフサービスルールに、surname のメンバー属性が含まれるようにします。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • ユーザーが独自の名前の詳細 セルフサービスルールが IdM に存在する。

手順

  1. ~/ MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/selfservice/ ディレクトリーにある selfservice-member-present.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/selfservice/selfservice-member-present.yml selfservice-member-present-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (selfservice-member-present-copy.yml) を開きます。
  4. ipaselfservice タスクセクションに以下の変数を設定してファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は、変更するセルフサービスルールの名前に設定します。
    • attribte 変数は surname に設定します。
    • action 変数は member に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Self-service member present
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure selfservice "Users can manage their own name details" member attribute surname is present
        ipaselfservice:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: "Users can manage their own name details"
          attribute:
          - surname
          action: member
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory selfservice-member-present-copy.yml

関連情報

  • IdM でのセルフサービスアクセス制御 を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーで利用可能な README-selfservice.md ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/selfservice ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

10.5. Ansible を使用してセルフサービスルールに固有の属性を含めいないようにする手順

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、セルフサービスルールに特定の設定が割り当てられないようにする方法を説明します。この Playbook を使用して、セルフサービスルールで不必要なアクセス権限を付与しないようにします。この例では、ユーザーが独自の名前の詳細を管理できる セルフサービスルールに givennamesurname のメンバー属性が含まれないようにします。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • ユーザーが独自の名前の詳細 セルフサービスルールが IdM に存在する。

手順

  1. ~/ MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/selfservice/ ディレクトリーにある selfservice-member-absent.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/selfservice/selfservice-member-absent.yml selfservice-member-absent-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (selfservice-member-absent-copy.yml) を開きます。
  4. ipaselfservice タスクセクションに以下の変数を設定してファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は、変更するセルフサービスルールの名前に設定します。
    • 属性 変数は givenname および surname に設定します。
    • action 変数は member に設定します。
    • state 変数は absent に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Self-service member absent
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure selfservice "Users can manage their own name details" member attributes givenname and surname are absent
        ipaselfservice:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: "Users can manage their own name details"
          attribute:
          - givenname
          - surname
          action: member
          state: absent
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory selfservice-member-absent-copy.yml

関連情報

  • IdM でのセルフサービスアクセス制御 を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-selfservice.md ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/selfservice ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

第11章 Ansible Playbook を使用してユーザーグループにパーミッションを委譲してユーザーを管理する手順

委譲は、セルフサービスルールおよびロールベースのアクセス制御 (RBAC) などの IdM のアクセス制御メソッドの 1 つです。委譲を使用して、あるユーザーのグループにパーミッションを割り当てて別のユーザーのグループのエントリーを管理できます。

このセクションでは、以下のトピックについて説明します。

11.1. 委譲ルール

委譲ルール を作成して、ユーザーグループにパーミッションを委譲してユーザーを管理できます。

委譲ルールを使用すると、特定のユーザーグループが、別のユーザーグループ内のユーザーの特定の属性に対して書き込み (編集) 操作を実行できます。このようなアクセス制御ルールは、委譲ルールで指定された属性のサブセットの編集に限定されており、エントリー全体の追加や削除、未指定の属性の制御はできません。

委譲ルールにより、IdM の既存のユーザーグループにパーミッションが付与されます。委任を使用すると、managers ユーザーグループで employees ユーザーグループでユーザーの選択された属性を管理できます。

11.2. IdM の Ansible インベントリーファイルの作成

Ansible を使用する場合は、ホームディレクトリーに Ansible Playbook 専用のサブディレクトリーを作成して、/usr/share/doc/ansible-freeipa/*/usr/share/doc/rhel-system-roles/* サブディレクトリーからコピーして調整できるようにします。この方法には、以下の利点があります。

  • すべての Playbook を 1 カ所で見つけることがでる。
  • root 権限を呼び出さずに Playbook を実行できる。

手順

  1. Ansible 設定および Playbook のディレクトリーをホームディレクトリーに作成します。

    $ mkdir ~/MyPlaybooks/
  2. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks
  3. ~/MyPlaybooks/ansible.cfg ファイルを以下の内容で作成します。

    [defaults]
    inventory = /home/<username>/MyPlaybooks/inventory
    
    [privilege_escalation]
    become=True
  4. ~/MyPlaybooks/inventory ファイルを以下の内容で作成します。

    [eu]
    server.idm.example.com
    
    [us]
    replica.idm.example.com
    
    [ipaserver:children]
    eu
    us

    この設定は、これらの場所にあるホストの 2 つのホストグループ (euus) を定義します。さらに、この設定は、eu および us グループのすべてのホストを含む ipaserver ホストグループを定義します。

11.3. Ansible を使用して委譲ルールを存在させる手順

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、新しい IdM 委譲ルールの特権を定義して、その存在を確認する方法を説明します。この例では、新しい basic manager attributes 委譲ルールにより、managers グループが employees グループのメンバーに対して以下の属性の読み取りと書き込みを行うことができます。

  • businesscategory
  • departmentnumber
  • employeenumber
  • employeetype

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/ MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/delegation/ にある delegation-present.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/delegation/delegation-present.yml delegation-present-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル delegation-present-copy.yml を開きます。
  4. ipadelegation タスクセクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は新しい委譲ルールの名前に設定します。
    • permission 変数は、付与するパーミッションをコンマ区切りのリスト (read および write) で設定します。
    • attribute 変数は、委譲されたユーザーグループが管理できる属性のリスト (businesscategorydepartmentnumberemployeenumber および employeetype) に変数を設定します。
    • group 変数は、属性の表示や変更権限を付与したグループの名前に設定します。
    • membergroup 変数は、属性の表示または変更が可能なグループ名に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Playbook to manage a delegation rule
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure delegation "basic manager attributes" is present
        ipadelegation:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: "basic manager attributes"
          permission: read, write
          attribute:
          - businesscategory
          - departmentnumber
          - employeenumber
          - employeetype
          group: managers
          membergroup: employees
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i ~/MyPlaybooks/inventory delegation-present-copy.yml

関連情報

  • 委譲ルール を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-delegation.md ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/ipadelegation ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

11.4. Ansible を使用して委譲ルールがないことを確認する手順

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、指定した委譲ルールが IdM 設定に存在しないことを確認する方法を説明します。以下の例では、カスタムの basic manager attributes 委譲ルールが IdM に存在しないことを確認する方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/ MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks>/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/delegation/ ディレクトリーにある delegation-absent.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/delegation/delegation-present.yml delegation-absent-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル delegation-absent-copy.yml を開きます。
  4. ipadelegation タスクセクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は委譲ルールの名前に設定します。
    • state 変数は absent に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Delegation absent
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure delegation "basic manager attributes" is absent
        ipadelegation:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: "basic manager attributes"
          state: absent
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i ~/MyPlaybooks/inventory delegation-absent-copy.yml

関連情報

  • 委譲ルール を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-delegation.md ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/ipadelegation ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

11.5. Ansible を使用して委譲ルールに特定の属性を含める手順

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、委譲ルールに特定の設定を指定する方法を説明します。この Playbook を使用して、以前に作成した委譲ロールを変更できます。この例では、basic manager attributes 委譲ルールに departmentnumber メンバー属性のみが含まれるようにします。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • basic manager attributes 委譲ルールが IdM に存在する。

手順

  1. ~/ MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/delegation/ にある delegation-member-present.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/delegation/delegation-member-present.yml delegation-member-present-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル delegation-member-present-copy.yml を開きます。
  4. ipadelegation タスクセクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は、変更する委譲ルールの名前に設定します。
    • attribute 変数は departmentnumber に設定します。
    • action 変数は member に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Delegation member present
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure delegation "basic manager attributes" member attribute departmentnumber is present
        ipadelegation:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: "basic manager attributes"
          attribute:
          - departmentnumber
          action: member
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i ~/MyPlaybooks/inventory delegation-member-present-copy.yml

関連情報

  • 委譲ルール を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-delegation.md ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/ipadelegation ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

11.6. Ansible を使用して委譲ルールに特定の属性を含めないようにする手順

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、委譲ルールに特定の設定が割り当てられないようにする方法を説明します。この Playbook を使用して、委譲ロールが不必要なアクセス権限を付与しないようします。この例では、basic manager attributes 委譲ルールに employeenumber および employeetype メンバー属性が含まれないようにします。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • basic manager attributes 委譲ルールが IdM に存在する。

手順

  1. ~/ MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/delegation/ にある delegation-member-absent.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/delegation/delegation-member-absent.yml delegation-member-absent-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル delegation-member-absent-copy.yml を開きます。
  4. ipadelegation タスクセクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は、変更する委譲ルールの名前に設定します。
    • attribute 変数は employeenumber および employeetype に設定します。
    • action 変数は member に設定します。
    • state 変数は absent に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Delegation member absent
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure delegation "basic manager attributes" member attributes employeenumber and employeetype are absent
        ipadelegation:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: "basic manager attributes"
          attribute:
          - employeenumber
          - employeetype
          action: member
          state: absent
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i ~/MyPlaybooks/inventory delegation-member-absent-copy.yml

関連情報

  • 委譲ルール を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-delegation.md ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/ipadelegation ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

第12章 Ansible Playbook を使用した IdM でのロールベースアクセス制御の管理

ロールベースアクセス制御 (RBAC) は、ロールおよび権限関連を定義する、ポリシーに依存しないアクセス制御メカニズムです。Identity Management (IdM) の RBAC のコンポーネントは、ロール、権限、パーミッションです。

  • パーミッション は、ユーザーの追加または削除、グループの変更、読み取りアクセスの有効化など、特定のタスクを実行するパーミッションを付与します。
  • 特権 は、新規ユーザーの追加に必要な全権限など、権限を組み合わせます。
  • ロール は、ユーザー、ユーザーグループ、ホスト、またはホストグループに特権のセットを付与します。

特に大企業では、RBAC を使用すると、責任の領域を個別に設定する階層管理システムを作成できます。

本章では、Ansible Playbook を使用した RBAC の管理時に行う以下の操作について説明します。

12.1. IdM のパーミッション

パーミッションは、ロールベースのアクセス制御の中で最も低いレベルの単位で、操作を適用する LDAP エントリーと合わせて操作を定義します。ブロックの構築と同様に、パーミッションは必要に応じて多くの権限に割り当てることができます。
1 つ以上の 権限 を使用して、許容される操作を定義します。

  • write
  • read
  • search
  • compare
  • add
  • delete
  • all

上記の操作は、3 つの基本的な ターゲット に適用されます。

  • subtree: ドメイン名 (DN) (この DN のサブツリー)
  • target filter: LDAP フィルター
  • target: DN。ワイルドカードでエントリーを指定可能。

また、以下の便利なオプションは、対応する属性を設定します。

  • type: オブジェクトのタイプ (ユーザー、グループなど) (subtree および target filter を設定します)。
  • memberof: グループのメンバー。target filter を設定します。
  • targetgroup: 特定のグループを変更する権限 (グループメンバーシップの管理権限の付与など) を付与します (target を設定します)。

IdM パーミッションを使用すると、どのユーザーがどのオブジェクトにアクセスできるか、さらにこのようなオブジェクトの属性にアクセスできるかどうかを制御できます。IdM を使用すると、個別の属性を許可または拒否したり、ユーザー、グループ、sudo などの特定の IdM 機能を、全匿名ユーザー、全認証済みユーザー、または特定の特権ユーザーグループ限定などと、全体的な表示設定を変更したりできます。
たとえば、このアプローチではパーミッション指定に柔軟性があるので、アクセスが必要な特定のセクションのみにユーザーまたはグループのアクセスを制限し、他のセクションをこれらのユーザーまたはグループには完全に表示されないように設定する場合に、管理者にとって便利です。

注記

パーミッションには他のパーミッションを含めることはできません。

12.2. デフォルトの管理パーミッション

管理パーミッションは、IdM にデフォルトで含まれているパーミッションです。このパーミッションはユーザーが作成した他のパーミッションと同様に機能しますが、以下の相違点があります。

  • この管理パーミッションは削除できず、名前、場所、ターゲットの属性を変更できません。
  • このパーミッションには 3 つの属性セットがあります。

    • デフォルト の属性。IdM で管理されているため、ユーザーは変更できません。
    • 包含 属性。ユーザーが別途追加する属性。
    • 除外 属性。ユーザーが削除する属性。

管理パーミッションは、デフォルトおよび包含属性セットに表示されている属性すべてに適用されますが、除外セットに表示されている属性には適用されません。

注記

管理パーミッションを削除できませんが、パーミッションにバインドタイプを設定し、すべての特権から管理パーミッションを削除して管理パーミッションを効果的に無効にできます。

管理パーミッションの名前はすべて System: から始まります (例: System: Add Sudo rule または System: Modify Services)。以前のバージョンの IdM では、デフォルトのパーミッションに異なるスキームを使用していました。たとえば、ユーザーはパーミッションの削除はできず、特権に割り当てるしかできませんでした。これらのデフォルトパーミッションのほとんどは、管理パーミッションに切り替わっていますが、以下のパーミッションは引き続き以前のスキームを使用します。

  • Automember Rebuild メンバーシップタスクの追加
  • 設定サブエントリーの追加
  • レプリカ合意の追加
  • 証明書削除保留
  • CA から証明書のステータス取得
  • DNA 範囲の読み取り
  • DNA 範囲の変更
  • PassSync Manager の設定の読み取り
  • PassSync Manager 設定の変更
  • レプリカ合意の読み込み
  • レプリカ合意の修正
  • レプリカ合意の削除
  • LDBM データベース設定の読み取り
  • 証明書の要求
  • CA ACL を無視する証明書の要求
  • 別のホストからの証明書の要求
  • CA からの証明書の取得
  • 証明書の取り消し
  • IPA 設定の書き込み
注記

コマンドラインから管理パーミッションを変更しようとし、変更不可な属性の変更をシステム側が許可しない場合には、コマンドに失敗します。Web UI から管理パーミッションを変更しようとした場合には、変更できない属性が無効になります。

12.3. IdM の特権

特権は、ロールに適用されるパーミッションのグループです。
パーミッションは単一の操作を実行する権限を提供しますが、IdM タスクを成功させるには、複数のパーミッションが必要なものがあります。したがって、特権は、特定のタスクを実行するために必要な異なるパーミッションを組み合わせたものです。
たとえば、新しい IdM ユーザーにアカウントを設定するには、以下の権限が必要です。

  • 新規ユーザーエントリーの作成
  • ユーザーパスワードのリセット
  • 新規ユーザーのデフォルト IPA ユーザーグループへの追加

これらの 3 つの低レベルのタスクを、ユーザーの追加 という名前のカスタム特権の形式で、権限がより高いレベルのタスクに組み合わせることで、システム管理者はロールを管理しやすくなります。IdM には、すでにいくつかのデフォルト特権が含まれています。ユーザーとユーザーグループとは別に、権限はホストおよびホストグループ、およびネットワークサービスにも割り当てられます。これにより、特定のネットワークサービスを使用するホストセットのユーザーセットによって、操作をきめ細かく制御できます。

注記

特権には、他の特権を含めることはできません。

12.4. IdM のロール

ロールは、ロールに指定したユーザーが所有する権限のリストです。
実際には、パーミッションでは、指定の低階層のタスク (ユーザーエントリーの作成、グループへのエントリーの追加など) を実行する権限を付与し、特権では、高階層のタスク (指定のグループへの新規ユーザーの作成など) に必要なこれらのパーミッション 1 つ以上を組み合わせます。ロールは必要に応じて、管理者ロールでユーザーの追加、変更、削除ができるなど、特権をまとめます。

重要

ロールは、許可されたアクションを分類するために使用されます。ロールは、特権昇格されないようにしたり、特権の分離を実装するツールとしては使用しません。

注記

ロールに他のロールを含めることはできません。

12.5. Identity Management で事前定義されたロール

Red Hat Identity Management には、以下の事前定義済みのロールが含まれています。

表12.1 Identity Management の定義済みロール

ロール特権説明

登録管理者

ホストの登録

クライアントまたはホストの登録を行います。

helpdesk

Modify Users、Reset passwords、Modify Group membership

簡単なユーザー管理タスクを実行します。

IT Security Specialist

Netgroups Administrators、HBAC Administrator、Sudo Administrator

ホストベースのアクセス制御、sudo ルールなどのセキュリティーポリシーを管理します。

IT Specialist

Host Administrators、Host Group Administrators、Service Administrators、Automount Administrators

ホストの管理を行います

Security Architect

Delegation Administrator、Replication Administrators、Write IPA Configuration、Password Policy Administrator

Identity Management 環境の管理、信頼の作成、レプリカ合意を作成します。

User Administrator

User Administrators、Group Administrators、Stage User Administrators

ユーザーおよびグループの作成を行います

12.6. Ansible を使用して特権のある IdM RBAC ロールを存在させる手順

デフォルトのロール以外で、ロールベースのアクセス制御 (RBAC) を使用して Identity Management (IdM) のリソースを詳細にわたり制御するには、カスタムロールを作成します。

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、新しい IdM カスタムロールの特権を定義し、その存在を確認する方法を説明します。この例では、新しい user_and_host_administrator ロールには、デフォルトで IdM で存在する以下の特権を一意に組み合わせたものが含まれます。

  • Group Administrators
  • User Administrators
  • Stage User Administrators
  • Group Administrators

