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基本的なシステム設定の構成

Red Hat Enterprise Linux 8

Red Hat Enterprise Linux 8 で基本的なシステム設定を構成するためのガイド

Red Hat Customer Content Services

概要

本ガイドは、Red Hat Enterprise Linux 8 におけるシステム管理の基本を説明します。ここでは、システム管理者が、オペレーティングシステムをインストールした直後に行う必要がある基本的なタスク (yum を使用したソフトウェアのインストール、systemd を使用したサービスの管理、ユーザー、グループ、およびファイルのパーミッションの管理、そして chrony を使用した NTP の構成、Python 3 の使用など) を説明します。

第1章 システム管理の使用

以下のセクションでは、インストール済みシステムでの基本的な管理タスクの概要を説明します。

注記

以下のような基本的な管理タスクには、システムの登録など、必須ではありませんが、通常はインストールプロセス中に実行済みとなる項目が含まれている場合があります。以下のセクションでは、このようなタスクを扱うことで、インストール時に同じタスクを実行する方法の概要を説明します。

Red Hat Enterprise Linux のインストールの詳細は『標準的な RHEL インストールの実行』を参照してください。

インストール後のタスクはすべてコマンドラインから実行できますが、一部のコマンドは RHEL 8 Web コンソールから実行することもできます。

1.1. Web コンソールで基本的なシステム管理タスクを実行

本章では、Web コンソールを使用して、再起動、シャットダウン、基本設定などの基本的なシステム管理タスクを実行する方法を説明します。

1.1.1. RHEL 8 Web コンソールと使用可能なタスク

RHEL 8 Web コンソールは、対話型サーバー管理インターフェースです。このコンソールは、ブラウザーの実際の Linux セッションからオペレーティングシステムと直接対話します。

Web コンソールは、以下のタスクを実行できます。

  • システムの基本機能 (ハードウェア情報、時間設定、パフォーマンスプロファイル、レルムドメインへの接続など) の監視
  • システムログファイルのチェック
  • ネットワークインターフェースの管理およびファイアウォールの構成
  • Docker イメージの操作
  • 仮想マシンの管理
  • ユーザーアカウントの管理
  • システムサービスの監視および構成
  • 診断レポートの作成
  • カーネルダンプ構成の設定
  • パッケージの管理
  • SELinux の構成
  • ソフトウェアの更新
  • システムサブスクリプションの管理
  • 端末へのアクセス

RHEL 8 Web コンソールのインストールおよび使用の詳細は『RHEL 8 web コンソールを使用したシステムの管理』を参照してください。

1.1.2. Web コンソールを使用したシステムの再起動

この手順では、Web コンソールを使用して、Web コンソールが接続している RHEL システムを再起動します。

前提条件

手順

  1. RHEL 8 Web コンソールにログインします。

    詳細は「Web コンソールへのログイン」を参照してください。

  2. 概要 をクリックします。
  3. 再起動 ボタンをクリックします。

    cockpit system restart pf4

  4. ユーザーがシステムにログインする場合は、再起動 ダイアログボックスに、再起動する理由を記入します。
  5. 必要に応じて、遅延 ドロップダウンリストで、遅延させる時間を選択します。

    cockpit restart delay pf4

  6. 再起動 をクリックします。

1.1.3. Web コンソールを使用してシステムのシャットダウン

この手順では、Web コンソールを使用して、Web コンソールが接続している RHEL システムをシャットダウンします。

前提条件

手順

  1. RHEL 8 Web コンソールにログインします。

    詳細は「Web コンソールへのログイン」を参照してください。

  2. 概要 をクリックします。
  3. 再起動 ドロップダウンリストで、シャットダウン を選択します。

    cockpit system shutdown pf4

  4. システムにログインするユーザーがいる場合は、シャットダウン ダイアログボックスに、シャットダウンの理由を入力します。
  5. 必要に応じて、遅延 ドロップダウンリストで、遅延させる時間を選択します。
  6. シャットダウン をクリックします。

1.1.4. Web コンソールでホスト名を設定する

Web コンソールを使用して、Web コンソールが接続しているシステムで、異なる形式のホスト名を設定できます。

1.1.4.1. ホスト名

ホスト名はシステムを識別します。デフォルトでは、ホスト名は localhost に設定されていますが、変更できます。

ホスト名は、以下の 2 つの部分から構成されます。

ホスト名
システムを識別する一意の名前です。
ドメイン
ネットワーク内でシステムを使用する場合や、IP アドレスではなく名前を使用する場合に、ホスト名の背後にドメインを接尾辞として追加します。

ドメイン名が割り当てられたホスト名は、完全修飾ドメイン名 (FQDN) と呼ばれます。たとえば、mymachine.example.com です。

ホスト名は /etc/hostname ファイルに保存されます。

1.1.4.2. Web コンソールで Pretty ホスト名

RHEL Web コンソールで Pretty ホスト名を設定することもできます。Pretty ホスト名は、大文字、スペースなどを含むホスト名です。

Pretty ホスト名は Web コンソールに表示されますが、ホスト名に対応させる必要はありません。

例1.1 Web コンソールでのホスト名の形式

Pretty ホスト名
My machine
ホスト名
mymachine
実際のホスト名 - 完全修飾ドメイン名 (FQDN)
mymachine.idm.company.com

1.1.4.3. Web コンソールを使用したホスト名の設定

この手順では、Web コンソールで実際のホスト名または Pretty ホスト名を設定します。

前提条件

手順

  1. RHEL 8 Web コンソールにログインします。

    詳細は「Web コンソールへのログイン」を参照してください。

  2. 概要 をクリックします。
  3. 現在のホスト名の横にある 編集 をクリックします。

    cockpit hostname pf4

  4. ホスト名の変更 ダイアログボックスの Pretty ホスト名 フィールドに、ホスト名を入力します。
  5. 実際のホスト名フィールド は、ドメイン名を Pretty 名に割り当てます。

    ホスト名が Pretty ホスト名と一致しない場合は、実際にホスト名を手動で変更できます。

  6. 変更 をクリックします。

    cockpit hostname change pf4

検証手順

  1. Web コンソールからログアウトします。
  2. ブラウザーのアドレスバーに新規ホスト名のアドレスを入力して、Web コンソールを再度開きます。

    cockpit hostname change verify pf4

1.1.5. Web コンソールで RHEL 8 システムを IdM ドメインに参加

この手順では、Web コンソールを使用して、Red Hat Enterprise Linux 8 システムを Identity Management (IdM) ドメインに参加させます。

前提条件

  • IdM ドメインが実行中で参加するクライアントから到達可能
  • IdM ドメインの管理者認証情報がある。

手順

  1. RHEL Web コンソールにログインします。

    詳細は「Web コンソールへのログイン」を参照してください。

  2. システム タブを開きます。
  3. ドメイン参加 をクリックします。

    idm cockpit join domain

  4. ドメイン参加 ダイアログボックスの ドメインアドレス フィールドに、IdM サーバーのホスト名を入力します。
  5. 認証 ドロップダウンメニューで、認証にパスワード、またはワンタイムパスワードを使用するかどうかを選択します。

    idm cockpit join psswd

  6. ドメイン管理者名 フィールドで、IdM 管理アカウントのユーザー名を入力します。
  7. 上記の 認証 ドロップダウンリストで選択した内容に応じて、パスワードフィールドにパスワードまたはワンタイムパスワードを追加します。
  8. 参加 をクリックします。

    idm cockpit join

検証手順

  1. システムが IdM ドメインに参加していると、RHEL 8 Web コンソールにエラーが表示されず、システム 画面でドメイン名を確認できます。
  2. ユーザーがドメインのメンバーであることを確認するには、Terminal ページをクリックし、id コマンドを実行します。

    $ id
    euid=548800004(example_user) gid=548800004(example_user) groups=548800004(example_user) context=unconfined_u:unconfined_r:unconfined_t:s0-s0:c0.c1023

1.1.6. Web コンソールを使用した時間設定の設定

この手順では、タイムゾーンを設定し、システムを Network Time Protocol (NTP) サーバーと同期します。

前提条件

手順

  1. RHEL 8 Web コンソールにログインします。

    詳細は「Web コンソールへのログイン」を参照してください。

  2. 概要 で現在のシステム時間をクリックします。

    cockpit time settings pf4

  3. 必要に応じて、システム時間の変更 ダイアログボックスで、タイムゾーンを変更します。
  4. 時間の設定 ドロップダウンメニューで、以下のいずれかを選択します。

    手動
    NTP サーバーなしで手動で時間を設定する必要がある場合は、このオプションを使用します。
    NTP サーバーの自動使用
    これはデフォルトのオプションで、設定された NTP サーバーと時間を自動的に同期します。
    特定の NTP サーバーの自動使用
    このオプションは、システムを特定の NTP サーバーと同期する必要がある場合に限り使用してください。サーバーの DNS 名または IP アドレスを指定します。
  5. 変更 をクリックします。

    cockpit time change pf4

検証手順

  • システム タブに表示されるシステム時間を確認します。

1.1.7. Web コンソールを使用したシステムパフォーマンスの最適化

Web コンソールでは、選択したタスクに対してシステムのパフォーマンスを最適化するパフォーマンスプロファイルを設定できます。

1.1.7.1. Web コンソールでのパフォーマンスチューニングオプション

Red Hat Enterprise Linux 8 は、以下のタスクに対してシステムを最適化する複数のパフォーマンスプロファイルを提供します。

  • デスクトップを使用するシステム
  • スループットのパフォーマンス
  • レイテンシーパフォーマンス
  • ネットワークパフォーマンス
  • 電力の低消費
  • 仮想マシン

tuned サービスは、選択したプロファイルに一致するようにシステムオプションを最適化します。

Web コンソールでは、システムが使用するパフォーマンスプロファイルを設定できます。

関連情報

1.1.7.2. Web コンソールでのパフォーマンスプロファイルの設定

この手順では、Web コンソールを使用して、選択したタスクのシステムパフォーマンスを最適化します。

前提条件

手順

  1. RHEL 8 Web コンソールにログインします。

    詳細は「Web コンソールへのログイン」を参照してください。

  2. 概要 をクリックします。
  3. パフォーマンスプロファイル フィールドで、現在のパフォーマンスプロファイルをクリックします。

    cockpit performance profile pf4

  4. 必要に応じて、パフォーマンスプロファイルの変更 ダイアログボックスで、プロファイルを変更します。
  5. プロファイルの変更 をクリックします。

    cockpit performance profile change pf4

検証手順

  • Overview タブには、選択したパフォーマンスプロファイルが表示されます。

1.1.8. Web コンソールを使用して SMT を無効にして CPU セキュリティーの問題を回避

本セクションでは、CPU SMT (Simultaneous Multi Threading) を誤用する攻撃が発生した場合に SMT を無効にする方法を説明します。SMT を無効にすると、L1TF や MDS などのセキュリティー脆弱性を軽減できます。

重要

SMT を無効にすると、システムパフォーマンスが低下する可能性があります。

前提条件

手順

  1. RHEL 8 Web コンソールにログインします。

    詳細は「Web コンソールへのログイン」を参照してください。

  2. システム をクリックします。
  3. ハードウェア で、ハードウェア情報をクリックします。

    cockpit smt hardware

  4. CPU セキュリティー で、軽減策 をクリックします。

    このリンクがない場合は、システムが SMT に対応していないため、攻撃を受けません。

  5. CPU セキュリティートグル で、同時マルチスレッドの無効 (nosmt) オプションに切り替えます。

    cockpit smt disable

  6. 保存および再起動 ボタンをクリックします。

システムの再起動後、CPU は SMT を使用しなくなりました。

関連情報

SMT を無効にすることで回避できるセキュリティー攻撃の詳細は、以下を参照してください。

1.2. RHEL システムロールの使用

本セクションでは、RHEL システムロールの概要を説明します。また、Ansible Playbook を使用して特定のロールを適用し、さまざまなシステム管理タスクを実行する方法を説明します。

1.2.1. RHEL システムロールの概要

RHEL システムロールは、Ansible ロールおよびモジュールのコレクションです。RHEL システムロールは、複数の RHEL システムをリモートで管理するための設定インターフェースを提供します。このインターフェースは、RHEL の複数のバージョンにわたるシステム設定の管理と、新しいメジャーリリースの導入を可能にします。

Red Hat Enterprise Linux 8 のインターフェースは、現在、以下のロールから構成されます。

  • kdump
  • network
  • selinux
  • storage
  • timesync

これらのロールはすべて、AppStream リポジトリーで利用可能な rhel-system-roles パッケージで提供されます。

関連情報

1.2.2. RHEL システムロールの用語

このドキュメントでは、以下の用語を確認できます。

システムロールの用語

Ansible Playbook
Playbook は、Ansible の設定、デプロイメント、およびオーケストレーションの言語を指定します。リモートシステムを強制するポリシーや、一般的な IT プロセスで一連の手順を説明することができます。
コントロールノード
Ansible がインストールされているマシン。コマンドおよび Playbook を実行でき、すべてのコントロールノードから /usr/bin/ansible または /usr/bin/ansible-playbook を起動します。Python がインストールされているすべてのコンピューターをコントロールノードとして使用できます。ラップトップ、共有デスクトップ、およびサーバーですべての Ansible を実行できます。ただし、Windows マシンをコントロールノードとして使用することはできません。複数のコントロールノードを使用できます。
インベントリー
管理対象ノードの一覧。インベントリーファイルは「ホストファイル」とも呼ばれます。インベントリーでは、各管理対象ノードに対して IP アドレスなどの情報を指定できます。また、インベントリーは管理ノードを編成し、簡単にスケーリングできるようにグループの作成およびネスト化が可能です。インベントリーについての詳細は、「インベントリーの操作」セクションを参照してください。
管理ノード
Ansible で管理するネットワークデバイス (またはサーバーもしくはその両方)管理対象ノードは、「ホスト」と呼ばれることもあります。Ansible が管理ノードにはインストールされません。

1.2.3. ロールの適用

以下の手順では、特定のロールを適用する方法を説明します。

前提条件

  • rhel-system-roles パッケージが、コントロールノードとして使用するシステムにインストールされている。

    # yum install rhel-system-roles
  • Ansible Engine リポジトリーが有効になり、コントロールノードとして使用するシステムに ansible パッケージがインストールされている。RHEL システムロールを使用する Playbook を実行するには、ansible パッケージが必要です。

    • Red Hat Ansible Engine サブスクリプションをお持ちでない場合は、Red Hat Enterprise Linux サブスクリプションで提供される Red Hat Ansible Engine の限定サポートバージョンを使用できます。この場合は、次の手順を実行します。

      1. RHEL Ansible Engine リポジトリーを有効にします。

        # subscription-manager refresh
        # subscription-manager repos --enable ansible-2-for-rhel-8-x86_64-rpms
      2. Ansible Engine をインストールします。

        # yum install ansible
    • Red Hat Ansible Engine のサブスクリプションをお持ちの場合は、「Red Hat Ansible Engine のダウンロードおよびインストール方法」に記載されている手順を行ってください。
  • Ansible の Playbook を作成できます。

    Playbook は、Ansible の設定、デプロイメント、およびオーケストレーションの言語を指定します。Playbook を使用すると、リモートマシンの設定を宣言して管理したり、複数のリモートマシンをデプロイしたり、手動で順番を付けたプロセスの手順をまとめたりできます。

    Playbook は、1 つ以上の play の一覧です。すべての play には、Ansible の変数、タスク、またはロールが含まれます。

    Playbook は人が判読でき、YAML 形式で表現されます。

    Playbook の詳細は、Ansible ドキュメント を参照してください。

手順

  1. 必要なロールを含む Ansible Playbook を作成します。

    以下の例は、特定の playroles: オプションを使用してロールを使用する方法を示しています。

    ---
    - hosts: webservers
      roles:
         - rhel-system-roles.network
         - rhel-system-roles.timesync

    Playbook でロールを使用する方法は、Ansible ドキュメント を参照してください。

    Playbook の例は 「Ansible examples」を参照してください。

    注記

    すべてのロールには README ファイルが含まれます。このファイルには、ロールや、サポートされるパラメーター値の使用方法が記載されています。ロールのドキュメントディレクトリーで、特定ロール用の Playbook のサンプルを見つけることもできます。このようなドキュメンテーションディレクトリーは、rhel-system-roles パッケージでデフォルトで提供され、以下の場所に置かれます。

    /usr/share/doc/rhel-system-roles/SUBSYSTEM/

    SUBSYSTEM は、selinuxkdumpnetworktimesync、または storage などの必要なロールの名前に置き換えます。

  2. ansible-playbook コマンドを実行して、ターゲットホストで Playbook を実行します。

    # ansible-playbook -i name.of.the.inventory name.of.the.playbook

    インベントリーは、Ansible が有効なシステムの一覧です。インベントリーの作成方法と使用方法は、Ansible ドキュメント を参照してください。

    インベントリーがない場合は、ansible-playbook の実行時に作成できます。

    Playbook を実行するターゲットホストが 1 つしかない場合は、次のコマンドを実行します。

    # ansible-playbook -i host1, name.of.the.playbook

    Playbook を実行するターゲットホストが複数になる場合は、次のコマンドを実行します。

    # ansible-playbook -i host1,host2,....,hostn name.of.the.playbook

関連情報

  • ansible-playbook コマンドの使用方法は、man ページの ansible-playbook を参照してください。

1.2.4. 関連情報

1.3. 基本的な環境設定の変更

基本的な環境設定は、インストールプロセスの一部です。以下のセクションでは、後で変更する際に説明します。環境の基本設定には、以下が含まれます。

  • 日付と時刻
  • システムロケール
  • キーボードのレイアウト
  • 言語

1.3.1. 日付および時刻の設定

正確な時間を維持することは、さまざまな理由で重要です。Red Hat Enterprise Linux では、NTP プロトコルにより、時刻が管理されます。これは、デーモンにより、ユーザー領域に実装されています。ユーザー領域のデーモンは、カーネルで実行しているシステムクロックを更新します。システムクロックは、さまざまなクロックソースを使用して時間を維持します。

Red Hat Enterprise Linux 8 では、chronyd デーモンを使用して NTP を実装します。chronyd は、chrony パッケージから入手できます。詳細は「Chrony スイートを使用した NTP の設定」を参照してください。

1.3.1.1. システムの現在日時の表示

現在の日時を表示するには、以下のいずれかの手順を行います。

手順

  1. date コマンドを実行します。

    $ date
    Mon Mar 30 16:02:59 CEST 2020
  2. 詳細は、timedatectl コマンドを使用します。

    $ timedatectl
    Local time: Mon 2020-03-30 16:04:42 CEST
    Universal time: Mon 2020-03-30 14:04:42 UTC
      RTC time: Mon 2020-03-30 14:04:41
     Time zone: Europe/Prague (CEST, +0200)
    System clock synchronized: yes
    NTP service: active
    RTC in local TZ: no

関連情報

  • 詳細は、man ページの date(1) および timedatectl(1) を参照してください。

1.3.1.2. 関連情報

1.3.2. システムロケールの設定

システム全体にわたるロケール設定は /etc/locale.conf ファイルに保存され、システム起動の初期段階で systemd デーモンにより読み込まれます。/etc/locale.conf に設定したロケール設定は、個別のプログラムやユーザーが上書きしない限り、すべてのサービスやユーザーに継承されます。

本セクションでは、システムロケールを管理する方法を説明します。

手順

  1. 利用可能なシステムロケール設定を一覧表示するには、次のコマンドを実行します。

    $ localectl list-locales
    C.utf8
    aa_DJ
    aa_DJ.iso88591
    aa_DJ.utf8
    ...
  2. システムロケール設定の現在のステータスを表示するには、次のコマンドを実行します。

    $ localectl status
  3. デフォルトのシステムロケール設定を設定または変更するには、root ユーザーで localectl set-locale サブコマンドを使用します。以下に例を示します。

    # localectl set-locale LANG=en-US

関連情報

  • 詳細は、man ページの localectl(1)locale(7)、および locale.conf(5) を参照してください。

1.3.3. キーボードレイアウトの設定

キーボードレイアウト設定では、テキストコンソールとグラフィカルユーザーインターフェースで使用するレイアウトを管理します。

手順

  1. 利用可能なキーマップを一覧表示するには、以下を実行します。

    $ localectl list-keymaps
    ANSI-dvorak
    al
    al-plisi
    amiga-de
    amiga-us
    ...
  2. キーマップ設定の現在のステータスを表示するには、次のコマンドを実行します。

    $ localectl status
    ...
    VC Keymap: us
    ...
  3. デフォルトのシステムキーマップを設定または変更するには、root ユーザーで localectl set-keymap サブコマンドを使用します。以下に例を示します。

    # localectl set-keymap us

関連情報

  • 詳細は、man ページの localectl(1)locale(7)、および locale.conf(5) を参照してください。

1.3.4. デスクトップ GUI を使用した言語の変更

本セクションでは、デスクトップ GUI を使用してシステム言語を変更する方法を説明します。

前提条件

  • システムに必要な言語パッケージがインストールされている。

手順

  1. システムメニュー から GNOME コントロールセンター を開きます。

    cs system menu

  2. GNOME Control Center で、左側の垂直バーから 地域および言語 を選択します。
  3. 言語 メニューをクリックします。

    cs language menu

  4. メニューから必要な地域および言語を選択します。

    cs select region language

    該当する地域および言語が表示されない場合はスクロールダウンし、詳細 をクリックして、利用可能な地域および言語を選択します。

    cs available region language

  5. 完了 をクリックします。
  6. 再起動 をクリックして変更を有効にします。

    cs restart region language

注記

アプリケーションによっては、特定の言語に対応していないものもあります。選択した言語に翻訳できないアプリケーションのテキストは、アメリカ英語のままになります。

関連情報

1.3.5. 関連情報

1.4. ネットワークアクセスの設定および管理

本セクションでは、Red Hat Enterprise Linux でイーサネット接続を追加するさまざまなオプションを説明します。

1.4.1. グラフィカルインストールモードでのネットワークおよびホスト名の設定

以下の手順に従って、ネットワークとホスト名を設定します。

手順

  1. インストール概要 画面から、ネットワークとホスト名* をクリックします。
  2. 左側のペインのリストから、インターフェースを選択します。詳細が右側のペインに表示されます。
  3. 選択したインタフェースを有効または無効にするには、ON/OFF スイッチを切り替えます。

    注記

    インストールプログラムは、ローカルでアクセス可能なインターフェースを自動的に検出し、手動で追加または削除できません。

  4. + をクリックして、仮想ネットワークインターフェースを追加します。仮想ネットワークインターフェースは、チーム、ボンド、ブリッジ、または VLAN のいずれかです。
  5. - を選択して、仮想インターフェースを削除します。
  6. 設定 をクリックして、既存のインターフェースの IP アドレス、DNS サーバー、またはルーティング設定 (仮想と物理の両方) などの設定を変更します。
  7. ホスト名 フィールドに、システムのホスト名を入力します。

    注記
    • em1wl3sp0 といった一貫性のある名前をネットワークデバイスの特定に使用するネットワークデバイス命名の標準仕様には、いくつかのタイプがあります。このような標準仕様の詳細は『ネットワークの設定および管理』を参照してください。
    • ホスト名は、hostname.domainname という形式の完全修飾ドメイン名 (FQDN) か、ドメイン名のない短縮ホスト名のいずれかとなります。多くのネットワークには、自動的に接続したシステムにドメイン名を提供する DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) サービスがあります。DHCP サービスが、このマシンにドメイン名を割り当てるようにするには、短縮ホスト名のみを指定してください。localhost.localdomain の値は、ターゲットシステムの静的ホスト名が指定されておらず、(たとえば、DHCP または DNS を使用する NetworkManager による) ネットワーク設定時に、インストールされるシステムの実際のホスト名が設定されることを示しています。
  8. 適用 をクリックして、ホスト名を環境に適用します。

その他のリソースおよび情報

  • キックスタートファイルの使用時のネットワーク設定およびホスト名の設定の詳細は、『高度な RHEL インストールの実行』の該当する付録を参照してください。
  • Anaconda インストールプログラムのテキストモードを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合は、ネットワーク設定 オプションを使用してネットワークを設定します。

1.4.2. nmcli を使用した静的イーサネット接続の設定

この手順では、nmcli ユーティリティーを使用して、以下の設定でイーサネット接続を追加する方法を説明します。

  • 静的 IPv4 アドレス - /24 サブネットマスクを持つ 192.0.2.1
  • 静的 IPv6 アドレス - 2001:db8:1::1/64 サブネットマスクあり)
  • IPv4 デフォルトゲートウェイ - 192.0.2.254
  • IPv6 デフォルトゲートウェイ - 2001:db8:1::fffe
  • IPv4 DNS サーバー - 192.0.2.200
  • IPv6 DNS サーバー - 2001:db8:1::ffbb
  • DNS 検索ドメイン - example.com

手順

  1. イーサネット接続に新しい NetworkManager 接続プロファイルを追加します。

    # nmcli connection add con-name Example-Connection ifname enp7s0 type ethernet

    以下の手順は、作成した Example-Connection 接続プロファイルを変更します。

  2. IPv4 アドレスを設定します。

    # nmcli connection modify Example-Connection ipv4.addresses 192.0.2.1/24
  3. IPv6 アドレスを設定します。

    # nmcli connection modify Example-Connection ipv6.addresses 2001:db8:1::1/64
  4. IPv4 および IPv6 接続メソッドを manual に設定します。

    # nmcli connection modify Example-Connection ipv4.method manual
    # nmcli connection modify Example-Connection ipv6.method manual
  5. IPv4 および IPv6 のデフォルトゲートウェイを設定します。

    # nmcli connection modify Example-Connection ipv4.gateway 192.0.2.254
    # nmcli connection modify Example-Connection ipv6.gateway 2001:db8:1::fffe
  6. IPv4 および IPv6 DNS サーバーアドレスを設定します。

    # nmcli connection modify Example-Connection ipv4.dns "192.0.2.200"
    # nmcli connection modify Example-Connection ipv6.dns "2001:db8:1::ffbb"

    複数の DNS サーバーを設定するには、空白で区切って引用符で囲みます。

  7. IPv4 および IPv6 接続の DNS 検索ドメインを設定します。

    # nmcli connection modify Example-Connection ipv4.dns-search example.com
    # nmcli connection modify Example-Connection ipv6.dns-search example.com
  8. 接続プロファイルをアクティブにします。

    # nmcli connection up Example-Connection
    Connection successfully activated (D-Bus active path: /org/freedesktop/NetworkManager/ActiveConnection/13)

検証手順

  1. デバイスおよび接続の状態を表示します。

    # nmcli device status
    DEVICE      TYPE      STATE      CONNECTION
    enp7s0      ethernet  connected  Example-Connection
  2. 接続プロファイルのすべての設定を表示するには、次のコマンドを実行します。

    # nmcli connection show Example-Connection
    connection.id:              Example-Connection
    connection.uuid:            b6cdfa1c-e4ad-46e5-af8b-a75f06b79f76
    connection.stable-id:       --
    connection.type:            802-3-ethernet
    connection.interface-name:  enp7s0
    ...
  3. ping ユーティリティーを使用して、このホストがパケットを他のホストに送信できることを確認します。

    • 同じサブネットの IP アドレスに ping します。

      IPv4 の場合:

      # ping 192.0.2.3

      IPv6 の場合:

      # ping 2001:db8:2::1

      コマンドが失敗した場合は、IP およびサブネットの設定を確認します。

    • リモートサブネットの IP アドレスに ping します。

      IPv4 の場合:

      # ping 198.162.3.1

      IPv6 の場合:

      # ping 2001:db8:2::1
      • コマンドが失敗した場合は、デフォルトゲートウェイに ping して設定を確認します。

        IPv4 の場合:

        # ping 192.0.2.254

        IPv6 の場合:

        # ping 2001:db8:1::fffe
  4. host ユーティリティーを使用して名前解決が機能することを確認します。以下に例を示します。

    # host client.example.com

    connection timed outno servers could be reached など、コマンドがエラーを返した場合は、DNS 設定を確認してください。

トラブルシューティングの手順

  1. 接続に失敗するか、ネットワークインターフェースが up と down の状態の間で切り替わる場合は、以下を行います。

    • ネットワークケーブルがホストとスイッチにプラグインされていることを確認します。
    • リンクの失敗がこのホストのみに存在するか、またはサーバーが接続されているのと同じスイッチに接続されている他のホストでも存在するかどうかを確認します。
    • ネットワークケーブルとネットワークインターフェースが予想どおりに機能していることを確認します。ハードウェア診断手順を実施して、不具合ケーブルとネットワークインターフェースカードを置き換えます。

関連情報

  • 接続プロファイルのプロパティーとその設定の詳細は、man ページの nm-settings(5) を参照してください。
  • nmcli ユーティリティーの詳細は、man ページの nmcli(1) を参照してください。
  • ディスクの設定がデバイスの設定と一致しない場合は、NetworkManager の起動または再起動により、デバイスの設定を反映するインメモリー接続が作成されます。詳細と、この問題を回避する方法は、「NetworkManager duplicates a connection after restart of NetworkManager service」を参照してください。

1.4.3. nmtui を使用した接続プロファイルの追加

nmtui アプリケーションは、NetworkManager へのテキストユーザーインターフェースを提供します。この手順では、新しい接続プロファイルを追加する方法を説明します。

前提条件

  • NetworkManager-tui パッケージがインストールされている。

手順

  1. NetworkManager のテキストユーザーインターフェースユーティリティーを起動します。

    # nmtui
  2. 接続の編集 メニューエントリーを選択し、Enter を押します。
  3. Add ボタンを選択し、Enter を押します。
  4. Ethernet を選択し、Enter を押します。
  5. フィールドにコネクションの詳細を入力します。

    nmtui で接続の追加
  6. OK をクリックして変更を保存します。
  7. Back を選択してメインメニューに戻ります。
  8. 接続のアクティブ化 を選択し、Enter を押します。
  9. 新しい接続エントリーを選択し、Enter を押して接続をアクティベートします。
  10. Back を選択してメインメニューに戻ります。
  11. 終了 を選択します。

検証手順

  1. デバイスおよび接続の状態を表示します。

    # nmcli device status
    DEVICE      TYPE      STATE      CONNECTION
    enp1s0      ethernet  connected  Example-Connection
  2. 接続プロファイルのすべての設定を表示するには、次のコマンドを実行します。

    # nmcli connection show Example-Connection
    connection.id:              Example-Connection
    connection.uuid:            b6cdfa1c-e4ad-46e5-af8b-a75f06b79f76
    connection.stable-id:       --
    connection.type:            802-3-ethernet
    connection.interface-name:  enp1s0
    ...

関連情報

1.4.4. RHEL 8 Web コンソールにおけるネットワークの管理

Web コンソールの Networking メニューでは、以下が可能です。

  • 最近送受信したパケットの表示
  • 利用可能なネットワークインターフェースの最も重要な特徴の表示
  • ネットワーキングログのコンテンツの表示
  • ネットワークインターフェースのさまざまなタイプ (ボンディング、チーム、ブリッジ、VLAN) の追加

図1.1 RHEL 8 Web コンソールにおけるネットワークの管理

新たにネットワークを開始

1.4.5. RHEL システムロールを使用したネットワークの管理

network ロールを使用して、複数のターゲットマシンにネットワーク接続を構成できます。

network ロールでは、以下のタイプのインターフェースを構成できます。

  • イーサネット
  • ブリッジ
  • ボンディング
  • VLAN
  • MacVLAN
  • Infiniband

各ホストに必要なネットワーク接続は、network_connections 変数内にリストとして提供されます。

警告

network ロールは、network_connections 変数で指定されているとおりに、ターゲットシステムにあるすべての接続プロファイルを更新または作成します。したがって、そのオプションがそのシステムにのみ存在し、network_connections 変数にはない場合、network ロールは指定されたプロファイルからオプションを削除します。

以下の例は、必要なパラメーターを持つイーサネット接続が確実に設定されるように、network ロールを適用する方法を示しています。

例1.2 必要なパラメーターでイーサネット接続を設定する network ロールを適用する Playbook の例

# SPDX-License-Identifier: BSD-3-Clause
---
- hosts: network-test
  vars:
    network_connections:

      # Create one ethernet profile and activate it.
      # The profile uses automatic IP addressing
      # and is tied to the interface by MAC address.
      - name: prod1
        state: up
        type: ethernet
        autoconnect: yes
        mac: "00:00:5e:00:53:00"
        mtu: 1450

  roles:
    - rhel-system-roles.network

システムロールを適用する方法は、「RHEL システムロールの概要」を参照してください。

1.4.6. 関連情報

1.5. システム登録およびサブスクリプション管理

Red Hat Enterprise Linux オペレーティングシステムと、そこにインストールされている製品は、サブスクリプションの対象となります。

Red Hat コンテンツ配信ネットワーク (CDN) サブスクリプションを使用して、以下を追跡します。

  • 登録したシステム
  • システムにインストールされている製品
  • インストール済み製品に割り当てられているサブスクリプション

1.5.1. インストール後のシステム登録

インストールプロセス中に登録していない場合は、以下の手順に従ってシステムを登録します。

前提条件

手順

  1. ワンステップでシステムを登録し、自動的にサブスクライブします。

    # subscription-manager register --username <username> --password <password> --auto-attach
    Registering to: subscription.rhsm.redhat.com:443/subscription
    The system has been registered with ID: 37to907c-ece6-49ea-9174-20b87ajk9ee7
    The registered system name is: client1.idm.example.com
    Installed Product Current Status:
    Product Name: Red Hat Enterprise Linux for x86_64
    Status:       Subscribed

    コマンドを実行すると、Red Hat カスタマーポータルのユーザー名とパスワードの入力を求めるプロンプトが表示されます。

    登録プロセスに失敗した場合は、システムを特定のプールに登録できます。これを実行する方法については、以下の手順にしたがいます。

    1. 必要なサブスクリプションのプール ID を確認します。

      # subscription-manager list --available

      このコマンドは、使用している Red Hat アカウントで利用可能なサブスクリプションをすべて表示します。サブスクリプションごとに、プール ID を含むさまざまな情報が表示されます。

    2. pool_id を、確認したプール ID に置き換えて、適切なサブスクリプションをシステムに割り当てます。

      # subscription-manager attach --pool=pool_id

関連情報

1.5.2. Web コンソールで認証情報を使用してサブスクリプションを登録

RHEL 8 Web コンソールを使用して、新たにインストールした Red Hat Enterprise Linux を登録するには、以下の手順に従います。

前提条件

  • Red Hat カスタマーポータルに有効なユーザーアカウントがある。

    「Red Hat アカウントの作成」ページを参照してください。

  • RHEL システムに使用するアクティブなサブスクリプションがある。

手順

  1. 検索フィールドに「subscription」と入力して、Enter キーを押します。

    cockpit subscription icon

    RHEL 8 Web コンソールにログインすることもできます。詳細は「Web コンソールへのログイン」を参照してください。

  2. 特権タスク用の polkit 認証ダイアログで、ダイアログに表示されているユーザー名のパスワードを入力します。

    cockpit subscription password

  3. 認証 をクリックします。
  4. サブスクリプション ダイアログボックスの 登録 をクリックします。

    cockpit subscription notregistered

  5. カスタマーポータルの認証情報を入力します。

    cockpit subscription register cred

  6. 組織の名前を入力してください。

    Red Hat カスタマーポータルにアカウントが複数ある場合は、組織名または組織 ID を追加する必要があります。組織 ID は、Red Hat の連絡先に問い合わせてください。

  7. 登録 ボタンをクリックします。

この時点で、Red Hat Enterprise Linux 8 システムが正常に登録されました。

cockpit subscription registered

1.5.3. GNOME での Red Hat アカウントを使用したシステムの登録

以下の手順に従って、システムを Red Hat アカウントに登録します。

前提条件

手順

  1. 画面右上からアクセスできる システムメニュー に移動し、設定 アイコンをクリックします。
  2. DetailsAbout セクションで、Register をクリックします。
  3. Registration Server を選択します。
  4. Red Hat サーバーを使用しない場合は、URL フィールドにサーバーアドレスを入力します。
  5. Registration Type メニューで、Red Hat Account を選択します。
  6. Registration Details で以下を行います。

    • ログイン フィールドに Red Hat アカウントのユーザー名を入力します。
    • パスワード フィールドに Red Hat アカウントのパスワードを入力します。
    • 組織 フィールドに組織の名前を入力します。
  7. 登録 をクリックします。

1.5.4. GNOME でアクティベーションキーを使用したシステムの登録

以下の手順に従って、システムをアクティベーションキーに登録します。組織の管理者からアクティベーションキーを取得できます。

前提条件

  • アクティベーションキーまたはキー。

    新しいアクティベーションキーを作成するには、アクティベーションキーページを参照してください。

手順

  1. 画面右上からアクセスできる システムメニュー に移動し、設定 アイコンをクリックします。
  2. DetailsAbout セクションで、Register をクリックします。
  3. Registration Server を選択します。
  4. Red Hat サーバーを使用していない場合は、カスタマイズされたサーバーに URL を入力します。
  5. Registration Type メニューで、アクティベーションキー を選択します。
  6. Registration Details で以下を行います。

    • アクティベーションキー を入力します。

      複数の鍵をコンマ (,) で区切ります。

    • 組織 フィールドに組織の名前または ID を入力します。
  7. 登録 をクリックします。

1.6. システム起動時に systemd サービスの開始

systemd は、Linux オペレーティングシステム用のシステムおよびサービスのマネージャーで、systemd ユニットの概念が使用されています。

本セクションでは、システムの起動時にサービスを有効または無効にする方法を説明します。また、Web コンソールを使用してサービスを管理する方法も説明します。

1.6.1. CLI を使用したサービスの有効化または無効化

インストールプロセス時に、システムの起動時に有効または無効にするサービスを確認できます。インストール後に、オペレーティングシステムのサービスを有効または無効にできます。

本セクションでは、インストール済みのオペレーティングシステムでこれらのサービスを有効または無効にする手順を説明します。

前提条件

  • システムへの root アクセス権限がある。

手順

  1. サービスを有効にするには、enable オプションを使用します。

    # systemctl enable service_name

    service_name を、有効にするサービスに置き換えます。

    1 つのコマンドでサービスを有効にして起動することもできます。

    # systemctl enable --now service_name
  2. サービスを無効にするには、disable オプションを使用します。

    # systemctl disable service_name

    service_name を、無効にするサービスに置き換えます。

警告

以前マスクされたサービスを有効にすることはできません。最初にマスクを解除する必要があります。

# systemctl unmask service_name

1.6.2. RHEL 8 Web コンソールにおけるサービスの管理

本セクションでは、Web コンソールを使用してサービスを有効または無効にする方法を説明します。systemd ターゲット、サービス、ソケット、タイマー、およびパスを管理できます。また、サービスのステータス、開始または停止を確認し、サービスを有効または無効にすることもできます。

前提条件

  • システムへの root アクセス権限がある。

手順

  1. 希望の Web ブラウザーで https://localhost:9090/ を開きます。
  2. システム上の root 認証情報を使用して Web コンソールにログインします。
  3. Web コンソールパネルを表示するには、ウィンドウの左上にある ホスト アイコンをクリックします。

    サービス Web コンソールの管理
  4. メニューで、サービス をクリックします。

    systemd ターゲット、サービス、ソケット、タイマー、およびパスを管理できます。

  5. たとえば、サービスの NFS クライアントサービス を管理するには、以下を実行します。

    1. Targets をクリックします。
    2. サービス NFS クライアントサービス を選択します。
    3. サービスを有効または無効にするには、Toogle ボタンをクリックします。
    4. サービスを停止するには、 ボタンをクリックし、オプション 'Stop' を選択します。

      サービス Web コンソールの停止

1.7. システムセキュリティーの設定

コンピューターセキュリティーとは、盗難、損傷、破壊、および誤りからコンピューターシステムやハードウェア、ソフトウェア、情報、およびサービスを保護することです。特に機密データを処理し、ビジネストランザクションを処理する企業では、コンピューターセキュリティーの確保が必須タスクになります。

本セクションでは、オペレーティングシステムのインストール後に設定できる基本的なセキュリティー機能のみを説明します。Red Hat Enterprise Linux のセキュリティー保護に関する詳細は、『Product Documentation for Red Hat Enterprise Linux 8』Security セクションのタイトルを参照してください。

1.7.1. ファイアウォールを使用したシステムセキュリティーの強化

ファイアウォールは、既定のセキュリティールールに基づいてネットワークトラフィックの送受信の監視および制御を行うネットワークセキュリティーシステムです。ファイアウォールは、通常、信頼できる安全な内部ネットワークと、その他の外部ネットワークとの間に壁を作ります。

Red Hat Enterprise Linux でファイアウォールを提供する firewalld サービスは、インストール時に自動的に有効になります。

1.7.1.1. ファイアウォールサービスの有効化

firewalld サービスを有効にするには、以下の手順に従います。

手順

  1. firewalld の現在の状況の表示

    $ systemctl status firewalld
    ● firewalld.service - firewalld - dynamic firewall daemon
       Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/firewalld.service; disabled; vendor preset: enabled)
       Active: inactive (dead)
    ...
  2. firewalld が有効になっていない場合は、root ユーザーに切り替えて、firewalld サービスを起動し、システムの再起動後に自動的に起動できるようにします。

    # systemctl enable --now firewalld

検証手順

  1. firewalld が実行中で、有効になっていることを確認します。

    $ systemctl status firewalld
    ● firewalld.service - firewalld - dynamic firewall daemon
       Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/firewalld.service; enabled; vendor preset: enabled)
       Active: active (running)
    ...

