Red Hat Training

A Red Hat training course is available for RHEL 8

仮想化の設定および管理

Red Hat Enterprise Linux 8

ホストの設定、仮想マシンの作成および管理、ならびに Red Hat Enterprise Linux 8 の仮想化機能の理解

Red Hat Customer Content Services

概要

Red Hat Enterprise Linux (RHEL) システムを仮想化ホストとして使用するには、このドキュメントの手順に従ってください。
提供される情報には以下が含まれます。
  • 仮想化の機能およびユースケース
  • コマンドラインユーティリティーと Web コンソールを使用して、ホストと仮想マシンを管理する方法
  • Intel 64、AMD64、IBM POWER、IBM Z など、さまざまなシステムアーキテクチャーにおける仮想化のサポート制限

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。まずは、マスター (master)、スレーブ (slave)、ブラックリスト (blacklist)、ホワイトリスト (whitelist) の 4 つの用語の置き換えから始めます。この取り組みは膨大な作業を要するため、今後の複数のリリースで段階的に用語の置き換えを実施して参ります。詳細は、Red Hat CTO である Chris Wright のメッセージ をご覧ください。

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第1章 RHEL における仮想化について

本章では、仮想化の概念や、Linux における仮想化の実装について参考になるように、RHEL 8 における仮想化の概要、基本な内容、利点、コンポーネントなど、Red Hat が提供する仮想化ソリューションを説明します。

1.1. 仮想化とは

RHEL 8 では 仮想化機能 が提供され、RHEL 8 を実行するマシンが、複数の仮想マシン (VM) (ゲスト とも呼ばれます) を ホスト できるようにします。仮想マシンは、ホストの物理ハードウェアとコンピューティングリソースを使用して、独立した仮想化オペレーティングシステム (ゲスト OS) を、ホストのオペレーティングシステムのユーザー空間プロセスとして実行します

つまり、仮想化により、オペレーティングシステム内にオペレーティングシステムを追加できます。

仮想マシンを使用すると、ソフトウェアの設定や機能を安全にテストしたり、レガシーソフトウェアを実行したり、ハードウェアのワークロードの効率を最適化したりできます。利点の詳細は、仮想化の利点 を参照してください。

仮想化の詳細は、仮想化のトピックページ を参照してください。

次のステップ

  • Red Hat Enterprise Linux 8 で仮想化を試す場合は、Getting started with virtualization を参照してください。
  • Red Hat は、Red Hat Enterprise Linux 8 の仮想化以外にも、専門化した仮想化ソリューションを多数提供しています。各ソリューションには、さまざまなユーザーフォーカスおよび機能があります。詳細は、Red Hat virtualization solutions を参照してください。

1.2. 仮想化の利点

仮想マシンの使用には、物理マシンを使用する場合と比較して、以下の利点があります。

  • リソースの柔軟性と詳細な割り当て

    仮想マシンは、通常、物理マシンであるホストマシンで稼働し、使用するゲスト OS に物理ハードウェアを割り当てることもできます。ただし、仮想マシンへの物理リソースの割り当てはソフトウェアレベルで行うため、柔軟性が非常に高くなります。仮想マシンは、ホストメモリー、CPU、またはストレージ領域で設定可能な割合を指定して、非常に詳細なリソース要求を指定できます。

    たとえば、ゲスト OS がディスクとして見るものは、ホストファイルシステムではファイルとして表示され、そのディスクのサイズは、物理ディスクで利用可能なサイズよりも少なくなります。

  • ソフトウェアで制御される設定

    仮想マシン全体の設定は、ホスト上のデータとして保存され、ソフトウェア制御下にあります。したがって、仮想マシンの作成、削除、クローン作成、移行、リモートからの操作、リモートストレージへの接続などを簡単に行うことができます。

  • ホストからの分離

    ゲスト OS は、ホストの OS とは別の仮想化カーネルで実行します。つまり、任意の OS を仮想マシンにインストールでき、ゲスト OS が不安定になっても、または不正アクセスされても、ホストには影響を及ぼしません。

  • 領域とコスト効率

    1 台の物理マシンで仮想マシンを多数ホストできます。したがって、複数の物理マシンが同じタスクを実行する必要がないため、物理ハードウェアに対する領域、電力、およびメンテナンスの要件が低くなります。

  • ソフトウェアの互換性

    仮想マシンは、ホストとは異なる OS を使用できるため、仮想化により、本来はホスト OS 用にリリースされていないアプリケーションを実行できるようになります。たとえば、RHEL 7 のゲスト OS を使用すると、RHEL 7 用にリリースされたアプリケーションを RHEL 8 ホストシステムで実行できます。

    注記

    RHEL 8 ホストでは、すべてのオペレーティングシステムがゲスト OS としてサポートされているわけではありません。詳細は、Recommended features in RHEL 8 virtualization を参照してください。

1.3. 仮想マシンコンポーネントおよびその相互作用

RHEL 8 の仮想化は、以下の主要ソフトウェアコンポーネントで設定されています。

ハイパーバイザー

RHEL 8 で仮想マシンを作成する基礎となる部分は、ハードウェアを制御し、ホストマシンで複数のオペレーティングシステムを実行できるようにするソフトウェア層で、ハイパーバイザー と呼ばれます。

ハイパーバイザーには、KVM (Kernel-based Virtual Machine) モジュールと仮想化カーネルドライバーが含まれます。このコンポーネントでは、ホストマシンの Linux カーネルにより、ユーザー空間のソフトウェアに仮想化のリソースが提供されます。

ユーザー空間レベルでは、QEMU エミュレーターが、ゲスト OS を実行できる完全に仮想化されたハードウェアプラットフォームをシミュレートし、リソースがホストでどのように割り当てられ、ゲストに示されるかを管理します。

さらに、libvirt ソフトウェアスイートが管理層および通信層として機能し、QEMU とのやり取りを容易にし、セキュリティールールを適用し、仮想マシンを設定して実行するための追加ツールを多数提供します。

XML 設定

ホストベースの XML 設定ファイル (ドメイン XML ファイルとも呼ばれます) では、個別の仮想マシンの設定およびデバイスをすべて決定します。設定には以下が含まれます。

  • メタデータ (仮想マシンの名前、タイムゾーン、その他の仮想マシンの情報など)
  • 仮想マシンのデバイスの説明 (仮想 CPU (vCPU)、ストレージデバイス、入出力デバイス、ネットワークインターフェイスカード、その他の物理ハードウェアおよび仮想ハードウェアなど)
  • 仮想マシンの設定 (使用可能な最大メモリー量、再起動設定、仮想マシンの動作に関するその他の設定など)

XML 設定の内容の詳細は、仮想マシンの XML 設定例 を参照してください。

コンポーネントのインタラクション

仮想マシンが起動すると、ハイパーバイザーは XML 設定を使用して、ホストのユーザー空間プロセスとして仮想マシンのインスタンスを作成します。ハイパーバイザーは、仮想マシンプロセスが、ホストベースのインターフェイス (virsh ユーティリティー、virt-install ユーティリティー、guestfish ユーティリティー、Web コンソールの GUI など) にアクセスできるようにします。

このような仮想化ツールを使用すると、libvirt が、入力を QEMU の命令に変換します。QEMU が命令を KVM に伝え、カーネルが命令を実行するのに必要なリソースを適切に割り当てるようになります。これにより、QEMU が、仮想マシンの作成や修正、仮想マシンのオペレーティングシステムでのアクションの実行など、対応するユーザー空間を変更します。

注記

QEMU はアーキテクチャーの必須コンポーネントですが、セキュリティーに関する懸念があるため、RHEL 8 システムで直接使用することは意図されていません。したがって、qemu-* コマンドは Red Hat ではサポートされていないため、libvirt を使用して QEMU と対話することを強く推奨します。

ホストベースのインターフェイスの詳細は、仮想管理に使用するツールおよびインターフェイス を参照してください。

図1.1 RHEL 8 の仮想アーキテクチャー

仮想アーキテクチャー

1.4. 仮想管理に使用するツールおよびインターフェイス

RHEL 9 の仮想化は、コマンドラインインターフェイス (CLI) または複数のグラフィカルユーザーインターフェイス (GUI) を使用して管理できます。

コマンドラインインターフェイス

CLI は、RHEL 8 で仮想化を管理する最も強力な方法です。仮想マシン (VM) 管理用の CLI コマンドでは、以下のものがよく知られています。

  • virsh - 指定した引数に応じて、多種多様な目的を持つ多目的仮想コマンドラインユーティリティーおよびシェル。以下に例を示します。

    • 仮想マシンの起動およびシャットダウン - virsh start および virsh shutdown
    • 利用可能な仮想マシンのリスト表示 - virsh list
    • 設定ファイルからの仮想マシンの作成 - virsh create
    • 仮想化シェルの入力 - virsh

    詳細は、virsh(1) man ページを参照してください。

  • virt-install - 新しい仮想マシンを作成する CLI ユーティリティー。詳細は、virt-install(1) man ページを参照してください。
  • virt-xml - 仮想マシンの設定を編集するユーティリティー。
  • guestfish - 仮想マシンのディスクイメージを調べ、修正するユーティリティー。詳細は、guestfish(1) man ページを参照してください。

グラフィカルユーザーインターフェイス

以下の GUI を使用して、RHEL 8 で仮想化を管理できます。

  • RHEL 8 の Web コンソール (Cockpit とも呼ばれています) は、仮想マシンおよび仮想化ホストの管理用に、リモートからアクセスでき、簡単に使用できるグラフィカルユーザーインターフェイスを提供します。

    Web コンソールを使用した基本的な仮想化管理の手順については、Managing virtual machines in the web console を参照してください。

  • 仮想マシンマネージャー (virt-manager) アプリケーションは、仮想マシンおよび仮想化ホストの管理に使用する GUI を提供します。

    重要

    virt-manager は、RHEL 8 でも引き続き対応していますが、非推奨になっています。後続のリリースでは、Web コンソールがその代替となる予定です。したがって、GUI で仮想化を管理する場合は、Web コンソールを使用することが推奨されます。

    ただし、RHEL 8 では、virt-manager またはコマンドラインのいずれか一方からしかアクセスできない機能もあります。詳細は、Differences between virtualization features in Virtual Machine Manager and the web console を参照してください。

  • Gnome Boxes アプリケーションは、仮想マシンおよびリモートシステムを表示したりアクセスしたりするための、軽量のグラフィカルインタフェースです。GNOME Boxes は、主にデスクトップシステムで使用するように設計されています。

    重要

    Gnome Boxes は、GNOME デスクトップ環境に含まれ、RHEL 8 で対応しています、Red Hat は、Web コンソールを使用して、GUI で仮想化を管理することを推奨します。

関連情報

1.5. Red Hat の仮想化ソリューション

以下の Red Hat 製品は、RHEL 8 仮想化機能に構築されており、RHEL 8 で利用可能な KVM 仮想化機能を拡張します。また、RHEL 8 仮想化の制限 の多くが、このような製品には適用されません。

OpenShift Virtualization

KubeVirt テクノロジーに基づいて、OpenShift Virtualization は Red Hat OpenShift Container Platform の一部であり、仮想マシンをコンテナーで実行することができます。

OpenShift Virtualization の詳細は、Red Hat ハイブリッドクラウド のページを参照してください。

Red Hat OpenStack Platform (RHOSP)

Red Hat OpenStack Platform は、安全で信頼性の高いパブリックまたはプライベートの OpenStack クラウドを作成、デプロイ、および拡張するための統合基盤を提供します。

Red Hat OpenStack Platform の詳細は、Red Hat OpenStack Platform の製品ページ、または Red Hat OpenStack Platform ドキュメントスイート を参照してください。

注記

RHEL ではサポートされておらず、他の Red Hat 仮想化ソリューションでサポートされている仮想化機能の詳細は、RHEL 8 仮想化でサポートされていない機能 を参照してください。

第2章 仮想化の使用

RHEL 8 の仮想化 を使用をする場合は、以下の手順に従ってください。これに対するデフォルトの方法はコマンドラインインターフェイス (CLI) ですが、便宜上、手順の一部は Web コンソールの GUI で完了できます。

  1. 仮想化モジュールを有効にし、仮想化パッケージをインストールします。Enabling virtualization を参照してください。
  2. 仮想マシンを作成します。

  3. 仮想マシンを起動します。

  4. 仮想マシンに接続します。

注記

現在、Web コンソールでは、仮想マシン管理機能のサブセットしか提供されないため、RHEL 8 での仮想化の高度な使用には、コマンドラインを使用することが推奨されます。

2.1. 仮想化の有効化

RHEL 8 で仮想化を使用するには、仮想化モジュールを有効にし、仮想化パッケージをインストールして、システムが仮想マシン (VM) をホストするように設定されていることを確認する必要があります。

前提条件

  • ホストマシンに RHEL 8 がインストールされ、登録されている
  • システムが仮想ホストとして機能するように、以下のハードウェア要件を満たしている。

    • 最低でも、以下のシステムリソースが利用できる。

      • ホスト用に 6 GB と、各仮想マシン用に 6 GB の空きディスク容量。
      • ホスト用に 2 GB と、各仮想マシン用に 2 GB の RAM。
      • ホスト上の 4 つの CPU通常、仮想マシンは、割り当てられた 1 つの vCPU で実行できますが、Red Hat は、高負荷時に仮想マシンが応答しなくならないように、仮想マシンごとに 2 つ以上の vCPU を割り当てることを推奨します。
    • ホストマシンのアーキテクチャーが KVM 仮想化 に対応している。

      • 特に、RHEL 8 は、64 ビット ARM アーキテクチャー (ARM 64) では仮想化に対応していません。
      • 以下の手順は、AMD64 および Intel 64 のアーキテクチャー (x86_64) に適用されます。対応しているアーキテクチャーが異なるホストで仮想化を有効にする場合は、以下のいずれかのセクションを参照してください。

手順

  1. RHEL 8 仮想化モジュールにパッケージをインストールします。

    # yum module install virt
  2. virt-install パッケージおよび virt-viewer パッケージをインストールします。

    # yum install virt-install virt-viewer
  3. libvirtd サービスを開始します。

    # systemctl start libvirtd

検証

  1. システムが仮想ホストとして準備されていることを確認します。

    # virt-host-validate
    [...]
    QEMU: Checking for device assignment IOMMU support       : PASS
    QEMU: Checking if IOMMU is enabled by kernel             : WARN (IOMMU appears to be disabled in kernel. Add intel_iommu=on to kernel cmdline arguments)
    LXC: Checking for Linux >= 2.6.26                        : PASS
    [...]
    LXC: Checking for cgroup 'blkio' controller mount-point  : PASS
    LXC: Checking if device /sys/fs/fuse/connections exists  : FAIL (Load the 'fuse' module to enable /proc/ overrides)
  2. virt-host-validate チェックの戻り値を確認し、適切なアクションを実行します。

    1. virt-host-validate のすべての項目で PASS 値が返された場合は、システムに 仮想マシンを作成する 準備ができています。
    2. いずれかの項目で FAIL が返された場合は、表示される指示に従って問題を解決してください。
    3. いずれかの項目で WARN が返された場合は、表示される指示に従って仮想化機能を向上させることを検討してください。

トラブルシューティング

  • KVM 仮想化がホスト CPU でサポートされていない場合は、virt-host-validate は以下の出力を生成します。

    QEMU: Checking for hardware virtualization: FAIL (Only emulated CPUs are available, performance will be significantly limited)

    ただし、このようなホストシステムにある仮想マシンは、パフォーマンス上の問題が発生するのではなく、起動に失敗します。

    これを回避するには、仮想マシンの XML 設定の <domain type> 値を qemu に変更します。ただし、Red Hat は qemu ドメインタイプを使用する仮想マシンに対応していないため、実稼働環境ではこれを設定しないことを強く推奨している点に注意してください。

2.2. 仮想マシンの作成

RHEL 8 で仮想マシンを作成する場合は、コマンドラインインターフェイス または RHEL 8 Web コンソール を使用します。

2.2.1. コマンドラインインターフェイスを使用した仮想マシンの作成

virt-install ユーティリティーを使用して、RHEL 9 ホストで仮想マシンを作成するには、以下の手順に従ってください。

前提条件

  • ホストシステムで仮想化が 有効 になっている。
  • ディスク領域、RAM、CPU など、仮想マシンに割り当てるのに十分なシステムリソースがある。推奨される値は、仮想マシンで行うタスクやワークロードにより大きく異なる可能性があります。
  • オペレーティングシステム (OS) のインストールソースがローカルまたはネットワークで利用できる。これには、次のいずれかを使用できます。

    • インストールメディアの ISO イメージ
    • 既存の仮想マシンインストールのディスクイメージ

      警告

      RHEL 8 では、ホストの CD-ROM デバイスまたは DVD-ROM デバイスからインストールすることができません。RHEL 8 で利用可能な仮想マシンのインストール方法を使用する際に、インストールソースに CD-ROM または DVD-ROM を選択するとインストールに失敗します。詳細は Red Hat ナレッジベース を参照してください。

      また、Red Hat がサポートするのは、限られたゲストオペレーティングシステムのセット のみです。

  • 任意: インストールをより速く、簡単に設定するために、キックスタートファイルを利用できます。

手順

仮想マシンを作成して OS のインストールを開始するには、以下の必須引数を指定して、virt-install コマンドを使用します。

  • --name: 新しいマシンの名前
  • --memory: 割り当てるメモリーの量
  • --vcpus: 割り当てる仮想 CPU の数
  • --disk: 割り当てるストレージのタイプとサイズ
  • --cdrom または --location: OS インストールソースのタイプと場所

選択したインストール方法に応じて、必要なオプションと値が異なります。例については、以下のコマンドを参照してください。

注記

リストされているコマンドは、デフォルトの SPICE プロトコルの代わりに VNC リモート表示プロトコルを使用します。現在、VNC には SPICE が備えている機能の一部がありませんが、RHEL 9 では完全にサポートされています。その結果、ホストを RHEL 9 に移行しても、VNC を使用する VM の動作が停止することはありません。詳細は、RHEL 8 の導入における検討事項 参照してください。

  • 次のコマンドでは、demo-guest1 という名前の仮想マシンを作成し、ローカルの /home/username/Downloads/Win10install.iso ファイルに保存されている ISO イメージから、Windows 10 OS をインストールします。この仮想マシンには、2048 MiB の RAM と 2 つの vCPU が割り当てられ、80 GiB の qcow2 仮想ディスクも自動的に割り当てられます。

    # virt-install \
        --graphics vnc \
        --name demo-guest1 --memory 2048 \
        --vcpus 2 --disk size=80 --os-variant win10 \
        --cdrom /home/username/Downloads/Win10install.iso
  • 次のコマンドは、demo-guest2 という名前の仮想マシンを作成し、/home/username/Downloads/rhel8.iso イメージを使用して、ライブ CD から RHEL 8 OS を実行します。この仮想マシンにはディスク領域が割り当てられないため、セッション中に行った変更は保持されません。また、仮想マシンには、4096 MiB の RAM と、4 つの vCPU が割り当てられます。

    # virt-install \
        --graphics vnc \
        --name demo-guest2 --memory 4096 --vcpus 4 \
        --disk none --livecd --os-variant rhel8.0 \
        --cdrom /home/username/Downloads/rhel8.iso
  • 次のコマンドは、既存のディスクイメージ /home/username/backup/disk.qcow2 に接続する demo-guest3 という名前の RHEL 9 仮想マシンを作成します。これは、マシン間でハードドライブを物理的に移動するのと似ています。したがって、demo-guest3 で使用できる OS およびデータは、イメージが処理された方法により決定します。また、仮想マシンには、2048 MiB の RAM および 2 つの vCPU が割り当てられます。

    # virt-install \
        --graphics vnc \
        --name demo-guest3 --memory 2048 --vcpus 2 \
        --os-variant rhel8.0 --import \
        --disk /home/username/backup/disk.qcow2

    ディスクイメージをインポートする場合は、--os-variant オプションを使用することが強く推奨されます。このオプションを指定しないと、作成された仮想マシンのパフォーマンスに影響を及ぼします。