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/<MyPlaybooks>/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/<MyPlaybooks>/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/role/ にある role-member-user-present.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/role/role-member-user-present.yml role-member-user-present-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (role-member-user-present-copy.yml) を開きます。
  4. iparole タスクセクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は新規ロールの名前に設定します。
    • 特権 リストは、新しいロールに追加する IdM 権限の名前に設定します。
    • 必要に応じて、user 変数は、新規ロールを付与するユーザーの名前に設定します。
    • 必要に応じて、group 変数は、新規ロールを付与するグループの名前に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Playbook to manage IPA role with members.
      hosts: ipaserver
      become: true
      gather_facts: no
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - iparole:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: user_and_host_administrator
          user: idm_user01
          group: idm_group01
          privilege:
          - Group Administrators
          - User Administrators
          - Stage User Administrators
          - Group Administrators
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i ~/<MyPlaybooks>/inventory role-member-user-present-copy.yml

関連情報

  • Ansible Vault を使用したコンテンツの暗号化 を参照してください。
  • IdM のロール を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-role ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/iparole ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

12.7. Ansible を使用して IdM RBAC ロールを設定しないようにする手順

Identity Management (IdM) のロールベースアクセス制御 (RBAC) を管理するシステム管理者は、誤って管理者がユーザーに割り当てることがないように、使用しなくなったロールが削除されていることを確認する必要があります。

以下の手順では、Ansible Playbook を使用してロールが削除されていることを確認する方法を説明します。以下の例では、カスタムの user_and_host_administrator ロールが IdM に存在しないことを確認する方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/<MyPlaybooks>/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/<MyPlaybooks>/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/role/ にある role-is-absent.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/role/role-is-absent.yml role-is-absent-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (role-is-absent-copy.yml) を開きます。
  4. iparole タスクセクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は、ロールの名前に設定します。
    • state 変数は、absent に設定されていることを確認します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Playbook to manage IPA role with members.
      hosts: ipaserver
      become: true
      gather_facts: no
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - iparole:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: user_and_host_administrator
          state: absent
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i ~/<MyPlaybooks>/inventory role-is-absent-copy.yml

関連情報

  • Ansible Vault を使用したコンテンツの暗号化 を参照してください。
  • IdM のロール を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-role Markdown ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/iparole ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

12.8. Ansible を使用して、ユーザーグループに IdM RBAC ロールを割り当てる手順

Identity Management (IdM) のロールベースアクセス制御 (RBAC) を管理するシステム管理者は、junior administrators など、特定のユーザーグループにロールを割り当てます。

以下の例では、Ansible Playbook を使用して、同梱の IdM RBAC helpdesk ロールを junior_sysadmins に割り当てる方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/<MyPlaybooks>/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/<MyPlaybooks>/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/role/ にある role-member-group-present.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/role/role-member-group-present.yml role-member-group-present-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (role-member-group-present-copy.yml) を開きます。
  4. iparole タスクセクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は、割り当てるロールの名前に設定します。
    • group 変数はグループ名に設定します。
    • action 変数は member に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Playbook to manage IPA role with members.
      hosts: ipaserver
      become: true
      gather_facts: no
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - iparole:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: helpdesk
          group: junior_sysadmins
          action: member
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i ~/<MyPlaybooks>/inventory role-member-group-present-copy.yml

関連情報

  • Ansible Vault を使用したコンテンツの暗号化 を参照してください。
  • IdM のロール を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-role Markdown ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/iparole ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

12.9. Ansible を使用して特定のユーザーに IdM RBAC ロールが割り当てられないようにする手順

Identity Management (IdM) のロールベースアクセス制御 (RBAC) を管理するシステム管理者は、会社内で別の役職に異動した後など、特定のユーザーに RBAC ロールが割り当てられないようにすることもできます。

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、 user_01 および user_02 という名前のユーザーが helpdesk ロールに割り当てられないようにする方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/<MyPlaybooks>/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/<MyPlaybooks>/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/role/ にある role-member-user-absent.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/role/role-member-user-absent.yml role-member-user-absent-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (role-member-user-absent-copy.yml) を開きます。
  4. iparole タスクセクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は、割り当てるロールの名前に設定します。
    • user リストをユーザーの名前に設定します。
    • action 変数は member に設定します。
    • state 変数は absent に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Playbook to manage IPA role with members.
      hosts: ipaserver
      become: true
      gather_facts: no
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - iparole:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: helpdesk
          user
          - user_01
          - user_02
          action: member
          state: absent
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i ~/<MyPlaybooks>/inventory role-member-user-absent-copy.yml

関連情報

  • Ansible Vault を使用したコンテンツの暗号化 を参照してください。
  • IdM のロール を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-role Markdown ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/iparole ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

12.10. Ansible を使用してサービスを IdM RBAC ロールに所属させるように設定する手順

Identity Management (IdM) のロールベースアクセス制御 (RBAC) を管理するシステム管理者は、IdM に登録されている特定のサービスが、特定のロールのメンバーになっていることを確認する必要がある場合があります。以下の例では、カスタムの web_administrator ロールを使用して client01.idm.example.com サーバー上で実行中の HTTP サービスを管理できるようにする方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • web_administrator ロールが IdM に存在する。
  • HTTP/client01.idm.example.com@IDM.EXAMPLE.COM サービスが IdM に存在する。

手順

  1. ~/<MyPlaybooks>/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/<MyPlaybooks>/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/role/ にある role-member-service-present.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/role/role-member-service-present-absent.yml role-member-service-present-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (role-member-service-present-copy.yml) を開きます。
  4. iparole タスクセクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は、割り当てるロールの名前に設定します。
    • service リストはサービス名に設定します。
    • action 変数は member に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Playbook to manage IPA role with members.
      hosts: ipaserver
      become: true
      gather_facts: no
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - iparole:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: web_administrator
          service:
          - HTTP/client01.idm.example.com
          action: member
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i ~/<MyPlaybooks>/inventory role-member-service-present-copy.yml

関連情報

  • Ansible Vault を使用したコンテンツの暗号化 を参照してください。
  • IdM のロール を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-role Markdown ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/iparole ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

12.11. Ansible を使用してホストを IdM RBAC ロールに所属させるように設定する手順

Identity Management (IdM) でロールベースアクセス制御を管理するシステム管理者は、特定のホストまたはホストグループが特定のロールに関連付けられていることを確認する必要がある場合があります。以下の例では、カスタムの web_administrator ロールが HTTP サービスを実行している client01.idm.example.com の IdM ホストを管理できるようにする方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • web_administrator ロールが IdM に存在する。
  • client01.idm.example.com ホストが IdM に存在する。

手順

  1. ~/<MyPlaybooks>/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/<MyPlaybooks>/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/role/ にある role-member-host-present.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/role/role-member-host-present.yml role-member-host-present-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (role-member-host-present-copy.yml) を開きます。
  4. iparole タスクセクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は、割り当てるロールの名前に設定します。
    • host リストをホストの名前に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Playbook to manage IPA role with members.
      hosts: ipaserver
      become: true
      gather_facts: no
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - iparole:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: web_administrator
          host:
          - client01.idm.example.com
          action: member
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i ~/<MyPlaybooks>/inventory role-member-host-present-copy.yml

関連情報

  • Ansible Vault を使用したコンテンツの暗号化 を参照してください。
  • IdM のロール を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-role Markdown ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/iparole ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

12.12. Ansible を使用してホストグループを IdM RBAC ロールに所属させるように設定する手順

Identity Management (IdM) でロールベースアクセス制御を管理するシステム管理者は、特定のホストまたはホストグループが特定のロールに関連付けられていることを確認する必要がある場合があります。以下の例では、カスタムの web_administrator ロールが HTTP サービスを実行している IdM ホストの web_servers グループを管理できるようにする方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • web_administrator ロールが IdM に存在する。
  • web_servers ホストグループが IdM に存在する。

手順

  1. ~/<MyPlaybooks>/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/<MyPlaybooks>/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/role/ にある role-member-hostgroup-present.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/role/role-member-hostgroup-present.yml role-member-hostgroup-present-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (role-member-hostgroup-present-copy.yml) を開きます。
  4. iparole タスクセクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は、割り当てるロールの名前に設定します。
    • hostgroup リストはホストグループ名に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Playbook to manage IPA role with members.
      hosts: ipaserver
      become: true
      gather_facts: no
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - iparole:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: web_administrator
          hostgroup:
          - web_servers
          action: member
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i ~/<MyPlaybooks>/inventory role-member-hostgroup-present-copy.yml

関連情報

  • Ansible Vault を使用したコンテンツの暗号化 を参照してください。
  • IdM のロール を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-role Markdown ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/iparole ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

第13章 Ansible Playbook を使用した RBAC 権限の管理

ロールベースアクセス制御 (RBAC) は、ロール、権限およびパーミッションで定義する、ポリシーに依存しないアクセス制御メカニズムです。特に大企業では、RBAC を使用すると、責任の領域を個別に設定する階層管理システムを作成できます。

本章では、Ansible Playbook を使用して Identity Management (IdM) で RBAC 権限を管理する以下の操作について説明します。

前提条件

13.1. Ansible を使用してカスタムの IdM RBAC 特権を存在させる手順

Identity Management (IdM) のロールベースアクセス制御 (RBAC) でカスタム権限を完全に機能させるには、ステージごとに進めていく必要があります。

  1. パーミッションが割り当てられていない特権を作成します。
  2. 選択したパーミッションを特権に追加します。

以下の手順では、後でパーミッションを追加できるように、Ansible Playbook を使用して空の特権を作成する方法を説明します。この例では、ホスト管理に関連するすべての IdM パーミッションを組み合わせられるように full_host_administration という名前の特権を作成する方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/ MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/privilege/ にある privilege-present.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/privilege/privilege-present.yml privilege-present-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (privilege-present-copy.yml) を開きます。
  4. ipaprivilege タスクセクションに以下の変数を設定してファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は、新しい特権 full_host_administration の名前に設定します。
    • 必要に応じて、description 変数を使用して特権を記述します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Privilege present example
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure privilege full_host_administration is present
        ipaprivilege:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: full_host_administration
          description: This privilege combines all IdM permissions related to host administration
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory privilege-present-copy.yml

13.2. Ansible を使用してカスタムの IdM RBAC 特権にメンバーパーミッションを存在させる手順

Identity Management (IdM) のロールベースアクセス制御 (RBAC) でカスタム権限を完全に機能させるには、ステージごとに進めていく必要があります。

  1. パーミッションが割り当てられていない特権を作成します。
  2. 選択したパーミッションを特権に追加します。

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、前の手順で作成した特権にパーミッションを追加する方法を説明します。この例では、ホスト管理に関連する IdM パーミッションをすべて、full_host_administration という名前の特権に追加する方法を説明します。デフォルトでは、パーミッションは Host EnrollmentHost Administrators および Host Group Administrator 特権の間で分散されます。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • full_host_administration 権限が存在する。Ansible を使用して特権を作成する方法の詳細は、Ansible を使用してカスタムの IdM RBAC 特権を存在させる手順 を参照してください。

手順

  1. ~/ MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/privilege/ にある privilege-member-present.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/privilege/privilege-member-present.yml privilege-member-present-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (privilege-member-present-copy.yml) を開きます。
  4. ipaprivilege タスクセクションに以下の変数を設定してファイルを調整します。

    • 使用しているユースケースに合わせて、タスクの 名前 を調節します。
    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は、特権の名前に設定します。
    • permission は、特権に追加するパーミッションの名前を設定します。
    • action 変数が member に設定されていることを確認します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Privilege member present example
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure that permissions are present for the "full_host_administration" privilege
        ipaprivilege:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: full_host_administration
          permission:
          - "System: Add krbPrincipalName to a Host"
          - "System: Enroll a Host"
          - "System: Manage Host Certificates"
          - "System: Manage Host Enrollment Password"
          - "System: Manage Host Keytab"
          - "System: Manage Host Principals"
          - "Retrieve Certificates from the CA"
          - "Revoke Certificate"
          - "System: Add Hosts"
          - "System: Add krbPrincipalName to a Host"
          - "System: Enroll a Host"
          - "System: Manage Host Certificates"
          - "System: Manage Host Enrollment Password"
          - "System: Manage Host Keytab"
          - "System: Manage Host Keytab Permissions"
          - "System: Manage Host Principals"
          - "System: Manage Host SSH Public Keys"
          - "System: Manage Service Keytab"
          - "System: Manage Service Keytab Permissions"
          - "System: Modify Hosts"
          - "System: Remove Hosts"
          - "System: Add Hostgroups"
          - "System: Modify Hostgroup Membership"
          - "System: Modify Hostgroups"
          - "System: Remove Hostgroups"
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory privilege-member-present-copy.yml

13.3. Ansible を使用して IdM RBAC 特権にパーミッションが含まれないようにする手順

Identity Management (IdM) のシステム管理者は、IdM のロールベースアクセス制御をカスタマイズできます。

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、特権からパーミッションを削除する方法を説明します。この例では、管理者がセキュリティー上のリスクを考慮するため、デフォルトの Certificate Administrators 特権から Request Certificates ignoring CA ACLs を削除する方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/ MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/privilege/ にある privilege-member-present.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/privilege/privilege-member-absent.yml privilege-member-absent-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (privilege-member-absent-copy.yml) を開きます。
  4. ipaprivilege タスクセクションに以下の変数を設定してファイルを調整します。

    • 使用しているユースケースに合わせて、タスクの 名前 を調節します。
    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は、特権の名前に設定します。
    • permission のリストは、特権から削除するパーミッションの名前に設定します。
    • action 変数が member に設定されていることを確認します。
    • state 変数は absent に設定されていることを確認します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Privilege absent example
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure that the "Request Certificate ignoring CA ACLs" permission is absent from the "Certificate Administrators" privilege
        ipaprivilege:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: Certificate Administrators
          permission:
          - "Request Certificate ignoring CA ACLs"
          action: member
          state: absent
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory privilege-member-absent-copy.yml

13.4. Ansible を使用してカスタムの IdM RBAC 権限の名前を変更する手順

Identity Management (IdM) のシステム管理者は、IdM のロールベースアクセス制御をカスタマイズできます。

以下の手順では、たとえば、パーミッションの一部を削除したなどの理由から、特権の名前を変更する方法を説明します。パーミッションを削除した結果、特権の名前は正確ではなくなりました。この例では、管理者は full_host_administration 特権の名前を limited_host_administration に変更します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • full_host_administration 権限が存在する。特権の追加方法は、Ansible を使用してカスタムの IdM RBAC 特権を存在させる手順 を参照してください。

手順

  1. ~/ MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/privilege/ にある privilege-present.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/privilege/privilege-present.yml rename-privilege.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (rename-privilege.yml) を開いて編集します。
  4. ipaprivilege タスクセクションに以下の変数を設定してファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は、現在の特権名に設定します。
    • rename 変数を追加して、特権の新しい名前に設定します。
    • state 変数を追加し、 renamed に設定します。
  5. 以下のように、Playbook 自体の名前を変更します。

    ---
    - name: Rename a privilege
      hosts: ipaserver
  6. 以下のように、Playbook のタスクの名前を変更します。

    [...]
    tasks:
    - name: Ensure the full_host_administration privilege is renamed to limited_host_administration
      ipaprivilege:
      [...]

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Rename a privilege
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure the full_host_administration privilege is renamed to limited_host_administration
        ipaprivilege:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: full_host_administration
          rename: limited_host_administration
          state: renamed
  7. ファイルを保存します。
  8. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory rename-privilege.yml

13.5. Ansible を使用して IdM RBAC 特権が含まれないようにする手順

Identity Management (IdM) のシステム管理者は、IdM のロールベースアクセス制御をカスタマイズできます。以下の手順では、Ansible Playbook を使用して RBAC 特権が削除されていることを確認する方法を説明します。この例では、CA administrator 特権が存在しないことを確認する方法を説明します。この手順が終わると、IdM で認証局を管理できるユーザーは admin だけになります。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/ MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/privilege/ ディレクトリーにある privilege-absent.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/privilege/privilege-absent.yml privilege-absent-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (privilege-absent-copy.yml) を開きます。
  4. ipaprivilege タスクセクションに以下の変数を設定してファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数は、削除する権限の名前に設定します。
    • state 変数が absent に設定されていることを確認します。
  5. 以下のように、Playbook のタスクの名前を変更します。

    [...]
    tasks:
    - name: Ensure privilege "CA administrator" is absent
      ipaprivilege:
      [...]