関連情報

  • 詳細は、man ページの firewalld(1) を参照してください。

1.7.1.2. RHEL 8 Web コンソールでファイアウォールの管理

Web コンソールで firewalld サービスを設定するには、ネットワークファイアウォール に移動します。

デフォルトでは、firewalld サービスは有効になっています。

手順

  1. Web コンソールで firewalld を有効または無効にするには、ファイアウォール トグルボタンを切り替えます。

    ファイアウォールを新規で開始
注記

さらに、Add services…​ ボタンを使用して、ファイアウォールからサービスへのより細かいアクセスを定義することができます。

1.7.1.3. 関連情報

1.7.2. 基本的な SELinux 設定の管理

Security Enhanced Linux (SELinux) は、どのプロセスがどのファイル、ディレクトリー、およびポートにアクセスできるのかを指定するシステムセキュリティーの追加レイヤーです。これらのパーミッションは、SELinux ポリシーで定義されます。ポリシーは、SELinux セキュリティーエンジンをガイドする一連のルールです。

1.7.2.1. SELinux のステータスおよびモード

SELinux のステータスには、以下の 2 つがあります。

  • 無効
  • 有効

SELinux が有効な場合は、以下のいずれのモードで実行できます。

  • 有効

    • Enforcing
    • Permissive

Enforcing モード では、SELinux は読み込まれたポリシーを強制します。SELinux は、SELinux ポリシールールに基づいてアクセスを拒否し、明示的に許可された対話だけを有効にします。Enforcing モードは最も安全な SELinux モードであり、インストール後にデフォルトモードになります。

Permissive モード では、SELinux は読み込まれたポリシーを強制しません。SELinux はアクセスを拒否しませんが、ルールを /var/log/audit/audit.log ログに分割するアクションを報告します。Permissive モードは、インストール時のデフォルトのモードです。Permissive モードは、問題のトラブルシューティングなど、特定のケースで役に立ちます。

関連情報

1.7.2.2. SELinux で必要な状態を確認

デフォルトでは、SELinux は Enforcing モードで動作します。ただし、特定のシナリオでは、SELinux を Permissive モードに設定したり、無効にすることもできます。

重要

Red Hat は、Enforcing モードでシステムを使用することを推奨します。デバッグの目的で、SELinux を Permissive モードに設定します。

以下の手順に従って、システムの SELinux の状態とモードを変更します。

手順

  1. 現在有効な SELinux モードを表示します。

    $ getenforce
  2. SELinux を一時的に設定するには、以下を行います。

    1. Enforcing モードにするには、以下を実行します。

      # setenforce Enforcing
    2. Permissive モードにするには、以下を実行します。

      # setenforce Permissive
      注記

      再起動後、SELinux モードは /etc/selinux/config 設定ファイルで指定された値に設定されます。

  3. 再起動後も維持するように SELinux モードを設定するには、/etc/selinux/config 設定ファイルの SELINUX 変数を変更します。

    たとえば、SELinux を Enforcing モードに切り替えるには、以下のように設定します。

    # This file controls the state of SELinux on the system.
    # SELINUX= can take one of these three values:
    #     enforcing - SELinux security policy is enforced.
    #     permissive - SELinux prints warnings instead of enforcing.
    #     disabled - No SELinux policy is loaded.
    SELINUX=enforcing
    ...
    警告

    SELinux を無効にすると、システムセキュリティーが低下します。/etc/selinux/config ファイルの SELINUX=disabled オプションを使用して SELinux を無効にしないでください。これにより、メモリーリークや競合状態によりカーネルパニックが発生する可能性があるためです。代わりに、「システムの起動時に SELinux モードの変更」で説明されているように、selinux=0 パラメーターをカーネルコマンドラインに追加して SELinux を無効にします。

関連情報

1.7.2.3. RHEL 8 Web コンソールで SELinux モードの切り替え

SELinux メニュー項目の RHEL 8 Web コンソールで SELinux モードを設定できます。

デフォルトでは、Web コンソールの SELinux の Enforcing ポリシーが有効になっており、SELinux が Enforcing モードで動作します。このモードを無効にして、SELinux を Permissive モードに切り替えます。この選択は、次回の起動時に、/etc/sysconfig/selinux ファイルで定義されている設定に自動的に元に戻されます。

手順

  1. Web コンソールで、SELinux メニュー項目の Enforce policy toggle ボタンを使用して SELinux の Enforcing ポリシーをオンまたはオフにします。

    SELinux を有効にして開始

1.7.2.4. 次のステップ

1.7.3. 次のステップ

1.8. ユーザーアカウントの管理

Red Hat Enterprise Linux は、マルチユーザー向けのオペレーティングシステムです。つまり、1 台のマシンにインストールされた 1 つのシステムに、複数のユーザーが別々のコンピューターからアクセスできます。

各ユーザーは自身のアカウントで操作します。このような方法でユーザーアカウントを管理することは、Red Hat Enterprise Linux のシステム管理の中心的要素になります。

1.8.1. ユーザーアカウントとグループの概要

本セクションでは、ユーザーアカウントとグループの概要を説明します。以下は、ユーザーアカウントの種類によって異なります。

  • 通常のユーザーアカウント:

    通常のアカウントは特定システムのユーザー用に作成されます。このようなアカウントは、通常のシステム管理中に追加、削除、および修正できます。

  • システムユーザーアカウント

    システムユーザーアカウントは、システムで特定のアプリケーション識別子を表します。このようなアカウントは通常、ソフトウェアのインストール時にのみ追加または操作され、後で変更することはありません。

    警告

    システムアカウントは、システムでローカルに利用できると想定されています。アカウントがリモートで設定され、提供されている (LDAP の設定など) と、システムが破損したり、サービスが開始できない場合があります。

    システムアカウント用に、1000 番未満のユーザー ID が予約されています。通常のアカウントには、1000 から始まる ID を使用できます。ただし、5000 以降の ID を割り当てることが推奨されます。

  • グループ

    グループとは、複数のユーザーアカウントを共通目的 (特定のファイルにアクセス権を与えるなど) で統合するエンティティーです。

関連情報

1.8.2. コマンドラインツールを使用したアカウントとグループの管理

本セクションでは、ユーザーアカウントとグループを管理する基本的なコマンドラインツールを説明します。

  • ユーザーおよびグループ ID を表示するには、以下を実行します。

    $ id
    uid=1000(example.user) gid=1000(example.user) groups=1000(example.user),10(wheel) context=unconfined_u:unconfined_r:unconfined_t:s0-s0:c0.c1023
  • 新規ユーザーアカウントを作成するには、以下を実行します。

    # useradd example.user
  • example.user に属するユーザーアカウントに新しいパスワードを割り当てるには、以下を実行します。

    # passwd example.user
  • ユーザーをグループに追加するには、以下を実行します。

    # usermod -a -G example.group example.user

関連情報

  • man ページの useradd(8)passwd(1)、および usermod(8)

1.8.3. Web コンソールで管理されるシステムユーザーアカウント

RHEL Web コンソールに表示されているユーザーアカウントでは、以下が可能になります。

  • システムにアクセスする際にユーザーを認証する
  • システムへのアクセス権を設定する

RHEL Web コンソールは、システムに存在するすべてのユーザーアカウントを表示します。そのため、最初に Web コンソールにログインした直後は、ユーザーアカウントが少なくとも 1 つ表示されます。

RHEL Web コンソールにログインしたら、以下の操作を実行できます。

  • 新規ユーザーアカウントの作成
  • パラメーターの変更
  • アカウントのロック
  • ユーザーセッションの終了

1.8.4. Web コンソールで新規アカウントの追加

RHEL Web コンソールを使用して、ユーザーアカウントをシステムに追加し、アカウントに管理者権限を設定する場合は、以下の手順に従います。

前提条件

手順

  1. RHEL Web コンソールにログインします。
  2. アカウント をクリックします。
  3. 新規アカウントの作成 をクリックします。

    cockpit create new account pf4

  4. フルネーム フィールドにユーザーの氏名を入力します。

    RHEL Web コンソールは、入力した氏名からユーザー名が自動的に作成され、ユーザー名 フィールドに入力されます。名前の頭文字と、苗字で構成される命名規則を使用しない場合は、入力されたユーザー名を変更します。

  5. パスワード/確認 フィールドにパスワードを入力し、再度パスワードを入力します。フィールドの下にあるカラーバーは、入力したパスワードの強度を表し、弱いパスワードは使用できないようにします。

    cockpit user accounts pf4

  6. 作成 をクリックして設定を保存し、ダイアログボックスを閉じます。
  7. 新規作成したアカウントを選択します。
  8. ロール で、サーバー管理者 を選択します。

cockpit terminate session pf4

これで アカウント 設定に新規アカウントが表示され、認証情報を使用してシステムに接続できるようになりました。

1.8.5. 次のステップ

1.9. 後で分析するためにクラッシュしたカーネルのダンプ

システムがクラッシュした理由を分析するには、kdump サービスを使用してシステムのメモリー内容を保存し、後で分析することができます。

本セクションでは、kdump の概要と、RHEL Web コンソールまたは対応する RHEL システムロールを使用して kdump を設定する方法を説明します。

1.9.1. kdump とは

kdump は、クラッシュダンプメカニズムを提供するサービスです。このサービスを使用すると、システムのメモリーの内容を後で分析するために保存できます。kdumpkexec システムコールを使用して再起動せずに別のカーネル (capture kernel) で起動し、クラッシュしたカーネルメモリーの内容 (crash dump または vmcore) をキャプチャーして保存します。この第 2 のカーネルは、システムメモリーの予約部分に収納されています。

重要

カーネルクラッシュダンプは、システム障害 (重大なバグ) 時に利用できる唯一の情報になります。したがって、ミッションクリティカルな環境では、kdump を確実に稼働させることが重要です。Red Hat は、システム管理者が通常のカーネル更新サイクルで kexec-tools を定期的に更新してテストすることをお勧めします。これは、新しいカーネル機能が実装されている場合に特に重要です。

1.9.2. Web コンソールで kdump メモリーの使用量およびターゲットの場所を設定

以下の手順は、Red Hat Enterprise Linux Web コンソールインターフェースで Kernel Dump タブを使用して、kdump カーネル用に予約されたメモリー容量を設定する方法を説明します。この手順では、vmcore ダンプファイルのターゲットの場所を指定する方法と、設定をテストする方法を説明します。

前提条件

手順

  1. Kernel Dump タブを開き、kdump サービスを開始します。
  2. コマンドラインkdump のメモリー使用量を設定します。
  3. クラッシュダンプの場所 オプションの横にあるリンクをクリックします。

    Web コンソールの初期画面
  4. ドロップダウンメニューから ローカルファイルシステム を選択し、ダンプを保存するディレクトリーを指定します。

    Web コンソールの crashdump ターゲット
    • または、ドロップダウンから SSH 経由のリモート オプションを選択し、SSH プロトコルを使用して、vmcore をリモートマシンに送信します。

      Serverssh keyDirectory の各フィールドに、リモートマシンのアドレス、ssh キーの場所、およびターゲットディレクトリーを入力します。

    • または、ドロップダウンから NFS 経由のリモート オプションを選択し、マウント フィールドに入力して、NFS プロトコルを使用して vmcore をリモートマシンに送信することもできます。

      注記

      圧縮 チェックボックスにチェックマークを入れ、vmcore ファイルのサイズを小さくします。

  5. カーネルをクラッシュして、設定をテストします。

    Web コンソールテスト kdump config
    警告

    この手順では、カーネルの実行を中断し、システムクラッシュやデータの損失が発生します。

関連情報

1.9.3. RHEL システムロールを使用した kdump の設定

RHEL システムロールは、複数の RHEL システムをリモートで管理する一貫した構成インターフェースを提供する Ansible ロールおよびモジュールの集合です。kdump ロールを使用すると、複数のシステムに基本的なカーネルダンプパラメーターを設定できます。

警告

kdump ロールは、/etc/kdump.conf ファイルを置き換えて、管理対象ホストの kdump設定を置き換えます。また、kdump ロールが適用されると、/etc/sysconfig/kdump ファイルを置き換えて、以前の kdump の設定もすべて置き換えられます。

以下の例は、kdump システムロールを適用してクラッシュダンプファイルの場所を設定する方法を示しています。

---
- hosts: kdump-test
  vars:
    kdump_path: /var/crash
  roles:
    - rhel-system-roles.kdump

関連情報

  • kdump ロール変数の詳細は、rhel-system-roles パッケージをインストールし、/usr/share/doc/rhel-system-roles/kdump ディレクトリーの README.md または README.html ファイルを参照してください。
  • RHEL システムロールの詳細は、「RHEL システムロールの概要」を参照してください。

1.9.4. 関連情報

1.10. システムの復元および復元

Red Hat Enterprise Linux は、既存のバックアップを使用してシステムを復旧および復元するために、ReaR (Relax-and-Recover) ユーティリティーを提供します。

このユーティリティーは、障害復旧ソリューションとして使用でき、システム移行にも使用できます。

このユーティリティーを使用すると、以下のタスクを実行できます。

  • イメージを使用して、起動可能なイメージを作成し、既存のバックアップからシステムを復元します。
  • オリジナルのストレージレイアウトを複製する
  • ユーザーおよびシステムファイルを復元します。
  • システムを別のハードウェアに復元します。

また、障害復旧の場合は、特定のバックアップソフトウェアを ReaR に統合することもできます。

ReaR の設定には、以下の高レベルな手順が含まれます。

  1. ReaR をインストールします。
  2. レスキューシステムを作成します。
  3. ReaR 設定ファイルを変更して、バックアップメソッドの詳細を追加します。
  4. バックアップファイルを生成します。

1.10.1. ReaR の設定

以下の手順を使用して、Relax-and-Recover (ReaR) ユーティリティーを使用するパッケージをインストールし、レスキューシステムを作成し、バックアップを設定し、生成します。

前提条件

  • バックアップ復元計画に従って必要な設定の準備が整いました。

    NETFS バックアップメソッド (ReaR と完全に統合され、組み込まれたメソッド)を使用できることに注意してください。

手順

  1. ReaR、genisomage のマスター前のプログラム、およびブートローダーのスイートを提供する syslinux パッケージをインストールします。

    # yum install rear genisoimage syslinux
  2. レスキューシステムを作成します。

    # rear mkrescue
  3. 任意のエディターで ReaR 設定ファイルを変更します.以下に例を示します。

    # vi /etc/rear/local.conf
  4. バックアップ設定の詳細を /etc/rear/local.conf に追加します。たとえば、NETFS バックアップメソッドの場合は、以下の行を追加します。

    BACKUP=NETFS
    BACKUP_URL=backup.location

    backup.location を、バックアップの場所の URL に置き換えます。

  5. ReaR が新規バックアップの作成時に以前のバックアップアーカイブを維持するように設定するには、以下の行を設定ファイルに追加します。

    NETFS_KEEP_OLD_BACKUP_COPY=y
  6. 増分バックアップ (実行するたびに変更されたファイルのみがバックアップされる) を設定する場合は、以下の行を追加します。

    BACKUP_TYPE=incremental
  7. 復元計画に従ってバックアップを作成します。

1.11. ログファイルを使用した問題のトラブルシューティング

ログファイルは、システム (カーネル、サービス、および実行中のアプリケーションなど) に関するメッセージが含まれるファイルです。これには、問題のトラブルシューティングやシステム機能の監視に役立つ情報が含まれています。Red Hat Enterprise Linux におけるロギングシステムは、組み込みの syslog プロトコルに基づいています。特定のプログラムがこのシステムを使用してイベントを記録し、ログファイルに分類します。 これは、オペレーティングシステムの監査およびさまざまな問題のトラブルシューティングに役立ちます。

1.11.1. syslog メッセージを処理するサービス

以下の 2 つのサービスは、syslog メッセージを処理します。

  • systemd-journald デーモン
  • Rsyslog サービス

systemd-journald デーモンは、さまざまなソースからメッセージを収集し、収集したメッセージを処理するために Rsyslog に転送します。systemd-journald デーモンは、以下のソースからメッセージを収集します。

  • カーネル
  • ブートプロセスの初期段階
  • 起動時および実行時のデーモンの標準出力とエラー
  • Syslog

Rsyslog サービスは、タイプおよび優先順で syslog のメッセージを分類し、/var/log ディレクトリー内のファイルに書き込みます。/var/log ディレクトリーは、ログメッセージを永続的に保存します。

1.11.2. syslog メッセージを保存するサブディレクトリー

/var/log ディレクトリー配下の以下のサブディレクトリーは、syslog メッセージを保存します。

  • /var/log/messages - 以下を除くすべての syslog メッセージ
  • /var/log/secure - セキュリティーおよび認証に関連するメッセージおよびエラー
  • /var/log/maillog - メールサーバーに関連するメッセージおよびエラー
  • /var/log/cron - 定期的に実行されるタスクに関連するログファイル
  • /var/log/boot.log - システムの起動に関連するログファイル

1.11.3. Web コンソールでログファイルの検査

以下の手順に従って、Web コンソールを使用してログファイルを検証します。

手順

  1. Red Hat Enterprise Linux 8 Web コンソールにログインします。

    詳細は「Web コンソールへのログイン」を参照してください。

  2. ログ をクリックします。

図1.2 RHEL 8 Web コンソールでログファイルの検査

CS でログ Web コンソールの表示

1.11.4. コマンドラインでログの表示

Journal は、ログファイルを表示および管理するのに役立つ systemd のコンポーネントです。従来のロギングに関連する問題に対応し、残りのシステムと密接に統合され、ログファイルのさまざまなロギングテクノロジーおよびアクセス管理をサポートします。

journalctl コマンドを使用すると、以下のようにコマンドラインを使用してシステムジャーナルのメッセージを表示できます。

$ journalctl -b | grep kvm
May 15 11:31:41 localhost.localdomain kernel: kvm-clock: Using msrs 4b564d01 and 4b564d00
May 15 11:31:41 localhost.localdomain kernel: kvm-clock: cpu 0, msr 76401001, primary cpu clock
...

表1.1 システム情報の表示

コマンド説明

journalctl

収集されたジャーナルエントリーをすべて表示します。

journalctl FILEPATH

特定のファイルに関連するログを表示します。たとえば、journalctl /dev/sda コマンドは、/dev/sda ファイルシステムに関連するログを表示します。

journalctl -b

現在のブートのログを表示します。

journalctl -k -b -1

現在のブートのカーネルログを表示します。

表1.2 特定のサービスの情報の表示

コマンド説明

journalctl -b _SYSTEMD_UNIT=foo

ログをフィルターして、「foo」のsystemd サービスに一致するものを表示します。

journalctl -b _SYSTEMD_UNIT=foo _PID=number

一致を組み合わせます。たとえば、このコマンドは、foo と PID 番号 に一致する systemd-units のログを表示します。

journalctl -b _SYSTEMD_UNIT=foo _PID=number + _SYSTEMD_UNIT=foo1

区切り文字「+」は、論理 OR の 2 つの式を組み合わせます。たとえば、以下のコマンドは、foo サービスプロセスからのメッセージをすべて PID で表示し、(プロセスのいずれかからの) foo1 サービスからのメッセージをすべて表示します。

journalctl -b _SYSTEMD_UNIT=foo _SYSTEMD_UNIT=foo1

このコマンドは、同じフィールドを参照するいずれかの式に一致するすべてのエントリーを表示します。このコマンドは、systemd-unit foo または systemd-unit foo1 に一致するログを表示します。

表1.3 特定のブートに関連するログの表示

コマンド説明

journalctl --list-boots

ブート番号、その ID、およびブートに関する最初のメッセージと最後のメッセージのタイムスタンプの表形式一覧が表示されます。以下のコマンドの ID を使用して詳細情報を表示できます。

journalctl --boot=ID _SYSTEMD_UNIT=foo

指定したブート ID に関する情報を表示します。

1.11.5. 関連情報

  • ログを記録するために Rsyslog を設定する方法は、8章リモートロギングソリューションの設定を参照してください。
  • man ページの journalctl(1)
  • systemd の詳細は、xref:managing-services-with-systemd_configuring-basic-system-settings を参照してください。

1.12. Red Hat サポートへのアクセス

本セクションでは、Red Hat サポートおよび sosreport を使用して問題を効果的にトラブルシューティングする方法を説明します。

Red Hat サポートを利用する場合は、Red Hat カスタマーポータル にアクセスしてください。カスタマーポータルでは、サブスクリプションで利用可能なものをすべて提供します。

1.12.1. Red Hat カスタマーポータルで利用できる Red Hat サポート

以下のセクションでは、Red Hat カスタマーポータルを使用してヘルプを取得する方法を説明します。

前提条件

  • Red Hat カスタマーポータルに有効なユーザーアカウントがある。「Red Hat ログインの作成」を参照してください。
  • RHEL システムに使用するアクティブなサブスクリプションがある。

手順

  1. Red Hat サポート にアクセスします。

    1. サポートケースを作成する
    2. Red Hat 専門スタッフとのライブチャットを開始する
    3. 電話または電子メールで Red Hat 専門スタッフに問い合わせる

1.12.2. sosreport を使用した問題のトラブルシューティング

sosreport コマンドは設定の詳細、システム情報、および診断情報を Red Hat Enterprise Linux システムから収集します。

次のセクションでは、sosreport コマンドを使用して、サポートケースのレポートを作成する方法を説明します。

前提条件

  • Red Hat カスタマーポータルに有効なユーザーアカウントがある。「Red Hat ログインの作成」を参照してください。
  • RHEL システムに使用するアクティブなサブスクリプションがある。
  • サポートケース番号。

手順

  1. sos パッケージをインストールするには、以下のコマンドを実行します。

    # yum install sos
    注記

    Red Hat Enterprise Linux のデフォルトの最小インストールには、sosreport コマンドを提供する sos パッケージが含まれません。

  2. レポートを生成します。

    # sosreport
  3. サポートケースにレポートを添付します。

    How can I attach a file to a Red Hat support case?」を参照してください。詳細は、Red Hat ナレッジベースの記事を参照してください。

    レポートを添付すると、関連するサポートケースの数の入力が求められます。

関連情報

第2章 ソフトウェアパッケージの管理

2.1. Red Hat Enterprise Linux 8 のソフトウェア管理ツール

RHEL 8 では、新しいバージョンの YUM ツール (YUM v4) がソフトウェアインストールを有効にします。これは、DNF テクノロジーに基づいています。

注記

アップストリームのドキュメントでは、技術が DNF として識別され、このツールはアップストリームの DNF と呼ばれます。これにより、RHEL 8 の新しい YUM ツールが返した出力で、DNF が表示されます。

RHEL 8 で使用される YUM v4DNF に基づいていますが、RHEL 7 で使用される YUM v3 と互換性があります。ソフトウェアをインストールする場合は、yum コマンドとそのオプションのほとんどが、RHEL 7 で実行したように RHEL 8 で機能します。

選択した yum プラグインおよびユーティリティーは、新しい DNF バックエンドに移植されており、RHEL 7 と同じ名前でインストールできます。パッケージは互換性を持ったシンボリックリンクを提供するため、バイナリー、設定ファイル、ディレクトリーは通常の場所で確認できます。

YUM v3 が提供する以前の Python API は利用できなくなりました。YUM v4 (DNF Python API) が提供する安定し、完全に対応する新しい API に、使用しているプラグインおよびスクリプトを移行できます。詳細は、「DNF API Reference」を参照してください。

2.2. アプリケーションストリーム

Red Hat Enterprise Linux 8 では、アプリケーションストリームの概念が導入されました。ユーザー空間コンポーネントのバージョンは複数配信され、コアオペレーティングシステムのパッケージよりも頻繁に更新されるようになりました。これによりプラットフォームや特定のデプロイメントの基本的な安定性に影響を及ぼすことなく、Red Hat Enterprise Linux をカスタマイズする柔軟性が向上します。

アプリケーションストリームとして使用できるコンポーネントは、モジュールまたは RPM パッケージとしてパッケージ化され、Red Hat Enterprise Linux 8 の AppStream リポジトリーを介して配信されます。各アプリケーションストリームには、特定のアプリケーションにより適した、RHEL 8 と同じか、より短いライフサイクルが指定されています。ライフサイクルが短いアプリケーションストリームは、「Red Hat Enterprise Linux 8 Application Streams ライフサイクル」ページに記載されています。

モジュールは、論理ユニット (アプリケーション、言語スタック、データベース、またはツールセット) を表すパッケージの集まりです。これらのパッケージはまとめてビルドされ、テストされ、そしてリリースされます。

モジュールストリームは、アプリケーションストリームコンポーネントのバージョンを表します。たとえば、postgresql モジュールでは 2 つのストリーム (バージョン) の PostgreSQL データベースサーバー、つまり PostgreSQL 10 (デフォルトストリーム) および PostgreSQL 9.6 が利用できます。システムにインストールできるモジュールストリームは 1 つだけです。複数のコンテナーで異なるバージョンを使用できます。

詳細なモジュールコマンドは『ユーザー空間コンポーネントのインストール、管理、および削除』を参照してください。AppStream で利用可能なモジュールの一覧は『パッケージマニフェスト』を参照してください。

2.3. ソフトウェアパッケージの検索

yum を使用すると、ソフトウェアパッケージの完全な操作セットを実行できます。

以下のセクションでは、yum を使用して以下を行う方法を説明します。

  • パッケージを検索します。
  • パッケージを一覧表示します。
  • リポジトリーを一覧表示します。
  • パッケージに関する情報を表示します。
  • パッケージグループを一覧表示します。
  • yum input で glob 表現を指定します。

2.3.1. yum を使用したパッケージの検索

  • パッケージを検索するには、以下を使用します。

    # yum search term

    term を、パッケージに関連する用語に置き換えます。

    yum search コマンドは、パッケージの名前と概要内で用語の一致を返すことに注意してください。これにより、検索が速くなり、名前が分からないものの、関連用語が分かっているパッケージの検索が可能になります。

  • パッケージの説明に一致する用語を含めるには、以下を使用します。

    # yum search --all term

    term を、パッケージ名、概要、または説明で検索する用語に置き換えます。

    yum search --all はより完全な検索を可能にしますが、速度が遅くなることに注意してください。

2.3.2. yum を使用したパッケージの一覧表示

  • インストール済みで利用可能なパッケージの情報をすべて表示するには、次のコマンドを実行します。

    # yum list --all
  • システムにインストールされているパッケージの一覧を表示するには、以下のコマンドを使用します。

    # yum list --installed
  • インストール可能なすべての有効なリポジトリーのパッケージを一覧表示するには、以下を使用します。

    # yum list --available

glob 表現を引数として追加して結果をフィルターできることに注意してください。詳細は「yum input での glob 表現の指定」を参照してください。

2.3.3. yum を使用したリポジトリーの一覧表示

  • システムで有効なリポジトリーの一覧を表示するには、以下を使用します。

    # yum repolist
  • システムで無効にしたリポジトリーの一覧を表示するには、以下を使用します。

    # yum repolist --disabled
  • 有効および無効なリポジトリーの両方を一覧表示するには、以下を使用します。

    # yum repolist --all
  • リポジトリーに関する追加情報を一覧表示するには、以下を使用します。

    # yum repoinfo

リポジトリーの ID または名前を引数として渡すか、glob 表現を追加して結果をフィルタリングできます。詳細は「yum input での glob 表現の指定」を参照してください。

2.3.4. yum でパッケージ情報の表示

  • パッケージに関する情報を表示するには、以下を使用します。

    # yum info package-name

    package-name を、パッケージ名に置き換えます。

glob 表現を引数として追加して結果をフィルターできることに注意してください。詳細は「yum input での glob 表現の指定」を参照してください。

2.3.5. yum を使用したパッケージグループの一覧表示

  • インストール済みおよび利用可能なグループの数を表示するには、以下を使用します。

    # yum group summary
  • インストール済みおよび利用可能なグループの一覧を表示するには、以下のコマンドを使用します。

    # yum group list

    yum group list コマンドのコマンドラインオプション (--hidden--available) を追加して結果をフィルタリングできます。利用可能なオプションの詳細は、man ページを参照してください。

  • 特定のグループに含まれている必須および任意のパッケージを一覧表示するには、次のコマンドを実行します。

    # yum group info group-name

    group-name を、グループ名に置き換えます。

glob 表現を引数として追加して結果をフィルターできることに注意してください。詳細は「yum input での glob 表現の指定」を参照してください。

2.3.6. yum input での glob 表現の指定

yum コマンドでは、1 つ以上の glob 表現 を引数として追加することで、結果をフィルタリングできます。yum コマンドに引数として渡されると glob 表現がエスケープされる必要があります。確実に glob 表現を yum に渡すには、以下のいずれかの方法で行います。

  • glob 表現全体を二重引用符または単一引用符でくくる

    # yum provides "*/file-name"

    file-name を、ファイルの名前に置き換えます。

  • ワイルドカード文字の前にバックスラッシュ記号 (\) を入力して、ワイルドカード文字をエスケープする

    # yum provides \*/file-name

    file-name を、ファイルの名前に置き換えます。

2.4. ソフトウェアパッケージのインストール

以下のセクションでは、yum を使用して以下を行う方法を説明します。

  • パッケージをインストールします。
  • パッケージグループをインストールします。
  • yum input にパッケージ名を指定します。

2.4.1. yum を使用したパッケージのインストール

  • パッケージとすべてのパッケージ依存関係をインストールするには、以下を使用します。

    # yum install package-name

    package-name を、パッケージ名に置き換えます。

  • 複数のパッケージとその依存関係を同時にインストールするには、以下を使用します。

    # yum install package-name-1 package-name-2

    package-name-1 および package-name-2 を、パッケージ名に置き換えます。

  • multilib システムにパッケージをインストールする場合は (AMD64、Intel 64 マシン)、パッケージ名に追加することで、パッケージのアーキテクチャーを指定できます。

    # yum install package-name.arch

    package-name.arch を、パッケージの名前およびアーキテクチャーに置き換えます。

  • インストールするバイナリーの名前を知っているが、パッケージ名が分からない場合は、引数としてバイナリーへのパスを使用できます。

    # yum install /usr/sbin/binary-file

    /usr/sbin/binary-file をバイナリーファイルへのパスに置き換えます。

    yum はパッケージ一覧で検索を行い、/usr/sbin/binary-file を提供するパッケージを探します。パッケージが見つかると、そのパッケージをインストールするかどうかを尋ねられます。

  • ローカルディレクトリーからダウンロード済みのパッケージをインストールするには、以下を使用します。

    # yum install /path/

    /path/ を、パッケージへのパスに置き換えます。

引数の解析方法を明示的に定義することで、パッケージ検索を最適化できます。詳細は「yum 入力でのパッケージ名の指定」を参照してください。

2.4.2. yum を使用したパッケージグループのインストール

  • パッケージグループをグループ名でインストールするには、以下を使用します。

    # yum group install group-name

    または

    # yum install @group-name

    group-name を、グループまたは環境グループのフルネームに置き換えます。

  • groupID でパッケージグループをインストールするには、以下を使用します。

    # yum group install groupID

    groupID を、グループの ID に置き換えます。

2.4.3. yum 入力でのパッケージ名の指定

インストールと削除のプロセスを最適化するには、yum install コマンド、および yum remove コマンドに -n-na、または -nerva 接尾辞を追加して、引数の分析方法を明示的に定義できます。

  • 正確な名前を使用してパッケージをインストールするには、以下を使用します。

    # yum install-n name

    name を、パッケージの正確な名前に置き換えます。

  • 正確な名前およびアーキテクチャーを使用してパッケージをインストールするには、以下を使用します。

    # yum install-na name.architecture

    name および architecture を、パッケージの正確な名前およびアーキテクチャーに置き換えます。

  • 正確な名前、エポック、バージョン、リリース、およびアーキテクチャーを使用してパッケージをインストールするには、以下を使用します。

    # yum install-nevra name-epoch:version-release.architecture

    nameepochversionrelease、および architecture を、パッケージの正確な名前、エポック、バージョン、リリース、およびアーキテクチャーに置き換えます。

2.5. ソフトウェアパッケージの更新

yum を使用すると、システムに保留中の更新があるかどうかを確認できます。更新が必要なパッケージを一覧表示し、1 つのパッケージ、複数のパッケージ、またはすべてのパッケージを一度に更新するために選択できます。更新するパッケージに依存関係がある場合は、それらも更新されます。

以下のセクションでは、yum を使用して以下を行う方法を説明します。

  • 更新の有無を確認します。
  • 1 つのパッケージを更新します。
  • パッケージグループを更新します。
  • すべてのパッケージとその依存関係を更新します。
  • セキュリティー更新を適用します。
  • ソフトウェアの更新を自動化します。

2.5.1. yum を使用した更新の確認

  • システムにインストールしたパッケージで利用可能な更新を確認するには、以下のコマンドを実行します。

    # yum check-update

    このコマンドは、更新が利用可能なパッケージおよびその依存関係の一覧を表示します。

2.5.2. yum を使用した単一パッケージの更新

  • パッケージを更新するには、以下を使用します。

    # yum update package-name

    package-name を、パッケージ名に置き換えます。

重要

カーネルの更新を適用する場合、yum は、yum update コマンドまたは yum install コマンドを使用しているかどうかに関わらず、新しいカーネルを常に インストール します。

2.5.3. yum を使用したパッケージグループの更新

  • パッケージグループを更新するには、以下を使用します。

    # yum group update group-name

    group-name を、パッケージグループの名前に置き換えます。

2.5.4. yum ですべてのパッケージとその依存関係の更新

  • すべてのパッケージとその依存関係を更新するには、次のコマンドを実行します。

    # yum update

2.5.6. ソフトウェア更新の自動化

パッケージの更新の確認とダウンロードを定期的に行うには、dnf-automatic パッケージの DNF Automatic ツールを使用できます。

DNF Automatic は、systemd タイマー、cron ジョブ、その他のツールを使用した自動実行および定期実行に適した yum の代替コマンドラインインターフェースです。

DNF Automatic は、必要に応じてパッケージのメタデータを同期し、利用できる更新を確認します。その後、このツールは、設定方法に応じて以下のアクションのいずれかを実行できます。

  • 終了
  • 更新済みパッケージのダウンロード
  • 更新のダウンロードおよび適用

その後、標準出力やメールなど、選択したメカニズムによって操作の結果が報告されます。

2.5.6.1. DNF Automatic のインストール

以下の手順では、DNF Automatic ツールをインストールする方法を説明します。

手順

  • dnf-automatic パッケージをインストールするには、次のコマンドを実行します。

    # yum install dnf-automatic

検証手順

  • インストールが成功したことを確認するには、以下のコマンドを実行して dnf-automatic パッケージが存在することを確認します。

    # rpm -qi dnf-automatic

2.5.6.2. dnf Automatic 設定ファイル

デフォルトでは、DNF Automatic は、動作を定義するための設定ファイルとして /etc/dnf/automatic.conf を使用します。

設定ファイルは、以下のトピックセクションに分かれています。

  • [commands] セクション

    DNF Automatic の操作モードを設定します。

  • [emitters] セクション

    DNF Automatic の結果が報告される方法を定義します。

  • [command_email] セクション

    電子メールの送信に使用する外部コマンドのメールエミッター設定を提供します。

  • [email] セクション

    電子メールエミッターの設定を提供します。

  • [base] セクション

    yum の主な設定ファイルの設定を上書きします。

/etc/dnf/automatic.conf のデフォルト設定では、DNF Automatic は、利用可能な更新を自動的にチェックし、ダウンロードして、結果を標準出力として報告します。

警告

[commands] セクションの操作モードの設定は、dnf-automatic.timer 以外のすべてのタイマーユニットに対して、systemd タイマーユニットで使用される設定によって上書きされます。

関連情報

2.5.6.3. DNF Automatic の有効化

DNF Automatic を実行するには、常に特定の systemd タイマーユニットを有効にして起動する必要があります。dnf-automatic パッケージで提供されるタイマーユニットのいずれかを使用するか、必要に応じて独自のタイマーユニットを作成することができます。

以下のセクションでは、DNF Automatic を有効にする方法を説明します。

前提条件

  • /etc/dnf/automatic.conf 設定ファイルを変更して、DNF Automatic の動作を指定している。

DNF Automatic 設定ファイルの詳細は、セクション 2.5.6.2、『DNF Automatic 設定ファイル』を参照してください。

手順

  • ニーズに合った systemd タイマーユニットを選択し、有効して開始します。

    # systemctl enable --now <unit>

    ここで、<unit> は以下のタイマーのいずれかになります。

    • dnf-automatic-download.timer
    • dnf-automatic-install.timer
    • dnf-automatic-notifyonly.timer
    • dnf-automatic.timer

利用可能な更新の ダウンロード の場合は、次のコマンドを使用します。

# systemctl enable dnf-automatic-download.timer
# systemctl start dnf-automatic-download.timer

利用可能な更新の ダウンロードとインストール の場合は、次のコマンドを使用します。

# systemctl enable dnf-automatic-install.timer
# systemctl start dnf-automatic-install.timer

利用可能な更新の 報告 の場合は、次のコマンドを使用します。

# systemctl enable dnf-automatic-notifyonly.timer
# systemctl start dnf-automatic-notifyonly.timer

必要に応じて、以下を使用できます。

# systemctl enable dnf-automatic.timer
# systemctl start dnf-automatic.timer

更新のダウンロードおよび適用に関して、このタイマーユニットは /etc/dnf/automatic.conf 設定ファイルの設定に応じて動作します。デフォルトの動作は dnf-automatic-download.timerに 似ています。更新されたパッケージをダウンロードしますが、インストールはしません。

注記

別の方法として、/usr/bin/dnf-automatic ファイルをコマンドラインまたはカスタムスクリプトから直接実行して、DNF Automatic も実行できます。

検証手順

  • タイマーが有効になっていることを確認するには、次のコマンドを実行します。

    # systemctl status <systemd timer unit>

関連情報

2.5.6.4. dnf-automatic パッケージに含まれる systemd タイマーユニットの概要

systemd タイマーユニットが優先され、更新のダウンロードと適用に関する /etc/dnf/automatic.conf 設定ファイルの設定を上書きします。

たとえば、以下を設定します。

download_updates = yes

/etc/dnf/automatic.conf 設定ファイルでは、dnf-automatic-notifyonly.timer ユニットをアクティベートしていても、パッケージはダウンロードされません。

dnf-automatic パッケージには、次の systemd タイマーユニットが含まれます。

タイマーユニット機能/etc/dnf/automatic.conf ファイルの設定を上書きするか。

dnf-automatic-download.timer

キャッシュにパッケージをダウンロードし、更新を利用できるようにします。

注記: このタイマーユニットは更新したパッケージをインストールしません。インストールを実行するには、dnf update コマンドを実行する必要があります。

はい

dnf-automatic-install.timer

更新したパッケージをダウンロードしてインストールします。

はい

dnf-automatic-notifyonly.timer

リポジトリーデータのみをダウンロードして、リポジトリーキャッシュを最新の状態に維持し、利用可能な更新について通知します。

注記: このタイマーユニットは、更新されたパッケージをダウンロードまたはインストールしません。

はい

dnf-automatic.timer

更新のダウンロードと適用に関するこのタイマーの動作は、/etc/dnf/automatic.conf 設定ファイルの設定で指定されます。

デフォルトの動作は、dnf-automatic-download.timer ユニットと同じです。パッケージのみをダウンロードしますが、インストールは行いません。

いいえ

関連情報

  • dnf-automatic タイマーの詳細は、man ページ man dnf-automatic を参照してください。
  • /etc/dnf/automatic.conf 設定ファイルの詳細は、セクション 2.5.6.2.「DNF Automatic 設定ファイル」を参照してください。

2.6. ソフトウェアパッケージのアンインストール

以下のセクションでは、yum を使用して以下を行う方法を説明します。

  • パッケージを削除します。
  • パッケージグループを削除します。
  • yum input にパッケージ名を指定します。

2.6.1. yum を使用したパッケージの削除

  • 特定のパッケージおよび依存パッケージをすべて削除するには、以下を使用します。

    # yum remove package-name

    package-name を、パッケージ名に置き換えます。

  • 複数のパッケージとその依存関係を同時に削除するには、以下を使用します。

    # yum remove package-name-1 package-name-2

    package-name-1 および package-name-2 を、パッケージ名に置き換えます。

注記

yum は、依存パッケージを削除せずにパッケージを削除できません。

引数の解析方法を明示的に定義することで、パッケージ検索を最適化できます。詳細は「yum 入力でのパッケージ名の指定」を参照してください。

2.6.2. yum を使用したパッケージグループの削除

  • パッケージグループをグループ名で削除するには、以下を使用します。

    # yum group remove group-name

    または

    # yum remove @group-name

    group-name を、グループの完全な名前に置き換えます。

  • groupID でパッケージグループを削除するには、以下を使用します。

    # yum group remove groupID

    groupID を、グループの ID に置き換えます。

2.6.3. yum 入力でのパッケージ名の指定

インストールと削除のプロセスを最適化するには、yum install コマンド、および yum remove コマンドに -n-na、または -nerva 接尾辞を追加して、引数の分析方法を明示的に定義できます。

  • 正確な名前を使用してパッケージをインストールするには、以下を使用します。

    # yum install-n name

    name を、パッケージの正確な名前に置き換えます。

  • 正確な名前およびアーキテクチャーを使用してパッケージをインストールするには、以下を使用します。

    # yum install-na name.architecture

    name および architecture を、パッケージの正確な名前およびアーキテクチャーに置き換えます。

  • 正確な名前、エポック、バージョン、リリース、およびアーキテクチャーを使用してパッケージをインストールするには、以下を使用します。

    # yum install-nevra name-epoch:version-release.architecture

    nameepochversionrelease、および architecture を、パッケージの正確な名前、エポック、バージョン、リリース、およびアーキテクチャーに置き換えます。

2.7. ソフトウェアパッケージグループの管理

パッケージグループは、共通の目的 (システムツールサウンドとビデオ) でサービスを行うパッケージの集合です。パッケージグループをインストールすると、依存パッケージも取得するため、時間が大幅に短縮できます。

以下のセクションでは、yum を使用して以下を行う方法を説明します。

  • パッケージグループを一覧表示します。
  • パッケージグループをインストールします。
  • パッケージグループを削除します。
  • yum input で glob 表現を指定します。

2.7.1. yum を使用したパッケージグループの一覧表示

  • インストール済みおよび利用可能なグループの数を表示するには、以下を使用します。

    # yum group summary
  • インストール済みおよび利用可能なグループの一覧を表示するには、以下のコマンドを使用します。

    # yum group list

    yum group list コマンドのコマンドラインオプション (--hidden--available) を追加して結果をフィルタリングできます。利用可能なオプションの詳細は、man ページを参照してください。

  • 特定のグループに含まれている必須および任意のパッケージを一覧表示するには、次のコマンドを実行します。

    # yum group info group-name

    group-name を、グループ名に置き換えます。

glob 表現を引数として追加して結果をフィルターできることに注意してください。詳細は「yum input での glob 表現の指定」を参照してください。

2.7.2. yum を使用したパッケージグループのインストール

  • パッケージグループをグループ名でインストールするには、以下を使用します。

    # yum group install group-name

    または

    # yum install @group-name

    group-name を、グループまたは環境グループのフルネームに置き換えます。

  • groupID でパッケージグループをインストールするには、以下を使用します。

    # yum group install groupID

    groupID を、グループの ID に置き換えます。

2.7.3. yum を使用したパッケージグループの削除

  • パッケージグループをグループ名で削除するには、以下を使用します。

    # yum group remove group-name

    または

    # yum remove @group-name

    group-name を、グループの完全な名前に置き換えます。

  • groupID でパッケージグループを削除するには、以下を使用します。

    # yum group remove groupID

    groupID を、グループの ID に置き換えます。

2.7.4. yum input での glob 表現の指定

yum コマンドでは、1 つ以上の glob 表現 を引数として追加することで、結果をフィルタリングできます。yum コマンドに引数として渡されると glob 表現がエスケープされる必要があります。確実に glob 表現を yum に渡すには、以下のいずれかの方法で行います。

  • glob 表現全体を二重引用符または単一引用符でくくる

    # yum provides "*/file-name"

    file-name を、ファイルの名前に置き換えます。

  • ワイルドカード文字の前にバックスラッシュ記号 (\) を入力して、ワイルドカード文字をエスケープする

    # yum provides \*/file-name

    file-name を、ファイルの名前に置き換えます。

2.8. パッケージ管理履歴の処理

yum history コマンドを使用すると、yum トランザクションのタイムライン、トランザクションの発生日時、影響を受けたパッケージ数、トランザクション成功の有無、RPM データベースがトランザクション間で変更されたかどうかなどに関する情報を確認できます。また、yum history コマンドを使用してトランザクションを元に戻すか、やり直すこともできます。

以下のセクションでは、yum を使用して以下を行う方法を説明します。

  • トランザクションを一覧表示します。
  • トランザクションを元に戻します。
  • トランザクションを繰り返します。
  • yum input で glob 表現を指定します。

2.8.1. yum を使用したトランザクションの一覧表示

  • 最新の yum トランザクションの一覧を表示するには、以下を使用します。

    # yum history
  • 選択したパッケージの最新操作の一覧を表示するには、以下を使用します。

    # yum history list package-name

    package-name を、パッケージ名に置き換えます。glob 表現を追加して、コマンドの出力をフィルタリングできます。詳細は「yum input での glob 表現の指定」を参照してください。

  • 特定のトランザクションを調べるには、以下を使用します。

    # yum history info transactionID

    transactionID をトランザクションの ID に置き換えます。

2.8.2. yum を使用したトランザクションの元に戻す

  • 特定のトランザクションを元に戻すには、以下を使用します。

    # yum history undo transactionID

    transactionID をトランザクションの ID に置き換えます。

  • 最後のトランザクションを元に戻すには、以下を使用します。

    # yum history undo last

yum history undo コマンドは、トランザクション中に実行されたステップのみを元に戻すことに注意してください。トランザクションが新しいパッケージをインストールすると、yum history undo コマンドはこれをアンインストールします。パッケージをアンインストールしたトランザクションでは、yum history undo コマンドが再インストールされます。また、yum history undo は、古いパッケージがまだ利用可能な場合は、更新されたパッケージをすべて以前のバージョンにダウングレードしようとします。

2.8.3. yum を使用したトランザクションの繰り返し

  • 特定のトランザクションを繰り返すには、以下を使用します。

    # yum history redo transactionID

    transactionID をトランザクションの ID に置き換えます。

  • 最後のトランザクションを繰り返すには、以下を使用します。

    # yum history redo last

yum history redo コマンドは、トランザクション中に実行されたステップのみを繰り返すことに注意してください。

2.8.4. yum input での glob 表現の指定

yum コマンドでは、1 つ以上の glob 表現 を引数として追加することで、結果をフィルタリングできます。yum コマンドに引数として渡されると glob 表現がエスケープされる必要があります。確実に glob 表現を yum に渡すには、以下のいずれかの方法で行います。

  • glob 表現全体を二重引用符または単一引用符でくくる

    # yum provides "*/file-name"

    file-name を、ファイルの名前に置き換えます。

  • ワイルドカード文字の前にバックスラッシュ記号 (\) を入力して、ワイルドカード文字をエスケープする

    # yum provides \*/file-name

    file-name を、ファイルの名前に置き換えます。

2.9. ソフトウェアリポジトリーの管理

yum および関連ユーティリティーの設定情報は /etc/yum.conf ファイルに保存されます。このファイルには [repository] セクションが含まれています.このセクションでは、リポジトリー固有のオプションを設定できます。