  • 次のコマンドは、demo-guest4 という名前の仮想マシンを作成し、URL http://example.com/OS-install からインストールします。インストールを開始するには、作業中の OS インストールツリーを URL に指定する必要があります。さらに、OS は、キックスタートファイル /home/username/ks.cfg で自動的に設定されます。この仮想マシンには、2048 MiB の RAM、2 つの vCPU、および 160 GiB の qcow2 仮想ディスクも割り当てられます。

    # virt-install \
        --graphics vnc \
        --name demo-guest4 --memory 2048 --vcpus 2 --disk size=160 \
        --os-variant rhel8.0 --location http://example.com/OS-install \
        --initrd-inject /home/username/ks.cfg --extra-args="inst.ks=file:/ks.cfg console=tty0 console=ttyS0,115200n8"
  • 次のコマンドは、demo-guest5 という名前の仮想マシンを作成し、グラフィックスがない、テキストのみのモードである RHEL8.iso イメージファイルからインストールします。ゲストコンソールをシリアルコンソールに接続します。仮想マシンには、16384 MiB のメモリー、16 個の vCPU、および 280 GiB のディスクが割り当てられます。このようなインストールは、低速なネットワークリンクを介してホストに接続する際に便利です。

    # virt-install \
        --name demo-guest5 --memory 16384 --vcpus 16 --disk size=280 \
        --os-variant rhel8.0 --location RHEL8.iso \
        --graphics none --extra-args='console=ttyS0'
  • 次のコマンドは、demo-guest6 という名前の仮想マシンを作成します。この仮想マシンの設定は demo-guest5 と同じですが、リモートホスト 192.0.2.1 に置かれます。

    # virt-install \
        --connect qemu+ssh://root@192.0.2.1/system --name demo-guest6 --memory 16384 \
        --vcpus 16 --disk size=280 --os-variant rhel8.0 --location RHEL8.iso \
        --graphics none --extra-args='console=ttyS0'

検証

  • 仮想マシンが問題なく作成されると、仮想マシンのグラフィカルコンソールで virt-viewer 画面が開き、ゲスト OS のインストールが開始します。

トラブルシューティング

  • virt-installcannot find default network エラーを出力する場合は、以下のようにします。

    • libvirt-daemon-config-network パッケージがインストールされていることを確認します。

      # {PackageManagerCommand} info libvirt-daemon-config-network
      Installed Packages
      Name         : libvirt-daemon-config-network
      [...]
    • libvirt のデフォルトネットワークがアクティブで、自動的に起動するように設定されていることを確認します。

      # virsh net-list --all
       Name      State    Autostart   Persistent
      --------------------------------------------
       default   active   yes         yes
    • そうでない場合は、デフォルトのネットワークをアクティブにし、自動起動に設定します。

      # virsh net-autostart default
      Network default marked as autostarted
      
      # virsh net-start default
      Network default started
      • デフォルトのネットワークをアクティベートしても以下のエラーが出て失敗する場合は、libvirt-daemon-config-network パッケージが正常にインストールされていません。

        error: failed to get network 'default'
        error: Network not found: no network with matching name 'default'

        この問題を修正するには、libvirt-daemon-config-network を再インストールします。

        # {PackageManagerCommand} reinstall libvirt-daemon-config-network
      • 以下のようなエラーでデフォルトのネットワークをアクティベートできない場合には、デフォルトネットワークのサブネットとホストの既存インターフェイスで競合が発生しています。

        error: Failed to start network default
        error: internal error: Network is already in use by interface ens2

        これを修正するには、virsh net-edit default コマンドを使用して、設定の 192.0.2.* の値を、ホストで使用していないサブネットに変更します。

関連情報

  • virt-install(1) man ページ
  • Web コンソールを使用した仮想マシンの作成、およびゲストのオペレーティングシステムのインストール
  • 仮想マシンのクローン作成

2.2.2. Web コンソールを使用した仮想マシンの作成、およびゲストのオペレーティングシステムのインストール

RHEL 8 ホストの GUI で仮想マシンを管理するには、Web コンソールを使用します。次のセクションでは、RHEL 8 Web コンソールを使用して仮想マシンを作成し、仮想マシンにゲストオペレーティングシステムをインストールする方法を説明します。

重要

現在、Web コンソールを使用して作成された VM は、デフォルトで SPICE リモートデスクトッププロトコルを使用します。ただし、SPICE は RHEL 9 ではサポートされていないため、ホストを RHEL 9 にアップグレードすると、VM は動作しなくなります。詳細は、RHEL 8 の導入における検討事項 参照してください。

RHEL 9 で正しく動作する VNC プロトコルを使用する VM を作成するには、コマンドラインインターフェイスを 使用します。

2.2.2.1. Web コンソールを使用した仮想マシンの名前の変更

RHEL 8 Web コンソールが接続しているホストマシン上に仮想マシンを作成するには、以下の手順を使用します。

前提条件

手順

  1. Web コンソールの Virtual Machines インターフェイスで、Create VM をクリックします。

    Create new virtual machine ダイアログが表示されます。

    仮想マシンの新規作成ダイアログボックスを表示しているイメージ
  2. 作成する仮想マシンの基本設定を入力します。

    • 名前 - 仮想マシンの名前
    • 接続 - セッションに付与される権限のレベル。詳細は、Web コンソールで関連するダイアログボックスをデプロイメントしてください。
    • インストールタイプ - インストールでは、ローカルのインストールメディア、URL、PXE ネットワークブート、クラウドベースイメージを使用したり、または限定されたオペレーティングシステムのセットからオペレーティングシステムをダウンロードしたりできます。
    • Operating system - 仮想マシン上で実行されているゲストオペレーティングシステム。Red Hat がサポートするのは、限られたゲストオペレーティングシステムのセット のみです。

      注記

      Web コンソールから Red Hat Enterprise Linux を直接ダウンロードしてインストールする場合は、Offline token フィールドにオフライントークンを追加する必要があります。

    • Storage - ストレージのタイプ。
    • Storage Limit - ストレージ領域の容量。
    • Memory - メモリーの容量。
  3. 仮想マシンを作成します。

    • 仮想マシンでオペレーティングシステムを自動的にインストールする場合は、Create and run をクリックします。
    • オペレーティングシステムをインストールする前に仮想マシンを編集する場合は、Create and edit をクリックします。

次のステップ

  • Web コンソールでゲストオペレーティングシステムのインストール

2.2.2.2. Web コンソールでディスクイメージをインポートして仮想マシンを作成する手順

RHEL 8 Web コンソールで既存の仮想マシンインストールのディスクイメージをインポートすることで、仮想マシンを作成できます。

前提条件

手順

  1. Web コンソールの Virtual Machines インターフェイスで、Import VM をクリックします。

    Import a virtual machine ダイアログが表示されます。

    仮想マシンのインポートダイアログボックスを表示しているイメージ
  2. 作成する仮想マシンの基本設定を入力します。

    • 名前 - 仮想マシンの名前
    • ディスクイメージ - ホストシステム上の仮想マシンに存在するディスクイメージのパスです。
    • Operating system - 仮想マシンディスク上で実行されているオペレーティングシステム。Red Hat がサポートするのは、限られたゲストオペレーティングシステムのセット のみです。
    • Memory - 仮想マシンによる使用のために割り当てるメモリーの容量。
  3. 仮想マシンをインポートします。

    • 仮想マシン設定をさらに編集せずに仮想マシンにオペレーティングシステムをインストールするには、Import and run をクリックします。
    • オペレーティングシステムのインストール前に仮想マシン設定を編集するには、Import and edit をクリックします。

2.2.2.3. Web コンソールでゲストオペレーティングシステムのインストール

仮想マシンを初めて起動するときは、仮想マシンにオペレーティングシステムをインストールする必要があります。

注記

新しい仮想マシンを作成するときに Create and run または Import and run をクリックすると、仮想マシン作成時にオペレーティングシステムのインストールルーチンが自動的に開始されます。

手順

  1. Virtual Machines インターフェイスで、ゲスト OS をインストールする仮想マシンをクリックします。

    選択した仮想マシンの基本情報を含む新しいページが開き、仮想マシンのさまざまな側面を管理するための制御を行います。

    仮想マシンの詳細情報を表示するページ
  2. 任意: ファームウェアを変更します。

    注記

    新しい仮想マシンの作成時に Create and edit または Import and edit を選択し、かつ仮想マシンに OS がまだインストールされていない場合にのみ、ファームウェアを変更できます。

    ファームウェアの変更ウィンドウダイアログボックスを表示するイメージ
    1. ファームウェアをクリックします。
    2. Change Firmware ウィンドウで、必要なファームウェアを選択します。
    3. Save をクリックします。
  3. インストール をクリックします。

    仮想マシンコンソールで、オペレーティングシステムのインストールルーチンが実行します。

トラブルシューティング

  • インストールルーチンが失敗した場合は、インストールを再度開始する前に、仮想マシンを削除して再作成します。

2.2.3. Web コンソールを使用したクラウドイメージ認証による仮想マシンの作成

デフォルトでは、ディストリビューションクラウドイメージにはログインアカウントがありません。ただし、RHEL Web コンソールを使用して、仮想マシン (VM) を作成し、root アカウントとユーザーアカウントのログイン認証情報を指定して、cloud-init に渡すことができるようになりました。

前提条件

  • Web コンソールの仮想マシンプラグインが システムにインストールされている
  • ホストシステムで仮想化が 有効 になっている。
  • ディスク領域、RAM、CPU など、仮想マシンに割り当てるのに十分なシステムリソースがある。推奨される値は、仮想マシンで行うタスクやワークロードにより大きく異なる可能性があります。

手順

  1. Web コンソールの Virtual Machines インターフェイスで、Create VM をクリックします。

    仮想マシンの新規作成ダイアログが表示されます。

    仮想マシンの新規作成ダイアログボックスを表示しているイメージ
  2. 名前 フィールドに、仮想マシンの名前を入力します。
  3. Details タブの Installation type フィールドで、Cloud base image を選択します。

    Create new virtual machine using cloud-init ダイアログボックスを表示するイメージ。
  4. インストールソース フィールドで、ホストシステム上のイメージファイルへのパスを設定します。
  5. 作成する仮想マシンの設定を入力します。

    • オペレーティングシステム - 仮想マシンのオペレーティングシステム。Red Hat がサポートするのは、限られたゲストオペレーティングシステムのセット のみです。
    • ストレージ - 仮想マシンを設定するストレージの種類
    • ストレージのサイズ - 仮想マシンを設定するストレージ容量
    • メモリー - 仮想マシンを設定するメモリーのサイズ
  6. Automation タブをクリックします。

    クラウド認証の認証情報を設定します。

    • root パスワード - 仮想マシンの root パスワードを入力します。root パスワードを設定しない場合は、フィールドを空白のままにします。
    • ユーザーログイン - cloud-init ユーザーログインを入力します。ユーザーアカウントを作成しない場合は、このフィールドを空白のままにします。
    • ユーザーパスワード - パスワードを入力します。ユーザーアカウントを作成しない場合は、このフィールドを空白のままにします。

      Create new virtual machine ダイアログボックス の Automation タブを示すイメージ
  7. Create and run をクリックします。

    仮想マシンが作成されます。

2.3. 仮想マシンの起動

RHEL 8 で仮想マシンを起動する場合は、コマンドインターフェイス または Web コンソール GUI を使用できます。

前提条件

  • 仮想マシンを起動する前に仮想マシンを作成しておく。理想としては、OS をインストールしておく。手順は、Creating virtual machines を参照してください。

2.3.1. コマンドラインインターフェイスでの仮想マシンの起動

コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用して、シャットダウンした仮想マシン (VM) を起動するか、保存した仮想マシンを復元します。CLI を使用すると、ローカル仮想マシンとリモート仮想マシンの両方を起動できます。

前提条件

  • すでに定義されている非アクティブな仮想マシン
  • 仮想マシンの名前
  • リモート仮想マシンの場合は、以下も設定されている。

    • 仮想マシンが置かれているホストの IP アドレス
    • ホストへの root アクセス権限

手順

  • ローカルの仮想マシンには、virsh start ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは仮想マシン demo-guest1 を起動します。

    # virsh start demo-guest1
    Domain 'demo-guest1' started
  • リモートホストにある仮想マシンでは、ホストへの QEMU+SSH 接続と共に virsh start ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、ホスト 192.0.2.1 にある仮想マシン demo-guest1 を起動します。

    # virsh -c qemu+ssh://root@192.0.2.1/system start demo-guest1
    
    root@192.0.2.1's password:
    
    Domain 'demo-guest1' started

2.3.2. Web コンソールを使用した仮想マシンの名前の変更

仮想マシンが 停止 状態にある場合は、RHEL 9 Web コンソールを使用して起動できます。ホストの起動時に、仮想マシンが自動的に起動するように設定することもできます。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、起動する仮想マシンをクリックします。

    選択した仮想マシンの詳細情報を含む新しいページが開き、仮想マシンのシャットダウンおよび削除を制御できます。

  2. Run をクリックします。

    仮想マシンが起動し、そのコンソールまたはグラフィカル出力に接続 できます。

  3. オプション: ホスト起動時に仮想マシンが自動的に起動するように設定するには、Overview セクションの Autostart チェックボックスを切り替えます。

    libvirt が管理していないネットワークインターフェイスを使用する場合は、systemd 設定も変更する必要があります。そうしないと、影響を受ける仮想マシンが起動できなくなる可能性があります。starting virtual machines automatically when the host starts を参照してください。

2.3.3. ホストの起動時に仮想マシンを自動的に起動する

実行中の仮想マシン (VM) のホストが再起動すると、仮想マシンはシャットダウンされるため、デフォルトで手動で再起動する必要があります。ホストの実行中に仮想マシンがアクティブであることを確認するには、仮想マシンが自動的に起動するように設定できます。

手順

  1. virsh autostart ユーティリティーを使用して、ホストの起動時に仮想マシンが自動的に起動するように設定します。

    たとえば、次のコマンドは、demo-guest1 仮想マシンを自動的に起動するように設定します。

    # virsh autostart demo-guest1
    Domain 'demo-guest1' marked as autostarted
  2. libvirt が管理していないネットワークインターフェイスを使用する場合は、systemd 設定にも追加の変更を行う必要があります。これを行わないと、影響を受ける仮想マシンの起動に失敗する可能性があります。

    注記

    このようなインターフェイスには、以下の例が含まれます。

    • NetworkManager が作成したブリッジデバイス
    • <forward mode='bridge'/> を使用するように設定されたネットワーク
    1. systemd 設定ディレクトリーツリーに、libvirtd.service.d ディレクトリーが存在しない場合は作成します。

      # mkdir -p /etc/systemd/system/libvirtd.service.d/
    2. 以前に作成したディレクトリーに、10-network-online.conf systemd ユニットオーバーライドファイルを作成します。このファイルの内容は、libvirtd サービスのデフォルトの systemd 設定を上書きします。

      # touch /etc/systemd/system/libvirtd.service.d/10-network-online.conf
    3. 10-network-online.conf ファイルに以下の行を追加します。この設定変更により、ホストのネットワークの準備ができてから、systemd が libvirtd サービスを開始できるようになります。

      [Unit]
      After=network-online.target

検証

  1. 仮想マシンの設定を表示し、自動開始 オプションが有効になっていることを確認します。

    たとえば、次のコマンドは、自動開始 オプションなど、demo-guest1 仮想マシンの基本情報を表示します。

    # virsh dominfo demo-guest1
    Id:             2
    Name:           demo-guest1
    UUID:           e46bc81c-74e2-406e-bd7a-67042bae80d1
    OS Type:        hvm
    State:          running
    CPU(s):         2
    CPU time:       385.9s
    Max memory:     4194304 KiB
    Used memory:    4194304 KiB
    Persistent:     yes
    Autostart:      enable
    Managed save:   no
    Security model: selinux
    Security DOI:   0
    Security label: system_u:system_r:svirt_t:s0:c873,c919 (enforcing)
  2. libvirt が管理していないネットワークインターフェイスを使用する場合は、10-network-online.conf ファイルの内容が次の出力と一致するかどうかを確認してください。

    $ cat /etc/systemd/system/libvirtd.service.d/10-network-online.conf
    [Unit]
    After=network-online.target

関連情報

  • virsh autostart --help コマンド
  • Web コンソールを使用した仮想マシンの名前の変更

2.4. 仮想マシンへの接続

RHEL 8 で仮想マシンと相互作用するには、以下のいずれかの方法で接続する必要があります。

  • Web コンソールインターフェイスを使用する場合は、Web コンソールインターフェイスの仮想マシンペインを使用します。詳細は、Interacting with virtual machines using the web console を参照してください。
  • Web コンソールを使用せずに、仮想マシンのグラフィカル表示と相互作用する必要がある場合は、Virt Viewer アプリケーションを使用します。詳細は、Opening a virtual machine graphical console using Virt Viewer を参照してください。
  • グラフィック表示ができない、または必要ない場合は、SSH の端末接続 を使用します。
  • ネットワークを使用してシステムから仮想マシンに到達できない場合は、virsh コンソール を使用します。

接続先の仮想マシンがローカルホストではなくリモートホストにある場合は、リモートホストにより便利にアクセスできるように、システムを設定することもできます。

前提条件

2.4.1. Web コンソールを使用した仮想マシンとの相互作用

RHEL 8 Web コンソールで仮想マシンと相互作用するには、仮想マシンのコンソールに接続する必要があります。グラフィカルコンソールおよびシリアルコンソールの両方が含まれます。

2.4.1.1. Web コンソールで仮想マシンのグラフィカルコンソールの表示

仮想マシンのコンソールインターフェイスを使用すると、RHEL 9 Web コンソールに、選択した仮想マシンのグラフィカル出力を表示できます。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、グラフィカルコンソールを表示する仮想マシンをクリックします。

    仮想マシンの概要コンソールセクションがある新しいページが開きます。

  2. コンソールドロップダウンメニューで VNC コンソール を選択します。

    Web インターフェイスのメニューの下に VNC コンソールが表示されます。

    グラフィカルコンソールが Web インターフェイスに表示されます。

    選択した仮想マシンのインターフェイスを表示するイメージ。
  3. Expand をクリックします。

    実際のマシンの場合と同じように、マウスとキーボードを使用して仮想マシンのコンソールと相互作用できるようになりました。仮想マシンコンソールには、仮想マシンで実行しているアクティビティーが表示されます。

注記

Web コンソールを実行しているホストで、特定の鍵の組み合わせ (Ctrl+Alt+Del など) を傍受して、仮想マシンに送信しないようにできます。

このようなキーの組み合わせを送信する場合は、キーの送信 メニューをクリックして、送信するキーシーケンスを選択します。

たとえば、仮想マシンに Ctrl+Alt+Del の組み合わせを送信するには、キーの送信 メニューをクリックして、Ctrl+Alt+F1 メニューエントリーを選択します。

トラブルシューティング

  • グラフィカルコンソールをクリックしても効果がない場合は、コンソールを全画面表示にします。これは、マウスカーソルオフセットの既知の問題です。

関連情報

2.4.1.2. Web コンソールを使用して、リモートビューアーでグラフィカルコンソールを表示

Web コンソールインターフェイスを使用して、選択した仮想マシン (VM) のグラフィカルコンソールを Virt Viewer などのリモートビューアーに表示することができます。

注記

Web コンソールから Virt Viewer を起動できます。その他の VNC および SPICE のリモートビューアーは手動で起動できます。

前提条件

  • Web コンソールの仮想マシンプラグインが システムにインストールされている
  • ホストおよび仮想マシンの両方が、グラフィカルインターフェイスに対応している。
  • Virt Viewer でグラフィカルコンソールを表示する前に、Web コンソールが接続しているマシンに Virt Viewer をインストールする必要があります。

    1. Launch remote viewer をクリックします。

      virt ビューアー (.vv) ファイルをダウンロードします。

    2. ファイルを開き、Virt Viewer を起動します。
注記

リモートビューアーは、ほとんどのオペレーティングシステムで使用できます。ブラウザーの拡張機能やプラグインによっては、Web コンソールで Virt Viewer を開けないことがあります。

