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基本的なシステム設定の設定

Red Hat Enterprise Linux 8

Red Hat Enterprise Linux 8 で基本的なシステム設定を設定するためのガイド

概要

本ガイドは、Red Hat Enterprise Linux 8 におけるシステム管理の基本を説明します。ここでは、システム管理者が、オペレーティングシステムをインストールした直後に行う必要がある基本的なタスク (yum を使用したソフトウェアのインストール、systemd を使用したサービスの管理、ユーザー、グループ、およびファイルのパーミッションの管理、そして chrony を使用した NTP の設定、Python 3 の使用など) を説明します。

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。まずは、マスター (master)、スレーブ (slave)、ブラックリスト (blacklist)、ホワイトリスト (whitelist) の 4 つの用語の置き換えから始めます。この取り組みは膨大な作業を要するため、今後の複数のリリースで段階的に用語の置き換えを実施して参ります。詳細は、Red Hat CTO である Chris Wright のメッセージ をご覧ください。

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第1章 RHEL System Roles を使用するための制御ノードと管理対象ノードの準備

個々の RHEL System Roles を使用してサービスおよび設定を管理する前に、関連するホストを準備します。

1.1. RHEL システムロールの概要

RHEL システムロールは、Ansible ロールおよびモジュールのコレクションです。RHEL システムロールは、複数の RHEL システムをリモートで管理するための設定インターフェイスを提供します。このインターフェイスは、RHEL の複数のバージョンにわたるシステム設定の管理と、新しいメジャーリリースの導入を可能にします。

Red Hat Enterprise Linux 8 のインターフェイスは、現在、以下のロールから設定されます。

  • 証明書の発行更新 (certificate)
  • コックピット (cockpit)
  • Firewalld (firewall)
  • HA クラスター (ha_cluster)
  • カーネルダンプ (kdump)
  • カーネル設定 (kernel_settings)
  • ロギング (logging)
  • メトリック (PCP) (metrics)
  • Microsoft SQL Server (microsoft.sql.server)
  • ネットワーキング (network)
  • Network Bound Disk Encryption クライアントと Network Bound Disk Encryption サーバー (nbde_clientnbde_server)
  • Postfix (postfix)
  • SELinux (SELinux)
  • SSH クライアント (ssh)
  • SSH サーバー (sshd)
  • ストレージ (storage)
  • 端末セッションの録画 (tlog)
  • 時刻同期 (timesync)
  • VPN (vpn)

これらのロールはすべて、AppStream リポジトリーで利用可能な rhel-system-roles パッケージで提供されます。

関連情報

1.2. RHEL システムロールの用語

このドキュメントでは、以下の用語を確認できます。

Ansible Playbook
Playbook は、Ansible の設定、デプロイメント、およびオーケストレーションの言語です。リモートシステムを強制するポリシーや、一般的な IT プロセスで一連の手順を説明することができます。
コントロールノード
Ansible がインストールされているマシン。コマンドおよび Playbook を実行でき、すべてのコントロールノードから /usr/bin/ansible または /usr/bin/ansible-playbook を起動します。Python がインストールされているすべてのコンピューターをコントロールノードとして使用できます。ラップトップ、共有デスクトップ、およびサーバーですべての Ansible を実行できます。ただし、Windows マシンをコントロールノードとして使用することはできません。複数のコントロールノードを使用できます。
インベントリー
管理対象ノードの一覧。インベントリーファイルはホストファイルとも呼ばれます。インベントリーでは、各管理対象ノードに対して IP アドレスなどの情報を指定できます。また、インベントリーは管理ノードを編成し、簡単にスケーリングできるようにグループの作成およびネスト化が可能です。インベントリーについての詳細は、インベントリーの操作セクションを参照してください。
管理ノード
Ansible で管理するネットワークデバイス、サーバー、またはその両方。管理対象ノードは、ホストと呼ばれることもあります。Ansible が管理ノードにはインストールされません。

1.3. コントロールノードの準備

RHEL には、サポート範囲が限定された Ansible CoreAppStream リポジトリーに含まれています。Ansible の追加サポートが必要な場合は、Red Hat に連絡して、Ansible Automation Platform サブスクリプションの詳細を確認してください。

重要

Red Hat Ansible Automation Platform サブスクリプションがない場合は、RHEL 8.6 以降では Ansible Core を使用します。ansible-2-for-rhel-8-x86_64-rpms リポジトリーから Ansible Engine をインストールしないでください。このリポジトリーのパッケージは、RHEL 8.6 以降の Ansible Automation コンテンツと互換性がない可能性があります。また、Red Hat は、RHEL と同じ期間、Ansible Engine のセキュリティー更新とバグ修正を提供しません。詳細は、RHEL 8.6 以降での Ansible の使用 を参照してください。

前提条件

  • RHEL 8.6 以降がインストールされている。
  • システムをカスタマーポータルに登録している。
  • Red Hat Enterprise Linux Server サブスクリプションをシステムにアタッチしている。
  • カスタマーポータルアカウントで利用可能な場合は、Ansible Automation Platform サブスクリプションをシステムにアタッチしている。

手順

  1. rhel-system-roles パッケージをインストールします。

    [root@control-node]# yum install rhel-system-roles

    このコマンドは、Ansible Core を依存関係としてインストールします。

  2. 後で Playbook を管理および実行するために使用するユーザーを作成します。

    [root@control-node]# useradd ansible
  3. 新しく作成した ansible ユーザーに切り替えます。

    [root@control-node]# su - ansible

    このユーザーとして残りの手順を実行します。

  4. SSH の公開鍵と秘密鍵を作成します。

    [ansible@control-node]$ ssh-keygen
    Generating public/private rsa key pair.
    Enter file in which to save the key (/home/ansible/.ssh/id_rsa): password
    ...

    キーファイルの推奨されるデフォルトの場所を使用します。

  5. オプション: 接続を確立するたびに Ansible が SSH キーのパスワードを要求しないように、SSH エージェントを設定します。
  6. ~/.ansible.cfg ファイルを次の内容で作成します。

    [defaults]
    inventory = /home/ansible/inventory
    remote_user = ansible
    
    [privilege_escalation]
    become = True
    become_method = sudo
    become_user = root
    become_ask_pass = True

    この設定により、以下が可能になります。

    • Ansible は、指定されたインベントリーファイルでホストを管理します。
    • Ansible は、管理対象ノードへの SSH 接続を確立するときに、remote_user パラメーターで設定されたアカウントを使用します。
    • Ansible は sudo ユーティリティーを使用して、root ユーザーとして管理対象ノードでタスクを実行します。

      セキュリティー上の理由から、管理対象ノードで sudo を設定して、root になるリモートユーザーのパスワードの入力を要求します。~/.ansible.cfgbecome_ask_pass=True 設定を指定すると、Playbook の実行時に Ansible によってこのパスワードの入力が求められます。

    ~/.ansible.cfg ファイルの設定は優先度が高く、グローバルな /etc/ansible/ansible.cfg ファイルの設定をオーバーライドします。

  7. ~/inventory ファイルを作成します。たとえば、以下は、3 つのホストと US という名前の 1 つのホストグループを含む INI 形式のインベントリーファイルです。

    managed-node-01.example.com
    
    [US]
    managed-node-02.example.com ansible_host=192.0.2.100
    managed-node-03.example.com

    制御ノードはホスト名を解決できる必要があることに注意してください。DNS サーバーが特定のホスト名を解決できない場合は、ホストエントリーの横に ansible_host パラメーターを追加して、その IP アドレスを指定します。

1.4. 管理対象ノードの準備

Ansible は、管理対象ホストでエージェントを使用しません。唯一の要件は、RHEL にデフォルトでインストールされる Python と、管理対象ホストへの SSH アクセスです。

ただし、root ユーザーとして SSH に直接アクセスすると、セキュリティー上のリスクが生じる可能性があります。したがって、管理対象ノードを準備するときは、このノードでローカルユーザーを作成し、sudo ポリシーを設定します。コントロールノードの Ansible は、このアカウントを使用して管理対象ノードにログインし、root などの別のユーザーとして Playbook を実行できます。

前提条件

  • 制御ノードを準備している。

手順

  1. ユーザーを作成します。

    [root@managed-node-01]# useradd ansible

    制御ノードは後でこのユーザーを使用して、このホストへの SSH 接続を確立します。

  2. ansible ユーザーにパスワードを設定します。

    [root@managed-node-01]# passwd ansible
    Changing password for user ansible.
    New password: password
    Retype new password: password
    passwd: all authentication tokens updated successfully.

    Ansible が sudo を使用して root ユーザーとしてタスクを実行する場合は、このパスワードを入力する必要があります。

  3. ansible ユーザーの SSH 公開鍵を管理対象ノードにインストールします。

    1. ansible ユーザーとして制御ノードにログインし、SSH 公開鍵を管理対象ノードにコピーします。

      [ansible@control-node]$ ssh-copy-id managed-node-01.example.com
      /usr/bin/ssh-copy-id: INFO: Source of key(s) to be installed: "/home/ansible/.ssh/id_rsa.pub"
      The authenticity of host 'managed-node-01.example.com (192.0.2.100)' can't be established.
      ECDSA key fingerprint is SHA256:9bZ33GJNODK3zbNhybokN/6Mq7hu3vpBXDrCxe7NAvo.
      Are you sure you want to continue connecting (yes/no/[fingerprint])? yes
      /usr/bin/ssh-copy-id: INFO: attempting to log in with the new key(s), to filter out any that are already installed
      /usr/bin/ssh-copy-id: INFO: 1 key(s) remain to be installed -- if you are prompted now it is to install the new keys
      ansible@managed-node-01.example.com's password: password
      
      Number of key(s) added: 1
      
      Now try logging into the machine, with:   "ssh 'managed-node-01.example.com'"
      and check to make sure that only the key(s) you wanted were added.
    2. 制御ノードでコマンドをリモートで実行して、SSH 接続を確認します。

      [ansible@control-node]$ ssh managed-node-01.example.com whoami
      ansible
  4. ansible ユーザーの sudo 設定を作成します。

    1. visudo コマンドを使用して、/etc/sudoers.d/ansible ファイルを作成および編集します。

      [root@managed-node-01]# visudo /etc/sudoers.d/ansible

      通常のエディターと比べて visudo を使用する利点は、このユーティリティーがファイルをインストールする前に基本的な健全性チェックと解析エラーのチェックを提供することです。

    2. /etc/sudoers.d/ansible ファイルに次の内容を入力します。

      ansible ALL=(ALL) NOPASSWD: ALL

      これらの設定により、ansible ユーザーのパスワードを入力せずに、このホスト上で任意のユーザーおよびグループとしてすべてのコマンドを実行する権限が ansible ユーザーに付与されます。

関連情報

1.5. 制御ノードから管理対象ノードへのアクセスの確認

制御ノードを設定し、管理対象ノードを準備したら、Ansible が管理対象ノードに接続できることをテストします。

制御ノードで ansible ユーザーとしてこの手順を実行します。

前提条件

  • 制御ノードの準備 の説明に従って、制御ノードを準備しました。
  • 管理対象ノードの準備 の説明に従って、少なくとも 1 つの管理対象ノードを準備しました。
  • ホストグループで Playbook を実行する場合、管理対象ノードは制御ノードのインベントリーファイルにリストされます。

手順

  1. Ansible の ping モジュールを使用して、すべての管理対象ホストでコマンドを実行できることを確認します。

    [ansible@control-node]$ ansible all -m ping
    BECOME password: password
    managed-node-01.example.com | SUCCESS => {
        "ansible_facts": {
            "discovered_interpreter_python": "/usr/bin/python3"
        },
        "changed": false,
        "ping": "pong"
    }
    ...

    ハードコーディングされた すべての ホストグループには、インベントリーファイルにリストされているすべてのホストが動的に含まれます。

  2. Ansible の command モジュールを使用して、管理対象ホストで whoami ユーティリティーを実行します。

    [ansible@control-node]$ ansible managed-node-01.example.com -m command -a whoami
    BECOME password: password
    managed-node-01.example.com | CHANGED | rc=0 >>
    root

    コマンドが root を返す場合は、管理対象ノードで sudo が正しく設定されており、権限昇格が機能しています。

第2章 基本的な環境設定の変更

基本的な環境設定は、インストールプロセスの一部です。以下のセクションでは、後での変更する時に説明します。環境の基本設定には、以下が含まれます。

  • 日付と時刻
  • システムロケール
  • キーボードのレイアウト
  • 言語

2.1. 日付および時刻の設定

正確な時間を維持することは、さまざまな理由で重要です。Red Hat Enterprise Linux では、NTP プロトコルにより、時間管理が保証されます。これは、デーモンにより、ユーザー領域に実装されます。ユーザー領域のデーモンは、カーネルで実行しているシステムクロックを更新します。システムクロックは、さまざまなクロックソースを使用して時間を維持します。

Red Hat Enterprise Linux 8 は、chronyd デーモンを使用して NTP を実装します。chronydchrony パッケージから利用できます。詳細は、Using the chrony suite to configure NTP を参照してください。

2.1.1. システムの現在日時の表示

現在の日時を表示するには、以下のいずれかの手順を行います。

手順

  1. date コマンドを実行します。

    $ date
    Mon Mar 30 16:02:59 CEST 2020
  2. 詳細は、timedatectl コマンドを使用して確認します。

    $ timedatectl
    Local time: Mon 2020-03-30 16:04:42 CEST
    Universal time: Mon 2020-03-30 14:04:42 UTC
      RTC time: Mon 2020-03-30 14:04:41
     Time zone: Europe/Prague (CEST, +0200)
    System clock synchronized: yes
    NTP service: active
    RTC in local TZ: no

関連情報

2.2. システムロケールの設定

システム全体にわたるロケール設定は /etc/locale.conf ファイルに保存され、システム起動の初期段階で systemd デーモンにより読み込まれます。/etc/locale.conf に設定したロケール設定は、個別のプログラムやユーザーが上書きしない限り、すべてのサービスやユーザーに継承されます。

本セクションでは、システムロケールを管理する方法を説明します。

手順

  • 利用可能なシステムロケール設定を一覧表示するには、次のコマンドを実行します。

    $ localectl list-locales
    C.utf8
    aa_DJ
    aa_DJ.iso88591
    aa_DJ.utf8
    ...
  • システムロケール設定の現在のステータスを表示するには、次のコマンドを実行します。

    $ localectl status
  • デフォルトのシステムロケールオプションを設定または変更するには、root ユーザーで localectl set-locale サブコマンドを使用します。以下に例を示します。

    # localectl set-locale LANG=en_US

関連情報

  • man localectl(1)man locale(7)、および man locale.conf(5)

2.3. キーボードレイアウトの設定

キーボードレイアウト設定では、テキストコンソールとグラフィカルユーザーインターフェイスで使用するレイアウトを管理します。

手順

  • 利用可能なキーマップを一覧表示するには、以下を実行します。

    $ localectl list-keymaps
    ANSI-dvorak
    al
    al-plisi
    amiga-de
    amiga-us
    ...
  • キーマップ設定の現在のステータスを表示するには、次のコマンドを実行します。

    $ localectl status
    ...
    VC Keymap: us
    ...
  • デフォルトのシステムキーマップを設定または変更します。以下に例を示します。

    # localectl set-keymap us

関連情報

  • man localectl(1)man locale(7)、および man locale.conf(5)

2.4. デスクトップ GUI を使用した言語の変更

本セクションでは、デスクトップ GUI を使用してシステム言語を変更する方法を説明します。

前提条件

  • システムに必要な言語パッケージがインストールされている。

手順

  1. システムメニュー からアイコンをクリックして GNOME コントロールセンター を開きます。

    cs system menu

  2. GNOME Control Center で、左側の垂直バーから 地域および言語 を選択します。
  3. 言語 メニューをクリックします。

    cs language menu

  4. メニューから必要な地域および言語を選択します。

    cs select region language

    該当する地域および言語が表示されない場合はスクロールダウンし、詳細 をクリックして、利用可能な地域および言語を選択します。

    cs available region language

  5. 完了 をクリックします。
  6. 再起動 をクリックして変更を有効にします。

    cs restart region language

注記

アプリケーションによっては、特定の言語に対応していないものもあります。選択した言語に翻訳できないアプリケーションのテキストは、アメリカ英語のままになります。

2.5. 関連情報

第3章 ネットワークアクセスの設定および管理

本セクションでは、Red Hat Enterprise Linux でイーサネット接続を追加するさまざまなオプションを説明します。

3.1. グラフィカルインストールモードでのネットワークおよびホスト名の設定

以下の手順に従って、ネットワークとホスト名を設定します。

手順

  1. インストール概要 画面から、ネットワークとホスト名 をクリックします。
  2. 左側のペインのリストから、インターフェイスを選択します。詳細が右側のペインに表示されます。

    注記
    • em1wl3sp0 といった一貫性のある名前をネットワークデバイスの特定に使用するネットワークデバイス命名の標準仕様には、いくつかのタイプがあります。このような標準仕様の詳細は ネットワークの設定および管理 を参照してください。
  3. 選択したインタフェースを有効または無効にするには、ON/OFF スイッチを切り替えます。

    注記

    インストールプログラムは、ローカルでアクセス可能なインターフェイスを自動的に検出し、手動で追加または削除できません。

  4. + をクリックして、仮想ネットワークインターフェイスを追加します。仮想ネットワークインターフェイスは、チーム、ボンド、ブリッジ、または VLAN のいずれかです。
  5. - を選択して、仮想インターフェイスを削除します。
  6. 設定 をクリックして、既存のインターフェイスの IP アドレス、DNS サーバー、またはルーティング設定 (仮想と物理の両方) などの設定を変更します。
  7. ホスト名 フィールドに、システムのホスト名を入力します。

    注記
    • ホスト名は、hostname.domainname という形式の完全修飾ドメイン名 (FQDN) か、ドメイン名のない短縮ホスト名のいずれかとなります。多くのネットワークには、自動的に接続したシステムにドメイン名を提供する DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) サービスがあります。DHCP サービスが、このマシンにドメイン名を割り当てるようにするには、短縮ホスト名のみを指定してください。localhost の値は、ターゲットシステムの静的ホスト名が指定されておらず、(たとえば、DHCP または DNS を使用する NetworkManager による) ネットワーク設定時に、インストールされるシステムの実際のホスト名が設定されることを示しています。
    • ホスト名に使用できるのは、英数字と - または . のみです。ホスト名は、- および . で開始したり終了したりできません。
  8. Apply をクリックして、ホスト名をインストーラー環境に適用します。
  9. また、ネットワークおよびホスト名 画面では、ワイヤレスオプションを選択できます。右側のペインで ネットワークの選択 をクリックして Wifi 接続を選択します。必要に応じてパスワードを入力し、完了 をクリックします。

3.2. nmcli を使用した静的イーサネット接続の設定

この手順では、nmcli ユーティリティーを使用して、以下の設定でイーサネット接続を追加する方法を説明します。

  • 静的 IPv4 アドレス: サブネットマスクが /24192.0.2.1
  • 静的 IPv6 アドレス - 2001:db8:1::1 (/64 サブネットマスクあり)
  • IPv4 デフォルトゲートウェイ - 192.0.2.254
  • IPv6 デフォルトゲートウェイ - 2001:db8:1::fffe
  • IPv4 DNS サーバー - 192.0.2.200
  • IPv6 DNS サーバー - 2001:db8:1::ffbb
  • DNS 検索ドメイン - example.com

手順

  1. Ethernet 接続の NetworkManager 接続プロファイルを新たに追加します。

    # nmcli connection add con-name Example-Connection ifname enp7s0 type ethernet

    以下の手順は、作成した Example-Connection 接続プロファイルを変更します。

  2. IPv4 アドレスを設定します。

    # nmcli connection modify Example-Connection ipv4.addresses 192.0.2.1/24
  3. IPv6 アドレスを設定します。

    # nmcli connection modify Example-Connection ipv6.addresses 2001:db8:1::1/64
  4. IPv4 および IPv6 接続メソッドを manual に設定します。

    # nmcli connection modify Example-Connection ipv4.method manual
    # nmcli connection modify Example-Connection ipv6.method manual
  5. IPv4 および IPv6 のデフォルトゲートウェイを設定します。

    # nmcli connection modify Example-Connection ipv4.gateway 192.0.2.254
    # nmcli connection modify Example-Connection ipv6.gateway 2001:db8:1::fffe
  6. IPv4 および IPv6 DNS サーバーアドレスを設定します。

    # nmcli connection modify Example-Connection ipv4.dns "192.0.2.200"
    # nmcli connection modify Example-Connection ipv6.dns "2001:db8:1::ffbb"

    複数の DNS サーバーを設定するには、空白で区切って引用符で囲みます。

  7. IPv4 および IPv6 接続の DNS 検索ドメインを設定します。

    # nmcli connection modify Example-Connection ipv4.dns-search example.com
    # nmcli connection modify Example-Connection ipv6.dns-search example.com
  8. 接続プロファイルをアクティベートします。

    # nmcli connection up Example-Connection
    Connection successfully activated (D-Bus active path: /org/freedesktop/NetworkManager/ActiveConnection/13)

検証手順

  1. デバイスおよび接続の状態を表示します。

    # nmcli device status
    DEVICE      TYPE      STATE      CONNECTION
    enp7s0      ethernet  connected  Example-Connection
  2. 接続プロファイルのすべての設定を表示するには、次のコマンドを実行します。

    # nmcli connection show Example-Connection
    connection.id:              Example-Connection
    connection.uuid:            b6cdfa1c-e4ad-46e5-af8b-a75f06b79f76
    connection.stable-id:       --
    connection.type:            802-3-ethernet
    connection.interface-name:  enp7s0
    ...
  3. ping ユーティリティーを使用して、このホストがパケットを他のホストに送信できることを確認します。

    • 同じサブネットの IP アドレスに ping します。

      IPv4 の場合:

      # ping 192.0.2.3

      IPv6 の場合:

      # ping 2001:db8:1::2

      コマンドが失敗した場合は、IP およびサブネットの設定を確認します。

    • リモートサブネットの IP アドレスに ping します。

      IPv4 の場合:

      # ping 198.162.3.1

      IPv6 の場合:

      # ping 2001:db8:2::1
      • コマンドが失敗した場合は、デフォルトゲートウェイに ping して設定を確認します。

        IPv4 の場合:

        # ping 192.0.2.254

        IPv6 の場合:

        # ping 2001:db8:1::fff3
  4. host ユーティリティーを使用して名前解決が機能することを確認します。以下に例を示します。

    # host client.example.com

    connection timed outno servers could be reached など、コマンドがエラーを返した場合は、DNS 設定を確認してください。

トラブルシューティングの手順

  1. 接続に失敗するか、ネットワークインターフェイスが up と down の状態の間で切り替わる場合は、以下を行います。

    • ネットワークケーブルがホストとスイッチにプラグインされていることを確認します。
    • リンクの失敗がこのホストのみに存在するか、またはサーバーの接続先と同じスイッチに接続されている他のホストでも存在するかどうかを確認します。
    • ネットワークケーブルとネットワークインターフェイスが予想どおりに機能していることを確認します。ハードウェア診断手順を実施して、不具合ケーブルとネットワークインターフェイスカードを置き換えます。
    • ディスクの設定がデバイスの設定と一致しない場合は、NetworkManager を起動するか再起動して、インメモリー接続を作成することで、デバイスの設定を反映します。この問題を回避する方法および詳細は、NetworkManager duplicates a connection after restart of NetworkManager service を参照してください。

3.3. nmtui で動的イーサネット接続の設定

nmtui アプリケーションは、NetworkManager 用のテキストベースのユーザーインターフェイスを提供します。nmtui を使用すると、グラフィカルインターフェイスを使用せずに、動的 IP アドレスを使用してイーサネット接続をホスト上で設定できます。

注記

nmtui で 以下を行います。

  • カーソルキーを使用してナビゲートします。
  • ボタンを選択して Enter を押します。
  • Space を使用して、チェックボックスを選択および選択解除します。

手順

  1. 接続に使用するネットワークデバイス名がわからない場合は、使用可能なデバイスを表示します。

    # nmcli device status
    DEVICE     TYPE      STATE                   CONNECTION
    enp7s0     ethernet  unavailable             --
    ...
  2. nmtui を開始します。

    # nmtui
  3. Edit a connection 選択し、Enter を押します。
  4. Add ボタンを押します。
  5. ネットワークタイプのリストから Ethernet を選択し、Enter を押します。
  6. オプション: 作成する NetworkManager プロファイルの名前を入力します。
  7. Device フィールドにネットワークデバイス名を入力します。
  8. OK ボタンを押して、新しい接続を作成し、自動的にアクティブにします。

    nmtui ethernet dynamic IP
  9. Back ボタンを押してメインメニューに戻ります。
  10. Quit を選択し、Enter キーを押して nmtui アプリケーションを閉じます。

検証

  1. デバイスおよび接続の状態を表示します。

    # nmcli device status
    DEVICE      TYPE      STATE      CONNECTION
    enp7s0      ethernet  connected  Example-Connection
  2. 接続プロファイルのすべての設定を表示します。

    # nmcli connection show Example-Connection
    connection.id:              Example-Connection
    connection.uuid:            b6cdfa1c-e4ad-46e5-af8b-a75f06b79f76
    connection.stable-id:       --
    connection.type:            802-3-ethernet
    connection.interface-name:  enp7s0
    ...

3.4. nmtui を使用した静的イーサネット接続の設定

nmtui アプリケーションは、NetworkManager 用のテキストベースのユーザーインターフェイスを提供します。nmtui を使用すると、グラフィカルインターフェイスを使用せずに、ホスト上で静的 IP アドレスを使用してイーサネット接続を設定できます。

注記

nmtui で 以下を行います。

  • カーソルキーを使用してナビゲートします。
  • ボタンを選択して Enter を押します。
  • Space を使用して、チェックボックスを選択および選択解除します。

手順

  1. 接続に使用するネットワークデバイス名がわからない場合は、使用可能なデバイスを表示します。

    # nmcli device status
    DEVICE     TYPE      STATE                   CONNECTION
    enp7s0     ethernet  unavailable             --
    ...
  2. nmtui を開始します。

    # nmtui
  3. Edit a connection 選択し、Enter を押します。
  4. Add ボタンを押します。
  5. ネットワークタイプのリストから Ethernet を選択し、Enter を押します。
  6. オプション: 作成する NetworkManager プロファイルの名前を入力します。
  7. Device フィールドにネットワークデバイス名を入力します。
  8. IPv4 configuration および IPv6 configuration 領域で IPv4 および IPv6 アドレス設定を構成します。

    1. Automatic ボタンを押して、表示されたリストから Manual を選択します。
    2. 設定するプロトコルの横にある Show ボタンを押して、追加のフィールドを表示します。
    3. Addresses の横にある Add ボタンを押して、IP アドレスとサブネットマスクを Classless Inter-Domain Routing (CIDR) 形式で入力します。

      サブネットマスクを指定しない場合、NetworkManager は IPv4 アドレスに /32 サブネットマスクを設定し、IPv6 アドレスに /64 サブネットマスクを設定します。

    4. デフォルトゲートウェイのアドレスを入力します。
    5. DNS servers の横にある Add ボタンを押して、DNS サーバーのアドレスを入力します。
    6. Search domains の横にある Add ボタンを押して、DNS 検索ドメインを入力します。

    図3.1 静的 IP アドレス設定によるイーサネット接続の例

    nmtui ethernet static IP
  9. OK ボタンを押して、新しい接続を作成し、自動的にアクティブにします。
  10. Back ボタンを押してメインメニューに戻ります。
  11. Quit を選択し、Enter キーを押して nmtui アプリケーションを閉じます。

検証

  1. デバイスおよび接続の状態を表示します。

    # nmcli device status
    DEVICE      TYPE      STATE      CONNECTION
    enp7s0      ethernet  connected  Example-Connection
  2. 接続プロファイルのすべての設定を表示します。

    # nmcli connection show Example-Connection
    connection.id:              Example-Connection
    connection.uuid:            b6cdfa1c-e4ad-46e5-af8b-a75f06b79f76
    connection.stable-id:       --
    connection.type:            802-3-ethernet
    connection.interface-name:  enp7s0
    ...

3.5. RHEL Web コンソールにおけるネットワークの管理

Web コンソールの Networking メニューでは、以下が可能です。

  • 最近送受信したパケットの表示
  • 利用可能なネットワークインターフェイスの最も重要な特徴の表示
  • ネットワーキングログのコンテンツの表示
  • ネットワークインターフェイスの様々なタイプ (ボンディング、チーム、ブリッジ、VLAN) の追加

図3.2 RHEL Web コンソールにおけるネットワークの管理

新たにネットワークを開始

3.6. RHEL システムロールを使用したネットワークの管理

network ロールを使用して、複数のターゲットマシンにネットワーク接続を設定できます。

network ロールでは、以下のタイプのインターフェイスを設定できます。

  • イーサネット
  • ブリッジ
  • ボンディング
  • VLAN
  • MacVLAN
  • Infiniband

各ホストに必要なネットワーク接続は、network_connections 変数内にリストとして提供されます。

警告

network ロールは、network_connections 変数で指定されているとおりに、ターゲットシステムにあるすべての接続プロファイルを更新または作成します。したがって、そのオプションがそのシステムにのみ存在し、network_connections 変数にはない場合、network ロールは指定されたプロファイルからオプションを削除します。

以下の例は、必要なパラメーターを持つイーサネット接続が確実に設定されるように、network ロールを適用する方法を示しています。

必要なパラメーターでイーサネット接続を設定する network ロールを適用する Playbook の例

# SPDX-License-Identifier: BSD-3-Clause
---
- hosts: network-test
  vars:
    network_connections:

      # Create one ethernet profile and activate it.
      # The profile uses automatic IP addressing
      # and is tied to the interface by MAC address.
      - name: prod1
        state: up
        type: ethernet
        autoconnect: yes
        mac: "00:00:5e:00:53:00"
        mtu: 1450

  roles:
    - rhel-system-roles.network

3.7. 関連情報

第4章 システム登録およびサブスクリプション管理

Red Hat Enterprise Linux オペレーティングシステムと、そこにインストールされている製品は、サブスクリプションの対象となります。

Red Hat コンテンツ配信ネットワーク (CDN) サブスクリプションを使用して、以下を追跡します。

  • 登録したシステム
  • システムにインストールされている製品
  • インストール済みの製品に割り当てられているサブスクリプション

4.1. インストール後のシステムの登録

インストールプロセス中にシステムを登録していない場合は、以下の手順に従って登録します。

前提条件

手順

  1. ワンステップでシステムを登録し、自動的にサブスクライブします。

    # subscription-manager register --username <username> --password <password> --auto-attach
    Registering to: subscription.rhsm.redhat.com:443/subscription
    The system has been registered with ID: 37to907c-ece6-49ea-9174-20b87ajk9ee7
    The registered system name is: client1.idm.example.com
    Installed Product Current Status:
    Product Name: Red Hat Enterprise Linux for x86_64
    Status:       Subscribed

    コマンドを実行すると、Red Hat カスタマーポータルのユーザー名とパスワードの入力を求めるプロンプトが表示されます。

    登録プロセスに失敗した場合は、システムを特定のプールに登録できます。これを実行する方法については、以下の手順に従います。

    1. 必要なサブスクリプションのプール ID を確認します。

      # subscription-manager list --available

      このコマンドは、使用している Red Hat アカウントで利用可能なサブスクリプションをすべて表示します。サブスクリプションごとに、プール ID を含むさまざまな情報が表示されます。

    2. pool_id を、確認したプール ID に置き換えて、適切なサブスクリプションをシステムに割り当てます。

      # subscription-manager attach --pool=pool_id
注記

Red Hat Insights にシステムを登録するには、rhc connect ユーティリティーを使用できます。Red Hat コネクターの設定

4.2. Web コンソールで認証情報を使用してサブスクリプションを登録

RHEL Web コンソールを使用して、新しくインストールされた Red Hat Enterprise Linux をアカウント認証で登録するには、次の手順を使用します。

前提条件

  • Red Hat カスタマーポータルに有効なユーザーアカウントがある。

    Red Hat アカウントの作成 ページを参照してください。

  • RHEL システムに使用するアクティブなサブスクリプションがある。

手順

  1. RHEL Web コンソールにログインします。詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。
  2. 概要 ページの ヘルス ファイル内の 未登録 の警告をクリックするか、メインメニューの サブスクリプション をクリックして、サブスクリプション情報のあるページに移動します。

    cockpit subscription Health .

  3. Overview フィールドの Register をクリックします。

    cockpit subscription Overview

  4. システムの登録 ダイアログボックスで、アカウント情報での登録を選択します。

    cockpit subscriptions account

  5. ユーザー名を入力します。
  6. パスワードを入力します。
  7. オプションで、組織名または ID を入力します。

    アカウントが Red Hat カスタマーポータルで複数の組織に所属している場合には、組織名または組織 ID を追加する必要があります。組織 ID は、Red Hat の連絡先に問い合わせてください。

    • Red Hat Insights にシステムを接続しない場合は、Insights チェックボックスのチェックを外してください。
  8. 登録 ボタンをクリックします。

この時点で、Red Hat Enterprise Linux システムが正常に登録されました。

4.3. GNOME での Red Hat アカウントを使用したシステム登録

以下の手順に従って、システムを Red Hat アカウントに登録します。

前提条件

  • Red Hat カスタマーポータルで有効なアカウント

    新規ユーザー登録は、Red Hat アカウントの作成 ページを参照してください。

手順

  1. 画面右上からアクセスできる システムメニュー に移動し、設定 アイコンをクリックします。
  2. DetailsAbout セクションで、Register をクリックします。
  3. Registration Server を選択します。
  4. Red Hat サーバーを使用しない場合は、URL フィールドにサーバーアドレスを入力します。
  5. Registration Type メニューで、Red Hat Account を選択します。
  6. Registration Details で以下を行います。

    • Login フィールドに、Red Hat アカウントのユーザー名を入力します。
    • Password フィールドに、Red Hat アカウントのパスワードを入力します。
    • Organizaiton フィールドに組織の名前を入力します。
  7. Register をクリックします。

4.4. GNOME でのアクティベーションキーを使用したシステム登録

以下の手順に従って、システムをアクティベーションキーに登録します。組織の管理者からアクティベーションキーを取得できます。

前提条件

  • アクティベーションキーまたはキー。

    新しい アクティベーションキー を作成するには、アクティベーションキーページを参照してください。

手順

  1. 画面右上からアクセスできる システムメニュー に移動し、設定 アイコンをクリックします。
  2. DetailsAbout セクションで、Register をクリックします。
  3. Registration Server を選択します。
  4. Red Hat サーバーを使用していない場合は、カスタマイズされたサーバーに URL を入力します。
  5. Registration Type メニューで、Activation keys を選択します。
  6. Registration Details で以下を行います。

    • Activation keys を入力します。

      複数の鍵をコンマ (,) で区切ります。

    • 組織 フィールドに組織の名前または ID を入力します。
  7. Register をクリックします。

4.5. インストーラー GUI を使用した RHEL 8 の登録

次の手順を使用し、RHEL インストーラー GUI を使用して新しくインストールされた Red Hat Enterprise Linux 8 を登録します。

前提条件

  • Red Hat カスタマーポータルに有効なユーザーアカウントがある。Create a Red Hat Login ページを参照してください。

    ユーザーアカウントに適切なエンタイトルメントがある場合 (またはアカウントが Simple Content Access モードで動作する場合)、アクティベーションキーを提示せずに、ユーザー名とパスワードのみで登録することが可能です。

  • 有効なアクティベーションキーと組織 ID

手順

  1. Account または Activation Key オプションを使用して、Red Hat アカウントを認証します。

    RHEL 8.4 registration

  2. Set System Purpose フィールドを選択し、ドロップダウンメニューから、RoleSLA、および Usage for the RHEL 8 installation を選択します。

    rhel 8.4 system subscription step 4

    この時点で、Red Hat Enterprise Linux 8 システムが正常に登録されました。

第5章 システム起動時に systemd サービスの開始

システム管理者は、システムでサービスの開始方法を判断できます。サービスの管理には、systemctl コマンドラインユーティリティーを使用して、systemd システムおよびサービスマネージャーを制御するか、RHEL Web コンソールを使用できます。

5.1. サービスの有効化または無効化

システム管理者は、システムの起動時にサービスを有効または無効にすることができます。これらの変更は、次回の再起動時に適用されます。システムの起動時にサービスを自動的に起動するようにするには、このサービスを有効にする必要があります。サービスを無効にすると、ブート時に起動されませんが、手動で起動できます。手動で開始できないようにサービスをマスクすることもできます。マスキングは、サービスが再度マスク解除されるまでサービスが永続的に使用できなくなるようにするサービスを無効にする方法です。

前提条件

  • システムへの root アクセス権限がある。
  • 有効にするサービスはマスクしないでください。マスクされたサービスがある場合は、最初にマスクを解除する必要があります。

    # systemctl unmask service_name

手順

  1. システムの起動時にサービスが起動するようにします。

    # systemctl enable service_name

    service_name は、有効にするサービスに置き換えます。

    1 つのコマンドでサービスを有効にして起動することもできます。

    # systemctl enable --now service_name
  2. サービスがブート時に起動するのを無効にします。

    # systemctl disable service_name

    service_name は、無効にするサービスに置き換えます。

    サービスを永久に使用不可にする場合は、サービスをマスクします。

    # systemctl mask service_name

5.2. RHEL Web コンソールにおけるサービスの管理

RHEL Web コンソールを使用して、システムの起動時にサービスを有効または無効にできます。Web コンソールでは、サービスのステータスを確認したり、サービスの起動または停止したり、マスクしたりすることもできます。

前提条件

  • システムへの root アクセス権限がある。
  • Web コンソールをインストールし、有効にしている。

手順

  1. 任意の Web ブラウザーで localhost:9090 を開きます。
  2. システム上の root 認証情報を使用して Web コンソールにログインします。
  3. Web コンソールパネルを表示するには、ウィンドウの左上にある ホスト アイコンをクリックします。

    サービス Web コンソールの管理
  4. メニューで、Services をクリックします。

    systemd ターゲット、サービス、ソケット、タイマー、およびパスを管理できます。

  5. たとえば、サービスの NFS クライアントサービス を管理するには、以下を実行します。

    1. Targets をクリックします。
    2. NFS Client Services のサービスを選択します。
    3. サービスを有効または無効にするには、Toogle ボタンをクリックします。
    4. サービスを停止するには、 ボタンをクリックし、オプション Stop を選択します。

      サービス Web コンソールの停止

第6章 システムセキュリティーの設定

コンピューターセキュリティーとは、盗難、損傷、破壊、および誤りからコンピューターシステムやハードウェア、ソフトウェア、情報、およびサービスを保護することです。機密データを処理してビジネス取引を扱う企業では特に、コンピューターセキュリティーの確保は必須タスクです。

本セクションでは、オペレーティングシステムのインストール後に設定できる基本的なセキュリティー機能のみを説明します。

6.1. ファイアウォールサービスの有効化

ファイアウォールは、既定のセキュリティールールに基づいてネットワークトラフィックの送受信の監視および制御を行うネットワークセキュリティーシステムです。ファイアウォールは、通常、信頼できる安全な内部ネットワークと、その他の外部ネットワークとの間に壁を作ります。

Red Hat Enterprise Linux でファイアウォールを提供する firewalld サービスは、インストール時に自動的に有効になります。

firewalld サービスを有効にするには、以下の手順に従います。

手順

  • firewalld の現在の状況の表示

    $ systemctl status firewalld
    ● firewalld.service - firewalld - dynamic firewall daemon
       Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/firewalld.service; disabled; vendor preset: enabled)
       Active: inactive (dead)
    ...
  • firewalld が有効になっていない場合は、root ユーザーに切り替えて、firewalld サービスを起動し、システムの再起動後に自動的に起動できるようにします。

    # systemctl enable --now firewalld

検証手順

  • firewalld が実行中で、有効になっていることを確認します。

    $ systemctl status firewalld
    ● firewalld.service - firewalld - dynamic firewall daemon
       Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/firewalld.service; enabled; vendor preset: enabled)
       Active: active (running)
    ...