/etc/yum.repos.d/ ディレクトリーにある、新規または既存の .repo ファイルに個々のリポジトリーを定義することが推奨されます。

/etc/yum.conf ファイルの各 [repository] セクションで定義した値は、[main] セクションに設定した値をオーバーライドします。

以下のセクションでは、以下を行う方法を説明します。

  • [repository] オプションを設定します。
  • yum リポジトリーを追加します。
  • yum リポジトリーを有効にします。
  • yum リポジトリーを無効にします。

2.9.1. Yum リポジトリーオプションの設定

/etc/yum.conf 設定ファイルには [repository] セクションが含まれます。repository は一意のリポジトリー ID です。[repository] セクションを使用すると、個々の yum リポジトリーを定義できます。

注記

競合を回避するために、Red Hat リポジトリーで使用されるカスタムリポジトリー名を指定しないでください。

利用可能な [repository] オプションの完全なリストは、man ページの yum.conf(5) の [repository] OPTIONS セクションを参照してください。

2.9.2. yum リポジトリーの追加

新規リポジトリーを定義するには、以下を行います。

  • [repository] セクションを /etc/yum.conf ファイルに追加します。
  • /etc/yum.repos.d/ ディレクトリーの .repo ファイルに [repository] セクションを追加します。

    yum リポジトリーは、一般的に .repo ファイルを提供します。

注記

このディレクトリーにある、.repo ファイル拡張子が付いたすべてのファイルを yum が読み取るため、リポジトリーは、/etc/yum.conf ではなく、.repo ファイルに定義することが推奨されます。

  • システムにリポジトリーを追加して有効にするには、以下を使用します。

    # yum-config-manager --add-repo repository_URL

    repository_url を、リポジトリーを参照する URL に置き換えます。

警告

ソフトウェアパッケージを、Red Hat の認証ベース Content Delivery Network (CDN) 以外の未検証または信頼できないソースから取得してインストールする場合には、セキュリティー上のリスクが伴います。セキュリティー、安定性、互換性、保全性に関する問題につながる恐れがあります。

2.9.3. yum リポジトリーの有効化

  • リポジトリーを有効にするには、以下を使用します。

    # yum-config-manager --enable repositoryID

    repositoryID を一意のリポジトリー ID に置き換えます。

    利用可能なリポジトリー ID を一覧表示するには、「yum を使用したパッケージの一覧表示」を参照してください。

2.9.4. yum リポジトリーの無効化

  • yum リポジトリーを無効にするには、以下のコマンドを使用します。

    # yum-config-manager --disable repositoryID

    repositoryID を一意のリポジトリー ID に置き換えます。

    利用可能なリポジトリー ID を一覧表示するには、「yum を使用したパッケージの一覧表示」を参照してください。

2.10. yum の設定

yum および関連ユーティリティーの設定情報は /etc/yum.conf ファイルに保存されます。このファイルには、必須の [main] セクションが含まれています。これにより、グローバルな効果のある yum オプションを設定できます。

以下のセクションでは、以下を行う方法を説明します。

  • 現在の yum 設定を表示します。
  • yum [main] オプションを設定します。
  • yum プラグインを使用します。

2.10.1. 現在の yum 設定の表示

  • /etc/yum.conf ファイルの [main] セクションで指定されるグローバル yum オプションの現在の値を表示するには、以下を使用します。

    # yum config-manager --dump

2.10.2. yum メインオプションの設定

/etc/yum.conf 設定ファイルには [main] セクションが含まれています。本セクションの鍵と値のペアは、yum の作動方法とリポジトリーの処理方法に影響します。

/etc/yum.conf[main] セクションの下に、オプションを追加できます。

利用可能な [main] オプションの詳細なリストは、man ページの yum.conf(5) の [main] OPTIONS セクションを参照してください。

2.10.3. yum プラグインの使用

yum は、その操作を拡張し、強化するプラグインを提供します。特定のプラグインが、デフォルトでインストールされています。

以下のセクションでは、yum プラグインを有効、設定、および無効にする方法を説明します。

2.10.3.1. yum プラグインの管理

プラグイン設定ファイルには常に [main] セクションが含まれます。このセクションでは、enabled= オプションで、yum コマンドを実行する際にプラグインを有効にするかどうかを制御します。このオプションがファイルに含まれていない場合は手動で追加できます。

/etc/dnf/plugins/ ディレクトリーには、インストールしているすべてのプラグインに対する設定ファイルがあります。これらのファイルでは、プラグイン固有のオプションを有効または無効にすることができます。

2.10.3.2. yum プラグインの有効化

  • すべての yum プラグインを有効にするには、以下を実行します。

    1. plugins= で始まる行が /etc/yum.conf ファイルの [main] セクションにあることを確認します。
    2. plugins= の値を 1 に設定します。

      plugins=1

2.10.3.3. yum プラグインの無効化

  • yum プラグインをすべて無効にするには、以下を実行します。

    1. plugins= で始まる行が /etc/yum.conf ファイルの [main] セクションにあることを確認します。
    2. plugins= の値を 0 に設定します。

      plugins=0
      重要

      すべてのプラグインを無効にすることは推奨され ません。特定のプラグインは、重要な yum サービスを提供します。その中でも product-id プラグインおよび subscription-manager プラグインは、証明書ベースの Content Delivery Network (CDN) への対応に必要です。システム全体でプラグインを無効にすることは簡単にできますが、通常は yum に潜在的な問題があると判断された場合に限り使用することが推奨されます。

  • 特定のコマンドで yum プラグインをすべて無効にするには、--noplugins オプションをコマンドに追加します。

    # yum --noplugins update
  • 1 つのコマンドで特定の yum プラグインを無効にするには、--disableplugin=plugin-name オプションをコマンドに追加します。

    # yum update --disableplugin=plugin-name

    plugin-name をプラグインの名前に置き換えます。

第3章 systemd によるサービス管理

3.1. systemd の概要

systemd は、Linux オペレーティングシステム用のシステムおよびサービスのマネージャーです。SysV init スクリプトと後方互換するように設計されており、システム起動時のシステムサービスの並行スタートアップや、デーモンのオンデマンドのアクティベーション、依存関係ベースのサービス制御論理などの多くの機能を提供します。Red Hat Enterprise Linux 7 以降、systemd は、Upstart に代わるデフォルトの init システムです。

systemd は、systemd unit の概念を導入します。このユニットは、次の表に挙げられているディレクトリーのいずれかにあるユニット設定ファイルで示されます。

表3.1 systemd のユニットファイルの場所

ディレクトリー説明

/usr/lib/systemd/system/

インストール済みの RPM パッケージで配布された systemd のユニットファイル。

/run/systemd/system/

ランタイム時に作成された systemd ユニットファイル。このディレクトリーは、インストール済みのサービスのユニットファイルのディレクトリーよりも優先されます。

/etc/systemd/system/

systemctl enable で作成された systemd ユニットファイル、およびサービス拡張向けに追加されたユニットファイル。このディレクトリーは、runtime のユニットファイルのディレクトリーよりも優先されます。

ユニットは、次の情報をカプセル化します。

  • システムサービス
  • ソケットのリッスン
  • init システムに関連するその他のオブジェクト

利用可能な systemd のユニットタイプの完全なリストは、次の表を参照してください。

表3.2 利用可能な systemd のユニットタイプ

ユニットのタイプファイルの拡張子説明

サービスユニット

.service

システムサービス

ターゲットユニット

.target

systemd ユニットのグループ

自動マウントユニット

.automount

ファイルシステムの自動マウントポイント

デバイスユニット

.device

カーネルが認識するデバイスファイル

マウントユニット

.mount

ファイルシステムのマウントポイント

パスユニット

.path

ファイルシステム内のファイルまたはディレクトリー

スコープユニット

.scope

外部作成のプロセス

スライスユニット

.slice

システムプロセスを管理する、階層的に構成されたユニットのグループ

ソケットユニット

.socket

プロセス間の通信ソケット

スワップユニット

.swap

スワップデバイスまたはスワップファイル

タイマーユニット

.timer

systemd タイマー

system.conf を使用してデフォルトの systemd 設定の上書き

systemd のデフォルト設定はコンパイル中に定義され、/etc/systemd/system.conf にある systemd 設定ファイルで確認できます。ここに記載されるデフォルトではなく、systemd ユニットでグローバルに選択したデフォルト値を上書きする場合は、このファイルを使用します。

たとえば、タイムアウト制限のデフォルト値 (90 秒) を上書きする場合は、DefaultTimeoutStartSec パラメータを使用して、上書きする値を秒単位で入力します。

DefaultTimeoutStartSec=required value

詳細は例3.20「タイムアウト制限の変更」を参照してください。

3.1.1. 主な特長

systemd システムおよびサービスマネージャーの主な機能は、以下のようになります。

  • ソケットベースのアクティベーション - システムの起動時に、systemd は、このタイプのアクティベーションに対応するすべてのシステムサービスに対してリスニングソケットを作成し、サービスが開始するとすぐにこのソケットをサービスに渡します。これで systemd がサービスを同時に開始できるだけでなく、サービスが利用できない時に送信されたメッセージを失うことなくサービスの再起動が可能になります。 これは、対応するソケットがアクセス可能なままで、すべてのメッセージがキューに登録されるためです。

    systemd は、ソケットベースの有効化に ソケットユニット を使用します。

  • バスベースのアクティベーション - プロセス間の通信に D-Bus を使用するシステムサービスは、クライアントアプリケーションがシステムサービスとの通信を初めて試みる時にオンデマンドで開始します。systemd は、バスベースのアクティベーションに D-Bus サービスファイル を使用します。
  • デバイスベースのアクティベーション - デバイスベースのアクティベーションをサポートするシステムサービスは、特定のタイプのハードウェアがプラグインするか利用可能になると、オンデマンドで開始できます。Systemd は、デバイスベースのアクティベーションに、デバイスユニット を使用します。
  • パスベースのアクティベーション - パスベースのアクティベーションをサポートするシステムサービスは、特定のファイルまたはディレクトリーのステータスが変更になると、オンデマンドで開始できます。Systemd は、パスベースのアクティベーションに パスユニット を使用します。
  • マウントおよび自動マウントポイント管理 - systemd は、マウントポイントおよび自動マウントポイントを監視および管理します。systemd は、マウントポイントに マウントユニット を使用し、自動マウントポイントに 自動マウントユニット を使用します。
  • アグレッシブな並列化 - ソケットベースのアクティベーションを使用するため、systemd はすべてのリスニングソケットが配置されるとすぐに、システムサービスを同時に開始できます。並列アクティベーションは、オンデマンドのアクティベーションをサポートするシステムサービスと組み合わせることで、システムの起動に必要な時間を大幅に短縮します。
  • トランザクション性のあるユニットのアクティベーション論理 - ユニットをアクティブまたは非アクティブにする前に、systemd はその依存関係を計算して、一時的なトランザクションを作成し、このトランザクションの一貫性を検証します。トランザクションに一貫性がない場合、systemd は自動的にこれを正そうとし、エラーをレポートする前に必須ではないジョブを削除しようと試みます。
  • SysV init との後方互換性 - Linux Standard Base Core Specification にあるように、systemd は SysV init スクリプトに対応しています。これにより、systemd サービスのユニットへのアップグレードが容易になります。

3.1.2. 互換性の変更点

systemd システムおよびサービスマネージャーは、その大部分が SysV init および Upstart と互換性があるように設計されています。以下では、SysV init を使用していた Red Hat Enterprise Linux 6 システムと比較して、互換性について最も重要な変更点を挙げています。

  • systemd のランレベルのサポートは限定的なものです。ランレベルに直接マッピング可能なターゲットユニットを数多く提供し、互換性のために以前の runlevel コマンドで配布されます。ただし、systemd ターゲットのすべてがランレベルに直接マッピングできるわけではないため、このコマンドが不明なランレベルを示す N を返す場合もあります。可能な場合は、runlevel コマンドの使用を避けることが推奨されます。
    systemd ターゲットの詳細と、ランレベルとの比較は「systemd ターゲットでの作業」を参照してください。
  • systemctl ユーティリティーは、カスタマイズされたコマンドをサポートしません。SysV init スクリプトでは、startstopstatus といった標準のコマンドのほかに、任意のコマンドを実装して多くの機能を提供できます。たとえば、iptables の init スクリプトは、panic コマンドで実行できます。これにより、パニックモードが即座に有効になり、システムを再設定して受信パケットおよび送信パケットをすべて切断します。これは systemd ではサポートされておらず、systemctl は文書化されたコマンドのみ受け付けます。

    systemctl ユーティリティー、および以前の service ユーティリティーとの比較は、表3.3「service ユーティリティーと systemctl の比較」 を参照してください。

  • systemctl ユーティリティーは、systemd が開始していないサービスとは通信しません。systemd がシステムサービスを開始すると、メインプロセスの ID を保存して、メインプロセスを追跡します。すると、systemctl ユーティリティーがこの PID を使用してクエリーを行い、サービスを管理します。このため、ユーザーがコマンドラインで特定のデーモンを直接開始すると、systemctl がそのデーモンの最新の状態を判断したり、停止したりすることができません。
  • systemd が停止するのは、実行中のサービスのみです。Red Hat Enterprise Linux 6 以前のリリースでは、シャットダウンシーケンスが開始すると、/etc/rc0.d/ ディレクトリーにあるシンボリックリンクを使用して、利用可能なシステムサービスをそのステータスに関係なくすべて停止していました。systemd では、実行中のサービスだけを、シャットダウン時に停止します。
  • システムサービスは、標準の入力ストリームからは読み取れません。systemd がサービスを開始すると、標準入力を /dev/null に接続し、ユーザーとの対話を行わないようにします。
  • システムサービスは、呼び出したユーザーやそのセッションから、(環境変数 HOMEPATH などの) コンテキストを継承しません。各サービスは、クリーンな実行コンテキストで実行します。
  • SysV init スクリプトを読み込む際に、systemd は Linux Standard Base (LSB) ヘッダーにエンコードされている依存関係情報を読み取り、ランタイム時に解釈します。
  • サービスユニット上のすべての操作は、デフォルトで 5 分でタイムアウトになるように設定されており、サービスの故障でシステムがフリーズすることを防ぎます。この値は initscript から生成されるサービス用にハードコーディングされ、変更することができません。ただし、個別の設定ファイルを使用して、サービスごとにタイムアウト値を長くすることができます。例3.20「タイムアウト制限の変更」を参照してください。

systemd で導入された互換性の変更点に関する詳細なリストは、Red Hat Enterprise Linux 7 の『移行計画ガイド』を参照してください。

3.2. システムサービスの管理

以前のバージョンの Red Hat Enterprise Linux は、SysV init または Upstart で配布されており、/etc/rc.d/init.d/ ディレクトリーにある init スクリプト を使用していました。この init スクリプトは通常の Bash で書かれており、システム管理者がシステム内で、サービスの状態とデーモンを管理できるようになっていました。Red Hat Enterprise Linux 7 では、この init スクリプトは、サービスユニット に代わっています。

サービスユニットは、ファイル拡張子 .service で終わり、init スクリプトと同様の役割を担います。システムサービスの表示、開始、停止、再開、有効化、または無効化には、「service ユーティリティーと systemctl の比較」「chkconfig ユーティリティーと systemctl の比較」、および本セクションで説明されているように、systemctl コマンドを使用します。service コマンドおよび chkconfig コマンドは、引き続きシステムで利用可能になっており、期待通りに機能しますが、これらは互換性のために含まれており、使用は推奨されていません。

表3.3 service ユーティリティーと systemctl の比較

servicesystemctl説明

service name start

systemctl start name.service

サービスを起動します。

service name stop

systemctl stop name.service

サービスを停止します。

service name restart

systemctl restart name.service

サービスを再起動します。

service name condrestart

systemctl try-restart name.service

サービスが実行中の場合のみ、再起動します。

service name reload

systemctl reload name.service

設定を再読み込みします。

service name status

systemctl status name.service

systemctl is-active name.service

サービスが実行中かどうかをチェックします。

service --status-all

systemctl list-units --type service --all

すべてのサービスのステータスを表示します。

表3.4 chkconfig ユーティリティーと systemctl の比較

chkconfigsystemctl説明

chkconfig name on

systemctl enable name.service

サービスを有効にします。

chkconfig name off

systemctl disable name.service

サービスを無効にします。

chkconfig --list name

systemctl status name.service

systemctl is-enabled name.service

サービスが有効かどうかを確認します。

chkconfig --list

systemctl list-unit-files --type service

サービスを一覧表示し、各サービスが有効かどうかを確認します。

chkconfig --list

systemctl list-dependencies --after

指定されたユニットの前に開始するように指定されているサービスを一覧表示します。

chkconfig --list

systemctl list-dependencies --before

指定されたユニットの後に開始するように指定されているサービスを一覧表示します。

サービスユニットの指定

分かりやすくするため、本セクションの残りの部分のコマンド例では、.service ファイル拡張子がついた完全なユニット名を使用します。以下に例を示します。

# systemctl stop nfs-server.service

ただし、ファイル拡張子は省略することができます。省略すると、systemctl は、引数がサービスユニットであることを想定します。以下のコマンドは、上記のコマンドと同等のものになります。

# systemctl stop nfs-server

また、ユニットによってはエイリアス名を持つものもあります。この名前は、ユニット名よりも短くすることができ、ユニット名の代わりとして使用できます。特定のユニットに使用できるエイリアスを見つけるには、以下のコマンドを実行します。

# systemctl show nfs-server.service -p Names

chroot 環境における systemctl の挙動

chroot コマンドを使用して root ディレクトリーを変更すると、ほとんどの systemctl コマンドは、アクションの実行をすべて拒否します。なぜなら、systemd プロセスと、chroot コマンドを使用しているユーザーでは、ファイルシステムの見え方が異なるからです。このような状況は、systemctlキックスタート ファイルから呼び出されたときなどに発生します。

例外が、systemctl enablesystemctl disable などのユニットファイルコマンドです。このコマンドは、実行中のシステムを必要とせず実行中のプロセスに影響を与えませんが、ユニットファイルには影響を及ぼします。したがってこのようなコマンドは、chroot 環境であっても実行することが可能です。たとえば、/srv/website1/ ディレクトリー配下で、システムの httpd サービスを有効にするときは、以下のコマンドを実行します。

# chroot /srv/website1
# systemctl enable httpd.service
Created symlink /etc/systemd/system/multi-user.target.wants/httpd.service, pointing to /usr/lib/systemd/system/httpd.service.

3.2.1. サービスの一覧表示

読み込み済みのサービスユニットの一覧を表示するには、シェルプロンプトで以下を実行します。

systemctl list-units --type service

各サービスのユニットファイルに対して、このコマンドは正式名 (UNIT) の後に、そのユニットファイルが読み込まれているかどうか (LOAD)、そのユニットファイルアクティベーションの状態の概要 (ACTIVE) および詳細 (SUB) な状態、そして簡単な説明 (DESCRIPTION) を示します。

デフォルトでは、systemctl list-units コマンドは、アクティブなユニットのみを表示します。状態に関係なく読み込み済みユニットをすべて表示する場合は、コマンドラインオプションの --all または -a を付けて、以下のコマンドを実行します。

systemctl list-units --type service --all

また、利用可能なサービスユニットを一覧表示して、各ユニットが有効かどうかを確認できます。これには、以下のコマンドを実行します。

systemctl list-unit-files --type service

このコマンドにより、各サービスユニットの完全な名前 (UNIT FILE) と、サービスユニットが有効かどうか (STATE) が表示されます。個別のサービスユニットの状態を判断する方法は「サービスステータスの表示」を参照してください。

例3.1 サービスの一覧表示

読み込み済みのサービスユニットの一覧を表示するには、以下のコマンドを実行します。

systemctl list-units --type service
UNIT                           LOAD   ACTIVE SUB     DESCRIPTION
abrt-ccpp.service              loaded active exited  Install ABRT coredump hook
abrt-oops.service              loaded active running ABRT kernel log watcher
abrt-vmcore.service            loaded active exited  Harvest vmcores for ABRT
abrt-xorg.service              loaded active running ABRT Xorg log watcher
abrtd.service                  loaded active running ABRT Automated Bug Reporting Tool
…​
systemd-vconsole-setup.service loaded active exited  Setup Virtual Console
tog-pegasus.service            loaded active running OpenPegasus CIM Server

LOAD   = Reflects whether the unit definition was properly loaded.
ACTIVE = The high-level unit activation state, i.e. generalization of SUB.
SUB    = The low-level unit activation state, values depend on unit type.

46 loaded units listed. Pass --all to see loaded but inactive units, too.
To show all installed unit files use 'systemctl list-unit-files'

インストール済みのサービスユニットファイルを一覧表示して、そのユニットが有効かどうかを判断するには、以下コマンドを実行します。

$ systemctl list-unit-files --type service
UNIT FILE                                   STATE
abrt-ccpp.service                           enabled
abrt-oops.service                           enabled
abrt-vmcore.service                         enabled
abrt-xorg.service                           enabled
abrtd.service                               enabled
…​
wpa_supplicant.service                      disabled
ypbind.service                              disabled

208 unit files listed.

3.2.2. サービスステータスの表示

システムサービスに対応するサービスユニットに関する詳細情報を表示するには、シェルプロンプトで以下を実行します。

systemctl status name.service

name を、確認するサービスユニット名 (gdm など) に置き換えます。このコマンドでは、選択したサービスユニット名の後に、簡単な説明と、表3.5「利用可能なサービスユニットの情報」 にある 1 つ以上のフィールド、さらに root ユーザーが実行している場合は最新のログエントリーが表示されます。

表3.5 利用可能なサービスユニットの情報

フィールド説明

Loaded

サービスユニットが読み込まれているかどうか、ユニットファイルへの絶対パス、ユニットが有効かどうかについての説明

Active

サービスユニットが実行中かどうかの説明と、タイムスタンプ

Main PID

対応するシステムサービスの PID と、その名前

状態

対応するシステムサービスに関する追加情報

Process

関連プロセスに関する追加情報

CGroup

関連するコントロールグループ (cgroup) に関する追加情報

特定のサービスユニットが実行中かどうかだけを確認する場合は、以下のコマンドを実行します。

systemctl is-active name.service

同様に、特定のサービスユニットが有効かどうかを確認するには、以下のコマンドを実行します。

systemctl is-enabled name.service

systemctl is-active および systemctl is-enabled は両方とも、指定したサービスユニットが実行中または有効な場合に、終了ステータス 0 を返すことに注意してください。現在読み込み済みのサービスユニットの一覧を表示する方法は、「サービスの一覧表示」を参照してください。

例3.2 サービスステータスの表示

GNOME Display Manager のサービスユニット名は gdm.service になります。このサービスユニットの現在のステータスを確認するには、シェルプロンプトで次のコマンドを実行します。

# systemctl status gdm.service
gdm.service - GNOME Display Manager
   Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/gdm.service; enabled)
   Active: active (running) since Thu 2013-10-17 17:31:23 CEST; 5min ago
 Main PID: 1029 (gdm)
   CGroup: /system.slice/gdm.service
           ├─1029 /usr/sbin/gdm
           ├─1037 /usr/libexec/gdm-simple-slave --display-id /org/gno…​
           └─1047 /usr/bin/Xorg :0 -background none -verbose -auth /r…​

Oct 17 17:31:23 localhost systemd[1]: Started GNOME Display Manager.

例3.3 サービスの前に開始するサービスの表示

特定のサービスの前に開始するサービスを確認するには、シェルプロンプトで次のコマンドを実行します。

# systemctl list-dependencies --after gdm.service
gdm.service
├─dbus.socket
├─getty@tty1.service
├─livesys.service
├─plymouth-quit.service
├─system.slice
├─systemd-journald.socket
├─systemd-user-sessions.service
└─basic.target
[output truncated]

例3.4 サービスの後に開始するサービスの表示

特定のサービスの後に開始するサービスを確認するには、シェルプロンプトで次のコマンドを実行します。

# systemctl list-dependencies --before gdm.service
gdm.service
├─dracut-shutdown.service
├─graphical.target
│ ├─systemd-readahead-done.service
│ ├─systemd-readahead-done.timer
│ └─systemd-update-utmp-runlevel.service
└─shutdown.target
  ├─systemd-reboot.service
  └─final.target
    └─systemd-reboot.service

3.2.3. サービスの起動

システムサービスに対応するサービスユニットを開始する場合は、root で次のコマンドを実行します。

systemctl start name.service

name を、開始するサービスユニット名 (たとえば、gdm) に置き換えます。このコマンドは、選択したサービスを現行セッションで開始します。システムの起動時にサービスユニットを開始するように設定する方法は「サービスの有効化」を参照してください。特定のサービスユニットのステータスを確認する方法は「サービスステータスの表示」を参照してください。

例3.5 サービスの起動

Apache HTTP サーバー用のサービスユニットは httpd.service です。サービスユニットをアクティブにし、現行セッションで httpd デーモンを起動するには、root で以下のコマンドを実行します。

# systemctl start httpd.service

3.2.4. サービスの停止

システムサービスに対応するサービスユニットを停止するには、root で次のコマンドを実行します。

systemctl stop name.service

name を、停止するサービスユニット名 (たとえば bluetooth) に置き換えます。このコマンドは、選択したサービスユニットを現行セッションで停止します。システムの起動時にサービスユニットを無効にし、開始しないようにする方法は、「サービスの無効化」を参照してください。特定のサービスユニットのステータスを確認する方法は「サービスステータスの表示」を参照してください。

例3.6 サービスの停止

bluetoothd デーモンのサービスユニットは bluetooth.service です。サービスユニットを無効にし、現行セッションで bluetoothd デーモンを停止する場合は、root で以下のコマンドを実行します。

# systemctl stop bluetooth.service

3.2.5. サービスの再開

システムサービスに対応するサービスユニットを再開する場合は、root で次のコマンドを実行します。

systemctl restart name.service

name を、再開するサービスユニット名 (たとえば、httpd) に置き換えます。このコマンドは、現行セッションで選択したサービスユニットを停止し、即座に再起動します。重要なのは、選択したサービスユニットが実行中でないと、このコマンドがそのサービスユニットを起動するということです。対応するサービスがすでに実行中の場合にのみ、サービスユニットを再起動するように systemd に設定するには、root で以下のコマンドを実行します。

systemctl try-restart name.service

システムサービスによっては、サービスの実行を中断することなく設定の再読み込みが可能です。これを実行するには、root で次のコマンドを実行します。

systemctl reload name.service

システムサービスがこの機能をサポートしない場合は、このコマンドが無視されることに注意してください。代わりに、systemctl コマンドでは、この機能をサポートしないサービスを代わりに再起動する reload-or-restart コマンドおよび reload-or-try-restart コマンドもサポートします。特定のサービスユニットのステータスを確認する方法は「サービスステータスの表示」を参照してください。

例3.7 サービスの再開

ユーザーが不要なエラーメッセージや、部分的に表示される Web ページに遭遇しないようにするため、Apache HTTP Server では設定を再起動したり、処理されたリクエストをアクティブに妨害したりせずに、設定を編集したり再読み込みしたりできます。これを行うには、root で次のコマンドを実行します。

# systemctl reload httpd.service

3.2.6. サービスの有効化

システムの起動時にシステムサービスに対応するサービスユニットを自動的に起動するように設定するには、root で次のコマンドを実行します。

systemctl enable name.service

name を、有効にするサービスユニット名 (httpd など) に置き換えます。このコマンドは、選択したサービスユニットの [Install] セクションを読み取り、/etc/systemd/system/ ディレクトリーおよびそのサブディレクトリーにある /usr/lib/systemd/system/name.service ファイルへの適切なシンボリックリンクを作成します。ただし、このコマンドは既存のリンクを上書きしません。シンボリックリンクが確実に再作成されるようにするには、root で以下のコマンドを実行します。

systemctl reenable name.service

このコマンドは、選択したサービスユニットを無効にし、即座に再度有効にします。特定のサービスユニットが有効になっていて、システムの起動時に開始するようになっているかどうかを確認する方法は「サービスステータスの表示」を参照してください。現行セッションでサービスを開始する方法は「サービスの起動」を参照してください。

例3.8 サービスの有効化

システムの起動時に Apache HTTP Server が自動的に開始するように設定するには、root で以下のコマンドを実行します。

# systemctl enable httpd.service
Created symlink from /etc/systemd/system/multi-user.target.wants/httpd.service to /usr/lib/systemd/system/httpd.service.

3.2.7. サービスの無効化

システムの起動時に、システムサービスに対応するサービスユニットを自動的に起動しないように設定するには、root で次のコマンドを実行します。

systemctl disable name.service

name を、無効にするサービスユニット名 (bluetooth など) に置き換えます。このコマンドは、選択したサービスユニットの [Install] セクションを読み取り、/etc/systemd/system/ ディレクトリーおよびそのサブディレクトリーから、/usr/lib/systemd/system/name.service ファイルへの適切なシンボリックリンクを削除します。さらに、サービスユニットにマスクをして、手動で開始したり、別のサービスがこれを開始することを防いだりできます。これを行うには、root で以下のコマンドを実行します。

systemctl mask name.service

このコマンドにより、/etc/systemd/system/name.service ファイルを、/dev/null へのシンボリックリンクに置き換え、実際のユニットファイルが systemd ファイルにアクセスできないようにします。この動作を元に戻してサービスユニットのマスクを解除するには、root で以下のコマンドを実行します。

systemctl unmask name.service

特定のサービスユニットが有効になっていて、システムの起動時に開始するようになっているかどうかを確認する方法は「サービスステータスの表示」を参照してください。現行セッションでサービスを停止する方法は、「サービスの停止」を参照してください。

例3.9 サービスの無効化

例3.6「サービスの停止」 では、現行セッションで bluetooth.service ユニットを停止する方法を説明しました。システムの起動時にこのサービスユニットが開始しないようにするには、root で次のコマンドを実行します。

# systemctl disable bluetooth.service
Removed symlink /etc/systemd/system/bluetooth.target.wants/bluetooth.service.
Removed symlink /etc/systemd/system/dbus-org.bluez.service.

3.2.8. 競合するサービスの起動

systemd では、サービスとサービスとの間に正と負の依存関係が存在します。特定のサービスを起動するとき、別のサービスを 1 つまたは複数開始 (正の依存関係)、あるいはサービスを 1 つまたは複数停止 (負の依存関係) することが必要となる場合があります。

ユーザーが新しいサービスを起動しようとすると、systemd がすべての依存関係を自動的に解決します。これは、ユーザーに明示的に通知されることなく実行されるため注意が必要です。サービスが実行されているときに、負の依存関係を持つ別のサービスを起動しようとすると、実行しているサービスが自動的に停止します。

たとえば、postfix サービスを実行している時に sendmail サービスを起動すると、systemd は、自動的に postfix を停止します。 この 2 つのサービスは競合するため、同じポートでは実行できません。

3.3. systemd ターゲットでの作業

以前のバージョンの Red Hat Enterprise Linux は、SysV init または Upstart で配布されており、特定モードのオペレーションを表す事前定義の ランレベル を実装していました。このランレベルは 0 から 6 までの数字で表され、システム管理者が各ランレベルを有効にしたときに実行するシステムサービスが定義されていました。Red Hat Enterprise Linux 7 では、ランレベルの概念が systemd ターゲット に代わっています。

systemd ターゲットは ターゲットユニット で表現されます。ターゲットユニットは .target ファイル拡張子で終わり、その唯一の目的は依存関係の連鎖で他の systemd ユニットをグループ化することです。たとえば、グラフィカルセッションの開始に使用する graphical.target ユニットは、GNOME Display Manager (gdm.service) または Accounts Service (accounts-daemon.service) といったシステムサービスを開始するとともに、multi-user.target ユニットもアクティブにします。同様に、multi-user.target ユニットは、NetworkManager (NetworkManager.service)、D-Bus (dbus.service) といった、その他の必須システムサービスを開始し、basic.target という別のターゲットユニットをアクティブにします。

Red Hat Enterprise Linux 7 では、以前のシステムリリースの標準ランレベルと類似する定義済みターゲットが多数同梱されています。互換性目的で、このターゲットを SysV ランレベルに直接マッピングするエイリアスも提供されています。表3.6「SysV ランレベルと systemd ターゲットの比較」に、SysV ランレベルの完全なリストと、対応する systemd ターゲットを記載します。

表3.6 SysV ランレベルと systemd ターゲットの比較

ランレベルターゲットユニット説明

0

runlevel0.target, poweroff.target

システムをシャットダウンし、電源を切ります。

1

runlevel1.target, rescue.target

レスキューシェルを設定します。

2

runlevel2.target, multi-user.target

非グラフィカルなマルチユーザーシステムを設定します。

3

runlevel3.target, multi-user.target

非グラフィカルなマルチユーザーシステムを設定します。

4

runlevel4.target, multi-user.target

非グラフィカルなマルチユーザーシステムを設定します。

5

runlevel5.target, graphical.target

グラフィカルなマルチユーザーシステムを設定します。

6

runlevel6.target, reboot.target

システムをシャットダウンして再起動します。

systemd ターゲットを表示、変更、または設定するには、表3.7「SysV init コマンドと systemctl の比較」 および以下のセクションの説明に従って systemctl ユーティリティーを使用します。runlevel コマンドおよび telinit コマンドは今も利用でき、期待どおりに機能しますが、このコマンドは互換性のために同梱されているため、なるべく使用しないでください。

表3.7 SysV init コマンドと systemctl の比較

古いコマンド新しいコマンド説明

runlevel

systemctl list-units --type target

現在読み込まれているターゲットユニットを一覧表示します。

telinit runlevel

systemctl isolate name.target

現在のターゲットを変更します。

3.3.1. デフォルトターゲットの表示

デフォルトでどのターゲットユニットが使用されるかを決定するには、以下のコマンドを実行します。

systemctl get-default

このコマンドは、/etc/systemd/system/default.target にあるシンボリックリンクを解決して、結果を表示します。

例3.10 デフォルトターゲットの表示

デフォルトのターゲットユニットを表示するには、以下のコマンドを実行します。

systemctl get-default
graphical.target

3.3.2. 現在のターゲットの表示

読み込み済みのターゲットユニットの一覧を表示するには、以下のコマンドを実行します。

systemctl list-units --type target

このコマンドを実行すると、各ターゲットユニットの正式名 (UNIT) の後に、そのユニットが読み込まれているかどうか (LOAD)、そのユニットファイルアクティベーションの状態の概要 (ACTIVE) および詳細 (SUB) な状態、簡単な説明 (DESCRIPTION) が表示されます。

デフォルトでは、systemctl list-units コマンドは、アクティブなユニットのみを表示します。状態に関係なく読み込み済みユニットをすべて表示する場合は、コマンドラインオプションの --all または -a を付けて、以下のコマンドを実行します。

systemctl list-units --type target --all

例3.11 現在のターゲットの表示

現在読み込み済みのターゲットユニットの一覧を表示するには、以下のコマンドを実行します。

systemctl list-units --type target
UNIT                  LOAD   ACTIVE SUB    DESCRIPTION
basic.target          loaded active active Basic System
cryptsetup.target     loaded active active Encrypted Volumes
getty.target          loaded active active Login Prompts
graphical.target      loaded active active Graphical Interface
local-fs-pre.target   loaded active active Local File Systems (Pre)
local-fs.target       loaded active active Local File Systems
multi-user.target     loaded active active Multi-User System
network.target        loaded active active Network
paths.target          loaded active active Paths
remote-fs.target      loaded active active Remote File Systems
sockets.target        loaded active active Sockets
sound.target          loaded active active Sound Card
spice-vdagentd.target loaded active active Agent daemon for Spice guests
swap.target           loaded active active Swap
sysinit.target        loaded active active System Initialization
time-sync.target      loaded active active System Time Synchronized
timers.target         loaded active active Timers

LOAD   = Reflects whether the unit definition was properly loaded.
ACTIVE = The high-level unit activation state, i.e. generalization of SUB.
SUB    = The low-level unit activation state, values depend on unit type.

17 loaded units listed. Pass --all to see loaded but inactive units, too.
To show all installed unit files use 'systemctl list-unit-files'.

3.3.3. デフォルトターゲットの変更

システムがデフォルトで異なるターゲットユニットを使用するように設定するには、root で次のコマンドを実行します。

systemctl set-default name.target

name を、デフォルトで使用するターゲットユニットの名前 (multi-user など) に置き換えます。このコマンドにより、/etc/systemd/system/default.target ファイルが、/usr/lib/systemd/system/name.target へのシンボリックリンクに置き換わります。name は、使用するターゲットユニットの名前になります。

例3.12 デフォルトターゲットの変更

デフォルトで multi-user.target ユニットを使用するようにシステムを設定するには、root で以下のコマンドを実行します。

# systemctl set-default multi-user.target
rm '/etc/systemd/system/default.target'
ln -s '/usr/lib/systemd/system/multi-user.target' '/etc/systemd/system/default.target'

3.3.4. 現在のターゲットの変更

現行セッションで異なるターゲットユニットに変更するには、root で次のコマンドを実行します。

systemctl isolate name.target

name を、使用するターゲットユニットの名前 (multi-user など) に置き換えます。このコマンドは、name という名前のターゲットユニットと、その従属ユニットをすべて起動し、その他のユニットを直ちに停止します。

例3.13 現在のターゲットの変更

グラフィカルユーザーインターフェースを無効にし、現行セッションで multi-user.target ユニットに変更するには、root で以下のコマンドを実行します。

# systemctl isolate multi-user.target

3.3.5. レスキューモードへの変更

レスキューモード は、便利なシングルユーザー環境を提供し、通常の起動プロセスを完了できない状況でのシステムの修復を可能にします。レスキューモードでは、システムはすべてのローカルファイルシステムのマウントと、いくつかの重要なシステムサービスの開始を試みますが、ネットワークインターフェースをアクティブにしたり、他のユーザーによるシステムへの同時ログインを許可したりすることはしません。レスキューモードでは、root パスワードが要求されます。

現在のターゲットを変更し、現行セッションでレスキューモードに入るには、root で次のコマンドを実行します。

systemctl rescue

このコマンドは systemctl isolate rescue.target と似ていますが、システムに現在ログインしているすべてのユーザーに情報メッセージを送信します。systemd がこのメッセージを送信しないようにするには、コマンドラインオプション --no-wall を付けてこのコマンドを実行します。

systemctl --no-wall rescue

緊急モードに入る方法は「緊急モードへの変更」を参照してください。

例3.14 レスキューモードへの変更

現行セッションでレスキューモードに入るには、root で以下のコマンドを実行します。

# systemctl rescue

Broadcast message from root@localhost on pts/0 (Fri 2013-10-25 18:23:15 CEST):

The system is going down to rescue mode NOW!