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Privilege absent example
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure privilege "CA administrator" is absent
        ipaprivilege:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: CA administrator
          state: absent
  6. ファイルを保存します。
  7. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory privilege-absent-copy.yml

13.6. 関連情報

  • IdM の特権 を参照してください。
  • IdM のパーミッション を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーで利用可能な README-privilege ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/ipaprivilege ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

第14章 Ansible Playbook を使用した IdM での RBAC パーミッションの管理

ロールベースアクセス制御 (RBAC) は、ロール、権限およびパーミッションで定義する、ポリシーに依存しないアクセス制御メカニズムです。特に大企業では、RBAC を使用すると、責任の領域を個別に設定する階層管理システムを作成できます。

本章では、Ansible Playbook を使用して Identity Management (IdM) で RBAC パーミッションの管理時に行う、以下の操作について説明します。

前提条件

14.1. Ansible を使用して RBAC パーミッションを存在させる手順

Identity Management (IdM) のシステム管理者は、IdM のロールベースアクセス制御 (RBAC) をカスタマイズできます。

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、パーミッションを特権に追加できるように IdM にパーミッションを追加する方法を説明します。この例では、目的とする以下の状態を達成する方法を説明します。

  • MyPermission パーミッションが存在する。
  • MyPermission パーミッションだけがホストに適用できる。
  • パーミッションを含む特権を付与されたユーザーは、エントリーに対して以下の操作すべてを実行できます。

    • Write
    • Read
    • Search
    • Compare
    • Add
    • Delete

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/ MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/permission/ ディレクトリーにある permission-present.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/permission/permission-present.yml permission-present-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (permission-present-copy.yml) を開きます。
  4. ipapermission タスクセクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • 使用しているユースケースに合わせて、タスクの 名前 を調節します。
    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数はパーミッションの名前に設定します。
    • object_type 変数は host に設定します。
    • right 変数は all に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Permission present example
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure that the "MyPermission" permission is present
        ipapermission:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: MyPermission
          object_type: host
          right: all
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory permission-present-copy.yml

14.2. Ansible を使用して属性を含めて RBAC パーミッションを追加する手順

Identity Management (IdM) のシステム管理者は、IdM のロールベースアクセス制御 (RBAC) をカスタマイズできます。

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、パーミッションを特権に追加できるように IdM にパーミッションを追加する方法を説明します。この例では、目的とする以下の状態を達成する方法を説明します。

  • MyPermission パーミッションが存在する。
  • MyPermission パーミッションだけがホストの追加に使用できる。
  • パーミッションを含む特権を付与されたユーザーは、ホストのエントリーに対して以下の操作すべてを実行できる。

    • Write
    • Read
    • Search
    • Compare
    • Add
    • Delete
  • MyPermission パーミッションを含む特権のあるユーザーが作成したホストエントリーに description の値を追加できる。
注記

IdM LDAP スキーマでは、パーミッションの作成または変更時に指定できる属性のタイプは制約されません。ただし、object_typehost の場合に attrs: car_licence を指定すると、後でパーミッションを実行して、車のライセンス値をホストに追加使用とすると ipa: ERROR: attribute "car-license" not allowed というエラーメッセージが表示されます。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/ MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/permission/ ディレクトリーにある permission-present.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/permission/permission-present.yml permission-present-with-attribute.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (permission-present-with-attribute.yml) を開きます。
  4. ipapermission タスクセクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • 使用しているユースケースに合わせて、タスクの 名前 を調節します。
    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数はパーミッションの名前に設定します。
    • object_type 変数は host に設定します。
    • right 変数は all に設定します。
    • attrs 変数は description に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Permission present example
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure that the "MyPermission" permission is present with an attribute
        ipapermission:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: MyPermission
          object_type: host
          right: all
          attrs: description
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory permission-present-with-attribute.yml

関連情報

  • RHEL 7 の Linux Domain Identity, Authentication and Policy GuideUser and group schema を参照してください。

14.3. Ansible を使用して RBAC パーミッションをバインドする手順

Identity Management (IdM) のシステム管理者は、IdM のロールベースアクセス制御 (RBAC) をカスタマイズできます。

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、パーミッションを特権に追加できないように IdM からパーミッションを削除する方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/ MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/permission/ ディレクトリーにある permission-absent.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/permission/permission-absent.yml permission-absent-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (permission-absent-copy.yml) を開きます。
  4. ipapermission タスクセクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • 使用しているユースケースに合わせて、タスクの 名前 を調節します。
    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数はパーミッションの名前に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Permission absent example
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure that the "MyPermission" permission is absent
        ipapermission:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: MyPermission
          state: absent
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory permission-absent-copy.yml

14.4. Ansible を使用して属性を IdM RBAC パーミッションをメンバーにする手順

Identity Management (IdM) のシステム管理者は、IdM のロールベースアクセス制御 (RBAC) をカスタマイズできます。

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、属性が IdM の RBAC パーミッションのメンバーであることを確認する方法を説明します。この手順を行うと、パーミッションのあるユーザーは、属性のあるエントリーを作成できます。

この例では、MyPermission パーミッションを含む特権を持つユーザーにより作成されたホストエントリーに、gecos および description の値を設定する方法を説明します。

注記

IdM LDAP スキーマでは、パーミッションの作成または変更時に指定できる属性のタイプは制約されません。ただし、object_typehost の場合に attrs: car_licence を指定すると、後でパーミッションを実行して、車のライセンス値をホストに追加使用とすると ipa: ERROR: attribute "car-license" not allowed というエラーメッセージが表示されます。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • MyPermission パーミッションが存在する。

手順

  1. ~/ MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/permission/ ディレクトリーにある permission-member-present.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/permission/permission-member-present.yml permission-member-present-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (permission-member-present-copy.yml) を開きます。
  4. ipapermission タスクセクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • 使用しているユースケースに合わせて、タスクの 名前 を調節します。
    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数はパーミッションの名前に設定します。
    • attrs リストを description および gecos 変数に設定します。
    • action 変数が member に設定されていることを確認します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Permission member present example
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure that the "gecos" and "description" attributes are present in "MyPermission"
        ipapermission:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: MyPermission
          attrs:
          - description
          - gecos
          action: member
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory permission-member-present-copy.yml

14.5. Ansible を使用して属性が IdM RBAC パーミッションのメンバーに含まれないようにする手順

Identity Management (IdM) のシステム管理者は、IdM のロールベースアクセス制御 (RBAC) をカスタマイズできます。

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、属性が IdM の RBAC パーミッションに含まれないようにする方法を説明します。この手順を実行すると、パーミッションのあるユーザーが IdM LDAP にエントリーを作成すると、そのエントリーで、値に属性を関連付けて設定できません。

この例では、目的とする以下の状態を達成する方法を説明します。

  • MyPermission パーミッションが存在する。
  • MyPermission パーミッションを含む特権のあるユーザーが作成したホストエントリーに description 属性を使用できない。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • MyPermission パーミッションが存在する。

手順

  1. ~/ MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/permission/ ディレクトリーにある permission-member-absent.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/permission/permission-member-absent.yml permission-member-absent-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (permission-member-absent-copy.yml) を開きます。
  4. ipapermission タスクセクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • 使用しているユースケースに合わせて、タスクの 名前 を調節します。
    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数はパーミッションの名前に設定します。
    • attrs 変数は description に設定します。
    • action 変数は member に設定します。
    • state 変数が absent に設定されていることを確認します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Permission absent example
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure that an attribute is not a member of "MyPermission"
        ipapermission:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: MyPermission
          attrs: description
          action: member
          state: absent
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory permission-member-absent-copy.yml

14.6. Ansible を使用して IdM RBAC パーミッションの名前を変更する手順

Identity Management (IdM) のシステム管理者は、IdM のロールベースアクセス制御をカスタマイズできます。

以下の手順では、Ansible Playbook を使用してパーミッションの名前を変更する方法を説明します。この例では、MyPermission の名前を MyNewPermission に変更する方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • MyPermission が IdM に存在する。
  • MyNewPermission が IdM に存在しない。

手順

  1. ~/ MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/permission/ ディレクトリーにある permission-renamed.yml ファイルのコピーを作成します。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/permission/permission-renamed.yml permission-renamed-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル (permission-renamed-copy.yml) を開きます。
  4. ipapermission タスクセクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • 使用しているユースケースに合わせて、タスクの 名前 を調節します。
    • ipaadmin_password 変数は IdM 管理者のパスワードに設定します。
    • name 変数はパーミッションの名前に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Permission present example
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Rename the "MyPermission" permission
        ipapermission:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: MyPermission
          rename: MyNewPermission
          state: renamed
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory permission-renamed-copy.yml

14.7. 関連情報

  • IdM のパーミッション を参照してください。
  • IdM の特権 を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーで利用可能な README-permission ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/ipapermission ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

第15章 Ansible を使用した IdM でのレプリケーショントポロジーの管理

複数の Identity Management (IdM) サーバーを維持し、冗長性の目的で相互に複製して、サーバーの損失を軽減または防止することができます。たとえば、1 台のサーバーに障害が発生しても、その他のサーバーがドメインにサービスを提供し続けます。障害が発生していないサーバーの 1 台から新しいレプリカを作成し、失われたサーバーを回復することもできます。

IdM サーバーに保存されているデータは、レプリカ合意に基づいて複製されます。2 台のサーバーでレプリカ合意が設定されている場合は、データを共有します。レプリケートされるデータはトポロジーの suffix に保存されます。2 つのレプリカに接尾辞間でレプリカ合意があると、接尾辞はトポロジー segment を形成します。

本章では、Red Hat Ansible Engine を使用して IdM レプリカ合意、トポロジーセグメント、およびトポロジー接尾辞を管理する方法を説明します。本章は以下のセクションで設定されます。

15.1. Ansible を使用して、レプリカ合意が IdM に存在することを確認

Identity Management (IdM) サーバーに保存されているデータは、レプリカ合意に基づいて複製されます。2 台のサーバーでレプリカ合意が設定されている場合は、データを共有します。レプリカ合意は常に双方向のものです。最初のレプリカからサーバーから別のレプリカにデータが複製されるだけでなく、別ののレプリカから最初のレプリカにもデータが複製されます。

この手順に従い、Ansible Playbook を使用して、server.idm.example.comreplica.idm.example.com との間で domain タイプのレプリカ合意が存在することを確認説明します。

前提条件

  • トポロジーで IdM レプリカを接続するためのガイドライン に記載されている IdM トポロジーを設計するための推奨事項を確実に理解している。
  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible -freeipa/playbooks/topology/ ディレクトリーにある add-topologysegment.yml Ansible Playbook ファイルをコピーします。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/topology/add-topologysegment.yml add-topologysegment-copy.yml
  3. add-topologysegment-copy.yml ファイルを開いて編集します。
  4. ipatopologysegment タスクセクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM admin のパスワードに設定します。
    • 追加するセグメントのタイプに応じて、suffix 変数を domain または ca のいずれかに設定します。
    • left の変数をレプリカ合意の左ノードに設定する IdM サーバーの名前に設定します。
    • レプリカ合意の適切なノードとなる IdM サーバーの名前に right 変数を設定します。
    • state 変数は present に設定されていることを確認します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Playbook to handle topologysegment
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
    - name: Add topology segment
        ipatopologysegment:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          suffix: domain
          left: server.idm.example.com
          right: replica.idm.example.com
          state: present
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory add-topologysegment-copy.yml

関連情報

15.2. Ansible を使用して複数の IdM レプリカ間でレプリカ合意を存在させる手順

Identity Management (IdM) サーバーに保存されているデータは、レプリカ合意に基づいて複製されます。2 台のサーバーでレプリカ合意が設定されている場合は、データを共有します。レプリカ合意は常に双方向のものです。最初のレプリカからサーバーから別のレプリカにデータが複製されるだけでなく、別ののレプリカから最初のレプリカにもデータが複製されます。

以下の手順に従って、IdM の複数のレプリカのペア間でレプリカ合意が存在することを確認します。

前提条件

  • トポロジー内のレプリカの接続 に記載されている IdM トポロジーを設計するための推奨事項を理解しておく。
  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible -freeipa/playbooks/topology/ ディレクトリーにある add-topologysegments.yml Ansible Playbook ファイルをコピーします。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/topology/add-topologysegments.yml add-topologysegments-copy.yml
  3. add-topologysegments-copy.yml ファイルを開いて編集します。
  4. vars セクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM admin のパスワードに設定します。
    • すべてのトポロジーセグメントについて、ipatopology_segments セクションに行を追加し、以下の変数を設定します。

      • 追加するセグメントのタイプに応じて、suffix 変数を domain または ca のいずれかに設定します。
      • left の変数をレプリカ合意の左ノードに設定する IdM サーバーの名前に設定します。
      • レプリカ合意の適切なノードとなる IdM サーバーの名前に right 変数を設定します。
  5. add-topologysegments-copy.yml ファイルの tasks セクションで、state 変数が present に設定されていることを確認します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Add topology segments
      hosts: ipaserver
      gather_facts: false
    
      vars:
        ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
        ipatopology_segments:
        - {suffix: domain, left: replica1.idm.example.com , right: replica2.idm.example.com }
        - {suffix: domain, left: replica2.idm.example.com , right: replica3.idm.example.com }
        - {suffix: domain, left: replica3.idm.example.com , right: replica4.idm.example.com }
        - {suffix: domain+ca, left: replica4.idm.example.com , right: replica1.idm.example.com }
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Add topology segment
        ipatopologysegment:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          suffix: "{{ item.suffix }}"
          name: "{{ item.name | default(omit) }}"
          left: "{{ item.left }}"
          right: "{{ item.right }}"
          state: present
          #state: absent
          #state: checked
          #state: reinitialized
        loop: "{{ ipatopology_segments | default([]) }}"
  6. ファイルを保存します。
  7. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory add-topologysegments-copy.yml

関連情報

15.3. Ansible を使用して 2 つのレプリカ間でレプリカ合意が存在するかどうかの確認

Identity Management (IdM) サーバーに保存されているデータは、レプリカ合意に基づいて複製されます。2 台のサーバーでレプリカ合意が設定されている場合は、データを共有します。レプリカ合意は常に双方向のものです。最初のレプリカからサーバーから別のレプリカにデータが複製されるだけでなく、別ののレプリカから最初のレプリカにもデータが複製されます。

以下の手順に従って、IdM のレプリカのペア間でレプリカ合意が存在することを確認します。

前提条件

  • トポロジー内のレプリカの接続 に記載されている Identity Management (IdM) トポロジーを設計するための推奨事項を理解しておく。
  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible -freeipa/playbooks/topology/ ディレクトリーにある check-topologysegments.yml Ansible Playbook ファイルをコピーします。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/topology/check-topologysegments.yml check-topologysegments-copy.yml
  3. check-topologysegments-copy.yml ファイルを開いて編集します。
  4. vars セクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM admin のパスワードに設定します。
    • すべてのトポロジーセグメントについて、ipatopology_segments セクションに行を追加し、以下の変数を設定します。

      • 追加するセグメントのタイプに応じて、suffix 変数を domain または ca のいずれかに設定します。
      • left の変数をレプリカ合意の左ノードに設定する IdM サーバーの名前に設定します。
      • レプリカ合意の適切なノードとなる IdM サーバーの名前に right 変数を設定します。
  5. check-topologysegments-copy.yml ファイルの tasks セクションで、state 変数が present に設定されていることを確認します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Add topology segments
      hosts: ipaserver
      gather_facts: false
    
      vars:
        ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
        ipatopology_segments:
        - {suffix: domain, left: replica1.idm.example.com, right: replica2.idm.example.com }
        - {suffix: domain, left: replica2.idm.example.com , right: replica3.idm.example.com }
        - {suffix: domain, left: replica3.idm.example.com , right: replica4.idm.example.com }
        - {suffix: domain+ca, left: replica4.idm.example.com , right: replica1.idm.example.com }
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Check topology segment
        ipatopologysegment:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          suffix: "{{ item.suffix }}"
          name: "{{ item.name | default(omit) }}"
          left: "{{ item.left }}"
          right: "{{ item.right }}"
          state: checked
        loop: "{{ ipatopology_segments | default([]) }}"
  6. ファイルを保存します。
  7. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory check-topologysegments-copy.yml

関連情報

  • トポロジー合意、接尾辞、およびセグメントの概念の詳細は、レプリカ合意、トポロジー接尾辞、およびトポロジーセグメント を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-topology.md ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/topology ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

15.4. Ansible を使用してトポロジーの接尾辞が IdM に存在することを確認

Identity Management (IdM) のレプリカ合意のコンテキストでは、トポロジー接尾辞はレプリケートされるデータを保存します。IdM は、domainca の 2 種類のトポロジー接尾辞に対応します。それぞれの接尾辞は、個別のバックエンドである個別のレプリケーショントポロジーを表します。レプリカ合意が設定されると、同じタイプのトポロジー接尾辞を 2 つの異なるサーバーに結合します。

domain 接尾辞には、ユーザー、グループ、ポリシーなどのドメイン関連のデータがすべて含まれます。ca 接尾辞には、Certificate System コンポーネントのデータが含まれます。これは認証局 (CA) がインストールされているサーバーにのみ存在します。

以下の手順に従って、Ansible Playbook を使用して、トポロジー接尾辞が IdM に存在することを確認します。この例では、domain 接尾辞が IdM に存在することを確認する方法を説明します。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/topology/ ディレクトリーにある verify-topologysuffix.yml Ansible Playbook ファイルをコピーします。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/topology/ verify-topologysuffix.yml verify-topologysuffix-copy.yml
  3. Ansible Playbook ファイル verify-topologysuffix-copy.yml を開きます。
  4. ipatopologysuffix セクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM admin のパスワードに設定します。
    • suffix 変数は domain に設定し ます。ca 接尾辞が存在することを確認する場合は、変数を ca に設定します。
    • state 変数が verified に設定されていることを確認します。他のオプションは使用できません。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Playbook to handle topologysuffix
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Verify topology suffix
        ipatopologysuffix:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          suffix: domain
          state: verified
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory verify-topologysuffix-copy.yml

関連情報

15.5. Ansible を使用した IdM レプリカの再初期化

レプリカが長期間オフラインである場合や、そのデータベースが破損している場合は、初期化できます。初期化により、更新リストのデータでレプリカが更新されます。たとえば、バックアップからの権威復元が必要な場合に使用できます。