関連情報

6.2. RHEL 8 Web コンソールでファイアウォールの管理

Web コンソールで firewalld サービスを設定するには、ネットワークファイアウォール に移動します。

デフォルトでは、firewalld サービスは有効になっています。

手順

  1. Web コンソールで firewalld を有効または無効にするには、ファイアウォール のトグルボタンを切り替えます。

    ファイアウォールを新規で開始
注記

さらに、Add services…​ ボタンを使用して、ファイアウォール経由でのサービスへのアクセスをより詳細にわたり定義できます。

6.3. 基本的な SELinux 設定の管理

Security Enhanced Linux (SELinux) は、どのプロセスがどのファイル、ディレクトリー、およびポートにアクセスできるのかを指定するシステムセキュリティーの追加レイヤーです。これらのパーミッションは、SELinux ポリシーで定義します。ポリシーは、SELinux セキュリティーエンジンをガイドする一連のルールです。

SELinux のステータスには、以下の 2 つがあります。

  • 無効
  • 有効

SELinux が有効な場合は、以下のいずれのモードで実行できます。

  • 有効

    • Enforcing
    • Permissive

Enforcing モード では、SELinux は読み込まれたポリシーを強制的に実行します。SELinux は、SELinux ポリシールールに基づいてアクセスを拒否し、明示的に許可された対話だけを有効にします。Enforcing モードは最も安全な SELinux モードであり、インストール後のデフォルトモードです。

Permissive モード では、SELinux は読み込まれたポリシーを強制に実行しません。SELinux はアクセスを拒否しませんが、ルールに違反するアクションを /var/log/audit/audit.log ログで報告します。Permissive モードは、インストール時のデフォルトのモードです。Permissive モードは、問題のトラブルシューティングなど、特定のケースで役に立ちます。

関連情報

6.4. SELinux の必要な状態の確認

デフォルトでは、SELinux は Enforcing モードで動作します。ただし、特定のシナリオでは、SELinux を Permissive モードに設定したり、無効にしたりすることもできます。

重要

Red Hat は、Enforcing モードでシステムを使用することを推奨します。デバッグの目的で、SELinux を Permissive モードに設定します。

以下の手順に従って、システムの SELinux の状態とモードを変更します。

手順

  1. 現在有効な SELinux モードを表示します。

    $ getenforce
  2. SELinux を一時的に設定します。

    1. Enforcing モードに設定する場合:

      # setenforce Enforcing
    2. Permissive モードに設定する場合:

      # setenforce Permissive
      注記

      再起動後に、SELinux モードは /etc/selinux/config 設定ファイルで指定された値に設定されます。

  3. 再起動後も SELinux モードを保持するように設定するには、/etc/selinux/config 設定ファイルの SELINUX 変数を変更します。

    たとえば、SELinux を Enforcing モードに切り替えるには、以下のように設定します。

    # This file controls the state of SELinux on the system.
    # SELINUX= can take one of these three values:
    #     enforcing - SELinux security policy is enforced.
    #     permissive - SELinux prints warnings instead of enforcing.
    #     disabled - No SELinux policy is loaded.
    SELINUX=enforcing
    ...
    警告

    SELinux を無効にすると、システムセキュリティーが低下します。無効にすると、メモリーリークや競合状態によりカーネルパニックが発生する可能性があるため、/etc/selinux/config ファイルの SELINUX=disabled オプションを使用して SELinux を無効にしないでください。代わりに、selinux=0 パラメーターをカーネルコマンドラインに追加して、SELinux を無効にします。詳細は、Changing SELinux modes at boot time を参照してください。

6.5. RHEL 8 Web コンソールで SELinux モードの切り替え

SELinux メニュー項目の RHEL 8 Web コンソールで SELinux モードを設定できます。

デフォルトでは、Web コンソールの SELinux の Enforcing ポリシーが有効になっており、SELinux が Enforcing モードで動作します。このモードを無効にして、SELinux を Permissive モードに切り替えます。モードの選択は、次回の起動時に /etc/sysconfig/selinux ファイルで定義されている設定に自動的に元に戻されます。

手順

  1. Web コンソールで、SELinux メニュー項目の Enforce policy トグルボタンを使用して SELinux の Enforcing ポリシーをオンまたはオフにします。

    SELinux を有効にして開始

6.6. 関連情報

第7章 ユーザーアカウントの管理

Red Hat Enterprise Linux は、マルチユーザー向けのオペレーティングシステムです。つまり、1 台のマシンにインストールされた 1 つのシステムに、複数のユーザーが別々のコンピューターからアクセスできます。各ユーザーは自身のアカウントで操作します。このような方法でユーザーアカウントを管理することは、Red Hat Enterprise Linux のシステム管理の中心的要素になります。

以下に各種ユーザーアカウントを紹介します。

  • 通常のユーザーアカウント

    通常のアカウントは特定システムのユーザー用に作成されます。このようなアカウントは、通常のシステム管理中に追加、削除、および修正できます。

  • システムユーザーアカウント:

    システムユーザーアカウントは、システムで特定のアプリケーション識別子を表します。このようなアカウントは通常、ソフトウェアのインストール時にのみ追加または操作され、後で変更することはありません。

    警告

    システムアカウントは、システムでローカルに利用できると想定されています。アカウントがリモートで設定され、提供されている (LDAP の設定など) と、システムが破損したり、サービスが開始できない場合があります。

    システムアカウント用に、1000 番未満のユーザー ID が予約されています。通常のアカウントには、1000 から始まる ID を使用できます。ただし、5000 以降の ID を割り当てることが推奨されます。ID の割り当ては、/etc/login.defs ファイルを参照してください。

  • グループ:

    グループとは、複数のユーザーアカウントを共通目的 (特定のファイルにアクセス権を与えるなど) で統合するエンティティーです。

7.1. コマンドラインツールを使用したアカウントとグループの管理

本セクションでは、ユーザーアカウントとグループを管理する基本的なコマンドラインツールを説明します。

  • ユーザーおよびグループ ID を表示します。

    $ id
    uid=1000(example.user) gid=1000(example.user) groups=1000(example.user),10(wheel) context=unconfined_u:unconfined_r:unconfined_t:s0-s0:c0.c1023
  • 新規ユーザーアカウントを作成します。

    # useradd example.user
  • example.user に属するユーザーアカウントに新しいパスワードを割り当てます。

    # passwd example.user
  • ユーザーをグループに追加します。

    # usermod -a -G example.group example.user

関連情報

  • man useradd(8)man passwd(1)、および man usermod(8)

7.2. Web コンソールで管理されるシステムユーザーアカウント

RHEL Web コンソールに表示されているユーザーアカウントでは、以下が可能になります。

  • システムにアクセスする際にユーザーを認証する
  • システムへのアクセス権を設定する

RHEL Web コンソールは、システムに存在するすべてのユーザーアカウントを表示します。そのため、最初に Web コンソールにログインした直後は、ユーザーアカウントが少なくとも 1 つ表示されます。

RHEL Web コンソールにログインしたら、以下の操作を実行できます。

  • 新規ユーザーアカウントの作成
  • パラメーターの変更
  • アカウントのロック
  • ユーザーセッションの終了

7.3. Web コンソールで新規アカウントの追加

RHEL Web コンソールを使用して、ユーザーアカウントをシステムに追加し、アカウントに管理者権限を設定する場合は、以下の手順に従います。

前提条件

手順

  1. RHEL Web コンソールにログインします。
  2. アカウント をクリックします。
  3. 新規アカウントの作成 をクリックします。
  1. フルネーム フィールドにユーザーの氏名を入力します。

    RHEL Web コンソールは、入力した氏名からユーザー名が自動的に作成され、ユーザー名 フィールドに入力されます。名前の頭文字と、苗字で設定される命名規則を使用しない場合は、入力されたユーザー名を変更します。

  2. パスワード/確認 フィールドにパスワードを入力し、再度パスワードを入力します。

    フィールドの下にあるカラーバーは、入力したパスワードの強度を表し、弱いパスワードは使用できないようにします。

  1. 作成 をクリックして設定を保存し、ダイアログボックスを閉じます。
  2. 新規作成したアカウントを選択します。
  3. ロール で、サーバー管理者 を選択します。

    cockpit terminate session pf4

    これで アカウント 設定に新規アカウントが表示され、認証情報を使用してシステムに接続できるようになりました。

第8章 後で分析するためにクラッシュしたカーネルのダンプ

kdump サービスを使用して後で分析できるようにシステムのメモリー内容を保存することで、システムがクラッシュした理由を分析できます。本セクションでは、kdump の概要と、RHEL Web コンソールまたは対応する RHEL システムロールを使用して kdump を設定する方法を説明します。

8.1. kdump とは

kdump は、クラッシュダンプのメカニズムを提供するサービスです。このサービスでは、分析用にシステムメモリーの内容を保存できます。kdumpkexec システムコールを使用し、再起動することなく 2 番目のカーネル (キャプチャーカーネル) で起動し、クラッシュしたカーネルメモリー (クラッシュダンプ またはvmcore) の内容をキャプチャーして、ファイルへ保存します。この第 2 のカーネルは、システムメモリーの予約部分に収納されています。

重要

カーネルクラッシュダンプは、システム障害 (重大なバグ) 時に利用できる唯一の情報になります。したがって、ミッションクリティカルな環境では、kdump を稼働させることが重要です。Red Hat は、システム管理者が通常のカーネル更新サイクルで kexec-tools を定期的に更新してテストすることをお勧めします。これは、新しいカーネル機能が実装されている場合に特に重要です。

kdump は、マシンにインストールされているすべてのカーネルに対して、または指定したカーネルに対してのみ有効にできます。これは、マシンで複数のカーネルが使用されており、その一部が安定しており、クラッシュの心配がない場合に役立ちます。

kdump をインストールすると、デフォルトの /etc/kdump.conf が作成されます。このファイルには、既定の最小限の kdump 設定が含まれます。このファイルを編集して、kdump 設定をカスタマイズできますが、必須ではありません。

8.2. Web コンソールで kdump メモリーの使用量およびターゲットの場所を設定

以下の手順では、RHEL Web コンソールインターフェイスの Kernel Dump タブを使用して、kdump カーネルに予約されているメモリー容量を設定する方法を示しています。この手順では、vmcore ダンプファイルのターゲットの場所を指定する方法と、設定をテストする方法を説明します。

手順

  1. Kernel Dump タブを開き、kdump サービスを開始します。
  2. コマンドラインで kdump のメモリー使用量を設定します。
  3. クラッシュダンプの場所 オプションの横にあるリンクをクリックします。

    cockpit kdump メイン画面
  4. ドロップダウンメニューから ローカルファイルシステム を選択し、ダンプを保存するディレクトリーを指定します。

    cockpit kdump の場所
    • または、ドロップダウンから SSH 経由のリモート オプションを選択し、SSH プロトコルを使用して、vmcore をリモートマシンに送信します。

      Serverssh keyDirectory の各フィールドに、リモートマシンのアドレス、ssh キーの場所、およびターゲットディレクトリーを入力します。

    • または、ドロップダウンから NFS 経由のリモート オプションを選択し、マウント フィールドに入力して、NFS プロトコルを使用して vmcore をリモートマシンに送信することもできます。

      注記

      圧縮 チェックボックスにチェックマークを入れ、vmcore ファイルのサイズを小さくします。

  5. カーネルをクラッシュして、設定をテストします。

    cockpit kdump test
    1. Test configuration をクリックします。
    2. Test kdump settings フィールドで、Crash system をクリックします。

      警告

      この手順では、カーネルの実行を中断し、システムクラッシュやデータの損失が発生します。

8.3. RHEL システムロールを使用した kdump

RHEL システムロールは、複数の RHEL システムをリモートで管理する一貫した設定インターフェイスを提供する Ansible ロールおよびモジュールの集合です。kdump ロールを使用すると、複数のシステムに基本的なカーネルダンプパラメーターを設定できます。

警告

kdump ロールは、/etc/kdump.conf ファイルを置き換えて、管理対象ホストの kdump 設定をすべて置き換えます。また、kdump ロールが適用されると、 /etc/sysconfig/kdump ファイルを置き換えて、ロール変数で指定されていない場合でも、以前の kdump の設定もすべて置き換えられます。

以下の例は、kdump システムロールを適用してクラッシュダンプファイルの場所を設定する方法を示しています。

---
- hosts: kdump-test
  vars:
    kdump_path: /var/crash
  roles:
    - rhel-system-roles.kdump

kdump ロール変数の詳細は、rhel-system-roles パッケージをインストールし、/usr/share/doc/rhel-system-roles/kdump ディレクトリーの README.md または README.html ファイルを参照してください。

8.4. 関連情報

第9章 システムの復旧および復元

Red Hat Enterprise Linux では、既存のバックアップを使用してシステムを復旧および復元するために、ReaR (Relax-and-Recover) ユーティリティーが同梱されています。

このユーティリティーは、障害復旧ソリューションとして、またシステム移行にも使用できます。

このユーティリティーを使用すると、以下のタスクを実行できます。

  • イメージを使用して、起動可能なイメージを作成し、既存のバックアップからシステムを復元する
  • オリジナルのストレージレイアウトを複製する
  • ユーザーおよびシステムファイルを復元する
  • システムを別のハードウェアに復元する

また、障害復旧の場合は、特定のバックアップソフトウェアを ReaR に統合することもできます。

ReaR 設定の概要手順は以下のとおりです。

  1. ReaR をインストールします。
  2. ReaR 設定ファイルを変更して、バックアップ手法の詳細を追加します。
  3. レスキューシステムを作成します。
  4. バックアップファイルを生成します。

9.1. ReaR の設定

以下の手順を使用して、Relax-and-Recover (ReaR) ユーティリティーを使用するパッケージのインストール、レスキューシステムの作成、バックアップの設定および生成を行います。

前提条件

  • バックアップ復元計画をもとに、必要な設定ができている。

    NETFS バックアップメソッド (ReaR に完全に統合され、組み込まれたメソッド) を使用できることに注意してください。

手順

  1. 次のコマンドを実行して ReaR ユーティリティーをインストールします。

    # yum install rear
  2. 以下の例のように、任意のエディターで ReaR 設定ファイルを変更します。

    # vi /etc/rear/local.conf
  3. バックアップ設定の詳細を /etc/rear/local.conf に追加します。たとえば、NETFS バックアップメソッドの場合は、以下の行を追加します。

    BACKUP=NETFS
    BACKUP_URL=backup.location

    backup.location は、バックアップ先の URL に置き換えます。

  4. 新規バックアップの作成時に以前のバックアップアーカイブを維持するように RaaR 設定を行うには、以下の行を設定ファイルに追加します。

    NETFS_KEEP_OLD_BACKUP_COPY=y
  5. 増分バックアップ (実行するたびに変更されたファイルのみがバックアップされる) を設定する場合は、以下の行を追加します。

    BACKUP_TYPE=incremental
  6. レスキューシステムを作成します。

    # rear mkrescue
  7. 復元計画に従ってバックアップを作成します。たとえば、NETFS バックアップメソッドの場合は、以下のコマンドを実行します。

    # rear mkbackuponly

    または、以下のコマンドを実行すると、1 つの手順でレスキューシステムとバックアップを作成できます。

    # rear mkbackup

    このコマンドは、rear mkrescue コマンドと rear mkbackuponly コマンドの機能を組み合わせたものです。

9.2. 64 ビット IBM Z アーキテクチャーで ReaR レスキューイメージの使用

Basic Relax and Recover (ReaR) 機能が、64 ビットの IBM Z アーキテクチャーでテクノロジープレビューとして利用できるようになりました。IBM Z では、z/VM 環境でのみ ReaR レスキューイメージを作成できます。論理パーティション (LPAR) のバックアップおよび復元はテストされていません。

重要

64 ビット IBM Z アーキテクチャーの ReaR はテクノロジープレビュー機能のみです。テクノロジープレビュー機能は Red Hat の実稼働環境でのサービスレベルアグリーメント (SLA) ではサポートされていないため、Red Hat では実稼働環境での使用を推奨していません。Red Hat では、実稼働環境での使用を推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲についての詳細は、https://access.redhat.com/ja/support/offerings/techpreview/ を参照してください。

現在利用できる出力方法は、Initial Program Load (IPL) のみです。IPL は、zIPL ブートローダーで使用できるカーネルと初期 ramdisk (initrd) を生成します。

前提条件

  • ReaR がインストールされている。

    • ReaR をインストールするには、yum install rear コマンドを実行します。

手順

以下の変数を/etc/rear/local.confに追加し、64 ビット IBM Z アーキテクチャーでレスキューイメージを生成するように ReaR を設定します。

  1. IPL アウトプットメソッドを設定するには、OUTPUT=IPL を追加します。
  2. バックアップメソッドとバックアップ先を設定するには、BACKUP 変数および BACKUP_URL 変数を追加します。以下に例を示します。

    BACKUP=NETFS
    
    BACKUP_URL=nfs://<nfsserver name>/<share path>
    重要

    ローカルバックアップストレージは、現在、64 ビットの IBM Z アーキテクチャーではサポートされていません。

  3. 必要に応じて、OUTPUT_URL を設定して、カーネルファイルおよび initrd ファイルを保存することもできます。初期設定では、OUTPUT_URLBACKUP_URL に合わせて配置されています。
  4. バックアップとレスキューのイメージの作成を実行するには、次のコマンドを実行します。

    rear mkbackup
  5. これにより、BACKUP_URL 変数または OUTPUT_URL (設定されている場合) 変数で指定された場所にカーネルファイルと initrd ファイルが作成され、指定されたバックアップメソッドを使用してバックアップが作成されます。
  6. システムを復元するには、手順 3 で作成した ReaR カーネルファイルおよび initrd ファイルを使用し、zipl ブートローダー、カーネル、および initrd で準備した DASD (Direct Attached Storage Device) または FCP (Fibre Channel Protocol) 接続の SCSI デバイスから起動します。詳細は準備した DASD の使用を参照してください。
  7. レスキューカーネルと initrd が起動すると、ReaR レスキュー環境が起動します。システムの復元を続行します。
警告

現在、レスキュープロセスは、システムに接続したすべての DASD (Direct Attached Storage Devices) を再フォーマットします。システムのストレージデバイスに貴重なデータが存在する場合は、システムの復旧を行わないでください。これには、レスキュー環境で起動するのに使用された zipl ブートローダー、ReaR カーネル、および initrd で準備されたデバイスも含まれます。必ずコピーを保管してください。

第10章 ログファイルを使用した問題のトラブルシューティング

ログファイルは、システム (カーネル、サービス、および実行中のアプリケーションなど) に関するメッセージが含まれるファイルです。ログファイルには、問題のトラブルシューティングやシステム機能の監視に役立つ情報が含まれています。Red Hat Enterprise Linux におけるロギングシステムは、組み込みの syslog プロトコルに基づいています。特定のプログラムがこのシステムを使用してイベントを記録し、ログファイルに分類します。これは、オペレーティングシステムの監査およびさまざまな問題のトラブルシューティングに役立ちます。

10.1. syslog メッセージを処理するサービス

以下の 2 つのサービスは、syslog メッセージを処理します。

  • systemd-journald デーモン
  • Rsyslog サービス

systemd-journald デーモンは、さまざまなソースからメッセージを収集し、収集したメッセージを処理するために Rsyslog に転送します。systemd-journald デーモンは、以下のソースからメッセージを収集します。

  • カーネル
  • ブートプロセスの初期段階
  • 起動時および実行時のデーモンの標準出力とエラー
  • Syslog

Rsyslog サービスは、タイプおよび優先順で syslog のメッセージを分類し、/var/log ディレクトリー内のファイルに書き込みます。/var/log ディレクトリーは、ログメッセージを永続的に保存します。

10.2. syslog メッセージを保存するサブディレクトリー

/var/log ディレクトリー内の以下のサブディレクトリーでは、syslog メッセージを保存します。

  • /var/log/messages - 以下を除くすべての syslog メッセージ
  • /var/log/secure - セキュリティーおよび認証に関連するメッセージおよびエラー
  • /var/log/maillog - メールサーバーに関連するメッセージおよびエラー
  • /var/log/cron - 定期的に実行されるタスクに関連するログファイル
  • /var/log/boot.log - システムの起動に関連するログファイル

10.3. Web コンソールでログファイルの検査

以下の手順に従って、RHEL Web コンソールを使用してログファイルを検証します。

手順

  1. RHEL Web コンソールにログインします。詳細はWeb コンソールへのログイン を参照してください。
  2. Logs をクリックします。

図10.1 RHEL 8 Web コンソールでログファイルの検査

ログの表示

10.4. コマンドラインでのログの表示

Journal は、ログファイルの表示および管理に役立つ systemd のコンポーネントです。従来のロギングに関連する問題に対応し、残りのシステムと密接に統合され、ログファイルのさまざまなロギングテクノロジーおよびアクセス管理をサポートします。

journalctl コマンドを使用すると、以下のようにコマンドラインを使用してシステムジャーナルのメッセージを表示できます。

$ journalctl -b | grep kvm
May 15 11:31:41 localhost.localdomain kernel: kvm-clock: Using msrs 4b564d01 and 4b564d00
May 15 11:31:41 localhost.localdomain kernel: kvm-clock: cpu 0, msr 76401001, primary cpu clock
...

表10.1 システム情報の表示

コマンド説明

journalctl

収集されたジャーナルエントリーをすべて表示します。

journalctl FILEPATH

特定のファイルに関連するログを表示します。たとえば、journalctl /dev/sda コマンドは、/dev/sda ファイルシステムに関連するログを表示します。

journalctl -b

現在のブートのログを表示します。

journalctl -k -b -1

現在のブートのカーネルログを表示します。

表10.2 特定のサービスの情報の表示

コマンド説明

journalctl -b _SYSTEMD_UNIT=foo

ログをフィルターして、foo の systemd サービスに一致するものを表示します。

journalctl -b _SYSTEMD_UNIT=foo _PID=number

一致を組み合わせます。たとえば、このコマンドは、foo と PID 番号 に一致する systemd-units のログを表示します。

journalctl -b _SYSTEMD_UNIT=foo _PID=number + _SYSTEMD_UNIT=foo1

区切り文字+は、論理 OR の 2 つの式を組み合わせます。たとえば、以下のコマンドは、foo サービスプロセスからのメッセージをすべて PID で表示し、(プロセスのいずれかの) foo1 サービスからのメッセージをすべて表示します。

journalctl -b _SYSTEMD_UNIT=foo _SYSTEMD_UNIT=foo1

このコマンドは、同じフィールドを参照し、いずれかの式に一致するエントリーをすべて表示します。このコマンドは、systemd-unit foo または systemd-unit foo1 に一致するログを表示します。

表10.3 特定のブートに関連するログの表示

コマンド説明

journalctl --list-boots

ブート番号、その ID、およびブートに関する最初のメッセージと最後のメッセージのタイムスタンプの表形式一覧が表示されます。以下のコマンドの ID を使用して詳細情報を表示できます。

journalctl --boot=ID _SYSTEMD_UNIT=foo

指定したブート ID に関する情報を表示します。

10.5. 関連情報

第11章 Red Hat サポートへのアクセス

本セクションでは、Red Hat サポートおよび sosreport を使用して問題を効果的にトラブルシューティングする方法を説明します。

Red Hat サポートを利用する場合は、Red Hat カスタマーポータル にアクセスしてください。カスタマーポータルでは、サブスクリプションで利用可能なものをすべて提供します。

11.1. Red Hat カスタマーポータルで利用できる Red Hat サポート

以下のセクションでは、Red Hat カスタマーポータルを使用してサポートを受ける方法を説明します。

前提条件

  • Red Hat カスタマーポータルに有効なユーザーアカウントがある。Red Hat ログインの作成 を参照してください。
  • RHEL システムに使用するアクティブなサブスクリプションがある。

手順

  1. Red Hat サポート にアクセスします。

    1. サポートケースを作成する
    2. Red Hat 専門スタッフとのライブチャットを開始する
    3. 電話または電子メールで Red Hat 専門スタッフに問い合わせる

11.2. sosreport を使用した問題のトラブルシューティング

sosreport コマンドは設定の詳細、システム情報、および診断情報を Red Hat Enterprise Linux システムから収集します。

次のセクションでは、sosreport コマンドを使用して、サポートケースのレポートを作成する方法を説明します。

前提条件

  • Red Hat カスタマーポータルに有効なユーザーアカウントがある。Red Hat ログインの作成 を参照してください。
  • RHEL システムに使用するアクティブなサブスクリプションがある。
  • サポートケース番号。

手順

  1. sos パッケージをインストールするには、以下のコマンドを実行します。

    # yum install sos
    注記

    Red Hat Enterprise Linux のデフォルトの最小インストールには、sosreport コマンドを提供する sos パッケージは含まれません。

  2. レポートを生成します。

    # sosreport
  3. サポートケースにレポートを添付します。

    How can I attach a file to a Red Hat support case? を参照してください。詳細は、Red Hat ナレッジベースの記事を参照してください。

    レポートを添付すると、該当のサポートケース番号の入力が求められます。

第12章 ソフトウェアパッケージの管理

12.1. RHEL 8 のソフトウェア管理ツール

RHEL 8 では、DNF テクノロジーをベースにする新しいバージョンの YUM ツール (YUM v4) によりソフトウェアインストールが有効になります。

注記

アップストリームのドキュメントでは、このテクノロジーを DNF と識別しているので、このツールはアップストリームの DNF と呼ばれます。これにより、RHEL 8 の新しい YUM ツールが返した出力の一部で、DNF と表示されます。

RHEL 8 で使用される YUM v4DNF に基づいていますが、RHEL 7 で使用される YUM v3 と互換性があります。ソフトウェアのインストールでは、yum コマンドとそのオプションのほとんどが、RHEL 7 で実行したように RHEL 8 で機能します。

選択した yum プラグインおよびユーティリティーは、新しい DNF バックエンドに移植されており、RHEL 7 と同じ名前でインストールできます。パッケージは互換性を持ったシンボリックリンクを提供するため、バイナリー、設定ファイル、ディレクトリーは通常の場所で確認できます。

YUM v3 が提供する以前の Python API は利用できなくなりました。YUM v4 (DNF Python API) が提供する安定し、完全に対応する新しい API に、使用しているプラグインおよびスクリプトを移行できます。詳細は、DNF API Reference を参照してください。

12.2. アプリケーションストリーム

RHEL 8 では、Application Streams という概念が導入されています。ユーザー空間コンポーネントのバージョンが複数配信され、オペレーティングシステムのコアパッケージよりも頻繁に更新されるようになりました。これにより、プラットフォームや特定デプロイメントの基本的な安定性に影響を及ぼすことなく、Red Hat Enterprise Linux をカスタマイズできる柔軟性が向上しました。

Application Streams として使用できるコンポーネントは、モジュールまたは RPM パッケージとしてパッケージ化され、RHEL 8 の AppStream リポジトリーを介して配信されます。各アプリケーションストリームには、特定のアプリケーションにより適した、RHEL 8 と同じか、より短いライフサイクルが指定されています。ライフサイクルが短いアプリケーションストリームは、Red Hat Enterprise Linux 8 Application Streams ライフサイクル ページに記載されています。

モジュールは、論理ユニット (アプリケーション、言語スタック、データベース、またはツールセット) を表すパッケージの集まりです。これらのパッケージはまとめてビルドされ、テストされ、そしてリリースされます。

モジュールストリームは、アプリケーションストリームコンポーネントのバージョンを表します。たとえば、postgresql モジュールでは 2 つのストリーム (バージョン) の PostgreSQL データベースサーバー、つまり PostgreSQL 10 (デフォルトストリーム) および PostgreSQL 9.6 が利用できます。システムにインストールできるモジュールストリームは 1 つだけです。複数のコンテナーで異なるバージョンを使用できます。

詳細なモジュールコマンドは ユーザー空間コンポーネントのインストール、管理、および削除 を参照してください。AppStream で利用可能なモジュールの一覧は、Package manifest を参照してください。

12.3. ソフトウェアパッケージの検索

yum を使用すると、ソフトウェアパッケージをすべて操作できます。

以下のセクションでは、yum を使用して以下を行う方法を説明します。

  • パッケージを検索する
  • パッケージを一覧表示する
  • リポジトリーを一覧表示する
  • パッケージに関する情報を表示する
  • パッケージグループを一覧表示する
  • yum input での glob 表現を指定する

12.3.1. YUM を使用したパッケージの検索

特定のアプリケーションやその他のコンテンツを提供するパッケージを探すには、以下の手順で行います。

手順

  • パッケージを検索するには、以下を使用します。

    # yum search term

    term は、パッケージ関連の用語に置き換えます。

    yum search コマンドでは、パッケージの名前と概要に含まれる用語で一致したものが返されることに注意してください。これにより、検索時間が短縮され、名前が分からないものの、関連用語が分かっているパッケージの検索が可能になります。

  • パッケージの説明に一致する用語を含めるには、以下を使用します。

    # yum search --all term

    term は、パッケージ名、概要、または説明で検索する用語に置き換えます。

    yum search --all はより完全な検索を可能にしますが、速度が遅くなることに注意してください。

12.3.2. YUM を使用したパッケージの一覧表示

以下の手順を使用して、インストール済みおよび使用可能なパッケージを一覧表示します。

手順

  • インストール済みで利用可能なパッケージの情報をすべて表示するには、次のコマンドを実行します。

    # yum list --all
  • システムにインストールされているパッケージの一覧を表示するには、以下のコマンドを使用します。

    # yum list --installed
  • 有効なすべてのリポジトリーで、インストール可能な全パッケージを表示するには、以下を使用します。

    # yum list --available

glob 表現を引数として追加して結果をフィルターできることに注意してください。詳細は、YUM 入力でのグローバル表現の指定 を参照してください。

12.3.3. YUM を使用したリポジトリーの一覧表示

有効なリポジトリーと無効なリポジトリーを一覧表示するには、以下の手順を使用します。

手順

  • システムで有効なリポジトリーをすべて一覧表示するには、以下を使用します。

    # yum repolist
  • システムで無効になっているリポジトリーをすべて一覧を表示するには、以下を使用します。

    # yum repolist --disabled
  • 有効および無効なリポジトリーの両方を一覧表示するには、以下を使用します。

    # yum repolist --all
  • リポジトリーに関する追加情報を一覧表示するには、以下を使用します。

    # yum repoinfo

リポジトリーの ID または名前を引数として渡すか、glob 表現を追加して結果をフィルターリングでききることに注意してください。詳細は、YUM 入力でのグローバル表現の指定 を参照してください。

12.3.4. YUM を使用したパッケージ情報の表示

YUM を使用して、パッケージに関する様々な種類の情報、例えばバージョン、リリース、サイズ、ロードされたプラグインなどを表示することができます。

手順

  • パッケージに関する情報を表示するには、以下を使用します。

    # yum info package-name

    package-name を、パッケージ名に置き換えます。

glob 表現を引数として追加して結果をフィルターできることに注意してください。詳細は、YUM 入力でのグローバル表現の指定 を参照してください。

12.3.5. YUM を使用したパッケージグループの一覧表示

インストールされたパッケージグループを表示し、一覧表示の結果をフィルターリングするには、yum を使用します。

手順

  • インストール済みおよび利用可能なグループの数を表示するには、以下を使用します。

    # yum group summary
  • インストール済みおよび利用可能なグループをすべて一覧表示するには、以下のコマンドを使用します。

    # yum group list

    yum group list コマンドのコマンドラインオプション (--hidden--available) を追加して結果をフィルターリングできます。利用可能なオプションの詳細は、man ページを参照してください。

  • 特定のグループに含まれている必須および任意のパッケージを一覧表示するには、次のコマンドを実行します。

    # yum group info group-name

    group-name は、グループ名に置き換えます。

glob 表現を引数として追加して結果をフィルターできることに注意してください。詳細は、YUM 入力でのグローバル表現の指定 を参照してください。

12.3.6. YUM 入力でのグローバル表現の指定

yum コマンドでは、1 つ以上の glob 表現 を引数として追加することで、結果をフィルターリングできます。yum コマンドの引数として渡す場合は、グローバル表現をエスケープする必要があります。

手順

確実に glob 表現を yum に渡すには、以下のいずれかの方法で行います。

  • glob 表現全体を二重引用符または単一引用符でくくる

    # yum provides "*/file-name"

    file-name は、ファイルの名前に置き換えます。

  • ワイルドカード文字の前にバックスラッシュ記号 (\) を入力して、ワイルドカード文字をエスケープする

    # yum provides \*/file-name

    file-name は、ファイルの名前に置き換えます。

12.4. ソフトウェアパッケージのインストール

以下のセクションでは、yum を使用して以下を行う方法を説明します。

  • パッケージをインストールする
  • パッケージグループをインストールする
  • yum input にパッケージ名を指定する

12.4.1. YUM を使用したパッケージのインストール

  • パッケージとすべてのパッケージ依存関係をインストールするには、以下を使用します。

    # yum install package-name

    package-name を、パッケージ名に置き換えます。

  • 複数のパッケージとその依存関係を同時にインストールするには、以下を使用します。

    # yum install package-name-1 package-name-2

    package-name-1 および package-name-2 は、パッケージ名に置き換えます。

  • multilib システムにパッケージをインストールする場合に (AMD64、Intel 64 マシン)、パッケージのアーキテクチャーをパッケージ名に追加して指定できます。

    # yum install package-name.arch

    package-name.arch は、パッケージの名前およびアーキテクチャーに置き換えます。

  • インストールするバイナリー名は分かっているが、パッケージ名が分からない場合は、引数としてバイナリーへのパスを使用できます。

    # yum install /usr/sbin/binary-file

    /usr/sbin/binary-file は、バイナリーファイルへのパスに置き換えます。

    yum はパッケージ一覧で検索を行い、/usr/sbin/binary-file を提供するパッケージを探します。パッケージが見つかると、そのパッケージをインストールするかどうかを尋ねられます。

  • ローカルディレクトリーからダウンロード済みのパッケージをインストールするには、以下を使用します。

    # yum install /path/

    /path/ は、パッケージへのパスに置き換えます。

引数の解析方法を明示的に定義することで、パッケージ検索を最適化できます。詳細は、「YUM 入力でのパッケージ名の指定」 を参照してください。

12.4.2. YUM を使用したパッケージグループのインストール

以下の手順では、yum を使用して、グループ名または groupID でパッケージグループをインストールする方法を説明します。

手順

  • パッケージグループをグループ名でインストールするには、以下を使用します。

    # yum group install group-name

    または

    # yum install @group-name

    group-name は、グループまたは環境グループのフルネームに置き換えます。

  • groupID でパッケージグループをインストールするには、以下を使用します。

    # yum group install groupID

    groupID は、グループの ID に置き換えます。

12.4.3. YUM 入力でのパッケージ名の指定

インストールと削除のプロセスを最適化するには、-n-na、または -nevra 接尾辞を yum install および yum remove コマンドに追加して、引数の解析方法を明示的に定義します。

  • 正確な名前を使用してパッケージをインストールするには、以下を使用します。

    # yum install-n name

    name は、パッケージの正確な名前に置き換えます。

  • 正確な名前およびアーキテクチャーを使用してパッケージをインストールするには、以下を使用します。

    # yum install-na name.architecture

    name および architecture は、パッケージの正確な名前およびアーキテクチャーに置き換えます。

  • 正確な名前、エポック、バージョン、リリース、およびアーキテクチャーを使用してパッケージをインストールするには、以下を使用します。

    # yum install-nevra name-epoch:version-release.architecture

    nameepochversionrelease、および architecture は、パッケージの正確な名前、エポック、バージョン、リリース、およびアーキテクチャーに置き換えます。

12.5. ソフトウェアパッケージの更新

yum を使用すると、システムに保留中の更新があるかどうかを確認できます。更新が必要なパッケージを一覧表示して、1 つのパッケージ、複数のパッケージ、またはすべてのパッケージを一度に更新できます。更新パッケージに依存関係がある場合は、合わせて更新されます。

以下のセクションでは、yum を使用して以下を行う方法を説明します。

  • 更新の有無を確認する
  • 1 つのパッケージを更新する
  • パッケージグループを更新する
  • すべてのパッケージとその依存関係を更新する
  • セキュリティー更新を適用する
  • ソフトウェアの更新を自動化する

12.5.1. YUM による更新の確認

以下の手順では、yum を使用して、システムにインストールされているパッケージで利用可能な更新を確認する方法を説明します。

手順

  • システムにインストールされているパッケージで更新を利用できるのはどれかを確認するには、以下のコマンドを実行します。

    # yum check-update

    このコマンドは、更新が利用可能なパッケージおよびその依存関係の一覧を表示します。

12.5.2. YUM を使用した単一パッケージの更新

以下の手順を使用し、yum を使用して単一のパッケージとその依存関係を更新します。

  • パッケージを更新するには、以下を使用します。

    # yum update package-name

    package-name を、パッケージ名に置き換えます。

重要

カーネルの更新を適用する場合、yum は、yum update コマンドまたは yum install コマンドを使用しているかどうかに関わらず、新しいカーネルを常に インストール します。

12.5.3. YUM を使用したパッケージグループの更新

以下の手順を使用し、yum を使用してパッケージのグループとその依存関係を更新します。

手順

  • パッケージグループを更新するには、以下を使用します。

    # yum group update group-name

    group-name は、パッケージグループの名前に置き換えます。

12.5.4. YUM を使用したすべてのパッケージとその依存関係の更新

以下の手順を使用し、yum を使用してすべてのパッケージとその依存関係を更新します。

手順

  • すべてのパッケージとその依存関係を更新するには、次のコマンドを実行します。

    # yum update

12.5.6. ソフトウェア更新の自動化

パッケージの更新の確認とダウンロードを定期的に行うには、dnf-automatic パッケージの DNF Automatic ツールを使用できます。

DNF Automatic は、systemd タイマー、cron ジョブ、その他のツールを使用した自動実行および定期実行に適した yum の代替コマンドラインインターフェイスです。

DNF Automatic は、必要に応じてパッケージのメタデータを同期し、利用できる更新を確認します。その後、このツールは、設定方法に応じて以下のアクションのいずれかを実行できます。

  • 終了
  • 更新済みパッケージのダウンロード
  • 更新のダウンロードおよび適用

その後、標準出力やメールなど、選択したメカニズムによって操作の結果が報告されます。

12.5.6.1. DNF Automatic のインストール

以下の手順では、DNF Automatic ツールをインストールする方法を説明します。

手順

  • dnf-automatic パッケージをインストールするには、次のコマンドを実行します。

    # yum install dnf-automatic

検証手順

  • インストールの成功を確認するには、以下のコマンドを実行して dnf-automatic パッケージが存在することを確認します。

    # rpm -qi dnf-automatic

12.5.6.2. DNF Automatic 設定ファイル

デフォルトでは、DNF Automatic は、動作を定義するための設定ファイルとして /etc/dnf/automatic.conf を使用します。

設定ファイルは、以下のトピックセクションに分かれています。

  • [commands] セクション

    DNF Automatic の操作モードを設定します。

  • [emitters] セクション

    DNF Automatic の結果が報告される方法を定義します。

  • [command_email] セクション

    電子メールの送信に使用する外部コマンドのメールエミッター設定を提供します。

  • [email] セクション

    電子メールエミッターの設定を提供します。

  • [base] セクション

    yum の主な設定ファイルのオプションを上書きします。

/etc/dnf/automatic.conf のデフォルト設定では、DNF Automatic は、利用可能な更新を自動的にチェックし、ダウンロードして、結果を標準出力として報告します。

警告

[commands] セクションの操作モードの設定は、dnf-automatic.timer 以外のすべてのタイマーユニットに対して、systemd タイマーユニットで使用される設定によって上書きされます。

関連情報

12.5.6.3. DNF Automatic の有効化

DNF Automatic を実行するには、常に特定の systemd タイマーユニットを有効にして起動する必要があります。dnf-automatic パッケージで提供されるタイマーユニットのいずれかを使用するか、必要に応じて独自のタイマーユニットを作成することができます。

以下のセクションでは、DNF Automatic を有効にする方法を説明します。

前提条件

  • /etc/dnf/automatic.conf 設定ファイルを変更して、DNF Automatic の動作を指定している。

DNF Automatic 設定ファイルの詳細は、セクション 2.5.6.2DNF Automatic 設定ファイルを参照してください。

手順

  • ニーズに合った systemd タイマーユニットを選択し、有効にして開始します。

    # systemctl enable --now <unit>

    ここで、<unit> は以下のタイマーのいずれかです。

    • dnf-automatic-download.timer
    • dnf-automatic-install.timer
    • dnf-automatic-notifyonly.timer
    • dnf-automatic.timer

利用可能な更新の ダウンロード の場合は、次のコマンドを使用します。

# systemctl enable dnf-automatic-download.timer
# systemctl start dnf-automatic-download.timer

利用可能な更新の ダウンロードとインストール の場合は、次のコマンドを使用します。

# systemctl enable dnf-automatic-install.timer
# systemctl start dnf-automatic-install.timer

利用可能な更新の 報告 の場合は、次のコマンドを使用します。

# systemctl enable dnf-automatic-notifyonly.timer
# systemctl start dnf-automatic-notifyonly.timer

必要に応じて、以下を使用できます。

# systemctl enable dnf-automatic.timer
# systemctl start dnf-automatic.timer

更新のダウンロードおよび適用では、このタイマーユニットは /etc/dnf/automatic.conf 設定ファイルの設定に応じて動作します。デフォルトの動作は dnf-automatic-download.timer に似ています。更新されたパッケージをダウンロードしますが、インストールはしません。

注記

別の方法として、/usr/bin/dnf-automatic ファイルをコマンドラインまたはカスタムスクリプトから直接実行して、DNF Automatic も実行できます。