3.3.6. 緊急モードへの変更

緊急モード は、可能な限り最小限の環境を提供し、レスキューモードに入れないシステム状態でのシステムの修復を可能にします。緊急モードでは、システムは root ファイルシステムを読み込み専用でマウントし、他のローカルファイルシステムのマウントは試みません。また、ネットワークインターフェースのアクティブ化も行わず、限定的な必須サービスのみを起動します。緊急モードでは root パスワードが必要です。

現在のターゲットを変更し、緊急モードに入るには、root で次のコマンドを実行します。

systemctl emergency

このコマンドは systemctl isolate emergency.target と似ていますが、システムに現在ログインしているすべてのユーザーに情報メッセージを送信します。systemd がこのメッセージを送信しないようにするには、コマンドラインオプション --no-wall を付けてこのコマンドを実行します。

systemctl --no-wall emergency

レスキューモードに入る方法は「レスキューモードへの変更」を参照してください。

例3.15 緊急モードへの変更

現在システムにログインしている全ユーザーにメッセージを送信せずに緊急モードに入るには、root で以下のコマンドを実行します。

# systemctl --no-wall emergency

3.4. システムのシャットダウン、サスペンド、および休止状態

Red Hat Enterprise Linux 7 では、systemctl ユーティリティーが、これまでのバージョンの Red Hat Enterprise Linux システムで使用されていた多くの電源管理コマンドに置き換わっています。表3.8「電源管理コマンドと systemctl の比較」 に表示されているコマンドは、互換性の理由から現在も利用することができますが、可能な場合は systemctl の使用が推奨されます。

表3.8 電源管理コマンドと systemctl の比較

古いコマンド新しいコマンド説明

halt

systemctl halt

システムを停止します。

poweroff

systemctl poweroff

システムの電源を切ります。

reboot

systemctl reboot

システムを再起動します。

pm-suspend

systemctl suspend

システムをサスペンドします。

pm-hibernate

systemctl hibernate

システムを休止状態にします。

pm-suspend-hybrid

systemctl hybrid-sleep

システムを休止状態にしてサスペンドします。

3.4.1. システムのシャットダウン

systemctl ユーティリティーは、システムをシャットダウンするコマンドを提供します。ただし、従来の shutdown コマンドもサポートされます。shutdown コマンドは、systemctl ユーティリティーを呼び出してシャットダウンを実行しますが、time 引数もサポートするという利点があります。これは、計画メンテナンスにとりわけ役立ち、システムシャットダウンの予定に関する警告にユーザーが対応する時間をより長く確保できます。シャットダウンをキャンセルするオプションがあることも利点です。

systemctl コマンドの使用

システムをシャットダウンし、マシンの電源を切るには、root で次のコマンドを実行します。

systemctl poweroff

マシンの電源を切らずにシステムをシャットダウンして停止するには、root で以下のコマンドを実行します。

systemctl halt

デフォルトでは、このコマンドのいずれかを実行すると、systemd が、システムに現在ログインしたすべてのユーザーに情報メッセージを送信します。systemd がメッセージを送信しないようにするには、たとえば、コマンドラインオプション --no-wall を付けてコマンドを実行します。

systemctl --no-wall poweroff

shutdown コマンドの使用

指定した時間にシステムをシャットダウンしてマシンの電源を切るには、root で、以下の形式でコマンドを実行します。

shutdown --poweroff hh:mm

hh:mm は 24 時間形式の時刻となります。新たなログインを防ぐために、システムをシャットダウンする 5 分前に /run/nologin ファイルが作成されます。時間引数を使用する場合は、コマンドに任意のメッセージ wall message を付けることができます。

マシンの電源を切らずに、少し待ってシステムをシャットダウンして停止するには、root で以下の形式のコマンドを実行します。

shutdown --halt +m

+m は遅らせる時間 (分) です。キーワード now は、+0 のエイリアスとなります。

保留中のシャットダウンは、root で以下のコマンドを実行するとキャンセルできます。

shutdown -c

詳細なコマンドオプションは、man ページの shutdown(8) を参照してください。

3.4.2. システムの再起動

システムを再起動するには、root で以下のコマンドを実行します。

systemctl reboot

デフォルトでは、このコマンドにより、systemd が、システムに現在ログインしたすべてのユーザーに情報メッセージを送信します。systemd がこのメッセージを送信しないようにするには、コマンドラインオプション --no-wall を付けてこのコマンドを実行します。

systemctl --no-wall reboot

3.4.3. システムのサスペンド

システムをサスペンドするには、root で次のコマンドを実行します。

systemctl suspend

このコマンドは、システムの状態を RAM に保存し、マシンにある、RAM モジュール以外のほとんどのデバイスの電源を切ります。マシンの電源を戻すと、システムは再起動せずに RAM からその状態を復元します。システムの状態がハードディスクではなく RAM に保存されるので、システムのサスペンドモードから復元する場合は、休止状態からの復元と比べて著しく速くなります。ただし、システムをサスペンドした状態は、停電に対して脆弱となります。

システムを休止状態にする方法は「システムの休止状態」を参照してください。

3.4.4. システムの休止状態

システムを休止状態にするには、root で次のコマンドを実行します。

systemctl hibernate

このコマンドは、システムの状態をハードディスクドライブに保存し、マシンの電源を切ります。マシンの電源を戻すと、システムは再起動せずに、保存されたデータからその状態を復元します。システムの状態が RAM ではなくハードディスクに保存されるため、マシンが RAM モジュールに電力を維持する必要がありません。ただし、システムの休止状態から復元する場合は、サスペンドモードからの復元と比べて大幅に遅くなります。

システムを休止状態にしてサスペンドするには、root で次のコマンドを実行します。

systemctl hybrid-sleep

システムをサスペンドする方法は「システムのサスペンド」を参照してください。

3.5. systemd ユニットファイルでの作業

ユニットファイルには、ユニットを説明し、その動作を定義する設定ディレクティブが含まれます。複数の systemctl コマンドがバックグラウンドでユニットファイルと連携します。細かい調整を行う場合は、システム管理者が手動でユニットファイルを編集するか、または作成する必要があります。表3.1「systemd のユニットファイルの場所」には、システムでユニットファイルが保存される 3 つのメインディレクトリーが挙げられていますが、/etc/systemd/system/ ディレクトリーは、システム管理者が作成するか、またはカスタマイズするユニットファイル用に予約されます。

ユニットファイル名は、以下のフォーマットを使用します。

unit_name.type_extension

unit_name はユニットの名前を表し、type_extension はユニットタイプを指定します。ユニットタイプの詳細な一覧は、表3.2「利用可能な systemd のユニットタイプ」を参照してください。たとえば、通常は、システムには sshd.service ユニットおよび sshd.socket ユニットがあります。

ユニットファイルには、追加の設定ファイルのディレクトリーを追加できます。たとえば、カスタム設定オプションを sshd.service に追加するには、sshd.service.d/custom.conf ファイルを作成し、追加のディレクティブを挿入します。設定ディレクティブの詳細情報は「既存のユニットファイルの変更」を参照してください。

さらに、sshd.service.wants/ ディレクトリーおよび sshd.service.requires/ ディレクトリーを作成することもできます。このディレクトリーには、sshd サービスの依存関係であるユニットファイルへのシンボリックリンクが含まれます。シンボリックリンクは、[Install] ユニットファイルに基づいてインストール時に、または [Unit] オプションに基づいてランタイム時に自動的に作成されます。このディレクトリーとシンボリックリンクを手動で作成することもできます。[Install] オプションおよび [Unit] オプションの詳細は、以下の表を参照してください。

多くのユニットファイルオプションは、いわゆる ユニット指定子 を使用して設定できます。これは、ユニットファイルが読み込まれる際にユニットパラメーターに動的に置き換えられるワイルドカード文字列です。これにより、インスタンス化されたユニットを生成するテンプレートとしての役割を担う汎用ユニットファイルを作成できます。詳細は「インスタンス化されたユニットの使用」を参照してください。

3.5.1. ユニットファイル構造の概要

通常、ユニットファイルは 3 つのセクションで構成されています。

  • [Unit] セクション- ユニットのタイプに依存しない一般的なオプションが含まれます。このセクションに含まれるオプションはユニットを説明し、ユニットの動作を指定し、他のユニットへの依存関係を設定します。最もよく使用される [Unit] オプションの一覧は、表3.9「[Unit] セクションの重要なオプション」を参照してください。
  • [Unit type] セクション - ユニットにタイプ固有のディレクティブがある場合は、そのユニットタイプにちなんで命名されたセクションにまとめられます。たとえば、サービスユニットファイルには [Service] セクションが含まれます。
  • [Install] セクション - systemctl enable コマンドおよび disable コマンドでユニットをインストールした際の情報が含まれます。[Install] セクションのオプションの一覧は、表3.11「[Install] セクションの重要なオプション」を参照してください。

表3.9 [Unit] セクションの重要なオプション

オプション[a] 説明

説明

ユニットの説明です。このテキストは、たとえば systemctl status コマンドの出力に表示されます。

Documentation

ユニットのドキュメントを参照する URI の一覧を提供します。

After[b]

ユニットが開始する順序を定義します。このユニットは、After で指定されたユニットがアクティブになると開始します。Requires とは異なり、After は、指定したユニットを明示的にアクティブにしません。Before オプションには、After と機能が反対になります。

Requires

その他のユニットに依存関係を設定します。Requires に一覧表示されるユニットは、対応するユニットと共にアクティブになります。必要なユニットのいずれかが開始しないと、このユニットはアクティブになりません。

Wants

Requires よりも強度の弱い依存関係を設定します。一覧に示されるユニットのいずれかが正常に開始しなくても、このユニットのアクティべーションには影響を与えません。これは、カスタムのユニット依存関係を設定する際に推奨される方法です。

Conflicts

Requires と反対の依存関係 (負の依存関係) を設定します。

[a] [Unit] セクションで設定可能なオプションの一覧は、man ページの systemd.unit(5) を参照してください。
[b] ほとんどの場合、ユニットファイルオプションの After および Before で依存関係の並び順を設定するだけで十分です。Wants (推奨) または Requires で要件の依存関係も設定する場合は、依存関係の並び順を指定する必要があります。これは、並び順と要件の依存関係が相互に依存していないためです。

表3.10 [Service] セクションの重要なオプション

オプション[a] 説明

Type

ExecStart および関連オプションの機能に影響を与えるユニットプロセスの起動タイプを設定します。以下のいずれかになります。

* simple - デフォルト値です。ExecStart で起動するプロセスは、サービスのメインプロセスです。

* forking - ExecStart で起動するプロセスは、サービスのメインプロセスになる子プロセスを起動します。親プロセスは、このプロセスが完了すると終了します。

* oneshot - このタイプは simple と似ていますが、結果として生じるユニットを起動する前に終了します。

* dbus - このタイプは simple と似ていますが、メインプロセスが D-Bus 名を取得する前に、結果として生じるユニットが起動します。

* notify - このタイプは simple と似ていますが、結果として生じるユニットは、通知メッセージが sd_notify() 関数で送信されないと起動しません。

* idle - simple と似ていますが、サービスバイナリーの実行は、すべてのジョブが終了するまで行いません (遅らせます)。 これにより、ステータスの出力とサービスのシェル出力を分けることができます。

ExecStart

ユニットの開始時に実行するコマンドまたはスクリプトを指定します。ExecStartPre および ExecStartPost は、ExecStart の前後に実行するカスタムコマンドを指定します。Type=oneshot を使用すれば、連続して実行する複数のカスタムコマンドを指定できます。

ExecStop

ユニットの停止時に実行するコマンドまたはスクリプトを指定します。

ExecReload

ユニットの再読み込み時に実行するコマンドまたはスクリプトを指定します。

Restart

このオプションを有効にすると、systemctl コマンドによる完全な停止の例外により、そのプロセスの終了後にサービスが再起動します。

RemainAfterExit

True に設定すると、サービスは、そのプロセスがすべて終了していてもアクティブと見なされます。デフォルトの値は False です。このオプションは、特に Type=oneshot が設定されている場合に役に立ちます。

[a] [Service] セクションで設定可能なオプションの一覧は、man ページの systemd.service (5) を参照してください。

表3.11 [Install] セクションの重要なオプション

オプション[a] 説明

Alias

ユニット名の追加一覧を、スペース区切りで提供します。systemctl enable を除くほとんどの systemctl コマンドでは、ユニット名ではなくエイリアスを使用できます。

RequiredBy

そのユニットに依存するユニットの一覧です。このユニットが有効な場合に、RequiredBy に一覧表示されるユニットは、このユニットに関する Require 依存関係を取得します。

WantedBy

このユニットへの依存が弱いユニットの一覧です。このユニットが有効になると、WantedBy に一覧表示されるユニットが、このユニットに関する Want 依存関係を取得します。

Also

対応するユニットと共にインストールまたはアンインストールされるユニットの一覧を指定します。

DefaultInstance

インスタンス化されているユニットだけが対象となりますが、このオプションは、ユニットが有効になっているデフォルトのインスタンスを指定します。「インスタンス化されたユニットの使用」 を参照してください。

[a] [Install] セクションで設定可能なオプションの一覧は、man ページの systemd.unit (5) を参照してください。

ユニット設定を微調整するのに使用できるさまざまなオプションがあります。以下の例は、システムにインストールされているサービスユニットの例を示しています。さらに、ユニットファイルのオプションは、「インスタンス化されたユニットの使用」に説明されているように、ユニットを動的に作成できるように定義できます。

例3.16 postfix.service ユニットファイル

次に、postfix パッケージで現在提供されている /usr/lib/systemd/system/postfix.service ユニットファイルの内容が続きます。

[Unit]
Description=Postfix Mail Transport Agent
After=syslog.target network.target
Conflicts=sendmail.service exim.service

[Service]
Type=forking
PIDFile=/var/spool/postfix/pid/master.pid
EnvironmentFile=-/etc/sysconfig/network
ExecStartPre=-/usr/libexec/postfix/aliasesdb
ExecStartPre=-/usr/libexec/postfix/chroot-update
ExecStart=/usr/sbin/postfix start
ExecReload=/usr/sbin/postfix reload
ExecStop=/usr/sbin/postfix stop

[Install]
WantedBy=multi-user.target

[Unit] セクションは、サービスについて説明し、競合するユニットおよび並び順依存関係を指定します。[Service] には、ユニットのアクティブ化の実行時、停止時、および再ロード時に、一連のカスタムスクリプトを実行するように指定します。EnvironmentFile は、サービスの環境変数が定義する場所を指定し、PIDFile は、サービスのメインプロセスに安定した PID を指定します。最後に、[Install] セクションはサービスに依存するユニットを一覧表示します。

3.5.2. カスタムユニットファイルの作成

ユニットファイルをゼロから作成するユースケースが複数あります。カスタムデーモンを実行したり、一部の既存のサービスの 2 つ目のインスタンスを作成したり (「sshd サービスの 2 つ目のインスタンスの作成」を参照)、SysV init スクリプトをインポートしたり (「SysV Init スクリプトのユニットファイルへの変換」を参照) できます。一方、既存ユニットの動作の変更または拡張のみを実行しようとする場合は、「既存のユニットファイルの変更」を参照してください。以下の手順では、カスタムサービスを作成する一般的なプロセスを説明します。

  1. カスタムサービスで実行可能なファイルを用意します。カスタムで作成されたスクリプトや、ソフトウェアプロバイダーが提供する実行ファイルがこれにあたります。必要な場合は、カスタムサービスのメインプロセスの PID を保持するため、PID ファイルを用意します。また、サービスのシェル変数を保存するために環境ファイルを組み込むこともできます。(chmod a+x を実行して) ソーススクリプトが実行でき、インタラクティブではないことを確認してください。
  2. /etc/systemd/system/ ディレクトリーにユニットファイルを作成し、ファイルに適切なパーミッションがあることを確認します。root で以下のコマンドを実行します。

    touch /etc/systemd/system/name.service
    
    chmod 664 /etc/systemd/system/name.service

    name を、作成するサービスの名前に置き換えます。ファイルには実行権限が必要ありません。

  3. 上の手順で作成した name.service ファイルを開き、サービス設定オプションを追加します。作成するサービスのタイプに応じて、さまざまなオプションを使用できます。「ユニットファイル構造の概要」を参照してください。以下は、ネットワーク関連サービスのユニットの設定例になります。

    [Unit]
    Description=service_description
    After=network.target
    
    [Service]
    ExecStart=path_to_executable
    Type=forking
    PIDFile=path_to_pidfile
    
    [Install]
    WantedBy=default.target

    詳細は以下のようになります。

    • service_description は、ジャーナルログファイルおよび systemctl status コマンドの出力に表示される役立つ説明です。
    • After 設定により、このサービスは、ネットワークが実行してから起動します。関連するサービスまたはターゲットは、スペースで区切って追加します。
    • path_to_executable は、サービス実行ファイルへのパスを表します。
    • Type=forking は、fork システム呼び出しを行うデーモンに使用します。サービスのメインプロセスは、path_to_pidfile で指定した PID で作成されます。その他の起動タイプは、表3.10「[Service] セクションの重要なオプション」を参照してください。
    • WantedBy では、サービスを起動するターゲットを指定します。ターゲットは、従来のランレベル概念の代替と見なすことができます。詳細は「systemd ターゲットでの作業」を参照してください。
  4. root で以下のコマンドを実行すると、新しい name.serviceファイルが存在することが、systemd に通知されます。

    systemctl daemon-reload
    
    systemctl start name.service
    警告

    新しいユニットファイルを作成したり、既存のユニットファイルを修正したら常に systemctl daemon-reload コマンドを実行します。このコマンドを実行しないと、systemd のステータスと、ディスクの実際のサービスユニットファイルが一致しなくなるため、systemctl start コマンドや systemctl enable コマンドが失敗します。ユニット数が多いシステムでは、各ユニットのステータスをシリアライズし、その後再読み込み時にデシリアライズする必要があるため、これには時間がかかることがあります。

例3.17 emacs.service ファイルの作成

Emacs テキストエディターを使用する場合は、ファイルの編集時にプログラムの新規インスタンスを起動するよりも、バックグラウンドで実行する方がスピードが速いため便利です。以下の手順では、Emacs のユニットファイルを作成し、これをサービスのように処理する方法を説明します。

  1. /etc/systemd/system/ ディレクトリーにユニットファイルを作成し、ファイルパーミッションが正しいことを確認してください。root で以下のコマンドを実行します。

    # touch /etc/systemd/system/emacs.service
    # chmod 664 /etc/systemd/system/emacs.service
  2. 以下の内容をファイルに追加します。

    [Unit]
    Description=Emacs: the extensible, self-documenting text editor
    
    [Service]
    Type=forking
    ExecStart=/usr/bin/emacs --daemon
    ExecStop=/usr/bin/emacsclient --eval "(kill-emacs)"
    Environment=SSH_AUTH_SOCK=%t/keyring/ssh
    Restart=always
    
    [Install]
    WantedBy=default.target

    上記の設定では、サービスの起動時に、/usr/bin/emacs 実行ファイルがデーモンモードで開始します。SSH_AUTH_SOCK 環境変数は、ランタイムディレクトリーを表す「%t」ユニット指定子で設定されます。また、emacs プロセスが予期せずに終了した場合は、このサービスによりこれが再開します。

  3. 以下のコマンドを実行して、設定の再読み込みを行い、カスタムサービスを開始します。

    # systemctl daemon-reload
    # systemctl start emacs.service

これでエディターは systemd サービスとして登録されるため、標準的な systemctl コマンドがすべて使用できます。たとえば、systemctl status emacs でエディターのステータスを表示したり、systemctl enable emacs でシステム起動時にエディターを自動的に起動したりできます。

例3.18 sshd サービスの 2 つ目のインスタンスの作成

システム管理者は、サービスのインスタンスを複数設定し、実行しなければならないことが多々あります。これは、サービスの主なインスタンスとの競合を避けるために、元のサービス設定ファイルのコピーを作成し、特定のパラメーターを変更することで実行します。以下の手順は、sshd サービスの 2 つ目のインスタンスを作成する方法を示しています。

  1. 2 つ目のデーモンで使用する、sshd_config ファイルのコピーを作成します。

    # cp /etc/ssh/sshd{,-second}_config
  2. 作成した sshd-second_config ファイルを編集し、2 つ目のデーモンに別のポート番号と PID ファイルを割り当てます。

    Port 22220
    PidFile /var/run/sshd-second.pid

    Port オプションおよび PidFile オプションの詳細は、man ページの sshd_config(5) を参照してください。他のサービスで使用されていないポートを選択してください。PID ファイルはサービスの実行時に存在していなければいけないものではありません。存在しない場合は、サービスの起動時に自動的に生成されます。

  3. sshd サービスの systemd ユニットファイルのコピーを作成します。

    # cp /usr/lib/systemd/system/sshd.service /etc/systemd/system/sshd-second.service
  4. 作成した sshd-second.service を以下のように変更します。

    1. Description オプションを変更します。

      Description=OpenSSH server second instance daemon
    2. After オプションを指定するサービスに sshd.service を追加し、最初のインスタンスが起動した場合に限り 2 つ目のインスタンスが起動するようにします。

      After=syslog.target network.target auditd.service sshd.service
    3. sshd の最初のインスタンスには鍵の生成が含まれるため、ExecStartPre=/usr/sbin/sshd-keygen 行を削除します。
    4. sshd コマンドに -f /etc/ssh/sshd-second_config パラメーターを追加して、代替の設定ファイルが使用されるようにします。

      ExecStart=/usr/sbin/sshd -D -f /etc/ssh/sshd-second_config $OPTIONS
    5. 上記のように変更すると、sshd-second.service は以下のようになります。

      [Unit]
      Description=OpenSSH server second instance daemon
      After=syslog.target network.target auditd.service sshd.service
      
      [Service]
      EnvironmentFile=/etc/sysconfig/sshd
      ExecStart=/usr/sbin/sshd -D -f /etc/ssh/sshd-second_config $OPTIONS
      ExecReload=/bin/kill -HUP $MAINPID
      KillMode=process
      Restart=on-failure
      RestartSec=42s
      
      [Install]
      WantedBy=multi-user.target
  5. SELinux を使用している場合は、sshd の 2 番目のインスタンスのポートを SSH ポートに追加します。追加しないと、sshd の 2 番目のインスタンスがポートにバインドされません。

    # semanage port -a -t ssh_port_t -p tcp 22220
  6. システムの起動時にこのサービスが自動的に起動するように、sshd-second.service を有効にします。

    # systemctl enable sshd-second.service

    systemctl status コマンドを使用して sshd-second.service が実行中かどうかを確認します。さらに、ポートをサービスに接続して、適切に有効になっているかどうかを確認します。

    ssh -p 22220 user@server

    ファイアウォールを使用している場合は、sshd の 2 番目のインスタンスへの接続を許可するように適切に設定されていることを確認してください。

カスタムユニットファイルの並び順および依存関係のターゲットを適切に選択する方法は、以下の Red Hat ナレッジベースの記事を参照してください。

ユニットファイルの並び順および依存関係に関する実例と追加情報は「Is there any useful information about writing unit files?」を参照してください。

systemd が開始するサービスへの制限の設定は、Red Hat ナレッジベースの記事 「RHEL 7 および systemd でサービスに制限を設定する」を参照してください。この制限は、サービスのユニットファイルで設定する必要があります。systemd は、/etc/security/limits.conf 設定ファイルおよび /etc/security/limits.d/*.conf 設定ファイルに設定した制限を無視する点に注意してください。このファイルに定義した制限は、ログインセッションの開始時に PAM により設定されますが、systemd が開始するデーモンは、PAM ログインセッションを使用しません。

3.5.3. SysV Init スクリプトのユニットファイルへの変換

SysV init スクリプトをユニットファイルに変換する前に、すでに別の場所で変換が行われていないことを確認します。Red Hat Enterprise Linux にインストールされるすべてのコアサービスにデフォルトのユニットファイルが同梱されていますが、多くのサードパーティーソフトウェアパッケージにも同様のことが言えます。

init スクリプトをユニットファイルに変換するには、スクリプトを分析し、そこから必要な情報を抽出することが必要になります。このデータに基づいて、ユニットファイルを作成できます。init スクリプトはサービスのタイプによって大きく異なるため、この章で概略されているよりも多くの設定オプションの変換を使用しなければならない場合もあります。init スクリプトで利用できるカスタマイズのレベルの一部が systemd ユニットでサポートされなくなっていることに注意してください。

変換に必要とされるほとんどの情報はスクリプトのヘッダーに提供されます。以下の例は、Red Hat Enterprise Linux 6 で postfix サービスを起動するために使用される init スクリプトの開始セクションになります。

!/bin/bash # postfix Postfix Mail Transfer Agent # chkconfig: 2345 80 30 # description: Postfix is a Mail Transport Agent, which is the program that moves mail from one machine to another. # processname: master # pidfile: /var/spool/postfix/pid/master.pid # config: /etc/postfix/main.cf # config: /etc/postfix/master.cf  BEGIN INIT INFO # Provides: postfix MTA # Required-Start: $local_fs $network $remote_fs # Required-Stop: $local_fs $network $remote_fs # Default-Start: 2 3 4 5 # Default-Stop: 0 1 6 # Short-Description: start and stop postfix # Description: Postfix is a Mail Transport Agent, which is the program that moves mail from one machine to another.
# END INIT INFO

上記の例では、# chkconfig および # description で始まる行のみが必須になり、init ファイルによってはその他の記載はない可能性もあります。BEGIN INIT INFO 行と END INIT INFO 行に囲まれたテキストは Linux Standard Base (LSB) ヘッダー と呼ばれています。LSB ヘッダーを指定している場合は、サービスの説明、依存関係、およびデフォルトのランレベルを定義するディレクティブがこれに含まれます。次に、新規のユニットファイルに必要なデータを収集する分析タスクの概要が続きます。postfix init スクリプトはサンプルとして使用されます。作成される postfix ユニットは例3.16「postfix.service ユニットファイル」を参照してください。

サービス説明の検索

#description で始まる行で、スクリプトに関する説明情報を確認します。この説明は、サービス名と共に、ユニットファイルの [Unit] セクションの Description オプションで使用します。LSB ヘッダーの #Short-Description 行および #Description 行に同様のデータが含まれる場合があります。

サービス依存関係の検索

LSB ヘッダーには、サービス間の依存関係を形成する複数のディレクティブが含まれる場合があります。そのほとんどは systemd ユニットオプションに変換できます。表3.12「LSB ヘッダーの依存関係オプション」を参照してください。

表3.12 LSB ヘッダーの依存関係オプション

LSB オプション説明同等のユニットファイル

Provides

サービスの起動ファシリティー名を指定します。この名前は他の init スクリプトで参照できます ( "$" 接頭辞を使用)。ただし、ユニットファイルが他のユニットをファイル名で参照できるようになったため、これは不要になりました。

Required-Start

必要なサービスの起動ファシリティー名が含まれます。これは、並び順の依存関係として変換され、起動ファシリティー名は、対応するサービスまたはそのサービスが属するターゲットに置き換えられます。たとえば、postfix の場合、$network の Required-Start 依存関係は、network.target の After 依存関係に変換されました。

AfterBefore

Should-Start

Required-Start よりも弱い依存関係を構成します。Should-Start 依存関係が失敗しても、サービスの起動には影響を及ぼしません。

AfterBefore

Required-StopShould-Stop

負の依存関係を構成します。

Conflicts

サービスのデフォルトターゲットの検索

#chkconfig で始まる行には 3 つの数値があります。最も重要な値は最初の数値で、サービスが起動するデフォルトのランレベルを示しています。ランレベルは、同等の systemd ターゲットに対応します。次に、そのターゲットを、ユニットファイルの [Install] セクションの WantedBy オプションに記述します。たとえば、postfix がランレベルの 2、3、4、および 5 で起動していた場合、これは multi-user.target および graphical.target に対応します。ただし、graphical.target は multiuser.target に依存するため、例3.16「postfix.service ユニットファイル」 の説明にあるように、両方を記述する必要はありません。また、LSB ヘッダーの #Default-Start 行および #Default-Stop 行に、デフォルト、および動作するべきでないランレベルの情報がある場合は、そちらも参照してください。

#chkconfig 行で指定した他の 2 つの値は、init スクリプトの起動およびシャットダウンの優先順位を表します。この値は、init スクリプトが読み込まれる場合は systemd により解釈されますが、同等のユニットファイルはありません。

サービスで使用されるファイルの検索

init スクリプトでは、専用ディレクトリーから関数ライブラリーを読み込み、設定ファイル、環境ファイル、および PID ファイルのインポートを許可します。環境変数は init スクリプトヘッダーの #config で始まる行で指定し、EnvironmentFile ユニットファイルオプションに変換されます。#pidfile init スクリプト行に指定した PID ファイルは、PIDFile オプションでユニットファイルにインポートされます。

init スクリプトヘッダーに含まれない主要な情報は、サービス実行ファイルへのパス、またはサービスで必要になる可能性のあるその他のファイルへのパスです。以前のバージョンの Red Hat Enterprise Linux では、init スクリプトは、カスタム定義のアクションと共に 起動停止再起動 などのデフォルトアクションのサービスの動作を定義する Bash ケースステートメントを使用しました。postfix init スクリプトからの以下の抜粋は、サービス起動時に実行するコードのブロックを示しています。

conf_check() {
    [ -x /usr/sbin/postfix ] || exit 5
    [ -d /etc/postfix ] || exit 6
    [ -d /var/spool/postfix ] || exit 5
}

make_aliasesdb() {
	if [ "$(/usr/sbin/postconf -h alias_database)" == "hash:/etc/aliases" ]
	then
		# /etc/aliases.db might be used by other MTA, make sure nothing
		# has touched it since our last newaliases call
		[ /etc/aliases -nt /etc/aliases.db ] ||
			[ "$ALIASESDB_STAMP" -nt /etc/aliases.db ] ||
			[ "$ALIASESDB_STAMP" -ot /etc/aliases.db ] || return
		/usr/bin/newaliases
		touch -r /etc/aliases.db "$ALIASESDB_STAMP"
	else
		/usr/bin/newaliases
	fi
}

start() {
	[ "$EUID" != "0" ] && exit 4
	# Check that networking is up.
	[ ${NETWORKING} = "no" ] && exit 1
	conf_check
	# Start daemons.
	echo -n $"Starting postfix: "
	make_aliasesdb >/dev/null 2>&1
	[ -x $CHROOT_UPDATE ] && $CHROOT_UPDATE
	/usr/sbin/postfix start 2>/dev/null 1>&2 && success || failure $"$prog start"
	RETVAL=$?
	[ $RETVAL -eq 0 ] && touch $lockfile
        echo
	return $RETVAL
}

init スクリプトの拡張性により、start() 関数ブロックから呼び出される conf_check() および make_aliasesdb() の 2 つのカスタム関数を指定することができました。さらに詳しくみると、上記コードでは外部のファイルおよびディレクトリーが複数記述されています (主なサービス実行ファイル /usr/sbin/postfix、設定ディレクトリー /etc/postfix//var/spool/postfix/、および /usr/sbin/postconf/ ディレクトリー) 。

systemd は、事前に定義されたアクションのみをサポートしますが、オプションの ExecStartExecStartPreExecStartPostExecStop、および ExecReload でカスタムの実行ファイルを有効にできます。/usr/sbin/postfix は、対応するスクリプトとともに、サービスの起動時に実行します。postfix ユニットファイルの詳細は、例3.16「postfix.service ユニットファイル」を参照してください。

複雑な init スクリプトを変換する際には、スクリプトのすべてのステートメントの目的を理解している必要があります。一部のステートメントはオペレーティングシステムのバージョンに固有のものであるため、そのステートメントを変換する必要はありません。一方、新規の環境では、サービス実行ファイルおよびサポートファイルやユニットファイルで調整が一部必要となる場合があります。

3.5.4. 既存のユニットファイルの変更

システムにインストールされるサービスは、/usr/lib/systemd/system/ ディレクトリーに保存されるデフォルトのユニットファイルと共に提供されます。システム管理者はこのファイルを直接変更できないため、カスタマイズは /etc/systemd/system/ ディレクトリーの設定ファイルに制限される必要があります。必要とされる変更の程度に応じて、以下の方法のいずれかを実施してください。

  • 補助設定ファイルのディレクトリーを /etc/systemd/system/unit.d/ に作成します。この方法は、ほとんどのユースケースで推奨されます。これにより、元のユニットファイルを参照しつつも、デフォルト設定を追加の機能で拡張できます。この場合、パッケージのアップグレードで導入されるデフォルトユニットへの変更は自動的に適用されます。詳細は「デフォルトのユニット設定の拡張」を参照してください。
  • 元のユニットファイル /usr/lib/systemd/system/ のコピーを /etc/systemd/system/ に作成し、そこで変更を行います。コピーは元のファイルを上書きするため、パッケージの更新で導入される変更は適用されません。この方法は、パッケージの更新とは無関係に永続する重要なユニット変更を行う際に役に立ちます。詳細は「デフォルトのユニット設定の上書き」を参照してください。

ユニットのデフォルト設定に戻るには、/etc/systemd/system/ でカスタム作成した設定ファイルを削除します。システムを再起動せずにユニットファイルへの変更を適用するには、以下を実行します。

systemctl daemon-reload

daemon-reload オプションは、すべてのユニットファイルを再読み込みし、ユニットファイルへの変更をすぐに適用するのに必要な依存関係ツリー全体を再作成します。また、以下のコマンドを実行しても同じ結果になります。このコマンドの実行には root 権限が必要になります。

init q

変更したユニットファイルが実行中のサービスに属する場合は、このサービスを再起動して新たな設定を反映させる必要があります。

systemctl restart name.service
重要

SysV init スクリプトが処理しているサービスのプロパティ (依存関係やタイムアウトなど) を変更するときは、init スクリプト自体は変更しないでください。代わりに、「デフォルトのユニット設定の拡張」「デフォルトのユニット設定の上書き」にあるように、サービスの systemd ドロップイン設定ファイルを作成します。その後、通常の systemd サービスと同じ方法でサービスを管理します。

たとえば、network サービスの設定を拡張するときは、init スクリプトファイル /etc/rc.d/init.d/network を変更しないでください。代わりに、新しいディレクトリー /etc/systemd/system/network.service.d/ と、systemd ドロップインファイル /etc/systemd/system/network.service.d/my_config.conf を作成します。そして、ドロップインファイルの値を変更します。systemd は、network サービスを network.service として認識することに注意してください。作成したディレクトリーが network.service.d と命名されるのはそのためです。

デフォルトのユニット設定の拡張

追加の設定オプションでデフォルトのユニットファイルを拡張するには、最初に /etc/systemd/system/ に設定ディレクトリーを作成します。サービスユニットを拡張する場合は、root で以下のコマンドを実行します。

mkdir /etc/systemd/system/name.service.d/

name を、拡張する必要のあるサービスの名前に置き換えます。上記の構文はすべてのユニットタイプに適用されます。

作成したディレクトリーに設定ファイルを作成します。ファイル名の接尾辞は .conf にする必要があることに注意してください。以下のコマンドを実行します。

touch /etc/systemd/system/name.service.d/config_name.conf

config_name を、設定ファイルの名前に置き換えます。このファイルは、通常のユニットファイル構造に基づくため、すべてのディレクティブは該当するセクションで指定する必要があります。「ユニットファイル構造の概要」を参照してください。

たとえば、カスタムの依存性を追加するには、以下の内容で設定ファイルを作成します。

[Unit]
Requires=new_dependency
After=new_dependency

new_dependency は、依存性としてマークが付けられるユニットを表します。次の例は、30 秒の遅延後のメインプロセス終了後にサービスを再起動する設定ファイルです。

[Service]
Restart=always
RestartSec=30

1 つのタスクだけを扱う簡単な設定ファイルを作成することが推奨されます。これにより、他のサービスの設定ディレクトリーに簡単に移動したり、リンクできます。

そのユニットに行った変更を適用するには、root で以下のコマンドを実行します。

systemctl daemon-reload
systemctl restart name.service

例3.19 httpd.service 設定の拡張

Apache サービスの起動時にカスタムシェルスクリプトが自動的に実行されるように httpd.service ユニットを変更するには、以下の手順で行います。まず、ディレクトリーおよびカスタム設定ファイルを作成します。

# mkdir /etc/systemd/system/httpd.service.d/
# touch /etc/systemd/system/httpd.service.d/custom_script.conf

Apache で自動的に起動するスクリプトが /usr/local/bin/custom.sh にある場合は、以下のテキストを custom_script.conf ファイルに追加します。

[Service]
ExecStartPost=/usr/local/bin/custom.sh

ユニットの変更を適用するには、以下を実行します。

# systemctl daemon-reload
# systemctl restart httpd.service
注記

/etc/systemd/system/ の設定ディレクトリーの設定ファイルは、/usr/lib/systemd/system/ のユニットファイルに優先します。そのため、設定ファイルに、一度だけ指定できるオプション (DescriptionExecStart など) が含まれる場合は、このオプションのデフォルト値が上書きされます。「上書きされたユニットの監視」で説明されているように、systemd-delta コマンドの出力では、一部のオプションは実際に上書きされますが、該当するユニットは常に [EXTENDED] とマークされます。

デフォルトのユニット設定の上書き

ユニットファイルを提供するパッケージの更新後も変更を持続させるには、最初にファイルを /etc/systemd/system/ ディレクトリーにファイルをコピーします。それを行うには、root で以下のコマンドを実行します。

cp /usr/lib/systemd/system/name.service /etc/systemd/system/name.service

name は、変更するサービスユニットの名前を表します。上記の構文はすべてのユニットタイプに適用されます。

コピーされたファイルをテキストエディターで開き、必要な変更を行います。ユニットの変更を適用するには、root で以下のコマンドを実行します。

systemctl daemon-reload
systemctl restart name.service

例3.20 タイムアウト制限の変更

サービスごとにタイムアウト値を指定すると、正常に動作していないサービスによってシステムがフリーズすることを防ぐことができます。タイムアウト値を指定しないサービスには、通常のサービスの場合は 90 秒、そして SysV と互換性のあるサービスの場合は 300 秒と、それぞれデフォルトのタイムアウトが設定されています。

たとえば、httpd サービスのタイムアウト制限を延長するときは、以下を行います。

  1. httpd ユニットファイルを、/etc/systemd/system/ ディレクトリーにコピーします。

    cp /usr/lib/systemd/system/httpd.service /etc/systemd/system/httpd.service
  2. /etc/systemd/system/httpd.service ファイルを開き、[Service] セクションに TimeoutStartSec 値を指定します。

    …​
    [Service]
    …​
    PrivateTmp=true
    TimeoutStartSec=10
    
    [Install]
    WantedBy=multi-user.target
    …​
  3. systemd デーモンを再ロードします。

    systemctl daemon-reload
  4. 任意です。新しいタイムアウト値を確認します。

    systemctl show httpd -p TimeoutStartUSec
注記

グローバルでタイムアウト制限を変更するには、/etc/systemd/system.conf ファイルの DefaultTimeoutStartSec を変更します。

上書きされたユニットの監視

上書きされたユニット、または変更したユニットファイルの概要を表示するには、以下のコマンドを実行します。

systemd-delta

上記のコマンドを実行すると、以下のような出力になります。

[EQUIVALENT] /etc/systemd/system/default.target → /usr/lib/systemd/system/default.target
[OVERRIDDEN] /etc/systemd/system/autofs.service → /usr/lib/systemd/system/autofs.service

--- /usr/lib/systemd/system/autofs.service      2014-10-16 21:30:39.000000000 -0400
+ /etc/systemd/system/autofs.service  2014-11-21 10:00:58.513568275 -0500
@@ -8,7 +8,8 @@
 EnvironmentFile=-/etc/sysconfig/autofs
 ExecStart=/usr/sbin/automount $OPTIONS --pid-file /run/autofs.pid
 ExecReload=/usr/bin/kill -HUP $MAINPID
-TimeoutSec=180
+TimeoutSec=240
+Restart=Always

 [Install]
 WantedBy=multi-user.target

[MASKED]     /etc/systemd/system/cups.service → /usr/lib/systemd/system/cups.service
[EXTENDED]   /usr/lib/systemd/system/sssd.service → /etc/systemd/system/sssd.service.d/journal.conf

4 overridden configuration files found.

表3.13「systemd-delta の相違タイプ」は、systemd-delta の出力で表示される上書きタイプを一覧表示します。ファイルが上書きされると、systemd-delta が、diff コマンドの出力に似た変更の要約をデフォルトで表示します。

表3.13 systemd-delta の相違タイプ

Type説明

[MASKED]

マスクされたユニットファイルです。ユニットマスクの説明は「サービスの無効化」を参照してください。

[EQUIVALENT]

このコピーは、元のファイルを上書きしますが、コンテンツは変更されません。通常はシンボリックリンクです。

[REDIRECTED]

別のファイルにリダイレクトするファイルです。

[OVERRIDEN]

上書きされ、変更されたファイルです。

[EXTENDED]

/etc/systemd/system/unit.d/ ディレクトリーの .conf ファイルで拡張されているファイルです。

[UNCHANGED]

--type=unchanged オプションが使用される場合にのみ表示される、変更されていないファイルです。

システムの更新後に、systemd-delta を実行して、デフォルトユニットに対してカスタム設定で上書きした更新があるかどうかを確認できます。さらに、出力する更新を、特定のタイプに制限することもできます。たとえば、上書きされたユニットのみを表示するには、以下のコマンドを実行します。

systemd-delta --type=overridden

ユニットファイルを編集し、送信した変更でドロップインファイルを自動的に作成するには、以下のコマンドを実行します。

# systemctl edit unit_name.type_extension

オーバーライド、およびドロップインをすべて適用するユニット設定をダンプするには、以下のコマンドを実行します。

# systemctl cat unit_name.type_extension

unit_name.type_extension を、必要なユニット名と、そのタイプ (たとえば tuned.service) に置き換えます。

3.5.5. インスタンス化されたユニットの使用

ランタイム時に、1 つのテンプレート設定ファイルから複数のユニットをインスタンス化できます。「@」文字は、テンプレートにマークを付け、ユニットをこれに関連付けるために使用されます。インスタンス化されたユニットは、(Requires オプションまたは Wants オプションを使用して) 別のユニットから開始することも、systemctl start コマンドで開始することもできます。インスタンス化されたサービスユニットの名前は以下のような形式となります。

template_name@instance_name.service

ここで、template_name は、テンプレート設定ファイルの名前になります。instance_name を、ユニットインスタンスの名前に置き換えます。複数のインスタンスが同じテンプレートファイルを参照し、このテンプレートには、ユニットの全インスタンスに共通する設定オプションが含まれます。テンプレートユニットの名前には以下の形式が使用されます。

unit_name@.service

たとえば、ユニットファイルに次の Wants 設定を指定すると、

Wants=getty@ttyA.service getty@ttyB.service

この設定により、systemd が、最初に指定したサービスユニットを検索します。該当するユニットが見つからないと、「@」とタイプ接尾辞の間にある部分は無視され、systemdgetty@.service ファイルを検索し、そこから設定を読み取り、サービスを起動します。

ワイルドカード文字 (ユニット指定子 とも呼ばれる) を、すべてのユニット設定ファイルで使用できます。ユニット指定子は、ランタイム時に特定のユニットパラメーターに置き換えられて解釈されます。表3.14「重要なユニット指定子」 で、特にテンプレートユニットで役に立つユニット指定子の一覧を紹介します。

表3.14 重要なユニット指定子

ユニット指定子意味説明

%n

完全ユニット名

タイプ接尾辞を含む完全ユニット名を表します。%N には同じ意味がありますが、禁止文字を ASCII コードに置き換えます。

%p

接頭辞名

タイプ接尾辞が削除されたユニット名を表します。インスタンス化されたユニットの %p は、ユニット名の「@」文字の前の部分を表します。

%i

インスタンス名

インスタンス化されたユニット名の「@」文字およびタイプ接尾辞間の部分です。%I には同じ意味がありますが、禁止文字を ASCII コードにも置き換えます。

%H

ホスト名

ユニット設定を読み込んだ時に稼働しているシステムのホスト名を表します。

%t

ランタイムディレクトリー

ランタイムディレクトリーを表します。これは、root ユーザーの /run、または非特権ユーザーの XDG_RUNTIME_DIR 変数の値になります。

ユニット指定子の詳細な一覧は、man ページの systemd.unit(5) を参照してください。

たとえば、getty@.service テンプレートには以下のディレクティブが含まれます。

[Unit]
Description=Getty on %I
…​
[Service]
ExecStart=-/sbin/agetty --noclear %I $TERM
…​

上記のテンプレートから getty@ttyA.service および getty@ttyB.service をインスタンス化する場合、Description= は Getty on ttyA および Getty on ttyB として解決されます。

3.6. 起動時間を短縮するための systemd の最適化

デフォルトで有効になっている systemd ユニットファイルの一覧があります。システムの起動時に、このようなユニットファイルで定義されているシステムサービスが自動的に実行し、システムの起動時間に影響を及ぼします。

本セクションでは、以下を説明します。

  • システムの起動パフォーマンスを調べるツール
  • systemd ユニットがデフォルトで無効になっている目的と、起動時間を短縮するために、このような systemd ユニットを無効にしても安全な状況

3.6.1. システムの起動パフォーマンスを調べる

システムの起動時のパフォーマンスを調べる場合は、systemd-analyze コマンドを使用できます。このコマンドでは、多数のオプションが使用できます。ただし、本セクションでは、起動時間を短縮するために、systemd を調整する際に重要なものだけを説明します。

オプションの完全リストおよび詳細な説明は、man ページの systemd-analyze を参照してください。

前提条件

システムの起動時に調整するために、systemd を調べる前に、有効なサービスの一覧を表示することもできます。

$ systemctl list-unit-files --state=enabled
システム全体の起動時間の分析

手順

  • システムが最後に起動してからの時間に関する総合的な情報を表示する場合は、次のコマンドを実行します。
$ systemd-analyze
ユニットの初期化時間の分析

手順

  • 各 systemd ユニットの初期化時間の詳細を確認する場合は、次のコマンドを実行します。
$ systemd-analyze blame

この出力では、システムが最後に起動した時に初期化にかかった時間に応じて、ユニットが降順で表示されます。

重要なユニットの識別

手順

  • システムが最後に起動した時に、初期化に最も時間がかかったユニットを特定するには、次のコマンドを実行します。
$ systemd-analyze critical-chain

この出力では、起動に非常に時間がかかっているユニットが、赤字で強調表示されています。

図3.1 systemd-analyze critical-chain コマンドの出力

systemd で重要なものを分析

3.6.2. 無効にしても安全なサービスを選択するためのガイド

システムの起動時に時間がかかっている場合は、デフォルトで起動時に有効になるサービスの一部を無効にすることで、起動時間を短くできます。

このようなサービスを一覧表示するには、次のコマンドを実行します。

$ systemctl list-unit-files --state=enabled

サービスを無効にするには、次のコマンドを実行します。

# systemctl disable service_name

ただし、お使いのオペレーティングシステムが安全で、希望通りに機能できるように、特定のサービスは有効にしたままにしておく必要があります。

次の表は、無効にしても安全なサービスを選択するためのガイドとして使用できます。この表では、Red Hat Enterprise Linux 8 の最小インストールで、デフォルトで有効になっているすべてのサービスと、各サービスを無効にしても安全かどうかを説明します。

その他にも、サービスを無効にできる状況と、そのサービスを無効にすべきではない理由を示しています。

表3.15 RHEL 8 の最小インストールで、デフォルトで有効になっているサービス

サービス名無効にすることは可能か?詳細情報

auditd.service

はい

auditd.service は、カーネルからの監査メッセージが必要ない場合に限り無効にします。auditd.service を無効にすると、/var/log/audit/audit.log ファイルが生成されないことに注意してください。無効にすると、ユーザーログイン、サービスの起動、パスワードの変更などの、一般的に確認されるアクションまたはレビューをさかのぼって確認することはできません。auditd には、カーネルの部分と、サービスそのものが含まれることに注意してください。systemctl disable auditd コマンドを実行すると、サービスを無効にするだけで、カーネル部分は無効にしません。システムの監査を完全に無効にするには、カーネルコマンドラインに audit=0 と設定します。

autovt@.service

いいえ

このサービスは、本当に必要な場合に限り実行されるため、無効にする必要はありません。

crond.service

はい

crond.service を無効にすると crontab からアイテムが実行しないことに注意してください。

dbus-org.fedoraproject.FirewallD1.service

はい

firewalld.service へのシンボリックリンク

dbus-org.freedesktop.NetworkManager.service

はい

NetworkManager.service へのシンボリックリンク

dbus-org.freedesktop.nm-dispatcher.service

はい

NetworkManager-dispatcher.service へのシンボリックリンク

firewalld.service

はい

ファイアウォールが必要ない場合に限り firewalld.service を無効にします。

getty@.service

いいえ

このサービスは、本当に必要な場合に限り実行されるため、無効にする必要はありません。

import-state.service

はい

import-state.service は、ネットワークストレージからの起動が必要ない場合に限り無効にします。

irqbalance.service

はい

irqbalance.service は、CPU が 1 つしかない場合に限り無効にします。システムに CPU が複数ある場合は irqbalance.service を無効にしないでください。

kdump.service

はい

kdump.service は、カーネルクラッシュからのレポートが必要ない場合に限り無効にします。

loadmodules.service

はい

このサービスは、/etc/rc.modules ディレクトリーまたは /etc/sysconfig/modules ディレクトリーがなければ起動しません。つまり、RHEL 8 の最小インストールでは起動しません。

lvm2-monitor.service

はい

lvm2-monitor.service は、論理ボリュームマネージャー (LVM) を使用しない場合に限り無効にします。

microcode.service

いいえ

そのサービスは、CPU 内のマイクロコードソフトウェアの更新を提供するため、無効にしないでください。

NetworkManager-dispatcher.service

はい

NetworkManager-dispatcher.service は、ネットワーク設定変更の通知が必要ない場合 (静的ネットワークなど) に限り無効にします。

NetworkManager-wait-online.service

はい

NetworkManager-wait-online.service は、システムの起動直後にネットワーク接続が利用できるようになっている必要がない場合に限り無効にします。このサービスを有効にすると、ネットワーク接続が有効になるまで、システムの起動が完了しません。これにより、起動時間が大幅に長くなることがあります。