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、グラフィカルコンソールを表示する仮想マシンをクリックします。

    仮想マシンの概要コンソールセクションがある新しいページが開きます。

  2. コンソールドロップダウンメニューで デスクトップビューアー を選択します。

    仮想マシンインターフェイスの Console セクションとその他の仮想マシンの詳細を表示するページ。
  3. Launch Remote Viewer をクリックします。

    Virt Viewer でグラフィカルコンソールが開きます。

    マウスとキーボードを使用して、実際のマシンと対話するのと同じ方法で仮想マシンのコンソールと対話できます。仮想マシンコンソールには、仮想マシンで実行しているアクティビティーが表示されます。

注記

Web コンソールを実行しているサーバーで、特定の鍵の組み合わせ (Ctrl+Alt+Del など) を傍受して、仮想マシンに送信しないようにできます。

このようなキーの組み合わせを送信する場合は、キーの送信 メニューをクリックして、送信するキーシーケンスを選択します。

たとえば、仮想マシンに Ctrl+Alt+F1 の組み合わせを送信するには、キーの送信 メニューをクリックして、Ctrl+Alt+F1 メニューエントリーを選択します。

トラブルシューティング

  • グラフィカルコンソールをクリックしても効果がない場合は、コンソールを全画面表示にします。これは、マウスカーソルオフセットの既知の問題です。
  • Web コンソールでリモートビューアーを起動できない場合、または最適ではない場合は、以下のプロトコルを使用して、任意のビューアーアプリケーションに手動で接続できます。

    • アドレス - デフォルトのアドレスーは 127.0.0.1 です。/etc/libvirt/qemu.confvnc_listen パラメーターまたは spice_listen パラメーターを変更して、ホストの IP アドレスに変更できます。
    • SPICE ポート - 5900
    • VNC ポート - 5901

2.4.1.3. Web コンソールで仮想マシンのシリアルコンソールの表示

RHEL 8 Web コンソールで、選択した仮想マシンのシリアルコンソールを表示できます。これは、グラフィカルインターフェイスでホストマシンまたは仮想マシンを設定していない場合に便利です。

シリアルコンソールの詳細は、Opening a virtual machine serial console を参照してください。

前提条件

手順

  1. 仮想マシンペインで、シリアルコンソールを表示する仮想マシンをクリックします。

    仮想マシンの概要コンソールセクションがある新しいページが開きます。

  2. コンソールドロップダウンメニューで シリアルコンソール を選択します。

    グラフィカルコンソールが Web インターフェイスに表示されます。

    仮想マシンのシリアルコンソールおよびその他の仮想マシンの詳細を表示するページ。

仮想マシンからシリアルコンソールへの接続を切断して、再接続できます。

  • 仮想マシンからシリアルコンソールへの接続を切断するには、Disconnect をクリックします。
  • シリアルコンソールを仮想マシンに再接続するには、Reconnect をクリックします。

関連情報

2.4.2. Virt Viewer で仮想マシンのグラフィカルコンソールを開く方法

KVM 仮想マシンのグラフィカルコンソールに接続して、Virt Viewer デスクトップアプリケーションで開く場合は、以下の手順を行います。

前提条件

  • システム、および接続している仮想マシンが、グラフィカルディスプレイに対応している。
  • ターゲットの仮想マシンがリモートホストにある場合は、そのホストへの接続およびルートアクセス権限が確保されている。
  • (必要に応じて) ターゲットの仮想マシンがリモートホストにある場合は、リモートホストにアクセスしやすくなる ように libvirt と SSH を設定している。

手順

  • ローカルの仮想マシンに接続するには、次のコマンドを使用して、guest-name を、接続する仮想マシンの名前に置き換えます。

    # virt-viewer guest-name
  • リモートの仮想マシンに接続するには、SSH プロトコルで virt-viewer コマンドを実行します。たとえば、次のコマンドは、root 権限で、リモートシステム 192.0.2.1 にある guest-name という名前の仮想マシンに接続します。接続には、192.0.2.1 用の root 認証も必要になります。

    # virt-viewer --direct --connect qemu+ssh://root@192.0.2.1/system guest-name
    root@192.0.2.1's password:

検証

接続が正しく機能している場合は、Virt Viewer 画面に仮想マシンのディスプレイが表示されます。

実際のマシンの場合と同じように、マウスとキーボードを使用して仮想マシンのコンソールと相互作用できます。仮想マシンコンソールには、仮想マシンで実行しているアクティビティーが表示されます。

トラブルシューティング

  • グラフィカルコンソールをクリックしても効果がない場合は、コンソールを全画面表示にします。これは、マウスカーソルオフセットの既知の問題です。

2.4.3. SSH を使用した仮想マシンへの接続

SSH 接続プロトコルを使用して仮想マシン (VM) の端末と対話するには、以下の手順に従います。

前提条件

  • ターゲットの仮想マシンへのネットワーク接続および root アクセス権がある。
  • ターゲットの仮想マシンがリモートホストにある場合は、そのホストへの接続およびルートのアクセス権限もある。
  • 仮想マシンネットワークは、libvirt が生成した dnsmasq により IP アドレスを割り当てます。これは、たとえば、libvirt NAT ネットワーク などに該当します。

    特に、仮想マシンが次のネットワーク設定のいずれかを使用している場合、SSH を使用して仮想マシンに接続することはできません。

    • hostdev インターフェイス
    • ダイレクトインターフェイス
    • ブリッジインターフェイス
  • libvirt-nss コンポーネントを仮想マシンのホストにインストールして有効にしている。そうでない場合は、以下を行います。

    1. libvirt-nss パッケージをインストールします。

      # yum install libvirt-nss
    2. /etc/nsswitch.conf ファイルを編集し、libvirt_guesthosts 行に追加します。

      ...
      passwd:      compat
      shadow:      compat
      group:       compat
      hosts:       files libvirt_guest dns
      ...

手順

  1. リモート仮想マシンに接続する場合は、最初に SSH でその物理ホストに接続します。以下の例は、root 認証情報を使用してホストマシン 192.0.2.1 に接続する方法を示しています。

    # ssh root@192.0.2.1
    root@192.0.2.1's password:
    Last login: Mon Sep 24 12:05:36 2021
    root~#
  2. 仮想マシンの名前とユーザーアクセスの認証情報を使用して、仮想マシンに接続します。たとえば、以下は、root 認証情報を使用して、仮想マシン testguest1 に接続します。

    # ssh root@testguest1
    root@testguest1's password:
    Last login: Wed Sep 12 12:05:36 2018
    root~]#

トラブルシューティング

  • 仮想マシンの名前が分からない場合は、virsh list --all コマンドを使用すると、ホストで利用可能な仮想マシンのリストを表示できます。

    # virsh list --all
    Id    Name                           State
    ----------------------------------------------------
    2     testguest1                    running
    -     testguest2                    shut off

2.4.4. 仮想マシンのシリアルコンソールを開く

virsh console コマンドを使用すると、仮想マシン (VM) のシリアルコンソールに接続できます。

これは、仮想マシンが次のような場合に役に立ちます。

  • VNC プロトコルまたは SPICE プロトコルは提供されないため、GUI ツールのビデオ表示が提供されない
  • ネットワークに接続されていないため、SSH を使用して 相互作用できない

前提条件

  • 仮想マシンには、console type='pty' などのシリアルコンソールデバイスが設定されている必要がある。確認するには、以下の手順を実施します。

    # virsh dumpxml vm-name | grep console
    
    <console type='pty' tty='/dev/pts/2'>
    </console>
  • 仮想マシンに、カーネルコマンドラインでシリアルコンソールが設定されている。これを確認するには、仮想マシンの cat /proc/cmdline コマンドの出力に console=ttyS0 が含まれていることを確認します。以下に例を示します。

    # cat /proc/cmdline
    BOOT_IMAGE=/vmlinuz-3.10.0-948.el7.x86_64 root=/dev/mapper/rhel-root ro console=tty0 console=ttyS0,9600n8 rd.lvm.lv=rhel/root rd.lvm.lv=rhel/swap rhgb

    シリアルコンソールが仮想マシンに正しく設定されていない場合は、virsh コンソール を仮想マシンに接続すると、応答のないゲストコンソールに接続できます。ただし、Ctrl+] ショートカットを使用して、応答しないコンソールを終了することができます。

    • 仮想マシンでシリアルコンソールを設定するには、以下を行います。

      1. 仮想マシンで、console=ttyS0 カーネルオプションを有効にします。

        # grubby --update-kernel=ALL --args="console=ttyS0"
      2. 変更を反映させない可能性があるカーネルオプションをクリアします。

        # grub2-editenv - unset kernelopts
      3. 仮想マシンを再起動します。

手順

  1. ホストシステムで、virsh console コマンドを使用します。次の例では、libvirt ドライバーが安全なコンソール処理に対応していると、仮想マシン guest1 に接続します。

    # virsh console guest1 --safe
    Connected to domain 'guest1'
    Escape character is ^]
    
    Subscription-name
    Kernel 3.10.0-948.el7.x86_64 on an x86_64
    
    localhost login:
  2. virsh コンソールは、標準のコマンドラインインターフェイスと同じ方法で相互作用できます。

関連情報

  • virsh の man ページ

2.4.5. リモートの仮想化ホストへの簡単なアクセスの設定

libvirt ユーティリティーを使用してリモートホストシステムの仮想マシンを管理する場合は、-c qemu+ssh://root@hostname/system 構文を使用することが推奨されます。たとえば、ホスト 192.0.2.1 で、root で virsh list コマンドを実行します。

# virsh -c qemu+ssh://root@192.0.2.1/system list
root@192.0.2.1's password:

Id   Name              State
---------------------------------
1    remote-guest      running

ただし、SSH および libvirt の設定を変更すれば、接続の詳細を完全に指定する必要がなくなります。以下に例を示します。

# virsh -c remote-host list
root@192.0.2.1's password:

Id   Name              State
---------------------------------
1    remote-guest      running

この改善機能を有効にするには、以下の手順を行います。

手順

  1. ~/.ssh/config ファイルを以下のように編集します。ここで、host-alias は特定のリモートホストに関連付けられた短縮名および root@192.0.2.1 のエイリアス、hosturl は host の URL アドレスです。

    # vi ~/.ssh/config
    Host example-host-alias
      User                    root
      Hostname                192.0.2.1
  2. /etc/libvirt/libvirt.conf ファイルを以下のように編集します。example-qemu-host-alias は、QEMU および libvirt ユーティリティーが qemu+ssh://192.0.2.1/system に目的のホスト example-host-alias を関連付けるホストエイリアスです。

    # vi /etc/libvirt/libvirt.conf
    uri_aliases = [
      "example-qemu-host-alias=qemu+ssh://example-host-alias/system",
    ]

検証

  1. ローカルシステムで libvirt ベースのユーティリティーを使用し、-c qemu-host-alias パラメーターを追加することで、リモートの仮想マシンを管理できることを確認します。これにより、リモートホストの SSH でコマンドが自動的に実行されます。

    たとえば、以下のコマンドにより、前の手順で example-qemu-host-alias としてセットアップした接続である、192.0.2.1 リモートホスト上の仮想マシンがリスト表示されることを確認します。

    # virsh -c example-qemu-host-alias list
    
    root@192.0.2.1's password:
    
    Id   Name                       State
    ----------------------------------------
    1    example-remote-guest      running
    注記

    virsh の他に、-c (または --connect) オプションと、上記のリモートホストアクセス設定は、以下のユーティリティーで使用できます。

次のステップ

libvirt ユーティリティーを、1 台のリモートホストで排他的に使用する場合は、libvirt ベースのユーティリティーのデフォルトターゲットとして特定の接続を設定することもできます。ただし、ローカルホストまたは別のリモートホストでも仮想マシンを管理する場合、この方法は推奨されません。

  • /etc/libvirt/libvirt.conf ファイルを編集して、uri_default パラメーターの値を、デフォルトの libvirt ターゲットとして example-qemu-host-alias に設定できます。

    # These can be used in cases when no URI is supplied by the application
    # (@uri_default also prevents probing of the hypervisor driver).
    #
    uri_default = "example-qemu-host-alias"

    これにより、指定したリモートホストで、libvirt ベースのコマンドがすべて自動的に実行されます。

    $ virsh list
    root@192.0.2.1's password:
    
    Id   Name              State
    ---------------------------------
    1   example-remote-guest      running
  • リモートホストに接続する場合、リモートシステムへの root パスワードの入力を回避できます。そのためには、以下の方法を 1 つ以上行います。

  • -c (または --connect) オプションを使用すると、リモートホストで virt-installvirt-viewervirsh、および virt-manager コマンドを実行できます。

2.5. 仮想マシンのシャットダウン

RHEL 8 でホストされる実行中の仮想マシンをシャットダウンする場合は、コマンドラインインターフェイス または Web コンソールの GUI を使用します。

2.5.1. コマンドラインインターフェイスでの仮想マシンのシャットダウン

応答している仮想マシンをシャットダウンするには、以下のいずれかを行います。

  • ゲストに接続している 場合に、ゲスト OS に適したシャットダウンコマンドを使用
  • ホストで virsh shutdown コマンドを使用

    • 仮想マシンがローカルホストにある場合は、以下のコマンドを実行します。

      # virsh shutdown demo-guest1
      Domain 'demo-guest1' is being shutdown
    • 仮想マシンがリモートホスト (この例では 192.0.2.1) にある場合は、以下のコマンドを実行します。

      # virsh -c qemu+ssh://root@192.0.2.1/system shutdown demo-guest1
      
      root@192.0.2.1's password:
      Domain 'demo-guest1' is being shutdown

応答しない場合など、仮想マシンを強制的にシャットダウンする場合は、そのホストで virsh destroy コマンドを実行します。

# virsh destroy demo-guest1
Domain 'demo-guest1' destroyed
注記

virsh destroy コマンドは、仮想マシンの設定またはディスクイメージを削除するわけではありません。物理マシンから電源コードを抜くのと同様に、仮想マシンの実行中の仮想マシンインスタンスを終了するだけになります。したがって、まれに、virsh destroy により、仮想マシンのファイルシステムが破損することがあるため、その他のシャットダウン方法がすべて失敗した場合に限り、このコマンドを使用することが推奨されます。

2.5.2. Web コンソールを使用した仮想マシンのシャットダウンおよび再起動

RHEL 8 Web コンソールを使用して、実行中の仮想マシンを シャットダウン または 再起動 できます。仮想マシンが応答しない場合は、マスク不可割り込みを送信できます。

2.5.2.1. Web コンソールで仮想マシンのシャットダウン

仮想マシンが 稼働 状態であれば、RHEL 9 Web コンソールを使用してシャットダウンできます。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、シャットダウンする仮想マシンがある行を見つけます。
  2. 行の右側で、Shut Down をクリックします。

    仮想マシンがシャットダウンします。

トラブルシューティング

  • 仮想マシンがシャットダウンしない場合には、シャットダウン ボタンの横にある をクリックして、シャットダウンの強制 を選択します。
  • 応答しない仮想マシンをシャットダウンするには、マスク不可割り込みを送信 することもできます。

関連情報

2.5.2.2. Web コンソールを使用した仮想マシンの再起動

仮想マシンが 稼働 状態であれば、RHEL 9 Web コンソールを使用して再起動できます。

前提条件

手順

  1. Virtual Machines インターフェイスで、再起動する仮想マシンの行を見つけます。
  2. 行の右側にあるメニューボタン をクリックします。

    アクションのドロップダウンメニューが表示されます。

  3. ドロップダウンメニューで、Reboot をクリックします。

    仮想マシンがシャットダウンして再起動します。

トラブルシューティング

  • 仮想マシンが再起動しない場合には Reboot ボタンのとなりにある をクリックして Force Reboot を選択します。
  • 応答しない仮想マシンをシャットダウンするには、マスク不可割り込みを送信 することもできます。

関連情報

2.5.2.3. Web コンソールでマスク不可割り込みを仮想マシンに送信する手順

NMI (マスク不可割り込み) を送信すると、応答しない稼働中の仮想マシンが応答またはシャットダウンする可能性があります。たとえば、Ctrl+Alt+Del の NMI を、標準入力に応答しない仮想マシンに送信できます。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、NMI を送信する仮想マシンの行を見つけます。
  2. 行の右側にあるメニューボタン をクリックします。

    アクションのドロップダウンメニューが表示されます。

  3. ドロップダウンメニューで、Send non-maskable interrupt をクリックします。

    NMI が仮想マシンに送信されます。

関連情報

2.6. 仮想マシンの削除

RHEL 8 で仮想マシンを削除する場合は、コマンドラインインターフェイス または Web コンソールの GUI を使用します。

2.6.1. コマンドラインインターフェイスを使用した仮想マシンの作成

仮想マシンを削除するには、コマンドラインでその XML 設定および関連するストレージファイルをホストから削除します。以下の手順を実施します。

前提条件

  • 仮想マシンからの重要なデータのバックアップを作成する。
  • 仮想マシンをシャットダウンしている。
  • その他の仮想マシンが、同じ関連ストレージを使用しないようにしている。

手順

  • virsh undefine ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、guest1 仮想マシン、関連のあるストレージボリューム、および不揮発性 RAM が存在する場合はそれを削除します。

    # virsh undefine guest1 --remove-all-storage --nvram
    Domain 'guest1' has been undefined
    Volume 'vda'(/home/images/guest1.qcow2) removed.