検証手順

  • タイマーが有効になっていることを確認するには、次のコマンドを実行します。

    # systemctl status <systemd timer unit>

関連情報

12.5.6.4. dnf-automatic パッケージに含まれる systemd タイマーユニットの概要

systemd タイマーユニットが優先され、更新のダウンロードと適用に関する /etc/dnf/automatic.conf 設定ファイルのオプションを上書きします。

たとえば、/etc/dnf/automatic.conf 設定ファイルで以下のオプションを設定していても、dnf-automatic-notifyonly.timer ユニットをアクティブにした場合は、パッケージはダウンロードされません。

download_updates = yes

dnf-automatic パッケージには、次の systemd タイマーユニットが含まれます。

タイマーユニット機能/etc/dnf/automatic.conf ファイルの設定を上書きしますか ?

dnf-automatic-download.timer

キャッシュにパッケージをダウンロードし、更新を利用できるようにします。

注記: このタイマーユニットでは更新パッケージはインストールされません。インストールを実行するには、dnf update コマンドを実行する必要があります。

はい

dnf-automatic-install.timer

更新したパッケージをダウンロードしてインストールします。

はい

dnf-automatic-notifyonly.timer

リポジトリーデータのみをダウンロードして、リポジトリーキャッシュを最新の状態に維持し、利用可能な更新について通知します。

注記: このタイマーユニットでは、更新されたパッケージはダウンロードまたはインストールされません。

はい

dnf-automatic.timer

更新のダウンロードと適用に関するこのタイマーの動作は、/etc/dnf/automatic.conf 設定ファイルの設定で指定されます。

デフォルトの動作は、dnf-automatic-download.timer ユニットと同じで、パッケージのみをダウンロードし、インストールは行いません。

いいえ

関連情報

  • dnf-automatic タイマーの詳細は、man dnf-automatic の man ページを参照してください。
  • /etc/dnf/automatic.conf 設定ファイルの詳細については、セクション DNF Automatic 設定ファイル を参照してください。

12.6. ソフトウェアパッケージのアンインストール

以下のセクションでは、yum を使用して以下を行う方法を説明します。

  • パッケージを削除する
  • パッケージグループを削除する
  • yum input にパッケージ名を指定する

12.6.1. YUM を使用したパッケージの削除

以下の手順を使用して、グループ名または groupID のいずれかでパッケージを削除します。

手順

  • 特定のパッケージおよび依存パッケージをすべて削除するには、以下を使用します。

    # yum remove package-name

    package-name を、パッケージ名に置き換えます。

  • 複数のパッケージとその依存関係を同時に削除するには、以下を使用します。

    # yum remove package-name-1 package-name-2

    package-name-1 および package-name-2 は、パッケージ名に置き換えます。

注記

yum では、依存パッケージを削除しなければパッケージを削除できません。

引数の解析方法を明示的に定義することで、パッケージ検索を最適化できます。詳細は、YUM 入力でのパッケージ名の指定 を参照してください。

12.6.2. YUM を使用したパッケージグループの削除

以下の手順を使用して、グループ名または groupID のいずれかでパッケージを削除します。

手順

  • グループ名を使用してパッケージグループを削除するには、以下を使用します。

    # yum group remove group-name

    または

    # yum remove @group-name

    group-name は、グループの完全な名前に置き換えます。

  • groupID でパッケージグループを削除するには、以下を使用します。

    # yum group remove groupID

    groupID は、グループの ID に置き換えます。

12.6.3. YUM 入力でのパッケージ名の指定

インストールと削除のプロセスを最適化するには、-n-na、または -nevra 接尾辞を yum install および yum remove コマンドに追加して、引数の解析方法を明示的に定義します。

  • 正確な名前を使用してパッケージをインストールするには、以下を使用します。

    # yum install-n name

    name は、パッケージの正確な名前に置き換えます。

  • 正確な名前およびアーキテクチャーを使用してパッケージをインストールするには、以下を使用します。

    # yum install-na name.architecture

    name および architecture は、パッケージの正確な名前およびアーキテクチャーに置き換えます。

  • 正確な名前、エポック、バージョン、リリース、およびアーキテクチャーを使用してパッケージをインストールするには、以下を使用します。

    # yum install-nevra name-epoch:version-release.architecture

    nameepochversionrelease、および architecture は、パッケージの正確な名前、エポック、バージョン、リリース、およびアーキテクチャーに置き換えます。

12.7. ソフトウェアパッケージグループの管理

パッケージグループは、共通の目的 (システムツールサウンドとビデオ) でサービスを行うパッケージの集合です。パッケージグループをインストールすると、依存パッケージも取得するため、時間が大幅に短縮できます。

以下のセクションでは、yum を使用して以下を行う方法を説明します。

  • パッケージグループを一覧表示する
  • パッケージグループをインストールする
  • パッケージグループを削除する
  • yum input での glob 表現を指定する

12.7.1. YUM を使用したパッケージグループの一覧表示

インストールされたパッケージグループを表示し、一覧表示の結果をフィルターリングするには、yum を使用します。

手順

  • インストール済みおよび利用可能なグループの数を表示するには、以下を使用します。

    # yum group summary
  • インストール済みおよび利用可能なグループをすべて一覧表示するには、以下のコマンドを使用します。

    # yum group list

    yum group list コマンドのコマンドラインオプション (--hidden--available) を追加して結果をフィルターリングできます。利用可能なオプションの詳細は、man ページを参照してください。

  • 特定のグループに含まれている必須および任意のパッケージを一覧表示するには、次のコマンドを実行します。

    # yum group info group-name

    group-name は、グループ名に置き換えます。

glob 表現を引数として追加して結果をフィルターできることに注意してください。詳細は、YUM 入力でのグローバル表現の指定 を参照してください。

12.7.2. YUM を使用したパッケージグループのインストール

以下の手順では、yum を使用して、グループ名または groupID でパッケージグループをインストールする方法を説明します。

手順

  • パッケージグループをグループ名でインストールするには、以下を使用します。

    # yum group install group-name

    または

    # yum install @group-name

    group-name は、グループまたは環境グループのフルネームに置き換えます。

  • groupID でパッケージグループをインストールするには、以下を使用します。

    # yum group install groupID

    groupID は、グループの ID に置き換えます。

12.7.3. YUM を使用したパッケージグループの削除

以下の手順を使用して、グループ名または groupID のいずれかでパッケージを削除します。

手順

  • グループ名を使用してパッケージグループを削除するには、以下を使用します。

    # yum group remove group-name

    または

    # yum remove @group-name

    group-name は、グループの完全な名前に置き換えます。

  • groupID でパッケージグループを削除するには、以下を使用します。

    # yum group remove groupID

    groupID は、グループの ID に置き換えます。

12.7.4. YUM 入力でのグローバル表現の指定

yum コマンドでは、1 つ以上の glob 表現 を引数として追加することで、結果をフィルターリングできます。yum コマンドの引数として渡す場合は、グローバル表現をエスケープする必要があります。

手順

確実に glob 表現を yum に渡すには、以下のいずれかの方法で行います。

  • glob 表現全体を二重引用符または単一引用符でくくる

    # yum provides "*/file-name"

    file-name は、ファイルの名前に置き換えます。

  • ワイルドカード文字の前にバックスラッシュ記号 (\) を入力して、ワイルドカード文字をエスケープする

    # yum provides \*/file-name

    file-name は、ファイルの名前に置き換えます。

12.8. パッケージ管理履歴の処理

yum history コマンドを使用すると、yum のトランザクションのタイムライン、トランザクションの発生日時、影響を受けたパッケージ数、トランザクション成功の有無、RPM データベースがトランザクション間で変更されたかどうかといった情報を確認できます。yum history コマンドを使用して、トランザクションを元に戻すまたはやり直すこともできます。

以下のセクションでは、yum を使用して以下を行う方法を説明します。

  • トランザクションを一覧表示する
  • トランザクションを元に戻す
  • トランザクションを繰り返す
  • yum input での glob 表現を指定する

12.8.1. YUM を使用したトランザクションの一覧表示

以下の手順を使用して、最新のトランザクション、選択したパッケージの最新の操作、および特定のトランザクションの詳細を一覧表示します。

手順

  • 最新の yum トランザクションの一覧を表示するには、以下を使用します。

    # yum history
  • 選択したパッケージの最新操作の一覧を表示するには、以下を使用します。

    # yum history list package-name

    package-name を、パッケージ名に置き換えます。glob 表現を追加して、コマンドの出力をフィルターリングできます。詳細は、YUM 入力でのグローバル表現の指定 を参照してください。

  • 特定のトランザクションを調べるには、以下を使用します。

    # yum history info transactionID

    transactionID は、トランザクションの ID に置き換えます。

12.8.2. YUM を使用してトランザクションを元に戻す方法

以下の手順では、yum を使用して、選択したトランザクションまたは最後のトランザクションを元に戻す方法を説明します。

手順

  • 特定のトランザクションを元に戻すには、以下を使用します。

    # yum history undo transactionID

    transactionID は、トランザクションの ID に置き換えます。

  • 最後のトランザクションを元に戻すには、以下を使用します。

    # yum history undo last

yum history undo コマンドは、トランザクション中に実行されたステップのみを元に戻すことに注意してください。トランザクションが新しいパッケージをインストールすると、yum history undo コマンドはこれをアンインストールします。トランザクションがパッケージをアンインストールすると、yum history undo コマンドはこれを再インストールします。yum history undo は、(古いパッケージが引き続き利用可能な場合に) 更新済みパッケージをすべて以前のバージョンにダウングレードする試みも行います。

12.8.3. yum を使用したトランザクションの繰り返し

以下の手順を使用して、yum を使用して、選択したトランザクションまたは最後のトランザクションを繰り返します。

手順

  • 特定のトランザクションを繰り返すには、以下を使用します。

    # yum history redo transactionID

    transactionID は、トランザクションの ID に置き換えます。

  • 最後のトランザクションを繰り返すには、以下を使用します。

    # yum history redo last

yum history redo コマンドは、トランザクション中に実行されたステップのみを繰り返すことに注意してください。

12.8.4. YUM 入力でのグローバル表現の指定

yum コマンドでは、1 つ以上の glob 表現 を引数として追加することで、結果をフィルターリングできます。yum コマンドの引数として渡す場合は、グローバル表現をエスケープする必要があります。

手順

確実に glob 表現を yum に渡すには、以下のいずれかの方法で行います。

  • glob 表現全体を二重引用符または単一引用符でくくる

    # yum provides "*/file-name"

    file-name は、ファイルの名前に置き換えます。

  • ワイルドカード文字の前にバックスラッシュ記号 (\) を入力して、ワイルドカード文字をエスケープする

    # yum provides \*/file-name

    file-name は、ファイルの名前に置き換えます。

12.9. ソフトウェアリポジトリーの管理

yum および関連ユーティリティーの設定情報は /etc/yum.conf ファイルに保存されます。このファイルには [repository] セクションが含まれており、リポジトリー固有のオプションを設定できます。

/etc/yum.repos.d/ ディレクトリーにある、新規または既存の .repo ファイルに個々のリポジトリーを定義することが推奨されます。

/etc/yum.conf ファイルの各 [repository] セクションで定義した値は、[main] セクションに設定した値をオーバーライドします。

次のセクションでは、以下を行う方法を説明します。

  • [repository] オプションを設定する
  • yum リポジトリーを追加する
  • yum リポジトリーを有効にする
  • yum リポジトリーを無効にする

12.9.1. YUM リポジトリーオプションの設定

/etc/yum.conf 設定ファイルには [repository] のセクションが含まれ、repository は一意のリポジトリー ID に置き換えます。[repository] セクションでは、各 yum リポジトリーを定義できます。

注記

競合を回避するために、カスタムリポジトリーには Red Hat リポジトリーで使用される名前を指定しないでください。

利用可能な [repository] オプションの完全なリストは、yum.conf(5) man ページの [repository] OPTIONS セクションを参照してください。

12.9.2. YUM リポジトリーの追加

手順

新規リポジトリーを定義するには、以下を行います。

  • [repository] セクションを /etc/yum.conf ファイルに追加します。
  • /etc/yum.repos.d/ ディレクトリーの .repo ファイルに [repository] セクションを追加します。

    +

yum リポジトリーは、一般的に .repo ファイルを提供します。

注記

このディレクトリーにある、.repo ファイル拡張子が付いたすべてのファイルを yum が読み取るため、リポジトリーは、/etc/yum.conf ではなく、.repo ファイルに定義することが推奨されます。

  • システムにリポジトリーを追加して有効にするには、以下を使用します。

    # yum-config-manager --add-repo repository_URL

    repository_url は、リポジトリーを参照する URL に置き換えます。

警告

ソフトウェアパッケージを、Red Hat の認証ベース Content Delivery Network (CDN) 以外の未検証または信頼できないソースから取得してインストールする場合には、セキュリティー上のリスクが伴います。セキュリティー、安定性、互換性、保全性に関する問題につながる恐れがあります。

12.9.3. YUM リポジトリーの有効化

システムに `yum` レポジトリーを追加したら、これを有効にし、確実にインストールと更新を実行できるようにしてください。

手順

  • リポジトリーを有効にするには、以下を使用します。

    # yum-config-manager --enable repositoryID

    repositoryID は、一意のリポジトリー ID に置き換えます。

    利用可能なリポジトリー ID を一覧表示するには、YUM を使用したパッケージの一覧表示 を参照してください。

12.9.4. YUM リポジトリーの無効化

特定の YUM リポジトリーを無効にして、特定のパッケージがインストールまたは更新されないようにします。

手順

  • yum リポジトリーを無効にするには、以下のコマンドを使用します。

    # yum-config-manager --disable repositoryID

    repositoryID は、一意のリポジトリー ID に置き換えます。

    利用可能なリポジトリー ID を一覧表示するには、YUM を使用したパッケージの一覧表示 を参照してください。

12.10. YUM の設定

yum および関連ユーティリティーの設定情報は /etc/yum.conf ファイルに保存されます。このファイルには、必須の [main] セクションが含まれており、このセクションを使用することで yum オプションを設定してグローバルに設定を適用できます。

次のセクションでは、以下を行う方法を説明します。

  • 現在の yum 設定を表示します。
  • yum [main] オプションを設定します。
  • yum プラグインを使用します。

12.10.1. 現在の YUM の設定を表示する

以下の手順を使用して、現在の yum 設定を表示します。

手順

  • /etc/yum.conf ファイルの [main] セクションで指定されるグローバル yum オプションの現在の値を表示するには、以下を使用します。

    # yum config-manager --dump

12.10.2. YUM のメインオプションの設定

/etc/yum.conf 設定ファイルには [main] セクションが 1 つ含まれています。本セクションの鍵と値のペアにより、yum の動作とリポジトリーの処理方法が変わります。

/etc/yum.conf[main] セクションの下に、オプションを追加できます。

利用可能な [main] オプションの詳細なリストは、yum.conf(5) man ページの [main] OPTIONS セクションを参照してください。

12.10.3. YUM プラグインの使用

yum は、その操作を拡張し、強化するプラグインを提供します。特定のプラグインが、デフォルトでインストールされています。

以下のセクションでは、yum プラグインを有効、設定、および無効にする方法を説明します。

12.10.3.1. YUM プラグインの管理

手順

プラグイン設定ファイルには常に [main] セクションが含まれます。このセクションでは、enabled= オプションで、yum コマンドを実行する際にプラグインを有効にするかどうかを制御します。このオプションがファイルに含まれていない場合は手動で追加できます。

/etc/dnf/plugins/ ディレクトリーには、インストールしているすべてのプラグインに対する設定ファイルがあります。これらのファイルでは、プラグイン固有のオプションを有効または無効にできます。

12.10.3.2. YUM プラグインの有効化

以下の手順では、すべての YUM プラグインを無効または有効にする方法、特定のコマンドのすべてのプラグインを無効にする方法、または単一のコマンドの特定の YUM プラグインを無効にする方法について説明します。

+

手順

  • すべての yum プラグインを有効にするには、以下を実行します。

    1. plugins= で始まる行が /etc/yum.conf ファイルの [main] セクションにあることを確認します。
    2. plugins= の値を 1 に設定します。

      plugins=1

12.10.3.3. YUM プラグインの無効化

  • yum プラグインをすべて無効にするには、以下を実行します。

    1. plugins= で始まる行が /etc/yum.conf ファイルの [main] セクションにあることを確認します。
    2. plugins= の値を 0 に設定します。

      plugins=0
      重要

      プラグインをすべて無効にすることは推奨 していません。プラグインによっては、重要な yum サービスを提供します。その中でも product-id プラグインおよび subscription-manager プラグインは、証明書ベースの Content Delivery Network (CDN) への対応に必要です。システム全体でプラグインを簡単に無効にできますが、通常は yum での潜在的な問題を診断する時に限り使用することを推奨します。

  • 特定のコマンドで yum プラグインをすべて無効にするには、--noplugins オプションをコマンドに追加します。

    # yum --noplugins update
  • 1 つのコマンドで特定の yum プラグインを無効にするには、--disableplugin=plugin-name オプションをコマンドに追加します。

    # yum update --disableplugin=plugin-name

    plugin-name をプラグインの名前に置き換えます。

第13章 systemd の概要

システム管理者は、systemd、Linux オペレーティングシステム用のシステムおよびサービスマネージャーと対話する必要があります。systemd ソフトウェアスイートは、開始時や多くのシステムを初期化するために、システムの状態を制御および報告するツールおよびサービスを提供します。Red Hat Enterprise Linux 7 以降、systemd は Upstart をデフォルトの init システムに置き換え、SysV init スクリプトと後方互換性があります。systemd ソフトウェアスイートは、以下のような機能を提供します。

  • 起動時のシステムサービスの並列開始
  • デーモンのオンデマンドアクティベーション
  • 依存関係ベースのサービス制御ロジック。

システムリソースとサービスの表現として、systemdsystemd units の概念を導入します。特定のタスクを実行または制御する systemd ユニットは、systemd が管理する基本オブジェクトです。さまざまな systemd ユニットタイプの以下の例を参照してください。

  • サービス
  • ターゲット
  • デバイス
  • マウント
  • タイマー
  • init システムに関連するその他のタイプ。
注記

利用可能なユニットタイプをすべて表示する場合は、以下を使用します。

 # systemctl -t help

systemd ユニットは、ユニットのタスクを定義する名前、タイプ、および設定ファイルで設定されます。ユニット設定ファイルは、次の表に記載されているディレクトリーのいずれかにあります。

表13.1 systemd のユニットファイルの場所

ディレクトリー説明

/usr/lib/systemd/system/

インストール済みの RPM パッケージで配布された systemd のユニットファイル。

/run/systemd/system/

ランタイム時に作成された systemd ユニットファイル。このディレクトリーは、インストール済みのサービスのユニットファイルのディレクトリーよりも優先されます。

/etc/systemd/system/

systemctl enable で作成された systemd ユニットファイル、およびサービス拡張向けに追加されたユニットファイル。このディレクトリーは、runtime のユニットファイルのディレクトリーよりも優先されます。

systemd のデフォルト設定はコンパイル中に定義され、/etc/systemd/system.conf ファイルで確認できます。ここに記載されるデフォルトではなく、systemd ユニットでグローバルに選択したデフォルト値を上書きする場合は、このファイルを使用します。

たとえば、タイムアウト制限のデフォルト値 (90 秒) を上書きする場合は、DefaultTimeoutStartSec パラメーターを使用して、上書きする値を秒単位で入力します。

DefaultTimeoutStartSec=required value

13.1. 関連情報

第14章 systemctl によるシステムサービス管理

システム管理者は、システムサービスを管理し、サービスの起動、停止、再起動、有効化、およびシステムサービスのステータスの表示など、さまざまなサービスに関連するさまざまなタスクを実行します。systemd システムおよびサービスマネージャーと対話するには、systemctl ユーティリティーを使用します。

14.1. システムサービスの一覧表示

現在読み込み済みのサービスユニットと、利用可能なサービスユニットのステータスをすべて一覧表示できます。

手順

  • 現在読み込み済みのサービスユニットの一覧をすべて表示するには、次のコマンドを実行します。

    $ systemctl list-units --type service
    UNIT                     LOAD   ACTIVE SUB     DESCRIPTION
    abrt-ccpp.service        loaded active exited  Install ABRT coredump hook
    abrt-oops.service        loaded active running ABRT kernel log watcher
    abrtd.service            loaded active running ABRT Automated Bug Reporting Tool
    ----
    systemd-vconsole-setup.service loaded active exited  Setup Virtual Console
    tog-pegasus.service            loaded active running OpenPegasus CIM Server
    
    LOAD   = Reflects whether the unit definition was properly loaded.
    ACTIVE = The high-level unit activation state, i.e. generalization of SUB.
    SUB    = The low-level unit activation state, values depend on unit type.
    
    46 loaded units listed. Pass --all to see loaded but inactive units, too.
    To show all installed unit files use 'systemctl list-unit-files'

    デフォルトでは、systemctl list-units コマンドは、アクティブなユニットのみを表示します。このコマンドは、サービスのユニットファイルごとに以下を表示します。

    • UNIT: フルネーム
    • LOAD: ユニットファイルが読み込まれているかどうかに関する情報
    • ACTIVE または SUB: 高レベルかつ低レベルのユニットファイルアクティベーションの状態
    • DESCRIPTION: 簡単な説明
  • 状態に関係なく読み込み済みユニット の一覧を表示するには、コマンドラインオプション --all または -a を指定して以下のコマンドを実行します。

    $ systemctl list-units --type service --all
  • 利用可能なサービスユニットのステータス (enabled または disabled) を一覧表示するには、次のコマンドを実行します。

    $ systemctl list-unit-files --type service
    UNIT FILE                               STATE
    abrt-ccpp.service                       enabled
    abrt-oops.service                       enabled
    abrtd.service                           enabled
    ...
    wpa_supplicant.service                  disabled
    ypbind.service                          disabled
    
    208 unit files listed.

    このコマンドでは、サービスユニットごとに以下を表示します。

    • UNIT FILE: フルネーム
    • STATE: サービスユニットが有効または無効であるかどうかに関する情報

14.2. システムサービスステータスの表示

サービスユニットを検査して、詳細情報を取得し、サービスの状態を確認できます。特定のサービスユニットの前または後に起動するように指定されたサービスを表示することもできます。

手順

  • システムサービスに対応するサービスユニットに関する詳細情報を表示するには、次のコマンドを実行します。

    $ systemctl status <name>.service

    <name> は、確認するサービスユニットの名前 (例: gdm) に置き換えます。

    このコマンドは、選択したサービスユニットの名前に続いて、その簡単な説明、root ユーザーによって実行された場合は 利用可能なサービスユニットの情報 で説明されている 1 つ以上のフィールド、および最新のログエントリーを表示します。

    表14.1 利用可能なサービスユニットの情報

    フィールド説明

    Loaded

    サービスユニットが読み込まれているかどうか、ユニットファイルへの絶対パス、ユニットが有効かどうかについての説明

    Active

    サービスユニットが実行中かどうかの説明と、タイムスタンプ

    Main PID

    対応するシステムサービスの PID と、その名前

    状態

    対応するシステムサービスに関する追加情報

    Process

    関連プロセスに関する追加情報

    CGroup

    関連するコントロールグループ (cgroup) に関する追加情報

    例14.1 サービスステータスの表示

    GNOME Display Manager のサービスユニット名は gdm.service になります。このサービスユニットの現在のステータスを確認するには、シェルプロンプトで次のコマンドを実行します。

    # systemctl status gdm.service
    gdm.service - GNOME Display Manager
       Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/gdm.service; enabled)
       Active: active (running) since Thu 2013-10-17 17:31:23 CEST; 5min ago
     Main PID: 1029 (gdm)
       CGroup: /system.slice/gdm.service
               ├─1029 /usr/sbin/gdm
               ├─1037 /usr/libexec/gdm-simple-slave --display-id /org/gno...
               └─1047 /usr/bin/Xorg :0 -background none -verbose -auth /r...
    
    Oct 17 17:31:23 localhost systemd[1]: Started GNOME Display Manager.
  • 特定のサービスユニットが実行中かどうかだけを確認するには、次のコマンドを実行します。

    $ systemctl is-active <name>.service
  • 特定のサービスユニットが有効になっているかどうかを確認するには、次のコマンドを実行します。

    $ systemctl is-enabled <name>.service
    注記

    systemctl is-active および systemctl is-enabled は、指定したサービスユニットが実行中または有効な場合に、終了ステータス 0 を返します。

  • 特定のサービスユニットの前に開始するサービスを確認するには、次のコマンドを実行します。

    # systemctl list-dependencies --after <name>.service

    <name> は、コマンド内のサービス名に置き換えます。

    たとえば、gdm の前に開始するサービスの一覧を表示する場合は、次のコマンドを実行します。

    # systemctl list-dependencies --after gdm.service
    gdm.service
    ├─dbus.socket
    ├─getty@tty1.service
    ├─livesys.service
    ├─plymouth-quit.service
    ├─system.slice
    ├─systemd-journald.socket
    ├─systemd-user-sessions.service
    └─basic.target
    [output truncated]
  • 指定したサービスユニットの後に開始するサービスを確認するには、次のコマンドを実行します。

    # systemctl list-dependencies --before <name>.service

    <name> は、コマンド内のサービス名に置き換えます。

    たとえば、gdm の後に開始するサービスの一覧を表示するには、次のコマンドを実行します。

    # systemctl list-dependencies --before gdm.service
    gdm.service
    ├─dracut-shutdown.service
    ├─graphical.target
    │ ├─systemd-readahead-done.service
    │ ├─systemd-readahead-done.timer
    │ └─systemd-update-utmp-runlevel.service
    └─shutdown.target
      ├─systemd-reboot.service
      └─final.target
        └─systemd-reboot.service

14.3. システムサービスの起動

start コマンドを使用すると、現行セッションでシステムサービスを開始できます。

前提条件

  • システムへの root アクセス権限がある。

手順

  • システムサービスに対応するサービスユニットを選択して開始するには、root で次のコマンドを実行します。

    # systemctl start <name>.service

    <name> は、開始するサービスユニットの名前 (httpd.service など) に置き換えます。

    例14.2 httpd.service の起動

    Apache HTTP Server のサービスユニットは指定の httpd.service に置き換えます。サービスユニットをアクティブにし、現行セッションで httpd デーモンを起動するには、root で次のコマンドを実行します。

    # systemctl start httpd.service
    注記

    systemd には、サービス間で正と負の依存関係が存在します。特定のサービスを起動するとき、別のサービスを 1 つまたは複数開始 (正の依存関係)、あるいはサービスを 1 つまたは複数停止 (負の依存関係) することが必要となる場合があります。

    新しいサービスの起動を試みると、ユーザーに明示的な通知なしに、systemd がすべての依存関係を自動的に解決します。つまり、サービスを実行していて、負の依存関係にある別のサービスを起動しようとすると、最初のサービスが自動的に停止します。

    たとえば、postfix サービスを実行している時に sendmail サービスを起動すると、systemd は、自動的に postfix を停止します。この 2 つのサービスは競合するため、同じポートでは実行できません。

14.4. システムサービスの停止

現行セッションでシステムサービスを停止するには、stop コマンドを使用します。

前提条件

  • システムへの root アクセス権限がある。

手順

  • システムサービスに対応するサービスユニットを停止するには、root で次のコマンドを実行します。

    # systemctl stop <name>.service

    <name> は、停止するサービスユニットの名前 (例 : bluetooth) に置き換えます。

    例14.3 bluetoothd.service の停止

    bluetoothd デーモンのサービスユニットは bluetooth.service です。サービスユニットを無効にし、現行セッションで bluetoothd デーモンを停止するには、root で次のコマンドを実行します。

    # systemctl stop bluetooth.service

14.5. システムサービスの再起動

restart コマンドを使用すると、現行セッションでシステムサービスを再起動できます。

この手順では、以下の方法を説明します。

  • 現行セッションで選択したサービスユニットを停止して直ちに再起動する
  • 対応するサービスがすでに実行中の場合にのみ、サービスユニットを再起動する
  • 実行を中断せずにシステムサービスの設定を再読み込みする

前提条件

  • システムへの root アクセス権限がある。

手順

  • システムサービスに対応するサービスユニットを再起動します。

    # systemctl restart <name>.service

    <name> は、再起動するサービスユニット名 (例: httpd) に置き換えます。

    注記

    選択したサービスユニットが実行中でない場合には、このコマンドでこのサービスユニットが起動します。

  • または、対応するサービスがすでに実行中の場合に限り、サービスユニットを再起動します。

    # systemctl try-restart <name>.service
  • または、サービスの実行を中断せずに設定を再読み込みします。

    # systemctl reload <name>.service
    注記

    システムサービスがこの機能をサポートしない場合は、このコマンドは無視されることに注意してください。このようなサービスを再起動するには、代わりに reload-or-restart コマンドおよび reload-or-try-restart コマンドを使用します。

    例14.4 httpd.service のリロード

    ユーザーが不要なエラーメッセージや、部分的に表示される Web ページに遭遇しないようにするため、Apache HTTP Server では設定を再起動したり、処理されたリクエストをアクティブに妨害したりせずに、設定を編集したり再読み込みしたりできます。これを実行するには、次のコマンドを使用します。

    # systemctl reload httpd.service

14.6. システムサービスの有効化

システムの起動時にサービスが自動起動するように設定できます。enable コマンドは、選択したサービスユニットの [Install] セクションを読み取り、/etc/systemd/system/ ディレクトリーおよびそのサブディレクトリーにある /usr/lib/systemd/system/name.service ファイルへの適切なシンボリックリンクを作成します。ただし、すでに存在するリンクは上書きされません。

前提条件

  • システムへの root アクセス権限がある。

手順

  • システムの起動時にシステムサービスに対応するサービスユニットを自動的に起動するように設定します。

    # systemctl enable <name>.service

    <name> は、有効にするサービスユニット名 (httpd など) に置き換えます。

  • または、シンボリックリンクが確実に再作成されるようにするには、システムユニットを再度有効にします。

    # systemctl reenable <name>.service

    このコマンドは、選択したサービスユニットを無効にし、即座に再度有効にします。

    例14.5 httpd.service の有効化

    システムの起動時に Apache HTTP Server が自動的に起動するように設定するには、次のコマンドを使用します。

    # systemctl enable httpd.service
    Created symlink from /etc/systemd/system/multi-user.target.wants/httpd.service to /usr/lib/systemd/system/httpd.service.

14.7. システムサービスの無効化

システムの起動時にサービスユニットが自動的に起動しないようにすることができます。disable コマンドは、選択したサービスユニットの [Install] セクションを読み取り、 /etc/systemd/system/ ディレクトリーおよびそのサブディレクトリーから、/usr/lib/systemd/system/name.service ファイルへの適切なシンボリックリンクを削除します。

前提条件

  • システムへの root アクセス権限がある。

手順

  • システムの起動時に自動的に起動しないシステムサービスに対応するサービスユニットを設定するには、root で次のコマンドを実行します。

    # systemctl disable <name>.service

    <name> は、無効にするサービスユニット名 (bluetooth など) に置き換えます。

    例14.6 bluetoothd.service の無効化

    bluetoothd デーモンのサービスユニットは bluetooth.service です。システムの起動時にこのサービスユニットが起動しないようにするには、root で次のコマンドを実行します。

    # systemctl disable bluetooth.service
    Removed symlink /etc/systemd/system/bluetooth.target.wants/bluetooth.service.
    Removed symlink /etc/systemd/system/dbus-org.bluez.service.
  • または、サービスユニットをマスクし、手動で起動しないように、または別のサービスで開始しないようにすることもできます。

    # systemctl mask <name>.service

    このコマンドにより、/etc/systemd/system/name.service ファイルを、/dev/null へのシンボリックリンクに置き換え、実際のユニットファイルが systemd ファイルにアクセスできないようにします。

  • この動作を元に戻してサービスユニットのマスクを解除するには、以下のコマンドを実行します。

    # systemctl unmask <name>.service

第15章 systemd ターゲットでの作業

systemd のターゲットは、システムの開始時の同期ポイントとして機能します。.target ファイル拡張子で終わるターゲットユニットファイルは、systemd ターゲットを表します。ターゲットユニットの目的は、依存関係のチェーンでさまざまな systemd ユニットをグループ化することです。

以下の例を参照してください。

  • グラフィカルセッションを開始するための graphical.target unit は、GNOME Display Manager (gdm.service)または Accounts Service (accounts-daemon.service)などのシステムサービスを開始し、multi-user.target unit もアクティブにします。
  • 同様に、multi-user.target ユニットは、NetworkManager (NetworkManager.service)、D-Bus (dbus.service) といった、その他の必須システムサービスを開始し、basic.target という別のターゲットユニットをアクティブにします。

systemd ターゲットの使用中に、デフォルトのターゲットの表示、変更、または現在のターゲットの変更を行うことができます。

15.1. デフォルトターゲットの表示

systemctl コマンドを使用してデフォルトのターゲットを表示するか、デフォルトのターゲットユニットを表す /etc/systemd/system/default.target ファイルを調べます。

手順

  • デフォルトでどのターゲットユニットが使用されるかを判断するには、次のコマンドを実行します。

    $ systemctl get-default
    graphical.target
  • シンボリックリンクを使用してデフォルトのターゲットを確認するには、次のコマンドを実行します。

    $  ls -l /usr/lib/systemd/system/default.target

15.2. ターゲットユニットの表示

すべてのユニットタイプを表示したり、現在読み込まれているターゲットユニットに制限したりできます。デフォルトでは、systemctl list-units コマンドは、アクティブなユニットのみを表示します。

手順

  • 状態に関係なく読み込み済みのユニットの一覧を表示します。

    $ systemctl list-units --type target --all
  • または、現在読み込み済みのターゲットユニットの一覧を表示します。

    $ systemctl list-units --type target
    
    UNIT                  LOAD   ACTIVE SUB    DESCRIPTION
    basic.target          loaded active active Basic System
    cryptsetup.target     loaded active active Encrypted Volumes
    getty.target          loaded active active Login Prompts
    graphical.target      loaded active active Graphical Interface
    local-fs-pre.target   loaded active active Local File Systems (Pre)
    local-fs.target       loaded active active Local File Systems
    multi-user.target     loaded active active Multi-User System
    network.target        loaded active active Network
    paths.target          loaded active active Paths
    remote-fs.target      loaded active active Remote File Systems
    sockets.target        loaded active active Sockets
    sound.target          loaded active active Sound Card
    spice-vdagentd.target loaded active active Agent daemon for Spice guests
    swap.target           loaded active active Swap
    sysinit.target        loaded active active System Initialization
    time-sync.target      loaded active active System Time Synchronized
    timers.target         loaded active active Timers
    
    LOAD   = Reflects whether the unit definition was properly loaded.
    ACTIVE = The high-level unit activation state, i.e. generalization of SUB.
    SUB    = The low-level unit activation state, values depend on unit type.
    
    17 loaded units listed.

15.3. デフォルトターゲットの変更

デフォルトのターゲットユニットは /etc/systemd/system/default.target ファイルで表されます。以下の手順では、systemctl コマンドを使用して、デフォルトのターゲットを変更する方法を説明します。

手順

  1. デフォルトのターゲットユニットを確認するには、次のコマンドを実行します。

    # systemctl get-default
  2. デフォルトで異なるターゲットユニットを使用するようにシステムを設定するには、次のコマンドを実行します。

    # systemctl set-default multi-user.target
    rm /etc/systemd/system/default.target
    ln -s /usr/lib/systemd/system/multi-user.target /etc/systemd/system/default.target

    このコマンドにより、/etc/systemd/system/default.target ファイルが、/usr/lib/systemd/system/name.target へのシンボリックリンクに置き換わります。name は、使用するターゲットユニットの名前になります。multi-user は、デフォルトで使用するターゲットユニット名に置き換えます。

    表15.1 set-default コマンドの共通のターゲット

    basic

    基本的な起動を対象とするユニットターゲット

    rescue

    ベースシステムにプルしてレスキューシェルを生成するユニットターゲット

    multi-user

    マルチユーザーシステムを設定するためのユニットターゲット

    graphical

    グラフィカルログイン画面を設定するためのユニットターゲット

    emergency

    メインコンソールで緊急シェルを起動するユニットターゲット

    sysinit

    システムの初期化に必要なサービスをプルするユニットターゲット

  3. 再起動

    # reboot

関連情報

  • systemd.special の man ページ
  • bootup の man ページ

15.5. 現在のターゲットの変更

デフォルトのターゲットユニットを設定すると、次回の再起動まで現在のターゲットは変更されません。再起動せずに現行セッションでターゲットユニットを変更する場合は、systemctl isolate コマンドを使用します。

手順

  • 現行セッションで別のターゲットユニットに変更します。

    # systemctl isolate multi-user.target

    このコマンドは、multi-user という名前のターゲットユニットと、その従属ユニットをすべて起動し、その他のユニットを直ちに停止します。

multi-user は、デフォルトで使用するターゲットユニット名に置き換えます。

検証手順

  • 新規作成された default.target を確認します。

    $ systemctl get-default
    multi-user.target

15.6. レスキューモードでの起動

レスキューモード は、便利なシングルユーザー環境を提供し、通常の起動プロセスを完了できない状況でのシステムの修復を可能にします。レスキューモードでは、システムはすべてのローカルファイルシステムのマウントと、特定の重要なシステムサービスの開始を試みますが、ネットワークインターフェイスをアクティブにしたり、他のユーザーによるシステムへの同時ログインを許可したりすることはしません。

手順

  • レスキューモードに入るには、現行セッションで現在のターゲットを変更します。

    # systemctl rescue
    
    Broadcast message from root@localhost on pts/0 (Fri 2013-10-25 18:23:15 CEST):
    
    The system is going down to rescue mode NOW!
    注記

    このコマンドは systemctl isolate rescue.target と似ていますが、システムに現在ログイン中の全ユーザーに情報メッセージを送信します。

    systemd がメッセージを送信しないようにするには、--no-wall コマンドラインオプションを指定して以下のコマンドを実行します。

    # systemctl --no-wall rescue

15.7. 緊急モードでの起動

緊急モード は、可能な限り最小限の環境を提供し、レスキューモードに入れないシステム状態でのシステムの修復を可能にします。緊急モードでは、システムは root ファイルシステムを読み込み専用でマウントし、他のローカルファイルシステムのマウントは試みません。また、ネットワークインターフェイスのアクティブ化も行わず、限定的な必須サービスのみを起動します。

手順

  • 緊急モードに入るには、現在のターゲットを変更します。

    # systemctl emergency
    注記

    このコマンドは systemctl isolate emergency.target と似ていますが、システムに現在ログイン中の全ユーザーに情報メッセージを送信します。

    systemd がメッセージを送信しないようにするには、--no-wall コマンドラインオプションを指定して以下のコマンドを実行します。

    # systemctl --no-wall emergency

第16章 システムのシャットダウン、サスペンド、および休止状態

本セクションでは、オペレーティングシステムのシャットダウン、サスペンド、または休止状態を説明します。

16.1. システムのシャットダウン

システムをシャットダウンする場合は、systemctl ユーティリティーを使用するか、shutdown コマンドを使用してこのユーティリティーを呼び出します。

shutdown コマンドを使用する利点は、以下のとおりです。

  • 時間引数のサポート

    この引数は特に、計画的なメンテナーンスに役立ちます。また、システムのシャットダウンがスケジュールされていることを示す警告への対応時間を増やすことができます。

  • シャットダウンの取り消しオプション

16.2. shutdown コマンドを使用したシステムのシャットダウン

以下の手順に従って、shutdown コマンドを使用してさまざまな操作を実行できます。特定のタイミングでシステムをシャットダウンしてマシンの電源を切るか、マシンの電源を切らずにシステムをシャットダウンして停止するか、保留中のシャットダウンを中止できます。

前提条件

  • root ユーザーに切り替える

手順

  • システムをシャットダウンし、特定の時間にマシンの電源を切るには、以下の形式でコマンドを実行します。

    shutdown --poweroff hh:mm

    hh:mm は 24 時間形式の時刻となります。新たなログインを防ぐために、システムをシャットダウンする 5 分前に /run/nologin ファイルが作成されます。

    時間引数を使用する場合は、コマンドにオプションの wall message を追加できます。

    マシンの電源を切らず、少し待ってシステムをシャットダウンして停止するには、次のコマンドを実行します。

    shutdown --halt +m

    +m は遅らせる時間 (分) です。キーワード now は、+0 のエイリアスとなります。

    保留中のシャットダウンをキャンセルするには、以下を使用します。

    shutdown -c

16.3. systemctl コマンドを使用したシステムのシャットダウン

以下の手順に従って、systemctl コマンドを使用して、さまざまな操作を実行できます。システムをシャットダウンしてマシンの電源を切るか、マシンの電源を切らずにシステムをシャットダウンして停止できます。