NetworkManager.service

はい

NetworkManager.service は、ネットワークへの接続が必要ない場合に限り無効にします。

nis-domainname.service

はい

nis-domainname.service は、ネットワークインフォメーションサービス (NIS) を使用しない場合に限り無効にします。

rhsmcertd.service

いいえ

 

rngd.service

はい

rngd.service は、システムでエントロピーがそれほど必要ない場合、またはハードウェアジェネレーターがない場合に限り無効にします。このサービスは、X.509 証明書の生成に使用されるシステム (たとえば FreeIPA サーバー) など、良好なエントロピーを多数必要とする環境で必要になります。

rsyslog.service

はい

rsyslog.service は、永続的なログが必要ない場合に限り、または systemd-journald を永続モードに設定した場合に限り無効にします。

selinux-autorelabel-mark.service

はい

selinux-autorelabel-mark.service は、SELinux を使用しない場合に限り無効にします。

sshd.service

はい

sshd.service は、OpenSSH サーバーへのリモートログインが必要ない場合に限り無効にします。

sssd.service

はい

sssd.service は、ネットワークを介して (たとえば LDAP や Kerberos を使用して) システムにログインするユーザーがいない場合に限り無効にします。sssd.service を無効にした場合は、sssd-* ユニットをすべて無効にすることを Red Hat は推奨します。

syslog.service

はい

rsyslog.service のエイリアス

tuned.service

はい

tuned.service は、パフォーマンスチューニングを使用する必要がない場合に限り無効にします。

lvm2-lvmpolld.socket

はい

lvm2-lvmpolld.socket は、論理ボリュームマネージャー (LVM) を使用しない場合に限り無効にします。

dnf-makecache.timer

はい

dnf-makecache.timerは、パッケージメターデータを自動的に更新する必要がない場合に限り無効にします。

unbound-anchor.timer

はい

unbound-anchor.timer は、DNSSEC (DNS Security Extensions) のルートトラストアンカーを毎日更新する必要がない場合に限り無効にします。このルートトラストアンカーは、DNSSEC 検証の Unbound リゾルバー、およびリゾルバーライブラリーにより使用されます。

サービスの詳細は、次のいずれかのコマンドを実行すると表示できます。

$ systemctl cat <service_name>
$ systemctl help <service_name>

systemctl cat コマンドは、/usr/lib/systemd/system/<service> の配下に置かれたサービスファイルの内容と、適用可能なすべてのオーバーライドを提供します。適用可能なオーバーライドには、/etc/systemd/system/<service> ファイルからのユニットファイルオーバーライドと、対応する unit.type.d ディレクトリーのドロップインファイルが含まれます。

ドロップインファイルの詳細は、man ページの systemd.unit を参照してください。

systemctl help コマンドは、特定サービスの man ページを表示します。

3.7. 関連情報

systemd と、Red Hat Enterprise Linux での使用方法は、以下に挙げる資料を参照してください。

3.7.1. インストールされているドキュメント

  • systemctl(1) - systemctl コマンドラインユーティリティーの man ページには、サポートされるオプションとコマンドの完全なリストが提供されます。
  • systemd(1) - systemd システムおよびサービスマネージャーの man ページでは、その概念に関する詳細情報が提供され、利用可能なコマンドラインオプションと環境変数、サポートされる設定ファイルとディレクトリー、認識されるシグナル、および利用可能なカーネルオプションが説明されています。
  • systemd-delta(1) - 拡張され、上書きされた設定ファイルの検索を可能にする systemd-delta ユーティリティーの man ページです。
  • systemd.directives(7) - systemd.directives という名前の man ページでは、systemd ディレクティブの詳細を確認できます。
  • systemd.unit(5) - systemd.unit の man ページでは、systemd ユニットファイルの詳細情報と、利用可能なすべての設定オプションが説明されてます。
  • systemd.service(5) - systemd.service の man ページでは、サービスユニットファイルの形式が紹介されています。
  • systemd.target(5) - systemd.target の man ページには、ターゲットユニットファイルの形式が説明されています。
  • systemd.kill(5) - systemd.kill の man ページでは、プロセスの強制終了手順の設定が説明されています。

3.7.2. オンラインドキュメント

  • systemd ホームページ - このプロジェクトのホームページでは、systemd に関する詳細情報が提供されています。

第4章 ユーザーアカウントおよびグループアカウントの管理

ユーザーとグループの制御は、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) システム管理の中核となる要素です。以下のセクションでは、次の方法を説明します。

4.1. ユーザーとグループの概要

各 RHEL ユーザーには異なるログイン認証情報があり、システム権限をカスタマイズするためにさまざまなグループに割り当てることができます。

ファイルを作成するユーザーは、そのファイルの所有者 および そのファイルのグループ所有者です。ファイルには、所有者、グループ、およびそのグループ外のユーザーに対して読み取り、書き込み、実行のパーミッションが別々に割り当てられます。ファイルの所有者は、root ユーザーのみが変更できます。ファイルへのアクセスパーミッションは、root ユーザーとファイル所有者の両方が変更できます。通常ユーザーは、所有するファイルのグループ所有権を、所属するグループに変更できます。

各ユーザーは、ユーザー ID (UID) と呼ばれる一意の数値 ID に関連付けられています。各グループは グループ ID (GID) に関連付けられています。グループ内のユーザーは、そのグループが所有するファイルの読み取り、書き込み、実行を行う権限を共有します。

4.2. 予約ユーザーおよびグループ ID の設定

RHEL は、システムユーザーおよびグループに対して、1000 未満のユーザーおよびグループ ID を予約します。予約されているユーザー ID とグループ ID は、setup パッケージで確認できます。予約済みユーザーおよびグループ ID を表示するには、以下を使用します。

cat /usr/share/doc/setup*/uidgid

予約範囲は将来広がる可能性があるため、5000 以降の新規ユーザーおよびグループに ID を割り当てることが推奨されます。

デフォルトでは、新規ユーザーに割り当てられた ID が 5000 から始まるようにするには、/etc/login.defs ファイルの UID_MIN パラメーターおよび GID_MIN パラメーターを変更します。

手順

デフォルトでは、新規ユーザーに割り当てられた ID が 5000 から始まるようにするには、以下のコマンドを使用します。

  1. 任意のエディターで /etc/login.defs ファイルを開きます。
  2. UID の自動選択の最小値を定義する行を見つけます。

    # Min/max values for automatic uid selection in useradd
    #
    UID_MIN                  1000
  3. UID_MIN の値を 5000 から開始するように変更します。

    # Min/max values for automatic uid selection in useradd
    #
    UID_MIN                  5000
  4. GID の自動選択の最小値を定義する行を見つけます。

    # Min/max values for automatic gid selection in groupadd
    #
    GID_MIN                  1000

UID_MIN および GID_MIN の値を変更する前に作成されたユーザーおよびグループ、UID および GID は、デフォルトの 1000 から開始します。

警告

1000 の上限を保持しているシステムとの競合を回避するため、SYS_UID_MAX を変更して、システムが予約している ID を 1000 以上にしないようにしてください。

4.3. ユーザープライベートグループ

RHEL は、ユーザープライベートグループ ( UPG) システム設定を使用するため、UNIX グループの管理が容易になります。ユーザープライベートグループは、新規ユーザーがシステムに追加されるたびに作成されます。ユーザープライベートグループは作成したユーザーと同じ名前となり、そのユーザーがそのユーザープライベートグループの唯一のメンバーになります。

UPG は、複数ユーザー間のプロジェクトの連携を簡素化します。さらに、UPG システム設定は、ユーザーとグループの両方がファイルまたはディレクトリーに変更を加えるため、新たに作成されたファイルまたはディレクトリーに、デフォルトのパーミッションを設定するのを安全に行うことができます。

グループの一覧は、/etc/group 設定ファイルに保存されます。

4.4. Web コンソールでユーザーアカウントの管理

RHEL Web コンソールを使用すると、端末に直接アクセスせずに、さまざまな管理タスクを実行できます。RHEL 8 Web コンソールは、システムユーザーアカウントの追加、編集、および削除を行うグラフィカルインターフェースを提供します。以下のセクションでは、以下を行う方法を説明します。

  • RHEL Web コンソールを使い始める。
  • Web コンソールでユーザーアカウントを管理します。

4.4.1. RHEL Web コンソールの使用

以下のセクションでは、Red Hat Enterprise Linux 8 に Web コンソールをインストールし、ブラウザーで Web コンソールを開けるようにする方法を説明します。また、RHEL 8 Web コンソールで リモートホストを追加 し、監視する方法も説明します。

前提条件

  • Red Hat Enterprise Linux 8 をインストールしている。
  • 有効なネットワークがある。
  • 適切なサブスクリプションが割り当てられた登録済みのシステムがある。

    サブスクリプションを取得する場合は、「Web コンソールでサブスクリプションの管理」を参照してください。

4.4.1.1. RHEL Web コンソールの概要

RHEL Web コンソールは、ローカルシステムやネットワーク環境にある Linux サーバーを管理および監視するために設計された Red Hat Enterprise Linux 8 の Web ベースのインターフェースです。

cockpit overview page PF4

RHEL Web コンソールは、以下を含むさまざまな管理タスクを可能にします。

  • サービスの管理
  • ユーザーアカウントの管理
  • システムサービスの管理および監視
  • ネットワークインターフェースおよびファイアウォールの設定
  • システムログの確認
  • 仮想マシンの管理
  • 診断レポートの作成
  • カーネルダンプ構成の設定
  • SELinux の構成
  • ソフトウェアの更新
  • システムサブスクリプションの管理

RHEL Web コンソールは、ターミナルと同じシステム API を使用します。ターミナルで実行した操作は、即座に RHEL Web コンソールに反映されます。

ネットワーク環境のシステムのログや、パフォーマンスをグラフで監視できます。さらに、Web コンソールで設定を直接変更したり、ターミナルから設定を変更できます。

4.4.1.2. Web コンソールのインストール

Red Hat Enterprise Linux 8 では、多くのインストール方法で、RHEL 8 Web コンソールがデフォルトでインストールされます。

ご使用のシステムがこれに該当しない場合は、cockpit パッケージをインストールし、cockpit.socket サービスを設定して RHEL 8 Web コンソールを有効にします。

手順

  1. cockpit パッケージをインストールします。

    # yum install cockpit
  2. Web サーバーを実行する cockpit.socket サービスを有効にして起動します。

    # systemctl enable --now cockpit.socket
  3. カスタムのファイアウォールプロファイルを使用している場合は、cockpit サービスを firewalld に追加し、ファイアウォールの 9090 番ポートを開きます。
# firewall-cmd --add-service=cockpit --permanent
# firewall-cmd --reload

検証手順

  1. 以前のインストールと設定を確認するには、Web コンソールを開きます

4.4.1.3. Web コンソールへのログイン

システムユーザー名とパスワードを使用して、RHEL Web コンソールに最初にログインするには、この手順の手順に従ってください。

前提条件

  • 以下のブラウザーのいずれかを使用して、Web コンソールを開いている。

    • Mozilla Firefox 52 以上
    • Google Chrome 57 以上
    • Microsoft Edge 16 以上
  • システムユーザーアカウントの認証情報

    RHEL Web コンソールは、/etc/pam.d/cockpit にある特定の PAM スタックを使用します。PAM を使用した認証では、システムのローカルアカウントのユーザー名およびパスワードを使用してログインできます。

手順

  1. Web ブラウザーで Web コンソールを開きます。

    • ローカルの場合 - https://localhost:9090
    • リモートでサーバーのホスト名を使用する場合 - https://example.com:9090
    • リモートでサーバーの IP アドレスを使用する場合 - https://192.0.2.2:9090

      自己署名証明書を使用する場合は、ブラウザーに警告が表示されます。証明書を確認し、セキュリティー例外を許可してから、ログインを続行します。

      コンソールは /etc/cockpit/ws-certs.d ディレクトリーから証明書をロードし、アルファベット順で最後となる .cert 拡張子のファイルを使用します。セキュリティーの例外を承認しなくてもすむように、認証局 (CA) が署名した証明書をインストールします。

  2. ログイン画面で、システムユーザー名とパスワードを入力します。

    cockpit login page PF4

  3. 必要に応じて、特権タスクにパスワードを再使用する オプションをクリックします。

    ログインに使用するユーザーアカウントに sudo 権限がある場合は、ソフトウェアのインストールや SELinux の設定など、Web コンソールで権限が必要となるタスクを実行できます。

  4. ログイン をクリックします。

認証に成功すると、RHEL Web コンソールインターフェースが開きます。

4.4.1.4. リモートマシンから Web コンソールへの接続

任意のクライアントオペレーティングシステムから、または携帯電話やタブレットから、Web コンソールインターフェースに接続できます。次の手順は、その方法を示しています。

前提条件

  • 対応しているインターネットブラウザーを備えたデバイス。以下に例を示します。

    • Mozilla Firefox 52 以上
    • Google Chrome 57 以上
    • Microsoft Edge 16 以上
  • インストールしてアクセス可能な Web コンソールでアクセスする RHEL 8 サーバー。Web コンソールのインストールの詳細は、「RHEL Web コンソールの使用」を参照してください。

手順

  1. Web ブラウザを開きます。
  2. リモートサーバーのアドレスを次のいずれかの形式で入力します。

    1. サーバーのホスト名 (server.hostname.example.com:port_number)
    2. サーバーの IP アドレス (server.IP_address:port_number)
  3. ログインインターフェースが開いたら、RHEL マシンの資格情報でログインします。

4.4.1.5. ワンタイムパスワードを使用した Web コンソールへのログイン

ワンタイムパスワード (OTP) を使用して RHEL Web コンソールにログインするには、この手順を完了します。

重要

ワンタイムパスワードを使用してログインできるのは、お使いのシステムが、OTP 設定が有効な Identity Management (IdM) ドメインの一部である場合のみです。IdM の OTP の詳細は、「Identity Management のワンタイムパスワード」を参照してください。

前提条件

  • RHEL Web コンソールがインストールされている。

    詳細は「Web コンソールのインストール」を参照してください。

  • OTP 設定が有効になっている Identity Management サーバー。
  • OTP トークンを生成する構成済みのハードウェアまたはソフトウェアのデバイス

手順

  1. ブラウザーで RHEL Web コンソールを開きます。

    • ローカルの場合 - https://localhost:PORT_NUMBER
    • リモートでサーバーのホスト名を使用する場合 - https://example.com:PORT_NUMBER
    • リモートでサーバーの IP アドレスを使用する場合 - https://EXAMPLE.SERVER.IP.ADDR:PORT_NUMBER

      自己署名証明書を使用する場合は、ブラウザーに警告が表示されます。証明書を確認し、セキュリティー例外を許可してから、ログインを続行します。

      コンソールは /etc/cockpit/ws-certs.d ディレクトリーから証明書をロードし、アルファベット順で最後となる .cert 拡張子のファイルを使用します。セキュリティーの例外を承認しなくてもすむように、認証局 (CA) が署名した証明書をインストールします。

  2. ログイン画面が表示されます。ログイン画面で、システムユーザーの名前とパスワードを入力します。
  3. デバイスでワンタイムパスワードを生成します。
  4. パスワードを確認してから、Web コンソールインターフェースに表示される新規フィールドにワンタイムパスワードを入力します。
  5. Log in をクリックします。
  6. 正常なログインは、Web コンソールインターフェースの Overview ページに移動します。

4.4.2. Web コンソールでユーザーアカウントの管理

RHEL Web コンソールは、システムユーザーアカウントの追加、編集、および削除を行うインターフェースを提供します。本セクションの内容を読むと、以下を理解できます。

  • 既存のアカウントが存在する場所
  • 新規アカウントの追加方法
  • パスワードの有効期限の設定方法
  • ユーザーセッションを終了する方法および時期

前提条件

4.4.2.1. Web コンソールで管理されるシステムユーザーアカウント

RHEL Web コンソールに表示されているユーザーアカウントでは、以下が可能になります。

  • システムにアクセスする際にユーザーを認証する
  • システムへのアクセス権を設定する

RHEL Web コンソールは、システムに存在するすべてのユーザーアカウントを表示します。そのため、最初に Web コンソールにログインした直後は、ユーザーアカウントが少なくとも 1 つ表示されます。

RHEL Web コンソールにログインしたら、以下の操作を実行できます。

  • 新規ユーザーアカウントの作成
  • パラメーターの変更
  • アカウントのロック
  • ユーザーセッションの終了

4.4.2.2. Web コンソールで新規アカウントの追加

RHEL Web コンソールを使用して、ユーザーアカウントをシステムに追加し、アカウントに管理者権限を設定する場合は、以下の手順に従います。

前提条件

手順

  1. RHEL Web コンソールにログインします。
  2. アカウント をクリックします。
  3. 新規アカウントの作成 をクリックします。

    cockpit create new account pf4

  4. フルネーム フィールドにユーザーの氏名を入力します。

    RHEL Web コンソールは、入力した氏名からユーザー名が自動的に作成され、ユーザー名 フィールドに入力されます。名前の頭文字と、苗字で構成される命名規則を使用しない場合は、入力されたユーザー名を変更します。

  5. パスワード/確認 フィールドにパスワードを入力し、再度パスワードを入力します。フィールドの下にあるカラーバーは、入力したパスワードの強度を表し、弱いパスワードは使用できないようにします。

    cockpit user accounts pf4

  6. 作成 をクリックして設定を保存し、ダイアログボックスを閉じます。
  7. 新規作成したアカウントを選択します。
  8. ロール で、サーバー管理者 を選択します。

cockpit terminate session pf4

これで アカウント 設定に新規アカウントが表示され、認証情報を使用してシステムに接続できるようになりました。

4.4.2.3. Web コンソールでパスワード有効期限の強制

デフォルトでは、ユーザーアカウントのパスワードに期限はありません。パスワードの有効期限を設定するには、管理者が、定義した日数後にシステムパスワードが期限切れになるように設定します。

パスワードが期限切れになると、次回のログイン時にパスワードの変更が要求されます。

手順

  1. RHEL 8 Web コンソールインターフェースへログインします。
  2. アカウント をクリックします。
  3. パスワードの有効期限を設定するユーザーアカウントを選択します。
  4. ユーザーアカウントの設定でパスワードを失効しないをクリックします。
  5. パスワードの有効期限ダイアログボックスで、Require password change every… days を選択し、パスワードの期限が切れる日数を示した、正の整数を入力します。

    cockpit password expiration

  6. 変更 をクリックします。

設定を確認するには、アカウント設定を開きます。RHEL 8 Webコンソールには、有効期限を表すリンクが表示されます。

cockpit password expiration date

4.4.2.4. Web コンソールでユーザーセッションの終了

ユーザーがシステムにログインすると、ユーザーセッションが作成されます。ユーザーセッションを終了すると、ユーザーはシステムからログアウトされます。

これは、システムのアップグレードなどの、設定変更の影響を受ける管理タスクを実行する必要がある場合に便利です。

RHEL 8 Web コンソールの各ユーザーアカウントで、現在使用している Web コンソールセッション以外のセッションすべてを終了できます。これにより、管理者がシステムからログアウトしないようにします。

手順

  1. RHEL 8 Web コンソールにログインします。
  2. アカウント をクリックします。
  3. セッションを終了するユーザーアカウントをクリックします。
  4. セッションの終了 ボタンをクリックします。

    cockpit password expiration date Terminate Session ボタンが無効になっている場合は、ユーザーがシステムにログインしていません。

RHEL Web コンソールはセッションを終了します。

4.5. コマンドラインからのユーザーの管理

コマンドラインインターフェース (CLI) を使用してユーザーおよびグループを管理できます。

以下のセクションでは、CLI を使用して以下を行う方法を説明します。

前提条件

  • root アクセス。

4.5.1. コマンドラインでの新規ユーザーの追加

本セクションでは、useradd コマンドを使用して、新しいユーザーを追加する方法を説明します。

手順

  • 新規ユーザーを追加するには、以下を使用します。

    # useradd options username

    optionsuseradd コマンドのコマンドラインオプションに置き換え、username をユーザー名に置き換えます。

  • ユーザー ID が 5000 のユーザー sarah を追加するには、以下を使用します。

    # useradd -u 5000 sarah

検証手順

  • 新規ユーザーが追加されたことを確認するには、id ユーティリティーを使用します。

    # id sarah

    出力は以下を返します。

    uid=5000(sarah) gid=5000(sarah) groups=5000(sarah)

関連情報

  • useradd の詳細は、man ページの useradd を参照してください。

4.5.2. コマンドラインでの新規グループの追加

本セクションでは、groupadd コマンドを使用して、新しいユーザーを追加する方法を説明します。

手順

  • 新規グループを追加するには、以下を使用します。

    # groupadd options group-name

    optionsgroupadd コマンドのコマンドラインオプションに置き換え、group-name をグループ名に置き換えます。

  • グループ ID が 5000 のグループ sysadmins を追加するには、以下を使用します。

    # groupadd -g 5000 sysadmins

検証手順

  • 新規グループが追加されていることを確認するには、tail ユーティリティーを使用します。

    # tail /etc/group

    出力は以下を返します。

    sysadmins:x:5000:

関連情報

  • useradd の詳細は、man ページの groupadd を参照してください。

4.5.3. コマンドラインでのグループへのユーザーの追加

本セクションでは、usermod コマンドを使用して、ユーザーの補助グループにグループを追加する方法を説明します。

手順

  • ユーザーの補助グループにグループを追加するには、以下を使用します。

    # usermod --append -G group-name username

    group-name をグループ名に置き換え、username をユーザー名に置き換えます。

  • ユーザーの sysadmin をグループ system-administrators に追加するには、以下を使用します。

    # usermod --append -G system-administrators sysadmin

検証手順

  • ユーザー sysadmin の補助グループに新規グループが追加されていることを確認するには、以下を使用します。

    # groups sysadmin

    出力は以下を返します。

    sysadmin: sysadmin system-administrators

4.5.4. コマンドラインからのユーザーの削除

ユーザーを削除するグループを含まない新しいグループセットでユーザーが所属するグループを上書きすると、プライマリーグループまたは補助グループからユーザーを削除できます。以下のセクションでは、以下を行う方法を説明します。

  • ユーザーのプライマリーグループを上書きします。
  • ユーザーの補助グループを上書きします。

4.5.4.1. ユーザーのプライマリーグループの上書き

本セクションでは、usermod コマンドを使用して、ユーザーのプライマリーグループを上書きする方法を説明します。

手順

  • ユーザーのプライマリーグループを上書きするには、以下のコマンドを使用します。

    # usermod -g group-name username

    group-name をグループ名に置き換え、username をユーザー名に置き換えます。

  • ユーザー sarah がそのプライマリーグループ sarah1 に属し、ユーザーのプライマリーグループを sarah2 に変更する場合は、以下を使用します。

    # usermod -g sarah2 sarah

検証手順

  • ユーザーのプライマリーグループが上書きされていることを確認するには、以下を使用します。

    # groups sarah

    出力は以下を返します。

    sarah : sarah2

4.5.4.2. ユーザーの補助グループの上書き

本セクションでは、usermod コマンドを使用して、ユーザーの補助グループを上書きする方法を説明します。

手順

  • ユーザーの補助グループを上書きするには、以下のコマンドを使用します。

    # usermod -G group-name username

    group-name をグループ名に置き換え、username をユーザー名に置き換えます。

  • ユーザー sarahsystem-administrator グループおよび developer グループに属し、system-administrator グループからユーザー sarah を削除する場合は、古いグループ一覧を新しいものに置き換えることができます。これを行うには、以下を使用します。

    # usermod -G developer sarah

検証手順

  • ユーザーの補助グループが上書きされていることを確認するには、以下を使用します。

    # groups sarah

    出力は以下を返します。

    sarah : sarah developer

4.5.5. グループディレクトリーの作成

UPG システム設定では、set-group 識別パーミッション (setgid ビット)をディレクトリーに適用できます。setgid ビットにより、ディレクトリーを共有するグループプロジェクトの管理が簡単になります。setgid ビットをディレクトリーに適用すると、そのディレクトリー内に作成されたファイルは、そのディレクトリーを所有するグループに自動的に割り当てられます。このグループ内で書き込みおよび実行パーミッションを持つユーザーは、ディレクトリーにファイルを作成、変更、および削除できるようになりました。

次のセクションでは、グループディレクトリーを作成する方法を説明します。

手順

  1. ディレクトリーを作成します。

    # mkdir directory-name

    directory-name をディレクトリー名に置き換えます。

  2. グループを作成します。

    # groupadd group-name

    group-name を、グループ名に置き換えます。

  3. ユーザーをグループに追加します。

    # usermod --append -G group-name username

    group-name をグループ名に置き換え、username をユーザー名に置き換えます。

  4. ディレクトリーのユーザーとグループの所有権を group-name グループに関連付けます。

    # chown :group-name directory-name

    group-name をグループ名に置き換え、directory-name をディレクトリー名に置き換えます。

  5. ファイルおよびディレクトリーの作成および修正を許可し、setgid ビットを設定してこのパーミッションを directory-name ディレクトリー内で適用できるようにします。

    # chmod g+rwxs directory-name

    directory-name をディレクトリー名に置き換えます。

    group-name グループのすべてのメンバーが、directory-name ディレクトリーにファイルを作成し、編集できるようになりました。新規に作成されたファイルは、group-name グループのグループ所有権を保持します。

検証手順

  • セットパーミッションの正確性を検証するには、以下を使用します。

    # ls -ld directory-name

    directory-name をディレクトリー名に置き換えます。

    出力は以下を返します。

    drwxrwsr-x. 2 root group-name 6 Nov 25 08:45 directory-name

4.6. sudo アクセスの管理

システム管理者は、root 以外のユーザーが管理コマンドを実行できるように sudo アクセスを付与できます。sudo コマンドは、root ユーザーのパスワードを使用せずに、管理アクセスを持つユーザーを提供する方法です。

ユーザーが管理コマンドを実行する必要がある場合は、コマンドの前に sudo を付けることができます。コマンドは、root ユーザーのように実行されます。

以下の制限事項に注意してください。

  • /etc/sudoers 設定ファイルに一覧表示されているユーザーのみが sudo コマンドを使用できます。
  • コマンドは、root シェルではなく、ユーザーのシェルで実行されます。

次のセクションでは、ユーザーに sudo アクセスを付与する方法を説明します。

4.6.1. ユーザーへの sudo アクセス権限の付与

root 以外のユーザーには、管理コマンドを実行するために sudo アクセスが必要です。次のセクションでは、ユーザーに sudo アクセスを付与する方法を説明します。

前提条件

  • root アクセス。

手順

  1. /etc/sudoers ファイルを開きます。

    # visudo

    /etc/sudoers ファイルは、sudo コマンドで適用されるポリシーを定義します。

  2. /etc/sudoers ファイルで、管理 wheel グループ内のユーザーに sudo アクセスを付与する行を見つけます。

    ## Allows people in group wheel to run all commands
    %wheel        ALL=(ALL)       ALL
  3. %wheel で始まる行に # コメント文字が含まれていないことを確認してください。
  4. 変更を保存し、エディターを終了します。
  5. 管理 wheel グループに sudo アクセスを付与するユーザーを追加します。

     # usermod --append -G wheel username

    username を、ユーザー名に置き換えます。

  • 管理 wheel グループにユーザー sarah を追加するには、以下を使用します。

     # usermod --append -G wheel sarah

検証手順

  • ユーザーが管理 wheel グループに追加されていることを確認するには、id ユーティリティーを使用します。

    # id sarah

    出力は以下を返します。

    uid=5000(sarah) gid=5000(sarah) groups=5000(sarah),10(wheel)

4.7. root パスワードの変更およびリセット

既存の root パスワードが満たされなくなったり、削除されたりした場合は、root ユーザーと root 以外のユーザーの両方でパスワードを変更またはリセットできます。

以下のセクションでは、次の方法を説明します。

  • root ユーザーとしての root パスワードの変更
  • root 以外のユーザーで root パスワードを変更またはリセットします。
  • システムの起動時に root パスワードをリセットします。

4.7.1. root ユーザーとしての root パスワードの変更

本セクションでは、passwd コマンドを使用して、root ユーザーで root パスワードを変更する方法を説明します。

前提条件

  • root アクセス。

手順

  • root パスワードを変更する場合は、次のコマンドを実行します。

    # passwd

    変更する前に、現在のパスワードを入力するように求められます。

4.7.2. root 以外のユーザーが root パスワードを変更またはリセット

本セクションでは、passwd コマンドを使用して、root 以外のユーザーで root パスワードを変更またはリセットする方法を説明します。

前提条件

  • root 以外のユーザーとしてログインできる。
  • 管理 wheel グループのメンバーである。

手順

  • wheel グループに属する非 root ユーザーとして root パスワードを変更またはリセットするには、以下を使用します。

    $ sudo passwd root

    root パスワードを変更する前に、root 以外のパスワードを入力するように求められます。

4.7.3. システムの起動時に root パスワードのリセット

root 以外のユーザーとしてログインできない場合や、管理 wheel グループに所属しない場合は、特別な chroot jail 環境に切り替えることで起動時に root パスワードをリセットできます。

手順

  1. システムを再起動して、GRUB 2 ブート画面で e キーを押して、起動プロセスを中断します。

    カーネルブートパラメーターが表示されます。

    load_video
    set gfx_payload=keep
    insmod gzio
    linux ($root)/vmlinuz-4.18.0-80.e18.x86_64 root=/dev/mapper/rhel-root ro crash\
    kernel=auto resume=/dev/mapper/rhel-swap rd.lvm.lv/swap rhab quiet
    initrd ($root)/initramfs-4.18.0-80.e18.x86_64.img $tuned_initrd
  2. linux で始まる行の最後に移動します。

    linux ($root)/vmlinuz-4.18.0-80.e18.x86_64 root=/dev/mapper/rhel-root ro crash\
    kernel=auto resume=/dev/mapper/rhel-swap rd.lvm.lv/swap rhab quiet

    Ctrl+e を押して、行の最後に移動します。

  3. rd.breaklinux で始まる行の最後に追加します。

    linux ($root)/vmlinuz-4.18.0-80.e18.x86_64 root=/dev/mapper/rhel-root ro crash\
    kernel=auto resume=/dev/mapper/rhel-swap rd.lvm.lv/swap rhab quiet rd.break
  4. Ctrl+x を押して、変更したパラメーターでシステムを起動します。

    switch_root プロンプトが表示されます。

  5. ファイルシステムを書き込み可能で再マウントします。

    mount -o remount,rw /sysroot

    ファイルシステムは、/sysroot ディレクトリーに読み取り専用としてマウントされます。書き込み可能なファイルシステムとして再マウントすると、パスワードを変更できます。

  6. chroot 環境に入ります。

    chroot /sysroot

    sh-4.4# プロンプトが表示されます。

  7. root パスワードをリセットします。

    passwd

    コマンドラインに表示される指示に従って、root パスワードの変更を完了します。

  8. 次回のシステム起動時に SELinux の再ラベルプロセスを有効にします。

    touch /.autorelabel
  9. chroot 環境を終了します。

    exit
  10. switch_root プロンプトを終了します。

    exit
  11. SELinux の再ラベルプロセスが終了するまで待機します。大規模なディスクの再ラベルには時間がかかる可能性があることに注意してください。プロセスが完了すると、システムが自動的に再起動します。

第5章 ファイル権限の管理

5.1. ファイルパーミッションの概要

すべてのファイルまたはディレクトリーには、以下のレベルの所有権があります。

  • ユーザー所有者 (u)。
  • グループの所有者 (g)。
  • その他 (o)。

各所有権レベルには、以下のパーミッションを割り当てることができます。

  • Read (r)。
  • Write (w)。
  • Execute (x)。

ファイルの execute パーミッションにより、そのファイルを実行することができることに注意してください。ディレクトリーの実行パーミッションを使用すると、ディレクトリーのコンテンツにアクセスできますが、その実行はできません。

新規ファイルまたはディレクトリーが作成されると、デフォルトのパーミッションセットが自動的に割り当てられます。ファイルまたはディレクトリーのデフォルトパーミッションは、以下の要素に基づいています。

  • ベースパーミッション。
  • ユーザーファイル作成モードマスク (umask)

5.1.1. ベースパーミッション

新規ファイルまたはディレクトリーが作成されるたびに、ベースパーミッションが自動的に割り当てられます。

ファイルまたはディレクトリーのベースパーミッションは、シンボリック または 8 進数 値で表すことができます。

Permission

シンボリック値

8 進数値

パーミッションなし

---

0

実行

--x

1

Write

-w-

2

書き込みおよび実行

-wx

3

読み取り

r--

4

読み取りおよび実行

r-x

5

読み取りおよび書き込み

rw-

6

Read、write、execute

rwx

7

ディレクトリーのベースパーミッションは 777 (drwxrwxrwx) で、すべてのユーザーに読み取り、書き込み、実行のパーミッションを付与します。つまり、ディレクトリーの所有者、グループなどはディレクトリーのコンテンツの一覧を表示し、ディレクトリー内のアイテムを作成し、削除し、そのディレクトリーに下がることになります。

ディレクトリー内の個々のファイルには、ディレクトリーへのアクセスが無制限であっても、そのファイルの編集を妨げるパーミッションがあることに注意してください。

ファイルのベースパーミッションは 666 (-rw-rw-rw-) で、すべてのユーザーに読み取りおよび書き込みのパーミッションを付与します。これは、ファイルの所有者、グループ、その他のユーザーがファイルを読み書きできることを意味します。

例 1

ファイルに以下のパーミッションがある場合は、以下を実行します。

$ ls -l
-rwxrw----. 1 sysadmins sysadmins 2 Mar 2 08:43 file
  • - ファイルであることを示します。
  • rwx は、ファイルの所有者がファイルの読み取り、書き込み、実行のパーミッションを持っていることを示します。
  • rw- は、グループに読み取りおよび書き込みのパーミッションがあるにも関わらず、ファイルを実行しないことを示します。
  • --- は、他のユーザーがファイルの読み取り、書き込み、実行のパーミッションがないことを示します。
  • . は、SELinux セキュリティーコンテキストがファイルに設定されていることを示しています。

例 2

ディレクトリーに以下のパーミッションがある場合は、以下を実行します。

$ ls -dl
drwxr-----. 1 sysadmins sysadmins 2 Mar 2 08:43 directory
  • d は、ディレクトリーであることを示します。
  • rwx は、ディレクトリーの所有者がディレクトリーの内容を読み取り、書き込み、およびアクセスするパーミッションを持っていることを示します。

    ディレクトリーの所有者は、ディレクトリー内のアイテム(ファイル、サブディレクトリー)を一覧表示し、それらのアイテムのコンテンツにアクセスし、変更することができます。

  • r-- は、グループにディレクトリーの内容を読み取り、アクセスできないパーミッションがあることを示します。

    ディレクトリーを所有するグループのメンバーとして、ディレクトリー内の項目を一覧表示できます。ディレクトリー内のアイテムに関する情報にアクセスしたり、変更したりすることはできません。

  • --- は、他のユーザーがディレクトリーの内容を読み取り、書き込み、またはアクセスするパーミッションがないことを示します。

    ユーザーの所有者でない場合や、ディレクトリーのグループ所有者として、ディレクトリー内のアイテムを一覧表示したり、それらのアイテムについての情報にアクセスしたり、変更したりすることはできません。

  • . は、SELinux セキュリティーコンテキストがディレクトリーに設定されていることを示しています。
注記

ファイルまたはディレクトリーに自動的に割り当てられるベースパーミッションは、ファイルまたはディレクトリーが終了するデフォルトのパーミッションでは ありません。ファイルまたはディレクトリーを作成すると、umask によりベースパーミッションが変更されます。ベースパーミッションと umask の組み合わせにより、ファイルおよびディレクトリーのデフォルトパーミッションが作成されます。

5.1.2. ユーザーファイル作成モードマスク

umask は、linux システムの全体のセキュリティーを強化するためにファイルまたはディレクトリーが作成されると、ベースパーミッション値からパーミッションを自動的に削除する変数です。

umask は、シンボリック または 8 進法 で表すことができます。

Permission

シンボリック値

8 進数値

読み取り、書き込み、実行

rwx

0

読み取りおよび書き込み

rw-

1

読み取りおよび実行

r-x

2

読み取り

r--

3

書き込みおよび実行

-wx

4

Write

-w-

5

実行

--x

6

権限なし

---

7

標準ユーザーのデフォルトの umask0002 です。root ユーザーのデフォルトの umask0022 です。

umask の最初の数字は、特別なパーミッション(スティッキービット、)を表します。umask の最後の数字は、ユーザー所有者 (u)、グループ所有者 (g)、およびその他の (o) からそれぞれ削除されたパーミッションを表します。

以下の例では、0137umask が、ベースパーミッションが 777 のファイルに適用され、デフォルトのパーミッションが 640 のファイルを作成します。

図5.1 ファイルの作成時に umask を適用

ユーザーグループ umask の例

5.1.3. デフォルトの権限

新しいファイルまたはディレクトリーのデフォルトパーミッションは、umask をベースパーミッションに適用して決定されます。

例 1

標準ユーザー が新規 ディレクトリー を作成すると、umask002 (rwxrwxr-x) に設定され、ディレクトリーのベースパーミッションは 777 (rwxrwxrwx) に設定されます。これにより、デフォルトのパーミッション 775 (drwxrwxr-x) が提供されます。

 

シンボリック値

8 進数値

ベースパーミッション

rwxrwxrwx

777

Umask

rwxrwxr-x

002

デフォルトパーミッション

rwxrwxr-x

775

つまり、ディレクトリーの所有者とグループはディレクトリーのコンテンツの一覧を表示し、ディレクトリー内のアイテムを作成、削除、編集し、そのディレクトリーに下がることになります。他のユーザーはディレクトリーのコンテンツのみを一覧表示し、そのディレクトリーに降格できます。

例 2

標準ユーザー が新しい ファイル を作成すると、umask002 (rwxrwxr-x) に設定され、ファイルのベースパーミッションは 666 (rw-rw-rw-) に設定されます。これにより、デフォルトのパーミッション 664 (-rw-rw-r--)が提供されます。

 

シンボリック値

8 進数値

ベースパーミッション

rw-rw-rw-

666

Umask

rwxrwxr-x

002

デフォルトパーミッション

rw-rw-r--

664

つまり、ファイルの所有者とグループはファイルの読み取りと編集ができますが、他のユーザーはこのファイルの読み取りのみが可能です。

例 3

root ユーザー が新規 ディレクトリー を作成すると、umask022 (rwxr-xr-x) に設定され、ディレクトリーのベースパーミッションは 777 (rwxrwxrwx) に設定されます。これにより、デフォルトのパーミッションが 755 (rwxr-xr-x) に変わります。

 

シンボリック値

8 進数値

ベースパーミッション

rwxrwxrwx

777

Umask

rwxr-xr-x

022

デフォルトパーミッション

rwxr-xr-x

755

つまり、ディレクトリーの所有者はディレクトリーの内容を一覧表示し、ディレクトリー内のアイテムの作成、削除、編集ができます。グループなどはディレクトリーの内容のみを一覧表示し、そのディレクトリーに下がることができます。

例 4

root ユーザー が新しい ファイル を作成すると、umask022 (rwxr-xr-x) に設定され、ファイルのベースパーミッションは 666 (rw-rw-rw-) に設定されます。これにより、デフォルトのパーミッションが 644 (-rw-r—​r--) に設定されます。

 

シンボリック値

8 進数値

ベースパーミッション

rw-rw-rw-

666

Umask

rwxr-xr-x

022

デフォルトパーミッション

rw-r—​r--

644

つまり、ファイルの所有者はファイルを読み取り、編集できますが、グループや他のグループはこのファイルの読み取りのみが可能です。

注記

セキュリティー上の理由から、umask000 (rwxrwxrwx) に設定されていても、通常のファイルにはデフォルトで実行権限がありません。ただし、ディレクトリーは実行権限を持つ状態で作成できます。

5.2. ファイル権限の表示

次のセクションでは、ls コマンドを使用して、ディレクトリー内のディレクトリー、ファイル、ファイルのパーミッションを表示する方法を説明します。

手順

  • 特定のディレクトリーのパーミッションを表示するには、以下を使用します。

    $ ls -dl directory-name

    directory-name をディレクトリー名に置き換えます。

  • 特定のディレクトリーおよびそのディレクトリー内のすべてのファイルのパーミッションを表示するには、以下を使用します。

    $ ls -l directory-name

    directory-name をディレクトリー名に置き換えます。

  • 特定のファイルのパーミッションを表示するには、以下を使用します。

    $ ls -l file-name

    file-name を、ファイルの名前に置き換えます。

関連情報

  • 詳細は、ls の man ページを参照してください。

5.3. ファイル権限の変更

以下のセクションでは、以下を行う方法を説明します。

  • シンボリック値を使用してファイルのパーミッションを変更します。
  • 8 進値を使用してファイル権限を変更します。

5.3.1. シンボリック値を使用したファイル権限の変更

以下のパーミッションを割り当てることができます。

  • Read (r)。
  • Write (w)。
  • Execute (x)。

パーミッションは以下に割り当てることができます。

  • ユーザー所有者 (u)。
  • グループの所有者 (g)。
  • その他 (o)。
  • All (a)。

パーミッションを追加または取り除くには、以下の記号を使用できます。

  • + 既存パーミッションの上部にパーミッションを追加します。
  • - 既存のパーミッションからパーミッションを取り除くには、以下を実行します。
  • 既存のパーミッションを省略し、新規パーミッションを明示的に定義するには = を指定します。

次のセクションでは、シンボリック値を使用してファイルのパーミッションの設定および削除を行う方法を説明します。

手順

  • 既存のファイルまたはディレクトリーのファイル権限を変更するには、以下を使用します。

    $ chmod u=symbolic_value,g+symbolic_value,o-symbolic_value file-name

    file-name を、ファイルまたはディレクトリーの名前に置き換え、ユーザー、グループ、およびその他の symbolic_value を対応するシンボリック値に置き換えます。詳細は「ベースパーミッション」を参照してください。

    my-file.txt のファイルパーミッションを 664 (-rw-rw-r--) から 740 (-rwx-r---) に変更するには、以下を使用します。

    $ chmod u+x,g-w,o= my-file.txt

    等号 (=) の後に指定されていないパーミッションは自動的に禁止されることに注意してください。

  • ユーザー、グループなどに同じパーミッションを設定するには、以下を使用します。

    $ chmod a=symbolic_value file-name

    file-name をファイルまたはディレクトリーの名前に置き換え、symbolic_value をシンボリック値に置き換えます。詳細は「ベースパーミッション」を参照してください。

    my-file.txt のパーミッションを 777 (-rwxrwxrwx または drwxrwxrwx) に設定するには、以下を使用します。

    $ chmod a=rwx my-file
  • ディレクトリーとそのサブディレクトリーのパーミッションを変更するには、-R オプションを追加します。

    $ chmod -R symbolic_value directory-name

    directory-name をディレクトリーの名前に置き換え、symbolic_value をシンボリック値に置き換えます。詳細は「ベースパーミッション」を参照してください。

    /my-directory/ とそのすべてのサブディレクトリーのパーミッションを 775 (drwxrwxr-x) から 740 (drwx-r---) に変更するには、以下を使用します。

    $ chmod -R g-wx,o= /my-directory

5.3.2. 8 進値を使用したファイル権限の変更

次のセクションでは、chmod コマンドを使用して、ファイルまたはディレクトリーのパーミッションを変更する方法を説明します。

手順

  • 既存のファイルまたはディレクトリーのファイル権限を変更するには、以下を使用します。

    $ chmod octal_value file-name

    file-name をファイルまたはディレクトリーの名前に、octal_value を 8 進値に置き換えます。詳細は「ベースパーミッション」を参照してください。

5.4. umask の表示

以下のセクションでは、以下を行う方法を説明します。

  • umask の現在の 8 進値を表示します。
  • umask の現在のシンボリック値を表示します。
  • デフォルトの bash の umask を表示します。

5.4.1. umask の現在の 8 進値の表示

次のセクションでは、umask コマンドを使用して、現在の umask を表示する方法を説明します。

手順

  • 標準のユーザーの umask の現在の 8 進値を表示するには、以下のコマンドを使用します。

    $ umask
  • root ユーザーの umask の現在の 8 進値を表示するには、以下のコマンドを使用します。

    $ sudo umask

    または

    # umask
注記

umask を表示する際に、4 桁の数字 (0002 または 0022) と表示される場合があります。umask の最初の数字は、特殊ビット(スティッキービット、SGID ビット、または SUID ビット) を表します。最初の数字を 0 に設定すると、特別なビットは設定されません。