関連情報

  • virsh undefine --help コマンド
  • virsh の man ページ

2.6.2. Web コンソールを使用した仮想マシンの名前の変更

RHEL 8 Web コンソールが接続しているホストから、仮想マシンおよび関連ストレージファイルを削除する場合は、以下の手順を行います。

前提条件

  • Web コンソールの仮想マシンプラグインが システムにインストールされている
  • 仮想マシンからの重要なデータのバックアップを作成する。
  • 他の仮想マシンが同じ関連ストレージを使用していないことを確認します。
  • オプション: 仮想マシンをシャットダウンします。

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、削除する仮想マシンのメニューボタン をクリックします。

    仮想マシン操作を制御するためのドロップダウンメニューが表示されます。

  2. Delete をクリックします。

    確認ダイアログが表示されます。

    仮想マシンの削除の確認ダイアログボックスを表示しているイメージ
  3. (必要に応じて) 仮想マシンに関連するすべてまたは一部のストレージファイルを削除する場合は、削除するストレージファイルの横にあるチェックボックスを選択します。
  4. Delete をクリックします。

    仮想マシンと、選択したストレージファイルが削除されます。

第3章 IBM POWER での仮想化の使用

IBM POWER8 または POWER9 のハードウェアで RHEL 8 を使用する場合は、KVM 仮想化を使用できます。ただし、システムで KVM ハイパーバイザーを有効にする 場合は、AMD64 および Intel64 のアーキテクチャーの仮想化に、追加の手順が必要になります。特定の RHEL 8 の仮想化機能には、IBM POWER の 機能が異なったり、制限されている ものもあります。

以下のセクションの情報とは別に、IBM POWER で仮想化を使用すると、AMD64 および Intel 64 と同じように機能します。したがって、IBM POWER で仮想化を使用する方法は、その他の RHEL 8 仮想化ドキュメントを参照してください。

3.1. IBM POWER での仮想化の有効化

KVM ハイパーバイザーを設定し、RHEL 8 を実行している IBM POWER8 または IBM POWER9 のシステムで仮想マシンを作成するには、以下の手順に従います。

前提条件

  • ホストマシンに RHEL 8 がインストールされ、登録されている。
  • 最低でも、以下のシステムリソースが利用できる。

    • ホスト用に 6 GB と、各仮想マシン用に 6 GB の空きディスク容量。
    • ホスト用に 2 GB と、各仮想マシン用に 2 GB の RAM。
    • ホスト上の 4 つの CPU通常、仮想マシンは、割り当てられた 1 つの vCPU で実行できますが、Red Hat は、高負荷時に仮想マシンが応答しなくならないように、仮想マシンごとに 2 つ以上の vCPU を割り当てることを推奨します。
  • CPU マシンタイプは、IBM POWER 仮想化に対応している必要があります。

    これを確認するには、/proc/cpuinfo ファイルでプラットフォーム情報を探してください。

    # grep ^platform /proc/cpuinfo/
    platform        : PowerNV

    このコマンドの出力に PowerNV エントリーが含まれる場合は、マシンタイプ PowerNV を実行しており、IBM POWER で仮想化を使用できます。

手順

  1. KVM-HV カーネルモジュールを読み込みます。

    # modprobe kvm_hv
  2. KVM カーネルモジュールが読み込まれていることを確認します。

    # lsmod | grep kvm

    KVM が正常に読み込まれると、このコマンドの出力には kvm_hv が含まれます。

  3. 仮想化モジュールにパッケージをインストールします。

    # yum module install virt
  4. virt-install パッケージをインストールします。

    # yum install virt-install
  5. libvirtd サービスを開始します。

    # systemctl start libvirtd

検証

  1. システムが仮想ホストとして準備されていることを確認します。

    # virt-host-validate
    [...]
    QEMU: Checking if device /dev/vhost-net exists                : PASS
    QEMU: Checking if device /dev/net/tun exists                  : PASS
    QEMU: Checking for cgroup 'memory' controller support         : PASS
    QEMU: Checking for cgroup 'memory' controller mount-point     : PASS
    [...]
    QEMU: Checking for cgroup 'blkio' controller support          : PASS
    QEMU: Checking for cgroup 'blkio' controller mount-point      : PASS
    QEMU: Checking if IOMMU is enabled by kernel                  : PASS
  2. virt-host-validate のすべての項目で PASS 値が返された場合は、システムに 仮想マシンを作成する 準備ができています。

    いずれかの項目で FAIL が返された場合は、表示される指示に従って問題を解決してください。

    いずれかの項目で WARN が返された場合は、表示される指示に従って仮想化機能を向上させることを検討してください。

トラブルシューティング

  • KVM 仮想化がホスト CPU でサポートされていない場合は、virt-host-validate は以下の出力を生成します。

    QEMU: Checking for hardware virtualization: FAIL (Only emulated CPUs are available, performance will be significantly limited)

    ただし、このようなホストシステムにある仮想マシンは、パフォーマンス上の問題が発生するのではなく、起動に失敗します。

    これを回避するには、仮想マシンの XML 設定の <domain type> 値を qemu に変更します。ただし、Red Hat は qemu ドメインタイプを使用する仮想マシンに対応していないため、実稼働環境ではこれを設定しないことを強く推奨している点に注意してください。

3.2. IBM POWER の仮想化と AMD64 および Intel 64 の相違点

IBM POWER システムにおける RHEL 8 の KVM 仮想化は、AMD64 および Intel 64 の KVM とは異なります。特に以下のの点が異なります。

メモリー要件
IBM POWER 上の仮想マシンは、より多くのメモリーを消費します。したがって、IBM POWER ホストの仮想マシンに推奨される最小メモリー割り当ては 2GB RAM です。
ディスプレイプロトコル

IBM POWER システムでは、SPICE プロトコルに対応していません。仮想マシンのグラフィック出力を表示するには、VNC プロトコルを使用します。さらに、次の仮想グラフィックスカードデバイスにのみ対応しています。

  • vga - -vga std モードでのみ対応され、-vga cirrus モードでは対応されません。
  • virtio-vga
  • virtio-gpu
SMBIOS
SMBIOS 設定は利用できません。
メモリー割り当てエラー

Power8 の仮想マシン (互換モードの仮想マシンを含む) は、以下のようなエラーで失敗する場合があります。

qemu-kvm: Failed to allocate KVM HPT of order 33 (try smaller maxmem?): Cannot allocate memory

これは、RHEL 7.3 以前をゲスト OS として使用する仮想マシンで発生する可能性が非常に高くなります。

この問題を解決するには、ホストのカーネルコマンドラインに kvm_cma_resv_ratio=memory を追加して、ゲストのハッシュページテーブル (HPT) に使用できる CMA メモリープールを増やします。memory は、CMA プールに予約する必要があるホストメモリーの割合 (デフォルトは 5) です。

Huge page

THP (Transparent Huge page) は、IBM POWER8 の仮想マシンのパフォーマンスには大きな利点をもたらすことはありません。ただし、IBM POWER9 仮想マシンでは、THP から期待どおりの利点を得ることができます。

また、IBM POWER8 システムの静的 Huge Page のサイズは、16 MiB および 16 GiB です。これは、AMD64、Intel 64、および IBM POWER9 の 2 MiB および 1 GiB とは対照的です。したがって、静的 Huge Page を設定した仮想マシンを、IBM POWER8 ホストから IBM POWER9 ホストに移行するには、最初に仮想マシンに 1GiB の Huge Page を設定する必要があります。

kvm-clock
kvm-clock サービスは、IBM POWER9 の仮想マシンで時間管理用に設定する必要はありません。
pvpanic

IBM POWER9 システムは、pvpanic デバイスに対応していません。ただし、このアーキテクチャーでは、同等の機能がデフォルトで利用でき、アクティベートされます。仮想マシンで有効にするには、preserve 値で XML 設定要素 <on_crash> を使用します。

また、<devices> セクションから <panic> 要素を必ず削除してください。その要素があると、仮想マシンが IBM POWER システムで起動できなくなる可能性があるためです。

シングルスレッドホスト
IBM POWER8 システムでは、仮想マシンに対応するために、ホストマシンを シングルスレッドモード で稼働する必要があります。これは、qemu-kvm パッケージがインストールされていると、自動的に設定されます。ただし、シングルスレッドホストで実行している仮想マシンは、複数のスレッドを使用できます。
周辺機器

AMD64 および Intel 64 のシステムで対応している周辺デバイスの多くが、IBM POWER システムでは対応されていないか、別のデバイスが代替として対応されています。

  • ioh3420 および xio3130-downstream を含む PCI-E 階層に使用されるデバイスには対応していません。この機能は、spapr-pci-host-bridge デバイスが提供する複数の独立した PCI root ブリッジに置き換えられます。
  • UHCI コントローラーおよび EHCI PCI コントローラーには対応していません。代わりに OHCI コントローラーおよび xHCI コントローラーを使用してください。
  • 仮想 IDE CD-ROM (ide-cd) を含む IDE デバイスと、仮想 IDE ディスク (ide-hd) には対応していません。代わりに virtio-scsi デバイスおよび virtio-blk デバイスを使用してください。
  • エミュレートされた PCI NIC (rtl8139) には対応していません。代わりに virtio-net デバイスを使用してください。
  • intel-hdahda-output、および AC97 を含むサウンドデバイスは対応していません。
  • usb-redirusb-tablet などの USB リダイレクトデバイスには対応していません。
v2v および p2v
virt-v2v ユーティリティーおよび virt-p2v ユーティリティーは、AMD64 および Intel 64 のアーキテクチャーでのみ対応しており、IBM POWER では提供されません。

関連情報

第4章 IBM Z での仮想化の使用

IBM Z ハードウェアで RHEL 8 を使用する場合は、KVM 仮想化を使用できます。ただし、システムで KVM ハイパーバイザーを有効にする 場合は、AMD64 および Intel 64 のアーキテクチャーの仮想化に、追加の手順が必要です。RHEL 8 の仮想化機能には、IBM Z の 機能が異なったり、制限されている ものもあります。

以下のセクションの情報とは別に、IBM Z で仮想化を使用すると、AMD64 および Intel 64 と同じように機能します。したがって、IBM Z で仮想化を使用する方法は、その他の RHEL 8 仮想化ドキュメントを参照してください。

注記

z/VM OS における KVM の実行はサポートされていません。

4.1. IBM Z での仮想化の有効化

KVM ハイパーバイザーを設定し、RHEL 8 を実行している IBM Z システムで仮想マシンを作成するには、以下の手順に従います。

前提条件

  • ホストマシンに RHEL 8.6 以降がインストールされ、登録されている。

    重要

    すでに RHEL 8.5 以前を使用して IBM Z マシンで仮想化を有効化している場合は、代わりに仮想化モジュールを再設定し、システムを更新する必要があります。手順は、How virtualization on IBM Z differs from AMD64 and Intel 64 を参照してください。

  • 最低でも、以下のシステムリソースが利用できる。

    • ホスト用に 6 GB と、各仮想マシン用に 6 GB の空きディスク容量。
    • ホスト用に 2 GB と、各仮想マシン用に 2 GB の RAM。
    • ホスト上の 4 つの CPU通常、仮想マシンは、割り当てられた 1 つの vCPU で実行できますが、Red Hat は、高負荷時に仮想マシンが応答しなくならないように、仮想マシンごとに 2 つ以上の vCPU を割り当てることを推奨します。
  • IBM Z ホストシステムでは、z13 以降の CPU を使用している。
  • RHEL 8 が論理パーティション (LPAR) にインストールされている。また、LPAR が start-interpretive execution (SIE) 仮想機能に対応している。

    これを確認するには、/proc/cpuinfo ファイルで sie を検索します。

    # grep sie /proc/cpuinfo
    features        : esan3 zarch stfle msa ldisp eimm dfp edat etf3eh highgprs te sie

手順

  1. KVM カーネルモジュールを読み込みます。

    # modprobe kvm
  2. KVM カーネルモジュールが読み込まれていることを確認します。

    # lsmod | grep kvm

    KVM が正常に読み込まれると、このコマンドの出力には kvm が含まれます。

  3. virt:rhel/common モジュールにパッケージをインストールします。

    # yum module install virt:rhel/common
  4. 仮想化サービスを起動します。

    # for drv in qemu network nodedev nwfilter secret storage interface; do systemctl start virt${drv}d{,-ro,-admin}.socket; done

検証

  1. システムが仮想ホストとして準備されていることを確認します。

    # virt-host-validate
    [...]
    QEMU: Checking if device /dev/kvm is accessible             : PASS
    QEMU: Checking if device /dev/vhost-net exists              : PASS
    QEMU: Checking if device /dev/net/tun exists                : PASS
    QEMU: Checking for cgroup 'memory' controller support       : PASS
    QEMU: Checking for cgroup 'memory' controller mount-point   : PASS
    [...]
  2. virt-host-validate のすべての項目で PASS 値が返された場合は、システムに 仮想マシンを作成する 準備ができています。

    いずれかの項目で FAIL が返された場合は、表示される指示に従って問題を解決してください。

    いずれかの項目で WARN が返された場合は、表示される指示に従って仮想化機能を向上させることを検討してください。

トラブルシューティング

  • KVM 仮想化がホスト CPU でサポートされていない場合は、virt-host-validate は以下の出力を生成します。

    QEMU: Checking for hardware virtualization: FAIL (Only emulated CPUs are available, performance will be significantly limited)

    ただし、このようなホストシステムにある仮想マシンは、パフォーマンス上の問題が発生するのではなく、起動に失敗します。

    これを回避するには、仮想マシンの XML 設定の <domain type> 値を qemu に変更します。ただし、Red Hat は qemu ドメインタイプを使用する仮想マシンに対応していないため、実稼働環境ではこれを設定しないことを強く推奨している点に注意してください。

4.2. IBM Z の仮想化の RHEL 8.5 から RHEL 8.6 以降への更新

RHEL 8.6 より前の IBM Z ハードウェアに RHEL 8 をインストールしている場合は、RHEL 8 のベース RPM ストリームとは別に、AV ストリームから仮想化 RPM を取得する必要があります。RHEL 8.6 以降、以前は AV ストリームからのみ利用可能だった仮想化 RPM がベース RHEL ストリームで利用可能になりました。さらに、AV ストリームは、RHEL 8 の将来のマイナーリリースで廃止される予定です。そのため、AV ストリームの使用は推奨されなくなりました。

以下の手順に従うと、AV ストリームを無効にし、RHEL 8.6 以降のバージョンで利用可能な仮想化 RPM へのアクセスが有効になります。

前提条件

  • virt:av モジュールがインストールされている IBM Z で RHEL 8.5 を使用している。これを確認するには、以下を実行します。

    # hostnamectl | grep "Operating System"
    Operating System: Red Hat Enterprise Linux 8.5 (Ootpa)
    # yum module list --installed
    [...]
    Advanced Virtualization for RHEL 8 IBM Z Systems (RPMs)
    Name                Stream                  Profiles                  Summary
    virt                av [e]                common [i]                Virtualization module

手順

  1. virt:av モジュールを無効にします。

    # yum disable virt:av
  2. システムにすでに含まれている既存の仮想化パッケージおよびモジュールを削除します。

    # yum module reset virt -y
  3. パッケージを最新の RHEL バージョンにアップグレードします。

    # yum update

    これにより、システムで virt:rhel モジュールも自動的に有効になります。

検証

  • システムの virt モジュールが rhel ストリームによって提供されていることを確認します。

    # yum module info virt
    
    Name             : virt
    Stream           : rhel [d][e][a]
    Version          : 8050020211203195115
    [...]

4.3. IBM Z の仮想化と、AMD64 および Intel 64 の仮想化の相違点

IBM Z システムの RHEL 8 の KVM 仮想化は、以下の点で AMD64 システムおよび Intel 64 システムの KVM とは異なります。

PCI デバイスおよび USB デバイス

IBM Z は、仮想 PCI デバイスおよび USB デバイスに対応していません。したがって、virtio-*-pci デバイスに対応していないため、代わりに virtio-*-ccw デバイスを使用してください。たとえば、virtio-net-pci の代わりに virtio-net-ccw を使用します。

PCI パススルーとも呼ばれる PCI デバイスの直接アタッチに対応しています。

サポートされているゲスト OS
Red Hat が IBM Z でホストする仮想マシンをサポートするのは、仮想マシンがゲストオペレーティングシステムとして RHEL 7、8、または 9 を使用している場合のみです。
デバイスの起動順序

IBM Z は、XML 設定要素 <boot dev='device'> に対応していません。デバイスの起動順序を定義するには、XML の <devices> セクションで、 <boot order='number'> 要素を使用します。

さらに、<boot> 要素でアーキテクチャー固有の loadparm 属性を使用して、必要なブートエントリーを選択できます。たとえば、次の例では、ブートシーケンスでディスクを最初に使用する必要があり、そのディスクで Linux ディストリビューションが利用可能な場合は、2 番目のブートエントリーが選択されます。

<disk type='file' device='disk'>
  <driver name='qemu' type='qcow2'/>
  <source file='/path/to/qcow2'/>
  <target dev='vda' bus='virtio'/>
  <address type='ccw' cssid='0xfe' ssid='0x0' devno='0x0000'/>
  <boot order='1' loadparm='2'/>
</disk>
注記

また、AMD64 および Intel 64 のホストでは、ブート手順管理に <boot order='number'> を使用することが推奨されます。

メモリーのホットプラグ
IBM Z では、実行中の仮想マシンにメモリーを追加することはできません。実行中の仮想マシン (メモリーの ホットアンプラグ) からメモリーを削除することは、IBM Z や、AMD64 および Intel 64 でもできないことに注意してください。
NUMA トポロジー
CPU の NUMA (Non-Uniform Memory Access) トポロジーは、IBM Z 上の libvirt では対応していません。したがって、このシステムでは、NUMA を使用して vCPU パフォーマンスを調整することはできません。
vfio-ap
IBM Z ホストの仮想マシンは、vfio-ap 暗号デバイスパススルーを使用しますが、その他のアーキテクチャーでは対応していません。
vfio-ccw
IBM Z ホスト上の仮想マシンは、他のアーキテクチャーではサポートされていない vfio-ccw ディスクデバイスパススルーを使用できます。
SMBIOS
IBM Z では、SMBIOS 設定は利用できません。
Watchdog デバイス

IBM Z ホストの仮想マシンでウォッチドッグデバイスを使用する場合は、diag288 モデルを使用します。以下に例を示します。

<devices>
  <watchdog model='diag288' action='poweroff'/>
</devices>
kvm-clock
kvm-clock サービスは、AMD64 システムおよび Intel 64 システムに固有のものであり、IBM Z の仮想マシンの時間管理用に設定する必要はありません。
v2v および p2v
virt-v2v ユーティリティーおよび virt-p2v ユーティリティーは、AMD64 および Intel 64 のアーキテクチャーでのみ対応しており、IBM Z では提供されません。
ネストされた仮想化
ネストされた仮想マシンを作成するには、AMD64 および Intel 64 とは別の設定を IBM Z で作成する必要があります。詳細は、Creating nested virtual machines を参照してください。
以前のリリースでグラフィカル出力なし
ホストで RHEL 8.3 以前のマイナーバージョンを使用している場合は、VNC プロトコルを使用して仮想マシンに接続すると、仮想マシンのグラフィカル出力を表示できません。これは、gnome-desktop ユーティリティーが、IBM Z の以前のバージョンの RHEL ではサポートされていなかったためです。また、IBM Z では、SPICE ディスプレイプロトコルは機能しません。
移行

後のホストモデル (たとえば IBM z14 から z15) に正常に移行したり、ハイパーバイザーを更新したりするには、host-model の CPU モードを使用します。host-passthrough および maximum CPU モードは、一般的に移行に対して安全ではないため、推奨しません。

custom CPU モードで明示的な CPU モデルを指定する場合は、次のガイドラインに従ってください。

  • -base で終わる CPU モデルは使用しない。
  • qemumax、または host CPU モデルは使用しない。

古いホストモデルへの移行 (z15 から z14 など)、または以前のバージョンの QEMU、KVM、RHEL カーネルへの移行の場合、最後に -base が付いていない使用可能な最も古いホストモデルの CPU タイプを使用します。

PXE インストールおよび起動

PXE を使用して IBM Z で 仮想マシンを実行する場合は、pxelinux.cfg/default ファイルに特定の設定が必要です。以下に例を示します。

# pxelinux
default linux
label linux
kernel kernel.img
initrd initrd.img
append ip=dhcp inst.repo=example.com/redhat/BaseOS/s390x/os/
安全な実行
仮想マシンの XML 設定で <launchSecurity type="s390-pv"/> を定義することにより、準備されたセキュアなゲストイメージで仮想マシンを起動できます。これにより、仮想マシンのメモリーが暗号化され、ハイパーバイザーによる不要なアクセスから保護されます。

仮想マシンを安全な実行モードで実行している場合、次の機能はサポートされないことに注意してください。

  • vfio を使用したデバイスパススルー
  • virsh domstats および virsh memstat を使用したメモリー情報の取得
  • memballoon および virtio-rng 仮想デバイス
  • huge ページを使用したメモリーのバックアップ
  • ライブマイグレーションおよびライブ以外の移行
  • 仮想マシンの保存および復元
  • メモリースナップショットを含む仮想マシンスナップショット (--memspec オプションを使用)
  • 完全なメモリーダンプ。代わりに、virsh dump コマンドに --memory-only オプションを指定してください。
  • 248 以上の vCPU。セキュアゲストの vCPU 制限は 247 です。
  • ネストされた仮想化

4.4. 次のステップ

  • IBM Z システム上に仮想マシンを設定する場合は、Spectre 脆弱性からゲスト OS を保護することを推奨します。そうするには、virsh edit コマンドを使用して、次のいずれかの方法で、仮想マシンの XML 設定を変更し、その CPU を設定します。

    • ホストの CPU モデルを使用します。

      <cpu mode='host-model' check='partial'>
        <model fallback='allow'/>
      </cpu>

      これにより、ホストが ppa15 機能および bpb 機能に対応している場合は、ゲストでも利用できます。

    • 特定のホストモデルを使用している場合は、ppa15 機能および pbp 機能を追加します。次の例では、zEC12 CPU モデルを使用します。

      <cpu mode='custom' match='exact' check='partial'>
          <model fallback='allow'>zEC12</model>
          <feature policy='force' name='ppa15'/>
          <feature policy='force' name='bpb'/>
      </cpu>

      z12 CPU を使用するホストマシンの CPU モデル z114 および z196ppa15 を使用している場合は、最新のマイクロコードレベル (バンドル 95 以降) を使用する必要があります。

第5章 Web コンソールでの仮想マシンの管理

RHEL 8 ホストのグラフィカルインターフェイスで仮想マシンを管理する場合は、RHEL 8 Web コンソールの Virtual Machines ペインを使用できます。

Web コンソールの仮想マシンタブを表示するイメージ

5.1. Web コンソールで仮想マシンの管理の概要

RHEL 8 Web コンソールは、Web ベースのシステム管理インターフェイスです。Web コンソールは、その機能の 1 つとして、ホストシステムで仮想マシンをグラフィカルに表示してその仮想マシンの作成、アクセス、および設定を可能にします。

Web コンソールを使用して RHEL 8 で仮想マシンを管理するには、最初に、仮想化用の Web コンソールプラグイン をインストールする必要があります。

次のステップ

5.2. 仮想マシンを管理するために Web コンソールを設定

Web コンソールの仮想マシン (VM) プラグインをインストールして、RHEL 8 Web コンソールを使用してホストで仮想マシンを管理できるようにしてある。

前提条件

  • Web コンソールがマシンにインストールされ、有効化さている。

    # systemctl status cockpit.socket
    cockpit.socket - Cockpit Web Service Socket
    Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/cockpit.socket
    [...]