前提条件

  • root ユーザーに切り替える

手順

  • システムをシャットダウンしてマシンの電源を切るには、以下の形式でコマンドを実行します。

    systemctl poweroff

    マシンの電源を切らずにシステムをシャットダウンして停止するには、以下を使用します。

    systemctl halt
注記

デフォルトでは、このコマンドのいずれかを実行すると、systemd が、システムに現在ログインしたすべてのユーザーに情報メッセージを送信します。systemd がメッセージを送信しないようにするには、コマンドラインオプション --no-wall を付けてコマンドを実行します。

16.4. システムの再起動

この手順に従ってシステムを再起動できます。

前提条件

  • root ユーザーに切り替える

手順

  • システムを再起動するには、以下のコマンドを実行します。

    systemctl reboot
注記

デフォルトでは、このコマンドにより、systemd が、システムに現在ログインしたすべてのユーザーに情報メッセージを送信します。systemd がこのメッセージを送信しないようにするには、コマンドラインオプション --no-wall を付けてこのコマンドを実行します。

16.5. システムのサスペンド

以下の手順に従って、システムを一時停止できます。

前提条件

  • root ユーザーに切り替える。

手順

  • システムを一時停止するには、以下のコマンドを実行します。

    systemctl suspend

    このコマンドは、システムの状態を RAM に保存し、マシンにある、RAM モジュール以外のほとんどのデバイスの電源を切ります。マシンの電源を戻すと、システムは再起動せずに RAM からその状態を復元します。

    システムの状態がハードディスクではなくメモリーに保存されるため、システムは、ハイバネートよりも、サスペンドモードからのほうがはるかに早く復元できます。ただし、一時停止したシステムの状態は、停電に対しても脆弱であることに注意してください。

16.6. システムの休止状態

以下の手順に従うと、システムを休止状態にするか、休止状態にして一時停止することができます。

前提条件

  • root ユーザーに切り替える。

手順

  • システムを休止状態にするには、以下のコマンドを実行します。

    systemctl hibernate

    このコマンドは、システムの状態をハードディスクドライブに保存し、マシンの電源を切ります。マシンの電源を戻すと、システムは再起動せずに、保存されたデータからその状態を復元します。

    システムの状態がメモリーではなくハードディスクに保存されるため、マシンでメモリーモジュールへの電源供給を維持する必要はありません。ただし、システムは、一時停止モードより、休止状態から復元する方がはるかに遅くなります。

    システムを休止状態にして一時呈すするには、以下のコマンドを実行します。

    systemctl hybrid-sleep

16.7. systemctl を使用した電源管理コマンドの概要

以下の systemctl コマンドを使用して、システムの電源管理を制御できます。

表16.1 systemctl 電源管理コマンドの概要

systemctl コマンド説明

systemctl halt

システムを停止します。

systemctl poweroff

システムの電源を切ります。

systemctl reboot

システムを再起動します。

systemctl suspend

システムをサスペンドします。

systemctl hibernate

システムを休止状態にします。

systemctl hybrid-sleep

システムを休止状態にしてサスペンドします。

第17章 systemd ユニットファイルでの作業

本章では、systemd ユニットファイルに関する説明が含まれています。以下のセクションでは、次の方法を紹介します。

  • カスタムユニットファイルの作成
  • SysV Init スクリプトのユニットファイルへの変換
  • 既存のユニットファイルの変更
  • インスタンス化されたユニットの使用

17.1. ユニットファイルの概要

ユニットファイルには、ユニットを説明し、その動作を定義する設定ディレクティブが含まれます。複数の systemctl コマンドがバックグラウンドでユニットファイルと連携します。詳細な調整を行うには、システム管理者がユニットファイルを手動で編集または作成する必要があります。systemd のユニットファイルの場所 には、システムにユニットファイルが保存される 3 つの主なディレクトリーが記載されています。/etc/systemd/system/ ディレクトリーは、システム管理者が作成またはカスタマイズするユニットファイル用に予約されます。

ユニットファイル名は、以下のフォーマットを使用します。

unit_name.type_extension

unit_name はユニットの名前を表し、type_extension はユニットの種類を表します。ユニットタイプの一覧は、systemd ユニットファイル を参照してください。

たとえば、通常は、システムには sshd.service ユニットおよび sshd.socket ユニットがあります。

ユニットファイルには、追加の設定ファイルのディレクトリーを追加できます。たとえば、カスタム設定オプションを sshd.service に追加するには、sshd.service.d/custom.conf ファイルを作成し、追加のディレクティブを挿入します。設定ディレクトリーの詳細については、Modifying existing unit files を参照してください。

さらに、sshd.service.wants/ ディレクトリーおよび sshd.service.requires/ ディレクトリーを作成することもできます。このディレクトリーには、sshd サービスの依存関係であるユニットファイルへのシンボリックリンクが含まれます。シンボリックリンクは、[Install] ユニットファイルに基づいてインストール時に、または [Unit] オプションに基づいてランタイム時に自動的に作成されます。このディレクトリーとシンボリックリンクを手動で作成することもできます。[Install] オプションおよび [Unit] オプションの詳細は、以下の表を参照してください。

多くのユニットファイルオプションは、いわゆる ユニット指定子 を使用して設定できます。これは、ユニットファイルが読み込まれる際にユニットパラメーターに動的に置き換えられるワイルドカード文字列です。これにより、インスタンス化されたユニットを生成するテンプレートとしてのロールを担う汎用ユニットファイルを作成できます。インスタンス化されたユニットの使用 を参照してください。

17.2. ユニットファイル構造

通常、ユニットファイルは 3 つのセクションで設定されています。

  • [Unit] セクション- ユニットのタイプに依存しない一般的なオプションが含まれます。このセクションに含まれるオプションはユニットを説明し、ユニットの動作を指定し、他のユニットへの依存関係を設定します。最も頻繁に使用される [Unit] オプションの一覧は、重要な [Unit] セクションのオプション を参照してください。
  • [Unit type] セクション - ユニットにタイプ固有のディレクティブがある場合は、そのユニットタイプにちなんで命名されたセクションにまとめられます。たとえば、サービスユニットファイルには [Service] セクションが含まれます。
  • [Install] セクション - systemctl enable コマンドおよび disable コマンドで使用されるユニットのインストールに関する情報が含まれています。[Install] セクションのオプション一覧は、Important [Install] セクションのオプション を参照してください。

17.3. [Unit] セクションの重要なオプション

以下の表は、[Unit] セクションの重要なオプションを示しています。

表17.1 [Unit] セクションの重要なオプション

オプション [a]説明

説明

ユニットの説明です。このテキストは、たとえば systemctl status コマンドの出力に表示されます。

Documentation

ユニットのドキュメントを参照する URI の一覧を提供します。

After[b]

ユニットが開始する順序を定義します。このユニットは、After で指定されたユニットがアクティブになると開始します。Requires とは異なり、After は、指定したユニットを明示的にアクティブにしません。Before オプションには、After と機能が反対になります。

Requires

その他のユニットに依存関係を設定します。Requires に一覧表示されるユニットは、対応するユニットと共にアクティブになります。必要なユニットのいずれかが開始しないと、このユニットはアクティブになりません。

Wants

Requires よりも強度の弱い依存関係を設定します。一覧に示されるユニットのいずれかが正常に開始しなくても、このユニットのアクティべーションには影響を与えません。これは、カスタムのユニット依存関係を設定する際に推奨される方法です。

Conflicts

Requires と反対の依存関係 (負の依存関係) を設定します。

[a] [Unit] セクションで設定可能なオプションの一覧は、systemd.unit(5) の man ページを参照してください。
[b] ほとんどの場合、ユニットファイルオプションの After および Before で依存関係の並び順を設定するだけで十分です。Wants (推奨) または Requires で要件の依存関係も設定する場合は、依存関係の並び順を指定する必要があります。これは、並び順と要件の依存関係が相互に依存していないためです。

17.4. [Service] セクションの重要なオプション

以下の表では、[Service] セクションの重要なオプションを紹介しています。

表17.2 [Service] セクションの重要なオプション

オプション [a]説明

Type

ExecStart および関連オプションの機能に影響を与えるユニットプロセスの起動タイプを設定します。以下のいずれかになります。

* simple - デフォルト値です。ExecStart で起動するプロセスは、サービスのメインプロセスです。

* forking - ExecStart で起動するプロセスは、サービスのメインプロセスになる子プロセスを起動します。親プロセスは、このプロセスが完了すると終了します。

* oneshot - このタイプは simple と似ていますが、結果として生じるユニットを起動する前に終了します。

* dbus - このタイプは simple と似ていますが、メインプロセスが D-Bus 名を取得する前に、結果として生じるユニットが起動します。

* notify - このタイプは simple と似ていますが、結果として生じるユニットは、通知メッセージが sd_notify() 関数で送信されないと起動しません。

* idle - simple と似ていますが、サービスバイナリーの実行は、すべてのジョブが終了するまで行いません (遅らせます)。 これにより、ステータスの出力とサービスのシェル出力を分けることができます。

ExecStart

ユニットの開始時に実行するコマンドまたはスクリプトを指定します。ExecStartPre および ExecStartPost は、ExecStart の前後に実行するカスタムコマンドを指定します。Type=oneshot を使用すれば、連続して実行する複数のカスタムコマンドを指定できます。

ExecStop

ユニットの停止時に実行するコマンドまたはスクリプトを指定します。

ExecReload

ユニットの再読み込み時に実行するコマンドまたはスクリプトを指定します。

Restart

このオプションを有効にすると、systemctl コマンドによる完全な停止の例外により、そのプロセスの終了後にサービスが再起動します。

RemainAfterExit

True に設定すると、サービスは、そのプロセスがすべて終了していてもアクティブと見なされます。デフォルトの値は False です。このオプションは、特に Type=oneshot が設定されている場合に役に立ちます。

[a] [Service] セクションで設定可能なオプションの一覧は、systemd.service (5) の man ページを参照してください。

17.5. [Install] セクションの重要なオプション

以下の表は、[Install] セクションの重要なオプションを紹介しています。

表17.3 [Install] セクションの重要なオプション

オプション [a]説明

Alias

ユニット名の追加一覧を、スペース区切りで提供します。systemctl enable を除くほとんどの systemctl コマンドでは、ユニット名ではなくエイリアスを使用できます。

RequiredBy

そのユニットに依存するユニットの一覧です。このユニットが有効な場合に、RequiredBy に一覧表示されるユニットは、このユニットに関する Require 依存関係を取得します。

WantedBy

このユニットへの依存が弱いユニットの一覧です。このユニットが有効になると、WantedBy に一覧表示されるユニットが、このユニットに関する Want 依存関係を取得します。

Also

対応するユニットと共にインストールまたはアンインストールされるユニットの一覧を指定します。

DefaultInstance

インスタンス化されているユニットだけが対象となりますが、このオプションは、ユニットが有効になっているデフォルトのインスタンスを指定します。インスタンス化されたユニットの使用 を参照してください。

[a] [Install] セクションで設定可能なオプションの一覧は、systemd.unit (5) の man ページを参照してください。

17.6. カスタムユニットファイルの作成

最初からユニットファイルを作成するユースケースはいくつかあります。カスタムデーモンを実行し、sshd サービスの 2 番目のインスタンスを使用したカスタムユニットファイルの作成 のように、既存サービスの 2 番目のインスタンスを作成できます。

一方、既存ユニットの動作の変更または拡張のみを実行しようとする場合は、既存のユニットファイルの変更 の手順を使用してください。

手順

以下の手順では、カスタムサービスを作成する一般的なプロセスを説明します。

  1. カスタムサービスで実行可能なファイルを用意します。カスタムで作成されたスクリプトや、ソフトウェアプロバイダーが提供する実行ファイルがこれにあたります。必要な場合は、カスタムサービスのメインプロセスの PID を保持するため、PID ファイルを用意します。また、サービスのシェル変数を保存するために環境ファイルを組み込むこともできます。(chmod a+x を実行して) ソーススクリプトを実行でき、インタラクティブではないことを確認してください。
  2. /etc/systemd/system/ ディレクトリーにユニットファイルを作成し、ファイルに適切なパーミッションがあることを確認します。root で以下のコマンドを実行します。

    touch /etc/systemd/system/name.service
    
    chmod 664 /etc/systemd/system/name.service

    name を、作成するサービスの名前に置き換えます。ファイルには実行権限が必要ありません。

  3. 上の手順で作成した name.service ファイルを開き、サービス設定オプションを追加します。作成するサービスのタイプに応じて、さまざまなオプションを使用できます。ユニットファイル構造 を参照してください。

    以下は、ネットワーク関連サービスのユニットの設定例になります。

    [Unit]
    Description=service_description
    After=network.target
    
    [Service]
    ExecStart=path_to_executable
    Type=forking
    PIDFile=path_to_pidfile
    
    [Install]
    WantedBy=default.target

    詳細は以下のようになります。

    • service_description は、ジャーナルログファイルおよび systemctl status コマンドの出力に表示される有用な説明です。
    • After 設定により、このサービスは、ネットワークの実行後にのみ開始されます。関連するサービスまたはターゲットは、スペースで区切って追加します。
    • path_to_executable は、サービス実行ファイルへのパスを表します。
    • Type=forking は、fork システム呼び出しを行うデーモンに使用します。サービスのメインプロセスは、path_to_pidfile で指定した PID で作成されます。重要な [Service] セクションのオプション で別の起動タイプを検索できます。
    • WantedBy では、サービスを開始する必要がある 1 つ以上のターゲットを指定します。ターゲットは、従来のランレベルの概念に代わるものとお考えください。
  4. root で以下のコマンドを実行すると、新しい name.service ファイルが存在することが、systemd に通知されます。

    systemctl daemon-reload
    
    systemctl start name.service
    警告

    新しいユニットファイルを作成したり、既存のユニットファイルを修正したら常に systemctl daemon-reload コマンドを実行します。このコマンドを実行しないと、systemd のステータスと、ディスクの実際のサービスユニットファイルが一致しなくなるため、systemctl start コマンドや systemctl enable コマンドが失敗する可能性があります。ユニット数が多いシステムでは、各ユニットのステータスをシリアライズし、その後再読み込み時にデシリアライズする必要があるため、これには時間がかかることがあります。

17.7. sshd サービスの 2 番目のインスタンスを使用したカスタムユニットファイルの作成

システム管理者は、サービスのインスタンスを複数設定し、実行しなければならないことが多々あります。これは、サービスの主なインスタンスとの競合を避けるために、元のサービス設定ファイルのコピーを作成し、特定のパラメーターを変更することで実行します。以下の手順は、sshd サービスの 2 つ目のインスタンスを作成する方法を示しています。

手順

  1. 2 つ目のデーモンで使用する、sshd_config ファイルのコピーを作成します。

    # cp /etc/ssh/sshd{,-second}_config
  2. 作成した sshd-second_config ファイルを編集し、2 つ目のデーモンに別のポート番号と PID ファイルを割り当てます。

    Port 22220
    PidFile /var/run/sshd-second.pid

    Port オプションおよび PidFile オプションの詳細は、man ページの sshd_config(5) を参照してください。他のサービスで使用されていないポートを選択してください。PID ファイルはサービスの実行時に存在していなければいけないものではありません。存在しない場合は、サービスの起動時に自動的に生成されます。

  3. sshd サービスの systemd ユニットファイルのコピーを作成します。

    # cp /usr/lib/systemd/system/sshd.service /etc/systemd/system/sshd-second.service
  4. 作成した sshd-second.service を以下のように変更します。

    1. Description オプションを変更します。

      Description=OpenSSH server second instance daemon
    2. After オプションを指定するサービスに sshd.service を追加し、最初のインスタンスが起動した場合に限り 2 つ目のインスタンスが起動するようにします。

      After=syslog.target network.target auditd.service sshd.service
    3. sshd の最初のインスタンスには鍵の生成が含まれるため、ExecStartPre=/usr/sbin/sshd-keygen 行を削除します。
    4. sshd コマンドに -f /etc/ssh/sshd-second_config パラメーターを追加して、代替の設定ファイルが使用されるようにします。

      ExecStart=/usr/sbin/sshd -D -f /etc/ssh/sshd-second_config $OPTIONS
    5. 上記のように変更すると、sshd-second.service は以下のようになります。

      [Unit]
      Description=OpenSSH server second instance daemon
      After=syslog.target network.target auditd.service sshd.service
      
      [Service]
      EnvironmentFile=/etc/sysconfig/sshd
      ExecStart=/usr/sbin/sshd -D -f /etc/ssh/sshd-second_config $OPTIONS
      ExecReload=/bin/kill -HUP $MAINPID
      KillMode=process
      Restart=on-failure
      RestartSec=42s
      
      [Install]
      WantedBy=multi-user.target
  5. SELinux を使用している場合は、sshd の 2 番目のインスタンスのポートを SSH ポートに追加します。追加しないと、sshd の 2 番目のインスタンスがポートにバインドされません。

    # semanage port -a -t ssh_port_t -p tcp 22220
  6. システムの起動時にこのサービスが自動的に起動するように、sshd-second.service を有効にします。

    # systemctl enable sshd-second.service
  7. systemctl status コマンドを使用して sshd-second.service が実行中かどうかを確認します。
  8. さらに、サービスに接続して、ポートが正しく有効化されていることを確認します。

    ssh -p 22220 user@server

    ファイアウォールを使用している場合は、sshd の 2 番目のインスタンスへの接続を許可するように適切に設定されていることを確認してください。

17.8. SysV Init スクリプトのユニットファイルへの変換

SysV init スクリプトをユニットファイルに変換する前に、すでに別の場所で変換が行われていないことを確認します。Red Hat Enterprise Linux にインストールされるすべてのコアサービスにデフォルトのユニットファイルが同梱されていますが、多くのサードパーティーソフトウェアパッケージにも同様のことが言えます。

init スクリプトをユニットファイルに変換するには、スクリプトを分析し、そこから必要な情報を抽出することが必要になります。このデータに基づいて、ユニットファイルを作成できます。init スクリプトはサービスのタイプによって大きく異なるため、この章で概略されているよりも多くの設定オプションの変換を使用しなければならない場合もあります。init スクリプトで利用できるカスタマイズのレベルの一部が systemd ユニットでサポートされなくなっていることに注意してください。

変換に必要とされるほとんどの情報はスクリプトのヘッダーに提供されます。以下の例は、Red Hat Enterprise Linux 6 で postfix サービスを起動するために使用される init スクリプトの開始セクションになります。

#!/bin/bash
# postfix      Postfix Mail Transfer Agent
# chkconfig: 2345 80 30
# description: Postfix is a Mail Transport Agent, which is the program that moves mail from one machine to another.
# processname: master
# pidfile: /var/spool/postfix/pid/master.pid
# config: /etc/postfix/main.cf
# config: /etc/postfix/master.cf
### BEGIN INIT INFO
# Provides: postfix MTA
# Required-Start: $local_fs $network $remote_fs
# Required-Stop: $local_fs $network $remote_fs
# Default-Start: 2 3 4 5
# Default-Stop: 0 1 6
# Short-Description: start and stop postfix
# Description: Postfix is a Mail Transport Agent, which is the program that moves mail from one machine to another.
### END INIT INFO

上記の例では、# chkconfig および # description で始まる行のみが必須になり、init ファイルによってはその他の記載はない可能性もあります。BEGIN INIT INFO 行と END INIT INFO 行に囲まれたテキストは Linux Standard Base (LSB) ヘッダー と呼ばれています。LSB ヘッダーを指定している場合は、サービスの説明、依存関係、およびデフォルトのランレベルを定義するディレクティブがこれに含まれます。次に、新規のユニットファイルに必要なデータを収集する分析タスクの概要が続きます。postfix init スクリプトは例として使用されます。

17.9. systemd サービスの説明の検索

#description で始まる行で、スクリプトに関する説明の情報を確認します。この説明は、サービス名と共に、ユニットファイルの [Unit] セクションの Description オプションで使用します。LSB ヘッダーの #Short-Description 行および #Description 行に同様のデータが含まれる場合があります。

17.10. systemd サービス依存関係の検索

LSB ヘッダーには、サービス間の依存関係を形成する複数のディレクティブが含まれる場合があります。そのほとんどは、systemd ユニットオプションに変換できます。以下の表を参照してください。

表17.4 LSB ヘッダーの依存関係オプション

LSB オプション説明同等のユニットファイル

Provides

サービスの起動ファシリティー名を指定します。この名前は他の init スクリプトで参照できます ( "$" 接頭辞を使用)。ただし、ユニットファイルが他のユニットをファイル名で参照できるようになったため、これは不要になりました。

Required-Start

必要なサービスの起動ファシリティー名が含まれます。これは、並び順の依存関係として変換され、起動ファシリティー名は、対応するサービスまたはそのサービスが属するターゲットに置き換えられます。たとえば、postfix の場合、$network の Required-Start 依存関係は、network.target の After 依存関係に変換されました。

AfterBefore

Should-Start

Required-Start よりも弱い依存関係を設定します。Should-Start 依存関係が失敗しても、サービスの起動には影響を及ぼしません。

AfterBefore

Required-StopShould-Stop

負の依存関係を設定します。

Conflicts

17.11. サービスのデフォルトターゲットの検索

#chkconfig で始まる行には 3 つの数値があります。最も重要な値は最初の数値で、サービスが起動するデフォルトのランレベルを示しています。ランレベルは、同等の systemd ターゲットに対応します。次に、これらのターゲットを、ユニットファイルの [Install] セクションの WantedBy オプションに記述します。たとえば、postfix がランレベルの 2、3、4、および 5 で起動していた場合、これは multi-user.target および graphical.target に対応します。ただし、graphical.target は multiuser.target に依存するため、両方を記述する必要はありません。また、LSB ヘッダーの #Default-Start 行および #Default-Stop 行に、デフォルト、および動作するべきでないランレベルの情報がある場合は、そちらも参照してください。

#chkconfig 行で指定した他の 2 つの値は、init スクリプトの起動およびシャットダウンの優先順位を表します。この値は、init スクリプトが読み込まれる場合は systemd により解釈されますが、同等のユニットファイルはありません。

17.12. サービスで使用されるファイルの検索

init スクリプトでは、専用ディレクトリーから関数ライブラリーを読み込み、設定ファイル、環境ファイル、および PID ファイルのインポートを許可します。環境変数は init スクリプトヘッダーの #config で始まる行で指定され、これは、EnvironmentFile ユニットファイルオプションに変換されます。#pidfile init スクリプト行に指定した PID ファイルは、PIDFile オプションでユニットファイルにインポートされます。

init スクリプトヘッダーに含まれない主要な情報は、サービス実行ファイルへのパス、またはサービスで必要になる可能性のあるその他のファイルへのパスです。以前のバージョンの Red Hat Enterprise Linux では、init スクリプトは、カスタム定義のアクションと共に 起動停止、または 再起動 などのデフォルトアクションのサービスの動作を定義する Bash ケースステートメントを使用しました。postfix init スクリプトからの以下の抜粋は、サービス起動時に実行するコードのブロックを示しています。

conf_check() {
    [ -x /usr/sbin/postfix ] || exit 5
    [ -d /etc/postfix ] || exit 6
    [ -d /var/spool/postfix ] || exit 5
}

make_aliasesdb() {
	if [ "$(/usr/sbin/postconf -h alias_database)" == "hash:/etc/aliases" ]
	then
		# /etc/aliases.db might be used by other MTA, make sure nothing
		# has touched it since our last newaliases call
		[ /etc/aliases -nt /etc/aliases.db ] ||
			[ "$ALIASESDB_STAMP" -nt /etc/aliases.db ] ||
			[ "$ALIASESDB_STAMP" -ot /etc/aliases.db ] || return
		/usr/bin/newaliases
		touch -r /etc/aliases.db "$ALIASESDB_STAMP"
	else
		/usr/bin/newaliases
	fi
}

start() {
	[ "$EUID" != "0" ] && exit 4
	# Check that networking is up.
	[ ${NETWORKING} = "no" ] && exit 1
	conf_check
	# Start daemons.
	echo -n $"Starting postfix: "
	make_aliasesdb >/dev/null 2>&1
	[ -x $CHROOT_UPDATE ] && $CHROOT_UPDATE
	/usr/sbin/postfix start 2>/dev/null 1>&2 && success || failure $"$prog start"
	RETVAL=$?
	[ $RETVAL -eq 0 ] && touch $lockfile
        echo
	return $RETVAL
}

init スクリプトの拡張性により、start() 関数ブロックから呼び出される conf_check() および make_aliasesdb() の 2 つのカスタム関数を指定することができました。さらに詳しくみると、上記コードでは外部のファイルおよびディレクトリーが複数記述されています (主なサービス実行ファイル /usr/sbin/postfix、設定ディレクトリー /etc/postfix//var/spool/postfix/、および /usr/sbin/postconf/ ディレクトリー) 。

systemd は、事前に定義されたアクションのみをサポートしますが、オプションの ExecStartExecStartPreExecStartPostExecStopExecReload でカスタムの実行ファイルを有効にできます。/usr/sbin/postfix は、対応するスクリプトとともに、サービスの起動時に実行します。複雑な init スクリプトを変換する際には、スクリプトのすべてのステートメントの目的を理解している必要があります。一部のステートメントはオペレーティングシステムのバージョンに固有のものであるため、そのステートメントを変換する必要はありません。一方、新規の環境では、サービス実行ファイルおよびサポートファイルやユニットファイルで調整が一部必要となる場合があります。

17.13. 既存のユニットファイルの変更

システムにインストールされるサービスは、/usr/lib/systemd/system/ ディレクトリーに保存されるデフォルトのユニットファイルと共に提供されます。システム管理者はこのファイルを直接変更できないため、カスタマイズは /etc/systemd/system/ ディレクトリーの設定ファイルに制限される必要があります。

手順

  1. 必要とされる変更の程度に応じて、以下の方法のいずれかを実施してください。

    • 補助設定ファイルのディレクトリーを /etc/systemd/system/unit.d/ に作成します。この方法は、ほとんどのユースケースで推奨されます。これにより、元のユニットファイルを参照しつつも、デフォルト設定を追加の機能で拡張できます。この場合、パッケージのアップグレードで導入されるデフォルトユニットへの変更は自動的に適用されます。詳細は、デフォルトのユニット設定の拡張 を参照してください。
    • 元のユニットファイル /usr/lib/systemd/system/ のコピーを /etc/systemd/system/ に作成し、そこで変更を行います。コピーは元のファイルを上書きするため、パッケージの更新で導入される変更は適用されません。この方法は、パッケージの更新とは無関係に永続する重要なユニット変更を行う際に役に立ちます。詳細は、デフォルトのユニット設定の上書き を参照してください。
  2. ユニットのデフォルト設定に戻るには、/etc/systemd/system/ でカスタム作成した設定ファイルを削除します。
  3. システムを再起動せずにユニットファイルへの変更を適用するには、以下を実行します。

    systemctl daemon-reload

    daemon-reload オプションは、すべてのユニットファイルを再読み込みし、ユニットファイルへの変更をすぐに適用するのに必要な依存関係ツリー全体を再作成します。また、以下のコマンドを実行しても同じ結果になります。このコマンドの実行には root 権限が必要になります。

    init q
  4. 変更したユニットファイルが実行中のサービスに属する場合は、このサービスを再起動して新たな設定を反映させる必要があります。

    systemctl restart name.service
重要

SysV init スクリプトが処理しているサービスのプロパティー (依存関係やタイムアウトなど) を変更するときは、init スクリプト自体は変更しないでください。代わりに、デフォルトのユニット設定の拡張デフォルトのユニット設定の上書き の説明に従って、サービスの systemd ドロップイン設定ファイルを作成します。

その後、通常の systemd サービスと同じ方法でサービスを管理します。

たとえば、network サービスの設定を拡張するときは、init スクリプトファイル /etc/rc.d/init.d/network を変更しないでください。代わりに、新しいディレクトリー /etc/systemd/system/network.service.d/ と、systemd ドロップインファイル /etc/systemd/system/network.service.d/my_config.conf を作成します。そして、ドロップインファイルの値を変更します。systemd は、network サービスを network.service として認識することに注意してください。作成したディレクトリーが network.service.d と命名されるのはそのためです。

17.14. デフォルトのユニット設定の拡張

本セクションでは、追加の設定オプションでデフォルトのユニットファイルを拡張する方法を説明します。

手順

  1. 追加の設定オプションでデフォルトのユニットファイルを拡張するには、最初に /etc/systemd/system/ に設定ディレクトリーを作成します。サービスユニットを拡張する場合は、root で以下のコマンドを実行します。

    mkdir /etc/systemd/system/name.service.d/

    name を、拡張する必要のあるサービスの名前に置き換えます。上記の構文はすべてのユニットタイプに適用されます。

  2. 作成したディレクトリーに設定ファイルを作成します。ファイル名の接尾辞は .conf にする必要があることに注意してください。以下のコマンドを実行します。

    touch /etc/systemd/system/name.service.d/config_name.conf

    config_name を、設定ファイルの名前に置き換えます。このファイルは、通常のユニットファイル構造に基づくため、すべてのディレクティブは該当するセクションで指定する必要があります。ユニットファイル構造 を参照してください。

    たとえば、カスタムの依存性を追加するには、以下の内容で設定ファイルを作成します。

    [Unit]
    Requires=new_dependency
    After=new_dependency

    new_dependency は、依存性としてマークが付けられるユニットを表します。次の例は、30 秒の遅延後のメインプロセス終了後にサービスを再起動する設定ファイルです。

    [Service]
    Restart=always
    RestartSec=30

    1 つのタスクだけを扱う簡単な設定ファイルを作成することが推奨されます。これにより、他のサービスの設定ディレクトリーに簡単に移動したり、リンクできます。

  3. そのユニットに行った変更を適用するには、root で以下のコマンドを実行します。

    systemctl daemon-reload
    systemctl restart name.service

例17.1 httpd.service 設定の拡張

Apache サービスの起動時にカスタムシェルスクリプトが自動的に実行されるように httpd.service ユニットを変更するには、以下の手順で行います。

  1. ディレクトリーおよびカスタム設定ファイルを作成します。

    # mkdir /etc/systemd/system/httpd.service.d/
    # touch /etc/systemd/system/httpd.service.d/custom_script.conf
  2. Apache で自動的に起動するスクリプトが /usr/local/bin/custom.sh にある場合は、以下のテキストを custom_script.conf ファイルに追加します。

    [Service]
    ExecStartPost=/usr/local/bin/custom.sh
  3. ユニットの変更を適用するには、以下を実行します。

    # systemctl daemon-reload
    # systemctl restart httpd.service
注記

/etc/systemd/system/ の設定ディレクトリーの設定ファイルは、/usr/lib/systemd/system/ のユニットファイルに優先します。そのため、設定ファイルに、一度だけ指定できるオプション (DescriptionExecStart など) が含まれる場合は、このオプションのデフォルト値が上書きされます。上書きされたユニットの監視 で説明されているように、systemd-delta コマンドの出力では、一部のオプションは実際に上書きされますが、該当するユニットは常に [EXTENDED] とマークされます。

17.15. デフォルトのユニット設定の上書き

本セクションでは、デフォルトのユニット設定を上書きする方法を説明します。

手順

  1. ユニットファイルを提供するパッケージの更新後も変更を持続させるには、最初にファイルを /etc/systemd/system/ ディレクトリーにファイルをコピーします。それを行うには、root で以下のコマンドを実行します。

    cp /usr/lib/systemd/system/name.service /etc/systemd/system/name.service

    name は、変更するサービスユニットの名前を表します。上記の構文はすべてのユニットタイプに適用されます。

  2. コピーされたファイルをテキストエディターで開き、必要な変更を行います。ユニットの変更を適用するには、root で以下のコマンドを実行します。

    systemctl daemon-reload
    systemctl restart name.service

17.16. タイムアウト制限の変更

サービスごとにタイムアウト値を指定すると、正常に動作していないサービスによってシステムがフリーズすることを防ぐことができます。タイムアウト値を指定しないサービスには、通常のサービスの場合は 90 秒、そして SysV と互換性のあるサービスの場合は 300 秒と、それぞれデフォルトのタイムアウトが設定されています。

たとえば、httpd サービスのタイムアウト制限を延長するときは、以下を行います。

手順

  1. httpd ユニットファイルを、/etc/systemd/system/ ディレクトリーにコピーします。

    cp /usr/lib/systemd/system/httpd.service /etc/systemd/system/httpd.service
  2. /etc/systemd/system/httpd.service ファイルを開き、[Service] セクションに TimeoutStartSec 値を指定します。

    …​
    [Service]
    …​
    PrivateTmp=true
    TimeoutStartSec=10
    
    [Install]
    WantedBy=multi-user.target
    …​
  3. systemd デーモンを再ロードします。

    systemctl daemon-reload
  4. オプション:新しいタイムアウト値を確認します。

    systemctl show httpd -p TimeoutStartUSec
    注記

    グローバルでタイムアウト制限を変更するには、/etc/systemd/system.conf ファイルの DefaultTimeoutStartSec を変更します。

17.17. 上書きされたユニットの監視

本セクションでは、上書きされたユニットファイルまたは変更されたユニットファイルの概要を表示する方法を説明します。

手順

  • 上書きされたユニット、または変更したユニットファイルの概要を表示するには、以下のコマンドを実行します。

    systemd-delta

    上記のコマンドを実行すると、以下のような出力になります。

    [EQUIVALENT] /etc/systemd/system/default.target → /usr/lib/systemd/system/default.target
    [OVERRIDDEN] /etc/systemd/system/autofs.service → /usr/lib/systemd/system/autofs.service
    
    --- /usr/lib/systemd/system/autofs.service      2014-10-16 21:30:39.000000000 -0400
    + /etc/systemd/system/autofs.service  2014-11-21 10:00:58.513568275 -0500
    @@ -8,7 +8,8 @@
     EnvironmentFile=-/etc/sysconfig/autofs
     ExecStart=/usr/sbin/automount $OPTIONS --pid-file /run/autofs.pid
     ExecReload=/usr/bin/kill -HUP $MAINPID
    -TimeoutSec=180
    +TimeoutSec=240
    +Restart=Always
    
     [Install]
     WantedBy=multi-user.target
    
    [MASKED]     /etc/systemd/system/cups.service → /usr/lib/systemd/system/cups.service
    [EXTENDED]   /usr/lib/systemd/system/sssd.service → /etc/systemd/system/sssd.service.d/journal.conf
    
    4 overridden configuration files found.

17.18. インスタンス化されたユニットの使用

ランタイム時に、1 つのテンプレート設定ファイルから複数のユニットをインスタンス化できます。@文字は、テンプレートにマークを付け、ユニットをこれに関連付けるために使用されます。インスタンス化されたユニットは、(Requires オプションまたは Wants オプションを使用して) 別のユニットから開始することも、systemctl start コマンドで開始することもできます。インスタンス化されたサービスユニットの名前は以下のような形式となります。

template_name@instance_name.service

ここで、template_name は、テンプレート設定ファイルの名前になります。instance_name を、ユニットインスタンスの名前に置き換えます。複数のインスタンスが同じテンプレートファイルを参照し、このテンプレートには、ユニットの全インスタンスに共通する設定オプションが含まれます。テンプレートユニットの名前には以下の形式が使用されます。

unit_name@.service

たとえば、ユニットファイルに次の Wants 設定を指定すると、

Wants=getty@ttyA.service getty@ttyB.service

この設定により、systemd が、最初に指定したサービスユニットを検索します。該当するユニットが見つからないと、@とタイプ接尾辞の間にある部分は無視され、systemdgetty@.service ファイルを検索し、そこから設定を読み取り、サービスを起動します。

たとえば、getty@.service テンプレートには以下のディレクティブが含まれます。

[Unit]
Description=Getty on %I
…​
[Service]
ExecStart=-/sbin/agetty --noclear %I $TERM
…​

上記のテンプレートから getty@ttyA.service および getty@ttyB.service をインスタンス化する場合、Description= は Getty on ttyA および Getty on ttyB として解決されます。

17.19. 重要なユニット指定子

ワイルドカード文字 (ユニット指定子 とも呼ばれる) を、すべてのユニット設定ファイルで使用できます。ユニット指定子は、特定のユニットパラメーターを置き換え、ランタイム時に解釈されます。以下の表は、特にテンプレートユニットで便利なユニット指定子を一覧表示します。

表17.5 重要なユニット指定子

ユニット指定子意味説明

%n

完全ユニット名

タイプ接尾辞を含む完全ユニット名を表します。%N には同じ意味がありますが、禁止文字を ASCII コードに置き換えます。

%p

接頭辞名

タイプ接尾辞が削除されたユニット名を表します。インスタンス化されたユニットの %p は、ユニット名の@文字の前の部分を表します。

%i

インスタンス名

インスタンス化されたユニット名の@文字およびタイプ接尾辞間の部分です。%I には同じ意味がありますが、禁止文字を ASCII コードにも置き換えます。

%H

ホスト名

ユニット設定を読み込んだ時に稼働しているシステムのホスト名を表します。

%t

ランタイムディレクトリー

ランタイムディレクトリーを表します。これは、root ユーザーの /run、または非特権ユーザーの XDG_RUNTIME_DIR 変数の値になります。

ユニット指定子の詳細な一覧は、systemd.unit(5) の man ページを参照してください。

17.20. 関連情報

第18章 起動時間を短縮するための systemd の最適化

デフォルトで有効になっている systemd ユニットファイルの一覧があります。システムの起動時に、このようなユニットファイルで定義されているシステムサービスが自動的に実行し、システムの起動時間に影響を及ぼします。

本セクションでは、以下を説明します。

  • システムの起動パフォーマンスを調べるツール
  • systemd ユニットがデフォルトで無効になっている目的と、起動時間を短縮するために、このような systemd ユニットを無効にしても安全な状況

18.1. システムの起動パフォーマンスを調べる

システムの起動時のパフォーマンスを調べる場合は、systemd-analyze コマンドを使用できます。このコマンドでは、多数のオプションが使用できます。ただし、本セクションでは、起動時間を短縮するために、systemd を調整する際に重要なものだけを説明します。

オプションの完全リストおよび詳細な説明は、systemd-analyze の man ページを参照してください。

前提条件

  • システムの起動時に調整するために、systemd を調べる前に、有効なサービスの一覧を表示することもできます。

手順

$ systemctl list-unit-files --state=enabled

システム全体の起動時間の分析

手順

  • システムが最後に起動してからの時間に関する総合的な情報を表示する場合は、次のコマンドを実行します。
$ systemd-analyze

ユニットの初期化時間の分析

手順

  • 各 systemd ユニットの初期化時間の詳細を確認する場合は、次のコマンドを実行します。
$ systemd-analyze blame

この出力では、システムが最後に起動した時に初期化にかかった時間に応じて、ユニットが降順で表示されます。

重要なユニットの識別

手順

  • システムが最後に起動した時に、初期化に最も時間がかかったユニットを特定するには、次のコマンドを実行します。
$ systemd-analyze critical-chain

この出力では、起動に非常に時間がかかっているユニットが、赤字で強調表示されています。

図18.1 systemd-analyze critical-chain コマンドの出力

systemd で重要なものを分析

18.2. 無効にしても安全なサービスを選択するためのガイド

システムの起動時に時間がかかっている場合は、デフォルトで起動時に有効になるサービスの一部を無効にすることで、起動時間を短くできます。

このようなサービスを一覧表示するには、次のコマンドを実行します。

$ systemctl list-unit-files --state=enabled

サービスを無効にするには、次のコマンドを実行します。

# systemctl disable service_name

ただし、お使いのオペレーティングシステムが安全で、希望通りに機能できるように、特定のサービスは有効にしたままにしておく必要があります。

次の表は、無効にしても安全なサービスを選択するためのガイドとして使用できます。この表には、Red Hat Enterprise Linux の最小インストールでデフォルトで有効になっているすべてのサービスが記載されており、サービスごとに、このサービスを安全に無効にできるかどうかが示されています。