5.4.2. umask の現在のシンボリック値の表示

次のセクションでは、umask コマンドを使用して、現在の umask を表示する方法を説明します。

手順

  • umask の現在のシンボリック値を表示するには、以下のコマンドを使用します。

    $ umask -S
  • root ユーザーの umask の現在のシンボリック値を表示するには、以下のコマンドを使用します。

    $ sudo umask -S

    または

    # umask -S

5.4.3. デフォルトの bash umask の表示

bashkshzshtcsh などの多くのシェルを使用できます。

これらのシェルはログインまたはログイン以外のシェルとして動作します。ログインシェルは通常、ネイティブまたは GUI ターミナルを開いて起動します。

ログインシェルまたはログインシェル以外のコマンドを実行しているかどうかを確認するには、echo $0 コマンドを使用します。

bash シェルでは、出力が bash を返す場合、ログイン以外のシェルでコマンドを実行しています。

$ echo $0
bash

非ログインシェルのデフォルトの umask は、/etc/bashrc 設定ファイルに設定されます。

出力が -bash を返す場合、ログインシェルでコマンドを実行していることになります。

# echo $0
-bash

ログインシェルのデフォルトの umask/etc/profile 設定ファイルに設定されます。

手順

  • 非ログインシェルのデフォルトの bash umask を表示するには、以下のコマンドを使用します。

    $ grep umask /etc/bashrc

    出力は以下を返します。

    # By default, we want umask to get set. This sets it for non-login shell.
           umask 002
           umask 022
  • ログインシェルのデフォルト bash umask を表示するには、以下のコマンドを使用します。

    $ grep umask /etc/profile

    出力は以下を返します。

    # By default, we want umask to get set. This sets it for login shell
           umask 002
           umask 022

5.5. 現在のシェルセッションの umask の設定

次のセクションでは、現在のシェルセッションに umask を設定する方法を説明します。

  • シンボリック値の使用。
  • 8 進値の使用。

umask は、現行シェルセッションでのみ有効で、セッションの完了後にデフォルトの umask に戻ります。

5.5.1. シンボリック値を使用した umask の設定

次のセクションでは、umask をシンボリック値で設定する方法を説明します。

手順

  • 現在のシェルセッションのパーミッションを設定または削除するには、負 (-)、プラス (+)、および等号 (=)をシンボリック値と組み合わせて使用できます。

    $ umask -S u=symbolic_value,g+symbolic_value,o-symbolic_value

    user、group、および other の symbolic_value を、シンボリック値に置き換えます。詳細は「ユーザーファイル作成モードマスク」を参照してください。

    現在の umask113 (u=rw-,g=rw-,o=r--) に設定され、これを 037 (u=rwx,g=-r-,o=---) に設定する場合は、以下を使用します。

    $ umask -S u+x,g-w,o=

    等号 (=) の後に指定されていないパーミッションは自動的に禁止されることに注意してください。

  • ユーザー、グループなどに同じパーミッションを設定するには、以下を使用します。

    $ umask a=symbolic_value

    symbolic_value を、シンボリック値に置き換えます。詳細は「ユーザーファイル作成モードマスク」を参照してください。

    umask000 (u=rwx,g=rwx,o=rwx) に設定するには、以下を使用します。

    $ umask a=rwx

umask は、現在のシェルセッションにのみ有効であることに注意してください。

5.5.2. 8 進値を使用した umask の設定

次のセクションでは、8 進値で umask を設定する方法を説明します。

手順

  • 8 進値を使用して、現在のシェルセッションの umask を設定するには、以下のコマンドを使用します。

    $ umask octal_value

    octal_value を 8 進値に置き換えます。詳細は「ユーザーファイル作成モードマスク」を参照してください。

umask は、現在のシェルセッションにのみ有効であることに注意してください。

5.6. デフォルトの umask の変更

以下のセクションでは、以下を行う方法を説明します。

  • 非ログインシェルのデフォルトの bash umask を変更します。
  • ログインシェルのデフォルト bash umask を変更します。
  • 特定ユーザーのデフォルトの bash umask を変更します。
  • 新規作成されたホームディレクトリーのデフォルト権限を設定します。

前提条件

  • root アクセス。

5.6.1. 非ログインシェルのデフォルト umask の変更

次のセクションでは、標準ユーザーのデフォルトの bash umask を変更する方法を説明します。

手順

  1. root で、任意のエディターで /etc/bashrc ファイルを開きます。
  2. 以下のセクションを変更して、新しいデフォルトの bash umask を設定します。

        if [ $UID -gt 199 ] && [ “id -gn” = “id -un” ]; then
           umask 002
        else
           umask 022
        fi

    umask (002) のデフォルト値を別の進数値に置き換えます。詳細は「ユーザーファイル作成モードマスク」を参照してください。

  3. 変更を保存します。

5.6.2. ログインシェルのデフォルト umask の変更

次のセクションでは、root ユーザーのデフォルト bash umask を変更する方法を説明します。

手順

  1. root で、任意のエディターで /etc/profile ファイルを開きます。
  2. 以下のセクションを変更して、新しいデフォルトの bash umask を設定します。

    if [ $UID -gt 199 ] && [ “/usr/bin/id -gn” = “/usr/bin/id -un” ]; then
        umask 002
    else
        umask 022
    fi

    umask (022) のデフォルト値を別の 8 進数値に置き換えます。詳細は「ユーザーファイル作成モードマスク」を参照してください。

  3. 変更を保存します。

5.6.3. 特定ユーザーのデフォルトの umask の変更

次のセクションでは、特定ユーザーのデフォルトの umask を変更する方法を説明します。

手順

  • umask の 8 進値を指定する行を、特定のユーザーの .bashrc ファイル に組み込みます。

    $ echo 'umask octal_value' >> /home/username/.bashrc

    octal_value を 8 進数値に置き換え、username をユーザー名に置き換えます。詳細は「ユーザーファイル作成モードマスク」を参照してください。

5.6.4. 新たに作成されたホームディレクトリーのデフォルト UMASK の設定

次のセクションでは、新たに作成したユーザーのホームディレクトリーの UMASK を指定するパーミッションを変更する方法を説明します。

手順

  1. root で、任意のエディターで /etc/login.defs ファイルを開きます。
  2. 以下のセクションを変更して、新しいデフォルト UMASK を設定します。

    # The permission mask is initialized to this value. If not specified,
    # the permission mask will be initialized to 022.
    UMASK 077

    デフォルトの 8 進数値 (077) を別の 8 進数値に置き換えます。詳細は「ユーザーファイル作成モードマスク」を参照してください。

  3. 変更を保存します。

5.7. アクセス制御リスト

従来は、各ファイルおよびディレクトリーには、ユーザー所有者とグループ所有者を一度に指定できます。ファイルまたはディレクトリーにより具体的なパーミッションセットを適用したい場合(グループ外の特定のユーザーがディレクトリー内の特定のファイルにアクセスできますが、他のファイルにはアクセスできません)、ファイルまたはディレクトリーの所有権や権限を変更せずにアクセスコントロールリスト (ACL) を使用できます。

以下のセクションでは、以下を行う方法を説明します。

  • 現在の ACL を表示します。
  • ACL を設定します。

5.7.1. 現在の ACL の表示

次のセクションでは、現在の ACL を表示する方法を説明します。

手順

  • 特定のファイルまたはディレクトリーの現在の ACL を表示するには、以下を使用します。

    $ getfacl file-name

    file-name を、ファイルまたはディレクトリーの名前に置き換えます。

5.7.2. ACL の設定

次のセクションでは、ACL を設定する方法を説明します。

前提条件

  • root アクセス

手順

  • ファイルまたはディレクトリーに ACL を設定するには、以下を使用します。
# setfacl -m u:username:symbolic_value file-name

username をユーザー名に、symbolic_value をシンボリック値に、file-name をファイルまたはディレクトリーの名前に置き換えます。詳細は、man ページの setfacl を参照してください。

以下の例では、root グループに所属する root ユーザーが所有する group-project ファイルのパーミッションを修正する方法を説明します。このファイルは以下のようになります。

  • 人による実行権限はありません。
  • ユーザー andrew には rw- パーミッション があります。
  • susan ユーザーには --- パーミッションがあります。
  • 他のユーザーには r-- パーミッションがあります。

手順

# setfacl -m u:andrew:rw- group-project
# setfacl -m u:susan:--- group-project

検証手順

  • ユーザー andrewrw- パーミッションがあることを確認するには、ユーザー susan には --- パーミッションがあり、その他のユーザーに r-- パーミッションがあることを確認するには、以下を実行します。

    $ getfacl group-project

    出力は以下を返します。

    # file: group-project
    # owner: root
    # group: root
    user:andrew:rw-
    user:susan:---
    group::r--
    mask::rw-
    other::r--

第6章 Chrony スイートを使用した NTP の設定

6.1. chrony を使用した NTP の設定の概要

IT では、さまざまな理由で正確な時間の維持が重要です。たとえばネットワーキングでは、パケットとログのタイムスタンプが正確であることが必要になります。Linux システムでは、NTP プロトコルがユーザー領域で実行しているデーモンにより実装されます。

ユーザー領域のデーモンは、カーネルで実行しているシステムクロックを更新します。システムクロックは、さまざまなクロックソースを使用して時間を維持します。一般的に使用されるのは Time Stamp Counter (TSC) です。TSC は、最後にリセットされた時点からのサイクル数を計測する CPU レジスターです。非常に高速でハイレゾリューションであり、中断も発生しません。

Red Hat Enterprise Linux 8 では、NTP プロトコルは chronyd デーモンにより実装されます。このデーモンは、chrony パッケージのリポジトリーから利用できます。

本セクションは、chrony スイートの使用を説明します。

6.2. chrony スイートの概要

chronyNetwork Time Protocol (NTP) の実装です。chrony を使用すると、以下のことができます。

  • システムクロックを、NTP サーバーと同期する
  • システムクロックを、GPS レシーバーなどの基準クロックと同期する
  • システムクロックを、手動で入力した時間と同期する
  • ネットワーク内の他のコンピューターにタイムサービスを提供する NTPv4(RFC 5905) サーバーまたはピアとして

chrony は、ネットワーク接続が頻繁に切断される、ネットワークの混雑が長時間続く、温度が変わる (一般的なコンピューターのクロックは温度に敏感) といったさまざまな状況や、継続して実行されない、または仮想マシンで実行されているといったシステムにおいても、良好に動作します。

インターネット上で同期している 2 つのマシン間の一般的精度は数ミリ秒以内、LAN 上のマシン間では数十マイクロ秒以内です。ハードウェアのタイムスタンプまたはハードウェア基準クロックは、同期している 2 つのマシン間の精度をサブマイクロ秒レベルにまで高めることができます。

chrony は、ユーザー領域で実行する chronyd と、chronyd のパフォーマンスを監視し、実行時にさまざまなオペレーティングパラメーターを変更するのに使用できるコマンドラインプログラムである chronyc で構成されます。

chrony デーモンである chronyd は、コマンドラインユーティリティーの chronyc を使用して監視と管理を行います。このユーティリティーは、chronyd の現在の状態に対してクエリーを実行し、その設定を変更する多数のコマンド入力を可能にするコマンドプロンプトを提供します。デフォルトでは、chronydchronyc のローカルインスタンスのコマンドのみを受け付けますが、リモートホストから監視コマンドを受け付けるように設定することも可能です。リモートアクセスは制限する必要があります。

6.2.1. chronyc を使用した chronyd の制御

対話モードでコマンドラインユーティリティー chronyc を使用して、chronyd のローカルインスタンスを変更するには、root で以下のコマンドを実行します。

# chronyc

制限されているコマンドを使用する場合は、rootchronyc を実行する必要があります。

以下のように、chronyc コマンドプロンプトが表示されます。

chronyc>

このコマンドの一覧を表示するには、help と入力します。

このユーティリティーは、以下のようなコマンドで呼び出すと、非対話型コマンドモードで呼び出すこともできます。

chronyc command
注記

chronyc を使用して変更した内容は永続的ではなく、chronyd を再起動すると元に戻ります。永続的に変更する場合は、/etc/chrony.conf を変更してください。

6.3. chrony と ntp の相違点

Network Time Protocol (NTP) には、基本的な機能が似ている 2 つの実装 (ntpchrony) があります。

ntpchrony のいずれも、NTP サーバーにシステムクロックを同期させる NTP クライアントとして動作したり、ネットワーク上の別のコンピューターに対する NTP サーバーとして動作できます。各実装には、固有の機能があります。ntp および chrony の比較は「Comparison of NTP implementations」を参照してください。

NTP クライアントに固有の設定は、ほとんどの場合同じです。NTP サーバーは、server ディレクティブで指定します。サーバーのプールは、pool ディレクティブで指定します。

NTP サーバーに固有の設定は、クライアントアクセスの制御方法により異なります。デフォルトでは、ntpd は任意のアドレスからクライアントリクエストに応答します。このアクセスは restrict ディレクティブで制御できますが、ntpd が任意のサーバーをクライアントとして使用している場合は、アクセスを完全に無効にできません。chronyd は、デフォルトではいずれのアクセスも許可せず、NTP クライアントとして動作します。chronyNTP サーバーとして動作させるようにするには、allow ディレクティブでいくつかのアドレスを指定する必要があります。

ntpdchronyd は、システムクロックの修正に対するデフォルト動作も異なります。ntpd は、オフセットが 128 ミリ秒より大きい場合に、step でクロックを修正します。オフセットが 1000 秒よりも大きい場合は、これがクロックの最初の修正でない場合は ntpd が終了し、-g オプションで ntpd が起動します。chronyd は、デフォルトでクロックを一気に修正する (step) ことはしませんが、chrony パッケージで提供されているデフォルトの chrony.conf ファイルでは、クロックの最初の 3 つの更新で step を許可します。その後の修正はすべて、クロックの速度を速めるか遅らせて徐々に修正します。chronyc makestep コマンドを実行すれば、chronyd によりクロックを強制的に step できます。

6.4. chrony への移行

Red Hat Enterprise Linux 7 では、正確な時間管理を行う方法として、ntp または chrony を選択できます。ntpchrony の相違点、ntpdchronyd の相違点は、「ntpd と chronyd の違い」を参照してください。

Red Hat Enterprise Linux 8 では ntp がサポートされなくなりました。デフォルトで chrony が有効になります。このため、ntp から chrony への移行が必要になる場合があります。

ntp から chrony への移行は、ほとんどの場合簡単です。プログラムの、設定ファイル、およびサービスに対応する名前は、次のとおりです。

表6.1 ntp から chrony へ移行する際に、プログラム、設定ファイル、サービスに対応する名前

ntp の名前chrony の名前

/etc/ntp.conf

/etc/chrony.conf

/etc/ntp/keys

/etc/chrony.keys

ntpd

chronyd

ntpq

chronyc

ntpd.service

chronyd.service

ntp-wait.service

chrony-wait.service

ntpdate ユーティリティーおよび sntp ユーティリティーは ntp ディストリビューションに含まれていますが、-q オプションまたは -t オプションを使用して chronyd に置き換えることができます。この設定は、/etc/chrony.conf を読み込まないようにコマンドラインで指定できます。たとえば、ntpdate ntp.example.com を実行する代わりに、以下のように chronyd を起動できます。

# chronyd -q 'server ntp.example.com iburst'
2018-05-18T12:37:43Z chronyd version 3.3 starting (+CMDMON +NTP +REFCLOCK +RTC +PRIVDROP +SCFILTER +SIGND +ASYNCDNS +SECHASH +IPV6 +DEBUG)
2018-05-18T12:37:43Z Initial frequency -2.630 ppm
2018-05-18T12:37:48Z System clock wrong by 0.003159 seconds (step)
2018-05-18T12:37:48Z chronyd exiting

ntpstat ユーティリティーは、ntp パッケージに含まれていましたが、ntpd だけをサポートしていました。現在は、ntpdchronyd の両方をサポートします。これは、ntpstat パッケージで入手できます。

6.4.1. 移行スクリプト

chrony パッケージのドキュメント (/usr/share/doc/chrony) には、ntp2chrony.py という名前の Python スクリプトがあります。このスクリプトは、既存の ntp 設定を chrony に自動的に変換します。ntp.conf ファイルで最も一般的なディレクティブおよびオプションがサポートされます。変換で無視されている行はすべて、確認のために、生成された chrony.conf ファイルにコメントとして追加されます。ntp 鍵ファイルに指定し、ntp.conf で信頼される鍵としてマークされていない鍵は、生成された chrony.keys ファイルにコメントとして追加されます。

デフォルトでは、スクリプトはいずれのファイルも上書きしません。/etc/chrony.conf または /etc/chrony.keys が存在する場合は、-b オプションを使用してファイルの名前を変更すれば、バックアップとして使用できます。このスクリプトはその他のオプションもサポートします。--help オプションを使用すると、サポートされるすべてのオプションが表示されます。

ntp パッケージで提供されるデフォルトの ntp.conf を使用したスクリプトの呼び出し例は以下のようになります。

# python3 /usr/share/doc/chrony/ntp2chrony.py -b -v
Reading /etc/ntp.conf
Reading /etc/ntp/crypto/pw
Reading /etc/ntp/keys
Writing /etc/chrony.conf
Writing /etc/chrony.keys

この場合に無視される唯一のディレクティブは disable monitor です。これは、noclientlog ディレクティブで chrony に相当するものがありますが、アンプ攻撃を軽減するためだけに、デフォルトの ntp.conf に含まれていました。

生成した chrony.conf ファイルには、通常、ntp.conf の制御行に対応する allow ディレクティブが多数含まれています。chronydNTP サーバーとして実行しない場合は、allow ディレクティブをすべて chrony.conf から削除します。

6.4.2. Timesync ロール

Red Hat Enterprise Linux 7 システムで timesync ロール を使用すると、システムが ntp または chrony を使用して NTP プロトコルを実装するかどうかにかかわらず、RHEL 6 以降のすべてのバージョンの RHEL で同じ Playbook を使用できるため、chrony への移行が容易になります。

関連情報

  • timesync ロール変数の詳細は、rhel-system-roles パッケージをインストールし、/usr/share/doc/rhel-system-roles/timesync ディレクトリーの README.md または README.html ファイルを参照してください。
  • RHEL システムロールの詳細は、「RHEL システムロールの概要」を参照してください。

6.5. chrony の設定

chronyd のデフォルト設定ファイルは /etc/chrony.conf です。-f オプションは、代替の設定ファイルパスを指定するのに使用できます。詳細は man ページの chrony.conf(5) を参照してください。使用できるディレクティブの一覧は「The chronyd configuration file」を参照してください。

以下は、chronyd 設定オプションの一部です。

コメント
コメントの前には、#、%、;、または ! を付けます。
allow

必要に応じて、NTP サーバーとして動作しているマシンへの NTP 接続が許可されるホスト、サブネット、またはネットワークを指定します。デフォルトでは、接続は許可されません。

以下に例を示します。

allow 192.0.2.0/24

特定のネットワークへのアクセスを許可するときにこのコマンドを使用します。

allow 2001:0db8:85a3::8a2e:0370:7334

このコマンドを使用して、IPv6 へのアクセスを付与します。

クライアントアクセスを可能にするため、ファイアウォールで UDP ポート番号 123 を開いておく必要があります。

#  firewall-cmd --zone=public --add-port=123/udp

ポート 123 を永続的に開くには、--permanent オプションを使用します。

#  firewall-cmd --permanent --zone=public --add-port=123/udp
cmdallow
allow ディレクティブ (allow セクションを参照) と似ていますが、特定のサブセットまたはホストへの制御アクセスを許可します (これは NTP クライアントアクセスとは異なります)。「制御アクセス」とは、chronyc がこのようなホストで実行可能であり、このコンピューターで chronyd に正常に接続できることを意味します。 構文は同じになります。また、cmdallow all ディレクティブと動作が似ている cmddeny all もあります。
dumpdir
chronyd を再起動しても測定履歴を保存するディレクトリーへのパスです (これが実行していない時にシステムクロックの動作が変更されていないことを想定しています)。(設定ファイルの dumponexit コマンド、chronycdump コマンドから) この機能を使用する場合は、dumpdir コマンドを使用して測定履歴を保存するディレクトリーを定義してください。
dumponexit
このコマンドが存在する場合は、プログラムの終了時に、chronyd が、常に記録された各時間ソースの測定履歴を保存することを示しています。上記の dumpdir コマンドを参照してください。
hwtimestamp
hwtimestamp ディレクティブは、ハードウェアのタイムスタンプで非常に精度の高い同期を可能にします。詳細は man ページの chrony.conf(5) を参照してください。
local

local キーワードは、現在の同期ソースがない場合でも、(それをポーリングしているクライアントから見ると) chronyd がリアルタイムに同期しているように見えるようにします。このオプションは、通常、孤立したネットワークで「master」となるコンピューターで使用されます。ここでは、いくつかのコンピューターが相互に同期するようになり、「master」は、手動入力でリアルタイムと一致させます。

以下はコマンド例を示します。

local stratum 10

10 という大きな値が示しているのは「基準クロックからのホップ数が非常に多いため、時間の信頼性が低い」ということです。基準クロックに最終的に同期している別のコンピューターにアクセスするコンピューターは、確実に 10 よりも下の階層に存在することになります。このため、local コマンドで 10 のように高い値を設定すると、リアルサーバーの視認性があるクライアントにリークしたとしても、マシン自体の時間がリアルタイムと混同することを防ぎます。

log

log コマンドは、特定情報がログに記録されることを意味します。以下のオプションを取ります。

measurements
このオプションは、生の NTP 測定値とその関連情報を、measurements.log という名前のログファイルに記録します。
statistics
このオプションは、回帰処理の情報を statistics.log ファイルにログ記録します。
tracking
このオプションは、システムの時間が進んだり遅れたりする予測に対する変更や、発生した slew 調整を、tracking.log と呼ばれるファイルにログ記録します。
rtc
このオプションは、システムのリアルタイムクロックに関する情報をログ記録します。
refclocks
このオプションは、生およびフィルター処理された基準クロックの測定を、refclocks.log ファイルにログ記録します。
tempcomp

このオプションは、温度測定とシステムレートの補正を、tempcomp.log と呼ばれるファイルにログ記録します。

ログファイルは、logdir コマンドが指定するディレクトリーに書き込まれます。

以下はコマンド例を示します。

log measurements statistics tracking
logdir

このディレクティブは、ログファイルが書き込まれるディレクトリーを指定します。

このディレクティブの使用例は、以下のようになります。

logdir /var/log/chrony
makestep

通常、chronyd は、必要に応じてクロックの速度を下げるかまたは上げることで、システムに対して時間オフセットの段階的修正を実施します。特定の状況では、このスルーイング (slewing) プロセスでシステムクロックを修正するのに非常に時間がかかり、システムクロックが不安定な状態になることがあります。このディレクティブは、調整がしきい値を上回ったときに、chronyd でシステムクロックを一度に修正 (step) します。ただし、chronyd が開始してからのクロックの更新が、指定した制限を上回らなかった場合に限ります (負の値は、制限を無効にします)。initstepslew ディレクティブは NTP のソースのみに対応しているため、この方法は基準クロックを使用しているときに特に有用です。

このディレクティブの使用例は、以下のようになります。

makestep 1000 10

この場合は、調整幅が 1000 秒よりも大きければシステムクロックが更新されますが、最初の 10 回の更新しか行われません。

maxchange

このディレクティブは、クロック更新で修正される許容オフセットの最大値を設定します。更新が指定された回数行われた後にのみチェックが実行されるため、システムクロックの初回の調整が大きくなります。指定された最大値よりも大きなオフセットが発生すると、そのオフセットは指定した回数の間無視され、その後に chronyd が終了します (負の値を使用すると、終了しないようになります)。いずれの場合も、メッセージは syslog に送信されます。

このディレクティブの使用例は、以下のようになります。

maxchange 1000 1 2

最初のクロック更新後に、chronyd がすべてのクロック更新でオフセットをチェックし、1000 秒よりも大きい調整を 2 回無視して、3 回目に終了します。

maxupdateskew

chronyd のタスクの 1 つは、コンピュータのクロックがその基準源に対してどれくらい速くまたは遅く動くかを調べることです。また、推定値の誤差範囲の概算を計算します。

エラーの範囲が広すぎる場合は、測定が落ち着いていないこと、そして推定増加または損失率に信頼性があまりないことを示しています。

maxupdateskew パラメーターは、推定値を使用できるほど信頼できるかどうかを判定するためのしきい値です。デフォルトでは、しきい値は 1000 ppm です。

構文は以下のようになります。

maxupdateskew skew-in-ppm

skew-in-ppm の一般的な値は、電話回線を介してサーバーにダイアルアップ接続を行う場合は 100、LAN 上のコンピューターの場合は 5 または 10 になります。

信頼性のない推定値の使用に対する保護の方法は、これだけではないことに注意してください。chronyd は常に、予想される進みまたは遅れのレートと、予測のエラー範囲を追跡しています。ソースの 1 つで測定が作成された後に別の予測が新たに生成されると、加重組み合わせのアルゴリズムを使用してマスター予測が更新されます。このため、chronyd に信頼性の高い既存のマスター予測があり、エラー範囲の広い新たな予測が生成されると、既存のマスター予測が新規のマスター予測を特徴づけることになります。

minsources

minsources ディレクティブは、ローカルクロックを更新する前にソース選択アルゴリズムで選択可能なものとして考慮されるべきソースの最小数を設定します。

構文は以下のようになります。

minsources number-of-sources

number-of-sources は、デフォルトでは 1 です。minsource を 1 よりも大きくすると、信頼性が向上します。複数のソースが互いに対応することが必要となるためです。

noclientlog
引数を取らないこのディレクティブは、クライアントアクセスをログに記録しないことを指定します。通常はログに記録されますが、chronyc でクライアントコマンドを使用して統計を報告し、クライアントが server ディレクティブの xleave オプションでインターリーブモードを使用するようにできます。
reselectdist

chronyd が、利用可能なソースから同期ソースを選択する際に、同期距離が最短のものを優先します。ただし、同様の距離のソースが複数存在して、再選択が繰り返されるのを回避するため、現在選択されていないソースからの距離に、固定距離が追加されます。これは、reselectdist オプションで設定できます。デフォルトでは、この距離は 100 ミリ秒となります。

構文は以下のようになります。

reselectdist dist-in-seconds
stratumweight

stratumweight ディレクティブは、chronyd が利用可能なソースから同期ソースを選択する際に、階層ごとに追加される同期距離を設定します。

構文は以下のようになります。

stratumweight dist-in-seconds

デフォルトでは、dist-in-seconds は 1 ミリ秒です。つまり、通常は、距離の値が非常に悪い場合でも、stratum が高いソースよりも、stratum が低いソースが優先されることを意味します。stratumweight を 0 に設定すると、chronyd は、ソースを選択するときに stratum を無視します。

rtcfile

rtcfile ディレクティブは、システムのリアルタイムクロック (RTC) の正確性の追跡に関連するパラメーターを chronyd が保存できるファイル名を定義します。

構文は以下のようになります。

rtcfile /var/lib/chrony/rtc

chronyd は、このファイルが存在し、chronycwritertc コマンドを実行すると、情報をこのファイルに保存します。保存される情報は、あるエポックでの RTC のエラー、そのエポック (1970 年 1 月 1 日以降の秒数)、および RTC の時間が早まるもしくは遅れる変化量です。リアルタイムクロックのコードはシステム固有のものなので、すべてのリアルタイムクロックがサポートされるわけではありません。このディレクティブを使用する場合は、リアルタイムクロックを手動で調整しないでください。リアルタイムクロックがランダムな間隔で調整されると、その変化量を測定する chrony の必要性が干渉されるためです。

rtcsync
rtcsync ディレクティブは、デフォルトで /etc/chrony.conf ファイルにあります。これにより、システムクロックが同期されていることがカーネルに知らされ、カーネルによりリアルタイムクロックが 11 分ごとに更新されます。

6.5.1. chrony でセキュリティーの設定

chronyc は、以下の 2 つの方法で chronyd にアクセスします。

  • インターネットプロトコル (IPv4 または IPv6)
  • Unix ドメインソケット (ユーザー root または chrony がローカルにアクセス可能)

デフォルトでは、chronyc は、Unix ドメインソケットに接続します。デフォルトのパスは /var/run/chrony/chronyd.sock です。この接続に失敗すると (たとえば非特権ユーザーで chronyc を実行していると失敗する可能性があります)、chronyc は 127.0.0.1 への接続を試み、その後 ::1 への接続を試みます。

chronyd の動作に影響しない次の監視コマンドのみが、ネットワークに許可されています。

  • activity
  • manual list
  • rtcdata
  • smoothing
  • sources
  • sourcestats
  • tracking
  • waitsync

chronyd がこのコマンドを受け取るホスト郡は、chronyd の設定ファイルにある cmdallow ディレクティブ、または chronyccmdallow コマンドで設定できます。デフォルトでは、このコマンドが許可されるのは、ローカルホスト (127.0.0.1 or ::1) のものだけになります。

その他のコマンドはすべて、Unix ドメインソケットのみを介して許可されます。ネットワーク上で送信されると、たとえローカルホストであっても、chronydNot authorised エラーを返します。

chronyc を使用して chronyd にリモートでアクセス

  1. 以下を /etc/chrony.conf ファイルに追加すると、IPv4 と IPv6 の両方のアドレスからアクセスが可能になります。

    bindcmdaddress 0.0.0.0

    または

    bindcmdaddress :
  2. cmdallow ディレクティブを使用すると、リモート IP アドレス、ネットワーク、またはサブネットからのコマンドが許可されます。

    /etc/chrony.conf ファイルに以下の内容を追加します。

    cmdallow 192.168.1.0/24
  3. ファイアウォールでポート 323 を開き、リモートシステムから接続します。

    #  firewall-cmd --zone=public --add-port=323/udp

    ポート 323 を永続的に開く場合は、--permanent を使用します。

    #  firewall-cmd --permanent --zone=public --add-port=323/udp

allow ディレクティブは NTP のアクセス用で、cmdallow ディレクティブは、リモートコマンドの受け取りを可能にします。ローカルで実行している chronyc を使用すると、この変更を一時的なものにできます。永続的に変更するときは設定ファイルを変更します。

6.6. chrony の使用

6.6.1. chrony のインストール

Red Hat Enterprise Linux では、chrony スイートがデフォルトでインストールされます。インストールされていることを確認するには、root で以下のコマンドを実行します。

# yum install chrony

chrony デーモンのデフォルトの場所は、/usr/sbin/chronyd です。このコマンドラインユーティリティーは /usr/bin/chronyc にインストールされます。

6.6.2. chronyd ステータスの確認

chronyd のステータスを確認するには、以下のコマンドを実行します。

systemctl status chronyd
chronyd.service - NTP client/server
   Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/chronyd.service; enabled)
   Active: active (running) since Wed 2013-06-12 22:23:16 CEST; 11h ago

6.6.3. chronyd の起動

chronyd を開始するには、root で以下のコマンドを実行します。

# systemctl start chronyd

システムの起動時に chronyd を自動的に起動するように設定するには、root で以下のコマンドを実行します。

# systemctl enable chronyd

6.6.4. chronyd の停止

chronyd を停止するには、root で以下のコマンドを実行します。

# systemctl stop chronyd

システムの起動時に chronyd を自動的に起動しないように設定するには、root で以下のコマンドを実行します。

# systemctl disable chronyd

6.6.5. chrony の同期確認

chrony が同期されているかどうかを確認するには、tracking コマンド、sources コマンド、および sourcestats コマンドを使用します。

6.6.5.1. chrony 追跡の確認

chrony の追跡を確認するには、以下のコマンドを実行します。

chronyc tracking
Reference ID    : CB00710F (foo.example.net)
Stratum         : 3
Ref time (UTC)  : Fri Jan 27 09:49:17 2017
System time     :  0.000006523 seconds slow of NTP time
Last offset     : -0.000006747 seconds
RMS offset      : 0.000035822 seconds
Frequency       : 3.225 ppm slow
Residual freq   : 0.000 ppm
Skew            : 0.129 ppm
Root delay      : 0.013639022 seconds
Root dispersion : 0.001100737 seconds
Update interval : 64.2 seconds
Leap status     : Normal

各フィールドは、以下のとおりです。

Reference ID
(利用可能な場合) コンピューターが現在同期しているサーバーの参照 ID および参照名 (または IP アドレス) です。参照 ID は IPv4 アドレスとの混同を避けるため 16 進数の数値になっています。
Stratum
基準クロックのあるコンピューターから何ホップ離れているかを示します。上記の例のコンピューターは stratum-1 コンピューターであるため、2 ホップ離れていることになります (つまり、a.b.c が stratum-2 で、stratum-1 から同期しています)。
Ref time
参照ソースからの最後の測定が処理された時間 (UTC) です。
System time
chronyd は、通常の操作ではシステムクロックを更新しません。タイムスケールにおけるジャンプは、いかなるものでも特定のアプリケーションプログラムに有害な結果をもたらすためです。代わりに、システムクロックのエラーをわずかに早めたり遅くしたりして、エラーがなくなるまで修正し、修正が完了したら、システムクロックを通常のスピードに戻します。その結果、(gettimeofday() システムコールを使用した他のプログラム、またはシェルの date コマンドが読み取る) システムクロックが、chronyd が予測する現在の実際の時間 (サーバーモードで稼働している場合はこれを NTP クライアントに報告) と異なる期間が発生します。この行で報告される値は、これによる差異です。
Last offset
最後のクロック更新におけるローカルオフセットの予測です。
RMS offset
長期的な、オフセット値の平均です。
Frequency
chronyd が修正しない場合にシステムクロックが間違う変化量です。これは、ppm (100 万分の 1) で表されます。たとえば、1 ppm という値は、システムクロックにおける 1 秒が、実際の時間と比較すると 1.000001 秒進んでいることを意味します。
Residual freq

現在選択されている基準源の「残留周波数」を示しています。基準源からの測定値が、示すべき周波数と、実際に使用されている周波数との違いを反映しています。

これが常にゼロにならない理由は、補正する手順が周波数に適用されているためです。基準源から測定を取得し、新たな剰余周波数が計算されるたびに、この剰余の推定精度が、既存の周波数の推定精度 (skew を参照) と比較されます。新たな周波数の加重平均は、その精度によって異なる加重で計算されます。基準源からの測定に一貫した傾向がある場合、剰余は時間をかけてゼロになります。

Skew
周波数の予測されるエラー範囲です。
Root delay
コンピューターが最終的に同期する stratum-1 コンピューターの、ネットワークパスの遅延の合計数です。Root delay の値はナノ秒の分解能で出力されます。値は、極端な状況では負数になります。(コンピューター同士が互いの周波数を追跡せず、各コンピューターのターンアラウンド時間に比較してネットワークの遅延が非常に短い、対称的なピア配置で、これが発生する場合があります。)
Root dispersion
コンピューターが最後に同期する stratum-1 コンピューターに戻るすべてのコンピューターを介して累積された合計分散です。分散は、システムクロックの分解能や統計的測定の変動等に起因します。Root の分散値は、ナノ秒の分解能で出力されます。
Leap status
Leap のステータスで、Normal、Insert second、Delete second、または Not synchronized のいずれかになります。

6.6.5.2. chrony ソースの確認

sources コマンドは、chronyd がアクセスしている現在の時間ソースの情報を表示します。

任意の引数 -v (verbose (詳細) の意) を指定できます。この例では、余分なキャプション行は、コラムの意味を説明するものとして表示されます。

$ chronyc sources
	210 Number of sources = 3
MS Name/IP address         Stratum Poll Reach LastRx Last sample
===============================================================================
#* GPS0                          0   4   377    11   -479ns[ -621ns] /-  134ns
^? a.b.c                         2   6   377    23   -923us[ -924us] +/-   43ms
^ d.e.f                         1   6   377    21  -2629us[-2619us] +/-   86ms

各コラムの表示内容は、以下のとおりです。

M
ソースのモードを示します。^ はサーバーを、= はピアを、# はローカルに接続している基準クロックを意味します。
S
この列は、ソースの状態を示します。「*」は、chronyd が現在同期しているソースを表します。「+」は、選択したソースと結合する、受け入れ可能なソースを表します。「-」は、受け入れ可能なソースで、結合アルゴリズムにより除外されたものを表します。「?」は、接続が切断されたソース、またはパケットがすべてのテストをパスしないソースを表します。「x」は、chronydfalseticker と考える (つまり、その時間が他の大半のソースと一致しない) クロックを表します。「~」は、時間の変動性が大きすぎるように見えるソースを表します。「?」条件は、少なくとも 3 つのサンプルが収集されるまで開始時にも表示されます。
Name/IP address
ソースの名前または IP アドレス、もしくは基準クロックの参照 ID を表示します。
Stratum
直近で受け取ったサンプルでレポートされているソースの stratum を表示します。Stratum 1 は、ローカルで基準クロックに接続しているコンピューターを示します。Stratum 1 コンピューターに同期しているコンピューターは、stratum 2 に存在することになります。同じく、Stratum 2 コンピューターに同期しているコンピューターは stratum 3 に存在することになり、以後も同様に続きます。
Poll

ソースがポーリングされるレートで、間隔のベース-2 対数を秒数で示します。つまり、値が 6 の場合は、64 秒ごとに測定が行われます。

chronyd は、一般的な条件に応じて、ポーリングレートを自動的に変更します。

Reach
ソースの到達可能性のレジスターで、8 進法で表示されます。レジスターは 8 ビットで、ソースからパケットを受信するたびに、またはミスするたびに更新されます。値が 377 の場合は、最近の 8 回の通信全体で、有効な返信を受け取ったことを表します。
LastRx
このコラムは、ソースから最後のサンプルがいつ受信されたかを表示します。通常は、秒数で表示されます。mhd、および y の各文字は、それぞれ分、時間、日、年を表します。値が 10 年の場合は、このソースからまだサンプルを受信していないことを示します。
Last sample
この列は、ローカルクロックと、最後に測定されたソースの間のオフセットを表示します。角括弧内の数字は、実際に測定されたオフセットを表示します。これには ns (ナノ秒)、us (マイクロ秒)、ms (ミリ秒)、または s (秒) の各接尾辞が付く場合があります。角括弧の左側は元の測定を示し、slew がそれ以降にローカルクロックに適用可能になるように調整されています。+/- に続く数字は、測定におけるエラーのマージンを示します。オフセットの値がプラスの場合は、ローカルクロックがソースよりも進んでいることを意味します。

6.6.5.3. chrony ソースの統計情報の確認

sourcestats コマンドは、chronyd が現在調べている各ソースに関するドリフト量とオフセット推定プロセスの情報を表示します。

任意の引数 -v (verbose (詳細) の意) を指定できます。この例では、余分なキャプション行は、コラムの意味を説明するものとして表示されます。

chronyc sourcestats
210 Number of sources = 1
Name/IP Address            NP  NR  Span  Frequency  Freq Skew  Offset  Std Dev
===============================================================================
abc.def.ghi                11   5   46m     -0.001      0.045      1us    25us

各コラムの表示内容は、以下のとおりです。

Name/IP address
これは、NTP サーバー (またはピア) の名前または IP アドレス、またはその行の残りの部分が関連する基準クロックの参照 ID です。
NP
現在サーバーで保持されているサンプルポイントの数です。誤差レートと現在のオフセットは、このポイントを使って線形回帰を実行することで予測されます。
NR
最新の回帰を追跡している同一サインを持つ剰余の実行数です。この数字がサンプル数に対して少なくなりすぎる場合は、直線がデータに適合しなくなったことを意味します。実行数が少なすぎる場合、chronyd は古いサンプルを破棄し、実行数が受け入れ可能な値になるまで回帰を再実行します。
Span
一番古いサンプルと最新のサンプルの間隔です。単位が表示されない場合は、秒数を表しています。この例の間隔は 46 分です。
Frequency
これは予測されるサーバーの剰余周波数で、ppm (100 万分の 1) で表されます。この場合、このコンピューターのクロックは、このサーバーに対比して 109 分の 1 遅く稼働していると見積もられています。
Freq Skew
Freq の予測されるエラー範囲です (ppm (100 万分の 1) で表されます) 。
Offset
ソースの予測されるオフセットです。
Std Dev
サンプルの予測される標準偏差です。

6.6.6. システムクロックの手動調整

システムクロックを徐々に調整していく (slew) のを止め、一度に修正 (step) するには、root で以下のコマンドを実行します。

# chronyc makestep

rtcfile ディレクティブを使用している場合は、リアルタイムクロックを手動で調整しないでください。ランダムな調整を行うと、リアルタイムクロックがずれる変化量を測定する必要がある chrony に影響を与えます。

6.7. 異なる環境での chrony の設定

6.7.1. 孤立したネットワークでのシステムにおける chrony の設定

インターネットに接続していないネットワークに関しては、1 台のコンピューターをマスタータイムサーバーとします。もう 1 台のコンピューターをマスターの直接クライアント、またはクライアントのクライアントとします。マスターでは、ドリフトファイルは、システムクロックのドリフトの平均率を使用して手動で設定します。マスターを再起動すると、周囲のシステムから時間を取得し、システムクロックを設定するために平均値を計算します。その後、drift ファイルに基づいて調整の適用を再開します。drift ファイルは、settime コマンドが使用されたときに自動的に更新されます。

マスターにしたシステムで、root でテキストエディターを実行し、以下のように /etc/chrony.conf を実行します。

driftfile /var/lib/chrony/drift
commandkey 1
keyfile /etc/chrony.keys
initstepslew 10 client1 client3 client6
local stratum 8
manual
allow 192.0.2.0

192.0.2.0 は、クライアントが接続できるネットワークアドレスまたはサブネットアドレスです。

マスターのダイレクトクライアントにしたシステムで、root でテキストエディターを実行し、以下のように /etc/chrony.conf を実行します。

server master
driftfile /var/lib/chrony/drift
logdir /var/log/chrony
log measurements statistics tracking
keyfile /etc/chrony.keys
commandkey 24
local stratum 10
initstepslew 20 master
allow 192.0.2.123

ここでの 192.0.2.123 はマスターのアドレスで、master はマスターのホスト名になります。この設定になっているクライアントは、システムが再起動するとマスターと再同期を行います。

マスターの直接のクライアントにはならないクライアントシステムの /etc/chrony.conf ファイルでは、local ディレクティブおよび allow ディレクティブが省略される以外は、同じになるべきです。

孤立したネットワークでは、ローカルの参照モードを有効にする local ディレクティブも使用できます。これにより、NTP サーバーとして動作している chronyd は、サーバーが一度も同期されていなかったり、クロックの最終更新から長い時間が経過している場合でも、リアルタイムに同期してるように見えます。

複数のサーバーをポーリングしているクライアントを混同することなく、ネットワーク上の複数のサーバーに同じローカル設定を使用し、互いを同期させるには、Orphan モードを有効にする local ディレクティブの orphan オプションを使用します。各サーバーは、他のすべてのサーバーを local でポーリングするように設定する必要があります。これにより、最小の参照 ID を持つサーバーでのみローカル参照が有効になり、他のサーバーはそれに同期します。サーバーが失敗すると別のサーバーが引き継ぎます。

6.8. ハードウェアのタイムスタンプを使用した Chrony

6.8.1. ハードウェアのタイムスタンプの概要

ハードウェアのタイムスタンプは、一部の Network Interface Controller (NIC) でサポートされている機能です。着信パケットおよび送信パケットのタイムスタンプを正確に提供します。NTP タイムスタンプは通常、カーネルにより作成され、システムクロックを使用して chronyd が作成されます。ただし、ハードウェアのタイムスタンプが有効な場合、NIC は独自のクロックを使用して、パケットがリンク層または物理層に出入りするときにタイムスタンプを生成します。ハードウェアスタンプで NTP を使用すると、同期の精度を大幅に向上できます。最高精度を実現するには、NTP サーバーおよび NTP クライアントの両方が、ハードウェアのタイムスタンプを使用している必要があります。理想的な条件下では、サブマイクロ秒単位の精度を実現できるかもしれません。

ハードウェアのタイムスタンプを使用する時間同期の別のプロトコルには、PTP があります。

NTP とは異なり、PTP は、ネットワークスイッチおよびルーターの補助に依存しています。同期の精度を最高の状態にしたい場合は、PTP をサポートしているスイッチやルーターがあるネットワークで PTP を使用し、そのようなスイッチおよびルーターがないネットワークでは、NTP を使用することが推奨されます。

6.8.2. ハードウェアタイムスタンプのサポートの確認

NTP を使用したハードウェアのタイムスタンプがインターフェースでサポートされていることを確認するには、ethtool -T コマンドを実行します。ethtool が、SOF_TIMESTAMPING_TX_HARDWARE 機能、SOF_TIMESTAMPING_TX_SOFTWARE 機能、および HWTSTAMP_FILTER_ALL フィルターモードを一覧表示する場合は、NTP を使用して、ハードウェアのタイムスタンプにインターフェースを使用できます。