    このコマンドが、Unit cockpit.socket could not be found を返す場合は、Web コンソールのインストールおよび有効化 のドキュメントに従って Web コンソール を有効にします。

手順

  • cockpit-machines プラグインをインストールします。

    # yum install cockpit-machines

検証

  1. ブラウザーに https://localhost:9090 のアドレスを入力するなどして、Web コンソールにアクセスします。
  2. ログインします。
  3. インストールに成功すると、仮想マシン が Web コンソールのサイドメニューに表示されます。

    Web コンソールの仮想マシンタブを表示するイメージ

5.3. Web コンソールを使用した仮想マシンの名前の変更

名前の競合を避けるために、またはユースケースに基づいて新しい一意の名前を割り当てるために、既存の仮想マシンの名前を変更することが必要な場合があります。RHEL Web コンソールを使用して仮想マシンの名前を変更できます。

前提条件

手順

  1. Virtual Machines インターフェイスで、名前を変更する仮想マシンのメニューボタン をクリックします。

    仮想マシン操作を制御するためのドロップダウンメニューが表示されます。

  2. Rename をクリックします。

    Rename a VM ダイアログが表示されます。

    仮想マシンの名前の変更ダイアログボックスを表示しているイメージ。
  3. New name フィールドに、仮想マシンの名前を入力します。
  4. Rename をクリックします。

検証

  • 新しい仮想マシン名が Virtual Machines インターフェイスに表示されていることを確認します。

5.4. Web コンソールで利用可能な仮想マシンの管理機能

RHEL 9 Web コンソールを使用すると、システム上の仮想マシンを管理する以下のアクションを実行できます。

表5.1 RHEL 8 Web コンソールで実行できる仮想マシン管理タスク

タスク詳細は以下参照

仮想マシンの作成およびゲストオペレーティングシステムでのインストール

Web コンソールを使用した仮想マシンの作成、およびゲストのオペレーティングシステムのインストール

仮想マシンの削除

Web コンソールを使用した仮想マシンの名前の変更

仮想マシンび起動、シャットダウンし、再起動

Starting virtual machines using the web console および Shutting down and restarting virtual machines using the web console を参照してください。

さまざまなコンソールを使用した仮想マシンへの接続および操作

Web コンソールを使用した仮想マシンとの相互作用

仮想マシンに関するさまざまな情報の表示

Web コンソールで仮想マシン情報の表示

仮想マシンに割り当てられたホストメモリーの調整

Web コンソールで仮想マシンのメモリーの追加と削除

仮想マシンのネットワーク接続管理

Web コンソールで仮想マシンのネットワークインターフェイスの管理

ホストでの利用可能な仮想マシンストレージ管理および仮想ディスクを仮想マシンへの割り当て

Web コンソールで仮想マシン用のストレージの管理

仮想マシンの仮想 CPU 設定

Web コンソールを使用した仮想 CPU の管理

仮想マシンのライブマイグレーション

Web コンソールを使用した仮想マシンのライブ移行

ホストデバイスの管理

Web コンソールを使用したホストデバイスの管理

仮想光学ドライブを管理する

仮想光学ドライブの管理

ウォッチドッグデバイスを接続する

Web コンソールを使用した仮想マシンへのウォッチドッグデバイスの接続

5.5. 仮想マシンマネージャーと Web コンソールでの仮想化機能の相違点

仮想マシンマネージャー (virt-manager) は、RHEL 8 で対応していますが、非推奨になっています。後続の主要なリリースでは、Web コンソールがその代替となる予定です。したがって、GUI で仮想化を管理する場合は、Web コンソールを使用することが推奨されます。

ただし、RHEL 8 では、virt-manager またはコマンドラインでのみ実行可能な仮想マシン管理タスクがあります。次の表は、virt-manager で使用でき、RHEL 8.0 Web コンソールでは使用できない機能を示しています。

この機能は、RHEL 8 の後続のマイナーバージョンで利用可能な場合は、Web コンソールのサポートの列に、最小バージョンの RHEL 8 が表示されます。

表5.2 RHEL 8.0 の Web コンソールを使用して実行できない仮想マシンの管理タスク

タスクWeb コンソールでのサポートが導入されました。CLI を使用した代替方法

ホストの起動時に起動する仮想マシンを設定

RHEL 8.1

virsh autostart

仮想マシンの一時停止

RHEL 8.1

virsh suspend

中断している仮想マシンの再開

RHEL 8.1

virsh resume

ファイルシステムディレクトリーストレージプールの作成

RHEL 8.1

virsh pool-define-as

NFS ストレージプールの作成

RHEL 8.1

virsh pool-define-as

物理ディスクデバイスのストレージプールの作成

RHEL 8.1

virsh pool-define-as

LVM ボリュームグループストレージプールの作成

RHEL 8.1

virsh pool-define-as

パーティションベースのストレージプールの作成

現在利用不可

virsh pool-define-as

GlusterFS ベースのストレージプールの作成

現在利用不可

virsh pool-define-as

SCSI デバイスを使用した vHBA ベースのストレージプールの作成

現在利用不可

virsh pool-define-as

マルチパスベースのストレージプールの作成

現在利用不可

virsh pool-define-as

RBD ベースのストレージプールの作成

現在利用不可

virsh pool-define-as

ストレージボリュームの新規作成

RHEL 8.1

virsh vol-create

新しい仮想ネットワークの追加

RHEL 8.1

virsh net-create または virsh net-define

仮想ネットワークの削除

RHEL 8.1

virsh net-undefine

ホストマシンのインターフェイスから仮想マシンへのブリッジを作成

現在利用不可

virsh iface-bridge

スナップショットの作成

現在利用不可

virsh snapshot-create-as

スナップショットへの復帰

現在利用不可

virsh snapshot-revert

スナップショットの削除

現在利用不可

virsh snapshot-delete

仮想マシンのクローン作成

RHEL 8.4

virt-clone

仮想マシンの別のホストマシンへの移行

RHEL 8.5

virsh migrate

ホストデバイスの仮想マシンへの割り当て

RHEL 8.5

virt-xml --add-device

仮想マシンからのホストデバイスの削除

RHEL 8.5

virt-xml --remove-device

第6章 仮想マシンに関する情報の表示

RHEL 8 での仮想化デプロイメントのあらゆる側面を調整またはトラブルシューティングする必要がある場合は、通常、仮想マシンの現在の状態および設定に関する情報を確認する必要があります。これには、the command-line interface または the web console を使用できます。仮想マシンの XML 設定 で情報を表示することもできます。

6.1. コマンドラインインターフェイスでの仮想マシン情報の表示

ホストおよびその設定で仮想マシンに関する情報を取得するには、以下のコマンドのいずれかまたは複数コマンドを使用します。

手順

  • ホストで仮想マシンのリストを取得するには、次のコマンドを実行します。

    # virsh list --all
    Id   Name              State
    ----------------------------------
    1    testguest1             running
    -    testguest2             shut off
    -    testguest3             shut off
    -    testguest4             shut off
  • 特定の仮想マシンに関する基本的な情報を取得するには、次のコマンドを実行します。

    # virsh dominfo testguest1
    Id:             1
    Name:           testguest1
    UUID:           a973666f-2f6e-415a-8949-75a7a98569e1
    OS Type:        hvm
    State:          running
    CPU(s):         2
    CPU time:       188.3s
    Max memory:     4194304 KiB
    Used memory:    4194304 KiB
    Persistent:     yes
    Autostart:      disable
    Managed save:   no
    Security model: selinux
    Security DOI:   0
    Security label: system_u:system_r:svirt_t:s0:c486,c538 (enforcing)
  • 特定の仮想マシンの XML 設定をすべて取得するには、次のコマンドを実行します。

    # virsh dumpxml testguest2
    
    <domain type='kvm' id='1'>
      <name>testguest2</name>
      <uuid>a973434f-2f6e-4ěša-8949-76a7a98569e1</uuid>
      <metadata>
    [...]
  • 仮想マシンのディスクおよびその他のブロックデバイスに関する情報は、次のコマンドを実行します。

    # virsh domblklist testguest3
     Target   Source
    ---------------------------------------------------------------
     vda      /var/lib/libvirt/images/testguest3.qcow2
     sda      -
     sdb      /home/username/Downloads/virt-p2v-1.36.10-1.el7.iso

    仮想マシンのストレージを管理する手順については、Managing storage for virtual machines を参照してください。

  • 仮想マシンのファイルシステムとそのマウントポイントに関する情報を取得するには、次のコマンドを実行します。

    # virsh domfsinfo testguest3
    Mountpoint   Name   Type   Target
    ------------------------------------
     /            dm-0   xfs
     /boot        vda1   xfs
  • 特定の仮想マシンの vCPU に関する詳細を取得するには、次のコマンドを実行します。

    # virsh vcpuinfo testguest4
    VCPU:           0
    CPU:            3
    State:          running
    CPU time:       103.1s
    CPU Affinity:   yyyy
    
    VCPU:           1
    CPU:            0
    State:          running
    CPU time:       88.6s
    CPU Affinity:   yyyy

    仮想マシンで vCPU を設定し、最適化するには、仮想マシンの CPU パフォーマンスの最適化 を参照してください。

  • ホスト上の仮想ネットワークインターフェイスのリストを表示するには、次のコマンドを実行します。

    # virsh net-list --all
     Name       State    Autostart   Persistent
    ---------------------------------------------
     default    active   yes         yes
     labnet     active   yes         yes

    特定のインターフェイスに関する情報は、次のコマンドを実行します。

    # virsh net-info default
    Name:           default
    UUID:           c699f9f6-9202-4ca8-91d0-6b8cb9024116
    Active:         yes
    Persistent:     yes
    Autostart:      yes
    Bridge:         virbr0

    ネットワークインターフェイス、仮想マシンネットワーク、およびこれらの設定手順の詳細は、仮想マシンのネットワーク接続の設定 を参照してください。

6.2. Web コンソールで仮想マシン情報の表示

RHEL 8 Web コンソールを使用して、Web コンソールセッションがアクセスできるすべての 仮想マシン および ストレージプール に関する情報を表示することができます。

Web コンソールセッションの接続先である 選択した仮想マシンに関する情報 を表示できます。これには、ディスク仮想ネットワークインターフェイス、および リソースの使用量 に関する情報が含まれます。

6.2.1. Web コンソールで仮想化の概要を表示

Web コンソールを使用して、仮想マシン、ストレージプール、およびネットワークに関する概要情報を含む仮想化の概要にアクセスできます。

前提条件

手順

  • Web コンソールのサイドメニューで、仮想マシン をクリックします。

    利用可能なストレージプール、利用可能なネットワーク、および Web コンソールが接続する仮想マシンに関する情報を含むダイアログボックスが表示されます。

    Web コンソールの仮想マシンタブを表示するイメージ

この情報には以下が含まれます。

  • ストレージプール - Web コンソールからアクセス可能なストレージプールの数とその状態です (アクティブまたは非アクティブ)。
  • ネットワーク - Web コンソールからアクセス可能なネットワークの数とその状態です (アクティブまたは非アクティブ)。
  • 名前 - 仮想マシンの名前
  • 接続 - libvirt 接続、システム、またはセッションの種類。
  • 状態 - 仮想マシンの状態

関連情報

  • Web コンソールで仮想マシン情報の表示

6.2.2. Web コンソールでストレージプール情報の表示

Web コンソールを使用して、システムで利用可能なストレージプールの詳細情報を表示できます。ストレージプールを使用すると、仮想マシンのディスクイメージを作成できます。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで ストレージプール をクリックします。

    Storage pools 画面が表示され、設定されているストレージプールの一覧が示されます。

    既存のストレージプールの情報を含む Web コンソールのストレージプールタブを表示するイメージ

    この情報には以下が含まれます。

    • 名前 - ストレージプールの名前
    • サイズ - 現在の割り当てとストレージプールの合計容量。
    • 接続 - ストレージプールのアクセスに使用される接続
    • 状態 - ストレージプールのステータス
  2. 情報を表示するストレージプールの横にある矢印をクリックします。

    行がデプロイメントされ、選択したストレージプールに関する詳細情報を含む概要ペインが表示されます。

    選択したストレージプールの詳細情報を表示するイメージ。

    この情報には以下が含まれます。

    • ターゲットパス - dir または netfs などのディレクトリーによってサポートされるストレージプールの種類のソース。
    • 永続的 - ストレージプールの設定が永続的であるかどうかを示します。
    • 自動起動 - システムの起動時にストレージプールが自動的に起動するかどうかを示します。
    • 種類 - ストレージプールの種類。
  3. ストレージプールに関連付けられているストレージボリュームのリストを表示する場合は、ストレージボリューム をクリックします。

    ストレージボリュームペインが表示され、設定したストレージボリュームのリストが表示されます。

    選択したストレージプールに関連付けられているストレージボリュームのリストを表示するイメージ。

    この情報には以下が含まれます。

    • 名前 - ストレージボリュームの名前。
    • 使用者 - 現在ストレージボリュームを使用している仮想マシン。
    • サイズ - ボリュームのサイズ。

関連情報

  • Web コンソールで仮想マシン情報の表示

6.2.3. Web コンソールで仮想マシン基本情報の表示

Web コンソールを使用して、選択した仮想マシンに関する基本情報 (割り当てられたリソース、ハイパーバイザーの詳細など) を表示できます。

前提条件

手順

  1. Web コンソールのサイドメニューで、仮想マシン をクリックします。
  2. 情報を表示する仮想マシンをクリックします。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

    選択した仮想マシンのインターフェイスを表示するイメージ。

    概要セクションには、次の一般的な仮想マシンの詳細が記載されています。

    • 状態 - 仮想マシンの状態 (実行中またはシャットオフ)。
    • メモリー - 仮想マシンに割り当てるメモリー容量
    • vCPU - 仮想マシンに設定された仮想 CPU の数
    • CPU タイプ - 仮想マシンに設定された仮想 CPU のアーキテクチャー
    • ブート順序 - 仮想マシンに設定されたブート順序
    • 自動起動 - 仮想マシンで自動起動が有効になっているかどうか

    この情報には、以下のハイパーバイザーの詳細も含まれます。

    • エミュレートされたマシン - 仮想マシンによりエミュレートされたマシンタイプ
    • ファームウェア - 仮想マシンのファームウェア。

関連情報

6.2.4. Web コンソールで仮想マシンのリソース使用状況の表示

Web コンソールを使用して、選択した仮想マシンのメモリーと仮想 CPU 使用率を表示できます。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、情報を表示する仮想マシンを選択します。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

  2. 使用方法 までスクロールします。

    使用率セクションには、仮想マシンのメモリーおよび仮想 CPU 使用率に関する情報が表示されます。

    選択した仮想マシンのメモリーと CPU 使用率を表示するイメージ

関連情報

  • Web コンソールで仮想マシン情報の表示

6.2.5. Web コンソールで仮想マシンのディスク情報の表示

Web コンソールを使用して、選択した仮想マシンに割り当てられたディスクの詳細情報を表示できます。

前提条件

手順

  1. 情報を表示する仮想マシンをクリックします。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

  2. ディスク までスクロールします。

    ディスクセクションには、仮想マシンに割り当てられたディスクに関する情報と、ディスクの 追加削除、または 編集 のオプションが表示されます。

    選択した仮想マシンのディスク使用率を表示するイメージ

この情報には以下が含まれます。

  • デバイス - ディスクのデバイスの種類。
  • 使用済み - 現在割り当てられているディスク容量。
  • 容量 - ストレージボリュームの最大サイズ。
  • バス - エミュレートされるディスクデバイスの種類。
  • アクセス - ディスクが書き込み可能 かどうか、読み取り専用 であるか。raw ディスクの場合は、書き込み可能および共有 へのアクセスを設定することもできます。
  • ソース - ディスクデバイスまたはファイル

関連情報

  • Web コンソールで仮想マシン情報の表示

6.2.6. Web コンソールで仮想ネットワークインターフェイス情報の表示および編集

RHEL 8 Web コンソールを使用して、選択した仮想マシン (VM) で仮想ネットワークインターフェイスを表示および変更することができます。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、情報を表示する仮想マシンを選択します。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

  2. ネットワークインターフェイス までスクロールします。

    ネットワークインターフェイスセクションには、仮想マシンに設定された仮想ネットワークインターフェイスに関する情報と、ネットワークインターフェイスの追加削除編集、またはアンプラグ のオプションが表示されます。

    選択した仮想マシンのネットワークインターフェイスの詳細を表示するイメージ。

    この情報には以下が含まれます。

    • 種類 - 仮想マシンのネットワークインターフェイスの種類。タイプには、仮想ネットワーク、LAN へのブリッジ、および直接割り当てが含まれます。

      注記

      RHEL 8 以降では、汎用イーサネット接続はサポートされていません。

    • モデルタイプ - 仮想ネットワークインターフェイスのモデル。
    • MAC アドレス - 仮想ネットワークインターフェイスの MAC アドレス。
    • IP アドレス - 仮想ネットワークインターフェイスの IP アドレス。
    • ソース - ネットワークインターフェイスのソース。これはネットワークの種類によって異なります。
    • 状態 - 仮想ネットワークインターフェイスの状態。
  3. 仮想ネットワークインターフェイスの設定を編集するには、編集 をクリックします。仮想ネットワークインターフェイスの設定ダイアログが開きます。

    選択したネットワークインターフェイスで編集可能なさまざまなオプションを表示するイメージ。
  4. インターフェイスの種類、ソース、モデル、または MAC アドレスを変更します。
  5. Save をクリックします。ネットワークインターフェイスが変更しました。

    注記

    仮想ネットワークインターフェイス設定の変更は、仮想マシンを再起動しないと有効になりません。

    また、MAC アドレスは、仮想マシンがシャットダウンしている場合にのみ変更できます。

関連情報

  • Web コンソールで仮想マシン情報の表示

6.3. 仮想マシンの XML 設定例

仮想マシンの XML 設定 (ドメイン XML とも呼ばれる) は、仮想マシンの設定およびコンポーネントを決定します。以下の表は、仮想マシンの XML 設定例の各セクションと、コンテンツについて説明しています。

仮想マシンの XML 設定を取得するには、virsh dumpxml コマンドの後に仮想マシンの名前を指定します。

# virsh dumpxml testguest1

表6.1 XML 設定のサンプル

ドメイン XML セクション説明
<domain type='kvm'>
 <name>Testguest1</name>
 <uuid>ec6fbaa1-3eb4-49da-bf61-bb02fbec4967</uuid>
 <memory unit='KiB'>1048576</memory>
 <currentMemory unit='KiB'>1048576</currentMemory>

これは、1024 MiB のメモリーが割り当てられている KVM 仮想マシン Testguest1 です。

 <vcpu placement='static'>1</vcpu>

仮想マシンには、仮想 CPU (vCPU) が 1 つ割り当てられます。

vCPU の設定に関する詳細は、仮想マシンの CPU パフォーマンスの最適化 を参照してください。

 <os>
  <type arch='x86_64' machine='pc-q35-4.1'>hvm</type>
  <boot dev='hd'/>
 </os>