その他にも、サービスを無効にできる状況と、そのサービスを無効にすべきではない理由を示しています。

表18.1 RHEL の最小インストールで、デフォルトで有効になっているサービス

サービス名無効にすることは可能か ?詳細情報

auditd.service

はい

auditd.service は、カーネルからの監査メッセージが必要ない場合に限り無効にします。auditd.service を無効にすると、/var/log/audit/audit.log ファイルが生成されないことに注意してください。無効にすると、ユーザーログイン、サービスの起動、パスワードの変更などの、一般的に確認されるアクションまたはレビューをさかのぼって確認することはできません。auditd には、カーネルの部分と、サービスそのものが含まれることに注意してください。systemctl disable auditd コマンドを実行すると、サービスを無効にするだけで、カーネル部分は無効にしません。システムの監査を完全に無効にするには、カーネルコマンドラインに audit=0 と設定します。

autovt@.service

いいえ

このサービスは、本当に必要な場合に限り実行されるため、無効にする必要はありません。

crond.service

はい

crond.service を無効にすると crontab からアイテムが実行しないことに注意してください。

dbus-org.fedoraproject.FirewallD1.service

はい

firewalld.service へのシンボリックリンク

dbus-org.freedesktop.NetworkManager.service

はい

NetworkManager.service へのシンボリックリンク

dbus-org.freedesktop.nm-dispatcher.service

はい

NetworkManager-dispatcher.service へのシンボリックリンク

firewalld.service

はい

ファイアウォールが必要ない場合に限り firewalld.service を無効にします。

getty@.service

いいえ

このサービスは、本当に必要な場合に限り実行されるため、無効にする必要はありません。

import-state.service

はい

import-state.service は、ネットワークストレージからの起動が必要ない場合に限り無効にします。

irqbalance.service

はい

irqbalance.service は、CPU が 1 つしかない場合に限り無効にします。システムに CPU が複数ある場合は irqbalance.service を無効にしないでください。

kdump.service

はい

kdump.service は、カーネルクラッシュからのレポートが必要ない場合に限り無効にします。

loadmodules.service

はい

このサービスは、/etc/rc.modules ディレクトリーまたは /etc/sysconfig/modules ディレクトリーがなければ起動しません。つまり、RHEL の最小インストールでは起動しません。

lvm2-monitor.service

はい

lvm2-monitor.service は、論理ボリュームマネージャー (LVM) を使用しない場合に限り無効にします。

microcode.service

いいえ

そのサービスは、CPU 内のマイクロコードソフトウェアの更新を提供するため、無効にしないでください。

NetworkManager-dispatcher.service

はい

NetworkManager-dispatcher.service は、ネットワーク設定変更の通知が必要ない場合 (静的ネットワークなど) に限り無効にします。

NetworkManager-wait-online.service

はい

NetworkManager-wait-online.service は、システムの起動直後にネットワーク接続が利用できるようになっている必要がない場合に限り無効にします。このサービスを有効にすると、ネットワーク接続が有効になるまで、システムの起動が完了しません。これにより、起動時間が大幅に長くなることがあります。

NetworkManager.service

はい

NetworkManager.service は、ネットワークへの接続が必要ない場合に限り無効にします。

nis-domainname.service

はい

nis-domainname.service は、ネットワークインフォメーションサービス (NIS) を使用しない場合に限り無効にします。

rhsmcertd.service

いいえ

 

rngd.service

はい

rngd.service は、システムでエントロピーがそれほど必要ない場合、またはハードウェアジェネレーターがない場合に限り無効にします。このサービスは、X.509 証明書の生成に使用されるシステム (たとえば FreeIPA サーバー) など、良好なエントロピーを多数必要とする環境で必要になります。

rsyslog.service

はい

rsyslog.service は、永続的なログが必要ない場合に限り、または systemd-journald を永続モードに設定した場合に限り無効にします。

selinux-autorelabel-mark.service

はい

selinux-autorelabel-mark.service は、SELinux を使用しない場合に限り無効にします。

sshd.service

はい

sshd.service は、OpenSSH サーバーへのリモートログインが必要ない場合に限り無効にします。

sssd.service

はい

sssd.service は、ネットワークを介して (たとえば LDAP や Kerberos を使用して) システムにログインするユーザーがいない場合に限り無効にします。sssd.service を無効にした場合は、sssd-* ユニットをすべて無効にすることを Red Hat は推奨します。

syslog.service

はい

rsyslog.service のエイリアス

tuned.service

はい

tuned.service は、パフォーマンスチューニングを使用する必要がない場合に限り無効にします。

lvm2-lvmpolld.socket

はい

lvm2-lvmpolld.socket は、論理ボリュームマネージャー (LVM) を使用しない場合に限り無効にします。

dnf-makecache.timer

はい

dnf-makecache.timer は、パッケージメターデータを自動的に更新する必要がない場合に限り無効にします。

unbound-anchor.timer

はい

unbound-anchor.timer は、DNSSEC (DNS Security Extensions) のルートトラストアンカーを毎日更新する必要がない場合に限り無効にします。このルートトラストアンカーは、DNSSEC 検証の Unbound リゾルバー、およびリゾルバーライブラリーにより使用されます。

サービスの詳細は、次のいずれかのコマンドを実行すると表示できます。

$ systemctl cat <service_name>
$ systemctl help <service_name>

systemctl cat コマンドは、/usr/lib/systemd/system/<service> の配下に置かれたサービスファイルの内容と、適用可能なすべてのオーバーライドを提供します。適用可能なオーバーライドには、/etc/systemd/system/<service> ファイルからのユニットファイルオーバーライドと、対応する unit.type.d ディレクトリーのドロップインファイルが含まれます。

ドロップインファイルの詳細は、systemd.unit の man ページを参照してください。

systemctl help コマンドは、特定サービスの man ページを表示します。

18.3. 関連情報

  • systemctl(1) man ページ
  • systemd(1) man ページ
  • systemd-delta(1) man ページ
  • systemd.directives(7) man ページ
  • systemd.unit(5) man ページ
  • systemd.service(5) man ページ
  • systemd.target(5) man ページ
  • systemd.kill(5) man ページ
  • systemd Home Page

第19章 ユーザーアカウントおよびグループアカウントの管理の概要

ユーザーとグループの制御は、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) システム管理の中核となる要素です。各 RHEL ユーザーには各種ログイン認証情報があり、さまざまなグループに割り当ててシステム権限をカスタマイズすることができます。

19.1. ユーザーとグループの概要

ファイルを作成するユーザーは、そのファイルの所有者 および グループ所有者です。ファイルには、所有者、グループ、およびそのグループ外のユーザーに対して読み取り、書き込み、実行のパーミッションが別々に割り当てられます。ファイルの所有者は、root ユーザーのみが変更できます。ファイルへのアクセス権限を変更できるのは、root ユーザー、ファイル所有者の両方です。通常ユーザーは、所有するファイルのグループ所有権を、所属するグループに変更できます。

各ユーザーは、ユーザー ID (UID) と呼ばれる一意の数値 ID に関連付けられています。各グループは グループ ID (GID) に関連付けられています。グループ内のユーザーは、そのグループが所有するファイルの読み取り、書き込み、実行を行う権限を共有します。

19.2. 予約ユーザーおよびグループ ID の設定

RHEL は、999 以下のユーザー ID とグループ ID をシステムユーザーとグループ用に予約しています。予約ユーザー ID とグループ ID は、setup パッケージで確認できます。予約ユーザー ID とグループ ID を表示するには、以下を使用します。

cat /usr/share/doc/setup*/uidgid

予約範囲は今後増える可能性があるため、新規ユーザーおよびグループには、5000 以降の ID を割り当てることを推奨します。

デフォルトで新規ユーザーに割り当てる ID を 5000 以降に指定するには、/etc/login.defs ファイルの UID_MINGID_MIN パラメーターを変更します。

手順

デフォルトで新規ユーザーに割り当てる ID を 5000 以降にするには、以下のコマンドを実行します。

  1. 任意のエディターで /etc/login.defs ファイルを開きます。
  2. UID の自動選択の最小値を定義する行を見つけます。

    # Min/max values for automatic uid selection in useradd
    #
    UID_MIN                  1000
  3. UID_MIN の値を 5000 から開始するように変更します。

    # Min/max values for automatic uid selection in useradd
    #
    UID_MIN                  5000
  4. GID の自動選択の最小値を定義する行を見つけます。

    # Min/max values for automatic gid selection in groupadd
    #
    GID_MIN                  1000
  5. GID_MIN の値を 5000 から開始するように変更します。

    # Min/max values for automatic gid selection in groupadd
    #
    GID_MIN                  5000

    通常のユーザーに動的に割り当てられる UID と GID は、5000 から始まります。

    注記

    UID_MIN および GID_MIN の値を変更する前に作成された UID および GID のユーザーおよびグループは変更されません。

    これにより、新規ユーザーのグループに UID および GID と同じ 5000+ ID を持たせることができます。

    警告

    上限が 1000 のシステムとの競合を回避するため、SYS_UID_MAX を変更して、システムが予約している ID を 1000 以上にしないようにしてください。

19.3. ユーザープライベートグループ

RHEL は、ユーザープライベートグループ (UPG) システム設定を使用するため、UNIX グループの管理が容易になります。ユーザープライベートグループは、新規ユーザーがシステムに追加されるたびに作成されます。ユーザープライベートグループは作成したユーザーと同じ名前となり、そのユーザーがそのユーザープライベートグループの唯一のメンバーになります。

UPG は、複数ユーザー間のプロジェクトの連携を簡素化します。さらに、UPG のシステム設定では、ユーザーおよびこのユーザーが所属するグループ両方がファイルまたはディレクトリーを変更できるので、新規作成されたファイルまたはディレクトリーのデフォルトの権限を安全に設定できます。

グループの一覧は、/etc/group 設定ファイルに保存されます。

第20章 Web コンソールでユーザーアカウントの管理

RHEL Web コンソールは、直接ターミナルにアクセスせずに、幅広い管理タスクを実行できるグラフィカルインターフェイスを提供します。たとえば、システムユーザーアカウントの追加、編集、または削除が可能です。

本セクションの内容を読むと、以下を理解できます。

  • 既存のアカウントが存在する場所
  • 新規アカウントの追加方法
  • パスワードの有効期限の設定方法
  • ユーザーセッションを終了する方法および時期

前提条件

20.1. Web コンソールで管理されるシステムユーザーアカウント

RHEL Web コンソールに表示されているユーザーアカウントでは、以下が可能になります。

  • システムにアクセスする際にユーザーを認証する
  • システムへのアクセス権を設定する

RHEL Web コンソールは、システムに存在するすべてのユーザーアカウントを表示します。そのため、最初に Web コンソールにログインした直後は、ユーザーアカウントが少なくとも 1 つ表示されます。

RHEL Web コンソールにログインしたら、以下の操作を実行できます。

  • 新規ユーザーアカウントの作成
  • パラメーターの変更
  • アカウントのロック
  • ユーザーセッションの終了

20.2. Web コンソールで新規アカウントの追加

RHEL Web コンソールを使用して、ユーザーアカウントをシステムに追加し、アカウントに管理者権限を設定する場合は、以下の手順に従います。

前提条件

手順

  1. RHEL Web コンソールにログインします。
  2. アカウント をクリックします。
  3. 新規アカウントの作成 をクリックします。
  1. フルネーム フィールドにユーザーの氏名を入力します。

    RHEL Web コンソールは、入力した氏名からユーザー名が自動的に作成され、ユーザー名 フィールドに入力されます。名前の頭文字と、苗字で設定される命名規則を使用しない場合は、入力されたユーザー名を変更します。

  2. パスワード/確認 フィールドにパスワードを入力し、再度パスワードを入力します。

    フィールドの下にあるカラーバーは、入力したパスワードの強度を表し、弱いパスワードは使用できないようにします。

  1. 作成 をクリックして設定を保存し、ダイアログボックスを閉じます。
  2. 新規作成したアカウントを選択します。
  3. ロール で、サーバー管理者 を選択します。

    cockpit terminate session pf4

    これで アカウント 設定に新規アカウントが表示され、認証情報を使用してシステムに接続できるようになりました。

20.3. Web コンソールでパスワード有効期限の強制

デフォルトでは、ユーザーアカウントのパスワードに期限はありません。定義した日数が経過したら、システムパスワードが期限切れになるように設定できます。パスワードが期限切れになると、次回のログイン時にパスワードの変更が要求されます。

手順

  1. RHEL 8 Web コンソールにログインします。
  2. アカウント をクリックします。
  3. パスワードの有効期限を設定するユーザーアカウントを選択します。
  4. ユーザーアカウント設定で、2 番目の 編集 をクリックします。
  5. Password Expiration ダイアログボックスで、Require password change every …​ days を選択し、パスワードの期限が切れるまでの日数 (正の整数) を入力します。
  6. Change をクリックします。

検証手順

  • パスワードの有効期限が設定されていることを確認するには、アカウント設定を開きます。

    RHEL 8 Web コンソールには、有効期限を表すリンクが表示されます。

    cockpit password expiration date

20.4. Web コンソールでユーザーセッションの終了

ユーザーがシステムにログインすると、ユーザーセッションが作成されます。ユーザーセッションを終了すると、ユーザーはシステムからログアウトされます。これは、システムのアップグレードなどの、設定変更の影響を受ける管理タスクを実行する必要がある場合に便利です。

RHEL 8 Web コンソールの各ユーザーアカウントで、現在使用している Web コンソールセッション以外のセッションすべてを終了できます。これにより、システムへの不正アクセスを阻止できます。

手順

  1. RHEL 8 Web コンソールにログインします。
  2. アカウント をクリックします。
  3. セッションを終了するユーザーアカウントをクリックします。
  4. セッションの 終了 をクリックします。

    Terminate Session ボタンが無効になっている場合は、ユーザーがシステムにログインしていません。

    RHEL Web コンソールはセッションを終了します。

第21章 コマンドラインからのユーザーの管理

コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用してユーザーおよびグループを管理できます。これにより、Red Hat Enterprise Linux 環境でユーザーおよびユーザーグループを追加、削除、および変更できます。

21.1. コマンドラインでの新規ユーザーの追加

本セクションでは、useradd ユーティリティーを使用して、新しいユーザーを追加する方法を説明します。

前提条件

  • Root アクセス

手順

  • 新規ユーザーを追加するには、以下を使用します。

    # useradd options username

    optionsuseradd コマンドのコマンドラインオプションに、username はユーザー名に置き換えます。

    例21.1 新規ユーザーの追加

    ユーザー ID が 5000 のユーザー sarah を追加するには、以下を使用します。

    +

    # useradd -u 5000 sarah

検証手順

  • 新規ユーザーが追加されたことを確認するには、id ユーティリティーを使用します。

    # id sarah

    返される出力は以下のとおりです。

    uid=5000(sarah) gid=5000(sarah) groups=5000(sarah)

関連情報

  • useradd の man ページ

21.2. コマンドラインでの新規グループの追加

本セクションでは、groupadd ユーティリティーを使用して、新しいユーザーを追加する方法を説明します。

前提条件

  • Root アクセス

手順

  • 新規グループを追加するには、以下を使用します。

    # groupadd options group-name

    optionsgroupadd コマンドのコマンドラインオプションに、group-name はグループ名に置き換えます。

    例21.2 新規グループの追加

    グループ ID が 5000 のグループ sysadmins を追加するには、以下を使用します。

    +

    # groupadd -g 5000 sysadmins

検証手順

  • 新規グループが追加されていることを確認するには、tail ユーティリティーを使用します。

    # tail /etc/group

    返される出力は以下のとおりです。

    sysadmins:x:5000:

関連情報

  • groupadd の man ページ

21.3. コマンドラインから補助グループにユーザーを追加

補助グループにユーザーを追加して、権限を管理したり、特定のファイルまたはデバイスへのアクセスを有効にしたりできます。

前提条件

  • root アクセス

手順

  • ユーザーの補助グループにグループを追加するには、以下を使用します。

    # usermod --append -G group-name username

    group-name はグループ名に、username はユーザー名に置き換えます。

    例21.3 補助グループへのユーザーの追加

    ユーザーの sysadmin をグループ system-administrators に追加するには、以下を使用します。

    # usermod --append -G system-administrators sysadmin

検証手順

  • ユーザー sysadmin の補助グループに新規グループが追加されていることを確認するには、以下を使用します。

    # groups sysadmin

    この出力では、以下が表示されます。

    sysadmin : sysadmin system-administrators

21.4. グループディレクトリーの作成

UPG システム設定では、グループ ID 権限の設定 (setgid) をディレクトリーに適用できます。setgid を使用して、ディレクトリーを共有するグループプロジェクトの管理が簡単になります。setgid をディレクトリーに適用すると、ディレクトリー内に作成されたファイルは、そのディレクトリーを所有するグループに自動的に割り当てられます。このグループ内の書き込みおよび実行権限があるユーザーは、対象のディレクトリーにファイルを作成、変更、および削除できるようになりました。

次のセクションでは、グループディレクトリーを作成する方法を説明します。

前提条件

  • Root アクセス

手順

  1. ディレクトリーを作成します。

    # mkdir directory-name

    directory-name は、ディレクトリー名に置き換えます。

  2. グループを作成します。

    # groupadd group-name

    group-name は、グループ名に置き換えます。

  3. ユーザーをグループに追加します。

    # usermod --append -G group-name username

    group-name はグループ名に、username はユーザー名に置き換えます。

  4. ディレクトリーのユーザーとグループの所有権は、group-name グループに関連付けます。

    # chown :group-name directory-name

    group-name はグループ名に、directory-name はディレクトリー名に置き換えます。

  5. ファイルおよびディレクトリーを作成および修正し、setgid を設定してこの権限を directory-name ディレクトリー内で適用できるようにします。

    # chmod g+rwxs directory-name

    directory-name は、ディレクトリー名に置き換えます。

    group-name グループのすべてのメンバーが、directory-name ディレクトリーにファイルを作成し、編集できるようになりました。新規に作成されたファイルは、group-name グループの所有権を保持します。

検証手順

  • パーミッション設定の正確性を検証するには、以下を使用します。

    # ls -ld directory-name

    directory-name は、ディレクトリー名に置き換えます。

    返される出力は以下のとおりです。

    drwxrwsr-x. 2 root group-name 6 Nov 25 08:45 directory-name

第22章 コマンドラインを使用したユーザーグループの編集

ユーザーは、ファイルおよびフォルダーに同様のアクセスを持つユーザーの論理的な集合を許可する、特定のグループセットに属します。コマンドラインから、プライマリーユーザーグループおよび補助ユーザーグループを編集して、ユーザーの権限を変更できます。

22.1. プライマリーユーザーグループおよび補助ユーザーグループ

グループとは、複数のユーザーアカウントを共通目的 (特定のファイルにアクセス権を与えるなど) で統合するエンティティーです。

Linux では、ユーザーグループはプライマリーまたは補助として機能できます。プライマリーグループおよび補助グループには、以下のプロパティーがあります。

プライマリーグループ
  • すべてのユーザーに、常に 1 つのプライマリーグループのみが存在します。
  • ユーザーのプライマリーグループは変更できます。
補助グループ
  • 既存の補助グループに既存のユーザーを追加して、グループ内で同じセキュリティーおよびアクセス権限を持つユーザーを管理できます。
  • ユーザーは、ゼロまたは複数の補助グループのメンバーになります。

22.2. ユーザーのプライマリーグループおよび補助グループの一覧表示

ユーザーのグループを一覧表示して、どのプライマリーグループおよび補助グループに属しているかを確認できます。

手順

  • ユーザーのプライマリーおよび補助グループの名前を表示します。

    $ groups user-name

    user-name は、ユーザー名に置き換えます。ユーザー名を指定しないと、コマンドは現在のユーザーのグループメンバーシップを表示します。最初のグループはプライマリーグループで、その後に任意の補助グループが続きます。

    例22.1 ユーザー sarah のグループの一覧表示

    $ groups sarah

    この出力では、以下が表示されます。

    sarah : sarah wheel developer

    ユーザー sarah にはプライマリーグループ sarah があり、補助グループ wheel および developer のメンバーになります。

    例22.2 ユーザー marc のグループの一覧表示

    $ groups marc

    この出力では、以下が表示されます。

    marc : marc

    ユーザー marc には、プライマリーグループ marc のみがあり、補助グループはありません。

22.3. ユーザーのプライマリーグループの変更

既存ユーザーのプライマリーグループを、新しいグループに変更できます。

前提条件:

  1. root アクセス
  2. 新しいグループが存在する必要があります。

手順

  • ユーザーのプライマリーグループを変更します。

    # usermod -g group-name user-name

    group-name を、新しいプライマリーグループの名前に置き換え、user-name を、ユーザーの名前に置き換えます。

    注記

    ユーザーのプライマリーグループを変更すると、コマンドは、ユーザーのホームディレクトリーにあるすべてのファイルのグループ所有権も、自動的に新しいプライマリーグループに変更します。ユーザーのホームディレクトリー外のファイルのグループ所有権を手動で修正する必要があります。

    例22.3 ユーザーのプライマリーグループを変更する例:

    ユーザー sarah がプライマリーグループ sarah1 に所属しており、ユーザーのプライマリーグループを sarah2 に変更する場合は、以下を使用します。

    # usermod -g sarah2 sarah

検証手順

  • ユーザーのプライマリーグループを変更したことを確認します。

    $ groups sarah

    この出力では、以下が表示されます。

    sarah : sarah2

22.4. コマンドラインから補助グループにユーザーを追加

補助グループにユーザーを追加して、権限を管理したり、特定のファイルまたはデバイスへのアクセスを有効にしたりできます。

前提条件

  • root アクセス

手順

  • ユーザーの補助グループにグループを追加するには、以下を使用します。

    # usermod --append -G group-name username

    group-name はグループ名に、username はユーザー名に置き換えます。

    例22.4 補助グループへのユーザーの追加

    ユーザーの sysadmin をグループ system-administrators に追加するには、以下を使用します。

    # usermod --append -G system-administrators sysadmin

検証手順

  • ユーザー sysadmin の補助グループに新規グループが追加されていることを確認するには、以下を使用します。

    # groups sysadmin

    この出力では、以下が表示されます。

    sysadmin : sysadmin system-administrators

22.5. 補助グループからユーザーの削除

補助グループから既存のユーザーを削除して、権限や、ファイルやデバイスへのアクセスを制限できます。

前提条件

  • root アクセス

手順

  • 補助グループからユーザーを削除します。

    # gpasswd -d user-name group-name

    user-name をユーザー名に置き換え、group-name を、補助グループの名前に置き換えます。

    例22.5 補助グループからユーザーの削除

    ユーザー sarah にプライマリーグループ sarah2 があり、セカンダリーグループ wheel および developers に属し、そのユーザーをグループ developers から削除する場合は、次のコマンドを実行します。

    # gpasswd -d sarah developers

検証手順

  • セカンダリーグループの開発者からユーザー sarah を削除したことを確認します。

    $ groups sarah

    この出力では、以下が表示されます。

    sarah : sarah2 wheel

22.6. ユーザーの補助グループのすべての変更

ユーザーをメンバーとして残す補助グループの一覧を上書きできます。

前提条件

  • root アクセス
  • 補助グループが存在している

手順

  • ユーザーの補助グループの一覧を上書きします。

    # usermod -G group-names username

    group-names を、1 つ以上の補助グループの名前に置き換えます。ユーザーを複数の補助グループに一度に追加するには、グループ名をコンマで区切り、スペースを使用しないでください。たとえば、wheel,developer です。

    user-name は、ユーザー名に置き換えます。

    重要

    ユーザーが、指定しないグループのメンバーである場合は、グループからそのユーザーが削除されます。

    例22.6 ユーザーの補助グループの一覧の変更

    ユーザー sarah にプライマリーグループ sarah2 があり、補助グループ wheel に属し、さらに 3 つの補助グループ developersysadmin、および security に属するユーザーにする場合は、次のコマンドを実行します。

    # usermod -G wheel,developer,sysadmin,security sarah

検証手順

  • 補助グループの一覧が正しく設定されていることを確認します。

    # groups sarah

    この出力では、以下が表示されます。

    sarah : sarah2 wheel developer sysadmin security

第23章 sudo アクセスの管理

システム管理者は、root 以外のユーザーに、通常 root ユーザー用に予約されている管理コマンドを実行できるようにする sudo アクセスを付与できます。これにより、root 以外のユーザーは、root ユーザーアカウントにログインせずに、このようなコマンドを実行できます。

23.1. sudoers のユーザー認可

/etc/sudoers ファイルは、sudo コマンドを使用して、どのユーザーがどのコマンドを実行できるかを指定します。ルールは、個別のユーザーおよびユーザーグループに適用できます。エイリアスを使用して、ホスト、コマンド、ユーザーのグループに対するルールの定義を簡素化することもできます。デフォルトのエイリアスは、/etc/sudoers ファイルの最初の部分で定義されます。

ユーザーが sudo 権限を使用して /etc/sudoers ファイルで許可されていないコマンドを実行しようとすると、システムは username: user NOT in sudoers が含まれるメッセージをジャーナルログに記録します。

デフォルトの /etc/sudoers ファイルは、認可の情報と例を提供します。行頭から # コメント文字を削除して、特定のサンプルルールをアクティベートできます。ユーザー認可に関連するセクションには、以下の概要が示されています。

## Next comes the main part: which users can run what software on
## which machines  (the sudoers file can be shared between multiple
## systems).

次の形式を使用して、新しい sudoers 認可を作成し、既存の認可を変更できます。

username hostname=path/to/command

詳細は以下のようになります。

  • username は、ユーザーまたはグループの名前です (例: user1 または %group1)。
  • hostname は、ルールが適用されるホストの名前です。
  • path/to/command は、コマンドへの完全パスです。また、コマンドパスの後にオプションを追加することにより、特定のオプションおよび引数を指定したコマンドのみを実行するようにユーザーを制限することもできます。オプションを指定しないと、すべてのオプションが有効な状態でコマンドを使用できます。

この変数のいずれかを ALL に置き換え、ルールをすべてのユーザー、ホスト、またはコマンドに適用できます。

警告

ALL ALL=(ALL) ALL などの過度に寛容なルールを使用すると、どのユーザーも、ホスト、ユーザー、コマンドはどれでも使用できます。このような設定をすると、セキュリティーリスクにつながる可能性があります。

! 演算子を使用して引数を負の値で指定できます。たとえば、!root を使用して、root ユーザー以外の全ユーザーを指定できます。許可リストを使用して特定のユーザー、グループ、およびコマンドを許可する方法は、拒否リストを使用して特定のユーザー、グループ、およびコマンドを拒否するよりも安全です。許可リストを使用すると、権限のない新規ユーザーまたはグループもブロックできす。

警告

alias コマンドでコマンドの名前を変更すると、このような規則が上書きされるため、コマンドに否定的な規則を使用しないでください。

システムは、/etc/sudoers ファイルを最初から最後まで読み取ります。したがって、ファイルにユーザーの複数のエントリーが含まれている場合、エントリーは順番に適用されます。値が競合する場合は、最も具体的な一致ではない場合でも、システムは最後の一致を使用します。

sudoers に新しいルールを追加する方法として、ルールを /etc/sudoers ファイルに直接入力する代わりに、/etc/sudoers.d/ ディレクトリーに新しいファイルを作成することが推奨されます。これは、このディレクトリーの内容は、システム更新時に保持されるためです。さらに、/etc/sudoers ファイル以外のファイルでエラーを修正することが簡単になります。システムは、/etc/sudoers ファイル内で以下の行に到達する際に、/etc/sudoers.d ディレクトリー内のファイルを読み取ります。

#includedir /etc/sudoers.d

この行の頭にある番号記号 # は構文の一部であり、行がコメントであることを意味するものではありません。そのディレクトリー内のファイル名にはピリオド . を使用することができません。チルダ ~ で終了しないでください。

23.2. ユーザーへの sudo アクセス権限の付与

システム管理者は、root 以外のユーザーが管理コマンドを実行できるように sudo アクセスを付与できます。sudo コマンドは、root ユーザーのパスワードを使用せずに、管理アクセスを持つユーザーを提供する方法です。

ユーザーが管理コマンドを実行する必要がある場合には、コマンドの前に sudo を指定してください。すると、そのコマンドは、root ユーザーのように実行されます。

以下の制限事項に注意してください。

  • /etc/sudoers 設定ファイルに一覧表示されているユーザーのみが sudo コマンドを使用できます。
  • コマンドは、root シェルではなく、ユーザーのシェルで実行されます。

前提条件

  • root アクセス

手順

  1. root で /etc/sudoers ファイルを開きます。

    # visudo

    /etc/sudoers ファイルは、sudo コマンドで適用されるポリシーを定義します。

  2. /etc/sudoers ファイルで、wheel 管理グループのユーザーに sudo アクセスを付与する行を見つけます。

    ## Allows people in group wheel to run all commands
    %wheel        ALL=(ALL)       ALL
  3. %wheel で始まる行に # コメント文字が含まれていないことを確認します。
  4. 変更を保存し、エディターを終了します。
  5. sudo アクセスを付与するユーザーを、wheel 管理グループに追加します。

     # usermod --append -G wheel username

    username は、ユーザー名に置き換えます。

    検証手順

    • ユーザーが wheel 管理グループに追加されていることを確認します。

      # id username
      uid=5000(username) gid=5000(_username) groups=5000(username),10(wheel)

23.3. 非特権ユーザーが特定のコマンドを実行できるようにする

権限のないユーザーが特定のワークステーションで特定のコマンドを実行することを許可するポリシーを設定できます。このポリシーを設定するには、sudoers.d ディレクトリーにファイルを作成して編集する必要があります。

前提条件

  • root アクセス

手順

  1. root で、/etc/ の下に新しい sudoers.d ディレクトリーを作成します。

    # mkdir -p /etc/sudoers.d/
  2. /etc/sudoers.d ディレクトリーに新規ファイルを作成します。

    # visudo -f /etc/sudoers.d/file-name

    file-name は、作成するファイルの名前に置き換えます。ファイルは自動的に開きます。

  3. 新たに作成されたファイルに次の行を追加します。

    username hostname = /path/to/the/command

    username は、ユーザー名に置き換えます。hostname は、ホスト名に置き換えます。/path/to/the/command は、コマンドへの絶対パス (例: /usr/bin/yum) に置き換えます。

  4. 変更を保存し、エディターを終了します。

    例23.1 特権のないユーザーが yum を使用してプログラムをインストールできるようにする

    ユーザー sarah が、sudo 権限で yum ユーティリティーを使用して、localhost.localdomain ワークステーションにプログラムをインストールできるようにするには、以下を使用します。

    1. root で、/etc/ の下に新しい sudoers.d ディレクトリーを作成します。

      # mkdir -p /etc/sudoers.d/
    2. /etc/sudoers.d ディレクトリーに新規ファイルを作成します。

      # visudo -f /etc/sudoers.d/sarah

      ファイルは自動的に開きます。

    3. 以下の行を /etc/sudoers.d/sarah ファイルに追加します。

      sarah localhost.localdomain = /usr/bin/yum

      2 つのコマンドパスがコンマ (,) とスペースで区切られていることを確認します。

    4. オプション: ユーザー sarahsudo 特権の使用を試みるたびにメール通知を受け取るには、以下の行をファイルに追加します。

      Defaults    mail_always
      Defaults    mailto="email@domain.com"
    5. ユーザー sarahsudo 権限で yum コマンドを実行できるかどうかを確認するには、アカウントを切り替えます。

      # su sarah -
    6. sudo yum コマンドを入力します。

      $ sudo yum
      [sudo] password for sarah:

      ユーザー sarahsudo パスワードを入力します。

    7. システムは、yum コマンドおよびオプションの一覧を表示します。

      ...
      usage: yum [options] COMMAND
      ...

      sarah is not in the sudoers file.This incident will be reported. のメッセージを受信する場合は、設定が正しく完了しませんでした。この手順を root で実行し、手順が確実に実行されたことを確認します。

23.4. 関連情報

  • sudo(8) の man ページ
  • visudo(8) の man ページ

第24章 root パスワードの変更およびリセット

既存の root パスワードが要件を満たさないか、パスワードを忘れた場合には、root ユーザーおよび root 以外のユーザーの両方として、パスワードを変更またはリセットできます。

24.1. root ユーザーとしての root パスワードの変更

本セクションでは、passwd コマンドを使用して、root ユーザーで root パスワードを変更する方法を説明します。

前提条件

  • Root アクセス

手順

  • root パスワードを変更する場合は、次のコマンドを実行します。

    # passwd

    変更する前に、現在のパスワードを入力するように求められます。

24.2. root 以外のユーザーが root パスワードを変更またはリセット

本セクションでは、passwd コマンドを使用して、root 以外のユーザーで root パスワードを変更またはリセットする方法を説明します。

前提条件

  • root 以外のユーザーとしてログインできる。
  • wheel 管理グループのメンバーである。

手順

  • wheel グループに属する root ユーザー以外のユーザーとして root パスワードを変更またはリセットするには、以下を使用します。

    $ sudo passwd root

    root パスワードを変更する前に、root 以外のユーザーのパスワードを入力するように求められます。

24.3. 起動時の root パスワードのリセット

root 以外のユーザーとしてログインできない場合や、wheel 管理グループに所属しない場合は、特別な chroot jail 環境に切り替えることで起動時に root パスワードをリセットできます。

手順

  1. システムを再起動して、GRUB 2 ブート画面で e キーを押して、起動プロセスを中断します。

    カーネルブートパラメーターが表示されます。

    load_video
    set gfx_payload=keep
    insmod gzio
    linux ($root)/vmlinuz-4.18.0-80.e18.x86_64 root=/dev/mapper/rhel-root ro crash\
    kernel=auto resume=/dev/mapper/rhel-swap rd.lvm.lv/swap rhgb quiet
    initrd ($root)/initramfs-4.18.0-80.e18.x86_64.img $tuned_initrd
  2. linux で始まる行の最後に移動します。

    linux ($root)/vmlinuz-4.18.0-80.e18.x86_64 root=/dev/mapper/rhel-root ro crash\
    kernel=auto resume=/dev/mapper/rhel-swap rd.lvm.lv/swap rhgb quiet

    Ctrl+e を押して、行の最後に移動します。

  3. rd.breaklinux で始まる行の最後に追加します。

    linux ($root)/vmlinuz-4.18.0-80.e18.x86_64 root=/dev/mapper/rhel-root ro crash\
    kernel=auto resume=/dev/mapper/rhel-swap rd.lvm.lv/swap rhgb quiet rd.break
  4. Ctrl+x を押して、変更したパラメーターでシステムを起動します。

    switch_root プロンプトが表示されます。

  5. ファイルシステムを書き込み可能で再マウントします。

    mount -o remount,rw /sysroot

    ファイルシステムは、/sysroot ディレクトリーに読み取り専用としてマウントされます。書き込み可能なファイルシステムとして再マウントすると、パスワードを変更できます。

  6. chroot 環境に入ります。

    chroot /sysroot

    sh-4.4# プロンプトが表示されます。

  7. root パスワードをリセットします。

    passwd

    コマンドラインに表示される指示に従って、root パスワードの変更を完了します。

  8. 次回のシステム起動時に SELinux の再ラベルプロセスを有効にします。

    touch /.autorelabel
  9. chroot 環境を終了します。

    exit
  10. switch_root プロンプトを終了します。

    exit
  11. SELinux の再ラベルプロセスが終了するまで待機します。大規模なディスクの再ラベルには時間がかかる可能性があることに注意してください。プロセスが完了すると、システムが自動的に再起動します。

検証手順

  1. root パスワードが正常に変更されたことを確認するには、通常のユーザーとしてログインし、ターミナルを開きます。
  2. root としてインタラクティブシェルを実行します。

    $ su
  3. 新しい root パスワードを入力します。
  4. 現在の実効ユーザー ID に関連付けられたユーザー名を出力します。

    whoami

    返される出力は以下のとおりです。

    root

第25章 ファイル権限の管理

ファイルのパーミッションは、ユーザーおよびグループのアカウントで、ファイルとディレクトリーのコンテンツを表示、変更、アクセス、および実行する機能を制御します。

すべてのファイルまたはディレクトリーには、以下のレベルの所有権があります。

  • ユーザー所有者 (u)。
  • グループの所有者 (g)。
  • その他 (o)。

各所有権レベルには、以下のパーミッションを割り当てることができます。

  • 読み取り (r)。
  • 書き込み (w)。
  • 実行 (x)。

ファイルの execute 権限があると、そのファイルを実行するできることに注意してください。ディレクトリーの実行権限では、ディレクトリーのコンテンツにアクセスできますが、実行はできません。

新規ファイルまたはディレクトリーが作成されると、デフォルトのパーミッションセットが自動的に割り当てられます。ファイルまたはディレクトリーのデフォルトパーミッションは、以下の 2 つの要素に基づいています。

  • 基本パーミッション。
  • ユーザーのファイル作成モードマスク (umask)

25.1. ベースファイルのパーミッション

新規ファイルまたはディレクトリーが作成されるたびに、基本パーミッションが自動的に割り当てられます。ファイルまたはディレクトリーの基本パーミッションは、シンボリック または 8 進数 の値で表すことができます。

パーミッション

シンボリック値

8 進数値

パーミッションなし

---

0

実行

--x

1

書き込み

-w-

2

書き込みおよび実行

-wx

3

読み取り

r--

4

読み取りおよび実行

r-x

5

読み取りおよび書き込み

rw-

6

読み取り、書き込み、実行

rwx

7

ディレクトリーの基本パーミッションは 777 (drwxrwxrwx) で、すべてのユーザーに読み取り、書き込み、実行権限を付与します。つまり,ディレクトリーの所有者、グループ、その他のユーザーはディレクトリーのコンテンツ表示、そのディレクトリーでの項目の作成、削除、編集、サブディレクトリーへの移動が可能です。

ディレクトリー内の個別ファイルには、ディレクトリーに無制限にアクセスできるにも拘らず、編集ができない独自のパーミッションが割り当てられている可能性があります。

ファイルの基本パーミッションは 666 (-rw-rw-rw-) で、すべてのユーザーに読み取りおよび書き込み権限を付与します。ファイルの所有者、グループ、その他のユーザーは、ファイルの読み取りと編集が可能です。

例25.1 ファイルのパーミッション

ファイルに以下のパーミッションがある場合:

$ ls -l
-rwxrw----. 1 sysadmins sysadmins 2 Mar 2 08:43 file
  • - ファイルであることを示します。
  • rwx は、ファイルの所有者にファイルの読み取り、書き込み、実行のパーミッションがあることを示します。
  • rw- は、グループに読み取りと書き込みのパーミッションがあるが、ファイルの実行はできません。
  • --- は、他のユーザーにファイルの読み取り、書き込み、実行のパーミッションがないことを示します。
  • . は、SELinux セキュリティーコンテキストがファイルに設定されていることを示しています。

例25.2 ディレクトリーのパーミッション

ディレクトリーに以下のパーミッションがある場合:

$ ls -dl directory
drwxr-----. 1 sysadmins sysadmins 2 Mar 2 08:43 directory
  • d は、ディレクトリーであることを示します。
  • rwx は、ディレクトリーの所有者にディレクトリーの内容を読み取り、書き込み、およびアクセスするパーミッションがあることを示します。

    ディレクトリーの所有者は、ディレクトリー内のアイテム (ファイル、サブディレクトリー) を表示して、アイテムのコンテンツへのアクセスや変更が可能です。

  • r-- は、グループに読み取りのパーミッションがあるが、ディレクトリーのコンテンツへの書き込みやアクセスはできないことを示します。

    ディレクトリーを所有するグループのメンバーは、ディレクトリー内の項目を表示できます。ディレクトリー内のアイテムに関する情報にアクセスしたり、変更したりすることはできません。

  • --- は、他のユーザーがディレクトリーの内容の読み取り、書き込み、またはアクセスパーミッションがないことを示します。

    ディレクトリーのユーザー所有者またはグループ所有者ではない場合に、そのディレクトリーのアイテムを表示したり、アイテムの情報にアクセスしたり、変更したりできません。

  • . は、SELinux セキュリティーコンテキストがディレクトリーに設定されていることを示しています。
注記

ファイルまたはディレクトリーに自動的に割り当てられる基本パーミッションは、最終的にファイルまたはディレクトリーに指定されるデフォルトのパーミッション ではありません。ファイルまたはディレクトリーを作成すると、umask により基本パーミッションが変更されます。基本パーミッションと umask の組み合わせにより、ファイルおよびディレクトリーのデフォルトパーミッションが作成されます。

25.2. ユーザーのファイル作成モードマスク

ユーザーファイル作成モードマスク (umask) は、新規作成ファイルおよびディレクトリーにファイル権限を設定する方法を制御する変数です。umask は、基本パーミッション値からパーミッションを自動的に削除し、linux システム全体のセキュリティーを強化します。umask は、シンボリック 値または 8 進数 の値で表すことができます。

パーミッション

シンボリック値

8 進数値

読み取り、書き込み、実行

rwx

0

読み取りおよび書き込み

rw-

1

読み取りおよび実行

r-x

2

読み取り

r--

3

書き込みおよび実行

-wx

4

書き込み

-w-

5

実行

--x

6

権限なし

---

7

標準ユーザーのデフォルトの umask0002 です。root ユーザーのデフォルトの umask0022 です。

umask の最初の数字は、特別なパーミッション (スティッキービット) を表します。umask の最後の 3 桁はユーザーの所有者 (u)、グループの所有者 (g) およびその他 (o) からそれぞれ削除したパーミッションを表します。

例25.3 ファイルの作成時に umask を適用

以下の例では、umask の 8 進数値 0137 が基本パーミッション 777 に適用され、デフォルトパーミッション 640 のファイルが作成されます。

ユーザーグループ umask の例

25.3. デフォルトのファイル権限

デフォルトのパーミッションは、新規作成ファイルおよびディレクトリーに対して自動的に設定されます。デフォルトのパーミッションの値は、umask を基本パーミッションに適用して決定します。

例25.4 標準ユーザーが作成したディレクトリーのデフォルト権限

標準ユーザー が新しい ディレクトリー を作成すると、umask002 (rwxrwxr-x) に、ディレクトリーの基本パーミッションは 777 (rwxrwxrwx) に設定されます。これにより、デフォルトのパーミッションが 775 (drwxrwxr-x) になります。