注記

レプリケーションの更新とは対照的に、レプリカが変更エントリーのみを送信する間、データベース全体を再初期化します。

コマンドを実行するローカルホストは、再初期化されたレプリカです。データの取得元となるレプリカを指定するには、direction オプションを使用します。

以下の手順に従って、Ansible Playbook を使用して server.idm.example.com から replica.idm.example.comdomain データを再初期化します。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible -freeipa/playbooks/topology/ ディレクトリーにある reinitialize-topologysegment.yml Ansible Playbook ファイルをコピーします。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/topology/reinitialize-topologysegment.yml reinitialize-topologysegment-copy.yml
  3. reinitialize-topologysegment-copy.yml ファイルを開いて編集します。
  4. ipatopologysegment セクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM admin のパスワードに設定します。
    • suffix 変数は domain に設定し ます。ca データを再初期化する場合は、変数を ca に設定します。
    • left の変数をレプリカ合意の左ノードに設定します。
    • レプリカ合意の right なノードに正しい変数を設定します。
    • direction 変数は再初期化されるデータの方向に設定します。left-to-right は、左のノードから適切なノードにデータフローがあることを意味します。
    • state 変数が reinitialized に設定されていることを確認します。

      以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

      ---
      - name: Playbook to handle topologysegment
        hosts: ipaserver
      
        vars_files:
        - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
        tasks:
        - name: Reinitialize topology segment
          ipatopologysegment:
            ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
            suffix: domain
            left: server.idm.example.com
            right: replica.idm.example.com
            direction: left-to-right
            state: reinitialized
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory reinitialize-topologysegment-copy.yml

関連情報

15.6. Ansible を使用して IdM にレプリカ合意がないことを確認する手順

Identity Management (IdM) サーバーに保存されているデータは、レプリカ合意に基づいて複製されます。2 台のサーバーでレプリカ合意が設定されている場合は、データを共有します。レプリカ合意は常に双方向のものです。最初のレプリカからサーバーから別のレプリカにデータが複製されるだけでなく、別ののレプリカから最初のレプリカにもデータが複製されます。

以下の手順に従って、2 つのレプリカ間のレプリカ合意が IdM に存在しないことを確認します。この例では、domain タイプのレプリカ合意が、replica01.idm.example.comreplica02.idm.example.com 間で存在させないようにする方法を説明します。

前提条件

  • トポロジー内のレプリカの接続 に記載されている IdM トポロジーを設計するための推奨事項を理解しておく。
  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible -freeipa/playbooks/topology/ ディレクトリーにある delete-topologysegment.yml Ansible Playbook ファイルをコピーします。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/topology/delete-topologysegment.yml delete-topologysegment-copy.yml
  3. delete-topologysegment-copy.yml ファイルを開いて編集します。
  4. ipatopologysegment タスクセクションに以下の変数を設定して、ファイルを調整します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM admin のパスワードに設定します。
    • suffix 変数は domain に設定し ます。また、ca データが左右ノードと右のノード間で複製されないようにするには、変数を ca に設定します。
    • left の変数を、レプリカ合意の左ノードである IdM サーバーの名前に設定します。
    • 右側 の変数を、レプリカ合意の右のノードである IdM サーバーの名前に設定します。
    • state 変数は、absent に設定されていることを確認します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Playbook to handle topologysegment
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
    - name: Delete topology segment
        ipatopologysegment:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          suffix: domain
          left: replica01.idm.example.com
          right: replica02.idm.example.com:
          state: absent
  5. ファイルを保存します。
  6. Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory delete-topologysegment-copy.yml

関連情報

15.7. 関連情報

第16章 Ansible を使用した IdM サーバーの管理

Red Hat Ansible Engine を使用すると、Identity Management (IdM) トポロジーのサーバーを管理できます。ansible-freeipa パッケージの server モジュールを使用して、IdM トポロジーにサーバーの有無を確認できます。任意のレプリカを非表示にしたり、レプリカを表示したりすることもできます。

このセクションには、以下のトピックが含まれます。

16.1. Ansible を使用した IdM サーバーの存在の確認

Ansible Playbook で ipaserver ansible-freeipa モジュールを使用して、Identity Management (IdM) サーバーが存在することを確認できます。

注記

ipaserver Ansible モジュールは、IdM サーバーをインストールしません。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
    • 制御ノードからインベントリーファイルに定義した IdM サーバーへの SSH 接続が正常に動作している。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/server/ ディレクトリーにある server-present.yml Ansible Playbook ファイルをコピーします。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/server/server-present.yml server-present-copy.yml
  3. server-present-copy.yml を開いて編集します。
  4. ipaserver タスクセクションで次の変数を設定してファイルを調整し、ファイルを保存します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM admin のパスワードに設定します。
    • name 変数をサーバーの FQDN に設定します。サンプルサーバーの FQDNserver123.idm.example.com です。
    ---
    - name: Server present example
      hosts: ipaserver
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure server server123.idm.example.com is present
        ipaserver:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: server123.idm.example.com
  5. Ansible Playbook を実行し、Playbook ファイルとインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory server-present-copy.yml

関連情報

16.2. Ansible を使用した IdM トポロジーに IdM サーバーが存在しないことの確認

Ansible Playbook を使用して、Identity Management (IdM) サーバーが、ホストとしても IdM トポロジーに存在しないようにします。

ansible-freeipa ipaserver ロールとは対照的に、この Playbook で使用する ipaserver モジュールは、サーバーから IdM サービスをアンインストールしません。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
    • 制御ノードからインベントリーファイルに定義した IdM サーバーへの SSH 接続が正常に動作している。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/server/ ディレクトリーにある server-absent.yml Ansible Playbook ファイルをコピーします。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/server/server-absent.yml server-absent-copy.yml
  3. server-absent-copy.yml を開いて編集します。
  4. ipaserver タスクセクションで次の変数を設定してファイルを調整し、ファイルを保存します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM admin のパスワードに設定します。
    • name 変数をサーバーの FQDN に設定します。サンプルサーバーの FQDNserver123.idm.example.com です。
    • state 変数は、absent に設定されていることを確認します。
    ---
    - name: Server absent example
      hosts: ipaserver
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure server server123.idm.example.com is absent
        ipaserver:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: server123.idm.example.com
          state: absent
  5. Ansible Playbook を実行し、Playbook ファイルとインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory server-absent-copy.yml
  6. server123.idm.example.com を指定しているネームサーバー (NS) の DNS レコードがすべて DNS ゾーンから削除されていることを確認してください。使用する DNS が IdM により管理される統合 DNS であるか、外部 DNS であるかに関わらず、確認を行なってください。

関連情報

  • IdM サーバーのアンインストール を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-server.md ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/server ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

16.3. 最後の IdM サーバーロールをホストしているにもかかわらず IdM サーバーがないことの確認

Ansible を使用すると、最後の IdM サービスインスタンスがサーバーで実行している場合でも、Identity Management (IdM) サーバーがないことを確認できます。認証局 (CA)、キーリカバリー認証局 (KRA)、または DNS サーバーはすべて IdM サービスの例です。

警告

CA サーバー、KRA サーバー、または DNS サーバーとして機能する最後のサーバーを削除すると、IdM 機能に深刻な不具合が生じます。ipa service-find を使用すると、どのサービスがどの IdM サーバーで実行されているかを手動で確認できます。認証局サーバーのプリンシパル名は dogtag/server_name/REALM_NAME です。

ansible-freeipa ipaserver ロールとは対照的に、この Playbook で使用する ipaserver モジュールは、サーバーから IdM サービスをアンインストールしません。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
    • 制御ノードからインベントリーファイルに定義した IdM サーバーへの SSH 接続が正常に動作している。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/server/ ディレクトリーにある server-absent-ignore-last-of-role.yml Ansible Playbook ファイルをコピーします。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/server/server-absent-ignore-last-of-role.yml server-absent-ignore-last-of-role-copy.yml
  3. server-absent-ignore-last-of-role-copy.yml ファイルを開いて編集します。
  4. ipaserver タスクセクションで次の変数を設定してファイルを調整し、ファイルを保存します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM admin のパスワードに設定します。
    • name 変数をサーバーの FQDN に設定します。サンプルサーバーの FQDNserver123.idm.example.com です。
    • ignore_last_of_roleyes に設定されていることを確認します。
    • state 変数は absent に設定します。
    ---
    - name: Server absent with last of role skip example
      hosts: ipaserver
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure server “server123.idm.example.com” is absent with last of role skip
        ipaserver:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: server123.idm.example.com
          ignore_last_of_role: yes
          state: absent
  5. Ansible Playbook を実行し、Playbook ファイルとインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory server-absent-ignore-last-of-role-copy.yml
  6. server123.idm.example.com を指定するネームサーバー (NS) の DNS レコードが、すべて DNS ゾーンから削除されていることを確認してください。使用する DNS が IdM により管理される統合 DNS であるか、外部 DNS であるかに関わらず、確認を行なってください。

関連情報

  • IdM サーバーのアンインストール を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-server.md ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/server ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

16.4. IdM サーバーが存在しないが、必ずしも他の IdM サーバーから切断されていないことの確認

トポロジーから Identity Management (IdM) サーバーを削除する場合は、Ansible Playbook でレプリケーションアグリーメントをそのまま保持できます。Playbook では、IdM サーバーがホストとしても IdM に存在しないことも確認します。

重要

削除する際にサーバーのレプリカ合意を無視することが推奨されるのは、削除を予定している他のサーバーが機能不全のサーバーである場合のみです。トポロジーの中心点として機能するサーバーを削除すると、トポロジーが 2 つの切断されたクラスターに分割される可能性があります。

機能不全のサーバーは、ipa server-del コマンドを使用してトポロジーから削除できます。

注記

認証局 (CA)、キーリカバリー認証局 (KRA)、または DNS サーバーとして機能する最後のサーバーを削除すると、Identity Management (IdM) 機能に深刻な不具合が生じます。この問題を防ぐため、Playbook は、CA サーバー、KRA サーバー、または DNS サーバーとして機能するサーバーをアンインストールする前に、これらのサービスがドメインの別のサーバーで実行していることを確認します。

ansible-freeipa ipaserver ロールとは対照的に、この Playbook で使用する ipaserver モジュールは、サーバーから IdM サービスをアンインストールしません。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
    • 制御ノードからインベントリーファイルに定義した IdM サーバーへの SSH 接続が正常に動作している。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/server/ ディレクトリーにある server-absent-ignore_topology_disconnect.yml Ansible Playbook ファイルをコピーします。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/server/server-absent-ignore_topology_disconnect.yml server-absent-ignore_topology_disconnect-copy.yml
  3. server-absent-ignore_topology_disconnect-copy.yml を開いて編集します。
  4. ipaserver タスクセクションで次の変数を設定してファイルを調整し、ファイルを保存します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM admin のパスワードに設定します。
    • name 変数をサーバーの FQDN に設定します。サンプルサーバーの FQDNserver123.idm.example.com です。
    • ignore_topology_disconnect 変数が yes に設定されていることを確認します。
    • state 変数は、absent に設定されていることを確認します。
    ---
    - name: Server absent with ignoring topology disconnects example
      hosts: ipaserver
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure server “server123.idm.example.com” with ignoring topology disconnects
        ipaserver:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: server123.idm.example.com
          ignore_topology_disconnect: yes
          state: absent
  5. Ansible Playbook を実行し、Playbook ファイルとインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory server-absent-ignore_topology_disconnect-copy.yml
  6. [オプション] server123.idm.example.com を指すすべてのネームサーバー (NS) DNS レコードが DNS ゾーンから削除されていることを確認します。使用する DNS が IdM により管理される統合 DNS であるか、外部 DNS であるかに関わらず、確認を行なってください。

関連情報

  • IdM サーバーのアンインストール を参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-server.md ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/server ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。

16.5. Ansible Playbook を使用した既存の IdM サーバーが非表示であることの確認

Ansible Playbook の ipaserver ansible-freeipa モジュールを使用して、既存の Identity Management (IdM) サーバーが非表示になっていることを確認します。この Playbook では、IdM サーバーがインストールされないことに注意してください。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
    • 制御ノードからインベントリーファイルに定義した IdM サーバーへの SSH 接続が正常に動作している。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/server/ ディレクトリーにある server-hidden.yml Ansible Playbook ファイルをコピーします。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/server/server-hidden.yml server-hidden-copy.yml
  3. server-hidden-copy.yml ファイルを開いて編集します。
  4. ipaserver タスクセクションで次の変数を設定してファイルを調整し、ファイルを保存します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM admin のパスワードに設定します。
    • name 変数をサーバーの FQDN に設定します。サンプルサーバーの FQDNserver123.idm.example.com です。
    • hidden 変数が True に設定されていることを確認します。
    ---
    - name: Server hidden example
      hosts: ipaserver
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure server server123.idm.example.com is hidden
        ipaserver:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: server123.idm.example.com
          hidden: True
  5. Ansible Playbook を実行し、Playbook ファイルとインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory server-hidden-copy.yml

関連情報

16.6. Ansible Playbook を使用した既存の IdM サーバーが表示されていることの確認

Ansible Playbook で ipaserver ansible-freeipa モジュールを使用して、既存の Identity Management (IdM) サーバーが表示されていることを確認します。この Playbook では、IdM サーバーがインストールされないことに注意してください。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
    • 制御ノードからインベントリーファイルに定義した IdM サーバーへの SSH 接続が正常に動作している。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/server/ ディレクトリーにある server-not-hidden.yml Ansible Playbook ファイルをコピーします。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/server/server-not-hidden.yml server-not-hidden-copy.yml
  3. server-not-hidden-copy.yml ファイルを開いて編集します。
  4. ipaserver タスクセクションで次の変数を設定してファイルを調整し、ファイルを保存します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM admin のパスワードに設定します。
    • name 変数をサーバーの FQDN に設定します。サンプルサーバーの FQDNserver123.idm.example.com です。
    • hidden 変数が no に設定されていることを確認します。
    ---
    - name: Server not hidden example
      hosts: ipaserver
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure server server123.idm.example.com is not hidden
        ipaserver:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: server123.idm.example.com
          hidden: no
  5. Ansible Playbook を実行し、Playbook ファイルとインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory server-not-hidden-copy.yml

関連情報

16.7. 既存の IdM サーバーに IdM DNS の場所が割り当てられていることの確認

Ansible Playbook の ipaserver ansible-freeipa モジュールを使用して、既存の Identity Management (IdM) サーバーに特定の IdM DNS の場所が割り当てられていることを確認します。

ipaserver Ansible モジュールは、IdM サーバーをインストールしないことに注意してください。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • IdM DNS の場所が存在します。サンプルの場所は germany です。
  • サーバーへの root アクセス権限がある。サンプルサーバーは server123.idm.example.com である。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
    • 制御ノードからインベントリーファイルに定義した IdM サーバーへの SSH 接続が正常に動作している。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/server/ ディレクトリーにある server-location.yml Ansible Playbook ファイルをコピーします。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/server/server-location.yml server-location-copy.yml
  3. server-location-copy.yml ファイルを開いて編集します。
  4. ipaserver タスクセクションで次の変数を設定してファイルを調整し、ファイルを保存します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM admin のパスワードに設定します。
    • name 変数を server123.idm.example.com に設定します。
    • location 変数を germany に設定します。

    以下は、今回の例で使用するように変更した Ansible Playbook ファイルです。

    ---
    - name: Server enabled example
      hosts: ipaserver
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure server server123.idm.example.com with location “germany” is present
        ipaserver:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: server123.idm.example.com
          location: germany
  5. Ansible Playbook を実行し、Playbook ファイルとインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory server-location-copy.yml
  6. SSH を使用して、root として server123.idm.example.com に接続します。

    ssh root@server123.idm.example.com
  7. 更新をすぐに有効にするには、サーバーで named-pkcs11 サービスを再起動します。

    [root@server123.idm.example.com ~]# systemctl restart named-pkcs11

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16.8. 既存の IdM サーバーに IdM DNS の場所が割り当てられていないことの確認

Ansible Playbook の ipaserver ansible-freeipa モジュールを使用して、既存の Identity Management (IdM) サーバーに IdM DNS の場所が割り当てられていないことを確認します。地理的な場所を頻繁に変更するサーバーに DNS の場所を割り当てないでください。Playbook では IdM サーバーがインストールされないことに注意してください。

前提条件

  • IdM admin のパスワードを把握している。
  • サーバーへの root アクセス権限がある。サンプルサーバーは server123.idm.example.com である。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
    • 制御ノードからインベントリーファイルに定義した IdM サーバーへの SSH 接続が正常に動作している。

手順

  1. ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。

    $ cd ~/MyPlaybooks/
  2. /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/server/ ディレクトリーにある server-no-location.yml Ansible Playbook ファイルをコピーします。

    $ cp /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/server/server-no-location.yml server-no-location-copy.yml
  3. server-no-location-copy.yml を開いて編集します。
  4. ipaserver タスクセクションで次の変数を設定してファイルを調整し、ファイルを保存します。

    • ipaadmin_password 変数は IdM admin のパスワードに設定します。
    • name 変数を server123.idm.example.com に設定します。
    • location 変数が "" に設定されていることを確認してください。
    ---
    - name: Server no location example
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure server server123.idm.example.com is present with no location
        ipaserver:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: server123.idm.example.com
          location: “”
  5. Ansible Playbook を実行し、Playbook ファイルとインベントリーファイルを指定します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory server-no-location-copy.yml
  6. SSH を使用して、root として server123.idm.example.com に接続します。

    ssh root@server123.idm.example.com
  7. 更新をすぐに有効にするには、サーバーで named-pkcs11 サービスを再起動します。