マシンアーキテクチャーは AMD64 および Intel 64 のアーキテクチャーに設定され、Intel Q35 マシン種別を使用して機能の互換性を決定します。OS は、ハードディスクドライブから起動するように設定されています。

OS がインストールされた仮想マシンの作成については、Web コンソールを使用した仮想マシンの作成、およびゲストのオペレーティングシステムのインストール を参照してください。

 <features>
  <acpi/>
  <apic/>
 </features>

acpi および apic ハイパーバイザー機能が無効になっています。

 <cpu mode='host-model' check='partial'/>

機能 XML (virsh 機能の一部として提供) からのホスト CPU 定義は、仮想マシンの XML 設定に自動的にコピーされます。したがって、仮想マシンの起動時に、libvirt はホストの CPU と似た CPU モデルを選択し、さらに機能を追加してホストモデルに可能な限り近づけます。

 <clock offset='utc'>
  <timer name='rtc' tickpolicy='catchup'/>
  <timer name='pit' tickpolicy='delay'/>
  <timer name='hpet' present='no'/>
 </clock>

仮想マシンの仮想ハードウェアクロックは UTC タイムゾーンを使用します。また、QEMU ハイパーバイザーと同期するために、異なるタイマーが 3 つ設定されます。

 <on_poweroff>destroy</on_poweroff>
 <on_reboot>restart</on_reboot>
 <on_crash>destroy</on_crash>

仮想マシンの電源が切れた場合や、仮想マシンの OS が突然終了すると、libvirt が仮想マシンを終了し、割り当てられているリソースをすべて解放します。仮想マシンの再起動時に、libvirt は同じ設定で仮想マシンを起動します。

 <pm>
  <suspend-to-mem enabled='no'/>
  <suspend-to-disk enabled='no'/>
 </pm>

この仮想マシンでは、S3 および S4 ACPI のスリープ状態が無効になっています。

 <devices>
  <emulator>/usr/bin/qemu-kvm</emulator>
  <disk type='file' device='disk'>
   <driver name='qemu' type='qcow2'/>
   <source file='/var/lib/libvirt/images/Testguest.qcow2'/>
   <target dev='hda' bus='ide'/>
  </disk>
  <disk type='file' device='cdrom'>
   <driver name='qemu' type='raw'/>
   <target dev='hdb' bus='ide'/>
   <readonly/>
  </disk>

仮想マシンは、エミュレーションに /usr/bin/qemu-kvm バイナリーファイルを使用し、これには 2 つのディスクデバイスが割り当てられています。

最初のディスクは、ホストに格納されている /var/lib/libvirt/images/Testguest.qcow2 をベースにした仮想ハードドライブで、このドライブの論理デバイス名は hda に設定されます。

2 番目のディスクは仮想化 CD-ROM で、その論理デバイス名は hdb に設定されています。

  <controller type='usb' index='0' model='qemu-xhci' ports='15'/>
  <controller type='sata' index='0'/>
  <controller type='pci' index='0' model='pcie-root'/>
  <controller type='pci' index='1' model='pcie-root-port'>
   <model name='pcie-root-port'/>
   <target chassis='1' port='0x10'/>
  </controller>
  <controller type='pci' index='2' model='pcie-root-port'>
   <model name='pcie-root-port'/>
   <target chassis='2' port='0x11'/>
  </controller>
  <controller type='pci' index='3' model='pcie-root-port'>
   <model name='pcie-root-port'/>
   <target chassis='3' port='0x12'/>
  </controller>
  <controller type='pci' index='4' model='pcie-root-port'>
   <model name='pcie-root-port'/>
   <target chassis='4' port='0x13'/>
  </controller>
  <controller type='pci' index='5' model='pcie-root-port'>
   <model name='pcie-root-port'/>
   <target chassis='5' port='0x14'/>
  </controller>
  <controller type='pci' index='6' model='pcie-root-port'>
   <model name='pcie-root-port'/>
   <target chassis='6' port='0x15'/>
  </controller>
  <controller type='pci' index='7' model='pcie-root-port'>
   <model name='pcie-root-port'/>
   <target chassis='7' port='0x16'/>
  </controller>
  <controller type='virtio-serial' index='0'/>

仮想マシンは、USB デバイスの割り当てにコントローラーを 1 つ、PCI-Express (PCIe) デバイスにルートコントローラーを使用します。さらに、virtio-serial コントローラーが利用できるため、仮想マシンは、シリアルコンソールなど、各種方法でホストを操作できます。

仮想デバイスの詳細は、仮想デバイスの種類 を参照してください。

 <interface type='network'>
  <mac address='52:54:00:65:29:21'/>
  <source network='default'/>
  <model type='rtl8139'/>
 </interface>

ネットワークインターフェイスは、default の仮想ネットワークおよび rtl8139 ネットワークデバイスモデルを使用する仮想マシンに設定されます。

ネットワークインターフェイスの設定に関する詳細は、仮想マシンのネットワークパフォーマンスの最適化 を参照してください。

  <serial type='pty'>
   <target type='isa-serial' port='0'>
    <model name='isa-serial'/>
   </target>
  </serial>
  <console type='pty'>
   <target type='serial' port='0'/>
  </console>
  <channel type='unix'>
   <target type='virtio' name='org.qemu.guest_agent.0'/>
   <address type='virtio-serial' controller='0' bus='0' port='1'/>
  </channel>
  <channel type='spicevmc'>
   <target type='virtio' name='com.redhat.spice.0'/>
    <address type='virtio-serial' controller='0' bus='0' port='2'/>
  </channel>

pty シリアルコンソールが仮想マシンに設定されているので、ホストとの基本的な仮想マシン通信が可能になります。コンソールは、ポート 1 で UNIX チャンネルを使用し、ポート 2 で準仮想化 SPICE を使用します。この設定は自動で設定されており、設定の変更は推奨されません。

仮想マシンとの対話方法の詳細は、Web コンソールを使用した仮想マシンとの対話 を参照してください。

  <input type='tablet' bus='usb'>
   <address type='usb' bus='0' port='1'/>
  </input>
  <input type='mouse' bus='ps2'/>
  <input type='keyboard' bus='ps2'/>

仮想マシンは、タブレット入力を受信するように設定された仮想 usb ポートと、マウスとキーボード入力を受け取るように設定された仮想 ps2 ポートを使用します。この設定は自動で設定されており、設定の変更は推奨されません。

  <graphics type='spice' autoport='yes' listen='127.0.0.1'>
   <listen type='address' address='127.0.0.1'/>
   <image compression='off'/>
  </graphics>
  <graphics type='vnc' port='-1' autoport='yes' listen='127.0.0.1'>
   <listen type='address' address='127.0.0.1'/>
  </graphics>

仮想マシンは、グラフィカル出力のレンダリングに VNC プロトコルおよび SPICE プロトコルを使用し、イメージの圧縮はオフになります。

  <sound model='ich6'>
   <address type='pci' domain='0x0000' bus='0x00' slot='0x04' function='0x0'/>
  </sound>
  <video>
   <model type='qxl' ram='65536' vram='65536' vgamem='16384' heads='1' primary='yes'/>
   <address type='pci' domain='0x0000' bus='0x00' slot='0x02' function='0x0'/>
  </video>

ICH6 HDA サウンドデバイスが仮想マシン用に設定され、QEMU QXL 準仮想化フレームバッファーデバイスがビデオアクセラレーターとして設定されます。この設定は自動で設定されており、設定の変更は推奨されません。

  <redirdev bus='usb' type='spicevmc'>
   <address type='usb' bus='0' port='1'/>
  </redirdev>
  <redirdev bus='usb' type='spicevmc'>
   <address type='usb' bus='0' port='2'/>
  </redirdev>
  <memballoon model='virtio'>
   <address type='pci' domain='0x0000' bus='0x00' slot='0x07' function='0x0'/>
  </memballoon>
 </devices>
</domain>

仮想マシンには、USB デバイスをリモート接続するためのディレクトリーが 2 つあり、メモリーバルーンがオンになります。この設定は自動で設定されており、設定の変更は推奨されません。

第7章 仮想マシンの保存および復元

システムリソースを解放するには、そのシステムで実行中の仮想マシンをシャットダウンできます。ただし、仮想マシンが再び必要になった場合は、ゲストオペレーティングシステム (OS) を起動し、アプリケーションを再起動する必要があります。これにはかなりの時間がかかる場合があります。このダウンタイムを短縮し、仮想マシンワークロードをより早く実行できるようにする場合は、保存機能および復元機能を使用して、OS のシャットダウンと起動シーケンスを完全に回避できます。

本セクションでは、仮想マシンの保存、および仮想マシンの完全な起動を行わずに仮想マシンを同じ状態に復元する方法を説明します。

7.1. 仮想マシンの保存および復元の仕組み

仮想マシンを保存すると、そのメモリーとデバイス状態がホストのディスクに保存され、仮想マシンプロセスがすぐに停止します。実行中または一時停止状態の仮想マシンを保存できます。復元すると、仮想マシンがその状態に戻ります。

このプロセスにより、ディスク容量と引き換えにホストシステムの RAM および CPU のリソースが解放され、ホストシステムのパフォーマンスが向上する場合があります。仮想マシンが復元する場合にゲスト OS を起動する必要がないため、時間がかかる起動時間も回避できます。

仮想マシンを保存するには、コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用します。手順は、コマンドラインインターフェイスで仮想マシンの削除 を参照してください。

仮想マシンを復元するには、CLI または Web コンソールの GUI を使用します。

7.2. コマンドラインインターフェイスで仮想マシンの保存

仮想マシン (VM) と現在の状態をホストのディスクに保存できます。これは、たとえば、その他の目的でホストのリソースを使用する必要がある場合に便利です。保存した仮想マシンは、すぐに以前の稼働状態に復元できます。

コマンドラインを使用して仮想マシンを保存するには、以下の手順を行います。

前提条件

  • 仮想マシンと設定を保存するのに十分なディスク領域がある。仮想マシンが占有する領域は、その仮想マシンに割り当てられている RAM のサイズによって異なることに注意してください。
  • 仮想マシンが永続的である。
  • (必要に応じて) 仮想マシンの重要なデータのバックアップを作成する。

手順

  • virsh managedsave ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、仮想マシン demo-guest1 を停止し、その設定を保存します。

    # virsh managedsave demo-guest1
    Domain 'demo-guest1' saved by libvirt

    保存された仮想マシンファイルは、デフォルトで /var/lib/libvirt/qemu/save ディレクトリーに demo-guest1.save として置かれます。

    次に仮想マシンを 起動 すると、上記のファイルから、保存された状態が自動的に復元します。

検証

  • 管理保存が有効になっている仮想マシンを一覧表示します。以下の例では、saved として一覧表示されている仮想マシンで、管理保存が有効になっています。

    # virsh list --managed-save --all
    Id    Name                           State
    ----------------------------------------------------
    -     demo-guest1                    saved
    -     demo-guest2                    shut off

    管理保存のイメージがある仮想マシンのリストを表示するには、次のコマンドを使用します。

    # virsh list --with-managed-save --all
    Id    Name                           State
    ----------------------------------------------------
    -     demo-guest1                    shut off

    停止状態にある保存された仮想マシンのリストを表示するには、コマンドで --all オプションまたは --inactive オプションを使用する必要があります。

トラブルシューティング

  • 保存した仮想マシンファイルが破損したり、読み込めない場合は、仮想マシンを復元すると、代わりに標準の仮想マシン起動が起動します。

7.3. コマンドラインインターフェイスでの仮想マシンの起動

コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用して、シャットダウンした仮想マシン (VM) を起動するか、保存した仮想マシンを復元します。CLI を使用すると、ローカル仮想マシンとリモート仮想マシンの両方を起動できます。

前提条件

  • すでに定義されている非アクティブな仮想マシン
  • 仮想マシンの名前
  • リモート仮想マシンの場合は、以下も設定されている。

    • 仮想マシンが置かれているホストの IP アドレス
    • ホストへの root アクセス権限

手順

  • ローカルの仮想マシンには、virsh start ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは仮想マシン demo-guest1 を起動します。

    # virsh start demo-guest1
    Domain 'demo-guest1' started
  • リモートホストにある仮想マシンでは、ホストへの QEMU+SSH 接続と共に virsh start ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、ホスト 192.0.2.1 にある仮想マシン demo-guest1 を起動します。

    # virsh -c qemu+ssh://root@192.0.2.1/system start demo-guest1
    
    root@192.0.2.1's password:
    
    Domain 'demo-guest1' started

7.4. Web コンソールを使用した仮想マシンの名前の変更

仮想マシンが 停止 状態にある場合は、RHEL 9 Web コンソールを使用して起動できます。ホストの起動時に、仮想マシンが自動的に起動するように設定することもできます。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、起動する仮想マシンをクリックします。

    選択した仮想マシンの詳細情報を含む新しいページが開き、仮想マシンのシャットダウンおよび削除を制御できます。

  2. Run をクリックします。

    仮想マシンが起動し、そのコンソールまたはグラフィカル出力に接続 できます。

  3. オプション: ホスト起動時に仮想マシンが自動的に起動するように設定するには、Overview セクションの Autostart チェックボックスを切り替えます。

    libvirt が管理していないネットワークインターフェイスを使用する場合は、systemd 設定も変更する必要があります。そうしないと、影響を受ける仮想マシンが起動できなくなる可能性があります。starting virtual machines automatically when the host starts を参照してください。

第8章 仮想マシンのクローン作成

特定のプロパティーセットで仮想マシンの新規作成を行うには、既存の仮想マシンの クローン を作成します。

クローンを作成すると、ストレージ用に独自のディスクイメージを使用する新しい仮想マシンが作成されますが、クローン設定と保存データのほとんどはソース仮想マシンと同じです。これにより、各仮想マシンを個別に最適化せずに、特定のタスクに最適化された複数の仮想マシンを準備できます。

8.1. 仮想マシンのクローン作成の仕組み

仮想マシンのクローンを作成すると、ソース仮想マシンとそのディスクイメージの XML 設定がコピーされるため、新しい仮想マシンの一意性を確保するように設定を調整します。これには、仮想マシンの名前を変更して、ディスクイメージのクローンを使用するようにすることが含まれます。ただし、クローンの仮想ディスクに保存されているデータは、ソース仮想マシンと同じです。

このプロセスは、新しい仮想マシンを作成してゲストオペレーティングシステムと一緒にインストールするよりも高速であり、特定の設定およびコンテンツを持つ仮想マシンを迅速に生成するために使用できます。

仮想マシンの複数のクローンを作成することを計画している場合は、最初に、以下を含まない仮想マシン テンプレート を作成します。

  • 永続的なネットワーク MAC 設定などの一意の設定。これにより、クローンが適切に機能しなくなる可能性があります。
  • SSH キーやパスワードファイルなどの機密データ。

手順は、Creating virtual machines templates を参照してください。

関連情報

  • コマンドラインインターフェイスで仮想マシンのクローン作成
  • Web コンソールを使用した仮想マシンのクローン作成

8.2. 仮想マシンテンプレートの作成

正常に機能する複数のクローン仮想マシンを作成するには、SSH 鍵や永続的なネットワーク MAC 設定などの、ソース仮想マシンに固有の情報および設定を削除します。これにより、仮想マシンのクローンを簡単かつ安全に作成するのに使用できる仮想マシンテンプレートが作成されます。

仮想マシンのテンプレートは、virt-sysprep ユーティリティーを使用して 作成するか、要件に基づいて 手動で作成 することができます。

8.2.1. virt-sysprep を使用した仮想マシンテンプレートの作成

既存の仮想マシン (VM) から複製テンプレートを作成するには、virt-sysprep ユーティリティーを使用できます。これにより、特定のネットワーク設定やシステム登録メタデータなど、クローンが正しく機能しない可能性がある特定の設定が削除されます。その結果、virt-sysprep は仮想マシンのクローンをより効率的に作成し、クローンがより確実に動作するようにします。

前提条件

  • virt-sysprep ユーティリティーを含む libguestfs-tools-c パッケージがホストにインストールされている。

    # yum install libguestfs-tools-c
  • テンプレートとして使用するソース仮想マシンがシャットダウンしている。
  • ソース仮想マシンのディスクイメージの場所を把握しており、その仮想マシンのディスクイメージファイルの所有者である。

    libvirt の システムコネクション で作成した仮想マシンのディスクイメージが、デフォルトで /var/lib/libvirt/images ディレクトリーにあり、root ユーザーが所有している。

    # ls -la /var/lib/libvirt/images
    -rw-------.  1 root root  9665380352 Jul 23 14:50 a-really-important-vm.qcow2
    -rw-------.  1 root root  8591507456 Jul 26  2017 an-actual-vm-that-i-use.qcow2
    -rw-------.  1 root root  8591507456 Jul 26  2017 totally-not-a-fake-vm.qcow2
    -rw-------.  1 root root 10739318784 Sep 20 17:57 another-vm-example.qcow2
  • オプション: ソース仮想マシンのディスク上の重要なデータがすべてバックアップされている。ソース仮想マシンをそのまま保持する場合は、クローン を作成してから、そのクローンをテンプレートに変換します。

手順

  1. 仮想マシンのディスクイメージの所有者としてログインしていることを確認します。

    # whoami
    root
  2. (必要に応じて) 仮想マシンのディスクイメージをコピーします。

    # cp /var/lib/libvirt/images/a-really-important-vm.qcow2 /var/lib/libvirt/images/a-really-important-vm-original.qcow2

    これは後で、仮想マシンが正常にテンプレートに変換されたことを確認するために使用されます。

  3. 次のコマンドを使用し、/var/lib/libvirt/images/a-really-important-vm.qcow2 を、ソース仮想マシンのディスクイメージへのパスに置き換えます。

    # virt-sysprep -a /var/lib/libvirt/images/a-really-important-vm.qcow2
    [   0.0] Examining the guest ...
    [   7.3] Performing "abrt-data" ...
    [   7.3] Performing "backup-files" ...
    [   9.6] Performing "bash-history" ...
    [   9.6] Performing "blkid-tab" ...
    [...]

検証

  • プロセスが成功したことを確認するには、変更したディスクイメージを元のイメージと比較します。次の例は、テンプレートの作成例を示しています。

    # virt-diff -a /var/lib/libvirt/images/a-really-important-vm-orig.qcow2 -A /var/lib/libvirt/images/a-really-important-vm.qcow2
    - - 0644       1001 /etc/group-
    - - 0000        797 /etc/gshadow-
    = - 0444         33 /etc/machine-id
    [...]
    - - 0600        409 /home/username/.bash_history
    - d 0700          6 /home/username/.ssh
    - - 0600        868 /root/.bash_history
    [...]