 

シンボリック値

8 進数値

基本パーミッション

rwxrwxrwx

777

Umask

rwxrwxr-x

002

デフォルトパーミッション

rwxrwxr-x

775

このパーミッションでは、ディレクトリーの所有者とグループはディレクトリーのコンテンツの表示、ディレクトリーでのアイテムの作成、削除、編集、サブディレクトリーへの移動が可能です。他のユーザーはディレクトリーの内容を表示して、サブディレクトリーに移動することしかできません。

例25.5 標準ユーザーが作成したファイルのデフォルト権限

標準ユーザー が新しい ファイル を作成すると、umask002 (rwxrwxr-x) に、ファイルの基本パーミッションは 666 (rw-rw-rw-) に設定されます。これにより、デフォルトのパーミッション 664 (-rw-rw-r--) になります。

 

シンボリック値

8 進数値

基本パーミッション

rw-rw-rw-

666

Umask

rwxrwxr-x

002

デフォルトパーミッション

rw-rw-r--

664

このパーミッションでは、ファイルの所有者とグループはファイルの読み取りと編集が可能ですが、他のユーザーはこのファイルの読み取りしかできません。

例25.6 root ユーザーが作成したディレクトリーのデフォルト権限

root ユーザー が新規 ディレクトリー を作成すると、umask022 (rwxr-xr-x) に、ディレクトリーの基本パーミッションは 777 (rwxrwxrwx) に設定されます。これにより、デフォルトのパーミッションが 755 (rwxr-xr-x) になります。

 

シンボリック値

8 進数値

基本パーミッション

rwxrwxrwx

777

Umask

rwxr-xr-x

022

デフォルトパーミッション

rwxr-xr-x

755

このパーミッションでは、ディレクトリーの所有者はディレクトリーの内容の表示、ディレクトリー内のアイテムの作成、削除、編集、サブディレクトリーへの移動が可能です。グループとその他のユーザーは、ディレクトリーの内容の表示とサブディレクトリーの移動のみが可能です。

例25.7 root ユーザーが作成したファイルのデフォルト権限

root ユーザー が新規 ファイル を作成すると、umask022 (rwxr-xr-x) に、ファイルの基本パーミッションは 666 (rw-rw-rw-) に設定されます。これにより、デフォルトのパーミッションは 644 (-rw-r—​r--) になりました。

 

シンボリック値

8 進数値

基本パーミッション

rw-rw-rw-

666

Umask

rwxr-xr-x

022

デフォルトパーミッション

rw-r—​r--

644

このパーミッションでは、ファイルの所有者はファイルを読み取りと編集が可能ですが、グループや他のユーザーはこのファイルの読み取りのみが可能です。

注記

セキュリティー上の理由から、通常のファイルに umask000 (rwxrwxrwx) に設定されていても、デフォルトで実行権限がありません。ただし、ディレクトリーは実行権限を持つ状態で作成できます。

25.4. シンボリック値を使用したファイル権限の変更

chmod ユーティリティーにシンボリック値 (組み合わせ文字および記号) を付けて、ファイルまたはディレクトリーのファイルのパーミッションを変更できます。

以下の パーミッション を割り当てることができます。

  • 読み取り (r)
  • 書き込み (w)
  • 実行 (x)

パーミッションは、以下の レベルの所有権 に割り当てることができます。

  • ユーザー所有者 (u)
  • グループ所有者 (g)
  • その他 (o)
  • すべて (a)

パーミッションを追加または削除するには、以下の 記号 を使用できます。

  • +: 既存のパーミッションの上にパーミッションを追加します。
  • -: 既存のパーミッションからパーミッションを削除します。
  • =: 既存のパーミッションを削除し、新しいパーミッションを明示的に定義します。

手順

  • ファイルまたはディレクトリーのパーミッションを変更するには、以下を使用します。

    $ chmod <level><operation><permission> file-name

    <level> は、パーミッションを設定する 所有権のレベル に置き換えます。<operation> は、署名 の 1 つに置き換えます。<permission> は、割り当てる パーミッション に置き換えます。file-name は、ファイルまたはディレクトリーの名前に置き換えます。たとえば、すべてのユーザーに読み取り、書き込み、実行 (rwx) my-script.sh のパーミッションを付与するには、chmod a=rwx my-script.sh コマンドを使用します。

    詳細は ベースファイルのパーミッション を参照してください。

検証手順

  • 特定のファイルのパーミッションを表示するには、以下を使用します。

    $ ls -l file-name

    file-name は、ファイルの名前に置き換えます。

  • 特定のディレクトリーのパーミッションを表示するには、以下を使用します。

    $ ls -dl directory-name

    directory-name は、ディレクトリー名に置き換えます。

  • 特定のディレクトリー内の全ファイルのパーミッションを表示するには、以下を使用します。

    $ ls -l directory-name

    directory-name は、ディレクトリー名に置き換えます。

例25.8 ファイルおよびディレクトリーの権限の変更

  • my-file.txt のパーミッションを -rw-rw-r-- から -rw------ に変更するには以下を使用します。

    1. my-file.txt の現在のパーミッションを表示します。

      $ ls -l my-file.txt
      -rw-rw-r--. 1 username username 0 Feb 24 17:56 my-file.txt
    2. グループ所有者 (g) およびその他のファイル (o) からファイルを読み取り、書き込み、実行 (rwx) するパーミッションを削除します。

      $ chmod go= my-file.txt

      パーミッションを等号 (=) の後ろに指定していない場合には自動的に無視される点に注意してください。

    3. my-file.txt のパーミッションが正しく設定されていることを確認します。

      $ ls -l my-file.txt
      -rw-------. 1 username username 0 Feb 24 17:56 my-file.txt
  • my-directory のパーミッションを drwxrwx--- から drwxrwxr-x に変更するには、以下を使用します。

    1. my-directory の現在のパーミッションを表示します。

      $ ls -dl my-directory
      drwxrwx---. 2 username username 4096 Feb 24 18:12 my-directory
    2. すべてのユーザー (a) に対する読み取りおよび実行 (r-x) アクセスを追加します。

      $ chmod o+rx my-directory
    3. my-directory とそのコンテンツが正しく設定されていることを確認します。

      $ ls -dl my-directory
      drwxrwxr-x. 2 username username 4096 Feb 24 18:12 my-directory

25.5. 8 進数値を使用したファイル権限の変更

chmod ユーティリティーに 8 進数値 (数値) を指定して chmod ユーティリティーを使用し、ファイルまたはディレクトリーのファイルパーミッションを変更できます。

手順

  • 既存のファイルまたはディレクトリーのファイル権限を変更するには、以下を使用します。

    $ chmod octal_value file-name

    file-name は、ファイルまたはディレクトリーの名前に置き換えます。octal_value は 8 進数値に置き換えます。詳細は ベースファイルのパーミッション を参照してください。

第26章 umask の管理

umask ユーティリティーを使用して、umask の現在の値またはデフォルト値を表示、設定、または変更できます。

26.1. umask の現在の値の表示

umask ユーティリティーを使用して、umask の現在の値をシンボリックモードまたは 8 進数モードで表示できます。

手順

  • umask の現在の値をシンボリックモードで表示するには、以下のコマンドを使用します。

    $ umask -S
  • umask の現在の値を 8 進法で表示するには、以下のコマンドを使用します。

    $ umask
    注記

    umask を 8 進法で表示するには、4 桁の数字 (0002 または 0022) で表示される場合があります。umask の最初の数字は、特殊ビット (スティッキービット、SGID ビット、または SUID ビット) を表します。最初の数字を 0 に設定すると、特別なビットは設定されません。

26.2. デフォルトの bash umask の表示

bashkshzshtcsh などの多くのシェルを使用できます。これらのシェルはログインまたは nologin シェルとして動作します。ネイティブまたは GUI 端末を開いて、ログインシェルを呼び出すことができます。

ログインシェルまたは nologin シェルのどちらでコマンドを実行しているかを確認するには、echo $0 コマンドを使用します。

例26.1 ログインまたは nologin bash シェルで作業しているかどうかの確認

  • echo $0 コマンドの出力が bash を返す場合、nologin シェルでコマンドを実行します。

    $ echo $0
    bash

    nologin シェルのデフォルトの umask は、/etc/bashrc 設定ファイルで設定します。

  • echo $0 コマンドの出力が -bash を返す場合は、ログインシェルでコマンドを実行します。

    # echo $0
    -bash

    ログインシェルのデフォルトの umask/etc/profile 設定ファイルで設定します。

手順

  • nologin シェルのデフォルトの bash umask を表示するには、以下のコマンドを使用します。

    $ grep umask /etc/bashrc

    返される出力は以下のとおりです。

    # By default, we want umask to get set. This sets it for non-login shell.
           umask 002
           umask 022
  • ログインシェルのデフォルトの bash umask を表示するには、以下のコマンドを使用します。

    $ grep umask /etc/profile

    返される出力は以下のとおりです。

    # By default, we want umask to get set. This sets it for login shell
           umask 002
           umask 022

26.3. シンボリック値を使用した umask の設定

シンボリック値 (組み合わせ文字および記号) を指定して umask ユーティリティーを使用し、現在のシェルセッションの umask を設定できます。

以下の パーミッション を割り当てることができます。

  • 読み取り (r)
  • 書き込み (w)
  • 実行 (x)

パーミッションは、以下の レベルの所有権 に割り当てることができます。

  • ユーザー所有者 (u)
  • グループ所有者 (g)
  • その他 (o)
  • すべて (a)

パーミッションを追加または削除するには、以下の 記号 を使用できます。

  • +: 既存のパーミッションの上にパーミッションを追加します。
  • -: 既存のパーミッションからパーミッションを削除します。
  • =: 既存のパーミッションを削除し、新しいパーミッションを明示的に定義します。

    注記

    パーミッションを等号 (=) の後ろに指定していない場合には自動的に無視されます。

手順

  • 現在のシェルセッションの umask を設定するには、以下のコマンドを使用します。

    $ umask -S <level><operation><permission>

    <level> は、umask を設定する 所有権のレベル に置き換えます。<operation> は、署名 の 1 つに置き換えます。<permission> は、割り当てる パーミッション に置き換えます。たとえば、umasku=rwx,g=rwx,o=rwx に設定するには umask -S a=rwx を使用します。

    詳細は、ユーザーファイル作成モードを参照してください。

    注記

    umask は、現在のシェルセッション限定で有効になります。

26.4. 8 進数値を使用した umask の設定

8 進数値 (数字) を指定して umask ユーティリティーを使用し、現在のシェルセッションの umask を設定できます。

手順

  • 現在のシェルセッションの umask を設定するには、以下のコマンドを使用します。

    $ umask octal_value

    octal_value は 8 進数値に置き換えます。詳細は、ユーザーファイル作成モードマスクを参照してください。

    注記

    umask は、現在のシェルセッション限定で有効になります。

26.5. nologin シェルのデフォルト umask の変更

/etc/bashrc ファイルを変更して、標準ユーザーのデフォルトの bash umask を変更できます。

前提条件

  • root アクセス

手順

  1. root として、エディターで /etc/bashrc ファイルを開きます。
  2. 以下のセクションを変更して、新しいデフォルトの bash umask を設定します。

        if [ $UID -gt 199 ] && [ id -gn = id -un ]; then
           umask 002
        else
           umask 022
        fi

    umask (002) のデフォルト値を別の進数値に置き換えます。詳細は、ユーザーファイル作成モードマスクを参照してください。

  3. 変更を保存し、エディターを終了します。

26.6. ログインシェルのデフォルト umask の変更

/etc/profile ファイルを変更して、root ユーザーのデフォルトの bash umask を変更できます。

前提条件

  • root アクセス

手順

  1. root として、エディターで /etc/profile ファイルを開きます。
  2. 以下のセクションを変更して、新しいデフォルトの bash umask を設定します。

    if [ $UID -gt 199 ] && [ /usr/bin/id -gn = /usr/bin/id -un ]; then
        umask 002
    else
        umask 022
    fi

    umask (022) のデフォルト値を別の 8 進数値に置き換えます。詳細は、ユーザーファイル作成モードマスクを参照してください。

  3. 変更を保存し、エディターを終了します。

26.7. 特定ユーザーのデフォルトの umask の変更

特定ユーザーのデフォルトの umask を変更するには、そのユーザーの .bashrc を変更します。

手順

  • umask の 8 進数値を指定する行を、特定ユーザーの .bashrc ファイルに追加します。

    $ echo 'umask octal_value' >> /home/username/.bashrc

    octal_value は 8 進数値に、username はユーザー名に置き換えます。詳細は、ユーザーファイル作成モードマスクを参照してください。

26.8. 新しく作成されたホームディレクトリーのデフォルト権限設定

新しく作成されたユーザーのホームディレクトリーのパーミッションモードは、/etc/login.defs ファイルを修正して変更できます。

手順

  1. root として、エディターで /etc/login.defs ファイルを開きます。
  2. 以下のセクションを変更して、HOME_MODE のデフォルトを新規設定します。

    # HOME_MODE is used by useradd(8) and newusers(8) to set the mode for new
    # home directories.
    # If HOME_MODE is not set, the value of UMASK is used to create the mode.
    HOME_MODE       0700

    デフォルトの 8 進数値 (0700) を別の 8 進数値に置き換えます。選択したモードは、ホームディレクトリーのパーミッションの作成に使用されます。

  3. HOME_MODE が設定されている場合は、変更を保存してエディターを終了します。
  4. HOME_MODE が設定されていない場合は、UMASK を変更して、新しく作成されたホームディレクトリーにモードを設定します。

    # Default initial "umask" value used by login(1) on non-PAM enabled systems.
    # Default "umask" value for pam_umask(8) on PAM enabled systems.
    # UMASK is also used by useradd(8) and newusers(8) to set the mode for new
    # home directories if HOME_MODE is not set.
    # 022 is the default value, but 027, or even 077, could be considered
    # for increased privacy. There is no One True Answer here: each sysadmin
    # must make up their mind.
    
    UMASK           022

    デフォルトの 8 進数値 (022) を別の 8 進数値に置き換えます。詳細は、ユーザーファイル作成モードマスクを参照してください。

  5. 変更を保存し、エディターを終了します。

第27章 RHEL での dnstap の使用

dnstap ユーティリティーは、着信名クエリーの詳細を監視およびログに記録する高度な方法を提供します。named サービスから送信されたメッセージを記録します。本セクションでは、dnstap を使用して DNS クエリーを記録する方法を説明します。

27.1. RHEL での dnstap を使用した DNS クエリーの記録

ネットワーク管理者は、DNS クエリーを記録し、ドメインの正常性と共に Web サイトまたは IP アドレス情報を収集できます。

前提条件

  • BIND パッケージをバージョン bind-9.11.26-2 以降にアップグレードします。
警告

BIND バージョンがすでにインストールされ、実行されている場合、新しいバージョンの BIND を追加すると、既存のバージョンが上書きされます。

手順

DNS クエリーを記録する手順は次のとおりです。

  1. options ブロックの /etc/named.conf ファイルを編集し、dnstap と target ファイルを有効にします。

    options
    {
    # …
    
    dnstap { all; }; # Configure filter
    dnstap-output file “/var/named/data/dnstap.bin”;
    
    # …
    };
    # end of options

    ( all | auth | client | forwarder | resolver | update ) [ ( query | response ) ];

    dnstap フィルターには、dnstap {} ブロック内に、; で区切られた複数の定義が含まれています。

    ルールごとの構文を以下に示します。

    • auth: 権威ゾーンの応答または回答。
    • client: 内部クライアントクエリーまたは回答。
    • forwarder: 転送クエリーまたは応答。
    • resolver: 反復的解決クエリーまたは応答。
    • update: 動的ゾーン更新要求。
    • all: 上記のオプションのいずれか。
    • query | response: クエリーまたは応答キーワードが指定されていない場合、両方を記録。

      以下の例では、auth 応答のみ、client queries および動的 updates のクエリーと応答の両方を要求します。

    Example:
    
    dnstap {auth response; client query; update;};
  2. アクティブなログの定期的なロールアウトを設定します。

    以下の例では、ユーザー編集のスクリプトの内容は、cron で 1 日 1 回実行されます。数値 3 はその番号に制限されたバックアップログファイルを示します。ファイルが削除されるため、.2 接尾辞に到達しません。

    Example:
    
    sudoedit /etc/cron.daily/dnstap
    
    #!/bin/sh
    rndc dnstap -roll 3
    mv /var/named/data/dnstap.bin.1 \ /var/log/named/dnstap/dnstap-$(date -I).bin
    
    # use dnstap-read to analyze saved logs
    sudo chmod a+x /etc/cron.daily/dnstap
  3. dnstap-read ユーティリティーを使用して、人間が判読できる形式でログを処理および分析します。

    以下の例では、詳細な dnstap 出力が YAML ファイル形式で出力されます。

    Example:
    
    dnstap-read -y [file-name]

第28章 アクセス制御一覧の管理

各ファイルおよびディレクトリーには、ユーザー所有者とグループ所有者を一度に指定できます。他のファイルやディレクトリーを非公開のままにし、別のユーザーまたはグループが所有する特定のファイルまたはディレクトリーにアクセスできるようなユーザーのパーミッションを付与する場合には、Linux アクセス制御リスト (ACL) を使用できます。

28.1. 現在のアクセス制御リストの表示

getfacl ユーティリティーを使用して、現在の ACL を表示できます。

手順

  • 特定のファイルまたはディレクトリーの現在の ACL を表示するには、以下を使用します。

    $ getfacl file-name

    file-name は、ファイルまたはディレクトリーの名前に置き換えます。

28.2. アクセス制御一覧の設定

setfacl ユーティリティーを使用して、ファイルまたはディレクトリーに ACL を設定できます。

前提条件

  • root アクセス

手順

  • ファイルまたはディレクトリーに ACL を設定するには、以下を使用します。
# setfacl -m u:username:symbolic_value file-name

username はユーザー名に、symbolic_value はシンボリック値に、file-name はファイルまたはディレクトリーの名前に置き換えます。詳細は、 setfacl の man ページを参照してください。

例28.1 グループプロジェクトのパーミッションの変更

以下の例では、root グループに所属する root ユーザーが所有する group-project ファイルのパーミッションを修正する方法を説明します。このファイルは以下のように設定します。

  • 誰にも実行権限がない。
  • ユーザー andrew のパーミッションは rw- である。
  • susan ユーザーのパーミッションは --- である。
  • 他のユーザーのパーミッションは r-- である。

手順

# setfacl -m u:andrew:rw- group-project
# setfacl -m u:susan:--- group-project

検証手順

  • ユーザー andrewrw- パーミッションがあり、ユーザー susan には --- パーミッションがあり、その他のユーザーに r-- パーミッションがあることを確認するには、以下を実行します。

    $ getfacl group-project

    返される出力は以下のとおりです。

    # file: group-project
    # owner: root
    # group: root
    user:andrew:rw-
    user:susan:---
    group::r--
    mask::rw-
    other::r--

第29章 Chrony スイートを使用した NTP の設定

IT では、さまざまな理由で正確な時間の維持が重要です。たとえばネットワーキングでは、パケットとログのタイムスタンプが正確であることが必要になります。Linux システムでは、NTP プロトコルがユーザー領域で実行しているデーモンにより実装されます。

ユーザー領域のデーモンは、カーネルで実行しているシステムクロックを更新します。システムクロックは、さまざまなクロックソースを使用して時間を維持します。一般的に使用されるのは Time Stamp Counter (TSC) です。TSC は、最後にリセットされた時点からのサイクル数を計測する CPU レジスターです。非常に高速でハイレゾリューションであり、中断も発生しません。

Red Hat Enterprise Linux 8 以降、NTP プロトコルは chronyd デーモンにより実装されます。このデーモンは、chrony パッケージのリポジトリーから利用できます。

次のセクションでは、chrony スイートを使用して NTP を設定する方法を説明します。

29.1. chrony スイートの概要

chronyNetwork Time Protocol (NTP) の実装です。chrony を使用すると、以下のことができます。

  • システムクロックを、NTP サーバーと同期する
  • システムクロックを、GPS レシーバーなどの基準クロックと同期する
  • システムクロックを、手動で入力した時間と同期する
  • ネットワーク内の他のコンピューターにタイムサービスを提供する NTPv4(RFC 5905) サーバーまたはピアとして

chrony は、ネットワーク接続が頻繁に切断される、ネットワークの混雑が長時間続く、温度が変わる (一般的なコンピューターのクロックは温度に敏感) といったさまざまな状況や、継続して実行されない、または仮想マシンで実行されているといったシステムにおいても、良好に動作します。

インターネット上で同期している 2 つのマシン間の一般的精度は数ミリ秒以内、LAN 上のマシン間では数十マイクロ秒以内です。ハードウェアのタイムスタンプまたはハードウェア基準クロックは、同期している 2 つのマシン間の精度をサブマイクロ秒レベルにまで高めることができます。

chrony は、ユーザー領域で実行する chronyd と、chronyd のパフォーマンスを監視し、実行時にさまざまなオペレーティングパラメーターを変更するのに使用できるコマンドラインプログラムである chronyc で設定されます。

chrony デーモンである chronyd は、コマンドラインユーティリティーの chronyc を使用して監視と管理を行います。このユーティリティーは、chronyd の現在の状態に対してクエリーを実行し、その設定を変更する多数のコマンド入力を可能にするコマンドプロンプトを提供します。デフォルトでは、chronydchronyc のローカルインスタンスのコマンドのみを受け付けますが、リモートホストから監視コマンドを受け付けるように設定することも可能です。リモートアクセスは制限する必要があります。

29.2. chronyc を使用した chronyd の制御

本セクションでは、chronyc コマンドラインユーティリティーを使用して chronyd を制御する方法を説明します。

手順

  1. 対話モードでコマンドラインユーティリティー chronyc を使用して、chronyd のローカルインスタンスを変更するには、root で以下のコマンドを実行します。

    # chronyc

    制限されているコマンドを使用する場合は、rootchronyc を実行する必要があります。

    以下のように、chronyc コマンドプロンプトが表示されます。

    chronyc>
  2. コマンドの一覧を表示するには、help と入力します。
  3. 以下のように、コマンドと合わせて呼び出した場合には、非対話的なコマンドモードでユーティリティーを呼び出すこともできます。

    chronyc command
注記

chronyc を使用して変更した内容は永続的ではなく、chronyd を再起動すると元に戻ります。永続的に変更する場合は、/etc/chrony.conf を変更してください。

29.3. chrony への移行

Red Hat Enterprise Linux 7 では、正確な時間管理を行う方法として、ntp または chrony を選択できます。ntpchrony の相違点、ntpdchronyd の相違点は、ntpd と chronyd の違い を参照してください。

Red Hat Enterprise Linux 8 以降、ntp はサポートされなくなりました。chrony は、デフォルトで有効になっています。このため、ntp から chrony への移行が必要になる場合があります。

ntp から chrony への移行は、ほとんどの場合簡単です。プログラムの、設定ファイル、およびサービスに対応する名前は、次のとおりです。

表29.1 ntp から chrony へ移行する際に、プログラム、設定ファイル、サービスに対応する名前

ntp の名前chrony の名前

/etc/ntp.conf

/etc/chrony.conf

/etc/ntp/keys

/etc/chrony.keys

ntpd

chronyd

ntpq

chronyc

ntpd.service

chronyd.service

ntp-wait.service

chrony-wait.service

ntpdate ユーティリティーおよび sntp ユーティリティーは ntp ディストリビューションに含まれていますが、-q オプションまたは -t オプションを使用して chronyd に置き換えることができます。この設定は、/etc/chrony.conf を読み込まないようにコマンドラインで指定できます。たとえば、ntpdate ntp.example.com を実行する代わりに、以下のように chronyd を起動できます。

# chronyd -q 'server ntp.example.com iburst'
2018-05-18T12:37:43Z chronyd version 3.3 starting (+CMDMON +NTP +REFCLOCK +RTC +PRIVDROP +SCFILTER +SIGND +ASYNCDNS +SECHASH +IPV6 +DEBUG)
2018-05-18T12:37:43Z Initial frequency -2.630 ppm
2018-05-18T12:37:48Z System clock wrong by 0.003159 seconds (step)
2018-05-18T12:37:48Z chronyd exiting

ntpstat ユーティリティーは、ntp パッケージに含まれていましたが、ntpd だけをサポートしていました。現在は、ntpdchronyd の両方をサポートします。これは、ntpstat パッケージで入手できます。

29.3.1. 移行スクリプト

chrony パッケージのドキュメント (/usr/share/doc/chrony) には、ntp2chrony.py という名前の Python スクリプトがあります。このスクリプトは、既存の ntp 設定を chrony に自動的に変換します。ntp.conf ファイルで最も一般的なディレクティブおよびオプションがサポートされます。変換で無視されている行はすべて、確認のために、生成された chrony.conf ファイルにコメントとして追加されます。ntp 鍵ファイルに指定し、ntp.conf で信頼される鍵としてマークされていない鍵は、生成された chrony.keys ファイルにコメントとして追加されます。

デフォルトでは、スクリプトはいずれのファイルも上書きしません。/etc/chrony.conf または /etc/chrony.keys が存在する場合は、-b オプションを使用してファイルの名前を変更すれば、バックアップとして使用できます。このスクリプトはその他のオプションもサポートします。--help オプションを使用すると、サポートされるすべてのオプションが表示されます。

ntp パッケージで提供されるデフォルトの ntp.conf を使用したスクリプトの呼び出し例は以下のようになります。

# python3 /usr/share/doc/chrony/ntp2chrony.py -b -v
Reading /etc/ntp.conf
Reading /etc/ntp/crypto/pw
Reading /etc/ntp/keys
Writing /etc/chrony.conf
Writing /etc/chrony.keys

この場合に無視される唯一のディレクティブは disable monitor です。これは、noclientlog ディレクティブで chrony に相当するものがありますが、アンプ攻撃を軽減するためだけに、デフォルトの ntp.conf に含まれていました。

生成した chrony.conf ファイルには、通常、ntp.conf の制御行に対応する allow ディレクティブが多数含まれています。chronydNTP サーバーとして実行しない場合は、allow ディレクティブをすべて chrony.conf から削除します。

第30章 chrony の使用

次のセクションでは、chronyd のインストール、起動、停止の方法や、chrony が同期しているかどうかを確認する方法を説明します。また、システムクロックを手動で調整する方法も説明されています。

30.1. chrony の管理

以下の手順では、chronyd のインストール、起動、停止、およびステータスの確認方法を説明します。

手順

  1. Red Hat Enterprise Linux では、chrony スイートがデフォルトでインストールされます。インストールされていることを確認するには、root で以下のコマンドを実行します。

    # yum install chrony

    chrony デーモンのデフォルトの場所は、/usr/sbin/chronyd です。このコマンドラインユーティリティーは /usr/bin/chronyc にインストールされます。

  2. chronyd のステータスを確認するには、以下のコマンドを実行します。

    systemctl status chronyd
    chronyd.service - NTP client/server
       Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/chronyd.service; enabled)
       Active: active (running) since Wed 2013-06-12 22:23:16 CEST; 11h ago
  3. chronyd を開始するには、root で以下のコマンドを実行します。

    # systemctl start chronyd

    システムの起動時に chronyd を自動的に起動するように設定するには、root で以下のコマンドを実行します。

    # systemctl enable chronyd
  4. chronyd を停止するには、root で以下のコマンドを実行します。

    # systemctl stop chronyd

    システムの起動時に chronyd を自動的に起動しないように設定するには、root で以下のコマンドを実行します。

    # systemctl disable chronyd

30.2. chrony の同期確認

以下の手順では、tracking コマンド、sources コマンド、および sourcestats コマンドを使用して、chrony が同期されているかどうかを確認する方法を説明します。

手順

  1. chrony の追跡を確認するには、以下のコマンドを実行します。

    chronyc tracking
    Reference ID    : CB00710F (foo.example.net)
    Stratum         : 3
    Ref time (UTC)  : Fri Jan 27 09:49:17 2017
    System time     :  0.000006523 seconds slow of NTP time
    Last offset     : -0.000006747 seconds
    RMS offset      : 0.000035822 seconds
    Frequency       : 3.225 ppm slow
    Residual freq   : 0.000 ppm
    Skew            : 0.129 ppm
    Root delay      : 0.013639022 seconds
    Root dispersion : 0.001100737 seconds
    Update interval : 64.2 seconds
    Leap status     : Normal
  2. sources コマンドは、chronyd がアクセスしている現在の時間ソースの情報を表示します。chrony ソースを確認するには、以下のコマンドを実行します。

    $ chronyc sources
    	210 Number of sources = 3
    MS Name/IP address         Stratum Poll Reach LastRx Last sample
    ===============================================================================
    #* GPS0                          0   4   377    11   -479ns[ -621ns] /-  134ns
    ^? a.b.c                         2   6   377    23   -923us[ -924us] +/-   43ms
    ^ d.e.f                         1   6   377    21  -2629us[-2619us] +/-   86ms

    任意の引数 -v (verbose (詳細) の意) を指定できます。この例では、余分なキャプション行は、コラムの意味を説明するものとして表示されます。

  3. sourcestats コマンドは、chronyd が現在調べている各ソースに関するドリフト量とオフセット推定プロセスの情報を表示します。chrony ソースの統計情報を確認するには、以下のコマンドを実行します。

    chronyc sourcestats
    210 Number of sources = 1
    Name/IP Address            NP  NR  Span  Frequency  Freq Skew  Offset  Std Dev
    ===============================================================================
    abc.def.ghi                11   5   46m     -0.001      0.045      1us    25us

    任意の引数 -v (verbose (詳細) の意) を指定できます。この例では、余分なキャプション行は、コラムの意味を説明するものとして表示されます。

関連情報

  • chronyc(1) の man ページ

30.3. システムクロックの手動調整

以下の手順では、システムクロックを手動で調整する方法を説明します。

手順

  1. システムクロックを徐々に調整していく (slew) のを止め、一度に修正 (step) するには、root で以下のコマンドを実行します。

    # chronyc makestep

rtcfile ディレクティブを使用している場合は、リアルタイムクロックを手動で調整しないでください。ランダムな調整を行うと、リアルタイムクロックがずれる変化量を測定する必要がある chrony に影響を与えます。

30.4. 孤立したネットワークでのシステムにおける chrony の設定

インターネットに接続していないネットワークに関しては、1 台のコンピューターをマスタータイムサーバーとします。もう 1 台のコンピューターをマスターの直接クライアント、またはクライアントのクライアントとします。マスターでは、ドリフトファイルは、システムクロックのドリフトの平均率を使用して手動で設定します。マスターを再起動すると、周囲のシステムから時間を取得し、システムクロックを設定するために平均値を計算します。その後、drift ファイルに基づいて調整の適用を再開します。drift ファイルは、settime コマンドが使用されたときに自動的に更新されます。

以下の手順では、分離ネットワークで asystem に chrony を設定する方法を説明します。

手順

  1. マスターにしたシステムで、root でテキストエディターを実行し、以下のように /etc/chrony.conf を実行します。

    driftfile /var/lib/chrony/drift
    commandkey 1
    keyfile /etc/chrony.keys
    initstepslew 10 client1 client3 client6
    local stratum 8
    manual
    allow 192.0.2.0

    192.0.2.0 は、クライアントが接続できるネットワークアドレスまたはサブネットアドレスです。

  2. マスターのダイレクトクライアントにしたシステムで、root でテキストエディターを実行し、以下のように /etc/chrony.conf を実行します。

    server master
    driftfile /var/lib/chrony/drift
    logdir /var/log/chrony
    log measurements statistics tracking
    keyfile /etc/chrony.keys
    commandkey 24
    local stratum 10
    initstepslew 20 master
    allow 192.0.2.123

    ここでの 192.0.2.123 はマスターのアドレスで、master はマスターのホスト名になります。この設定になっているクライアントは、システムが再起動するとマスターと再同期を行います。

マスターの直接のクライアントにはならないクライアントシステムの /etc/chrony.conf ファイルでは、local ディレクティブおよび allow ディレクティブが省略される以外は、同じになるべきです。

孤立したネットワークでは、ローカルの参照モードを有効にする local ディレクティブも使用できます。これにより、NTP サーバーとして動作している chronyd は、サーバーが一度も同期されていなかったり、クロックの最終更新から長い時間が経過している場合でも、リアルタイムに同期してるように見えます。

複数のサーバーをポーリングしているクライアントを混同することなく、ネットワーク上の複数のサーバーに同じローカル設定を使用し、互いを同期させるには、Orphan モードを有効にする local ディレクティブの orphan オプションを使用します。各サーバーは、他のすべてのサーバーを local でポーリングするように設定する必要があります。これにより、最小の参照 ID を持つサーバーでのみローカル参照が有効になり、他のサーバーはそれに同期します。サーバーが失敗すると別のサーバーが引き継ぎます。

30.5. リモート監視アクセスの設定

chronyc は、以下の 2 つの方法で chronyd にアクセスします。

  • インターネットプロトコル (IPv4 または IPv6)
  • Unix ドメインソケット (ユーザー root または chrony がローカルにアクセス可能)

デフォルトでは、chronyc は、Unix ドメインソケットに接続します。デフォルトのパスは /var/run/chrony/chronyd.sock です。この接続に失敗すると (たとえば非特権ユーザーで chronyc を実行していると失敗する可能性があります)、chronyc は 127.0.0.1 への接続を試み、その後 ::1 への接続を試みます。

chronyd の動作に影響しない次の監視コマンドのみが、ネットワークに許可されています。

  • activity
  • manual list
  • rtcdata
  • smoothing
  • sources
  • sourcestats
  • tracking
  • waitsync

chronyd がこのコマンドを受け取るホスト郡は、chronyd の設定ファイルにある cmdallow ディレクティブ、または chronyccmdallow コマンドで設定できます。デフォルトでは、このコマンドが許可されるのは、ローカルホスト (127.0.0.1 または ::1) のものだけになります。

その他のコマンドはすべて、Unix ドメインソケットのみを介して許可されます。ネットワーク上で送信されると、たとえローカルホストであっても、chronydNot authorised エラーを返します。

以下の手順では、chronyc を使用して chronyd にリモートでアクセスする方法を説明します。

手順

  1. 以下を /etc/chrony.conf ファイルに追加すると、IPv4 と IPv6 の両方のアドレスからアクセスが可能になります。

    bindcmdaddress 0.0.0.0

    または

    bindcmdaddress ::
  2. cmdallow ディレクティブを使用すると、リモート IP アドレス、ネットワーク、またはサブネットからのコマンドが許可されます。

    /etc/chrony.conf ファイルに以下の内容を追加します。

    cmdallow 192.168.1.0/24
  3. ファイアウォールでポート 323 を開き、リモートシステムから接続します。

    #  firewall-cmd --zone=public --add-port=323/udp

    必要に応じて、--permanent オプションを使用してポート 323 を永続的に開くことができます。

    #  firewall-cmd --permanent --zone=public --add-port=323/udp
  4. ポート 323 を永続的に開く場合は、ファイアウォール設定を再読み込みします。

    firewall-cmd --reload

関連情報

  • chrony.conf(5) の man ページ

30.6. RHEL システムロールを使用した時刻同期の管理

timesync ロールを使用して、複数のターゲットマシンで時刻同期を管理できます。システムクロックが、NTP サーバーまたは PTP ドメインのグランドマスターに同期するように、timesync ロールが、NTP 実装または PTP 実装をインストールして NTP クライアントまたは PTP スレーブとして動作するように設定します。

timesync ロールを使用すると、システムが ntp または chrony を使用して NTP プロトコルを実装するかどうかにかかわらず、RHEL 6 以降のすべてのバージョンの Red Hat Enterprise Linux で同じ Playbook を使用できるため、chrony への移行 も容易になる点に留意してください。

警告

timesync ロールは、管理対象ホストで指定または検出されたプロバイダーサービスの設定を置き換えます。以前の設定は、ロール変数で指定されていなくても失われます。timesync_ntp_provider 変数が定義されていない場合は、プロバイダーの唯一の設定が適用されます。

以下の例は、サーバーにプールが 1 つしかない場合に、timesync ロールを適用する方法を示しています。

例30.1 サーバーの 1 つのプールに、timesync ロールを適用する Playbook の例

---
- hosts: timesync-test
  vars:
    timesync_ntp_servers:
      - hostname: 2.rhel.pool.ntp.org
        pool: yes
        iburst: yes
  roles:
    - rhel-system-roles.timesync

timesync ロール変数の詳細は、rhel-system-roles パッケージをインストールし、/usr/share/doc/rhel-system-roles/timesync ディレクトリーの README.md または README.html ファイルを参照してください。

30.7. 関連情報

第31章 ハードウェアのタイムスタンプを使用した Chrony

ハードウェアのタイムスタンプは、一部の Network Interface Controller (NIC) でサポートされている機能です。着信パケットおよび送信パケットのタイムスタンプを正確に提供します。NTP タイムスタンプは通常、カーネルにより作成され、システムクロックを使用して chronyd が作成されます。ただし、ハードウェアのタイムスタンプが有効な場合、NIC は独自のクロックを使用して、パケットがリンク層または物理層に出入りするときにタイムスタンプを生成します。ハードウェアスタンプで NTP を使用すると、同期の精度を大幅に向上できます。最高精度を実現するには、NTP サーバーおよび NTP クライアントの両方が、ハードウェアのタイムスタンプを使用している必要があります。理想的な条件下では、サブマイクロ秒単位の精度を実現できるかもしれません。

ハードウェアのタイムスタンプを使用する時間同期の別のプロトコルには、PTP があります。

NTP とは異なり、PTP は、ネットワークスイッチおよびルーターの補助に依存しています。同期の精度を最高の状態にしたい場合は、PTP をサポートしているスイッチやルーターがあるネットワークで PTP を使用し、そのようなスイッチおよびルーターがないネットワークでは、NTP を使用することが推奨されます。

以下のセクションでは、次の方法を説明します。

  • ハードウェアタイムスタンプのサポートの確認
  • ハードウェアのタイムスタンプの有効化
  • クライアントポーリング間隔の設定
  • インターリーブモードの有効化
  • 多数のクライアント向けのサーバー設定
  • ハードウェアのタイムスタンプの確認
  • PTP-NTP ブリッジの設定

31.1. ハードウェアタイムスタンプのサポートの確認

NTP を使用したハードウェアのタイムスタンプがインターフェイスでサポートされていることを確認するには、ethtool -T コマンドを実行します。ethtool が、SOF_TIMESTAMPING_TX_HARDWARE 機能、SOF_TIMESTAMPING_TX_SOFTWARE 機能、および HWTSTAMP_FILTER_ALL フィルターモードを一覧表示する場合は、NTP を使用して、ハードウェアのタイムスタンプにインターフェイスを使用できます。

例31.1 特定のインターフェイスにおけるハードウェアのタイムスタンプのサポートの確認

# ethtool -T eth0

出力:

Timestamping parameters for eth0:
Capabilities:
        hardware-transmit     (SOF_TIMESTAMPING_TX_HARDWARE)
        software-transmit     (SOF_TIMESTAMPING_TX_SOFTWARE)
        hardware-receive      (SOF_TIMESTAMPING_RX_HARDWARE)
        software-receive      (SOF_TIMESTAMPING_RX_SOFTWARE)
        software-system-clock (SOF_TIMESTAMPING_SOFTWARE)
        hardware-raw-clock    (SOF_TIMESTAMPING_RAW_HARDWARE)
PTP Hardware Clock: 0
Hardware Transmit Timestamp Modes:
        off                   (HWTSTAMP_TX_OFF)
        on                    (HWTSTAMP_TX_ON)
Hardware Receive Filter Modes:
        none                  (HWTSTAMP_FILTER_NONE)
        all                   (HWTSTAMP_FILTER_ALL)
        ptpv1-l4-sync         (HWTSTAMP_FILTER_PTP_V1_L4_SYNC)
        ptpv1-l4-delay-req    (HWTSTAMP_FILTER_PTP_V1_L4_DELAY_REQ)
        ptpv2-l4-sync         (HWTSTAMP_FILTER_PTP_V2_L4_SYNC)
        ptpv2-l4-delay-req    (HWTSTAMP_FILTER_PTP_V2_L4_DELAY_REQ)
        ptpv2-l2-sync         (HWTSTAMP_FILTER_PTP_V2_L2_SYNC)
        ptpv2-l2-delay-req    (HWTSTAMP_FILTER_PTP_V2_L2_DELAY_REQ)
        ptpv2-event           (HWTSTAMP_FILTER_PTP_V2_EVENT)
        ptpv2-sync            (HWTSTAMP_FILTER_PTP_V2_SYNC)
        ptpv2-delay-req       (HWTSTAMP_FILTER_PTP_V2_DELAY_REQ)