    [root@server123.idm.example.com ~]# systemctl restart named-pkcs11

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第17章 Ansible Playbook を使用したホストの管理

Ansible は、システムの設定、ソフトウェアのデプロイ、ローリング更新の実行に使用する自動化ツールです。Ansible には Identity Management (IdM) のサポートが含まれ、Ansible モジュールを使用してホスト管理を自動化できます。

Ansible Playbook を使用してホストおよびホストエントリーを管理する際に、以下のコンセプトに基づき、操作が実行されます。

17.1. Ansible Playbook を使用して FQDN が指定された IdM ホストエントリーを存在させる手順

以下の手順に従って、Ansible Playbook を使用して、Identity Management (IdM) にホストエントリーが存在することを確認します。ホストエントリーは、完全修飾ドメイン名 (FQDN) によってのみ定義されます。

以下の条件のいずれかが当てはまる場合は、ホストの FQDN 名を指定するだけで十分です。

  • IdM サーバーが DNS を管理するよう設定されていない。
  • ホストに静的 IP アドレスがないか、ホストの設定時に IP アドレスが不明である。FQDN だけで定義されたホストを追加すると、基本的に IdM DNS サービスにプレースホルダーエントリーが作成されます。たとえば、ラップトップは IdM クライアントとして事前設定されている場合がありますが、設定時には IP アドレスがありません。DNS サービスがレコードを動的に更新すると、ホストの現在の IP アドレスが検出され、DNS レコードが更新されます。
注記

Ansible ない場合に、ipa host-add コマンドを使用すると、ホストエントリーが IdM に作成されます。ホストを IdM に追加すると、IdM でのホストの状態が present になります。Ansible は冪等性に依存しているので、Ansible を使用して IdM にホストを追加するには、ホストの状態を Present (state: present) として定義した Playbook を作成する必要があります。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルに ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. IdM に存在させるホストの FQDN を使用して Ansible Playbook ファイルを作成します。この手順は、/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/host/add-host.yml ファイルのサンプルをコピーして変更し、簡素化できます。

    ---
    - name: Host present
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Host host01.idm.example.com present
        ipahost:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: host01.idm.example.com
          state: present
          force: yes
  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/ensure-host-is-present.yml
注記

以下の手順では、IdM LDAP サーバーにホストエントリーが作成されますが、ホストは IdM Kerberos レルムには登録されません。登録されるようにするには、ホストを IdM クライアントとしてデプロイする必要があります。詳細は、Ansible Playbook を使用した Identity Management クライアントのインストール を参照してください。

検証手順

  1. admin として IdM サーバーにログインします。

    $ ssh admin@server.idm.example.com
    Password:
  2. ipa host-show コマンドを入力し、ホストの名前を指定します。

    $ ipa host-show host01.idm.example.com
      Host name: host01.idm.example.com
      Principal name: host/host01.idm.example.com@IDM.EXAMPLE.COM
      Principal alias: host/host01.idm.example.com@IDM.EXAMPLE.COM
      Password: False
      Keytab: False
      Managed by: host01.idm.example.com

この出力で、host01.idm.example.com が IdM に存在することを確認します。

17.2. Ansible Playbook を使用して DNS 情報など IdM ホストエントリーを存在させる手順

以下の手順に従って、Ansible Playbook を使用して、Identity Management (IdM) にホストエントリーが存在することを確認します。ホストエントリーは、ホストの 完全修飾ドメイン名 (FQDN) および IP アドレスで定義されます。

注記

Ansible ない場合に、ipa host-add コマンドを使用すると、ホストエントリーが IdM に作成されます。ホストを IdM に追加すると、IdM でのホストの状態が present になります。Ansible は冪等性に依存しているので、Ansible を使用して IdM にホストを追加するには、ホストの状態を Present (state: present) として定義した Playbook を作成する必要があります。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルに ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. IdM に存在させるホストの 完全修飾ドメイン名 (FQDN) で Ansible Playbook ファイルを作成します。また、IdM サーバーが DNS を管理するように設定され、ホストの IP アドレスが分かっている場合は、ip_address パラメーターの値を指定します。ホストを DNS リソースレコードに存在させるには、IP アドレスが必要です。この手順は、/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/host/host-present.yml ファイルのサンプルをコピーして変更し、簡素化できます。また、その他の追加情報を含めることもできます。

    ---
    - name: Host present
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure host01.idm.example.com is present
        ipahost:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: host01.idm.example.com
          description: Example host
          ip_address: 192.168.0.123
          locality: Lab
          ns_host_location: Lab
          ns_os_version: CentOS 7
          ns_hardware_platform: Lenovo T61
          mac_address:
          - "08:00:27:E3:B1:2D"
          - "52:54:00:BD:97:1E"
          state: present
  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/ensure-host-is-present.yml
注記

以下の手順では、IdM LDAP サーバーにホストエントリーが作成されますが、ホストは IdM Kerberos レルムには登録されません。登録されるようにするには、ホストを IdM クライアントとしてデプロイする必要があります。詳細は、Ansible Playbook を使用した Identity Management クライアントのインストール を参照してください。

検証手順

  1. admin として IdM サーバーにログインします。

    $ ssh admin@server.idm.example.com
    Password:
  2. ipa host-show コマンドを入力し、ホストの名前を指定します。

    $ ipa host-show host01.idm.example.com
      Host name: host01.idm.example.com
      Description: Example host
      Locality: Lab
      Location: Lab
      Platform: Lenovo T61
      Operating system: CentOS 7
      Principal name: host/host01.idm.example.com@IDM.EXAMPLE.COM
      Principal alias: host/host01.idm.example.com@IDM.EXAMPLE.COM
      MAC address: 08:00:27:E3:B1:2D, 52:54:00:BD:97:1E
      Password: False
      Keytab: False
      Managed by: host01.idm.example.com

この出力で、host01.idm.example.com が IdM に存在することを確認します。

17.3. Ansible Playbook を使用して無作為のパスワードが指定された IdM ホストエントリーを複数存在させる手順

ipahost モジュールでは、システム管理者は、Ansible タスク 1 つだけを使用して、IdM に複数のホストエントリーが存在するか、存在しないかを確認できます。以下の手順に従って、fully-qualified domain names (FQDN) でのみ定義されるホストエントリーを複数存在することを確認します。Ansible Playbook を実行すると、ホストのパスワードが無作為に生成されます。

注記

Ansible ない場合に、ipa host-add コマンドを使用すると、ホストエントリーが IdM に作成されます。ホストを IdM に追加すると、IdM でのホストの状態が present になります。Ansible は冪等性に依存しているので、Ansible を使用して IdM にホストを追加するには、ホストの状態を Present (state: present) として定義した Playbook を作成する必要があります。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルに ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. IdM に存在させるホストの 完全修飾ドメイン名 (FQDN) で Ansible Playbook ファイルを作成します。IdM にホストが既存し、update_passwordon_create に制限されている場合にも、Ansible Playbook を使用して各ホストに対して無作為にパスワードを作成するには、random: yesforce: yes のオプションを追加します。この手順を簡素化するには、/usr/share/doc/ansible-freeipa/README-host.md Markdown ファイルからサンプルをコピーして変更できます。

    ---
    - name: Ensure hosts with random password
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Hosts host01.idm.example.com and host02.idm.example.com present with random passwords
        ipahost:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          hosts:
          - name: host01.idm.example.com
            random: yes
            force: yes
          - name: host02.idm.example.com
            random: yes
            force: yes
        register: ipahost
  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/ensure-hosts-are-present.yml
    [...]
    TASK [Hosts host01.idm.example.com and host02.idm.example.com present with random passwords]
    changed: [r8server.idm.example.com] => {"changed": true, "host": {"host01.idm.example.com": {"randompassword": "0HoIRvjUdH0Ycbf6uYdWTxH"}, "host02.idm.example.com": {"randompassword": "5VdLgrf3wvojmACdHC3uA3s"}}}
注記

無作為に作成されたワンタイムパスワード (OTP) を使用して IdM クライアントとしてホストをデプロイするには、Ansible Playbook を使用した IdM クライアント登録の認証オプション または ワンタイムパスワードを使用したクライアントのインストール: 対話型インストール を参照してください。

検証手順

  1. admin として IdM サーバーにログインします。

    $ ssh admin@server.idm.example.com
    Password:
  2. ipa host-show コマンドを入力し、ホストのいずれかの名前を指定します。

    $ ipa host-show host01.idm.example.com
      Host name: host01.idm.example.com
      Password: True
      Keytab: False
      Managed by: host01.idm.example.com

この出力で、host01.idm.example.com が無作為に作成されたパスワードが指定された IdM に存在することを確認します。

17.4. Ansible Playbook を使用して複数の IP アドレスが指定された IdM ホストエントリーを存在させる手順

以下の手順に従って、Ansible Playbook を使用して Identity Management (IdM) にホストエントリーが存在することを確認します。ホストエントリーは、完全修飾ドメイン名 (FQDN) と複数の IP アドレスで定義されます。

注記

Ansible ipahost モジュールでは、ipa host ユーティリティーとは対照的に、ホストの IPv4 および IPv6 アドレスが複数存在させたり、または存在させなかったりできます。ipa host-mod コマンドは IP アドレスを処理できません。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルに ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. Ansible Playbook ファイルを作成します。ipahost 変数の 名前 として、IdM に存在させるホストの 完全修飾ドメイン名 (FQDN) を指定します。- ip_address 構文を使用して、個別の行に複数の IPv4 および IPv6 ip_address 値を指定します。この手順は、/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/host/host-member-ipaddresses-present.yml ファイルのサンプルをコピーして変更し、簡素化できます。追加情報を含めることもできます。

    ---
    - name: Host member IP addresses present
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure host101.example.com IP addresses present
        ipahost:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: host01.idm.example.com
          ip_address:
          - 192.168.0.123
          - fe80::20c:29ff:fe02:a1b3
          - 192.168.0.124
          - fe80::20c:29ff:fe02:a1b4
          force: yes
  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/ensure-host-with-multiple-IP-addreses-is-present.yml
注記

この手順では、IdM LDAP サーバーにホストエントリーは作成されますが、ホストは IdM Kerberos レルムに登録されません。登録されるようにするには、ホストを IdM クライアントとしてデプロイする必要があります。詳細は、Ansible Playbook を使用した Identity Management クライアントのインストール を参照してください。

検証手順

  1. admin として IdM サーバーにログインします。

    $ ssh admin@server.idm.example.com
    Password:
  2. ipa host-show コマンドを入力し、ホストの名前を指定します。

    $ ipa host-show host01.idm.example.com
      Principal name: host/host01.idm.example.com@IDM.EXAMPLE.COM
      Principal alias: host/host01.idm.example.com@IDM.EXAMPLE.COM
      Password: False
      Keytab: False
      Managed by: host01.idm.example.com

    この出力で、host01.idm.example.com が IdM に存在することを確認します。

  3. IdM DNS レコードにホストの複数の IP アドレスが存在することを確認するには、ipa dnsrecord-show コマンドを入力し、以下の情報を指定します。

    • IdM ドメインの名前
    • ホストの名前

      $ ipa dnsrecord-show idm.example.com host01
      [...]
        Record name: host01
        A record: 192.168.0.123, 192.168.0.124
        AAAA record: fe80::20c:29ff:fe02:a1b3, fe80::20c:29ff:fe02:a1b4

    この出力では、Playbook で指定された IPv4 アドレスおよび IPv6 アドレスがすべて host01.idm.example.com ホストエントリーに正しく関連付けられていることを確認します。

17.5. Ansible Playbook を使用して IdM ホストエントリーがないことを確認する手順

以下の手順に従って、Ansible Playbook を使用して Identity Management (IdM) にホストエントリーがないことを確認します。

前提条件

  • IdM 管理者の認証情報

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルに ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. IdM に存在させないホストの 完全修飾ドメイン名 (FQDN) を指定して Ansible Playbook ファイルを作成します。IdM ドメインに DNS が統合されている場合は、updatedns: yes オプションを使用して、あらゆる種類のホストに関連するレコードを DNS から削除します。

    この手順は、/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/host/delete-host.yml ファイルのサンプルをコピーして変更し、簡素化できます。

    ---
    - name: Host absent
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Host host01.idm.example.com absent
        ipahost:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: host01.idm.example.com
          updatedns: yes
          state: absent
  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/ensure-host-absent.yml
注記

この手順の結果は以下のようになります。

  • IdM Kerberos レルムにホストが存在していない。
  • IdM LDAP サーバーにホストエントリーが存在しない。

SSSD (System Security Services Daemon) などのシステムサービスの特定の IdM 設定をクライアントホスト自体から削除するには、クライアントで ipa-client-install --uninstall コマンドを実行する必要があります。詳細は、IdM クライアントのアンインストール を参照してください。

検証手順

  1. admin として ipaserver にログインします。

    $ ssh admin@server.idm.example.com
    Password:
    [admin@server /]$
  2. host01.idm.example.com に関する情報を表示します。

    $ ipa host-show host01.idm.example.com
    ipa: ERROR: host01.idm.example.com: host not found

この出力では、ホストが IdM に存在しないことを確認します。

17.6. 関連情報

  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/README-host.md Markdown ファイルを参照してください。
  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/host ディレクトリーにある追加の Playbook を表示します。

第18章 Ansible Playbook を使用したホストグループの管理

Identity Management (IdM) のホストグループ と、Ansible を使用して Identity Management (IdM) のホストグループに関係する操作を実行する方法について詳しく説明します。

18.1. IdM のホストグループ

IdM ホストグループを使用すると、重要な管理タスク (特にアクセス制御) を一元管理できます。

ホストグループの定義

ホストグループは、一般的なアクセス制御ルールやその他の特性を持つ IdM ホストセットが含まれるエンティティーです。たとえば、企業の部門、物理的な場所、またはアクセス制御要件に基づいてホストグループを定義できます。

IdM のホストグループには以下が含まれます。

  • IdM サーバーおよびクライアント
  • その他の IdM ホストグループ

デフォルトで作成されたホストグループ

デフォルトでは、IdM サーバーは、全 IdM サーバーホストのホストグループ ipaservers を作成します。

直接および間接のグループメンバー

IdM のグループ属性は、直接メンバーと間接メンバーの両方に適用されます。ホストグループ B がホストグループ A のメンバーである場合、ホストグループ B のすべてのユーザーはホストグループ A の間接メンバーと見なされます。

18.2. Ansible Playbook を使用して IdM ホストグループを存在させる手順

以下の手順に従って、Ansible Playbook を使用して、Identity Management (IdM) にホストグループが存在することを確認します。

注記

Ansible を使用しない場合には、ipa hostgroup-add コマンドでホストグループエントリーを IdM に作成します。ホストグループを IdM に追加すると、IdM でのホストグループの状態が present になります。Ansible は冪等性に依存しているので、Ansible を使用して IdM にホストグループを追加するには、ホストの状態を Present (state: present) として定義した Playbook を作成する必要があります。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイル を作成し、そのファイルで、ターゲットに設定する IdM サーバーのリストと合わせて ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. 必要なホストグループ情報を使用して Ansible Playbook ファイルを作成します。たとえば、databases という名前のホストグループを存在させるには、- ipahostgroup タスクで name: databases を指定します。この手順は、/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/user/ensure-hostgroup-is-present.yml ファイルのサンプルをコピーして変更し、簡素化できます。

    ---
    - name: Playbook to handle hostgroups
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      # Ensure host-group databases is present
      - ipahostgroup:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: databases
          state: present

    Playbook で state: present が指定されていると、IdM にホストグループがない場合のホストグループの追加要求という意味です。

  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/ensure-hostgroup-is-present.yml

検証手順

  1. admin として ipaserver にログインします。

    $ ssh admin@server.idm.example.com
    Password:
    [admin@server /]$
  2. admin の Kerberos チケットを要求します。

    $ kinit admin
    Password for admin@IDM.EXAMPLE.COM:
  3. IdM に存在させるホストグループに関する情報を表示します。

    $ ipa hostgroup-show databases
      Host-group: databases

データベース ホストグループが IdM に存在します。

18.3. Ansible Playbook を使用して IdM ホストグループにホストを存在させる手順

以下の手順に従って、Ansible Playbook を使用して、Identity Management (IdM) のホストグループにホストが存在することを確認します。

前提条件

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイル を作成し、そのファイルで、ターゲットに設定する IdM サーバーのリストと合わせて ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. 必要なホスト情報を使用して Ansible Playbook ファイルを作成します。ipahostgroup 変数の name パラメーターを使用してホストグループの名前を指定します。ipahostgroup 変数の host パラメーターを使用してホストの名前を指定します。この手順は、/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/hostgroup/ensure-hosts-and-hostgroups-are-present-in-hostgroup.yml ファイルのサンプルをコピーして変更し、簡素化できます。

    ---
    - name: Playbook to handle hostgroups
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      # Ensure host-group databases is present
      - ipahostgroup:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: databases
          host:
          - db.idm.example.com
          action: member

    この Playbook は、db.idm.example.com ホストを データベース ホストグループに追加します。action: member の行は、Playbook の実行時に databases グループ自体の追加を試行しないことを示します。代わりに、db.idm.example.comdatabases への追加を試行するだけです。

  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/ensure-hosts-or-hostgroups-are-present-in-hostgroup.yml

検証手順

  1. admin として ipaserver にログインします。

    $ ssh admin@server.idm.example.com
    Password:
    [admin@server /]$
  2. admin の Kerberos チケットを要求します。