関連情報

  • virt-sysprep の man ページの OPERATIONS セクション
  • コマンドラインインターフェイスで仮想マシンのクローン作成

8.2.2. 仮想マシンテンプレートの手動による作成

既存の仮想マシンからテンプレートを作成する場合は、ゲスト仮想マシンを手動でリセットまたは設定解除して、クローン作成の準備をします。

前提条件

  • ソースの仮想マシンのディスクイメージの場所を把握しており、仮想マシンのディスクイメージファイルの所有者であることを確認します。

    libvirt の システムコネクション で作成した仮想マシンのディスクイメージが、デフォルトで /var/lib/libvirt/images ディレクトリーにあり、root ユーザーが所有している。

    # ls -la /var/lib/libvirt/images
    -rw-------.  1 root root  9665380352 Jul 23 14:50 a-really-important-vm.qcow2
    -rw-------.  1 root root  8591507456 Jul 26  2017 an-actual-vm-that-i-use.qcow2
    -rw-------.  1 root root  8591507456 Jul 26  2017 totally-not-a-fake-vm.qcow2
    -rw-------.  1 root root 10739318784 Sep 20 17:57 another-vm-example.qcow2
  • 仮想マシンがシャットダウンしていることを確認します。
  • (必要に応じて) 仮想マシンのディスクにある重要なデータのバックアップが作成されている。ソースの仮想マシンをそのまま保持する場合は、クローン を作成してから、そのクローンを編集してテンプレートを作成します。

手順

  1. クローンを作成するように仮想マシンを設定します。

    1. クローンに必要なソフトウェアをインストールします。
    2. オペレーティングシステムに一意でない設定を設定します。
    3. 固有でないアプリケーション設定を設定します。
  2. ネットワーク設定を削除します。

    1. 以下のコマンドを使用して、永続的な udev ルールを削除します。

      # rm -f /etc/udev/rules.d/70-persistent-net.rules
      注記

      udev ルールを削除しないと、最初の NIC の名前が eth0 ではなく eth1 になる場合があります。

    2. 以下のように /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth[x] を編集し、ifcfg スクリプトから一意のネットワークの詳細を削除します。

      1. HWADDR 行および Static 行を削除します。

        注記

        HWADDR が新しいゲストの MAC アドレスと一致しない場合、ifcfg は無視されます。

        DEVICE=eth[x] BOOTPROTO=none ONBOOT=yes #NETWORK=192.0.2.0 <- REMOVE #NETMASK=255.255.255.0 <- REMOVE #IPADDR=192.0.2.1 <- REMOVE #HWADDR=xx:xx:xx:xx:xx <- REMOVE #USERCTL=no <- REMOVE # Remove any other *unique or non-desired settings, such as UUID.*
      2. DHCP を設定しますが、HWADDR やその他の一意の情報は含まれません。

        DEVICE=eth[x] BOOTPROTO=dhcp ONBOOT=yes
    3. システムに同じコンテンツが存在する場合は、次のファイルにもそのコンテンツが含まれていることを確認します。

      • /etc/sysconfig/networking/devices/ifcfg-eth[x]
      • /etc/sysconfig/networking/profiles/default/ifcfg-eth[x]

        注記

        仮想マシンで NetworkManager または特殊な設定を使用している場合は、追加の固有情報が ifcfg スクリプトから削除されていることを確認します。

  3. 登録の詳細を削除します。

    • Red Hat ネットワーク (RHN) に登録されている仮想マシンの場合:

      # rm /etc/sysconfig/rhn/systemid
    • Red Hat Subscription Manager (RHSM) に登録されている仮想マシンの場合:

      • 元の仮想マシンを使用しない場合は、次のコマンドを実行します。

        # subscription-manager unsubscribe --all # subscription-manager unregister # subscription-manager clean
      • 元の仮想マシンを使用する場合は、以下を行います。

        # subscription-manager clean
        注記

        元の RHSM プロファイルは、ID コードとともにポータルに残ります。クローンの作成後、次のコマンドを使用して仮想マシンで RHSM 登録を再アクティブ化します。

        # subscription-manager register --consumerid=71rd64fx-6216-4409-bf3a-e4b7c7bd8ac9
  4. その他の固有の詳細を削除します。

    1. SSH 公開鍵と秘密鍵のペアを削除します。

      # rm -rf /etc/ssh/ssh_host_example
    2. LVM デバイスの設定を削除します。

      # rm /etc/lvm/devices/system.devices
    3. 複数のマシンで実行している場合に、競合する可能性があるその他のアプリケーション固有の識別子や設定を削除します。
  5. gnome-initial-setup-done ファイルを削除し、次回のシステムの起動時に設定ウィザードを実行するように仮想マシンを設定します。

    # rm ~/.config/gnome-initial-setup-done
    注記

    次回の起動時に実行するウィザードは、仮想マシンから削除された設定によって異なります。また、クローンの初回起動時には、ホスト名を変更することが推奨されます。

8.3. コマンドラインインターフェイスで仮想マシンのクローン作成

テストのために、特定のプロパティーセットを持つ新しい仮想マシン (VM) を作成するには、CLI を使用して既存の VM のクローンを作成します。

前提条件

  • 移行元の仮想マシンがシャットダウンしている。
  • クローンとして作成したディスクイメージを保存するのに十分なディスク領域があることを確認します。
  • (必要に応じて) 仮想マシンのクローンを複数作成する場合は、ソースの仮想マシンから一意のデータと設定を削除して、クローンとして作成した仮想マシンが正しく機能することを確認することを推奨します。手順は、仮想マシンテンプレートの作成 を参照してください。

手順

  • 環境とユースケースに適したオプションを指定して virt-clone ユーティリティーを使用します。

    サンプルのユースケース

    • 次のコマンドは、example-VM-1 という名前のローカル仮想マシンのクローンを作成し、example-VM-1-clone 仮想マシンを作成します。また、元の仮想マシンのディスクイメージと同じ場所に、同じデータで example-VM-1-clone.qcow2 ディスクイメージを作成して割り当てます。

      # virt-clone --original example-VM-1 --auto-clone
      Allocating 'example-VM-1-clone.qcow2'                            | 50.0 GB  00:05:37
      
      Clone 'example-VM-1-clone' created successfully.
    • 次のコマンドは、example-VM-2 という名前で仮想マシンのクローンを作成し、example-VM-3 という名前でローカル仮想マシンを作成します。この仮想マシンは、example-VM-2 の複数ディスクのうち 2 つだけを使用します。

      # virt-clone --original example-VM-2 --name example-VM-3 --file /var/lib/libvirt/images/disk-1-example-VM-2.qcow2 --file /var/lib/libvirt/images/disk-2-example-VM-2.qcow2
      Allocating 'disk-1-example-VM-2-clone.qcow2'                                      | 78.0 GB  00:05:37
      Allocating 'disk-2-example-VM-2-clone.qcow2'                                      | 80.0 GB  00:05:37
      
      Clone 'example-VM-3' created successfully.
    • 仮想マシンを別のホストにクローンするには、ローカルホストで定義を解除せずに仮想マシンを移行します。たとえば、次のコマンドは、以前に作成した仮想マシン example-VM-3192.0.2.1 リモートシステムにローカルディスクを含めてクローンします。192.0.2.1 に対して次のコマンドを実行するには root 権限が必要であることに注意してください。

      # virsh migrate --offline --persistent example-VM-3 qemu+ssh://root@192.0.2.1/system
      root@192.0.2.1's password:
      
      # scp /var/lib/libvirt/images/<disk-1-example-VM-2-clone>.qcow2 root@192.0.2.1/<user@remote_host.com>://var/lib/libvirt/images/
      
      # scp /var/lib/libvirt/images/<disk-1-example-VM-2-clone>.qcow2 root@192.0.2.1/<user@remote_host.com>://var/lib/libvirt/images/

検証

  1. 仮想マシンのクローンが正常に作成され、正しく機能していることを確認するには、以下を行います。

    1. クローンが、ホストの仮想マシンのリストに追加されていることを確認します。

      # virsh list --all
      Id   Name                  State
      ---------------------------------------
      -    example-VM-1          shut off
      -    example-VM-1-clone    shut off
    2. クローンを起動し、起動しているかどうかを確認します。

      # virsh start example-VM-1-clone
      Domain 'example-VM-1-clone' started

関連情報

8.4. Web コンソールを使用した仮想マシンのクローン作成

特定のプロパティーセットを持つ新しい仮想マシン (VM) を作成するには、Web コンソールを使用して以前に設定した VM のクローンを作成します。

注記

仮想マシンのクローンを作成すると、その仮想マシンに関連付けられたディスクのクローンも作成されます。

前提条件

手順

  1. Web コンソールの仮想マシンインターフェイスで、クローンを作成する仮想マシンの メニュー ボタン をクリックします。

    仮想マシン操作を制御するためのドロップダウンメニューが表示されます。

  2. Clone をクリックします。

    仮想マシンのクローンの作成ダイアログが表示されます。

    仮想マシンの新しい名前を入力するオプションがある仮想マシンのクローンの作成ダイアログボックス。
  3. オプション: 仮想マシンクローンの新しい名前を入力します。
  4. Clone をクリックします。

    ソースの仮想マシンに基づいて、新しい仮想マシンが作成されます。

検証

  • クローンとして作成された仮想マシンが、ホストで利用可能な仮想マシンのリストに表示されるかどうかを確認します。

第9章 仮想マシンの移行

仮想マシンの現在のホストが不安定な場合や使用できない場合や、ホストワークロードを再分散する場合は、仮想マシンを別の KVM ホストに移行できます。

9.1. 仮想マシンの移行の仕組み

仮想マシンの移行は、仮想マシンの XML 設定を別のホストマシンにコピーします。移行した仮想マシンがシャットダウンしていない場合、移行では、仮想マシンのメモリーと仮想デバイスの状態も移行先ホストマシンに転送されます。移行先ホストで仮想マシンが機能し続けるには、仮想マシンのディスクイメージが利用可能なままである必要があります。

デフォルトでは移行された仮想マシンは、移行先ホスト上では一時的なもので、移行元ホストでもそのまま定義されたままとなります。

ライブ マイグレーションまたは ライブ以外の マイグレーションを使用して、実行中の仮想マシンを移行できます。シャットダウンした仮想マシンを移行するには、オフライン マイグレーションを使用する必要があります。詳細は、以下の表を参照してください。

表9.1 仮想マシンの移行タイプ

移行タイプ説明ユースケースストレージ要件

ライブマイグレーション

仮想マシンは移行元ホストマシンでそのまま実行を続け、KVM が仮想マシンのメモリーページを移行先ホストに転送します。移行がほぼ完了すると、KVM はごく短い間仮想マシンを中断し、移行先ホストで再開します。

常に稼働する必要がある仮想マシンに役に立ちます。ただし、I/O 負荷の多き仮想マシンなど、KVM の転送時間よりも、メモリーページの変更が早く行われる仮想マシンでは、ライブマイグレーションは使用できないので、ライブマイグレーション以外の移行 を使用する必要があります。

仮想マシンのディスクイメージが 共有ネットワーク に存在し、移行元ホストと移行先ホストの両方からアクセスできる必要があります。

ライブマイグレーション以外の移行

仮想マシンを一時停止して、その設定とメモリーを移行先ホストにコピーし、仮想マシンを再開します。

仮想マシンに対するダウンタイムが発生しますが、一般的にはライブマイグレーションよりも信頼性が高くなります。メモリー負荷が大きい仮想マシンに推奨されます。

仮想マシンのディスクイメージが 共有ネットワーク に存在し、移行元ホストと移行先ホストの両方からアクセスできる必要があります。

オフラインマイグレーション

仮想マシンの設定を移行先ホストに移動します。

シャットダウンした仮想マシンや、仮想マシンをシャットダウンしてもワークロードを中断しない場合に推奨されます。

仮想マシンのディスクイメージは、共有ネットワークに配置する必要はなく、移行先ホストに手動でコピーまたは移動できます。

ライブマイグレーションライブマイグレーション以外の移行 を組み合わせることもできます。これは、(移行の完了を阻止する) 非常に多くの vCPU や大量のメモリーを使用する仮想マシンをライブマイグレーションする場合などに推奨されます。このようなシナリオでは、ソース仮想マシンを一時停止できます。これにより、追加のダーティーメモリーページが生成されなくなり、移行が完了する可能性が大幅に高くなります。ゲストのワークロードと移行中の静的ページ数に基づくと、このような ハイブリッド 移行では、ライブマイグレーション以外の移行よりも、ダウンタイムが大幅に削減される可能性があります。

9.2. 仮想マシンの移行の利点

仮想マシンの移行は、以下の場合に役に立ちます。

ロードバランシング
ホストがオーバーロードするか、別のホストの使用率が低くなっている場合に、仮想マシンを使用率の低いホストマシンに移動できます。
ハードウェアの非依存性
ホストマシンでハードウェアデバイスのアップグレード、追加、削除などを行う必要がある場合は、仮想マシンをその他のホストに安全に移動できます。つまり、仮想マシンは、ハードウェアを改善する際にダウンタイムが生じることはありません。
エネルギー節約
仮想マシンはその他のホストに再配布できるため、電力使用量の少ない時間帯に、アンロードしたホストシステムの電源を切ることで、節電やコスト削減が可能になります
地理的な移行
待ち時間の短縮や他の理由により、別の物理的な場所に仮想マシンを移動できます。

9.3. 仮想マシンの移行の制限事項

RHEL 8 で仮想マシンを移行する前に、移行の制限に注意してください。

  • ストレージの移行は、RHEL 8 ではライブで実行できませんが、仮想マシンの電源が切れている時にストレージを移行できます。ライブストレージの移行は Red Hat Virtualization で利用できます。
  • 仮想マシンと libvirt のセッションコネクション間の移行 は信頼できないため、推奨されません。
  • 特定の機能と設定を使用する仮想マシンは、移行すると正しく機能しなくなるか、移行が失敗します。このような機能は次のとおりです。

    • デバイスパススルー
    • SR-IOV デバイスの割り当て
    • vGPU などの仲介デバイス
  • NUMA (Non-Uniform Memory Access) ピニングを使用するホスト間の移行は、ホストのトポロジーが類似している場合にのみ機能します。ただし、実行中のワークロードのパフォーマンスは、移行の影響を受ける可能性があります。
  • 移行元仮想マシンと移行先仮想マシンの両方で、エミュレートしている CPU が同一である必要があります。同一でないと、移行が失敗します。以下の CPU 関連領域の仮想マシン間で相違があると、移行の問題が発生する可能性があります。

    • CPU モデル

      • Intel 64 ホストと AMD64 ホスト間の移行は、x86-64 命令セットを共有している場合でも サポートされていません。
      • 別の CPU モデルを持つホストに移行した後に仮想マシンが正しく機能することを確認する手順は、仮想マシン移行のためのホスト CPU の互換性の確認 を参照してください。
    • ファームウェア設定
    • Microcode バージョン
    • BIOS バージョン
    • BIOS 設定
    • QEMU バージョン
    • カーネルバージョン
  • 1 TB を超えるメモリーを使用する仮想マシンのライブマイグレーションは、一部のケースでは信頼できない場合があります。この問題を回避または修正する方法は、仮想マシンのライブマイグレーションに長時間かかり、完了しない を参照してください。

9.4. 仮想マシンの移行におけるホスト CPU の互換性の確認

移行した仮想マシン(VM)が移行先ホストで正しく機能するには、移行元および移行先のホストの CPU の互換性が必要です。これを確認するには、移行を開始する前に、共通の CPU ベースラインを計算します。

注記

本セクションの手順では、以下のホスト CPU で移行シナリオの例を使用します。

  • 移行元ホスト:Intel Core i7-8650U
  • 移行先ホスト:Intel Xeon CPU E5-2620 v2

前提条件

手順

  1. 移行元ホストで、CPU 機能を取得し、domCaps-CPUs.xml などの新しい XML ファイルに貼り付けます。

    # virsh domcapabilities | xmllint --xpath "//cpu/mode[@name='host-model']" - > domCaps-CPUs.xml
  2. XML ファイルで、<mode> </mode> タグを <cpu> </cpu> に置き換えます。
  3. オプション: domCaps-CPUs.xml ファイルの内容が以下のようになっていることを確認します。

    # cat domCaps-CPUs.xml
    
        <cpu>
              <model fallback="forbid">Skylake-Client-IBRS</model>
              <vendor>Intel</vendor>
              <feature policy="require" name="ss"/>
              <feature policy="require" name="vmx"/>
              <feature policy="require" name="pdcm"/>
              <feature policy="require" name="hypervisor"/>
              <feature policy="require" name="tsc_adjust"/>
              <feature policy="require" name="clflushopt"/>
              <feature policy="require" name="umip"/>
              <feature policy="require" name="md-clear"/>
              <feature policy="require" name="stibp"/>
              <feature policy="require" name="arch-capabilities"/>
              <feature policy="require" name="ssbd"/>
              <feature policy="require" name="xsaves"/>
              <feature policy="require" name="pdpe1gb"/>
              <feature policy="require" name="invtsc"/>
              <feature policy="require" name="ibpb"/>
              <feature policy="require" name="ibrs"/>
              <feature policy="require" name="amd-stibp"/>
              <feature policy="require" name="amd-ssbd"/>
              <feature policy="require" name="rsba"/>
              <feature policy="require" name="skip-l1dfl-vmentry"/>
              <feature policy="require" name="pschange-mc-no"/>
              <feature policy="disable" name="hle"/>
              <feature policy="disable" name="rtm"/>
        </cpu>
  4. 移行先ホストで以下のコマンドを使用して CPU 機能を取得します。

    # virsh domcapabilities | xmllint --xpath "//cpu/mode[@name='host-model']" -
    
        <mode name="host-model" supported="yes">
                <model fallback="forbid">IvyBridge-IBRS</model>
                <vendor>Intel</vendor>
                <feature policy="require" name="ss"/>
                <feature policy="require" name="vmx"/>
                <feature policy="require" name="pdcm"/>
                <feature policy="require" name="pcid"/>
                <feature policy="require" name="hypervisor"/>
                <feature policy="require" name="arat"/>
                <feature policy="require" name="tsc_adjust"/>
                <feature policy="require" name="umip"/>
                <feature policy="require" name="md-clear"/>
                <feature policy="require" name="stibp"/>
                <feature policy="require" name="arch-capabilities"/>
                <feature policy="require" name="ssbd"/>
                <feature policy="require" name="xsaveopt"/>
                <feature policy="require" name="pdpe1gb"/>
                <feature policy="require" name="invtsc"/>
                <feature policy="require" name="ibpb"/>
                <feature policy="require" name="amd-ssbd"/>
                <feature policy="require" name="skip-l1dfl-vmentry"/>
                <feature policy="require" name="pschange-mc-no"/>
        </mode>
  5. 移行先ホストから移行元ホストの domCaps-CPUs.xml ファイルに取得した CPU 機能を追加します。ここでも、<mode> </mode> タグを <cpu> </cpu> に置き換え、ファイルを保存します。
  6. オプション: XML ファイルに両方のホストの CPU 機能が含まれていることを確認します。

    # cat domCaps-CPUs.xml
    
        <cpu>
              <model fallback="forbid">Skylake-Client-IBRS</model>
              <vendor>Intel</vendor>
              <feature policy="require" name="ss"/>
              <feature policy="require" name="vmx"/>
              <feature policy="require" name="pdcm"/>
              <feature policy="require" name="hypervisor"/>
              <feature policy="require" name="tsc_adjust"/>
              <feature policy="require" name="clflushopt"/>
              <feature policy="require" name="umip"/>
              <feature policy="require" name="md-clear"/>
              <feature policy="require" name="stibp"/>
              <feature policy="require" name="arch-capabilities"/>
              <feature policy="require" name="ssbd"/>
              <feature policy="require" name="xsaves"/>
              <feature policy="require" name="pdpe1gb"/>
              <feature policy="require" name="invtsc"/>
              <feature policy="require" name="ibpb"/>
              <feature policy="require" name="ibrs"/>
              <feature policy="require" name="amd-stibp"/>
              <feature policy="require" name="amd-ssbd"/>
              <feature policy="require" name="rsba"/>
              <feature policy="require" name="skip-l1dfl-vmentry"/>
              <feature policy="require" name="pschange-mc-no"/>
              <feature policy="disable" name="hle"/>
              <feature policy="disable" name="rtm"/>
        </cpu>
        <cpu>
              <model fallback="forbid">IvyBridge-IBRS</model>
              <vendor>Intel</vendor>
              <feature policy="require" name="ss"/>
              <feature policy="require" name="vmx"/>
              <feature policy="require" name="pdcm"/>
              <feature policy="require" name="pcid"/>
              <feature policy="require" name="hypervisor"/>
              <feature policy="require" name="arat"/>
              <feature policy="require" name="tsc_adjust"/>
              <feature policy="require" name="umip"/>
              <feature policy="require" name="md-clear"/>
              <feature policy="require" name="stibp"/>
              <feature policy="require" name="arch-capabilities"/>
              <feature policy="require" name="ssbd"/>
              <feature policy="require" name="xsaveopt"/>
              <feature policy="require" name="pdpe1gb"/>
              <feature policy="require" name="invtsc"/>
              <feature policy="require" name="ibpb"/>
              <feature policy="require" name="amd-ssbd"/>
              <feature policy="require" name="skip-l1dfl-vmentry"/>
              <feature policy="require" name="pschange-mc-no"/>
        </cpu>
  7. XML ファイルを使用して、移行する仮想マシンの CPU 機能ベースラインを計算します。