31.2. ハードウェアのタイムスタンプの有効化

ハードウェアのタイムスタンプを有効にするには、/etc/chrony.conf ファイルの hwtimestamp ディレクティブを使用します。ディレクティブは、個別のインターフェイスを指定できますが、ワイルドカード文字を使用して、ハードウェアのタイムスタンプをサポートするすべてのインターフェイスでハードウェアのタイムスタンプを有効にすることもできます。linuxptp パッケージの ptp4l などのアプリケーションが、ハードウェアのタイムスタンプを使用していない場合は、ワイルドカード仕様を使用してください。chrony 設定ファイルで、複数の hwtimestamp ディレクティブが使用されます。

例31.2 hwtimestamp のディレクティブを使用したハードウェアのタイムスタンプの有効化

hwtimestamp eth0
hwtimestamp eth1
hwtimestamp *

31.3. クライアントポーリング間隔の設定

インターネット上のサーバーのポーリング間隔は、デフォルトの範囲である 64 秒から 1024 秒が推奨されています。ローカルサーバーおよびハードウェアのタイムスタンプでは、システムクロックのオフセットを最小限にとどめるため、ポーリング間隔は短く設定する必要があります。

/etc/chrony.conf における以下のディレクティブは、1 秒のポーリング間隔を使用してローカルの NTP サーバーを指定します。

server ntp.local minpoll 0 maxpoll 0

31.4. インターリーブモードの有効化

ハードウェアの NTP アプライアンスではなく、chrony など、ソフトウェアの NTP 実装を実行する汎用コンピューターの NTP サーバーは、パケット送信後にのみハードウェア送信タイムスタンプを取得します。この動作により、サーバーは、対応するパケットのタイムスタンプを保存できません。NTP クライアントが、送信後に生成された送信タイムスタンプを受け取るようにするには、/etc/chrony.conf のサーバーディレクティブに xleave オプションを追加し、クライアントが NTP インターリーブモードを使用するように設定します。

server ntp.local minpoll 0 maxpoll 0 xleave

31.5. 多数のクライアント向けのサーバーの設定

デフォルトのサーバー設定では、最多で数千のクライアントが同時にインターリーブモードを使用できます。さらに多くのクライアント向けにサーバーを設定するには、/etc/chrony.confclientloglimit ディレクティブを増やします。このディレクティブは、サーバーでクライアントのアクセスログに割り当てられるメモリーの最大サイズを指定します。

clientloglimit 100000000

31.6. ハードウェアのタイムスタンプの確認

インターフェイスがハードウェアのタイムスタンプを有効にできたことを確認するには、システムログを確認してください。ログには、chronyd からの各インターフェイス向けメッセージに、有効にしたハードウェアのタイムスタンプが追記されているはずです。

例31.3 ハードウェアのタイムスタンプが有効になったインターフェイスのログメッセージ

chronyd[4081]: Enabled HW timestamping on eth0
chronyd[4081]: Enabled HW timestamping on eth1

chronyd が、NTP クライアントまたはピアとして設定されている場合は、chronyc ntpdata コマンドにより、送信先と受信先のタイムスタンプおよびインターリーブモードを、各 NTP ソースに報告できます。

例31.4 各 NTP ソースの送信先および受信先のタイムスタンプおよびインターリーブモードの報告

# chronyc ntpdata

出力:

Remote address  : 203.0.113.15 (CB00710F)
Remote port     : 123
Local address   : 203.0.113.74 (CB00714A)
Leap status     : Normal
Version         : 4
Mode            : Server
Stratum         : 1
Poll interval   : 0 (1 seconds)
Precision       : -24 (0.000000060 seconds)
Root delay      : 0.000015 seconds
Root dispersion : 0.000015 seconds
Reference ID    : 47505300 (GPS)
Reference time  : Wed May 03 13:47:45 2017
Offset          : -0.000000134 seconds
Peer delay      : 0.000005396 seconds
Peer dispersion : 0.000002329 seconds
Response time   : 0.000152073 seconds
Jitter asymmetry: +0.00
NTP tests       : 111 111 1111
Interleaved     : Yes
Authenticated   : No
TX timestamping : Hardware
RX timestamping : Hardware
Total TX        : 27
Total RX        : 27
Total valid RX  : 27

例31.5 NTP 測定の安定性の報告

# chronyc sourcestats

ハードウェアのタイムスタンプを有効にすると、NTP 測定の安定性は、通常のロードにおいて数十ナノ秒または数百ナノ秒となります。この安定性は、chronyc sourcestats コマンドの出力の Std Dev 列に報告されます。

出力:

210 Number of sources = 1
Name/IP Address            NP  NR  Span  Frequency  Freq Skew  Offset  Std Dev
ntp.local                  12   7    11     +0.000      0.019     +0ns    49ns

31.7. PTP-NTP ブリッジの設定

非常に精度が高い PTP (Precision Time Protocol) のグランドマスターが、PTP サポートのあるスイッチまたはルーターを持たないネットワークで利用可能な場合、コンピューターは、PTP スレーブおよび stratum-1 の NTP サーバーとしての操作に専念する可能性があります。このようなコンピューターには、2 つ以上のネットワークインターフェイスが必要なほか、グランドマスターに近いか、またはグランドマスターに直接接続されている必要があります。これにより、ネットワークで非常に精度の高い同期が確実に実行されます。

1 つのインターフェイスを使用して、PTP でシステムクロックを同期するように、linuxptp パッケージの ptp4l プログラムおよび phc2sys プログラムを設定します。

chronyd を設定して、その他のインターフェイスを使用してシステム時間を提供するには、以下を行います。

例31.6 その他のインターフェイスを使用してシステム時間を提供するように chronyd を設定

bindaddress 203.0.113.74
hwtimestamp eth1
local stratum 1

第32章 以前サポートされていた設定を chrony で実現する手順

ntp がサポートする Red Hat Enterprise Linux の前のメジャーバージョンにあった一部の設定が、chrony ではサポートされません。以下のセクションでは、このような設定の一覧を表示し、chrony を使用して以前サポートされていた設定をシステムで実現する方法を説明します。

32.1. ntpq および ntpdc による監視

chrony は、NTP モードの 6 および 7 に対応していないため、chronyd は、ntp ディストリビューションの ntpq ユーティリティーおよび ntpdc ユーティリティーからは監視できません。これにより異なるプロトコルに対応します。chronyc はクライアントの実装になります。詳細は chronyc(1) の man ページを参照してください。

chronyd で同期しているシステムクロックの状態を監視するには、次のことができます。

  • 追跡コマンドの使用
  • ntpstat ユーティリティーを使用します。 これは、chrony をサポートし、ntpd で使用したときと同様の出力を提供します。

例32.1 追跡コマンドの使用

$ chronyc -n tracking
Reference ID    : 0A051B0A (10.5.27.10)
Stratum         : 2
Ref time (UTC)  : Thu Mar 08 15:46:20 2018
System time     : 0.000000338 seconds slow of NTP time
Last offset     : +0.000339408 seconds
RMS offset      : 0.000339408 seconds
Frequency       : 2.968 ppm slow
Residual freq   : +0.001 ppm
Skew            : 3.336 ppm
Root delay      : 0.157559142 seconds
Root dispersion : 0.001339232 seconds
Update interval : 64.5 seconds
Leap status     : Normal

例32.2 ntpstat ユーティリティーの使用

$ ntpstat
synchronised to NTP server (10.5.27.10) at stratum 2
   time correct to within 80 ms
   polling server every 64 s

32.2. 公開鍵暗号に基づく認証メカニズムの使用

Red Hat Enterprise Linux 7 では、ntpは、公開鍵暗号に基づく認証メカニズムである Autokey をサポートしていました。

Red Hat Enterprise Linux 8 では、chronyd は、Autokey の代わりに、最新のセキュアな認証メカニズムである Network Time Security (NTS) をサポートしています。詳細は、chrony における Network Time Security (NTS) の概要を参照してください。

32.3. 一時的な対称関係の使用

Red Hat Enterprise Linux 7 では、ntpd は、ntp.conf 設定ファイルで指定されていないピアからのパケットにより収集できる一時的な対称関係をサポートしていました。Red Hat Enterprise Linux 8 では、chronyd は、chrony.conf ですべてのピアを指定する必要があります。一時的な対称関係はサポートされません。

peer ディレクティブで有効にした対象モードと比べると、server ディレクティブまたは pool ディレクティブで有効になっているクライアント/サーバーモードを使用したほうが安全です。

32.4. マルチキャストまたはブロードキャストのクライアント

Red Hat Enterprise Linux 7 では、クライアントの設定を簡素化するブロードキャストまたはマルチキャストの NTP モードをサポートしていました。このモードでは、個々のユーザーの特定名またはアドレスに対してリッスンする代わりに、マルチキャストまたはブロードキャストのアドレスに送信されたパケットのみをリッスンするようにクライアントを設定できます。 これは、時間の経過とともに変化する場合があります。

Red Hat Enterprise Linux 8 では、chronyd は、ブロードキャストモードまたはマルチキャストモードをサポートしていません。主な理由は、通常のクライアント/サーバーおよび対象モードに比べると正確性に欠け、セキュリティーも保護されていないからです。

NTP のブロードキャストまたはマルチキャストの設定からの移行には、オプションがいくつかあります。

  • 1 つの名前 (ntp.example.com など) を、異なるサーバーの複数のアドレスに変換するように DNS を設定します。

    クライアントには、複数サーバーと同期するために、プールディレクティブを 1 つだけ使用した静的な設定を指定できます。サーバーがプールから到達できない場合、または同期に適切ではない場合は、クライアントが自動的にそのサーバーを、プールの別サーバーに置き換えます。

  • DHCP における NTP サーバーリストを配布します。

    NetworkManager が、DHCP サーバーから NTP サーバーの一覧を取得すると、それを使用するように chronyd が自動的に設定されます。この機能は、PEERNTP=no/etc/sysconfig/network ファイルに追加すると無効にできます。

  • Precision Time Protocol (PTP) を使用します。

    このオプションは、サーバーが頻繁に変更する環境、または、大規模なクライアントグループが、宛先サーバーを持たずに、相互に同期できるようにする必要がある場合に主に適しています。

    PTP は、マルチキャストメッセージング用に設計されており、NTP ブロードキャストモードと同じように動作します。PTP 実装は、linuxptp パッケージから入手できます。

    通常、PTP が適切に動作するには、ハードウェアのタイムスタンプとネットワークスイッチのサポートが必要になります。ただし、ブロードキャストモードでは、ソフトウェアタイムスタンプを使用し、ネットワークスイッチのサポートがない場合でも、PTP の方が NTP よりも適しています。

    1 つの通信経路に非常に多くの PTP スレーブがあるネットワークでは、そのスレーブが生成したネットワークトラフィックの量を減らすために、hybrid_e2e オプションで PTP スレーブを設定することが推奨されます。NTP クライアント (場合により NTP サーバー) として chronyd を実行するコンピューターを設定し、マルチキャストメッセージングを使用して、同期した時間を多数のコンピューターに配信する PTP グランドマスターとして動作させることができます。

第33章 chrony における Network Time Security (NTS) の概要

Network Time Security (NTS) は、大規模なクライアントを拡張するように設計された Network Time Protocol (NTP) の認証メカニズムです。これは、クライアントマシンへの移動時に、サーバーマシンから受信したパケットが変更されていないことを確認します。NTS (Network Time Security) には、サーバーとそのクライアント間で使用される暗号鍵を自動的に作成する NTS-KE (Key Establishment) プロトコルが含まれます。

33.1. クライアント設定ファイルでの Network Time Security (NTS) の有効化

デフォルトでは、Network Time Security (NTS) は有効になっていません。/etc/chrony.conf では、NTS を有効にできます。これを行うには、以下の手順を実行します。

前提条件

  • NTS に対応するサーバー

手順

クライアント設定ファイル

  1. 推奨される iburst オプションのほかに、nts オプションを使用してサーバーを指定します。

    For example:
    server time.example.com iburst nts
    server nts.netnod.se iburst nts
    server ptbtime1.ptb.de iburst nts
  2. システムの起動時に Network Time Security-Key Establishment (NTS-KE) セッションが繰り返されないようにするには、次の行 (がない場合) を chrony.conf に追加します。

    ntsdumpdir /var/lib/chrony
  3. 以下の行を /etc/sysconfig/network に追加し、DHCP が提供する NTP (Network Time Protocol) サーバーとの同期を無効にします。

    PEERNTP=no
  4. 変更を保存します。
  5. chronyd を再起動します。

    systemctl restart chronyd

検証

  • NTS キーが正常に確立されたかどうかを確認します。

    # chronyc -N authdata
    
    Name/IP address  Mode KeyID Type KLen Last Atmp  NAK Cook CLen
    ================================================================
    time.example.com  NTS     1   15  256  33m    0    0    8  100
    nts.sth1.ntp.se   NTS     1   15  256  33m    0    0    8  100
    nts.sth2.ntp.se   NTS     1   15  256  33m    0    0    8  100

    KeyIDType、および KLen には、ゼロ以外の値を指定する必要があります。この値が 0 になっていない場合は、システムログで chronyd からのエラーメッセージを確認します。

  • クライアントが NTP 測定を行っていることを確認します。

    # chronyc -N sources
    
    MS Name/IP address Stratum Poll Reach LastRx Last sample
    =========================================================
    time.example.com   3        6   377    45   +355us[ +375us] +/-   11ms
    nts.sth1.ntp.se    1        6   377    44   +237us[ +237us] +/-   23ms
    nts.sth2.ntp.se    1        6   377    44   -170us[ -170us] +/-   22ms

    Reach 列の値はゼロ以外にする必要があります。理想的には 377 です。この値が 377 になることがめったにないか、または 377 に到達しない場合は、NTP の要求または応答がネットワークで失われていることを示しています。

関連情報

  • chrony.conf(5) の man ページ

33.2. サーバーで NTS (Network Time Security) の有効化

独自の Network Time Protocol (NTP) サーバーを実行している場合は、サーバーの Network Time Security (NTS) サポートを有効にして、クライアントの同期を容易にし、安全に行うことができます。

NTP サーバーがその他のサーバーのクライアントである (Stratum 1 サーバーではない) 場合は、同期に NTS または対称鍵を使用する必要があります。

前提条件

  • PEM 形式のサーバー秘密鍵
  • PEM 形式で必要な中間証明書を持つサーバー証明書

手順

  1. chrony.conf で秘密鍵と証明書ファイルを指定します。

    For example:
    ntsserverkey /etc/pki/tls/private/foo.example.net.key
    ntsservercert /etc/pki/tls/certs/foo.example.net.crt
  2. グループの所有権を設定し、鍵と証明書ファイルの両方が chrony システムユーザーにより読み取り可能であることを確認します。

    For example:
    chown :chrony /etc/pki/tls/*/foo.example.net.*
  3. ntsdumpdir /var/lib/chrony ディレクティブが chrony.conf に存在することを確認します。
  4. chronyd を再起動します。

    systemctl restart chronyd
    重要

    サーバーにファイアウォールがある場合は、NTP 用の UDP 123 ポートと TCP 4460 ポート、および NTS-KE (Network Time Security-Key Establishment) の両方を許可する必要があります。

検証

  • 次のコマンドを使用して、クライアントマシンからクイックテストを実行します。

    $ chronyd -Q -t 3 'server
    
    foo.example.net iburst nts maxsamples 1'
    2021-09-15T13:45:26Z chronyd version 4.1 starting (+CMDMON +NTP +REFCLOCK +RTC +PRIVDROP +SCFILTER +SIGND +ASYNCDNS +NTS +SECHASH +IPV6 +DEBUG)
    2021-09-15T13:45:26Z Disabled control of system clock
    2021-09-15T13:45:28Z System clock wrong by 0.002205 seconds (ignored)
    2021-09-15T13:45:28Z chronyd exiting

    System clock wrong メッセージは、NTP サーバーが NTS-KE 接続を受け入れ、NTS で保護されている NTP メッセージで応答していることを示しています。

  • サーバーで監視されている NTS-KE 接続と認証された NTP パケットを確認します。

    # chronyc serverstats
    
    NTP packets received       : 7
    NTP packets dropped        : 0
    Command packets received   : 22
    Command packets dropped    : 0
    Client log records dropped : 0
    NTS-KE connections accepted: 1
    NTS-KE connections dropped : 0
    Authenticated NTP packets: 7

    NTS-KE connections accepted および Authenticated NTP packets の値がゼロ以外の値の場合は、少なくとも 1 台のクライアントが NTS-KE ポートに接続し、認証された NTP リクエストを送信できたことを意味します。

第34章 2 台のシステム間で OpenSSH を使用した安全な通信の使用

SSH (Secure Shell) は、クライアント/サーバーアーキテクチャーを使用する 2 つのシステム間で安全な通信を提供し、ユーザーがリモートでサーバーホストシステムにログインできるようにするプロトコルです。FTP、Telnet などの他のリモート通信プロトコルとは異なり、SSH はログインセッションを暗号化するため、侵入者が接続して暗号化されていないパスワードを入手するのが困難になります。

Red Hat Enterprise Linux には、基本的な OpenSSH パッケージ (一般的な openssh パッケージ、openssh-server パッケージ、および openssh-clients パッケージ) が含まれます。OpenSSH パッケージには、OpenSSL パッケージ (openssl-libs) が必要です。このパッケージは、重要な暗号化ライブラリーをいくつかインストールして、暗号化通信を提供する OpenSSH を有効にします。

34.1. SSH と OpenSSH

SSH (Secure Shell) は、リモートマシンにログインしてそのマシンでコマンドを実行するプログラムです。SSH プロトコルは、安全でないネットワーク上で、信頼されていないホスト間で安全な通信を提供します。また、X11 接続と任意の TCP/IP ポートを安全なチャンネルで転送することもできます。

SSH プロトコルは、リモートシェルのログインやファイルコピー用に使用する場合に、システム間の通信の傍受や特定ホストの偽装など、セキュリティーの脅威を軽減します。これは、SSH クライアントとサーバーがデジタル署名を使用してそれぞれの ID を確認するためです。さらに、クライアントシステムとサーバーシステムとの間の通信はすべて暗号化されます。

ホストキーは、SSH プロトコルのホストを認証します。ホスト鍵は、OpenSSH の初回インストール時、またはホストの初回起動時に自動的に生成される暗号鍵です。

OpenSSH は、Linux、UNIX、および同様のオペレーティングシステムでサポートされている SSH プロトコルの実装です。OpenSSH クライアントとサーバー両方に必要なコアファイルが含まれます。OpenSSH スイートは、以下のユーザー空間ツールで設定されます。

  • SSH は、リモートログインプログラム (SSH クライアント) です。
  • sshd は、OpenSSH SSH デーモンです。
  • scp は、安全なリモートファイルコピープログラムです。
  • sftp は、安全なファイル転送プログラムです。
  • ssh-agent は、秘密鍵をキャッシュする認証エージェントです。
  • ssh-add は、秘密鍵の ID を ssh-agent に追加します。
  • ssh-keygen が、ssh の認証キーを生成、管理、および変換します。
  • ssh-copy-id は、ローカルの公開鍵をリモート SSH サーバーの authorized_keys ファイルに追加するスクリプトです。
  • ssh-keyscan - SSH パブリックホストキーを収集します。

現在、SSH のバージョンには、バージョン 1 と新しいバージョン 2 の 2 つがあります。RHEL の OpenSSH スイートは、SSH バージョン 2 のみをサポートします。このスイートは、バージョン 1 で知られているエクスプロイトに対して脆弱ではない拡張キー交換アルゴリズムを備えています。

RHEL コア暗号化サブシステムの 1 つである OpenSSH は、システム全体の暗号化ポリシーを使用します。これにより、弱い暗号スイートおよび暗号化アルゴリズムがデフォルト設定で無効になります。ポリシーを変更するには、管理者が update-crypto-policies コマンドを使用して設定を調節するか、システム全体の暗号化ポリシーを手動でオプトアウトする必要があります。

OpenSSH スイートは、2 セットの設定ファイルを使用します。1 つはクライアントプログラム (つまり、sshscp、および sftp) 用で、もう 1 つはサーバー (sshd デーモン) 用です。

システム全体の SSH 設定情報が /etc/ssh/ ディレクトリーに保存されます。ユーザー固有の SSH 設定情報は、ユーザーのホームディレクトリーの ~/.ssh/ に保存されます。OpenSSH 設定ファイルの詳細な一覧は、sshd (8) の man ページの FILES セクションを参照してください。

関連情報

34.2. OpenSSH サーバーの設定および起動

お使いの環境と OpenSSH サーバーの起動に必要となる基本設定には、以下の手順を使用します。デフォルトの RHEL インストールを行うと、sshd デーモンがすでに起動し、サーバーのホスト鍵が自動的に作成されることに注意してください。

前提条件

  • openssh-server パッケージがインストールされている。

手順

  1. 現行セッションで sshd デーモンを開始し、ブート時に自動的に起動するように設定します。

    # systemctl start sshd
    # systemctl enable sshd
  2. /etc/ssh/sshd_config 設定ファイルの ListenAddress ディレクティブに、デフォルトの 0.0.0.0 (IPv4) または :: (IPv6) とは異なるアドレスを指定し、より低速な動的ネットワーク設定を使用するには、network-online.target ターゲットユニットの依存関係を sshd.service ユニットファイルに追加します。これを行うには、以下の内容で /etc/systemd/system/sshd.service.d/local.conf ファイルを作成します。

    [Unit]
    Wants=network-online.target
    After=network-online.target
  3. /etc/ssh/sshd_config 設定ファイルの OpenSSH サーバーの設定がシナリオの要件を満たしているかどうかを確認します。
  4. 必要に応じて、/etc/issue ファイルを編集して、クライアント認証を行う前に OpenSSH サーバーに表示される welcome メッセージを変更します。以下に例を示します。

    Welcome to ssh-server.example.com
    Warning: By accessing this server, you agree to the referenced terms and conditions.

    Banner オプションが /etc/ssh/sshd_config でコメントアウトされておらず、その値に /etc/issue が含まれていることを確認します。

    # less /etc/ssh/sshd_config | grep Banner
    Banner /etc/issue

    ログインに成功すると表示されるメッセージを変更するには、サーバーの /etc/motd ファイルを編集する必要があります。詳細は、pam_motd の man ページを参照してください。

  5. systemd 設定を再読み込みし、sshd を再起動して変更を適用します。

    # systemctl daemon-reload
    # systemctl restart sshd

検証

  1. sshd デーモンが実行していることを確認します。

    # systemctl status sshd
    ● sshd.service - OpenSSH server daemon
       Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/sshd.service; enabled; vendor preset: enabled)
       Active: active (running) since Mon 2019-11-18 14:59:58 CET; 6min ago
         Docs: man:sshd(8)
               man:sshd_config(5)
     Main PID: 1149 (sshd)
        Tasks: 1 (limit: 11491)
       Memory: 1.9M
       CGroup: /system.slice/sshd.service
               └─1149 /usr/sbin/sshd -D -oCiphers=aes128-ctr,aes256-ctr,aes128-cbc,aes256-cbc -oMACs=hmac-sha2-256,>
    
    Nov 18 14:59:58 ssh-server-example.com systemd[1]: Starting OpenSSH server daemon...
    Nov 18 14:59:58 ssh-server-example.com sshd[1149]: Server listening on 0.0.0.0 port 22.
    Nov 18 14:59:58 ssh-server-example.com sshd[1149]: Server listening on :: port 22.
    Nov 18 14:59:58 ssh-server-example.com systemd[1]: Started OpenSSH server daemon.
  2. SSH クライアントを使用して SSH サーバーに接続します。

    # ssh user@ssh-server-example.com
    ECDSA key fingerprint is SHA256:dXbaS0RG/UzlTTku8GtXSz0S1++lPegSy31v3L/FAEc.
    Are you sure you want to continue connecting (yes/no/[fingerprint])? yes
    Warning: Permanently added 'ssh-server-example.com' (ECDSA) to the list of known hosts.
    
    user@ssh-server-example.com's password:

関連情報

  • sshd(8) および sshd_config(5) の man ページ。

34.3. 鍵ベースの認証用の OpenSSH サーバーの設定

システムのセキュリティーを強化するには、OpenSSH サーバーでパスワード認証を無効にして鍵ベースの認証を有効にします。

前提条件

  • openssh-server パッケージがインストールされている。
  • サーバーで sshd デーモンが実行している。

手順

  1. テキストエディターで /etc/ssh/sshd_config 設定を開きます。以下に例を示します。

    # vi /etc/ssh/sshd_config
  2. PasswordAuthentication オプションを no に変更します。

    PasswordAuthentication no

    新しいデフォルトインストール以外のシステムで PubkeyAuthentication no が設定されていないことと、ChallengeResponseAuthentication ディレクティブが no に設定されていることを確認します。リモートで接続している場合は、コンソールもしくは帯域外アクセスを使用せず、パスワード認証を無効にする前に、鍵ベースのログインプロセスをテストします。

  3. NFS がマウントされたホームディレクトリーで鍵ベースの認証を使用するには、SELinux ブール値 use_nfs_home_dirs を有効にします。

    # setsebool -P use_nfs_home_dirs 1
  4. sshd デーモンを再読み込みし、変更を適用します。

    # systemctl reload sshd

関連情報

  • sshd(8)sshd_config(5)、および setsebool(8) の man ページ。

34.4. SSH 鍵ペアの生成

以下の手順を使用して、ローカルシステムに SSH 鍵ペアを生成し、生成された公開鍵を OpenSSH サーバーにコピーします。サーバーが正しく設定されている場合は、パスワードなしで OpenSSH サーバーにログインできます。

重要

root で次の手順を完了すると、鍵を使用できるのは root だけとなります。

手順

  1. SSH プロトコルのバージョン 2 用の ECDSA 鍵ペアを生成するには、次のコマンドを実行します。

    $ ssh-keygen -t ecdsa
    Generating public/private ecdsa key pair.
    Enter file in which to save the key (/home/joesec/.ssh/id_ecdsa):
    Enter passphrase (empty for no passphrase):
    Enter same passphrase again:
    Your identification has been saved in /home/joesec/.ssh/id_ecdsa.
    Your public key has been saved in /home/joesec/.ssh/id_ecdsa.pub.
    The key fingerprint is:
    SHA256:Q/x+qms4j7PCQ0qFd09iZEFHA+SqwBKRNaU72oZfaCI joesec@localhost.example.com
    The key's randomart image is:
    +---[ECDSA 256]---+
    |.oo..o=++        |
    |.. o .oo .       |
    |. .. o. o        |
    |....o.+...       |
    |o.oo.o +S .      |
    |.=.+.   .o       |
    |E.*+.  .  . .    |
    |.=..+ +..  o     |
    |  .  oo*+o.      |
    +----[SHA256]-----+

    ssh-keygen コマンドまたは Ed25519 鍵ペアに -t rsa オプションを指定して RSA 鍵ペアを生成するには、ssh-keygen -t ed25519 コマンドを実行します。

  2. 公開鍵をリモートマシンにコピーするには、次のコマンドを実行します。

    $ ssh-copy-id joesec@ssh-server-example.com
    /usr/bin/ssh-copy-id: INFO: attempting to log in with the new key(s), to filter out any that are already installed
    joesec@ssh-server-example.com's password:
    ...
    Number of key(s) added: 1
    
    Now try logging into the machine, with: "ssh 'joesec@ssh-server-example.com'" and check to make sure that only the key(s) you wanted were added.

    セッションで ssh-agent プログラムを使用しない場合は、上記のコマンドで、最後に変更した ~/.ssh/id*.pub 公開鍵をコピーします (インストールされていない場合)。別の公開キーファイルを指定したり、ssh-agent により、メモリーにキャッシュされた鍵よりもファイル内の鍵の方が優先順位を高くするには、-i オプションを指定して ssh-copy-id コマンドを使用します。

注記

システムを再インストールする際に、生成しておいた鍵ペアを引き続き使用する場合は、~/.ssh/ ディレクトリーのバックアップを作成します。再インストール後に、このディレクトリーをホームディレクトリーにコピーします。これは、(root を含む) システムの全ユーザーで実行できます。

検証

  1. パスワードなしで OpenSSH サーバーにログインします。

    $ ssh joesec@ssh-server-example.com
    Welcome message.
    ...
    Last login: Mon Nov 18 18:28:42 2019 from ::1

関連情報

  • ssh-keygen (1) および ssh-copy-id (1) の man ページ

34.5. スマートカードに保存された SSH 鍵の使用

Red Hat Enterprise Linux では、OpenSSH クライアントでスマートカードに保存されている RSA 鍵および ECDSA 鍵を使用できるようになりました。この手順に従って、パスワードの代わりにスマートカードを使用した認証を有効にします。

前提条件

  • クライアントで、opensc パッケージをインストールして、pcscd サービスを実行している。

手順

  1. PKCS #11 の URI を含む OpenSC PKCS #11 モジュールが提供する鍵の一覧を表示し、その出力を keys.pub ファイルに保存します。

    $ ssh-keygen -D pkcs11: > keys.pub
    $ ssh-keygen -D pkcs11:
    ssh-rsa AAAAB3NzaC1yc2E...KKZMzcQZzx pkcs11:id=%02;object=SIGN%20pubkey;token=SSH%20key;manufacturer=piv_II?module-path=/usr/lib64/pkcs11/opensc-pkcs11.so
    ecdsa-sha2-nistp256 AAA...J0hkYnnsM= pkcs11:id=%01;object=PIV%20AUTH%20pubkey;token=SSH%20key;manufacturer=piv_II?module-path=/usr/lib64/pkcs11/opensc-pkcs11.so
  2. リモートサーバー (example.com) でスマートカードを使用した認証を有効にするには、公開鍵をリモートサーバーに転送します。前の手順で作成された keys.pubssh-copy-id コマンドを使用します。

    $ ssh-copy-id -f -i keys.pub username@example.com
  3. 手順 1 の ssh-keygen -D コマンドの出力にある ECDSA 鍵を使用して example.com に接続するには、鍵を一意に参照する URI のサブセットのみを使用できます。以下に例を示します。

    $ ssh -i "pkcs11:id=%01?module-path=/usr/lib64/pkcs11/opensc-pkcs11.so" example.com
    Enter PIN for 'SSH key':
    [example.com] $
  4. ~/.ssh/config ファイルで同じ URI 文字列を使用して、設定を永続化できます。

    $ cat ~/.ssh/config
    IdentityFile "pkcs11:id=%01?module-path=/usr/lib64/pkcs11/opensc-pkcs11.so"
    $ ssh example.com
    Enter PIN for 'SSH key':
    [example.com] $

    OpenSSH は p11-kit-proxy ラッパーを使用し、OpenSC PKCS #11 モジュールが PKCS#11 キットに登録されているため、以前のコマンドを簡素化できます。

    $ ssh -i "pkcs11:id=%01" example.com
    Enter PIN for 'SSH key':
    [example.com] $

PKCS #11 の URI の id= の部分を飛ばすと、OpenSSH が、プロキシーモジュールで利用可能な鍵をすべて読み込みます。これにより、必要な入力の量を減らすことができます。

$ ssh -i pkcs11: example.com
Enter PIN for 'SSH key':
[example.com] $

関連情報

34.6. OpenSSH のセキュリティーの強化

以下のヒントは、OpenSSH を使用する際にセキュリティーを高めるのに役に立ちます。OpenSSH 設定ファイル /etc/ssh/sshd_config を変更するには、sshd デーモンを再読み込みして有効にする必要があることに注意してください。

# systemctl reload sshd
重要

ほとんどのセキュリティー強化の設定変更により、最新のアルゴリズムまたは暗号スイートに対応していないクライアントとの互換性が低下します。

安全ではない接続プロトコルの無効化

  • SSH を本当の意味で有効なものにするため、OpenSSH スイートに置き換えられる安全ではない接続プロトコルを使用しないようにします。このような接続プロトコルを使用すると、ユーザーのパスワード自体は SSH を使用した 1 回のセッションで保護されても、その後に Telnet を使用してログインした時に傍受されてしまうためです。このため、telnet、rsh、rlogin、ftp などの安全ではないプロトコルを無効にすることを検討してください。

鍵ベースの認証の有効化およびパスワードベースの認証の無効化

  • 認証用パスワードを無効にして鍵のペアのみを許可すると、攻撃対象領域が減ってユーザーの時間を節約できる可能性があります。クライアントにおいて、ssh-keygen ツールを使用して鍵のペアを生成し、ssh-copy-id ユーティリティーを使用して OpenSSH サーバーのクライアントから公開鍵をコピーします。OpenSSH サーバーでパスワードベースの認証を無効にするには、/etc/ssh/sshd_configPasswordAuthentication オプションを no に変更します。

    PasswordAuthentication no

鍵のタイプ

  • ssh-keygen コマンドは、デフォルトで RSA 鍵のペアを生成しますが、-t オプションを使用して ECDSA 鍵または Ed25519 鍵を生成するように指定できます。ECDSA (Elliptic Curve Digital Signature Algorithm) は、同等の対称鍵強度で RSA よりも優れたパフォーマンスを提供します。また、短いキーも生成します。Ed25519 公開鍵アルゴリズムは、RSA、DSA、および ECDSA より安全で高速な歪曲エドワーズ曲線の実装です。

    サーバーホストの鍵の RSA、ECDSA、および Ed25519 がない場合は、OpenSSH が自動的に作成します。RHEL でホストの鍵の作成を設定するには、インスタンス化したサービス sshd-keygen@.service を使用します。たとえば、RSA 鍵タイプの自動作成を無効にするには、次のコマンドを実行します。

    # systemctl mask sshd-keygen@rsa.service
  • SSH 接続の特定の鍵タイプを除外するには、/etc/ssh/sshd_config で該当行をコメントアウトして sshd サービスを再読み込みします。たとえば、Ed25519 ホストキーだけを許可するには、次のコマンドを実行します。

    # HostKey /etc/ssh/ssh_host_rsa_key
    # HostKey /etc/ssh/ssh_host_ecdsa_key
    HostKey /etc/ssh/ssh_host_ed25519_key

デフォルト以外のポート

  • デフォルトでは、sshd デーモンは TCP ポート 22 をリッスンします。ポートを変更すると、自動化したネットワークスキャンに基づく攻撃にシステムがさらされる可能性が減るため、あいまいさによりセキュリティーが向上します。ポートは、/etc/ssh/sshd_config 設定ファイルの Port ディレクティブを使用して指定できます。

    また、デフォルト以外のポートを使用できるように、デフォルトの SELinux ポリシーも更新する必要があります。そのためには、policycoreutils-python-utils パッケージの semanage ツールを使用します。

    # semanage port -a -t ssh_port_t -p tcp port_number

    さらに、firewalld 設定を更新します。

    # firewall-cmd --add-port port_number/tcp
    # firewall-cmd --runtime-to-permanent

    このコマンドで、port_number を、Port ディレクティブで指定された新しいポート番号に置き換えます。

root ログインなし

  • 特定のユースケースで root ユーザーとしてログインする必要がない場合は、/etc/ssh/sshd_config ファイルで PermitRootLogin 設定ディレクティブを no に設定することを検討してください。root ユーザーとしてログインする可能性を無効にすることにより、管理者は、通常のユーザーとしてログインし、root 権限を取得した後に、どのユーザーがどの特権コマンドを実行するかを監査できます。

    または、PermitRootLoginprohibit-password に設定します。

    PermitRootLogin prohibit-password

    これにより、root としてログインしてパスワードを使用する代わりに鍵ベースの認証が使用され、ブルートフォース攻撃を防ぐことでリスクが軽減します。

X セキュリティー拡張機能の使用

  • Red Hat Enterprise Linux クライアントの X サーバーは、X セキュリティー拡張を提供しません。そのため、クライアントは X11 転送を使用して信頼できない SSH サーバーに接続するときに別のセキュリティー層を要求できません。ほとんどのアプリケーションは、この拡張機能を有効にしても実行できません。

    デフォルトでは、/etc/ssh/ssh_config.d/05-redhat.conf ファイルの ForwardX11Trusted オプションが yes に設定され、ssh -X remote_machine コマンド (信頼できないホスト) と ssh -Y remote_machine コマンド (信頼できるホスト) には違いがありません。

    シナリオで X11 転送機能を必要としない場合は、/etc/ssh/sshd_config 設定ファイルの X11Forwarding ディレクティブを no に設定します。

特定のユーザー、グループ、またはドメインへのアクセス制限

  • /etc/ssh/sshd_config 設定ファイルの AllowUsers ディレクティブおよび AllowGroups ディレクティブを使用すると、特定のユーザー、ドメイン、またはグループのみが OpenSSH サーバーに接続することを許可できます。AllowUsers および AllowGroups を組み合わせて、アクセスをより正確に制限できます。以下に例を示します。

    AllowUsers *@192.168.1.*,*@10.0.0.*,!*@192.168.1.2
    AllowGroups example-group

    この設定行は、192.168.1.* サブネットおよび 10.0.0.* のサブネットのシステムの全ユーザーからの接続を許可します (192.168.1.2 アドレスのシステムを除く)。すべてのユーザーは、example-group グループに属している必要があります。OpenSSH サーバーは、その他のすべての接続を拒否します。

    許可リストは、許可されていない新しいユーザーまたはグループもブロックするため、許可リスト (Allow で始まるディレクティブ) の使用は、拒否リスト (Deny で始まるオプション) を使用するよりも安全です。

システム全体の暗号化ポリシーの変更

  • OpenSSH は、RHEL のシステム全体の暗号化ポリシーを使用し、デフォルトのシステム全体の暗号化ポリシーレベルは、現在の脅威モデルに安全な設定を提供します。暗号化の設定をより厳格にするには、現在のポリシーレベルを変更します。

    # update-crypto-policies --set FUTURE
    Setting system policy to FUTURE
  • OpenSSH サーバーに対するシステム全体の暗号化ポリシーを除外するには、/etc/sysconfig/sshd ファイルの CRYPTO_POLICY= 変数行のコメントを除外します。この変更後、/etc/ssh/sshd_config ファイルの Ciphers セクション、MACs セクション、KexAlgoritms セクション、および GSSAPIKexAlgorithms セクションで指定した値は上書きされません。このタスクには、暗号化オプションの設定に関する深い専門知識が必要になることに注意してください。
  • 詳細は、Security hardeningUsing system-wide cryptographic policies を参照してください

関連情報

  • sshd_config(5)ssh-keygen(1)crypto-policies(7)、および update-crypto-policies(8) の man ページ

34.7. SSH ジャンプホストを使用してリモートサーバーに接続

この手順に従って、ジャンプホストとも呼ばれる中間サーバーを介してローカルシステムをリモートサーバーに接続します。

前提条件

  • ジャンプホストでローカルシステムからの SSH 接続に対応している。
  • リモートサーバーが、ジャンプホストからのみ SSH 接続を受け入れる。

手順

  1. ローカルシステムの ~/.ssh/config ファイルを編集してジャンプホストを定義します。以下に例を示します。

    Host jump-server1
      HostName jump1.example.com
    • Host パラメーターは、ssh コマンドで使用できるホストの名前またはエイリアスを定義します。値は実際のホスト名と一致可能ですが、任意の文字列にすることもできます。
    • HostName パラメーターは、ジャンプホストの実際のホスト名または IP アドレスを設定します。
  2. ProxyJump ディレクティブを使用してリモートサーバーのジャンプ設定を、ローカルシステムの ~/.ssh/config ファイルに追加します。以下に例を示します。

    Host remote-server
      HostName remote1.example.com
      ProxyJump jump-server1
  3. ローカルシステムを使用して、ジャンプサーバー経由でリモートサーバーに接続します。

    $ ssh remote-server

    このコマンドは、設定手順 1 および 2 を省略したときの ssh -J jump-server1 remote-server コマンドと同じです。

注記

ジャンプサーバーをさらに指定することもできます。また、完全なホスト名を指定する場合は、設定ファイルへのホスト定義の追加を飛ばすこともできます。以下に例を示します。

$ ssh -J jump1.example.com,jump2.example.com,jump3.example.com remote1.example.com

ジャンプサーバーのユーザー名または SSH ポートが、リモートサーバーの名前およびポートと異なる場合は、上記のコマンドのホスト名のみの表記を変更します。以下に例を示します。

$ ssh -J johndoe@jump1.example.com:75,johndoe@jump2.example.com:75,johndoe@jump3.example.com:75 joesec@remote1.example.com:220

関連情報

  • ssh_config(5) および ssh(1) の man ページ

34.8. ssh-agent を使用して SSH キーでリモートマシンに接続する手順

パスフレーズを SSH 接続を開始するたびに入力しなくて済むようにするには、ssh-agent ユーティリティーを使用して SSH 秘密鍵をキャッシュします。秘密鍵とパスフレーズのセキュリティーが確保されます。

前提条件

  • SSH デーモンが実行中で、ネットワーク経由で到達可能なリモートホストがある。
  • リモートホストにログインするための IP アドレスまたはホスト名および認証情報を把握している。
  • パスフレーズで SSH キーペアを生成し、公開鍵をリモートマシンに転送している。