    $ kinit admin
    Password for admin@IDM.EXAMPLE.COM:
  3. ホストグループに関する情報を表示して、どのホストが存在するかを確認します。

    $ ipa hostgroup-show databases
      Host-group: databases
      Member hosts: db.idm.example.com

db.idm.example.com ホストは、database ホストグループのメンバーとして存在します。

18.4. Ansible Playbook を使用した IdM ホストグループのネスト化

以下の手順に従って、Ansible Playbook を使用して、Identity Management (IdM) ホストグループにネスト化されたホストグループが存在することを確認します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • Ansible Playbook ファイルから参照するホストグループが IdM に存在する。詳細は、Ansible Playbook を使用して IdM ホストグループを存在させる手順 を参照してください。

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイル を作成し、そのファイルで、ターゲットに設定する IdM サーバーのリストと合わせて ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. 必要なホストグループ情報を使用して Ansible Playbook ファイルを作成します。ネストされたホストグループ A が、Ansible Playbook のホストグループ B に存在することを確認するには、- ipahostgroup 変数で name 変数を使用して、ホストグループ B の名前を指定します。hostgroup 変数でネスト化されたホストグループ A の名前を指定します。この手順は、/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/hostgroup/ensure-hosts-and-hostgroups-are-present-in-hostgroup.yml ファイルのサンプルをコピーして変更し、簡素化できます。

    ---
    - name: Playbook to handle hostgroups
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      # Ensure hosts and hostgroups are present in existing databases hostgroup
      - ipahostgroup:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: databases
          hostgroup:
          - mysql-server
          - oracle-server
          action: member

    この Ansible Playbook は、database ホストグループに myqsl-server および oracle-server ホストグループが存在することを確認します。action: member 行は、Playbook が実行されると、databases グループ自体を IdM に追加しようとはしません。

  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/ensure-hosts-or-hostgroups-are-present-in-hostgroup.yml

検証手順

  1. admin として ipaserver にログインします。

    $ ssh admin@server.idm.example.com
    Password:
    [admin@server /]$
  2. admin の Kerberos チケットを要求します。

    $ kinit admin
    Password for admin@IDM.EXAMPLE.COM:
  3. ネスト化されたホストグループが含まれるホストグループに関する情報を表示します。

    $ ipa hostgroup-show databases
      Host-group: databases
      Member hosts: db.idm.example.com
      Member host-groups: mysql-server, oracle-server

mysql-server および oracle-server ホストグループは、databases ホストグループに存在します。

18.5. Ansible Playbook を使用して IdM ホストグループにメンバーマネージャーを存在させる手順

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、IdM ホストおよびホストグループにメンバーマネージャーを存在させる方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • メンバーマネージャーとして追加するホストまたはホストグループの名前と、管理するホストグループ名が必要です。

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルに ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. 必要なホストおよびホストグループメンバー管理情報を使用して Ansible Playbook ファイルを作成します。

    ---
    
    - name: Playbook to handle host group membership management
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure member manager user example_member is present for group_name
          ipahostgroup:
            ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
            name: group_name
            membermanager_user: example_member
    
      - name: Ensure member manager group project_admins is present for group_name
          ipahostgroup:
            ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
            name: group_name
            membermanager_group: project_admins
  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/add-member-managers-host-groups.yml

検証手順

ipa group-show コマンドを使用して group_name グループのメンバーマネージャーとして example_memberproject_admins が含まれていることを確認できます。

  1. 管理者として ipaserver にログインします。

    $ ssh admin@server.idm.example.com
    Password:
    [admin@server /]$
  2. testhostgroup に関する情報を表示します。

    ipaserver]$ ipa hostgroup-show group_name
      Host-group: group_name
      Member hosts: server.idm.example.com
      Member host-groups: testhostgroup2
      Membership managed by groups: project_admins
      Membership managed by users: example_member

関連情報

  • ipa hostgroup-add-member-manager --help を参照してください。
  • ipa の man ページを参照してください。

18.6. Ansible Playbook を使用して IdM ホストグループにホストを存在させないようにする方法

以下の手順に従って、Ansible Playbook を使用して、Identity Management (IdM) のホストグループにホストがないことを確認します。

前提条件

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイル を作成し、そのファイルで、ターゲットに設定する IdM サーバーのリストと合わせて ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. 必要なホストおよびホストグループ情報を使用して Ansible Playbook ファイルを作成します。ipahostgroup 変数の name パラメーターを使用してホストグループの名前を指定します。ipahostgroup 変数の host パラメーターを使用して、ホストグループに、存在させないようにするホストの名前を指定します。この手順は、/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/hostgroup/ensure-hosts-and-hostgroups-are-absent-in-hostgroup.yml ファイルのサンプルをコピーして変更し、簡素化できます。

    ---
    - name: Playbook to handle hostgroups
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      # Ensure host-group databases is absent
      - ipahostgroup:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: databases
          host:
          - db.idm.example.com
          action: member
          state: absent

    この Playbook では、databases ホストグループに db.idm.example.com ホストを存在させないようにできます。action: member の行で、Playbook の実行時に databases グループ自体の削除を試行しないように指定します。

  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/ensure-hosts-or-hostgroups-are-absent-in-hostgroup.yml

検証手順

  1. admin として ipaserver にログインします。

    $ ssh admin@server.idm.example.com
    Password:
    [admin@server /]$
  2. admin の Kerberos チケットを要求します。

    $ kinit admin
    Password for admin@IDM.EXAMPLE.COM:
  3. ホストグループと、そのホストグループに含まれるホストに関する情報を表示します。

    $ ipa hostgroup-show databases
      Host-group: databases
      Member host-groups: mysql-server, oracle-server

db.idm.example.com ホストは データベース ホストグループに存在していません。

18.7. Ansible Playbook を使用して IdM ホストグループに、ネスト化されたホストグループを存在させないようにする方法

以下の手順に従って、Ansible Playbook を使用して、Identity Management (IdM) の外部ホストグループからネスト化されたホストグループがないことを確認します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • Ansible Playbook ファイルから参照するホストグループが IdM に存在する。詳細は、Ansible Playbook を使用して IdM ホストグループを存在させる手順 を参照してください。

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイル を作成し、そのファイルで、ターゲットに設定する IdM サーバーのリストと合わせて ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. 必要なホストグループ情報を使用して Ansible Playbook ファイルを作成します。- ipahostgroup 変数の name 変数を使用して、外部ホストグループの名前を指定します。hostgroup 変数でネスト化されたホストグループの名前を指定します。この手順は、/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/hostgroup/ensure-hosts-and-hostgroups-are-absent-in-hostgroup.yml ファイルのサンプルをコピーして変更し、簡素化できます。

    ---
    - name: Playbook to handle hostgroups
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      # Ensure hosts and hostgroups are absent in existing databases hostgroup
      - ipahostgroup:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: databases
          hostgroup:
          - mysql-server
          - oracle-server
          action: member
          state: absent

    この Playbook は、mysql-server および oracle-server ホストグループが databases ホストグループにないことを確認します。action: member 行は、Playbook の実行時に、databases グループ自体の IdM からの削除は試行されないようにします。

  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/ensure-hosts-or-hostgroups-are-absent-in-hostgroup.yml

検証手順

  1. admin として ipaserver にログインします。

    $ ssh admin@server.idm.example.com
    Password:
    [admin@server /]$
  2. admin の Kerberos チケットを要求します。

    $ kinit admin
    Password for admin@IDM.EXAMPLE.COM:
  3. ネスト化されたホストグループを存在させないホストグループに関する情報を表示します。

    $ ipa hostgroup-show databases
      Host-group: databases

この出力では、mysql-server および oracle-server のネスト化されたホストグループが、外部 databases のホストグループにないことを確認します。

18.8. Ansible Playbook を使用して IdM ホストグループを存在させないようにする方法

以下の手順に従って、Ansible Playbook を使用して Identity Management (IdM) にホストグループがないことを確認します。

注記

Ansible を使用しない場合には、ipa hostgroup-del コマンドでホストグループエントリーを IdM から削除します。IdM からホストグループを削除すると、IdM にホストグループが存在しない状態になります。Ansible は冪等性に依存しているので、Ansible を使用して IdM からホストグループを削除するには、ホストの状態を Absent (state: absent) として定義した Playbook を作成する必要があります。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイル を作成し、そのファイルで、ターゲットに設定する IdM サーバーのリストと合わせて ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. 必要なホストグループ情報を使用して Ansible Playbook ファイルを作成します。この手順は、/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/user/ensure-hostgroup-is-absent.yml ファイルのサンプルをコピーして変更し、簡素化できます。

    ---
    - name: Playbook to handle hostgroups
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - Ensure host-group databases is absent
        ipahostgroup:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: databases
          state: absent

    この Playbook では、IdM から databases ホストグループを存在させないようにします。state: absent は、IdM からホストグループが削除されていない限り、ホストグループの削除要求を意味します。

  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/ensure-hostgroup-is-absent.yml

検証手順

  1. admin として ipaserver にログインします。

    $ ssh admin@server.idm.example.com
    Password:
    [admin@server /]$
  2. admin の Kerberos チケットを要求します。

    $ kinit admin
    Password for admin@IDM.EXAMPLE.COM:
  3. 存在させないようにするホストグループの情報を表示します。

    $ ipa hostgroup-show databases
    ipa: ERROR: databases: host group not found

databases ホストグループが IdM に存在しません。

18.9. Ansible Playbook を使用して IdM ホストグループからホストを存在させないようにする方法

以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、IdM ホストおよびホストグループにメンバーマネージャーを存在させないようにする方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • メンバーマネージャーから削除するユーザーまたはユーザーグループの名前と、管理するホストグループの名前が必要です。

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルに ipaserver を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. 必要なホストおよびホストグループメンバー管理情報を使用して Ansible Playbook ファイルを作成します。

    ---
    
    - name: Playbook to handle host group membership management
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure member manager host and host group members are absent for group_name
        ipahostgroup:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: group_name
          membermanager_user: example_member
          membermanager_group: project_admins
          action: member
          state: absent
  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/ensure-member-managers-host-groups-are-absent.yml

検証手順

ipa group-show コマンドを使用して、group_name グループに example_member または project_admins がメンバーマネージャーとして含まれているかどうかを確認できます。

  1. 管理者として ipaserver にログインします。

    $ ssh admin@server.idm.example.com
    Password:
    [admin@server /]$
  2. testhostgroup に関する情報を表示します。

    ipaserver]$ ipa hostgroup-show group_name
      Host-group: group_name
      Member hosts: server.idm.example.com
      Member host-groups: testhostgroup2

関連情報

  • ipa hostgroup-add-member-manager --help を参照してください。
  • ipa の man ページを参照してください。

第19章 IdM パスワードポリシーの定義

本章では、Identity Management (IdM) パスワードポリシーについて、また、Ansible Playbook を使用して IdM に新規パスワードポリシーを追加する方法を説明します。

19.1. パスワードポリシーとは

パスワードポリシーは、パスワードが満たす必要のある一連のルールです。たとえば、パスワードポリシーでは、パスワードの最小長と最大有効期間を定義できます。このポリシーの対象となる全ユーザーには、十分に長いパスワードを設定して、指定の条件を満たす頻度でパスワードを変更する必要があります。このようにパスワードポリシーを使用することで、ユーザーのパスワードが検出されて悪用されるリスクが軽減されます。

19.2. IdM のパスワードポリシー

パスワードは、Identity Management (IdM) ユーザーが IdM Kerberos ドメインに対して認証する最も一般的な方法です。パスワードポリシーでは、このような IdM ユーザーのパスワードが満たす必要条件を定義します。

注記

IdM パスワードポリシーは基礎となる LDAP ディレクトリーで設定されますが、Kerberos Key Distribution Center (KDC) はパスワードポリシーを強制的に使用します。

パスワードポリシー属性 は、IdM でのパスワードポリシーの定義に使用できる属性をリスト表示します。

表19.1 パスワードポリシーの属性

属性説明

Max lifetime

パスワードのリセットが必要になるまでの、パスワードの有効期間 (日) の上限です。デフォルト値は 90 日です。

この属性が 0 に設定されている場合、パスワードの有効期限は切れないことに注意してください。

Max lifetime = 180

ユーザーパスワードは 180 日間のみ有効です。有効期限が経過すると、IdM は変更を求めるプロンプトを表示します。

Min lifetime

パスワードを変更してから次に変更操作を行うまでに最小限開ける必要のある時間。

Min lifetime = 1

ユーザーがパスワードの変更後に、次に変更するまでに最低でも 1 時間待機する必要があります。

History size

保存される以前のパスワード数。パスワードの履歴にあるパスワードを再利用できませんが、保存されていない以前のものは使用できます。

History size = 0

この場合、パスワード履歴は空になり、ユーザーは以前のパスワードをどれでも再利用できます。

Character classes

パスワードで使用する必要のある文字クラスの数。文字クラスは次のとおりです。

* 大文字

* 小文字

* 数字

* コンマ (,)、ピリオド (.)、アスタリスク (*) などの特殊文字

* 他の UTF-8 文字

1 つの文字を複数回連続で使用すると、文字クラスが 1 つ減少します。以下に例を示します。

* Secret1 には、大文字、小文字、数字の 3 つの文字クラスがあります。

* Secret111 には、大文字、小文字、数字が含まれていますが、1 を 繰り返し使用使用したため、ペナルティが -1 で文字クラスが 2 つになりります。

Character classes = 0

必要なクラスのデフォルト数は 0 です。番号を設定するには、--minclasses オプションを指定して ipa pwpolicy-mod コマンドを実行します。

この表の下に記載されている 重要 の注意事項も併せて参照してください。

Min length

パスワードの最小長。

追加のパスワードポリシーオプション のいずれかが設定されていると、パスワードの最小長は 6 文字です。

Min length = 8

8 文字未満のパスワードは使用できません。

Max failures

IdM がユーザーアカウントをロックするまでのログイン試行の最大失敗数。

Max failures = 6

ユーザーがパスワードを誤って 7 回入力すると、IdM はユーザーアカウントをロックします。

Failure reset interval

失敗したログイン試行回数を IdM がリセットするまでの時間 (秒単位)。

Failure reset interval = 60

Max failures で定義されたログイン試行回数が 1 分以上経過すると、ユーザーはユーザーアカウントがロックされる心配なく再ログインを試みることができます。

Lockout duration

Max failures で定義された回数のログイン試行に失敗した後にユーザーアカウントがロックされる時間 (秒単位)。

Lockout duration = 600

アカウントがロックされると、10 分間ログインできません。

重要

国際文字や記号を使用できないハードウェアセットが各種ある場合には、文字クラス要件に英語と共通記号を使用してください。パスワードの文字クラスポリシーの詳細は、Red Hat ナレッジベースの What characters are valid in a password? を参照してください。

19.3. Ansible Playbook を使用して IdM にパスワードポリシーを存在させる手順

Ansible Playbook を使用して Identity Management (IdM) にパスワードポリシーを存在させるには、次の手順に従います。

IdM におけるデフォルトの global_policy パスワードポリシーでは、パスワード内の異なる文字クラスの数は 0 に設定されています。履歴サイズも 0 に設定されています。

以下の手順に従って、Ansible Playbook を使用して、IdM グループにより強力なパスワードポリシーを適用します。

注記

IdM グループのパスワードポリシーのみを定義できます。個別ユーザーにパスワードポリシーを定義できません。

前提条件

  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
    • この例では、secret.yml Ansible ボールトに ipaadmin_password が保存されていることを前提としている。
  • IdM 管理者パスワードを把握している。
  • IdM にパスワードポリシーが存在することを確認するグループ。

手順

  1. inventory.file などのインベントリーファイルを作成し、[ipaserver] セクションに IdM サーバーの FQDN を定義します。

    [ipaserver]
    server.idm.example.com
  2. Ansible Playbook を作成して、存在させるパスワードポリシーを定義します。この手順は、/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/pwpolicy/pwpolicy_present.yml ファイルの例をコピーして変更し、簡素化できます。

    ---
    - name: Tests
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure presence of pwpolicy for group ops
        ipapwpolicy:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: ops
          minlife: 7
          maxlife: 49
          history: 5
          priority: 1
          lockouttime: 300
          minlength: 8
          minclasses: 4
          maxfail: 3
          failinterval: 5

    各変数の意味については、パスワードポリシーの属性 を参照してください。

  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory_/new_pwpolicy_present.yml

Ansible Playbook を使用して、ops グループのパスワードポリシーを IdM に存在させることができました。

重要

ops パスワードポリシーの優先度は 1に設定されますが、global_policy パスワードポリシーには優先度が設定されません。上記の理由から、ops ポリシーは ops グループのglobal_policy より自動的に優先され、すぐに有効になります。

global_policy は、ユーザーにポリシーが設定されていない場合のフォールバックポリシーとして機能し、グループポリシーよりも優先されることはありません。

関連情報

  • /usr/share/doc/ansible-freeipa/ ディレクトリーの README-pwpolicy.md ファイルを参照してください。
  • Password policy priorities を参照してください。

19.4. IdM での追加のパスワードポリシーオプション

Identity Management (IdM) 管理者は、libpwquality 機能セットに基づく追加のパスワードポリシーオプションを有効にすることで、デフォルトのパスワード要件を強化できます。追加のパスワードポリシーオプションには、以下が含まれます。