例6.1 特定のインターフェースにおけるハードウェアのタイムスタンプのサポートの確認

# ethtool -T eth0

出力:

Timestamping parameters for eth0:
Capabilities:
        hardware-transmit     (SOF_TIMESTAMPING_TX_HARDWARE)
        software-transmit     (SOF_TIMESTAMPING_TX_SOFTWARE)
        hardware-receive      (SOF_TIMESTAMPING_RX_HARDWARE)
        software-receive      (SOF_TIMESTAMPING_RX_SOFTWARE)
        software-system-clock (SOF_TIMESTAMPING_SOFTWARE)
        hardware-raw-clock    (SOF_TIMESTAMPING_RAW_HARDWARE)
PTP Hardware Clock: 0
Hardware Transmit Timestamp Modes:
        off                   (HWTSTAMP_TX_OFF)
        on                    (HWTSTAMP_TX_ON)
Hardware Receive Filter Modes:
        none                  (HWTSTAMP_FILTER_NONE)
        all                   (HWTSTAMP_FILTER_ALL)
        ptpv1-l4-sync         (HWTSTAMP_FILTER_PTP_V1_L4_SYNC)
        ptpv1-l4-delay-req    (HWTSTAMP_FILTER_PTP_V1_L4_DELAY_REQ)
        ptpv2-l4-sync         (HWTSTAMP_FILTER_PTP_V2_L4_SYNC)
        ptpv2-l4-delay-req    (HWTSTAMP_FILTER_PTP_V2_L4_DELAY_REQ)
        ptpv2-l2-sync         (HWTSTAMP_FILTER_PTP_V2_L2_SYNC)
        ptpv2-l2-delay-req    (HWTSTAMP_FILTER_PTP_V2_L2_DELAY_REQ)
        ptpv2-event           (HWTSTAMP_FILTER_PTP_V2_EVENT)
        ptpv2-sync            (HWTSTAMP_FILTER_PTP_V2_SYNC)
        ptpv2-delay-req       (HWTSTAMP_FILTER_PTP_V2_DELAY_REQ)

6.8.3. ハードウェアのタイムスタンプの有効化

ハードウェアのタイムスタンプを有効にするには、/etc/chrony.conf ファイルの hwtimestamp ディレクティブを使用します。ディレクティブは、個別のインターフェースを指定できますが、ワイルドカード文字を使用して、ハードウェアのタイムスタンプをサポートするすべてのインターフェースでハードウェアのタイムスタンプを有効にすることもできます。linuxptp パッケージの ptp4l などのアプリケーションが、ハードウェアのタイムスタンプを使用していない場合は、ワイルドカード仕様を使用してください。chrony 設定ファイルで、複数の hwtimestamp ディレクティブが使用されます。

例6.2 hwtimestamp のディレクティブを使用したハードウェアのタイムスタンプの有効化

hwtimestamp eth0
hwtimestamp eth1
hwtimestamp *

6.8.4. クライアントポーリング間隔の設定

インターネット上のサーバーのポーリング間隔は、デフォルトの範囲である 64 秒から 1024 秒が推奨されています。ローカルサーバーおよびハードウェアのタイムスタンプでは、システムクロックのオフセットを最小限にとどめるため、ポーリング間隔は短く設定する必要があります。

/etc/chrony.conf における以下のディレクティブは、1 秒のポーリング間隔を使用してローカルの NTP サーバーを指定します。

server ntp.local minpoll 0 maxpoll 0

6.8.5. インターリーブモードの有効化

ハードウェアの NTP アプライアンスではなく、chrony など、ソフトウェアの NTP 実装を実行する汎用コンピューターの NTP サーバーは、パケット送信後にのみハードウェア送信タイムスタンプを取得します。この動作により、サーバーは、対応するパケットのタイムスタンプを保存できません。NTP クライアントが、送信後に生成された送信タイムスタンプを受け取るようにするには、/etc/chrony.conf のサーバーディレクティブに xleave オプションを追加し、クライアントが NTP インターリーブモードを使用するように設定します。

server ntp.local minpoll 0 maxpoll 0 xleave

6.8.6. 多数のクライアント向けのサーバーの設定

デフォルトのサーバー設定では、最多で数千のクライアントが同時にインターリーブモードを使用できます。さらに多くのクライアント向けにサーバーを設定するには、/etc/chrony.confclientloglimit ディレクティブを増やします。このディレクティブは、サーバーでクライアントのアクセスログに割り当てられるメモリーの最大サイズを指定します。

clientloglimit 100000000

6.8.7. ハードウェアのタイムスタンプの確認

インターフェースがハードウェアのタイムスタンプを有効にできたことを確認するには、システムログを確認してください。ログには、chronyd からの各インターフェース向けメッセージに、有効にしたハードウェアのタイムスタンプが追記されているはずです。

例6.3 ハードウェアのタイムスタンプが有効になったインターフェースのログメッセージ

chronyd[4081]: Enabled HW timestamping on eth0
chronyd[4081]: Enabled HW timestamping on eth1

chronyd が、NTP クライアントまたはピアとして設定されている場合は、chronyc ntpdata コマンドにより、送信先と受信先のタイムスタンプおよびインターリーブモードを、各 NTP ソースに報告できます。

例6.4 各 NTP ソースの送信先および受信先のタイムスタンプおよびインターリーブモードの報告

# chronyc ntpdata

出力:

Remote address  : 203.0.113.15 (CB00710F)
Remote port     : 123
Local address   : 203.0.113.74 (CB00714A)
Leap status     : Normal
Version         : 4
Mode            : Server
Stratum         : 1
Poll interval   : 0 (1 seconds)
Precision       : -24 (0.000000060 seconds)
Root delay      : 0.000015 seconds
Root dispersion : 0.000015 seconds
Reference ID    : 47505300 (GPS)
Reference time  : Wed May 03 13:47:45 2017
Offset          : -0.000000134 seconds
Peer delay      : 0.000005396 seconds
Peer dispersion : 0.000002329 seconds
Response time   : 0.000152073 seconds
Jitter asymmetry: +0.00
NTP tests       : 111 111 1111
Interleaved     : Yes
Authenticated   : No
TX timestamping : Hardware
RX timestamping : Hardware
Total TX        : 27
Total RX        : 27
Total valid RX  : 27

例6.5 NTP 測定の安定性の報告

# chronyc sourcestats

ハードウェアのタイムスタンプを有効にすると、NTP 測定の安定性は、通常のロードにおいて数十ナノ秒または数百ナノ秒となります。この安定性は、chronyc sourcestats コマンドの出力の Std Dev 列に報告されます。

出力:

210 Number of sources = 1
Name/IP Address            NP  NR  Span  Frequency  Freq Skew  Offset  Std Dev
ntp.local                  12   7    11     +0.000      0.019     +0ns    49ns

6.8.8. PTP-NTP ブリッジの設定

非常に精度が高い PTP (Precision Time Protocol) のグランドマスターが、PTP サポートのあるスイッチまたはルーターを持たないネットワークで利用可能な場合、コンピューターは、PTP スレーブおよび stratum-1 の NTP サーバーとしての操作に専念する可能性があります。このようなコンピューターには、2 つ以上のネットワークインターフェースが必要なほか、グランドマスターに近いか、またはグランドマスターに直接接続されている必要があります。これにより、ネットワークで非常に精度の高い同期が確実に実行されます。

1 つのインターフェースを使用して、PTP でシステムクロックを同期するように、linuxptp パッケージの ptp4l プログラムおよび phc2sys プログラムを設定します。

chronyd を設定して、その他のインターフェースを使用してシステム時間を提供するには、以下を行います。

例6.6 その他のインターフェースを使用してシステム時間を提供するように chronyd を設定

bindaddress 203.0.113.74
hwtimestamp eth1
local stratum 1

6.9. 以前サポートされていた設定を chrony で実現

ntp がサポートする Red Hat Enterprise Linux の前のメジャーバージョンにあった一部の設定が、chrony ではサポートされません。このセクションはそのような設定の一覧と、chrony を使用して、システムでそれを実現する方法を説明します。

6.9.1. ntpq および ntpdc による監視

chrony は、NTP モードの 6 および 7 に対応していないため、chronyd は、ntp ディストリビューションの ntpq ユーティリティーおよび ntpdc ユーティリティーからは監視できません。これにより異なるプロトコルに対応します。chronyc はクライアントの実装になります。詳細は man ページの chronyc(1) を参照してください。

chronyd で同期しているシステムクロックの状態を監視するには、次のことができます。

  • 追跡コマンドの使用
  • ntpstat ユーティリティーを使用します。 これは、chrony をサポートし、ntpd で使用したときと同様の出力を提供します。

例6.7 追跡コマンドの使用

$ chronyc -n tracking
Reference ID    : 0A051B0A (10.5.27.10)
Stratum         : 2
Ref time (UTC)  : Thu Mar 08 15:46:20 2018
System time     : 0.000000338 seconds slow of NTP time
Last offset     : +0.000339408 seconds
RMS offset      : 0.000339408 seconds
Frequency       : 2.968 ppm slow
Residual freq   : +0.001 ppm
Skew            : 3.336 ppm
Root delay      : 0.157559142 seconds
Root dispersion : 0.001339232 seconds
Update interval : 64.5 seconds
Leap status     : Normal

例6.8 ntpstat ユーティリティーの使用

$ ntpstat
synchronised to NTP server (10.5.27.10) at stratum 2
   time correct to within 80 ms
   polling server every 64 s

6.9.2. 公開鍵暗号に基づく認証メカニズムの使用

Red Hat Enterprise Linux 7 では、ntp がサポートする Autokey は、公開鍵暗号に基づく認証メカニズムです。Autokey は、chronydではサポートされていません。

Red Hat Enterprise Linux 8 システムでは、代わりに対称鍵を使用することが推奨されます。鍵の生成には chronyc keygen コマンドを使用します。クライアントおよびサーバーは、/etc/chrony.keys で指定した鍵を共有する必要があります。クライアントは、serverpool、または peer の各ディレクティブで、key オプションを使用して認証を有効にできます。

6.9.3. 一時的な対称関係の使用

Red Hat Enterprise Linux 7 では、ntpd が、ntp.conf 設定ファイルで指定しないピアからのパケットにより収集できる一時的な対称関係をサポートしていました。Red Hat Enterprise Linux 8 では、chronyd は、chrony.conf ですべてのピアを指定する必要があります。一時的な対称関係はサポートされません。

peer ディレクティブで有効にした対象モードと比べると、server ディレクティブまたは pool ディレクティブで有効になっているクライアント/サーバーモードを使用したほうが安全です。

6.9.4. マルチキャストまたはブロードキャストのクライアント

Red Hat Enterprise Linux 7 では、クライアントの設定を簡素化するブロードキャストまたはマルチキャストの NTP モードに対応していました。このモードでは、個々のユーザーの特定名またはアドレスに対してリッスンする代わりに、マルチキャストまたはブロードキャストのアドレスに送信されたパケットのみをリッスンするようにクライアントを設定できます。 これは、時間の経過とともに変化する場合があります。

Red Hat Enterprise Linux 8 では、chronyd は、ブロードキャストモードまたはマルチキャストモードをサポートしていません。主な理由は、通常のクライアント/サーバーおよび対象モードに比べると正確性に欠け、セキュリティーも保護されていないからです。

NTP のブロードキャストまたはマルチキャストの設定からの移行には、オプションがいくつかあります。

  • 1 つの名前 (ntp.example.com など) を、異なるサーバーの複数のアドレスに変換するように DNS を設定します。

    クライアントには、複数サーバーと同期するために、プールディレクティブを 1 つだけ使用した静的な設定を指定できます。サーバーがプールから到達できない場合、または同期に適切ではない場合は、クライアントが自動的にそのサーバーを、プールの別サーバーに置き換えます。

  • DHCP における NTP サーバーリストを配布します。

    NetworkManager が、DHCP サーバーから NTP サーバーの一覧を取得すると、それを使用するように chronyd が自動的に設定されます。この機能は、PEERNTP=no/etc/sysconfig/network ファイルに追加すると無効にできます。

  • Precision Time Protocol (PTP) を使用します。

    このオプションは、サーバーが頻繁に変更する環境、または、大規模なクライアントグループが、宛先サーバーを持たずに、相互に同期できるようにする必要がある場合に主に適しています。

    PTP は、マルチキャストメッセージング用に設計されており、NTP ブロードキャストモードと同じように動作します。PTP 実装は、linuxptp パッケージから入手できます。

    通常、PTP が適切に動作するには、ハードウェアのタイムスタンプとネットワークスイッチのサポートが必要になります。ただし、ブロードキャストモードでは、ソフトウェアタイムスタンプを使用し、ネットワークスイッチのサポートがない場合でも、PTP の方が NTP よりも適しています。

    1 つの通信経路に非常に多くの PTP スレーブがあるネットワークでは、そのスレーブが生成したネットワークトラフィックの量を減らすために、hybrid_e2e オプションで PTP スレーブを設定することが推奨されます。NTP クライアント (場合により NTP サーバー) として chronyd を実行するコンピューターを設定し、マルチキャストメッセージングを使用して、同期した時間を多数のコンピューターに配信する PTP グランドマスターとして動作させることができます。

6.10. 関連情報

以下の資料は、chrony に関するその他の情報を提供します。

6.10.1. インストールされているドキュメント

  • chronyc(1) の man ページ - chronyc コマンドラインインターフェースと、そのコマンドおよびコマンドオプションを説明します。
  • chronyd(8) の man ページ - chronyd デーモンと、そのコマンドおよびコマンドオプションが説明されています。
  • chrony.conf(5) の man ページ - chrony 設定ファイルが説明されています。

6.10.2. オンラインドキュメント

FAQ への回答は https://chrony.tuxfamily.org/faq.html を参照してください。

6.11. RHEL システムロールを使用した時刻同期の管理

timesync ロールを使用して、複数のターゲットマシンで時刻同期を管理できます。

システムクロックが、NTP サーバーまたは PTP ドメインのグランドマスターに同期するように、timesync ロールが、NTP 実装または PTP 実装をインストールして NTP クライアントまたは PTP スレーブとして動作するように設定します。

timesync ロールを使用すると、システムが ntp または chrony を使用して NTP プロトコルを実装するかどうかにかかわらず、RHEL 6 以降のすべてのバージョンの Red Hat Enterprise Linux で同じ Playbook を使用できるため、chrony への移行 が容易になります。

警告

timesync ロールは、管理対象ホストで指定または検出されたプロバイダーサービスの設定を置き換えます。以前の設定は、ロール変数で指定されていなくても失われます。timesync_ntp_provider 変数が定義されていない場合は、プロバイダーの唯一の設定が適用されます。

以下の例は、サーバーにプールが 1 つしかない場合に、timesync ロールを適用する方法を示しています。

例6.9 サーバーの 1 つのプールに、timesync ロールを適用する Playbook の例

---
- hosts: timesync-test
  vars:
    timesync_ntp_servers:
      - hostname: 2.rhel.pool.ntp.org
        pool: yes
        iburst: yes
  roles:
    - rhel-system-roles.timesync

関連情報

  • timesync ロール変数の詳細は、rhel-system-roles パッケージをインストールし、/usr/share/doc/rhel-system-roles/timesync ディレクトリーの README.md または README.html ファイルを参照してください。
  • RHEL システムロールの詳細は、「RHEL システムロールの概要」を参照してください。

第7章 2 台のシステム間で OpenSSH を使用した安全な通信の使用

SSH (Secure Shell) は、クライアント/サーバーアーキテクチャーを使用する 2 つのシステム間で安全な通信を提供し、ユーザーがリモートでサーバーホストシステムにログインできるようにするプロトコルです。FTP、Telnet などの他のリモート通信プロトコルとは異なり、SSH はログインセッションを暗号化するため、侵入者が接続して暗号化されていないパスワードを入手するのが困難になります。

Red Hat Enterprise Linux には、基本的な OpenSSH パッケージ (一般的な openssh パッケージ、openssh-server パッケージ、および openssh-clients パッケージ) が含まれます。OpenSSH パッケージには、OpenSSL パッケージ (openssl-libs) が必要です。このパッケージは、重要な暗号化ライブラリーをいくつかインストールして、暗号化通信を提供する OpenSSH を有効にします。

7.1. SSH と OpenSSH

SSH (Secure Shell) は、リモートマシンにログインしてそのマシンでコマンドを実行するプログラムです。SSH プロトコルは、安全でないネットワーク上で、信頼されていないホスト間で安全な通信を提供します。また、X11 接続と任意の TCP/IP ポートを安全なチャンネルで転送することもできます。

SSH プロトコルは、リモートシェルのログインやファイルコピー用に使用する場合に、システム間の通信の傍受や特定ホストの偽装など、セキュリティーの脅威を軽減します。これは、SSH クライアントとサーバーがデジタル署名を使用してそれぞれの ID を確認するためです。さらに、クライアントシステムとサーバーシステムとの間の通信はすべて暗号化されます。

OpenSSH は、多数の Linux、UNIX、および同様のオペレーティングシステムでサポートされている SSH プロトコルの実装です。OpenSSH クライアントとサーバー両方に必要なコアファイルが含まれます。OpenSSH スイートは、以下のユーザー空間ツールで構成されます。

  • SSH は、リモートログインプログラム (SSH クライアント) です。
  • sshd は、OpenSSH SSH デーモンです。
  • scp は、安全なリモートファイルコピープログラムです。
  • sftp は、安全なファイル転送プログラムです。
  • ssh-agent は、秘密鍵をキャッシュする認証エージェントです。
  • ssh-add は、秘密鍵の ID を ssh-agent に追加します。
  • ssh-keygen が、ssh の認証キーを生成、管理、および変換します。
  • ssh-copy-id は、ローカルの公開鍵をリモート SSH サーバーの authorized_keys ファイルに追加するスクリプトです。
  • ssh-keyscan - SSH パブリックホストキーを収集します。

現在、SSH のバージョンには、バージョン 1 と新しいバージョン 2 の 2 つがあります。Red Hat Enterprise Linux 8 の OpenSSH スイートは、SSH バージョン 2 のみを使用します。バージョン 1 で既知の不正使用の影響を受けない、強化された鍵交換アルゴリズムを備えています。

OpenSSH は、RHEL コア暗号化サブシステムのいずれかで、システム全体の暗号化ポリシーを使用します。これにより、弱い暗号スイートおよび暗号化アルゴリズムがデフォルト設定で無効になります。ポリシーを調整するには、管理者が update-crypto-policies コマンドを使用して設定を厳格または緩くするか、システム全体の暗号化ポリシーを手動でオプトアウトする必要があります。

OpenSSH スイートは、設定ファイルのセットを 2 つ使用します。クライアントプログラム (つまり sshscp、および sftp) の設定ファイルと、サーバー (sshd デーモン) の設定ファイルです。システム全体の SSH 設定情報が /etc/ssh/ ディレクトリーに保存されます。ユーザー固有の SSH 設定情報は、ユーザーのホームディレクトリーの ~/.ssh/ に保存されます。OpenSSH 設定ファイルの詳細な一覧は、man ページの sshd (8)FILES セクションを参照してください。

関連情報

7.2. OpenSSH サーバーの設定および起動

お使いの環境と OpenSSH サーバーを起動するのに必要な基本設定には、以下の手順を使用します。デフォルトの RHEL インストールを行うと、sshd デーモンがすでに起動し、サーバーのホスト鍵が自動的に作成されることに注意してください。

前提条件

  • openssh-server パッケージがインストールされている。

手順

  1. 現行セッションで sshd デーモンを開始し、ブート時に自動的に起動するように設定します。

    # systemctl start sshd
    # systemctl enable sshd
  2. /etc/ssh/sshd_config 設定ファイルの ListenAddress ディレクティブに、デフォルトの 0.0.0.0 (IPv4) または :: (IPv6) とは異なるアドレスを指定し、より低速な動的ネットワーク設定を使用するには、network-online.target ターゲットユニットの依存関係を sshd.service ユニットファイルに追加します。これを行うには、以下の内容で /etc/systemd/system/sshd.service.d/local.conf ファイルを作成します。

    [Unit]
    Wants=network-online.target
    After=network-online.target
  3. /etc/ssh/sshd_config 設定ファイルの OpenSSH サーバーの設定がシナリオの要件を満たしているかどうかを確認します。
  4. 必要に応じて、/etc/issue ファイルを編集して、クライアント認証を行う前に OpenSSH サーバーに表示される welcome メッセージを変更します。以下に例を示します。

    Welcome to ssh-server.example.com
    Warning: By accessing this server, you agree to the referenced terms and conditions.

    ログインに成功すると表示されるメッセージを変更するには、サーバーの /etc/motd ファイルを編集する必要があります。詳細は、man ページの pam_motd を参照してください。

  5. systemd 設定を再読み込みし、変更を適用します。

    # systemctl daemon-reload

検証手順

  1. sshd デーモンが実行していることを確認します。

    # systemctl status sshd
    ● sshd.service - OpenSSH server daemon
       Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/sshd.service; enabled; vendor preset: enabled)
       Active: active (running) since Mon 2019-11-18 14:59:58 CET; 6min ago
         Docs: man:sshd(8)
               man:sshd_config(5)
     Main PID: 1149 (sshd)
        Tasks: 1 (limit: 11491)
       Memory: 1.9M
       CGroup: /system.slice/sshd.service
               └─1149 /usr/sbin/sshd -D -oCiphers=aes128-ctr,aes256-ctr,aes128-cbc,aes256-cbc -oMACs=hmac-sha2-256,>
    
    Nov 18 14:59:58 ssh-server-example.com systemd[1]: Starting OpenSSH server daemon...
    Nov 18 14:59:58 ssh-server-example.com sshd[1149]: Server listening on 0.0.0.0 port 22.
    Nov 18 14:59:58 ssh-server-example.com sshd[1149]: Server listening on :: port 22.
    Nov 18 14:59:58 ssh-server-example.com systemd[1]: Started OpenSSH server daemon.
  2. SSH クライアントを使用して SSH サーバーに接続します。

    # ssh user@ssh-server-example.com
    ECDSA key fingerprint is SHA256:dXbaS0RG/UzlTTku8GtXSz0S1++lPegSy31v3L/FAEc.
    Are you sure you want to continue connecting (yes/no/[fingerprint])? yes
    Warning: Permanently added 'ssh-server-example.com' (ECDSA) to the list of known hosts.
    
    user@ssh-server-example.com's password:

関連情報

  • man ページの sshd(8) および sshd_config(5)

7.3. SSH 認証にパスワードではなく鍵ペアを使用

システムのセキュリティーをさらに強化するには、SSH 鍵のペアを生成し、パスワード認証を無効にすることで鍵ベース認証を強制します。

7.3.1. 鍵ベースの認証用の OpenSSH サーバーの設定

以下の手順に従って、鍵ベースの認証を強制するように OpenSSH サーバーを設定します。

前提条件

  • openssh-server パッケージがインストールされている。
  • サーバーで sshd デーモンが実行している。

手順

  1. テキストエディターで /etc/ssh/sshd_config 設定を開きます。以下に例を示します。

    # vi /etc/ssh/sshd_config
  2. PasswordAuthentication オプションを no に変更します。

    PasswordAuthentication no

    新しいデフォルトインストール以外のシステムで PubkeyAuthentication no が設定されていないことと、ChallengeResponseAuthentication ディレクティブが no に設定されていることを確認します。リモートで接続している場合は、コンソールもしくは帯域外アクセスを使用せず、パスワード認証を無効にする前に、鍵ベースのログインプロセスをテストします。

  3. NFS がマウントされたホームディレクトリーで鍵ベースの認証を使用するには、SELinux ブール値 use_nfs_home_dirs を有効にします。

    # setsebool -P use_nfs_home_dirs 1
  4. sshd デーモンを再読み込みし、変更を適用します。

    # systemctl reload sshd

関連情報

  • man ページの sshd(8)sshd_config(5)、および setsebool(8)

7.3.2. SSH 鍵ペアの生成

以下の手順を使用して、ローカルシステムに SSH 鍵ペアを生成し、生成された公開鍵を OpenSSH サーバーにコピーします。サーバーが正しく設定されている場合は、パスワードなしで OpenSSH サーバーにログインできます。

重要

root で次の手順を完了すると、鍵を使用できるのは root だけとなります。

手順

  1. SSH プロトコルのバージョン 2 用の ECDSA 鍵ペアを生成するには、次のコマンドを実行します。

    $ ssh-keygen -t ecdsa
    Generating public/private ecdsa key pair.
    Enter file in which to save the key (/home/joesec/.ssh/id_ecdsa):
    Enter passphrase (empty for no passphrase):
    Enter same passphrase again:
    Your identification has been saved in /home/joesec/.ssh/id_ecdsa.
    Your public key has been saved in /home/joesec/.ssh/id_ecdsa.pub.
    The key fingerprint is:
    SHA256:Q/x+qms4j7PCQ0qFd09iZEFHA+SqwBKRNaU72oZfaCI joesec@localhost.example.com
    The key's randomart image is:
    +---[ECDSA 256]---+
    |.oo..o=++        |
    |.. o .oo .       |
    |. .. o. o        |
    |....o.+...       |
    |o.oo.o +S .      |
    |.=.+.   .o       |
    |E.*+.  .  . .    |
    |.=..+ +..  o     |
    |  .  oo*+o.      |
    +----[SHA256]-----+

    ssh-keygen コマンドまたは Ed25519 鍵ペアに -t rsa オプションを指定して RSA 鍵ペアを生成するには、ssh-keygen -t ed25519 コマンドを実行します。

  2. 公開鍵をリモートマシンにコピーするには、次のコマンドを実行します。

    $ ssh-copy-id joesec@ssh-server-example.com
    /usr/bin/ssh-copy-id: INFO: attempting to log in with the new key(s), to filter out any that are already installed
    ...
    Number of key(s) added: 1
    
    Now try logging into the machine, with: "ssh 'joesec@ssh-server-example.com'" and check to make sure that only the key(s) you wanted were added.

    セッションで ssh-agent プログラムを使用しない場合は、上記のコマンドで、最後に変更した ~/.ssh/id*.pub 公開鍵をコピーします (インストールされていない場合)。別の公開キーファイルを指定したり、ssh-agent により、メモリーにキャッシュされた鍵よりもファイル内の鍵の方が優先順位を高くするには、-i オプションを指定して ssh-copy-id コマンドを使用します。

注記

システムを再インストールする際に、生成しておいた鍵ペアを引き続き使用する場合は、~/.ssh/ ディレクトリーのバックアップを作成します。再インストール後に、このディレクトリーをホームディレクトリーにコピーします。これは、(root を含む) システムの全ユーザーで実行できます。

検証手順

  1. パスワードなしで OpenSSH サーバーにログインします。

    $ ssh joesec@ssh-server-example.com
    Welcome message.
    ...
    Last login: Mon Nov 18 18:28:42 2019 from ::1

関連情報

  • man ページの ssh-keygen (1) および ssh-copy-id (1)

7.4. スマートカードに保存された SSH 鍵の使用

Red Hat Enterprise Linux 8 では、OpenSSH クライアントでスマートカードに保存されている RSA 鍵および ECDSA 鍵を使用できるようになりました。この手順に従って、パスワードの代わりにスマートカードを使用した認証を有効にします。

前提条件

  • クライアントで、opensc パッケージをインストールして、pcscd サービスを実行している。

手順

  1. PKCS #11 の URI を含む OpenSC PKCS #11 モジュールが提供する鍵の一覧を表示し、その出力を keys.pub ファイルに保存します。

    $ ssh-keygen -D pkcs11: > keys.pub
    $ ssh-keygen -D pkcs11:
    ssh-rsa AAAAB3NzaC1yc2E...KKZMzcQZzx pkcs11:id=%02;object=SIGN%20pubkey;token=SSH%20key;manufacturer=piv_II?module-path=/usr/lib64/pkcs11/opensc-pkcs11.so
    ecdsa-sha2-nistp256 AAA...J0hkYnnsM= pkcs11:id=%01;object=PIV%20AUTH%20pubkey;token=SSH%20key;manufacturer=piv_II?module-path=/usr/lib64/pkcs11/opensc-pkcs11.so
  2. リモートサーバー (example.com) でスマートカードを使用した認証を有効にするには、公開鍵をリモートサーバーに転送します。前の手順で作成された keys.pubssh-copy-id コマンドを使用します。

    $ ssh-copy-id -f -i keys.pub username@example.com
  3. 手順 1 の ssh-keygen -D コマンドの出力にある ECDSA 鍵を使用して example.com に接続するには、鍵を一意に参照する URI のサブセットのみを使用できます。以下に例を示します。

    $ ssh -i "pkcs11:id=%01?module-path=/usr/lib64/pkcs11/opensc-pkcs11.so" example.com
    Enter PIN for 'SSH key':
    [example.com] $
  4. ~/.ssh/config ファイルで同じ URI 文字列を使用して、設定を永続化できます。

    $ cat ~/.ssh/config
    IdentityFile "pkcs11:id=%01?module-path=/usr/lib64/pkcs11/opensc-pkcs11.so"
    $ ssh example.com
    Enter PIN for 'SSH key':
    [example.com] $

    OpenSSH は p11-kit-proxy ラッパーを使用し、OpenSC PKCS #11 モジュールが PKCS#11 キットに登録されているため、以前のコマンドを簡素化できます。

    $ ssh -i "pkcs11:id=%01" example.com
    Enter PIN for 'SSH key':
    [example.com] $

PKCS #11 の URI の id= の部分を飛ばすと、OpenSSH が、プロキシーモジュールで利用可能な鍵をすべて読み込みます。これにより、必要な入力の量を減らすことができます。

$ ssh -i pkcs11: example.com
Enter PIN for 'SSH key':
[example.com] $

関連情報

7.5. OpenSSH のセキュリティーの強化

以下のヒントは、OpenSSH を使用する際にセキュリティーを高めるのに役に立ちます。OpenSSH 設定ファイル /etc/ssh/sshd_config を変更するには、sshd デーモンを再読み込みして有効にする必要があることに注意してください。

# systemctl reload sshd
重要

ほとんどのセキュリティー強化の設定変更により、最新のアルゴリズムまたは暗号スイートに対応していないクライアントとの互換性が低下します。

安全ではない接続プロトコルの無効化

  • SSH を本当の意味で有効なものにするため、OpenSSH スイートに置き換えられる安全ではない接続プロトコルを使用しないようにします。このような接続プロトコルを使用すると、ユーザーのパスワード自体は SSH を使用した 1 回のセッションで保護されても、その後に Telnet を使用してログインした時に傍受されてしまうためです。このため、telnet、rsh、rlogin、ftp などの安全ではないプロトコルを無効にすることを検討してください。

鍵ベースの認証の有効化およびパスワードベースの認証の無効化

  • 認証用パスワードを無効にして鍵のペアのみを許可すると、攻撃対象領域が減ってユーザーの時間を節約できる可能性があります。クライアントにおいて、ssh-keygen ツールを使用して鍵のペアを生成し、ssh-copy-id ユーティリティーを使用して OpenSSH サーバーのクライアントから公開鍵をコピーします。OpenSSH サーバーでパスワードベースの認証を無効にするには、/etc/ssh/sshd_configPasswordAuthentication オプションを no に変更します。

    PasswordAuthentication no

鍵のタイプ

  • ssh-keygen コマンドは、デフォルトで RSA 鍵のペアを生成しますが、-t オプションを使用して ECDSA 鍵または Ed25519 鍵を生成するように指定できます。ECDSA (Elliptic Curve Digital Signature Algorithm) は、同等の対称鍵強度で RSA よりも優れたパフォーマンスを提供します。また、短いキーも生成します。Ed25519 公開鍵アルゴリズムは、RSA、DSA、および ECDSA より安全で高速な歪曲エドワーズ曲線の実装です。

    サーバーホストの鍵の RSA、ECDSA、および Ed25519 がない場合は、OpenSSH が自動的に作成します。RHEL 8 でホストの鍵の作成を設定するには、インスタンス化したサービス sshd-keygen@.service を使用します。たとえば、RSA 鍵タイプの自動作成を無効にするには、次のコマンドを実行します。

    # systemctl mask sshd-keygen@rsa.service
  • SSH 接続の特定の鍵タイプを除外するには、/etc/ssh/sshd_config で該当行をコメントアウトして sshd サービスを再読み込みします。たとえば、Ed25519 ホストキーだけを許可するには、次のコマンドを実行します。
# HostKey /etc/ssh/ssh_host_rsa_key
# HostKey /etc/ssh/ssh_host_ecdsa_key
HostKey /etc/ssh/ssh_host_ed25519_key

デフォルト以外のポート

  • デフォルトでは、sshd デーモンは TCP ポート 22 をリッスンします。ポートを変更すると、自動化したネットワークスキャンに基づく攻撃にシステムがさらされる可能性が減るため、あいまいさによりセキュリティーが向上します。ポートは、/etc/ssh/sshd_config 設定ファイルの Port ディレクティブを使用して指定できます。

    また、デフォルト以外のポートを使用できるように、デフォルトの SELinux ポリシーも更新する必要があります。そのためには、policycoreutils-python-utils パッケージの semanage ツールを使用します。

    # semanage port -a -t ssh_port_t -p tcp port_number

    さらに、firewalld 設定を更新します。

    # firewall-cmd --add-port port_number/tcp
    # firewall-cmd --runtime-to-permanent

    このコマンドで、port_number を、Port ディレクティブで指定された新しいポート番号に置き換えます。

root ログインなし

  • 特定のユースケースで root ユーザーとしてログインする必要がない場合は、/etc/ssh/sshd_config ファイルで PermitRootLogin 設定ディレクティブを no に設定することを検討してください。root ユーザーとしてログインする可能性を無効にすることにより、管理者は、通常のユーザーとしてログインし、root 権限を取得した後に、どのユーザーがどの特権コマンドを実行するかを監査できます。

    または、PermitRootLoginprohibit-password に設定します。

    PermitRootLogin prohibit-password

    これにより、root としてログインしてパスワードを使用する代わりに鍵ベースの認証が使用され、ブルートフォース攻撃を防ぐことでリスクが軽減します。

⁠X セキュリティー拡張機能の使用

  • Red Hat Enterprise Linux クライアントの X サーバーは、X セキュリティー拡張を提供しません。そのため、クライアントは X11 転送を使用して信頼できない SSH サーバーに接続するときに別のセキュリティー層を要求できません。ほとんどのアプリケーションは、この拡張機能を有効にしても実行できません。

    デフォルトでは、/etc/ssh/ssh_config.d/05-redhat.conf ファイルの ForwardX11Trusted オプションが yes に設定され、ssh -X remote_machine コマンド (信頼できないホスト) と ssh -Y remote_machine コマンド (信頼できるホスト) には違いがありません。

    シナリオで X11 転送機能を必要としない場合は、/etc/ssh/sshd_config 設定ファイルの X11Forwarding ディレクティブを no に設定します。

特定のユーザー、グループ、またはドメインへのアクセス制限

  • /etc/ssh/sshd_config 設定ファイルの AllowUsers ディレクティブおよび AllowGroups ディレクティブを使用すると、特定のユーザー、ドメイン、またはグループのみが OpenSSH サーバーに接続することを許可できます。AllowUsers および AllowGroups を組み合わせて、アクセスをより正確に制限できます。以下に例を示します。

    AllowUsers *@192.168.1.*,*@10.0.0.*,!*@192.168.1.2
    AllowGroups example-group

    この設定行は、192.168.1.* サブネットおよび 10.0.0.* のサブネットのシステムの全ユーザーからの接続を許可します (192.168.1.2 アドレスのシステムを除く)。すべてのユーザーは、example-group グループに属している必要があります。OpenSSH サーバーは、その他のすべての接続を拒否します。

    ホワイトリストは、許可されていない新しいユーザーまたはグループもブロックするため、ホワイトリスト (Allow で始まるディレクティブ) の使用は、ブラックリスト (Deny で始まるオプション) を使用するよりも安全です。

システム全体の暗号化ポリシーの変更

  • OpenSSH は、RHEL のシステム全体の暗号化ポリシーを使用し、デフォルトのシステム全体の暗号化ポリシーレベルは、現在の脅威モデルに安全な設定を提供します。暗号化の設定をより厳格にするには、現在のポリシーレベルを変更します。

    # update-crypto-policies --set FUTURE
    Setting system policy to FUTURE
  • OpenSSH サーバーに対するシステム全体の暗号化ポリシーを除外するには、/etc/sysconfig/sshd ファイルの CRYPTO_POLICY= 変数行のコメントを除外します。この変更後、/etc/ssh/sshd_config ファイルの Ciphers セクション、MACs セクション、KexAlgoritms セクション、および GSSAPIKexAlgorithms セクションで指定した値は上書きされません。このタスクには、暗号化オプションの設定に関する深い専門知識が必要になることに注意してください。
  • 詳細は、『RHEL 8 セキュリティーの強化』「システム全体の暗号化ポリシーの使用」を参照してください

関連情報

  • man ページの sshd_config(5)ssh-keygen(1)crypto-policies(7)、および update-crypto-policies(8)

7.6. SSH ジャンプホストを使用してリモートサーバーに接続

この手順に従って、ジャンプホストとも呼ばれる中間サーバーを介してリモートサーバーに接続します。

前提条件

  • ジャンプホストが、システムからの SSH 接続を受け入れる。
  • リモートサーバーが、ジャンプホストからのみ SSH 接続を受け入れる。

手順

  1. ~/.ssh/config ファイルを編集して、ジャンプホストを定義します。以下に例を示します。

    Host jump-server1
      HostName jump1.example.com
  2. ProxyJump ディレクティブを使用して、リモートサーバーのジャンプ設定を ~/.ssh/config に追加します。以下に例を示します。

    Host remote-server
      HostName remote1.example.com
      ProxyJump jump-server1
  3. ジャンプサーバーを使用してリモートサーバーに接続します。

    $ ssh remote-server

    このコマンドは、設定手順 1 および 2 を省略したときの ssh -J jump-server1 remote-server コマンドと同じです。

注記

ジャンプサーバーをさらに指定することもできます。また、完全なホスト名を指定する場合は、設定ファイルへのホスト定義の追加を飛ばすこともできます。以下に例を示します。

$ ssh -J jump1.example.com,jump2.example.com,jump3.example.com remote1.example.com

ジャンプサーバーのユーザー名または SSH ポートが、リモートサーバーの名前およびポートと異なる場合は、上記のコマンドのホスト名のみの表記を変更します。以下に例を示します。

$ ssh -J johndoe@jump1.example.com:75,johndoe@jump2.example.com:75,johndoe@jump3.example.com:75 joesec@remote1.example.com:220

関連情報

  • man ページの ssh_config(5) および ssh(1)

7.7. 関連情報

Red Hat Enterprise Linux で OpenSSH サーバーおよびクライアントを設定し、接続する方法は、以下の資料を参照してください。

インストールされているドキュメント

  • man ページの sshd(8) では、利用可能なコマンドラインオプションと、対応している設定ファイルおよびディレクトリーがすべて説明されています。
  • man ページの ssh(1) には、利用可能なコマンドラインオプションと対応している設定ファイルおよびディレクトリーの一覧が記載されています。
  • man ページの scp (1) には、scp ユーティリティーとその使用方法に関する詳細が記載されています。
  • man ページの sftp(1) には、sftp ユーティリティーとその使用法に関する詳細が記載されています。
  • man ページの ssh-keygen(1) には、ssh-keygen ユーティリティーを使用して ssh が使用する認証鍵を生成、管理、変換する方法を説明します。
  • man ページの ssh-copy-id(1) では、ssh-copy-id スクリプトの使用方法が説明されています。
  • man ページの ssh_config(5) では、利用可能な SSH クライアント設定オプションが説明されています。
  • man ページの sshd_config(5) は、利用可能な SSH デーモン設定オプションの詳細な説明があります。
  • man ページの update-crypto-policies(8) は、システム全体の暗号化ポリシーの管理に関するガイドを提供します。
  • man ページの crypto-policies(7) は、システム全体の暗号化ポリシーレベルの概要を提供します。

オンラインドキュメント

第8章 リモートロギングソリューションの設定

環境内の各種マシンからのログをロギングサーバーに集中的に記録するために、クライアントシステムからサーバーに特定の基準に合致するログを記録するように Rsyslog アプリケーションを設定できます。

8.1. Rsyslog ロギングサービス

Rsyslog アプリケーションは、systemd-journald サービスと組み合わせて、Red Hat Enterprise Linux でローカルおよびリモートのロギングサポートを提供します。rsyslogd デーモンは、ジャーナルから systemd-journald サービスが受信した syslog メッセージを継続的に読み取り、rsyslogd がこのような syslog イベントにフィルターを設定して処理し、rsyslog ログファイルに記録するか、その設定に応じて他のサービスに転送します。

rsyslogd デーモンは、拡張されたフィルタリング、暗号化で保護されたメッセージのリレー、入出力モジュール、TCP プロトコルおよび UDP プロトコルを使用した転送のサポートも提供します。

rsyslog の主な設定ファイルである /etc/rsyslog.conf では、どの rsyslogd がメッセージを処理するかに応じてルールを指定できます。通常は、ソースおよびトピック (ファシリティー) 別および緊急度 (優先度) 別にメッセージを分類し、メッセージがその基準に合致したときに実行するアクションを割り当てることができます。

/etc/rsyslog.conf では、rsyslogd が維持するログファイルの一覧も確認できます。ほとんどのログファイルは /var/log/ ディレクトリーにあります。httpdsamba などの一部のアプリケーションは、ログファイルを /var/log/ 内のサブディレクトリーに保存します。

関連情報

8.2. Rsyslog ドキュメントのインストール

Rsyslog アプリケーションには https://www.rsyslog.com/doc/ で利用可能な幅広いドキュメントがありますが、以下の手順に従って rsyslog-doc ドキュメントパッケージをローカルにインストールすることもできます。

前提条件

  • システムで AppStream リポジトリーをアクティベートしている。
  • sudo を使用した新規パッケージのインストールが認可されている。

手順

  • rsyslog-doc パッケージをインストールします。

    $ sudo yum install rsyslog-doc

検証

8.3. TCP でのリモートロギングの設定

Rsyslog アプリケーションを使用すると、ロギングサーバーを実行し、個別のシステムがログファイルをロギングサーバーに送信するように設定できます。TCP 経由でリモートロギングを使用するには、サーバーとクライアントの両方を設定します。サーバーは、クライアントシステムによって送信されたログを収集し、分析します。

Rsyslog アプリケーションを使用すると、ログメッセージがネットワークを介してサーバーに転送される中央ロギングシステムを維持できます。サーバーが利用できない場合にメッセージが失われないようにするには、転送アクションのアクションキューを設定します。これにより、送信に失敗したメッセージは、サーバーが再度到達可能になるまでローカルに保存されます。このようなキューは、UDP プロトコルを使用する接続用に設定できないことに注意してください。

omfwd プラグインは、UDP または TCP による転送を提供します。デフォルトのプロトコルは UDP です。このプラグインは組み込まれているため、読み込む必要はありません。

8.3.1. TCP でのリモートロギング用のサーバーの設定

以下の手順に従って、クライアントシステムが送信したログを収集し、分析するためのサーバーを設定します。

デフォルトでは、rsyslog はポート 514 で TCP を使用します。

前提条件

  • rsyslog がサーバーシステムにインストールされている。
  • サーバーに root としてログインしている。

手順

  1. 必要に応じて、rsyslog トラフィックに別のポートを使用するには、SELinux タイプ syslogd_port_t をポートに追加します。たとえば、ポート 30514 を有効にします。

    # semanage port -a -t syslogd_port_t -p tcp 30514
  2. 必要に応じて、rsyslog トラフィックに別のポートを使用するには、firewalld がそのポートでの着信 rsyslog トラフィックを許可するように設定します。たとえば、ゾーン zone でポート 30514 に TCP トラフィックを許可します。

    # firewall-cmd --zone=zone --permanent --add-port=30514/tcp
    success
  3. /etc/rsyslog.d/ ディレクトリーに新規ファイル (例: remotelog.conf) を作成し、以下のコンテンツを挿入します。

    # Define templates before the rules that use them
    ### Per-Host Templates for Remote Systems ###
    template(name="TmplAuthpriv" type="list") {
        constant(value="/var/log/remote/auth/")
        property(name="hostname")
        constant(value="/")
        property(name="programname" SecurePath="replace")
        constant(value=".log")
        }
    
    template(name="TmplMsg" type="list") {
        constant(value="/var/log/remote/msg/")
        property(name="hostname")
        constant(value="/")
        property(name="programname" SecurePath="replace")
        constant(value=".log")
        }
    
    # Provides TCP syslog reception
    module(load="imtcp")
    # Adding this ruleset to process remote messages
    ruleset(name="remote1"){
         authpriv.*   action(type="omfile" DynaFile="TmplAuthpriv")
          *.info;mail.none;authpriv.none;cron.none
    action(type="omfile" DynaFile="TmplMsg")
    }
    
    input(type="imtcp" port="30514" ruleset="remote1")
  4. /etc/rsyslog.d/remotelog.conf ファイルへの変更を保存します。
  5. Rsyslog サービスがロギングサーバーで実行中で、有効になっていることを確認します。

    # systemctl status rsyslog
  6. rsyslog サービスを再起動します。

    # systemctl restart rsyslog
  7. 必要に応じて、rsyslog が有効になっていない場合は、再起動後に rsyslog サービスが自動的に起動するようにします。

    # systemctl enable rsyslog

環境内の他のシステムからログファイルを受け取り、保存するように、ログサーバーが設定されています。

検証

  • /etc/rsyslog.conf ファイルの構文をテストします。

    # rsyslogd -N 1
    rsyslogd: version 8.1911.0-2.el8, config validation run (level 1), master config /etc/rsyslog.conf
    rsyslogd: End of config validation run. Bye.