詳細は、SSH 鍵ペアの生成 を参照してください。

手順

  1. 必要に応じて、キーを使用してリモートホストに対して認証できることを確認します。

    1. SSH を使用してリモートホストに接続します。

      $ ssh example.user1@198.51.100.1 hostname
    2. 秘密鍵へのアクセス権を付与する鍵の作成時に指定したパスフレーズを入力します。

      $ ssh example.user1@198.51.100.1 hostname
       host.example.com
  2. ssh-agent を起動します。

    $ eval $(ssh-agent)
    Agent pid 20062
  3. ssh-agent にキーを追加します。

    $ ssh-add ~/.ssh/id_rsa
    Enter passphrase for ~/.ssh/id_rsa:
    Identity added: ~/.ssh/id_rsa (example.user0@198.51.100.12)

検証

  • オプション: SSH を使用してホストマシンにログインします。

    $ ssh example.user1@198.51.100.1
    
    Last login: Mon Sep 14 12:56:37 2020

    パスフレーズを入力する必要がないことに注意してください。

34.9. 関連情報

第35章 リモートロギングソリューションの設定

環境内の各種マシンからのログをロギングサーバーに集中的に記録するために、クライアントシステムからサーバーに特定の基準に合致するログを記録するように Rsyslog アプリケーションを設定できます。

35.1. Rsyslog ロギングサービス

Rsyslog アプリケーションは、systemd-journald サービスと組み合わせて、Red Hat Enterprise Linux でローカルおよびリモートのロギングサポートを提供します。rsyslogd デーモンは、ジャーナルから systemd-journald サービスが受信した syslog メッセージを継続的に読み取ります。rsyslogd は、syslog イベントをフィルターリングして処理し、rsyslog ログファイルに記録するか、設定に応じて他のサービスに転送します。

rsyslogd デーモンは、拡張されたフィルターリング、暗号化で保護されたメッセージのリレー、入出力モジュール、TCP プロトコルおよび UDP プロトコルを使用した転送のサポートも提供します。

rsyslog の主な設定ファイルである /etc/rsyslog.conf では、どの rsyslogd がメッセージを処理するかに応じてルールを指定できます。通常は、ソースおよびトピック (ファシリティー) 別および緊急度 (優先度) 別にメッセージを分類し、メッセージがその基準に合致したときに実行するアクションを割り当てることができます。

/etc/rsyslog.conf では、rsyslogd が維持するログファイルの一覧も確認できます。ほとんどのログファイルは /var/log/ ディレクトリーにあります。httpdsamba などの一部のアプリケーションは、ログファイルを /var/log/ 内のサブディレクトリーに保存します。

関連情報

  • man ページの rsyslogd(8) および rsyslog.conf(5)
  • /usr/share/doc/rsyslog/html/index.html ファイルに rsyslog-doc パッケージでインストールされたドキュメント。

35.2. Rsyslog ドキュメントのインストール

Rsyslog アプリケーションには、https://www.rsyslog.com/doc/ で利用可能な詳細なオンラインドキュメントがありますが、rsyslog-doc ドキュメントパッケージをローカルにインストールすることもできます。

前提条件

  • システムで AppStream リポジトリーをアクティベートしている。
  • sudo を使用して新規パッケージをインストールする権限がある。

手順

  • rsyslog-doc パッケージをインストールします。

    # yum install rsyslog-doc

検証

  • 任意のブラウザーで /usr/share/doc/rsyslog/html/index.html ファイルを開きます。次に例を示します。

    $ firefox /usr/share/doc/rsyslog/html/index.html &

35.3. TCP でのリモートロギング用のサーバーの設定

Rsyslog アプリケーションを使用すると、ロギングサーバーを実行し、個別のシステムがログファイルをロギングサーバーに送信するように設定できます。TCP 経由でリモートロギングを使用するには、サーバーとクライアントの両方を設定します。サーバーは、クライアントシステムにより送信されたログを収集し、分析します。

Rsyslog アプリケーションを使用すると、ログメッセージがネットワークを介してサーバーに転送される中央ロギングシステムを維持できます。サーバーが利用できない場合にメッセージが失われないようにするには、転送アクションのアクションキューを設定します。これにより、送信に失敗したメッセージは、サーバーが再度到達可能になるまでローカルに保存されます。このようなキューは、UDP プロトコルを使用する接続用に設定できないことに注意してください。

omfwd プラグインは、UDP または TCP による転送を提供します。デフォルトのプロトコルは UDP です。このプラグインは組み込まれているため、読み込む必要はありません。

デフォルトでは、rsyslog はポート 514 で TCP を使用します。

前提条件

  • rsyslog がサーバーシステムにインストールされている。
  • サーバーに root としてログインしている。
  • policycoreutils-python-utils パッケージは、semanage コマンドを使用して任意の手順でインストールします。
  • firewalld サービスが実行している。

手順

  1. 必要に応じて、rsyslog トラフィックに別のポートを使用するには、SELinux タイプ syslogd_port_t をポートに追加します。たとえば、ポート 30514 を有効にします。

    # semanage port -a -t syslogd_port_t -p tcp 30514
  2. 必要に応じて、rsyslog トラフィックに別のポートを使用するには、firewalld がそのポートでの着信 rsyslog トラフィックを許可するように設定します。たとえば、ポート30514 で TCP トラフィックを許可します。

    # firewall-cmd --zone=<zone-name> --permanent --add-port=30514/tcp
    success
    # firewall-cmd --reload
  3. /etc/rsyslog.d/ ディレクトリーに新規ファイル (例: remotelog.conf) を作成し、以下のコンテンツを挿入します。

    # Define templates before the rules that use them
    # Per-Host templates for remote systems
    template(name="TmplAuthpriv" type="list") {
        constant(value="/var/log/remote/auth/")
        property(name="hostname")
        constant(value="/")
        property(name="programname" SecurePath="replace")
        constant(value=".log")
        }
    
    template(name="TmplMsg" type="list") {
        constant(value="/var/log/remote/msg/")
        property(name="hostname")
        constant(value="/")
        property(name="programname" SecurePath="replace")
        constant(value=".log")
        }
    
    # Provides TCP syslog reception
    module(load="imtcp")
    
    # Adding this ruleset to process remote messages
    ruleset(name="remote1"){
         authpriv.*   action(type="omfile" DynaFile="TmplAuthpriv")
          *.info;mail.none;authpriv.none;cron.none
    action(type="omfile" DynaFile="TmplMsg")
    }
    
    input(type="imtcp" port="30514" ruleset="remote1")
  4. /etc/rsyslog.d/remotelog.conf ファイルへの変更を保存します。
  5. /etc/rsyslog.conf ファイルの構文をテストします。

    # rsyslogd -N 1
    rsyslogd: version 8.1911.0-2.el8, config validation run (level 1), master config /etc/rsyslog.conf
    rsyslogd: End of config validation run. Bye.
  6. Rsyslog サービスがロギングサーバーで実行中で、有効になっていることを確認します。

    # systemctl status rsyslog
  7. rsyslog サービスを再起動します。

    # systemctl restart rsyslog
  8. 必要に応じて、rsyslog が有効になっていない場合は、再起動後に rsyslog サービスが自動的に起動するようにします。

    # systemctl enable rsyslog

環境内の他のシステムからログファイルを受け取り、保存するように、ログサーバーが設定されています。

関連情報

  • rsyslogd(8)rsyslog.conf(5)semanage(8)、および firewall-cmd(1) man ページ。
  • /usr/share/doc/rsyslog/html/index.html ファイルに rsyslog-doc パッケージでインストールされたドキュメント。

35.4. TCP 経由のサーバーへのリモートロギングの設定

以下の手順に従って、TCP プロトコルを介してサーバーにログメッセージを転送するようにシステムを設定します。omfwd プラグインは、UDP または TCP による転送を提供します。デフォルトのプロトコルは UDP です。プラグインは組み込まれているのでロードする必要はありません。

前提条件

  • rsyslog パッケージが、サーバーに報告する必要のあるクライアントシステムにインストールされている。
  • リモートロギング用にサーバーを設定している。
  • 指定したポートが SELinux で許可され、ファイアウォールで開いている。
  • システムには、policycoreutils-python-utils パッケージが含まれています。このパッケージは、標準以外のポートを SELinux 設定に追加するための semanage コマンドを提供します。

手順

  1. /etc/rsyslog.d/ ディレクトリーに新規ファイル (例: 10-remotelog.conf) を作成し、以下のコンテンツを挿入します。

    *.* action(type="omfwd"
          queue.type="linkedlist"
          queue.filename="example_fwd"
          action.resumeRetryCount="-1"
          queue.saveOnShutdown="on"
          target="example.com" port="30514" protocol="tcp"
         )

    詳細は以下のようになります。

    • queue.type="linkedlist" は、LinkedList インメモリーキューを有効にします。
    • queue.filename はディスクストレージを定義します。バックアップファイルは、前のグローバルの workDirectory ディレクティブで指定された作業ディレクトリーに example_fwd 接頭辞を付けて作成されます。
    • action.resumeRetryCount -1 設定は、サーバーが応答しない場合に接続を再試行するときに rsyslog がメッセージを破棄しないようにします。
    • rsyslog がシャットダウンすると、有効になっている queue.saveOnShutdown="on" はインメモリーデータを保存します。
    • 最後の行は受信メッセージをすべてロギングサーバーに転送します。ポートの指定は任意です。

      この設定では、rsyslog はメッセージをサーバーに送信しますが、リモートサーバーに到達できない場合には、メッセージをメモリーに保持します。ディスク上にあるファイルは、設定されたメモリーキュー領域が rsyslog で不足するか、シャットダウンする必要がある場合にのみ作成されます。これにより、システムパフォーマンスが向上します。

    注記

    Rsyslog は設定ファイル /etc/rsyslog.d/ を字句順に処理します。

  2. rsyslog サービスを再起動します。

    # systemctl restart rsyslog

検証

クライアントシステムがサーバーにメッセージを送信することを確認するには、以下の手順に従います。

  1. クライアントシステムで、テストメッセージを送信します。

    # logger test
  2. サーバーシステムで、/var/log/messages ログを表示します。以下に例を示します。

    # cat /var/log/remote/msg/hostname/root.log
    Feb 25 03:53:17 hostname root[6064]: test

    hostname はクライアントシステムのホスト名です。ログには、logger コマンドを入力したユーザーのユーザー名 (この場合は root) が含まれていることに注意してください。

関連情報

  • rsyslogd(8) および rsyslog.conf(5) man ページ。
  • /usr/share/doc/rsyslog/html/index.html ファイルに rsyslog-doc パッケージでインストールされたドキュメント。

35.5. TLS 暗号化リモートロギングの設定

デフォルトでは、Rsyslog はプレーンテキスト形式でリモートロギング通信を送信します。シナリオでこの通信チャネルのセキュリティーを確保する必要がある場合は、TLS を使用して暗号化できます。

TLS を介した暗号化されたトランスポートを使用するには、サーバーとクライアントの両方を設定します。サーバーは、クライアントシステムにより送信されたログを収集し、分析します。

ossl ネットワークストリームドライバー (OpenSSL) または gtls ストリームドライバー (GnuTLS) のいずれかを使用できます。

注記

ネットワークに接続されていない、厳格な認可を受けているなど、セキュリティーが強化された別のシステムがある場合は、その別のシステムを認証局 (CA) として使用します。

前提条件

  • クライアントシステムとサーバーシステムの両方に root にアクセスできる。
  • rsyslog パッケージおよび rsyslog-openssl パッケージは、サーバーおよびクライアントシステムにインストールされている。
  • gtls ネットワークストリームドライバーを使用する場合は、rsyslog-openssl の代わりに rsyslog-gnutls をインストールしてください。
  • certtool を使用して証明書を生成する場合は、gnutls-utils をインストールします。
  • ログサーバーの /etc/pki/ca-trust/source/anchors/ ディレクトリーには、次の証明書があり、update-ca-trust コマンドを使用してシステム設定を更新します。

    • ca-cert.pem - ログサーバーとクライアントで鍵と証明書を検証できる CA 証明書。
    • server-cert.pem - ロギングサーバーの公開鍵。
    • server-key.pem - ロギングサーバーの秘密鍵。
  • ログクライアントでは、次の証明書が /etc/pki/ca-trust/source/anchors/ ディレクトリーにあり、update-ca-trust を使用してシステム設定を更新します。

    • ca-cert.pem - ログサーバーとクライアントで鍵と証明書を検証できる CA 証明書。
    • client-cert.pem - クライアントの公開鍵。
    • client-key.pem - クライアントの秘密鍵。

手順

  1. クライアントシステムから暗号化したログを受信するようにサーバーを設定します。

    1. /etc/rsyslog.d/ディレクトリーに、新規ファイル (securelogser.conf など) を作成します。
    2. 通信を暗号化するには、設定ファイルに、サーバーの証明書ファイルへのパス、選択した認証方法、および TLS 暗号化に対応するストリームドライバーが含まれている必要があります。/etc/rsyslog.d/securelogser.conf に以下の行を追加します。

      # Set certificate files
      global(
        DefaultNetstreamDriverCAFile="/etc/pki/ca-trust/source/anchors/ca-cert.pem"
        DefaultNetstreamDriverCertFile="/etc/pki/ca-trust/source/anchors/server-cert.pem"
        DefaultNetstreamDriverKeyFile="/etc/pki/ca-trust/source/anchors/server-key.pem"
      )
      
      # TCP listener
      module(
        load="imtcp"
        PermittedPeer=["client1.example.com", "client2.example.com"]
        StreamDriver.AuthMode="x509/name"
        StreamDriver.Mode="1"
        StreamDriver.Name="ossl"
      )
      
      # Start up listener at port 514
      input(
        type="imtcp"
        port="514"
      )
      注記

      GnuTLS ドライバーが必要な場合は、StreamDriver.Name="gtls" 設定オプションを使用します。x509/name よりも厳密ではない認証モードの詳細は、rsyslog-doc にインストールされているドキュメントを参照してください。

    3. 変更を /etc/rsyslog.d/securelogser.conf ファイルに保存します。
    4. /etc/rsyslog.conf ファイルの構文と /etc/rsyslog.d/ ディレクトリー内のすべてのファイルを確認します。

      # rsyslogd -N 1
      rsyslogd: version 8.1911.0-2.el8, config validation run (level 1), master config /etc/rsyslog.conf
      rsyslogd: End of config validation run. Bye.
    5. Rsyslog サービスがロギングサーバーで実行中で、有効になっていることを確認します。

      # systemctl status rsyslog
    6. rsyslog サービスを再起動します。

      # systemctl restart rsyslog
    7. オプション: Rsyslog が有効になっていない場合は、再起動後に rsyslog サービスが自動的に起動されることを確認してください。

      # systemctl enable rsyslog
  2. 暗号化したログをサーバーに送信するようにクライアントを設定するには、以下のコマンドを実行します。

    1. クライアントシステムで、/etc/rsyslog.d/ディレクトリーに、新規ファイル (securelogcli.conf など) を作成します。
    2. /etc/rsyslog.d/securelogcli.conf に以下の行を追加します。

      # Set certificate files
      global(
        DefaultNetstreamDriverCAFile="/etc/pki/ca-trust/source/anchors/ca-cert.pem"
        DefaultNetstreamDriverCertFile="/etc/pki/ca-trust/source/anchors/client-cert.pem"
        DefaultNetstreamDriverKeyFile="/etc/pki/ca-trust/source/anchors/client-key.pem"
      )
      
      
      # Set up the action for all messages
      *.* action(
        type="omfwd"
        StreamDriver="ossl"
        StreamDriverMode="1"
        StreamDriverPermittedPeers="server.example.com"
        StreamDriverAuthMode="x509/name"
        target="server.example.com" port="514" protocol="tcp"
      )
      注記

      GnuTLS ドライバーが必要な場合は、StreamDriver.Name="gtls" 設定オプションを使用します。

    3. 変更を /etc/rsyslog.d/securelogser.conf ファイルに保存します。
    4. /etc/rsyslog.conf ファイルの構文と /etc/rsyslog.d/ ディレクトリー内のその他のファイルを確認します。

      # rsyslogd -N 1
      rsyslogd: version 8.1911.0-2.el8, config validation run (level 1), master config /etc/rsyslog.conf
      rsyslogd: End of config validation run. Bye.
    5. Rsyslog サービスがロギングサーバーで実行中で、有効になっていることを確認します。

      # systemctl status rsyslog
    6. rsyslog サービスを再起動します。

      # systemctl restart rsyslog
    7. オプション: Rsyslog が有効になっていない場合は、再起動後に rsyslog サービスが自動的に起動されることを確認してください。

      # systemctl enable rsyslog

検証

クライアントシステムがサーバーにメッセージを送信することを確認するには、以下の手順に従います。

  1. クライアントシステムで、テストメッセージを送信します。

    # logger test
  2. サーバーシステムで、/var/log/messages ログを表示します。以下に例を示します。

    # cat /var/log/remote/msg/hostname/root.log
    Feb 25 03:53:17 hostname root[6064]: test

    hostname はクライアントシステムのホスト名に置き換えます。ログには、logger コマンドを入力したユーザーのユーザー名 (この場合は root) が含まれていることに注意してください。

関連情報

  • man ページの certtool(1)openssl(1)update-ca-trust(8)rsyslogd(8)、および rsyslog.conf(5)
  • /usr/share/doc/rsyslog/html/index.htmlrsyslog-doc パッケージでインストールされたドキュメント。
  • Using the Logging System Role

35.6. UDP でリモートロギング情報を受信するためのサーバー設定

Rsyslog アプリケーションを使用すると、リモートシステムからロギング情報を受信するようにシステムを設定できます。UDP 経由でリモートロギングを使用するには、サーバーとクライアントの両方を設定します。受信サーバーは、クライアントシステムが送信したログの収集および分析を行います。デフォルトでは、rsyslog はポート 514 で UDP を使用して、リモートシステムからログ情報を受信します。

以下の手順に従って、UDP プロトコルでクライアントシステムが送信したログの収集および分析を行うサーバーを設定します。

前提条件

  • rsyslog がサーバーシステムにインストールされている。
  • サーバーに root としてログインしている。
  • policycoreutils-python-utils パッケージは、semanage コマンドを使用して任意の手順でインストールします。
  • firewalld サービスが実行している。

手順

  1. 必要に応じて、デフォルトのポート 514 以外の rsyslog トラフィックに別のポートを使用するには、次のコマンドを実行します。

    1. SELinux ポリシー設定に syslogd_port_t SELinux タイプを追加し、portnorsyslog で使用するポート番号に置き換えます。

      # semanage port -a -t syslogd_port_t -p udp portno
    2. rsyslog の受信トラフィックを許可するように firewalld を設定します。portno はポート番号に、zonersyslog が使用するゾーンに置き換えます。

      # firewall-cmd --zone=zone --permanent --add-port=portno/udp
      success
      # firewall-cmd --reload
    3. ファイアウォールルールを再読み込みします。

      # firewall-cmd --reload
  2. /etc/rsyslog.d/ ディレクトリーに .conf の新規ファイル (例: remotelogserv.conf) を作成し、以下のコンテンツを挿入します。

    # Define templates before the rules that use them
    # Per-Host templates for remote systems
    template(name="TmplAuthpriv" type="list") {
        constant(value="/var/log/remote/auth/")
        property(name="hostname")
        constant(value="/")
        property(name="programname" SecurePath="replace")
        constant(value=".log")
        }
    
    template(name="TmplMsg" type="list") {
        constant(value="/var/log/remote/msg/")
        property(name="hostname")
        constant(value="/")
        property(name="programname" SecurePath="replace")
        constant(value=".log")
        }
    
    # Provides UDP syslog reception
    module(load="imudp")
    
    # This ruleset processes remote messages
    ruleset(name="remote1"){
         authpriv.*   action(type="omfile" DynaFile="TmplAuthpriv")
          *.info;mail.none;authpriv.none;cron.none
    action(type="omfile" DynaFile="TmplMsg")
    }
    
    input(type="imudp" port="514" ruleset="remote1")

    514 は、rsyslog がデフォルトで使用するポート番号です。代わりに別のポートを指定できます。

  3. /etc/rsyslog.conf ファイルの構文と /etc/rsyslog.d/ ディレクトリー内の全 .conf ファイルを確認します。

    # rsyslogd -N 1
    rsyslogd: version 8.1911.0-2.el8, config validation run (level 1), master config /etc/rsyslog.conf
    rsyslogd: End of config validation run. Bye.
  4. rsyslog サービスを再起動します。

    # systemctl restart rsyslog
  5. 必要に応じて、rsyslog が有効になっていない場合は、再起動後に rsyslog サービスが自動的に起動するようにします。

    # systemctl enable rsyslog

関連情報

  • rsyslogd(8)rsyslog.conf(5)semanage(8)、および firewall-cmd(1) man ページ。
  • /usr/share/doc/rsyslog/html/index.html ファイルに rsyslog-doc パッケージでインストールされたドキュメント。

35.7. UDP 経由のサーバーへのリモートロギングの設定

以下の手順に従って、UDP プロトコルを介してサーバーにログメッセージを転送するようにシステムを設定します。omfwd プラグインは、UDP または TCP による転送を提供します。デフォルトのプロトコルは UDP です。プラグインは組み込まれているのでロードする必要はありません。

前提条件

手順

  1. /etc/rsyslog.d/ ディレクトリーに .conf の新規ファイル (例: 10-remotelogcli.conf) を作成し、以下のコンテンツを挿入します。

    *.* action(type="omfwd"
          queue.type="linkedlist"
          queue.filename="example_fwd"
          action.resumeRetryCount="-1"
          queue.saveOnShutdown="on"
          target="example.com" port="portno" protocol="udp"
         )

    詳細は以下のようになります。

    • queue.type="linkedlist" は、LinkedList インメモリーキューを有効にします。
    • queue.filename はディスクストレージを定義します。バックアップファイルは、前のグローバルの workDirectory ディレクティブで指定された作業ディレクトリーに example_fwd 接頭辞を付けて作成されます。
    • action.resumeRetryCount -1 設定は、サーバーが応答しない場合に接続を再試行するときに rsyslog がメッセージを破棄しないようにします。
    • rsyslog がシャットダウンすると、有効になっている queue.saveOnShutdown="on" はインメモリーデータを保存します。
    • portno は、rsyslog で使用するポート番号です。デフォルト値は 514 です。
    • 最後の行は受信メッセージをすべてロギングサーバーに転送します。ポートの指定は任意です。

      この設定では、rsyslog はメッセージをサーバーに送信しますが、リモートサーバーに到達できない場合には、メッセージをメモリーに保持します。ディスク上にあるファイルは、設定されたメモリーキュー領域が rsyslog で不足するか、シャットダウンする必要がある場合にのみ作成されます。これにより、システムパフォーマンスが向上します。

    注記

    Rsyslog は設定ファイル /etc/rsyslog.d/ を字句順に処理します。

  2. rsyslog サービスを再起動します。

    # systemctl restart rsyslog
  3. 必要に応じて、rsyslog が有効になっていない場合は、再起動後に rsyslog サービスが自動的に起動するようにします。

    # systemctl enable rsyslog

検証

クライアントシステムがサーバーにメッセージを送信することを確認するには、以下の手順に従います。

  1. クライアントシステムで、テストメッセージを送信します。

    # logger test
  2. サーバーシステムで、/var/log/remote/msg/hostname/root.log ログを表示します。以下に例を示します。

    # cat /var/log/remote/msg/hostname/root.log
    Feb 25 03:53:17 hostname root[6064]: test

    hostname はクライアントシステムのホスト名です。ログには、logger コマンドを入力したユーザーのユーザー名 (この場合は root) が含まれていることに注意してください。

関連情報

  • rsyslogd(8) および rsyslog.conf(5) man ページ。
  • /usr/share/doc/rsyslog/html/index.htmlrsyslog-doc パッケージでインストールされたドキュメント。

35.8. rsyslog の負荷分散ヘルパー

RebindInterval 設定では、現行接続を切断して再確立する間隔を指定します。この設定は、TCP、UDP、および RELP のトラフィックに適用されます。ロードバランサーはこれを新しい接続と認識し、メッセージを別の物理ターゲットシステムに転送します。

RebindInterval 設定は、ターゲットシステムの IP アドレスが変更した場合にシナリオで役に立ちます。Rsyslog アプリケーションは、接続の確立時に IP アドレスをキャッシュするため、メッセージは同じサーバーに送信されます。IP アドレスが変更すると、Rsyslog サービスが再起動するまで UDP パケットが失われます。接続を再確立すると、IP が DNS により再度解決されます。

action(type=”omfwd” protocol=”tcp” RebindInterval=”250” target=”example.com” port=”514” …)

action(type=”omfwd” protocol=”udp” RebindInterval=”250” target=”example.com” port=”514” …)

action(type=”omrelp” RebindInterval=”250” target=”example.com” port=”6514” …)

35.9. 信頼できるリモートロギングの設定

Reliable Event Logging Protocol (RELP) を使用すると、メッセージ損失のリスクを大幅に軽減して TCP で syslog メッセージを送受信できます。RELP は、信頼できるイベントメッセージを配信するので、メッセージ損失が許されない環境で有用です。RELP を使用するには、imrelp の入力モジュール (サーバー上での実行とログの受信) と omrelp 出力モジュール (クライアント上での実行とロギングサーバーへのログの送信) を設定します。

前提条件

  • rsyslog パッケージ、librelp パッケージ、および rsyslog-relp パッケージをサーバーおよびクライアントシステムにインストールしている。
  • 指定したポートが SELinux で許可され、ファイアウォール設定で開放されている。

手順

  1. 信頼できるリモートロギング用にクライアントシステムを設定します。

    1. クライアントシステムの /etc/rsyslog.d/ ディレクトリーに、relpclient.conf などと名前を指定して新しい .conf ファイルを作成し、以下のコンテンツを挿入します。

      module(load="omrelp")
      *.* action(type="omrelp" target="_target_IP_" port="_target_port_")

      詳細は以下のようになります。

      • target_IP は、ロギングサーバーの IP アドレスに置き換えます。
      • target_port はロギングサーバーのポートに置き換えます。
    2. 変更を /etc/rsyslog.d/relpclient.conf ファイルに保存します。
    3. rsyslog サービスを再起動します。

      # systemctl restart rsyslog
    4. 必要に応じて、rsyslog が有効になっていない場合は、再起動後に rsyslog サービスが自動的に起動するようにします。

      # systemctl enable rsyslog
  2. 信頼できるリモートロギング用にサーバーシステムを設定します。

    1. サーバーシステムの /etc/rsyslog.d/ ディレクトリーに、relpserv.conf などと名前を指定して新しい .conf ファイルを作成し、以下のコンテンツを挿入します。

      ruleset(name="relp"){
      *.* action(type="omfile" file="_log_path_")
      }
      
      
      module(load="imrelp")
      input(type="imrelp" port="_target_port_" ruleset="relp")

      詳細は以下のようになります。

      • log_path は、メッセージを保存するパスを指定します。
      • target_port はロギングサーバーのポートに置き換えます。クライアント設定ファイルと同じ値を使用します。
    2. /etc/rsyslog.d/relpserv.conf ファイルへの変更を保存します。
    3. rsyslog サービスを再起動します。

      # systemctl restart rsyslog
    4. 必要に応じて、rsyslog が有効になっていない場合は、再起動後に rsyslog サービスが自動的に起動するようにします。

      # systemctl enable rsyslog

検証

クライアントシステムがサーバーにメッセージを送信することを確認するには、以下の手順に従います。

  1. クライアントシステムで、テストメッセージを送信します。

    # logger test
  2. サーバーシステムで、指定された log_path でログを表示します。以下に例を示します。

    # cat /var/log/remote/msg/hostname/root.log
    Feb 25 03:53:17 hostname root[6064]: test

    hostname はクライアントシステムのホスト名です。ログには、logger コマンドを入力したユーザーのユーザー名 (この場合は root) が含まれていることに注意してください。

関連情報

  • rsyslogd(8) および rsyslog.conf(5) man ページ。
  • /usr/share/doc/rsyslog/html/index.html ファイルに rsyslog-doc パッケージでインストールされたドキュメント。

35.10. サポート対象の Rsyslog モジュール

Rsyslog アプリケーションの機能を拡張するために、特定のモジュールを使用できます。モジュールは、追加の入力 (入力モジュール)、出力 (出力モジュール)、およびその他の機能を提供します。モジュールは、モジュールの読み込み後に利用可能な設定ディレクティブを追加で提供することも可能です。

以下のコマンドを使用して、システムにインストールされている入出力モジュールを一覧表示できます。

# ls /usr/lib64/rsyslog/{i,o}m*

rsyslog-doc パッケージをインストールした後、/usr/share/doc/rsyslog/html/configuration/modules/idx_output.html ファイルで使用可能なすべての rsyslog モジュールのリストを表示できます。

35.11. 関連情報

第36章 Logging システムロールの使用

システム管理者は、Logging システムロールを使用して、RHEL ホストをロギングサーバーとして設定し、多くのクライアントシステムからログを収集できます。

36.1. Logging システムロール

Logging システムロールを使用すると、ローカルおよびリモートホストにロギング設定をデプロイできます。

Logging システムロールを 1 つ以上のシステムに適用するには、Playbook でロギング設定を定義します。Playbook は、1 つ以上の play の一覧です。Playbook は YAML 形式で表現され、人が判読できるようになっています。Playbook の詳細は、Ansible ドキュメントの Working with playbooks を参照してください。

Playbook に従って設定するシステムのセットは、インベントリーファイル で定義されます。インベントリーの作成および使用に関する詳細は、Ansible ドキュメントの How to build your inventory を参照してください。

ロギングソリューションは、ログと複数のログ出力を読み取る複数の方法を提供します。

たとえば、ロギングシステムは以下の入力を受け取ることができます。

  • ローカルファイル
  • systemd/journal
  • ネットワーク上で別のロギングシステム

さらに、ロギングシステムでは以下を出力できます。

  • /var/log ディレクトリーのローカルファイルに保存されているログ
  • Elasticsearch に送信されたログ
  • 別のロギングシステムに転送されたログ

Logging システムロールでは、シナリオに合わせて入出力を組み合わせることができます。たとえば、journal からの入力をローカルのファイルに保存しつつも、複数のファイルから読み込んだ入力を別のロギングシステムに転送してそのローカルのログファイルに保存するようにロギングソリューションを設定できます。

36.2. Logging システムロールのパラメーター

logging システムロール Playbook では、logging_inputs パラメーターで入力を、logging_outputs パラメーターで出力を、そして logging_flows パラメーターで入力と出力の関係を定義します。Logging システムロールは、ロギングシステムの追加設定オプションで、上記の変数を処理します。暗号化を有効にすることもできます。

注記

現在、Logging システムロールで利用可能な唯一のロギングシステムは Rsyslog です。

  • logging_inputs: ロギングソリューションの入力一覧。

    • name: 入力の一意の名前。logging_flows での使用: 入力一覧および生成された config ファイル名の一部で使用されます。
    • type: 入力要素のタイプ。type は、roles/rsyslog/{tasks,vars}/inputs/ のディレクトリー名に対応するタスクタイプを指定します。

      • basics: systemd ジャーナルまたは unix ソケットからの入力を設定する入力。

        • kernel_message: true に設定されている場合に imklog を読み込みます。デフォルトは false です。
        • use_imuxsock: imjournal ではなく imuxsock を使用します。デフォルトは false です。
        • ratelimit_burst: ratelimit_interval 内に出力できるメッセージの最大数。use_imuxsock が false の場合、デフォルトで 20000 に設定されます。use_imuxsock が true の場合、デフォルトで 200 に設定されます。
        • ratelimit_interval: ratelimit_burst を評価する間隔。use_imuxsock が false の場合、デフォルトで 600 秒に設定されます。use_imuxsock が true の場合、デフォルトで 0 に設定されます。0 はレート制限がオフであることを示します。
        • persist_state_interval: ジャーナルの状態は、value メッセージごとに永続化されます。デフォルトは 10 です。use_imuxsock が false の場合のみ、有効です。
      • files: ローカルファイルからの入力を設定する入力。
      • Remote: ネットワークを介して他のロギングシステムからの入力を設定する入力。
    • 状態: 設定ファイルの状態。present または absent。デフォルトは present です。
  • logging_outputs: ロギングソリューションの出力一覧。

    • files: ローカルファイルへの出力を設定する出力。
    • forwards: 別のロギングシステムへの出力を設定する出力。
    • remote_files: 別のロギングシステムからの出力をローカルファイルに設定する出力。
  • logging_flows: logging_inputs および logging_outputs の関係を定義するフローの一覧。logging_flows 変数には以下が含まれます。

    • name: フローの一意の名前。
    • inputs: logging_inputs 名の値の一覧。
    • outputs: logging_outputs 名の値の一覧。

関連情報

  • rhel-system-roles パッケージでインストールされたドキュメント (/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.logging/README.html)

36.3. ローカルの Logging システムロールの適用

以下の手順に従って、Ansible Playbook を準備および適用し、別個のマシンにロギングソリューションを設定します。各マシンはログをローカルに記録します。

前提条件

  • Logging システムロールを設定する 管理対象ノード 1 つ以上へのアクセスおよびパーミッション。
  • コントロールノード (このシステムから Red Hat Ansible Core は他のシステムを設定) へのアクセスおよびパーミッション。

    コントロールノードでは、

    • ansible-core パッケージおよび rhel-system-roles パッケージがインストールされている。
重要

RHEL 8.0-8.5 では、別の Ansible リポジトリーへのアクセス権を指定されており、Ansible をベースにする自動化用の Ansible Engine 2.9 が含まれています。Ansible Engine には、ansibleansible-playbook などのコマンドラインユーティリティー、dockerpodman などのコネクター、プラグインとモジュールが多く含まれています。Ansible Engine を入手してインストールする方法については、ナレッジベースの How to download and install Red Hat Ansible Engine を参照してください。

RHEL 8.6 および 9.0 では、Ansible Core (ansible-core パッケージとして提供) が導入されました。これには、Ansible コマンドラインユーティリティー、コマンド、およびビルトイン Ansible プラグインのセットが含まれています。RHEL は、AppStream リポジトリーを介してこのパッケージを提供し、サポート範囲は限定的です。詳細については、ナレッジベースの Scope of support for the Ansible Core package included in the RHEL 9 and RHEL 8.6 and later AppStream repositories を参照してください。

  • 管理対象ノードが記載されているインベントリーファイルがある。
注記

デプロイメント時にシステムロールが rsyslog をインストールするため、rsyslog パッケージをインストールする必要はありません。

手順

  1. 必要なロールを定義する Playbook を作成します。

    1. 新しい YAML ファイルを作成し、これをテキストエディターで開きます。以下に例を示します。

      # vi logging-playbook.yml
    2. 以下の内容を挿入します。

      ---
      - name: Deploying basics input and implicit files output
        hosts: all
        roles:
          - rhel-system-roles.logging
        vars:
          logging_inputs:
            - name: system_input
              type: basics
          logging_outputs:
            - name: files_output
              type: files
          logging_flows:
            - name: flow1
              inputs: [system_input]
              outputs: [files_output]
  2. 特定のインベントリーで Playbook を実行します。

    # ansible-playbook -i inventory-file /path/to/file/logging-playbook.yml

    詳細は以下のようになります。

    • inventory-file はインベントリーファイルに置き換えます。
    • logging-playbook.yml は、使用する Playbook に置き換えます。

検証

  1. /etc/rsyslog.conf ファイルの構文をテストします。

    # rsyslogd -N 1
    rsyslogd: version 8.1911.0-6.el8, config validation run (level 1), master config /etc/rsyslog.conf
    rsyslogd: End of config validation run. Bye.
  2. システムがログにメッセージを送信していることを確認します。

    1. テストメッセージを送信します。

      # logger test
    2. /var/log/messages ログ を表示します。以下に例を示します。

      # cat /var/log/messages
      Aug  5 13:48:31 hostname root[6778]: test

      `hostname` はクライアントシステムのホスト名です。ログには、logger コマンドを入力したユーザーのユーザー名 (この場合は root) が含まれていることに注意してください。

36.4. ローカルの Logging システムロールでのログのフィルターリング

rsyslog プロパティーベースのフィルターをもとにログをフィルターするロギングソリューションをデプロイできます。

前提条件

  • Logging システムロールを設定する 管理対象ノード 1 つ以上へのアクセスおよびパーミッション。
  • コントロールノード (このシステムから Red Hat Ansible Core は他のシステムを設定) へのアクセスおよびパーミッション。

    コントロールノードでは、

    • Red Hat Ansible Core がインストールされている。
    • rhel-system-roles パッケージがインストールされている。
    • 管理対象ノードが記載されているインベントリーファイルがある。
注記

デプロイメント時にシステムロールが rsyslog をインストールするため、rsyslog パッケージをインストールする必要はありません。

手順

  1. 以下の内容を含む新しい playbook.yml ファイルを作成します。

    ---
    - name: Deploying files input and configured files output
      hosts: all
      roles:
        - linux-system-roles.logging
      vars:
        logging_inputs:
          - name: files_input
            type: basics
        logging_outputs:
          - name: files_output0
            type: files
            property: msg
            property_op: contains
            property_value: error
            path: /var/log/errors.log
          - name: files_output1
            type: files
            property: msg
            property_op: "!contains"
            property_value: error
            path: /var/log/others.log
        logging_flows:
          - name: flow0
            inputs: [files_input]
            outputs: [files_output0, files_output1]

    この設定を使用すると、error 文字列を含むメッセージはすべて /var/log/errors.log に記録され、その他のメッセージはすべて /var/log/others.log に記録されます。

    error プロパティーの値はフィルターリングする文字列に置き換えることができます。

    設定に合わせて変数を変更できます。

  2. オプション: Playbook の構文を確認します。

    # ansible-playbook --syntax-check playbook.yml
  3. インベントリーファイルで Playbook を実行します。

    # ansible-playbook -i inventory_file /path/to/file/playbook.yml

検証

  1. /etc/rsyslog.conf ファイルの構文をテストします。

    # rsyslogd -N 1
    rsyslogd: version 8.1911.0-6.el8, config validation run (level 1), master config /etc/rsyslog.conf
    rsyslogd: End of config validation run. Bye.
  2. システムが error 文字列を含むメッセージをログに送信していることを確認します。

    1. テストメッセージを送信します。

      # logger error
    2. 以下のように /var/log/errors.log ログを表示します。

      # cat /var/log/errors.log
      Aug  5 13:48:31 hostname root[6778]: error

      hostname はクライアントシステムのホスト名に置き換えます。ログには、logger コマンドを入力したユーザーのユーザー名 (この場合は root) が含まれていることに注意してください。

関連情報

  • rhel-system-roles パッケージでインストールされたドキュメント (/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.logging/README.html)

36.5. Logging システムロールを使用したリモートロギングソリューションの適用

以下の手順に従って、Red Hat Ansible Core Playbook を準備および適用し、リモートロギングソリューションを設定します。この Playbook では、1 つ以上のクライアントが systemd-journal からログを取得し、リモートサーバーに転送します。サーバーは、remote_rsyslog および remote_files からリモート入力を受信し、リモートホスト名によって名付けられたディレクトリーのローカルファイルにログを出力します。

前提条件

  • Logging システムロールを設定する 管理対象ノード 1 つ以上へのアクセスおよびパーミッション。
  • コントロールノード (このシステムから Red Hat Ansible Core は他のシステムを設定) へのアクセスおよびパーミッション。

    コントロールノードでは、

    • ansible-core パッケージおよび rhel-system-roles パッケージがインストールされている。
    • 管理対象ノードが記載されているインベントリーファイルがある。
注記

デプロイメント時にシステムロールが rsyslog をインストールするため、rsyslog パッケージをインストールする必要はありません。

手順

  1. 必要なロールを定義する Playbook を作成します。

    1. 新しい YAML ファイルを作成し、これをテキストエディターで開きます。以下に例を示します。

      # vi logging-playbook.yml
    2. 以下の内容をファイルに挿入します。

      ---
      - name: Deploying remote input and remote_files output
        hosts: server
        roles:
          - rhel-system-roles.logging
        vars:
          logging_inputs:
            - name: remote_udp_input
              type: remote
              udp_ports: [ 601 ]
            - name: remote_tcp_input
              type: remote
              tcp_ports: [ 601 ]
          logging_outputs:
            - name: remote_files_output
              type: remote_files
          logging_flows:
            - name: flow_0
              inputs: [remote_udp_input, remote_tcp_input]
              outputs: [remote_files_output]
      
      - name: Deploying basics input and forwards output
        hosts: clients
        roles:
          - rhel-system-roles.logging
        vars:
          logging_inputs:
            - name: basic_input
              type: basics
          logging_outputs:
            - name: forward_output0
              type: forwards
              severity: info
              target: _host1.example.com_
              udp_port: 601
            - name: forward_output1
              type: forwards
              facility: mail
              target: _host1.example.com_
              tcp_port: 601
          logging_flows:
            - name: flows0
              inputs: [basic_input]
              outputs: [forward_output0, forward_output1]
      
      [basic_input]
      [forward_output0, forward_output1]