--maxrepeat
新しいパスワードに使用できる、連続する同一文字数の上限を指定します。
--maxsequence
新しいパスワードにおける単調な文字シーケンスの最大長を指定します。このような配列の例は、12345 または fedcb です。このようなパスワードのほとんどは、簡素化チェックに合格しません。
--dictcheck
ゼロ以外の場合は、パスワード (修正可能) が辞書の単語と一致するかどうかを確認します。現在、libpwquality は、cracklib ライブラリーを使用してディクショナリーの確認を実行しています。
--usercheck
ゼロ以外の場合は、パスワード (修正可能) に、何らかの形式でユーザー名が含まれているかどうかを確認します。ユーザー名が 3 文字より短い場合は実行されません。

既存のパスワードには、追加のパスワードポリシーオプションを適用できません。追加オプションのいずれかを適用すると、IdM は、パスワードの最小文字数である --minlength オプションを自動的に 6 文字に設定します。

注記

RHEL 7 サーバーと RHEL 8 サーバーが混在する環境では、RHEL 8.4 以降で実行されているサーバーにのみ追加のパスワードポリシー設定を適用できます。ユーザーが IdM クライアントにログインし、IdM クライアントが RHEL 8.3 以前で実行している IdM サーバーと通信している場合は、システム管理者が設定した新しいパスワードポリシーの要件は適用されません。一貫した動作を確認するには、すべてのサーバーを RHEL 8.4 以降にアップグレードまたは更新します。

19.5. IdM グループへの追加のパスワードポリシーオプションの適用

Identity Management (IdM) で追加のパスワードポリシーオプションを適用するには、次の手順に従います。ここでは、新しいパスワードにユーザー名が含まれていないことと、パスワードに同じ文字が連続して 2 文字以内になるようにすることで、マネージャー グループのパスワードポリシーを強化する方法を説明します。

前提条件

  • IdM 管理者としてログインしている。
  • マネージャー グループが IdM に存在している。
  • マネージャー パスワードポリシーが IdM に存在している。

手順

  1. マネージャー グループのユーザーが提案するすべての新しいパスワードに、ユーザー名の確認を適用します。

    $ ipa pwpolicy-mod --usercheck=True managers
    注記

    パスワードポリシーの名前を指定しないと、デフォルトの global_policy が変更されます。

  2. マネージャー パスワードポリシーで、同一の連続した文字の上限を 2 に設定します。

    $ ipa pwpolicy-mod --maxrepeat=2 managers

    パスワードに、同一の連続した文字が 2 文字を超える場合は、パスワードが使用できなくなります。たとえば、eR873mUi111YJQ の組み合わせは、連続して 3 つの 1 を含むため、使用できません。

検証

  1. test_user という名前のテストユーザーを追加します。

    $ ipa user-add test_user
    First name: test
    Last name: user
    ----------------------------
    Added user "test_user"
    ----------------------------
  2. テストユーザーを マネージャー グループに追加します。

    1. IdM Web UI で、IdentityGroupsUser Groups をクリックします。
    2. managers をクリックします。
    3. Add をクリックします。
    4. Add users into user group 'managers' ページで、test_user をチェックします。
    5. > 矢印をクリックして、ユーザーを Prospective 列に移動します。
    6. Add をクリックします。
  3. テストユーザーのパスワードをリセットします。

    1. IdentityUsers に移動します。
    2. test_user をクリックします。
    3. Actions メニューで、Reset Password をクリックします。
    4. ユーザーの一時パスワードを入力します。
  4. コマンドラインで、test_user の Kerberos Ticket-Granting Ticket (TGT) を取得してみてください。

    $ kinit test_user
    1. 一時パスワードを入力します。
    2. パスワードを変更する必要があることがシステムから通知されます。test_user のユーザー名を含むパスワードを入力します。

      Password expired. You must change it now.
      Enter new password:
      Enter it again:
      Password change rejected: Password not changed.
      Unspecified password quality failure while trying to change password.
      Please try again.
      注記

      Kerberos には、詳細なエラーパスワードポリシーの報告はなく、特定のケースでは、パスワードが拒否された理由を明確に示していません。

    3. 入力したパスワードが拒否されたことがシステムから通知されます。連続して 3 文字以上の同一文字を含むパスワードを入力します。

      Password change rejected: Password not changed.
      Unspecified password quality failure while trying to change password.
      Please try again.
      
      Enter new password:
      Enter it again:
    4. 入力したパスワードが拒否されたことがシステムから通知されます。マネージャー パスワードポリシーの基準を満たすパスワードを入力します。

      Password change rejected: Password not changed.
      Unspecified password quality failure while trying to change password.
      Please try again.
      
      Enter new password:
      Enter it again:
  5. 取得した TGT を表示します。

    $ klist
    Ticket cache: KCM:0:33945
    Default principal: test_user@IDM.EXAMPLE.COM
    
    Valid starting       Expires              Service principal
    07/07/2021 12:44:44  07/08/2021 12:44:44  krbtgt@IDM.EXAMPLE.COM@IDM.EXAMPLE.COM

マネージャー のパスワードポリシーが、マネージャー グループのユーザーに対して正しく機能するようになりました。

19.6. Ansible Playbook を使用して追加のパスワードポリシーオプションを IdM グループに適用する

Ansible Playbook を使用して追加のパスワードポリシーオプションを適用し、特定の IdM グループのパスワードポリシー要件を強化できます。この目的には、maxrepeatmaxsequencedictcheck、および usercheck パスワードポリシーオプションを使用できます。この例では、managers グループに次の要件を設定する方法を説明します。

  • ユーザーの新しいパスワードに、ユーザーのそれぞれのユーザー名が含まれていない。
  • パスワードに含まれる連続する同一の文字が 2 文字以下である。
  • パスワードに含まれる単調な文字列が 3 文字以内である。これは、システムが 1234abcd などの文字列を含むパスワードを受け入れないことを意味します。

前提条件

  • 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。

    • Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
    • Ansible コントローラーに ansible-freeipa パッケージがインストールされている。
    • ~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成した。
    • ipaadmin_passwordSecret.yml Ansible Vault に保存している。
  • IdM にパスワードポリシーが存在することを確認するグループ。

手順

  1. Ansible Playbook ファイル manager_pwpolicy_present.yml を作成して、存在させるパスワードポリシーを定義します。この手順を簡素化するには、次の例をコピーして変更します。

    ---
    - name: Tests
      hosts: ipaserver
    
      vars_files:
      - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml
      tasks:
      - name: Ensure presence of usercheck and maxrepeat pwpolicy for group managers
        ipapwpolicy:
          ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}"
          name: managers
          usercheck: True
          maxrepeat: 2
          maxsequence: 3
  2. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory_/manager_pwpolicy_present.yml

検証

  1. test_user という名前のテストユーザーを追加します。

    $ ipa user-add test_user
    First name: test
    Last name: user
    ----------------------------
    Added user "test_user"
    ----------------------------
  2. テストユーザーを マネージャー グループに追加します。

    1. IdM Web UI で、IdentityGroupsUser Groups をクリックします。
    2. managers をクリックします。
    3. Add をクリックします。
    4. Add users into user group 'managers' ページで、test_user をチェックします。
    5. > 矢印をクリックして、ユーザーを Prospective 列に移動します。
    6. Add をクリックします。
  3. テストユーザーのパスワードをリセットします。

    1. IdentityUsers に移動します。
    2. test_user をクリックします。
    3. Actions メニューで、Reset Password をクリックします。
    4. ユーザーの一時パスワードを入力します。
  4. コマンドラインで、test_user の Kerberos Ticket-Granting Ticket (TGT) を取得してみてください。

    $ kinit test_user
    1. 一時パスワードを入力します。
    2. パスワードを変更する必要があることがシステムから通知されます。test_user のユーザー名を含むパスワードを入力します。

      Password expired. You must change it now.
      Enter new password:
      Enter it again:
      Password change rejected: Password not changed.
      Unspecified password quality failure while trying to change password.
      Please try again.
      注記

      Kerberos には、詳細なエラーパスワードポリシーの報告はなく、特定のケースでは、パスワードが拒否された理由を明確に示していません。

    3. 入力したパスワードが拒否されたことがシステムから通知されます。連続して 3 文字以上の同一文字を含むパスワードを入力します。

      Password change rejected: Password not changed.
      Unspecified password quality failure while trying to change password.
      Please try again.
      
      Enter new password:
      Enter it again:
    4. 入力したパスワードが拒否されたことがシステムから通知されます。3 文字を超える単調な文字列を含むパスワードを入力します。たとえば、1234fedc などの文字列です。

      Password change rejected: Password not changed.
      Unspecified password quality failure while trying to change password.
      Please try again.
      
      Enter new password:
      Enter it again:
    5. 入力したパスワードが拒否されたことがシステムから通知されます。マネージャー パスワードポリシーの基準を満たすパスワードを入力します。

      Password change rejected: Password not changed.
      Unspecified password quality failure while trying to change password.
      Please try again.
      
      Enter new password:
      Enter it again:
  5. TGT を取得したことを確認します。これは、有効なパスワードを入力した後にのみ可能です。

    $ klist
    Ticket cache: KCM:0:33945
    Default principal: test_user@IDM.EXAMPLE.COM
    
    Valid starting       Expires              Service principal
    07/07/2021 12:44:44  07/08/2021 12:44:44  krbtgt@IDM.EXAMPLE.COM@IDM.EXAMPLE.COM

関連情報

第20章 IdM クライアントの IdM ユーザーへの sudo アクセスの許可

Identity Management でユーザーに sudo アクセス権を付与する方法を詳しく説明します。

20.1. IdM クライアントの sudo アクセス

システム管理者は、root 以外のユーザーに、通常 root ユーザー用に予約されている管理コマンドを実行できるようにする sudo アクセスを付与できます。その結果、ユーザーが、通常、root ユーザー用に予約される管理コマンドを実行する場合は、コマンドの前に sudo を付けることができます。パスワードを入力すると、そのコマンドは root ユーザーとして実行されます。データベースサービスアカウントなどの別のユーザーまたはグループとして sudo コマンドを実行するには、sudo ルールの RunAs エイリアス を設定できます。

Red Hat Enterprise Linux (RHEL) 8 ホストが Identity Management (IdM) クライアントとして登録されている場合は、以下の方法で、どの IdM ユーザーがホストでどのコマンドを実行できるかを定義する sudo ルールを指定できます。

  • ローカルの /etc/sudoers ファイル
  • IdM での一元設定

コマンドラインインターフェイス (CLI) と IdM Web UI を使用して、IdM クライアントの sudo 集約ルール を作成できます。

RHEL 8.4 以降では、Generic Security Service Application Programming Interface (GSSAPI) を使用して sudo のパスワードレス認証を設定することもできます。これは、UNIX ベースのオペレーティングシステムがネイティブで Kerberos サービスにアクセスして認証する方法です。pam_sss_gss.so Pluggable Authentication Module (PAM) を使用して SSSD サービスを介して GSSAPI 認証を呼び出し、有効な Kerberos チケットを使用して sudo コマンドに対して認証を行うことができます。

関連情報

20.2. CLI での IdM クライアントの IdM ユーザーへの sudo アクセス許可

Identity Management (IdM) では、特定の IdM ホストで IdM ユーザーアカウントの特定コマンドに sudo アクセスを付与できます。最初に sudo コマンドを追加してから、1 つまたは複数のコマンドに対して sudo ルールを作成します。

たとえば、idmclient マシンで /usr/sbin/reboot コマンドを実行する権限を idm_user に付与する idm_user_rebootsudo ルールを作成するには、以下の手順を実行します。

前提条件

  • IdM 管理者としてログインしている。
  • IdM で idm_user のユーザーアカウントを作成し、ユーザーのパスワードを作成してそのアカウントのロックを解除している。CLI を使用して新しい IdM ユーザーを追加する方法の詳細は、コマンドラインを使用したユーザーの追加 を参照してください。
  • idmclient ホストにローカル idm_user アカウントが存在しない。idm_user ユーザーは、ローカルの /etc/passwd ファイルには表示されません。

手順

  1. IdM の 管理者 として Kerberos チケットを取得します。

    [root@idmclient ~]# kinit admin
  2. sudo コマンドの IdM データベースに /usr/sbin/reboot コマンドを追加します。

    [root@idmclient ~]# ipa sudocmd-add /usr/sbin/reboot
    -------------------------------------
    Added Sudo Command "/usr/sbin/reboot"
    -------------------------------------
      Sudo Command: /usr/sbin/reboot
  3. idm_user_reboot という名前の sudo ルールを作成します。

    [root@idmclient ~]# ipa sudorule-add idm_user_reboot
    ---------------------------------
    Added Sudo Rule "idm_user_reboot"
    ---------------------------------
      Rule name: idm_user_reboot
      Enabled: TRUE
  4. /usr/sbin/reboot コマンドを idm_user_reboot ルールに追加します。

    [root@idmclient ~]# ipa sudorule-add-allow-command idm_user_reboot --sudocmds '/usr/sbin/reboot'
      Rule name: idm_user_reboot
      Enabled: TRUE
      Sudo Allow Commands: /usr/sbin/reboot
    -------------------------
    Number of members added 1
    -------------------------
  5. idm_user_reboot ルールを IdM idmclient ホストに適用します。

    [root@idmclient ~]# ipa sudorule-add-host idm_user_reboot --hosts idmclient.idm.example.com
    Rule name: idm_user_reboot
    Enabled: TRUE
    Hosts: idmclient.idm.example.com
    Sudo Allow Commands: /usr/sbin/reboot
    -------------------------
    Number of members added 1
    -------------------------
  6. idm_user アカウントを idm_ user_reboot ルールに追加します。

    [root@idmclient ~]# ipa sudorule-add-user idm_user_reboot --users idm_user
    Rule name: idm_user_reboot
    Enabled: TRUE
    Users: idm_user
    Hosts: idmclient.idm.example.com
    Sudo Allow Commands: /usr/sbin/reboot
    -------------------------
    Number of members added 1
    -------------------------
  7. 必要に応じて、idm_user_reboot ルールの有効性を定義します。

    1. sudo ルールが有効である時間を定義するには、--setattr sudonotbefore=DATE オプションを指定して ipa sudorule-mod sudo_rule_name コマンドを使用します。DATE 値は、yyyymmddHHMMSSZ 形式に準拠し、明示的に指定される秒数である必要があります。たとえば、idm_user_reboot ルールの有効性の開始を 2025 12:34:00 年 12 月 31 に設定するには、次のコマンドを実行します。

      [root@idmclient ~]# ipa sudorule-mod idm_user_reboot --setattr sudonotbefore=20251231123400Z
    2. sudo ルールが有効な停止時間を定義するには、--setattr sudonotafter=DATE オプションを使用します。たとえば、idm_user_reboot ルールの有効期間の最後を 2026 12:34:00 年 12 月 31 に設定するには、次のコマンドを実行します。

      [root@idmclient ~]# ipa sudorule-mod idm_user_reboot --setattr sudonotafter=20261231123400Z
注記

サーバーからクライアントへの変更の伝播には数分かかる場合があります。

検証手順

  1. idmclient ホストに idm_user アカウントとしてログインします。
  2. idm_user アカウントが実行可能な sudo ルールを表示します。

    [idm_user@idmclient ~]$ sudo -l
    Matching Defaults entries for idm_user on idmclient:
        !visiblepw, always_set_home, match_group_by_gid, always_query_group_plugin,
        env_reset, env_keep="COLORS DISPLAY HOSTNAME HISTSIZE KDEDIR LS_COLORS",
        env_keep+="MAIL PS1 PS2 QTDIR USERNAME LANG LC_ADDRESS LC_CTYPE",
        env_keep+="LC_COLLATE LC_IDENTIFICATION LC_MEASUREMENT LC_MESSAGES",
        env_keep+="LC_MONETARY LC_NAME LC_NUMERIC LC_PAPER LC_TELEPHONE",
        env_keep+="LC_TIME LC_ALL LANGUAGE LINGUAS _XKB_CHARSET XAUTHORITY KRB5CCNAME",
        secure_path=/sbin\:/bin\:/usr/sbin\:/usr/bin
    
    User idm_user may run the following commands on idmclient:
        (root) /usr/sbin/reboot
  3. sudo を使用してマシンを再起動します。プロンプトが表示されたら、idm_user のパスワードを入力します。

    [idm_user@idmclient ~]$ sudo /usr/sbin/reboot
    [sudo] password for idm_user:

20.3. AD での IdM クライアントの IdM ユーザーへの sudo アクセス許可

Identity Management (IdM) システム管理者は、IdM ユーザーグループを使用して、アクセス許可、ホストベースのアクセス制御、sudo ルール、および IdM ユーザーに対するその他の制御を設定できます。IdM ユーザーグループは、IdM ドメインリソースへのアクセスを許可および制限します。

Active Directory (AD) ユーザー と AD グループ の両方を IdM ユーザーグループに追加できます。これを実行するには、以下を行います。

  1. AD ユーザーまたはグループを 非 POSIX 外部 IdM グループに追加します。
  2. 非 POSIX 外部 IdM グループを IdM POSIX グループに追加します。

その後、POSIX グループの権限を管理することで、AD ユーザーの権限を管理できます。例えば、特定のコマンドの sudo アクセスを、特定の IdM ホストの IdM POSIX ユーザーグループに付与できます。

注記

AD ユーザーグループを、IdM 外部グループにメンバーとして追加することもできます。これにより、1 つの AD レルムにユーザーおよびグループの管理を維持することで、Windows ユーザーのポリシーの定義が容易になります。