関連情報

8.3.2. TCP 経由のサーバーへのリモートロギングの設定

以下の手順に従って、TCP プロトコルを介してサーバーにログメッセージを転送するようにシステムを設定します。omfwd プラグインは、UDP または TCP による転送を提供します。デフォルトのプロトコルは UDP です。プラグインは組み込まれているため、これをロードする必要はありません。

前提条件

  • rsyslog パッケージが、サーバーに報告する必要のあるクライアントシステムにインストールされている。
  • リモートロギング用にサーバーを設定している。
  • 指定したポートが SELinux で許可され、ファイアウォールで開いている。

手順

  1. /etc/rsyslog.d/ ディレクトリーに新規ファイル (例: remotelog.conf) を作成し、以下のコンテンツを挿入します。

    *.* action(type="omfwd"
          queue.type="linkedlist"
          queue.filename="example_fwd"
          action.resumeRetryCount="-1"
          queue.saveOnShutdown="on"
          target="example.com" port="30514" protocol="tcp"
         )

    詳細は以下のようになります。

    • queue.type="linkedlist" は、LinkedList インメモリーキューを有効にします。
    • queue.filename はディスクストレージを定義します。バックアップファイルは、前のグローバルの workDirectory ディレクティブで指定された作業ディレクトリーに example_fwd 接頭辞を付けて作成されます。
    • action.resumeRetryCount -1 設定は、サーバーが応答しない場合に接続を再試行するときに rsyslog がメッセージを破棄しないようにします。
    • rsyslog がシャットダウンすると、有効になっている queue.saveOnShutdown="on" はインメモリーデータを保存します。
    • 最後の行は受信メッセージをすべてロギングサーバーに転送します。ポートの指定は任意です。

    この設定では、rsyslog はメッセージをサーバーに送信しますが、リモートサーバーに到達できない場合には、メッセージをメモリーに保持します。ディスク上にあるファイルは、設定されたメモリーキュー領域が rsyslog で不足するか、シャットダウンする必要がある場合にのみ作成されます。これにより、システムパフォーマンスが向上します。

  2. rsyslog サービスを再起動します。

    # systemctl restart rsyslog

検証

クライアントシステムがサーバーにメッセージを送信することを確認するには、以下の手順に従います。

  1. クライアントシステムで、テストメッセージを送信します。

    # logger test
  2. サーバーシステムで、/var/log/messages ログを表示します。以下に例を示します。

    # cat /var/log/remote/msg/hostname/root.log
    Feb 25 03:53:17 hostname root[6064]: test

    hostname はクライアントシステムのホスト名です。ログには、logger コマンドを入力したユーザーのユーザー名 (この場合は root) が含まれていることに注意してください。

関連情報

8.4. UDP でのリモートロギングの設定

Rsyslog アプリケーションを使用すると、リモートシステムからロギング情報を受信するようにシステムを設定できます。UDP 経由でリモートロギングを使用するには、サーバーとクライアントの両方を設定します。受信サーバーは、クライアントシステムによって送信されたログを収集し、分析します。デフォルトでは、rsyslog はポート 514 で UDP を使用して、リモートシステムからログ情報を受信します。

8.4.1. UDP でリモートロギング情報を受信するためのサーバーの設定

以下の手順に従って、UDP プロトコルを介してクライアントシステムにより送信されたログを収集し、分析するためのサーバーを設定します。

前提条件

  • rsyslog ユーティリティーがインストールされている。

手順

  1. 必要に応じて、デフォルトのポート 514 以外の rsyslog トラフィックに別のポートを使用するには、次のコマンドを実行します。

    1. SELinux ポリシー設定に syslogd_port_t SELinux タイプを追加し、portnorsyslog で使用するポート番号に置き換えます。

      # semanage port -a -t syslogd_port_t -p udp portno
    2. 着信 rsyslog トラフィックを許可するように firewalld を設定します。portno をポート番号に置き換え、zonersyslog が使用するゾーンに置き換えます。

      # firewall-cmd --zone=zone --permanent --add-port=portno/udp
      success
    3. ファイアウォールルールを再読み込みします。

      # firewall-cmd --reload
  2. /etc/rsyslog.d/ ディレクトリーに .conf の新規ファイル (例: remotelogserv.conf) を作成し、以下のコンテンツを挿入します。

    # Define templates before the rules that use them
    ### Per-Host Templates for Remote Systems ###
    template(name="TmplAuthpriv" type="list") {
        constant(value="/var/log/remote/auth/")
        property(name="hostname")
        constant(value="/")
        property(name="programname" SecurePath="replace")
        constant(value=".log")
        }
    
    template(name="TmplMsg" type="list") {
        constant(value="/var/log/remote/msg/")
        property(name="hostname")
        constant(value="/")
        property(name="programname" SecurePath="replace")
        constant(value=".log")
        }
    
    # Provides UDP syslog reception
    module(load="imudp")
    
    # This ruleset processes remote messages
    ruleset(name="remote1"){
         authpriv.*   action(type="omfile" DynaFile="TmplAuthpriv")
          *.info;mail.none;authpriv.none;cron.none
    action(type="omfile" DynaFile="TmplMsg")
    }
    
    input(type="imudp" port="514" ruleset="remote1")

    514 は、rsyslog がデフォルトで使用するポート番号です。代わりに別のポートを指定できます。

  3. rsyslog サービスを再起動します。

    # systemctl restart rsyslog
  4. 必要に応じて、rsyslog が有効になっていない場合は、再起動後に rsyslog サービスが自動的に起動するようにします。

    # systemctl enable rsyslog

検証

  1. /etc/rsyslog.conf ファイルの構文と /etc/rsyslog.d/ ディレクトリー内の all .conf ファイルを確認します。

    # rsyslogd -N 1
    rsyslogd: version 8.1911.0-2.el8, config validation run (level 1), master config /etc/rsyslog.conf
    rsyslogd: End of config validation run. Bye.

関連情報

  • man ページの rsyslogd(8)rsyslog.conf(5)semanage(8)、および firewall-cmd(1)
  • file:///usr/share/doc/rsyslog/html/index.html から rsyslog-doc パッケージからインストールできるブラウザーベースのドキュメント

8.4.2. TCP 経由のサーバーへのリモートロギングの設定

以下の手順に従って、UDP プロトコルを介してサーバーにログメッセージを転送するようにシステムを設定します。omfwd プラグインは、UDP または TCP による転送を提供します。デフォルトのプロトコルは UDP です。プラグインは組み込まれているため、これをロードする必要はありません。

前提条件

手順

  1. /etc/rsyslog.d/ ディレクトリーに .conf の新規ファイル (例: remotelogcli.conf) を作成し、以下のコンテンツを挿入します。

    *.* action(type="omfwd"
          queue.type="linkedlist"
          queue.filename="example_fwd"
          action.resumeRetryCount="-1"
          queue.saveOnShutdown="on"
          target="example.com" port="portno" protocol="udp"
         )

    詳細は以下のようになります。

    • queue.type="linkedlist" は、LinkedList インメモリーキューを有効にします。
    • queue.filename はディスクストレージを定義します。バックアップファイルは、前のグローバルの workDirectory ディレクティブで指定された作業ディレクトリーに example_fwd 接頭辞を付けて作成されます。
    • action.resumeRetryCount -1 設定は、サーバーが応答しない場合に接続を再試行するときに rsyslog がメッセージを破棄しないようにします。
    • rsyslog がシャットダウンすると、有効になっている queue.saveOnShutdown="on" はインメモリーデータを保存します。
    • portno は、rsyslog で使用するポート番号です。デフォルト値は 514 です。
    • 最後の行は受信メッセージをすべてロギングサーバーに転送します。ポートの指定は任意です。

      この設定では、rsyslog はメッセージをサーバーに送信しますが、リモートサーバーに到達できない場合には、メッセージをメモリーに保持します。ディスク上にあるファイルは、設定されたメモリーキュー領域が rsyslog で不足するか、シャットダウンする必要がある場合にのみ作成されます。これにより、システムパフォーマンスが向上します。

  2. rsyslog サービスを再起動します。

    # systemctl restart rsyslog
  3. 必要に応じて、rsyslog が有効になっていない場合は、再起動後に rsyslog サービスが自動的に起動するようにします。

    # systemctl enable rsyslog

検証

クライアントシステムがサーバーにメッセージを送信することを確認するには、以下の手順に従います。

  1. クライアントシステムで、テストメッセージを送信します。

    # logger test
  2. サーバーシステムで、/var/log/remote/msg/hostname/root.log ログを表示します。以下に例を示します。

    # cat /var/log/remote/msg/hostname/root.log
    Feb 25 03:53:17 hostname root[6064]: test

    hostname はクライアントシステムのホスト名です。ログには、logger コマンドを入力したユーザーのユーザー名 (この場合は root) が含まれていることに注意してください。

関連情報

8.5. 信頼できるリモートロギングの設定

Reliable Event Logging Protocol (RELP) を使用すると、メッセージ損失のリスクを大幅に軽減して TCP で syslog メッセージを送受信できます。RELP は、信頼できるイベントメッセージの配信を提供します。これにより、メッセージの損失が許容できない環境で役に立ちます。RELP を使用するには、サーバーで実行され、ログを受信する imrelp 入力モジュールと、クライアントで実行している omrelp 出力モジュールを設定し、ログをロギングサーバーに送信します。

前提条件

  • rsyslog パッケージ、librelp パッケージ、および rsyslog-relp パッケージをサーバーおよびクライアントシステムにインストールしている。
  • 指定したポートが SELinux で許可され、ファイアウォールで開いている。

手順

  1. 信頼できるリモートロギング用にクライアントシステムを設定します。

    1. クライアントシステムで、/etc/rsyslog.d/ ディレクトリーに、relpcli.conf などの名前の new .conf ファイルを作成し、以下のコンテンツを挿入します。

      module(load="omrelp")
      *.* action(type="omrelp" target="target_IP" port="target_port")

      詳細は以下のようになります。

      • target_IP は、ロギングサーバーの IP アドレスです。
      • target_port はロギングサーバーのポートです。
    2. /etc/rsyslog.d/relpserv.conf ファイルへの変更を保存します。
    3. rsyslog サービスを再起動します。

      # systemctl restart rsyslog
    4. 必要に応じて、rsyslog が有効になっていない場合は、再起動後に rsyslog サービスが自動的に起動するようにします。

      # systemctl enable rsyslog
  2. 信頼できるリモートロギング用にサーバーシステムを設定します。

    1. サーバーシステムで、/etc/rsyslog.d/ ディレクトリーに、relpserv.conf などの名前の new .conf ファイルを作成し、以下のコンテンツを挿入します。

      ruleset(name="relp"){
      *.* action(type="omfile" file="log_path")
      }
      
      
      module(load="imrelp")
      input(type="imrelp" port="target_port" ruleset="relp")

      詳細は以下のようになります。

      • log_path は、メッセージを保存するパスを指定します。
      • target_port はロギングサーバーのポートです。クライアント設定ファイルと同じ値を使用します。
    2. /etc/rsyslog.d/relpserv.conf ファイルへの変更を保存します。
    3. rsyslog サービスを再起動します。

      # systemctl restart rsyslog
    4. 必要に応じて、rsyslog が有効になっていない場合は、再起動後に rsyslog サービスが自動的に起動するようにします。

      # systemctl enable rsyslog

検証

クライアントシステムがサーバーにメッセージを送信することを確認するには、以下の手順に従います。

  1. クライアントシステムで、テストメッセージを送信します。

    # logger test
  2. サーバーシステムで、指定された log_path でログを表示します。以下に例を示します。

    # cat /var/log/remote/msg/hostname/root.log
    Feb 25 03:53:17 hostname root[6064]: test

    hostname はクライアントシステムのホスト名です。ログには、logger コマンドを入力したユーザーのユーザー名 (この場合は root) が含まれていることに注意してください。

関連情報

8.6. サポート対象の Rsyslog モジュール

Rsyslog ユーティリティーの機能を拡張するには、特定の追加モジュールを使用できます。モジュールは、追加の入力(入力モジュール)、出力(出力モジュール)、およびその他の特定の機能を提供します。モジュールは、そのモジュールの読み込み後に利用可能な追加の設定ディレクティブを提供することもできます。

以下のコマンドを使用して、システムにインストールされている入出力モジュールを一覧表示します。

# ls /usr/lib64/rsyslog/{i,o}m*

利用可能な rsyslog モジュールの一覧を表示するには、rsyslog-doc パッケージからインストールされているドキュメントから、以下のページを開きます。

$ firefox file:///usr/share/doc/rsyslog/html/configuration/modules/idx_output.html

8.7. 関連情報

第9章 Python の使用

9.1. Python の概要

Python は、オブジェクト指向、命令、機能、手順などの複数のプログラミングパラダイムをサポートする、高レベルのプログラミング言語です。Python は動的なセマンティクスを持ち、汎用プログラミングに使用できます。

Red Hat Enterprise Linux では、システムツールを提供するパッケージ、データ分析または Web アプリケーションのツールなど、システムにインストールされている多くのパッケージが Python で記述されています。このパッケージを使用できるようにするには、python パッケージがインストールされている必要があります。

9.1.1. Python のバージョン

Python で互換性のない 2 つのバージョン (Python 2.x および Python 3.x) が広く使用されています。

RHEL 8 は、以下のバージョンの Python を提供します。

バージョンインストールするパッケージコマンドの例提供後ライフサイクル

Python 3.6

python3

python3pip3

RHEL 8.0

完全な RHEL 8

Python 2.7

python2

python2pip2

RHEL 8.0

より短い

Python 3.8

python38

python3.8, pip3.8

RHEL 8.2

より短い

サポート期間の詳細は、「Red Hat Enterprise Linux のライフサイクル」および「Red Hat Enterprise Linux 8 アプリケーションストリームライフサイクル」を参照してください。

Python の各バージョンは個別のモジュールで配布され、設計上、同じシステムに複数のモジュールを同時にインストールできます。

python38 モジュールには、システムツール (RPM、DNF、SELinux など) にバインドされる、python36 モジュール向けに提供されているのと同じバインディングは含まれないことに留意してください。

重要

Python のインストール時、起動時、対話時にはバージョンを常に指定します。たとえば、パッケージ名またはコマンド名で、python の代わりに python3 を使用します。Python 関連のすべてのコマンドにもバージョンを含む必要があります (pip3pip2pip3.8 など)。

バージョンを指定しない python コマンド (/usr/bin/python) は、RHEL 8 ではデフォルトで利用できません。alternatives コマンドを使用して設定できます。手順については、「Configuring the unversioned Python」を参照してください。alternatives コマンドを使用して加えられた変更を除き、/usr/bin/python への手動の変更は、更新時に上書きされる可能性があります。

以下の理由により、システム管理者は Python 3 を使用することが推奨されます。

  • Python 3 は、Python プロジェクトの主な開発方向を表します。
  • アップストリームコミュニティーの Python 2 のサポートは 2020 年に終了します。
  • アップストリームで人気のある Python ライブラリーでは、Python 2 サポートが減っています。
  • Python 3 への移行を容易にするために、Red Hat Enterprise Linux 8 の Python 2 のライフサイクルが短くなっています。

開発者には、Python 2 と比較して Python 3 には以下の利点があります。

  • Python 3 の方が、より簡単に、表現が豊かで、メンテナンスが可能な、正しいコードを書くことができます。
  • Python 3 で書かれたコード寿命は長くなります。
  • Python 3 には、asyncio、f-strings、高度なアンパッキング、キーワードのみの引数、例外チェーンなどの新機能があります。

ただし、既存のソフトウェアは、/usr/bin/python が Python 2 であることが求められる傾向があります。この理由により、デフォルトでは、python パッケージが配信されている Red Hat Enterprise Linux 8 で配信されず、「バージョンを指定しない Python の設定」に記載されるように、/usr/bin/python で、使用する Python のバージョンを 2 または 3 から選択できます。

9.1.2. 内部 の platform-python パッケージ

Red Hat Enterprise Linux 8 のシステムツールは、内部の platform-python パッケージで提供される Python バージョン 3.6 を使用します。Red Hat は、代わりに python36 パッケージを使用することを推奨します。

9.2. Python のインストールおよび使用

警告

バージョンを指定しない python コマンドを使用して Python をインストールまたは実行すると、曖昧なためデフォルトでは動作しません。Python のバージョンを常に指定するか、alternatives コマンドを使用してシステムのデフォルトバージョンを設定します。

9.2.1. Python 3 のインストール

Red Hat Enterprise Linux 8 では、Python 3 は、AppStream リポジトリーの python36 および python38 モジュールにより提供されるバージョン 3.6 および 3.8 で配布されます。

手順

  • python36 モジュールから Python 3.6 をインストールするには、以下のコマンドを実行します。

    # yum install python3

    python36:3.6 モジュールストリームは、自動的に有効になります。

  • python38 モジュールから Python 3.8 をインストールするには、以下を使用します。

    # yum install python38

    python38:3.8 モジュールストリームは、自動的に有効になります。

RHEL 8 のモジュールの詳細は『ユーザー空間コンポーネントのインストール、管理、および削除』を参照してください。

注記

設計上、python27python36python38 モジュールなど、RHEL 8 モジュールを同時にインストールできます。並列インストールは、1 つのモジュール内の複数のストリームではサポートされません。

Python 3.8 およびこれ用にビルドされたパッケージは、mod_wsgi モジュールを除き、同じシステムの Python 3.6 と並行してインストールできます。Apache HTTP Server の制限により、システムに python3-mod_wsgi パッケージおよび python38-mod_wsgi パッケージのいずれかのみをインストールできます。

Python 3.6 用のアドオンモジュールのパッケージは、通常 python3- 接頭辞を使用します。Python 3.8 のパッケージには python38- 接頭辞が含まれます。以下の例にあるように、追加の Python パッケージのインストール時には常に接頭辞を含めます。

手順

  • Python 3.6 の Requests モジュールをインストールするには、以下のコマンドを実行します。

    # yum install python3-requests
  • Cython 拡張を Python 3.8 にインストールするには、以下を使用します。

    # yum install python38-Cython

9.2.1.1. 開発者用の追加の Python 3 パッケージのインストール

開発者向けの追加の Python 3.8 パッケージは、python38-devel モジュールの CodeReady Linux Builder リポジトリーで配布されます。このモジュールには、python38-pytest パッケージとその依存関係が含まれます。pyparsingatomicwritesattrspackagingpymore-itertoolspluggy、および wcwidth パッケージが含まれます。

重要

CodeReady Linux Builder リポジトリーおよびそのコンテンツは、Red Hat ではサポートされていません。

python38-devel モジュールからパッケージをインストールするには、以下の手順を行います。

手順

  • サポートされない CodeReady Linux Builder リポジトリーを有効にします。

    # subscription-manager repos --enable codeready-builder-for-rhel-8-x86_64-rpms
  • python38-devel モジュールを有効にします。

    # yum module enable python38-devel
  • python38-pytest パッケージをインストールします。

    # yum install python38-pytest

CodeReady Linux Builder リポジトリーの詳細は、「How to enable and make use of content within CodeReady Linux Builder」を参照してください。

9.2.2. Python 2 のインストール

一部のソフトウェアは Python 3 に完全には移植されておらず、動作するのに Python 2 が必要となります。Red Hat Enterprise Linux 8 では、Python 3 と Python 2 を同時にインストールできます。Python 2 機能が必要な場合は python27 モジュールをインストールしてください。これは AppStream リポジトリーから入手できます。

警告

Python 3 は、Python プロジェクトの主な開発方針です。Python 2 のサポートは終了しつつあります。python27 モジュールは、Red Hat Enterprise Linux 8 でのサポート期間が短くなります。

手順

  • python27 モジュールから Python 2.7 をインストールするには、以下のコマンドを実行します。

    # yum install python2

    python27:2.7 モジュールストリームは、自動的に有効になります。

注記

設計上、python27python36python38 モジュールなど、RHEL 8 モジュールを同時にインストールできます。

モジュールの詳細は『ユーザー空間コンポーネントのインストール、管理、および削除』を参照してください。

Python 2 用のアドオンモジュールのパッケージは、通常、接頭辞 python2- を使用します。以下の例にあるように、追加の Python パッケージのインストール時には常に接頭辞を含めます。

手順

  • Python 2 の Requests モジュールをインストールするには、以下のコマンドを実行します。

    # yum install python2-requests
  • Python 2 に Cython 拡張をインストールするには、以下を使用します。

    # yum install python2-Cython

9.2.3. Python 3 の使用

Python インタープリターまたは Python 関連のコマンドを実行する場合は、常にバージョンを指定します。

手順

  • Python 3.6 インタープリターまたは関連コマンドを実行するには、以下を使用します。

    $ python3
    $ python3 -m cython --help
    $ pip3 install <package>
  • Python 3.8 インタープリターまたは関連コマンドを実行するには、以下を使用します。

    $ python3.8
    $ python3.8 -m cython --help
    $ pip3.8 install <package>

9.2.4. Python 2 の使用

Python 2 インタープリターまたは Python2 関連のコマンドを実行する場合は、常にバージョンを指定します。

手順

  • Python 2 インタープリターまたは関連コマンドを実行するには、以下を使用します。

    $ python2
    $ python2 -m cython --help
    $ pip2 install <package>

9.2.5. バージョンを指定しない Python の設定

システム管理者は、alternatives コマンドを使用して、/usr/bin/python に、バージョンを管理しない python コマンドを設定できます。必要なパッケージ (python3python38、または python2) は、バージョンを指定しないコマンドを各バージョンに設定する前にインストールする必要があります。

重要

/usr/bin/python 実行ファイルは 代替 システムによって制御されます。更新時に手動の変更が上書きされる可能性があります。

その他の Python 関連のコマンド (pip3 など) には、バージョンを指定しないで設定できるバリアントがあります。

9.2.5.1. バージョンを指定しない python コマンドを直接設定

バージョンを指定しない python コマンドを、選択した Python バージョンに直接設定するには、以下の手順に従います。

手順

  • バージョンを指定しない python コマンドを Python 3.6 に設定するには、以下のコマンドを実行します。

    # alternatives --set python /usr/bin/python3
  • バージョンを指定しない python コマンドを Python 3.8 に設定するには、以下のコマンドを使用します。

    # alternatives --set python /usr/bin/python3.8
  • バージョンを指定しない python コマンドを Python 2 に設定するには、以下のコマンドを実行します。

    # alternatives --set python /usr/bin/python2

9.2.5.2. バージョンを指定しない python コマンドを、必要な Python バージョンに対話的に設定する

バージョンを指定しない python コマンドを、必要な Python バージョンに対話的に設定することもできます。

バージョンを指定しない python コマンドを対話的に設定するには、この手順を使用します。

手順

  1. 以下のコマンドを実行します。

    # alternatives --config python
  2. 表示された一覧から必要なバージョンを選択します。
  3. この設定をリセットし、バージョンを指定しない python をコマンドを削除するには、以下のコマンドを実行します。

    # alternatives --auto python

9.3. Python 2 から Python 3 への移行

開発者は、Python 2 で記述したコードを Python 3 に移行できます。大規模なコードベースを Python 3 に移行する方法は「The Conservative Python 3 Porting Guide」を参照してください。

この移行が終了すると、元の Python 2 コードは Python 3 インタープリターにより解釈できるようになり、同様に Python 2 インタープリターは解釈できるままとなることに注意してください。

9.4. Python 3 RPM のパッケージング

ほとんどの Python プロジェクトは、パッケージ化に Setuptools を使用して、setup.py ファイルにパッケージ情報を定義します。Setuptools パッケージ化の詳細は Setuptools ドキュメントを参照してください。

Python プロジェクトを RPM パッケージにパッケージ化することもできます。これには、Setuptools パッケージ化と比較して以下の利点があります。

  • その他の RPM のパッケージの依存関係の指定 (Python 以外も含む)
  • 電子署名

    電子署名を使用すると、RPM パッケージの内容は、オペレーティングシステムのその他の部分とともに検証、統合、およびテストできます。

9.4.1. Python パッケージ用の SPEC ファイルの説明

SPEC ファイルには、RPM の構築に rpmbuild ユーティリティーを使用する命令が含まれています。命令は、一連のセクションに含まれています。SPEC ファイルには、セクションが定義されている 2 つの主要部分があります。

  • プリアンブル (ボディーに使用されている一連のメタデータ項目が含まれています)
  • ボディー (命令の主要部分が含まれています)

SPEC ファイルの詳細は、『ソフトウェアのパッケージ化と配布』 を参照してください。

Python プロジェクトの RPM SPEC ファイルには、非 Python RPM SPEC ファイルと比較していくつかの詳細があります。特に注目すべきは、Python ライブラリーの RPM パッケージの名前に、Python 3.6 の場合は python3、Python 3.8 の場合は python38 など、バージョンの特定接頭辞を常に含める必要があります。

その他の詳細は、次の SPEC ファイルの python3-detox パッケージの例 に記載されています。その詳細の説明は、例の下に記載されている注意事項を参照してください。

%global modname detox                                                           1

Name:           python3-detox                                                   2
Version:        0.12
Release:        4%{?dist}
Summary:        Distributing activities of the tox tool
License:        MIT
URL:            https://pypi.io/project/detox
Source0:        https://pypi.io/packages/source/d/%{modname}/%{modname}-%{version}.tar.gz

BuildArch:      noarch

BuildRequires:  python36-devel                                                  3
BuildRequires:  python3-setuptools
BuildRequires:  python36-rpm-macros
BuildRequires:  python3-six
BuildRequires:  python3-tox
BuildRequires:  python3-py
BuildRequires:  python3-eventlet

%?python_enable_dependency_generator                                            4

%description

Detox is the distributed version of the tox python testing tool. It makes efficient use of multiple CPUs by running all possible activities in parallel.
Detox has the same options and configuration that tox has, so after installation you can run it in the same way and with the same options that you use for tox.

    $ detox

%prep
%autosetup -n %{modname}-%{version}

%build
%py3_build                                                                      5

%install
%py3_install

%check
%{__python3} setup.py test                                                      6

%files -n python3-%{modname}
%doc CHANGELOG
%license LICENSE
%{_bindir}/detox
%{python3_sitelib}/%{modname}/
%{python3_sitelib}/%{modname}-%{version}*

%changelog
...
1
modname マクロには、Python プロジェクトの名前が含まれます。この例では detox となります。
2
Python プロジェクトを RPM にパッケージ化する場合は、常にプロジェクトの元の名前に接頭辞 python3 を追加する必要があります。ここでの元の名前は detox で、RPM の名前python3-detox です。
3
BuildRequires は、このパッケージのビルドおよびテストに必要なパッケージを指定します。BuildRequires では、Python パッケージをビルドするのに必要なツールを提供する項目 (python36-devel および python3-setuptools) が常に含まれます。/usr/bin/python3 shebangs があるファイルが自動的に /usr/bin/python3.6 に変更するようにするには、python36-rpm-macros パッケージが必要です。詳細は「Python スクリプトにおける hashbang の処理」を参照してください。
4
すべての Python パッケージが正しく動作するためには、その他のパッケージがいくつか必要です。このようなパッケージも、SPEC ファイルで指定する必要があります。依存関係を指定するには、%python_enable_dependency_generator マクロを使用して、setup.py ファイルに定義した依存関係を自動的に使用できます。パッケージに、Setuptools で指定していない依存関係がある場合は、追加の Requires ディレクティブ内に指定します。
5
%py3_build マクロおよび %py3_install マクロは、setup.py build コマンドおよび setup.py install コマンドを実行します。それぞれには、インストール場所、使用するインタープリター、その他の詳細を指定する引数を用います。
6
check セクションは、Python の正しいバージョンを実行するマクロを提供します。%{__python3} マクロには、Python 3 インタープリターのパス (/usr/bin/python3 など) が含まれます。リテラルパスではなく、マクロを使用することが常に推奨されます。

9.4.2. Python 3 RPM の一般的なマクロ

SPEC ファイルでは、常にその値をハードコーディングするのではなく、以下のマクロを使用します。

マクロ名では、バージョンを指定しない python ではなく、python3 または python2 を使用してください。SPEC ファイルの BuildRequires で、特定の Python 3 バージョンを python36-rpm-macros または python38-rpm-macros のいずれかに設定します。

マクロ一般的な定義説明

%{__python3}

/usr/bin/python3

Python 3 のインタープリター

%{python3_version}

3.6

Python 3 インタープリターのフルバージョン

%{python3_sitelib}

/usr/lib/python3.6/site-packages

pure-Python モジュールのインストール先

%{python3_sitearch}

/usr/lib64/python3.6/site-packages

アーキテクチャー固有の拡張を含むモジュールがインストールされている場合

%py3_build

 

システムパッケージに適した引数で setup.py build コマンドを実行します。

%py3_install

 

システムパッケージに適した引数で setup.py install コマンドを実行します。

9.4.3. Python RPM の自動 Provides

Python プロジェクトをパッケージ化する際、以下のディレクトリーが存在する場合は、作成される RPM に以下のディレクトリーが含まれます。

  • .dist-info
  • .egg-info
  • .egg-link

このディレクトリーから、RPM ビルドプロセスは自動的に仮想 pythonX.Ydist Provides (python3.6dist(detox) など) を生成します。この仮想 Provides は、%python_enable_dependency_generator マクロにより指定されるパッケージにより提供されます。

9.4.4. Python スクリプトにおける hashbang の処理

Red Hat Enterprise Linux 8 では、実行可能な Python スクリプトが、主な Python バージョンを明示的に指定する hashbang (shebangs) を使用することを期待します。

BRP (buildroot policy) スクリプト /usr/lib/rpm/redhat/brp-mangle-shebangs は、RPM パッケージを構築する際に自動的に実行し、実行可能なすべてのファイルで hashbang を修正します。

注記

BRP スクリプトは、以下のようにあいまいな hashbang で Python スクリプトが発生すると、エラーが作成されます。

#! /usr/bin/python

または

#! /usr/bin/env python

9.4.4.1. Python スクリプトにおける hashbang の処理

RPM ビルド時にビルドエラーが発生する Python スクリプトで hashbang を修正するには、以下の手順を使用します。

手順

  • platform-python-devel パッケージから pathfix.py スクリプトを適用します。

    # pathfix.py -pn -i %{__python3} PATH …​

    複数の PATH を指定できます。PATH がディレクトリーの場合、pathfix.py はあいまいな hashbang のあるものだけでなく、^[a-zA-Z0-9_]+\.py$ パターンに一致する Python スクリプトを再起的にスキャンします。このコマンドを %prep セクション、または %install セクションに追加します。

別の方法として、パッケージ化した Python スクリプトを、想定される形式に準拠するように変更します。この目的のために、pathfix.py は、RPM ビルドプロセス以外でも使用できます。pathfix.py を RPM ビルド以外で実行する場合は、上述の例の __python3 を、hashbang のパス (/usr/bin/python3 など) に置き換えます。

パッケージ化された Python スクリプトが Python 3.6 以外のバージョンを必要とする場合は、上記のコマンドを適切なバージョンを含めるように調整します。

9.4.4.2. カスタムパッケージにおける /usr/bin/python3 の hashbang の変更

また、/usr/bin/python3 の形式での hashbang は、Red Hat Enterprise Linux のシステムツールに使用される platform-python パッケージから Python を指す hashbang にデフォルトで置き換えられます。

カスタムパッケージ内の /usr/bin/python3 hashbang を変更して、/usr/bin/python3.6 の形式で、Application Stream からインストールした Python のバージョンを参照するには、以下の手順を行います。

手順

  • 以下の行を追加して、SPEC ファイルの BuildRequires セクションに python36-rpm-macros パッケージを追加します。

    BuildRequires:  python36-rpm-macros
注記

BRP スクリプトが hashbang の確認と修正を行わないようにするには、以下の RPM ディレクティブを使用します。

%undefine %brp_mangle_shebangs

Python 3.6 以外のバージョンを使用している場合は、上記のコマンドを適切なバージョンを含めるように調整します。

9.4.5. 関連情報

第10章 PHP スクリプト言語の使用

Hypertext Preprocessor (PHP) は主にサーバー側のスクリプトに使用する汎用スクリプト言語で、Web サーバーを使用して PHP コードを実行できます。

RHEL 8 では、PHP スクリプト言語は php モジュールにより提供されます.これは、複数のストリーム(バージョン)で利用できます。

ユースケースによっては、選択したモジュールストリームの特定のプロファイルをインストールできます。

  • common - Web サーバーを使用したサーバー側のスクリプトのデフォルトプロファイル。これには、広く使用されている拡張機能が複数含まれています。
  • minimal - このプロファイルは、Web サーバーを使用せずに PHP を使用したスクリプト用のコマンドラインインターフェースのみをインストールします。
  • devel - このプロファイルには、共通 プロファイルのパッケージと開発用の追加パッケージが含まれます。

10.1. PHP スクリプト言語のインストール

本セクションでは、選択したバージョンの php モジュールをインストールする方法を説明します。

手順

  • デフォルトのプロファイルで php モジュールストリームをインストールするには、以下を使用します。

    # yum module install php:stream

    stream をインストールする PHP のバージョンに置き換えます。

    たとえば、PHP 7.3 をインストールするには、以下を実行します。

    # yum module install php:7.3

    デフォルトの 共通 プロファイルは php-fpm パッケージもインストールし、Apache HTTP Server または nginx で使用する PHP を事前設定します。

  • php モジュールストリームの特定のプロファイルをインストールするには、以下を使用します。

    # yum module install php:stream/profile

    stream を、インストールする プロファイル の名前に置き換えます。

    たとえば、Web サーバーを使用しない PHP 7.3 をインストールするには、以下を実行します。

    # yum module install php:7.3/minimal

関連情報

10.2. Web サーバーにおける PHP スクリプト言語の使用

10.2.1. Apache HTTP Server での PHP の使用

RHEL 8 では、Apache HTTP Server により PHP を FastCGI プロセスサーバーとして実行できます。FastCGI Process Manager (FPM) は、Web サイトが高負荷を管理できるようにする代替の PHP FastCGI デーモンです。PHP は、RHEL 8 ではデフォルトで FastCGI Process Manager を使用します。

本セクションでは、FastCGI プロセスサーバーを使用して PHP コードを実行する方法を説明します。

前提条件

手順

  1. httpd モジュールをインストールします。

    # yum module install httpd:2.4
  2. Apache HTTP Server を起動します。

    # systemctl start httpd

    または、Apache HTTP Server がシステムで実行している場合は、PHP をインストールした後に httpd サービスを再起動します。

    # systemctl restart httpd
  3. php-fpm サービスを起動します。

    # systemctl start php-fpm
  4. 必要に応じて、両方のサービスが起動時に開始できるようにします。

    # systemctl enable php-fpm httpd
  5. PHP の設定に関する情報を取得するには、以下の内容を含む index.php ファイルを /var/www/html/ ディレクトリーに作成します。

    echo '<?php phpinfo(); ?>' > /var/www/html/index.php
  6. index.php ファイルを実行するには、ブラウザーで以下を指定します。

    http://<hostname>/
  7. オプション: 特定の要件がある場合は、設定を調整します。

    • /etc/httpd/conf/httpd.conf - 一般的な httpd 設定
    • /etc/httpd/conf.d/php.conf - httpd の PHP 固有の設定
    • /usr/lib/systemd/system/httpd.service.d/php-fpm.conf - デフォルトでは、php-fpm サービスは httpd で起動します。
    • /etc/php-fpm.conf - FPM メインの設定
    • /etc/php-fpm.d/www.conf - デフォルトの www プール設定

例10.1 「Hello, World」の実行 Apache HTTP Server を使用した PHP スクリプト

  1. /var/www/html/ ディレクトリーにプロジェクトの hello ディレクトリーを作成します。

    # mkdir hello
  2. 以下の内容を含む /var/www/html/hello/ ディレクトリーに hello.php ファイルを作成します。

    # <!DOCTYPE html>
    <html>
    <head>
    <title>Hello, World! Page</title>
    </head>
    <body>
    <?php
        echo 'Hello, World!';
    ?>
    </body>
    </html>
  3. Apache HTTP Server を起動します。

    # systemctl start httpd
  4. hello.php ファイルを実行するには、ブラウザーに以下を指定します。

    http://<hostname>/hello/hello.php

    これにより、「Hello, World!」テキストの Web ページが表示されます。

10.2.2. nginx Web サーバーでの PHP の使用

本セクションでは、nginx Web サーバーで PHP コードを実行する方法を説明します。

前提条件

手順

  1. nginx モジュールストリームをインストールします。

    # yum module install nginx:stream

    stream をインストールする nginx のバージョンに置き換えます。

    たとえば、nginx バージョン 1.16 をインストールするには、以下を実行します。

    # yum module install nginx:1.16
  2. nginx サーバーを起動します。

    # systemctl start nginx

    または、nginx サーバーがシステムで実行している場合は、PHP をインストールした後に nginx サービスを再起動します。

    # systemctl restart nginx
  3. php-fpm サービスを起動します。

    # systemctl start php-fpm
  4. 必要に応じて、両方のサービスが起動時に開始できるようにします。

    # systemctl enable php-fpm nginx
  5. PHP の設定に関する情報を取得するには、以下の内容を含む index.php ファイルを /usr/share/nginx/html/ ディレクトリーに作成します。

    echo '<?php phpinfo(); ?>' > /usr/share/nginx/html/index.php
  6. index.php ファイルを実行するには、ブラウザーで以下を指定します。

    http://<hostname>/
  7. オプション: 特定の要件がある場合は、設定を調整します。

    • /etc/nginx/nginx.conf - nginx main configuration
    • /etc/nginx/conf.d/php-fpm.conf - nginxの FPM 設定
    • /etc/php-fpm.conf - FPM メインの設定
    • /etc/php-fpm.d/www.conf - デフォルトの www プール設定

例10.2 「Hello, World」の実行 nginx サーバーを使用した PHP スクリプト

  1. プロジェクトの hello ディレクトリーを /usr/share/nginx/html/ ディレクトリーに作成します。

    # mkdir hello
  2. 以下の内容で /usr/share/nginx/html/hello/ ディレクトリーに hello.php ファイルを作成します。

    # <!DOCTYPE html>
    <html>
    <head>
    <title>Hello, World! Page</title>
    </head>
    <body>
    <?php
        echo 'Hello, World!';
    ?>
    </body>
    </html>
  3. nginx サーバーを起動します。

    # systemctl start nginx
  4. hello.php ファイルを実行するには、ブラウザーに以下を指定します。

    http://<hostname>/hello/hello.php

    これにより、「Hello, World!」テキストの Web ページが表示されます。

10.3. コマンドラインインターフェースを使用した PHP スクリプトの実行

通常、PHP スクリプトは Web サーバーを使用して実行されますが、コマンドラインインターフェースを使用して実行できます。

コマンドラインのみを使用して php スクリプトを実行する場合は、php モジュールストリームの 最低限 のプロファイルをインストールします。

詳細は「PHP スクリプト言語のインストール」を参照してください。

前提条件

手順

  1. テキストエディターで filename.php ファイルを作成します。

    filename を、ファイルの名前に置き換えます。

  2. コマンドラインから作成した filename.php ファイルを実行します。

    # php filename.php

例10.3 「Hello, World」の実行 コマンドラインインターフェースを使用した PHP スクリプト

  1. テキストエディターを使用して、以下の内容で hello.php ファイルを作成します。

    <?php
        echo 'Hello, World!';
    ?>
  2. コマンドラインで hello.php ファイルを実行します。

    # php hello.php

    その結果、「Hello, World!」が出力されます。

10.4. 関連情報

  • httpd(8) - httpd サービスの man ページで、コマンドラインオプションの一覧が記載されます。
  • httpd.conf (5) - httpd 設定ファイルの構造と場所を説明する httpd 設定用の man ページです。
  • nginx(8) - nginx Web サーバーの man ページです。コマンドラインオプションの完全一覧とシグナルの一覧が含まれます。
  • php-fpm(8) - PHP FPM の man ページでは、コマンドラインオプションおよび設定ファイルの完全リストが説明されています。

第11章 言語パックの使用

Langpacks は、システムにインストールされているすべてのパッケージに対する翻訳、ディクショナリー、およびロケールを含む追加のアドオンパッケージをインストールするメタパッケージです。

Red Hat Enterprise Linux 8 システムでは、langpacks インストールは langpacks-<langcode> 言語メタパッケージおよび RPM の弱い依存関係 (補完タグ) に基づいています。

選択した言語に langpacks を使用する条件が 2 つあります。この前提条件が満たされている場合は、言語のメタパッケージが選択した言語の言語パックをトランザクションセットに自動的に取得します。

前提条件

  • 選択した言語の langpacks-<langcode> 言語メタパッケージがインストールされている。

    Red Hat Enterprise Linux 8 では、言語パックのメタパッケージが Application Stream リポジトリーで利用できるため、Anaconda インストーラーを使用して、オペレーティングシステムの初期インストールで自動的にインストールされます。

    詳細は「言語パックを提供する言語の確認」を参照してください。

  • ローカルパッケージを検索するベースパッケージは、システムにすでにインストールされています。

11.1. 言語パックを提供する言語の確認

この手順では、言語パックを提供する言語を確認します。

手順

  • 以下のコマンドを実行します。

    # yum list langpacks-*

11.2. RPM の弱い依存関係ベースの言語パックでの作業

本セクションでは、RPM の弱い依存関係ベースの言語パックのクエリー、言語サポートのインストールまたは削除の時に実行できる複数アクションを説明します。

11.2.1. インストールされている言語サポートの一覧表示

インストールされている言語サポートの一覧を表示するには、この手順を使用します。

手順

  • 以下のコマンドを実行します。

    # yum list installed langpacks*

11.2.2. 言語サポートの可用性の確認

任意の言語で言語サポートが利用できるかどうかを確認するには、以下の手順に従います。

手順

  • 以下のコマンドを実行します。
# yum list available langpacks*

11.2.3. 言語にインストールしたパッケージの一覧表示

任意の言語にインストールしたパッケージの一覧を取得するには、次のコマンドを実行します。

手順

  • 以下のコマンドを実行します。

    # yum repoquery --whatsupplements langpacks-<locale_code>

11.2.4. 言語サポートのインストール

新しい言語サポートを追加するには、以下の手順に従います。

手順

  • 以下のコマンドを実行します。

    # yum install langpacks-<locale_code>

11.2.5. 言語サポートの削除

インストールされている言語サポートを削除するには、以下の手順に従います。

手順

  • 以下のコマンドを実行します。

    # yum remove langpacks-<locale_code>

11.3. glibc-langpack-<locale_code> でディスク領域の節約

現在、すべてのロケールは /usr/lib/locale/locale-archive ファイルに格納されますが、多くのディスク領域が必要になります。

コンテナーやクラウドなど、ディスク容量が重要なシステム、または少数のロケールが必要なシステムでは、glibc ロケール言語パックパッケージ (glibc-langpack-<locale_code>) を使用できます。

ロケールを個別にインストールするには、パッケージインストールのフットプリントが小さいため、以下の手順を使用します。

手順

  • 以下のコマンドを実行します。

    # yum install glibc-langpack-<locale_code>

Anaconda でオペレーティングシステムをインストールする場合は、インストール時に使用する言語と、追加言語として選択した言語の glibc-langpack-<locale_code> がインストールされます。すべてのロケールが含まれている glibc-all-langpacks はデフォルトでインストールされており、一部のロケールだけをインストールすることは非推奨であることに注意してください。1 つ以上