重要

IdM の SUDO ルールに AD ユーザーの ID オーバーライドを使用 しない でください。AD ユーザーの ID オーバーライドは、AD ユーザー自体ではなく、AD ユーザーの POSIX 属性のみを表します。

ID オーバーライドをグループメンバーとして追加できます。ただし、この機能は IdM API で IdM リソースを管理するためにのみ使用できます。グループメンバーとして ID オーバーライドを追加する可能性は POSIX 環境に拡張されていないため、sudo またはホストベースのアクセス制御 (HBAC) ルールのメンバーシップには使用できません。

この手順では、ad_users_reboot sudo ルールを作成して、administrator@ad-domain.com AD ユーザーに、idmclient IdM ホストで /usr/sbin/reboot コマンドを実行するパーミッションを付与します。これは通常、root ユーザー用に予約されています。administrator@ad-domain.comad_users_external 非 POSIX グループのメンバーであり、これは ad_users POSIX グループのメンバーでもあります。

前提条件

  • IdM admin Kerberos の チケット許可チケット (TGT) を取得しました。
  • IdM ドメインと ad-domain.com AD ドメインの間にフォレスト間の信頼が存在します。
  • idmclient ホストにローカル 管理者 アカウントが存在しません。管理者 ユーザーがローカルの /etc/passwd ファイルにリストされていません。

手順

  1. administrator@ad-domain メンバーを持つ ad_users_external グループを含む ad_users グループを作成します。

    1. オプション: AD ドメインで対応するグループを作成または選択して、IdM レルムで AD ユーザーを管理するために使用します。複数の AD グループを使用して、それらを IdM 側の異なるグループに追加できます。
    2. ad_users_external グループを作成し、--external オプションを追加して、IdM ドメイン外のメンバーが含まれていることを示します。

      [root@ipaserver ~]# ipa group-add --desc='AD users external map' ad_users_external --external
      -------------------------------
      Added group "ad_users_external"
      -------------------------------
        Group name: ad_users_external
        Description: AD users external map
      注記

      ここで指定する外部グループが、Active Directory セキュリティーグループ ドキュメントで定義されているように、global または universal グループスコープを持つ AD セキュリティーグループであることを確認してください。たとえば、グループスコープが domain local であるため、Domain users または Domain admins AD セキュリティーグループは使用できません。

    3. ad_users グループを作成します。

      [root@ipaserver ~]# ipa group-add --desc='AD users' ad_users
      ----------------------
      Added group "ad_users"
      ----------------------
        Group name: ad_users
        Description: AD users
        GID: 129600004
    4. administrator@ad-domain.com AD ユーザーを外部メンバーとして ad_users_external に追加します。

      [root@ipaserver ~]# ipa group-add-member ad_users_external --external "administrator@ad-domain.com"
       [member user]:
       [member group]:
        Group name: ad_users_external
        Description: AD users external map
        External member: S-1-5-21-3655990580-1375374850-1633065477-513
      -------------------------
      Number of members added 1
      -------------------------

      AD ユーザーは、DOMAIN\user_name または user_name@DOMAIN などの完全修飾名で識別される必要があります。次に、AD ID がユーザーの AD SID にマップされます。同じことが AD グループの追加にも当てはまります。

    5. ad_users_externalad_users にメンバーとして追加します。

      [root@ipaserver ~]# ipa group-add-member ad_users --groups ad_users_external
        Group name: ad_users
        Description: AD users
        GID: 129600004
        Member groups: ad_users_external
      -------------------------
      Number of members added 1
      -------------------------
  2. ad_users のメンバーに、idmclient ホストで /usr/sbin/reboot を実行する権限を付与します。

    1. sudo コマンドの IdM データベースに /usr/sbin/reboot コマンドを追加します。

      [root@idmclient ~]# ipa sudocmd-add /usr/sbin/reboot
      -------------------------------------
      Added Sudo Command "/usr/sbin/reboot"
      -------------------------------------
        Sudo Command: /usr/sbin/reboot
    2. ad_users_reboot という名前の sudo ルールを作成します。

      [root@idmclient ~]# ipa sudorule-add ad_users_reboot
      ---------------------------------
      Added Sudo Rule "ad_users_reboot"
      ---------------------------------
        Rule name: ad_users_reboot
        Enabled: True
    3. /usr/sbin/reboot コマンドを ad_users_reboot ルールに追加します。

      [root@idmclient ~]# ipa sudorule-add-allow-command ad_users_reboot --sudocmds '/usr/sbin/reboot'
        Rule name: ad_users_reboot
        Enabled: True
        Sudo Allow Commands: /usr/sbin/reboot
      -------------------------
      Number of members added 1
      -------------------------
    4. ad_users_reboot ルールを IdM idmclient ホストに適用します。

      [root@idmclient ~]# ipa sudorule-add-host ad_users_reboot --hosts idmclient.idm.example.com
      Rule name: ad_users_reboot
      Enabled: True
      Hosts: idmclient.idm.example.com
      Sudo Allow Commands: /usr/sbin/reboot
      -------------------------
      Number of members added 1
      -------------------------
    5. ad_users グループを ad_users_reboot ルールに追加します。

      [root@idmclient ~]# ipa sudorule-add-user ad_users_reboot --groups ad_users
      Rule name: ad_users_reboot
      Enabled: TRUE
      User Groups: ad_users
      Hosts: idmclient.idm.example.com
      Sudo Allow Commands: /usr/sbin/reboot
      -------------------------
      Number of members added 1
      -------------------------
注記

サーバーからクライアントへの変更の伝播には数分かかる場合があります。

検証手順

  1. ad_users グループの間接メンバーである administrator@ad-domain.comidmclient ホストにログインします。

    $ ssh administrator@ad-domain.com@ipaclient
    Password:
  2. オプションで、administrator@ad-domain.com が実行できる sudo コマンドを表示します。

    [administrator@ad-domain.com@idmclient ~]$ sudo -l
    Matching Defaults entries for administrator@ad-domain.com on idmclient:
        !visiblepw, always_set_home, match_group_by_gid, always_query_group_plugin,
        env_reset, env_keep="COLORS DISPLAY HOSTNAME HISTSIZE KDEDIR LS_COLORS",
        env_keep+="MAIL PS1 PS2 QTDIR USERNAME LANG LC_ADDRESS LC_CTYPE",
        env_keep+="LC_COLLATE LC_IDENTIFICATION LC_MEASUREMENT LC_MESSAGES",
        env_keep+="LC_MONETARY LC_NAME LC_NUMERIC LC_PAPER LC_TELEPHONE",
        env_keep+="LC_TIME LC_ALL LANGUAGE LINGUAS _XKB_CHARSET XAUTHORITY KRB5CCNAME",
        secure_path=/sbin\:/bin\:/usr/sbin\:/usr/bin
    
    User administrator@ad-domain.com may run the following commands on idmclient:
        (root) /usr/sbin/reboot
  3. sudo を使用してマシンを再起動します。プロンプトが表示されたら、administrator@ad-domain.com のパスワードを入力します。

    [administrator@ad-domain.com@idmclient ~]$ sudo /usr/sbin/reboot
    [sudo] password for administrator@ad-domain.com:

20.4. IdM Web UI を使用した IdM クライアントでの IdM ユーザーへの sudo アクセス権の付与

Identity Management (IdM) では、特定の IdM ホストで IdM ユーザーアカウントの特定コマンドに sudo アクセスを付与できます。最初に sudo コマンドを追加してから、1 つまたは複数のコマンドに対して sudo ルールを作成します。

idmclient マシンで /usr/sbin/reboot コマンドを実行する権限を idm_user に付与する idm_user_reboot の sudo ルールを作成するには、以下の手順を実行します。

前提条件

  • IdM 管理者としてログインしている。
  • IdM で idm_user のユーザーアカウントを作成し、ユーザーのパスワードを作成してそのアカウントのロックを解除している。コマンドラインインターフェイスを使用して新しい IdM ユーザーを追加する方法の詳細は、コマンドラインを使用したユーザーの追加 を参照してください。
  • idmclient ホストにローカル idm_user アカウントが存在しない。idm_user ユーザーは、ローカルの /etc/passwd ファイルには表示されません。

手順

  1. sudo コマンドの IdM データベースに /usr/sbin/reboot コマンドを追加します。

    1. PolicySudoSudo Commands の順に移動します。
    2. 右上にある Add をクリックして、Add sudo command ダイアログボックスを開きます。
    3. sudo: /usr/sbin/reboot を使用してユーザーが実行できるコマンドを入力します。

      図20.1 IdM sudo コマンドの追加

      ラベルが sudo コマンドの追加のポップアップウィンドウのスクリーンショット。 Sudo command という必須フィールドに "/usr/sbin/reboot" という内容が入力されており、Description フィールドは空白です。ウィンドウの右下のボタンには "Add" - "Add and Add Another" - "Add and Edit" - "Cancel" の 4 つのボタンがあります。
    4. Add をクリックします。
  2. 新しい sudo コマンドエントリーを使用して sudo ルールを作成し、idm_useridmclient マシンを再起動できるようにします。

    1. PolicySudoSudo ルールに移動します。
    2. 右上にある Add をクリックして、Add sudo rule ダイアログボックスを開きます。
    3. sudo ルールの名前を入力します (idm_user_reboot)。
    4. Add and Edit をクリックします。
    5. ユーザーを指定します。

      1. Who セクションで、Specified Users and Groups のラジオボタンを選択します。
      2. User category the rule applies to のサブセクションで Add をクリックして、Add users into sudo rule "idm_user_reboot" ダイアログボックスを開きます。
      3. Add users into sudo rule "idm_user_reboot" ダイアログボックスにある Available 列で、idm_user チェックボックスを選択し、これを Prospective 列に移動します。
      4. Add をクリックします。
    6. ホストを指定します。

      1. Access this host セクションで、Specified Hosts and Groups ラジオボタンを確認します。
      2. Host category this rule applies to サブセクションで Add をクリックして、Add hosts into sudo rule "idm_user_reboot" ダイアログボックスを開きます。
      3. Add hosts into sudo rule "idm_user_reboot" ダイアログボックスにある Available 列で、idmclient.idm.example.com チェックボックスを選択し、これを Prospective 列に移動します。
      4. Add をクリックします。
    7. コマンドを指定します。

      1. Run Commands セクションの Command category the rule applies to サブセクションで、Specified Commands and Groups ラジオボタンにチェックを入れます。
      2. Sudo Allow Commands サブセクションで Add をクリックして、Add allow sudo commands into sudo rule "idm_user_reboot" ダイアログボックスを開きます。
      3. Add allow sudo commands into sudo rule "idm_user_reboot" ダイアログボックスにある Available 列で、/usr/sbin/reboot チェックボックスを選択し、これを Prospective 列に移動します。
      4. Add をクリックして、idm_sudo_reboot ページに戻ります。

      図20.2 IdM sudo ルールの追加

      追加した sudo ルールの概要のスクリーンショット。ルールの適用先のユーザーの表には Who セクションがあり、ルールの適用先のホストの表には、Access this host セクションがあります。また、ルールに関連するコマンドの表には Run Commands セクションがあります。
    8. 左上隅にある Save をクリックします。

新しいルールはデフォルトで有効になります。

注記

サーバーからクライアントへの変更の伝播には数分かかる場合があります。

検証手順

  1. idmclientidm_user としてログインします。
  2. sudo を使用してマシンを再起動します。プロンプトが表示されたら、idm_user のパスワードを入力します。

    $ sudo /usr/sbin/reboot
    [sudo] password for idm_user:

sudo ルールが正しく設定されている場合には、マシンが再起動します。

20.5. IdM クライアントでサービスアカウントとしてコマンドを実行する CLI での sudo ルールの作成

IdM では、RunAs エイリアス を使用して、sudo ルールを設定し、別のユーザーまたはグループとして sudo コマンドを実行できます。たとえば、データベースアプリケーションをホストする IdM クライアントが存在し、そのアプリケーションに対応するローカルサービスアカウントとしてコマンドを実行する必要があるとします。

この例を使用して、run_third-party-app_report と呼ばれるコマンドラインに sudo ルールを作成し、idm_user アカウントが idmclient ホストの thirdpartyapp サービスアカウントとして /opt/third-party-app/bin/report コマンドを実行できるようにします。

前提条件

  • IdM 管理者としてログインしている。
  • IdM で idm_user のユーザーアカウントを作成し、ユーザーのパスワードを作成してそのアカウントのロックを解除している。CLI を使用して新しい IdM ユーザーを追加する方法の詳細は、コマンドラインを使用したユーザーの追加 を参照してください。
  • idmclient ホストにローカル idm_user アカウントが存在しない。idm_user ユーザーは、ローカルの /etc/passwd ファイルには表示されません。
  • idmclient ホストに、third-party-app という名前のカスタムアプリケーションがインストールされている。
  • third-party-app アプリケーションの report コマンドが、/opt/third-party-app/bin/report ディレクトリーにインストールされている。
  • third-party-app アプリケーションにコマンドを実行するために、thirdpartyapp という名前のローカルサービスアカウントを作成している。

手順

  1. IdM の 管理者 として Kerberos チケットを取得します。

    [root@idmclient ~]# kinit admin
  2. /opt/third-party-app/bin/report コマンドを、sudo コマンドの IdM データベースに追加します。

    [root@idmclient ~]# ipa sudocmd-add /opt/third-party-app/bin/report
    ----------------------------------------------------
    Added Sudo Command "/opt/third-party-app/bin/report"
    ----------------------------------------------------
      Sudo Command: /opt/third-party-app/bin/report
  3. run_third-party-app_report という名前の sudo ルールを作成します。

    [root@idmclient ~]# ipa sudorule-add run_third-party-app_report
    --------------------------------------------
    Added Sudo Rule "run_third-party-app_report"
    --------------------------------------------
      Rule name: run_third-party-app_report
      Enabled: TRUE
  4. --users=<user> オプションを使用して、sudorule-add-runasuser コマンドに RunAs ユーザーを指定します。

    [root@idmclient ~]# ipa sudorule-add-runasuser run_third-party-app_report --users=thirdpartyapp
      Rule name: run_third-party-app_report
      Enabled: TRUE
      RunAs External User: thirdpartyapp
    -------------------------
    Number of members added 1
    -------------------------

    ユーザー (または --groups=* オプションで指定したグループ) は、ローカルサービスアカウントや Active Directory ユーザーなどの IdM の外部に配置できます。グループ名には % 接頭辞を追加しないでください。

  5. /opt/third-party-app/bin/report コマンドを run_third-party-app_report ルールに追加します。

    [root@idmclient ~]# ipa sudorule-add-allow-command run_third-party-app_report --sudocmds '/opt/third-party-app/bin/report'
    Rule name: run_third-party-app_report
    Enabled: TRUE
    Sudo Allow Commands: /opt/third-party-app/bin/report
    RunAs External User: thirdpartyapp
    -------------------------
    Number of members added 1
    -------------------------
  6. run_third-party-app_report ルールを IdM idmclient ホストに適用します。

    [root@idmclient ~]# ipa sudorule-add-host run_third-party-app_report --hosts idmclient.idm.example.com
    Rule name: run_third-party-app_report
    Enabled: TRUE
    Hosts: idmclient.idm.example.com
    Sudo Allow Commands: /opt/third-party-app/bin/report
    RunAs External User: thirdpartyapp
    -------------------------
    Number of members added 1
    -------------------------
  7. idm_user アカウントーを run_third-party-app_report ルールに追加します。

    [root@idmclient ~]# ipa sudorule-add-user run_third-party-app_report --users idm_user
    Rule name: run_third-party-app_report
    Enabled: TRUE
    Users: idm_user
    Hosts: idmclient.idm.example.com
    Sudo Allow Commands: /opt/third-party-app/bin/report
    RunAs External User: thirdpartyapp
    -------------------------
    Number of members added 1
注記

サーバーからクライアントへの変更の伝播には数分かかる場合があります。

検証手順

  1. idmclient ホストに idm_user アカウントとしてログインします。
  2. 新しい sudo ルールをテストします。

    1. idm_user アカウントが実行可能な sudo ルールを表示します。

      [idm_user@idmclient ~]$ sudo -l
      Matching Defaults entries for idm_user@idm.example.com on idmclient:
          !visiblepw, always_set_home, match_group_by_gid, always_query_group_plugin,
          env_reset, env_keep="COLORS DISPLAY HOSTNAME HISTSIZE KDEDIR LS_COLORS",
          env_keep+="MAIL PS1 PS2 QTDIR USERNAME LANG LC_ADDRESS LC_CTYPE",
          env_keep+="LC_COLLATE LC_IDENTIFICATION LC_MEASUREMENT LC_MESSAGES",
          env_keep+="LC_MONETARY LC_NAME LC_NUMERIC LC_PAPER LC_TELEPHONE",
          env_keep+="LC_TIME LC_ALL LANGUAGE LINGUAS _XKB_CHARSET XAUTHORITY KRB5CCNAME",
          secure_path=/sbin\:/bin\:/usr/sbin\:/usr/bin
      
      User idm_user@idm.example.com may run the following commands on idmclient:
          (thirdpartyapp) /opt/third-party-app/bin/report
    2. report コマンドを thirdpartyapp サービスアカウントとして実行します。

      [idm_user@idmclient ~]$ sudo -u thirdpartyapp /opt/third-party-app/bin/report
      [sudo] password for idm_user@idm.example.com:
      Executing report...
      Report successful.

20.6. IdM クライアントでサービスアカウントとしてコマンドを実行する IdM WebUI での sudo ルールの作成