    # virsh hypervisor-cpu-baseline domCaps-CPUs.xml
    
        <cpu mode='custom' match='exact'>
          <model fallback='forbid'>IvyBridge-IBRS</model>
          <vendor>Intel</vendor>
          <feature policy='require' name='ss'/>
          <feature policy='require' name='vmx'/>
          <feature policy='require' name='pdcm'/>
          <feature policy='require' name='pcid'/>
          <feature policy='require' name='hypervisor'/>
          <feature policy='require' name='arat'/>
          <feature policy='require' name='tsc_adjust'/>
          <feature policy='require' name='umip'/>
          <feature policy='require' name='md-clear'/>
          <feature policy='require' name='stibp'/>
          <feature policy='require' name='arch-capabilities'/>
          <feature policy='require' name='ssbd'/>
          <feature policy='require' name='xsaveopt'/>
          <feature policy='require' name='pdpe1gb'/>
          <feature policy='require' name='invtsc'/>
          <feature policy='require' name='ibpb'/>
          <feature policy='require' name='amd-ssbd'/>
          <feature policy='require' name='skip-l1dfl-vmentry'/>
          <feature policy='require' name='pschange-mc-no'/>
        </cpu>
  8. 移行する仮想マシンの XML 設定を開き、<cpu> セクションの内容を直前の手順で取得した設定に置き換えます。

    # virsh edit VM-name
  9. 仮想マシンが実行中の場合は再起動します。

    # virsh reboot VM-name

次のステップ

9.5. 他のホストとの仮想マシンディスクイメージの共有

対応している KVM ホスト 間で仮想マシンのライブマイグレーションを実行するには、仮想マシンの共有ストレージが必要です。次の手順では、NFS プロトコルを使用して、ローカルに保存された仮想マシンイメージをソースホストおよび宛先ホストと共有する方法について説明します。

前提条件

  • 移行に使用する仮想マシンがシャットダウンしている。
  • (必要に応じて) 移行元ホストまたは移行先ホストではないストレージをホストするのにホストシステムを使用できるが、移行元ホストと移行先ホストの両方がネットワーク経由でアクセスできる。これは共有ストレージに最適なソリューションで、Red Hat が推奨しています。
  • KVM では対応していないため、NFS ファイルのロック機能を使用しない。
  • NFS が移行元および移行先ホストにインストールされ、有効になっている。有効でない場合は、以下を行います。

    • NFS パッケージをインストールします。

      # {PackageManagerCommand} install nfs-utils
    • 2049 などの NFS のポートがファイアウォールで開いていることを確認します。

      # firewall-cmd --permanent --add-service=nfs
      # firewall-cmd --permanent --add-service=mountd
      # firewall-cmd --permanent --add-service=rpc-bind
      # firewall-cmd --permanent --add-port=2049/tcp
      # firewall-cmd --permanent --add-port=2049/udp
      # firewall-cmd --reload
    • NFS サービスを起動します。

      # systemctl start nfs-server

手順

  1. 共有ストレージを提供するホストに接続します。この例では、example-shared-storage ホストです。

    # ssh root@example-shared-storage
    root@example-shared-storage's password:
    Last login: Mon Sep 24 12:05:36 2019
    root~#
  2. ディスクイメージを保持し、移行ホストと共有されるディレクトリーを移行元ホスト上に作成します。

    # mkdir /var/lib/libvirt/shared-images
  3. 移行元ホストから新規作成されたディレクトリーに仮想マシンのディスクイメージをコピーします。次の例では、仮想マシンのディスクイメージ example-disk-1example-shared-storage ホストの /var/lib/libvirt/shared-images/ ディレクトリーにコピーします。

    # scp /var/lib/libvirt/images/example-disk-1.qcow2 root@example-shared-storage:/var/lib/libvirt/shared-images/example-disk-1.qcow2
  4. ストレージを共有するのに使用するホストで、/etc/exports ファイルに共有ディレクトリーを追加します。次の例では、/var/lib/libvirt/shared-images ディレクトリーを example-source-machine ホストおよび example-destination-machine ホストと共有します。

    # /var/lib/libvirt/shared-images example-source-machine(rw,no_root_squash) example-destination-machine(rw,no\_root_squash)
  5. 移行元ホストと移行先ホストの両方で、共有ディレクトリーを /var/lib/libvirt/images ディレクトリーにマウントします。

    # mount example-shared-storage:/var/lib/libvirt/shared-images /var/lib/libvirt/images

検証

  • 移行元ホストで仮想マシンを起動し、正常に起動するかどうかを確認します。

9.6. コマンドラインインターフェイスを使用した仮想マシンの移行

仮想マシンの現在のホストが不安定な場合や使用できない場合や、ホストワークロードを再分散する場合は、仮想マシンを別の KVM ホストに移行できます。次の手順では、このような移行のさまざまなシナリオの手順と例を示します。

前提条件

  • 移行元ホストと移行先ホストはいずれも KVM ハイパーバイザーを使用します。
  • 移行元ホストと移行先のホストは、ネットワーク経由で相互に通信できなければなりません。ping ユーティリティーを使用してこれを確認します。
  • 移行先ホストで以下のポートが開いていることを確認します。

    • ポート 22 は、SSH を使用して宛先ホストに接続するために必要です。
    • ポート 16509 は、TLS を使用して宛先ホストに接続するために必要です。
    • ポート 16514 は、TCP を使用して宛先ホストに接続するために必要です。
    • ポート 49152-49215 は、QEMU がメモリーおよびディスク移行データを転送するために必要です。
  • Red Hat が移行に対応できるようにするには、移行元ホストと移行先のホストが特定のオペレーティングシステムとマシンタイプを使用している必要があります。これを確認するには、Supported hosts for virtual machine migration を参照してください。
  • 仮想マシンは、移行先ホストの CPU 機能と互換性がある必要があります。これを確認するには、仮想マシン移行のホスト CPU の互換性の確認 を参照してください。
  • 移行する仮想マシンのディスクイメージが、ソースホストと宛先ホストの両方にアクセスできる別のネットワーク上の場所にある。オフラインマイグレーションの場合は任意ですが、実行中の仮想マシンの移行に必要になります。

    このような仮想マシンの共有ストレージを設定する手順は、Sharing virtual machine disk images with other hosts を参照してください。

  • 仮想マシンの実行中に移行する場合は、ネットワークの帯域幅が、仮想マシンがダーティーメモリーページを生成する速度を超える必要があります。

    ライブマイグレーションを開始する前に仮想マシンのダーティーページ速度を取得するには、次の手順を実行します。

    • 短期間、仮想マシンのダーティーページ生成速度を監視します。

      # virsh domdirtyrate-calc example-VM 30
    • 監視が終了したら、結果を取得します。

      # virsh domstats example-VM --dirtyrate
      Domain: 'example-VM'
        dirtyrate.calc_status=2
        dirtyrate.calc_start_time=200942
        dirtyrate.calc_period=30
        dirtyrate.megabytes_per_second=2

      この例では、仮想マシンが 1 秒あたり 2MB のダーティーメモリーページを生成しています。帯域幅が 2MB/s 以下のネットワーク上でこのような仮想マシンをライブマイグレーションしようとすると、仮想マシンを一時停止したり、ワークロードを低くしたりしないと、ライブマイグレーションが進行しません。

      ライブマイグレーションが正常に終了するように、Red Hat では、ネットワークの帯域幅が仮想マシンのダーティーページの生成速度を大幅に上回ることを推奨しています。

  • パブリックブリッジタップネットワークの既存の仮想マシンで移行を行う場合は、移行元ホストと移行先ホストが同じネットワークにある必要があります。そうでない場合は、移行後に仮想マシンのネットワークが機能しなくなります。
注記

calc_period オプションの値は、ワークロードとダーティーページ速度により異なる場合があります。いくつかの calc_period 値を試して、環境のダーティーページ速度に合わせた最適な期間を決定できます。

  • libvirtd サービスが有効で、実行していることを確認します。

    # systemctl enable --now libvirtd.service

手順

  1. virsh migrate コマンドで、移行の要件に適したオプションを指定します。

    1. 次のコマンドは、SSH トンネルを使用して、ローカルホストから example-destination ホストのシステム接続に example-VM-1 仮想マシンを移行します。仮想マシンは移行中も稼働し続けます。

      # virsh migrate --persistent --live example-VM-1 qemu+ssh://example-destination/system
    2. 次のコマンドを使用すると、ローカルホストで実行している example-VM-2 仮想マシンの設定を手動で調整し、その仮想マシンを example-destination ホストに移行できます。移行した仮想マシンが更新された設定を自動的に使用します。

      # virsh dumpxml --migratable example-VM-2 > example-VM-2.xml
      # vi example-VM-2.xml
      # virsh migrate --live --persistent --xml example-VM-2.xml example-VM-2 qemu+ssh://example-destination/system

      この手順は、たとえば、移行先ホストが別のパスを使用して仮想マシンの共有ストレージにアクセスする必要がある場合、または移行先ホストに固有の機能を設定する場合に役立ちます。

    3. 次のコマンドは、example-VM-3 仮想マシンを example-source ホストで一時停止して example-destination ホストに移行し、example-VM-3-alt.xml ファイルが提供する調整済みの XML 設定を使用するように当該仮想マシンに指示します。移行が終了すると、libvirt は移行先ホストで仮想マシンを再開します。

      # virsh migrate example-VM-3 qemu+ssh://example-source/system qemu+ssh://example-destination/system --xml example-VM-3-alt.xml

      移行後、仮想マシンはソースホストでシャットオフ状態になり、移行されたコピーはシャットダウン後に削除されます。

    4. 次の例では、シャットダウンされた example-VM-4 仮想マシンを example-source ホストから削除し、その設定を example-destination ホストに移動します。

      # virsh migrate --offline --persistent --undefinesource example-VM-4 qemu+ssh://example-source/system qemu+ssh://example-destination/system

      このタイプの移行では、仮想マシンのディスクイメージを共有ストレージに移動する必要がないことに注意してください。ただし、移行先ホストで仮想マシンを使用するには、仮想マシンのディスクイメージも移行する必要があります。以下に例を示します。

      # scp root@example-source:/var/lib/libvirt/images/example-VM-4.qcow2 root@example-destination:/var/lib/libvirt/images/example-VM-4.qcow2
  2. 移行が完了するまで待ちます。ネットワーク帯域幅、システムの負荷、仮想マシンのサイズによっては、プロセスに時間がかかる場合があります。virsh migrate--verbose オプションが使用されていないと、CLI はエラー以外の進捗インジケーターを表示しません。

    移行中は、virsh domjobinfo ユーティリティーを使用して移行の統計を表示できます。

検証

  • 移行先ホストで、使用可能な仮想マシンのリストを表示して、仮想マシンが移行されたかどうかを確認します。

    # virsh list
    Id      Name             State
    ----------------------------------
    10    example-VM-1      running

    移行がまだ実行中であれば、このコマンドは、paused の仮想マシンのリストを表示します。

トラブルシューティング

  • ターゲットのホストは、ネットワーク名や CPU タイプなど、移行した仮想マシンの XML 設定で使用される特定の値と互換性がない場合があります。そのため、仮想マシンがターゲットホストで起動できなくなります。この問題を修正するには、virsh edit コマンドを使用して問題のある値を更新します。値を更新した後、変更を適用するには仮想マシンを再起動する必要があります。
  • ライブマイグレーションの完了に時間がかかっている場合は、仮想マシンの負荷が高く、ライブマイグレーションを実行するために変更しているメモリーページ多すぎる可能性があります。この問題を修正するには、仮想マシンを停止して、ライブ以外への移行に変更します。

    # virsh suspend example-VM-1

関連情報

  • virsh migrate --help コマンド
  • virsh(1) man ページ

9.7. Web コンソールを使用した仮想マシンのライブ移行

継続的に実行する必要があるタスクを実行している仮想マシンを移行する場合は、シャットダウンせずに、その仮想マシンを別の KVM ホストに移行できます。これはライブマイグレーションとも呼ばれます。以下の手順では、Web コンソールを使用してその方法を説明します。

警告

I/O 負荷が高いタスクなど、KVM がメモリーページを転送するよりも速い速度でメモリーページを変更するタスクには、仮想マシンをライブマイグレーションしないことが推奨されます。

前提条件

  • Web コンソールの仮想マシンプラグインが システムにインストールされている
  • 移行元ホストと移行先ホストが実行中である。
  • 移行先ホストで以下のポートが開いていることを確認します。

    • ポート 22 は、SSH を使用して宛先ホストに接続するために必要です。
    • ポート 16509 は、TLS を使用して宛先ホストに接続するために必要です。
    • ポート 16514 は、TCP を使用して宛先ホストに接続するために必要です。
    • ポート 49152-49215 は、QEMU がメモリーおよびディスク移行データを転送するために必要です。
  • 仮想マシンは、移行先ホストの CPU 機能と互換性がある必要があります。これを確認するには、仮想マシン移行のホスト CPU の互換性の確認 を参照してください。
  • 仮想マシンのディスクイメージは、移行元ホストおよび移行先ホストからアクセス可能な 共有ストレージ に配置されています。
  • 仮想マシンの実行中に移行する場合は、ネットワークの帯域幅が、仮想マシンがダーティーメモリーページを生成する速度を超える必要があります。

    ライブマイグレーションを開始する前に仮想マシンのダーティーページ速度を取得するには、コマンドラインインターフェイスで次の手順を行います。

    1. 短期間、仮想マシンのダーティーページ生成速度を監視します。

      # virsh domdirtyrate-calc vm-name 30
    2. 監視が終了したら、結果を取得します。

      # virsh domstats vm-name --dirtyrate
      Domain: 'vm-name'
        dirtyrate.calc_status=2
        dirtyrate.calc_start_time=200942
        dirtyrate.calc_period=30
        dirtyrate.megabytes_per_second=2

      この例では、仮想マシンが 1 秒あたり 2MB のダーティーメモリーページを生成しています。帯域幅が 2MB/s 以下のネットワーク上でこのような仮想マシンをライブマイグレーションしようとすると、仮想マシンを一時停止したり、ワークロードを低くしたりしないと、ライブマイグレーションが進行しません。

      ライブマイグレーションが正常に終了するように、Red Hat では、ネットワークの帯域幅が仮想マシンのダーティーページの生成速度を大幅に上回ることを推奨しています。

注記

calc_period オプションの値は、ワークロードとダーティーページ速度により異なる場合があります。いくつかの calc_period 値を試して、環境のダーティーページ速度に合わせた最適な期間を決定できます。

手順

  1. Web コンソールの仮想マシンインターフェイスで、移行する仮想マシンのメニュー ボタン をクリックします。

    仮想マシン操作を制御するためのドロップダウンメニューが表示されます。

    仮想マシンの実行時に利用可能なオプションを表示する仮想マシンのメインページ。
  2. Migrate をクリックします。

    仮想マシンを別のホストに移行ダイアログボックスが表示されます。

    仮想マシンを別のホストに移行ダイアログボックスにフィールドを追加し、移行先ホストの URI を入力して、移行期間を設定します。
  3. 宛先ホストの URI を入力します。
  4. 移行の期間を設定します。

    • Permanent - 仮想マシンを永続的に移行する場合はチェックを外します。永続的な移行では、移行元ホストから仮想マシンの設定が完全に削除されます。
    • Temporary - 一時的な移行では、仮想マシンのコピーを移行先ホストに移行します。このコピーは、仮想マシンのシャットダウン時に移行先ホストから削除されます。元の仮想マシンは、ソースホストに残ります。
  5. Migrate をクリックします。

    仮想マシンが移行先ホストに移行されます。

検証

仮想マシンの移行に成功し、正常に機能しているかどうかを確認するには、次のコマンドを実行します。

  • 移行先ホストで利用可能な仮想マシンのリストに仮想マシンが表示されているかどうかを確認します。
  • 移行した仮想マシンを起動し、起動するかどうかを確認します。

9.8. 仮想マシンの移行に関するトラブルシューティング

仮想マシン (VM) を移行する際に、以下のいずれかの問題が発生した場合は、手順を参照して問題を修正または回避してください。

9.8.1. 仮想マシンのライブマイグレーションに長時間かかり、完了しない

原因

場合によっては、実行中の仮想マシンを移行することにより、その仮想マシンは、ダーティーメモリーページ の移行速度よりも速いスピードで、ダーティーメモリーページを生成することがあります。このような場合、移行は正常に完了できません。

この問題は、以下のシナリオにより、頻繁に発生します。

  • 負荷が大きい仮想マシンのライブマイグレーション
  • 大量のメモリー (1 TB 以上) を使用する仮想マシンのライブマイグレーション

    重要

    Red Hat は、最大 6 TB のメモリーを搭載した仮想マシンのライブマイグレーションを正常にテストしました。ただし、メモリーが 1 TB を超える仮想マシンのライブマイグレーションに関しては、Red Hat テクニカルサポート までお問い合わせください。

診断

仮想マシンのライブマイグレーションにかかる時間が予想よりも長い場合は、virsh domjobinfo コマンドを使用して、仮想マシンのメモリーページデータを取得します。

# virsh domjobinfo vm-name

Job type:         Unbounded
Operation:        Outgoing migration
Time elapsed:     168286974    ms
Data processed:   26.106 TiB
Data remaining:   34.383 MiB
Data total:       10.586 TiB
Memory processed: 26.106 TiB
Memory remaining: 34.383 MiB
Memory total:     10.586 TiB
Memory bandwidth: 29.056 MiB/s
Dirty rate: 17225 pages/s
Page size: 4096 bytes

この出力では、Dirty ratePage size を乗算すると、Memory bandwidth より大きくなります。これは、ネットワークがダーティーページを移行できるよりも速い速度で、仮想マシンがダーティーメモリーページを生成していることを意味します。そのため、移行先ホストの仮想マシンの状態を移行元ホストの仮想マシンの状態に収束することができません。これにより、移行が完了しません。

修正

停止状態のライブマイグレーションが正常に終了する確率を高めるには、以下のいずれかを行います。

  • 仮想マシンのワークロード、特にメモリー更新を減らします。

    • これを行うには、元の仮想マシンのゲストオペレーティングシステムで必須ではないプロセスを停止またはキャンセルします。
  • ライブマイグレーションで許容されるダウンタイムを増やします。

    1. 移行中の仮想マシンのライブマイグレーションの最後に、現在の最大ダウンタイムを表示します。

      # virsh migrate-getmaxdowntime vm-name
    2. 最大ダウンタイムを長く設定します。

      # virsh migrate-setmaxdowntime vm-name downtime-in-miliseconds

      最大ダウンタイムを長く設定すればするほど、移行の完了までにかかり時間が長くなる可能性があります。

  • ライブマイグレーションを post-copy モードに切り替えます。

    # virsh migrate-start-postcopy vm-name
    • これにより、仮想マシンのメモリーページが移行先ホストで収束し、移行が完了できるようになります。

      ただし、post-copy モードがアクティブになると、移行先ホストから移行元ホストへのリモートページ要求が原因で、仮想マシンが大幅に遅くなる可能性があります。さらに、post-copy マイグレーション中に移行元ホストと移行先ホスト間のネットワーク接続が動作しなくなった場合、メモリーページが不足しているために一部の仮想マシンプロセスが停止することがあります。

      したがって、仮想マシンの可用性が重要である場合や、移行ネットワークが不安定な場合は、post-copy マイグレーションを使用しないでください。

  • ワークロードで許可されている場合は、仮想マシンを一時停止し、移行を ライブ以外 の移行として完了させます。これにより、仮想マシンのダウンタイムは長くなりますが、ほとんどの場合で、移行が正常に完了するようになります。

阻止

仮想マシンのライブマイグレーションが正常に完了する確率は、以下によって変わってきます。

  • 移行中の仮想マシンのワークロード

    • 移行を開始する前に、仮想マシンのゲストオペレーティングシステムで必須でないプロセスを停止またはキャンセルします。
  • ホストが移行に使用できるネットワーク帯域幅

    • ライブマイグレーションの最適な結果を得るには、移行に使用するネットワークの帯域幅を、仮想マシンのダーティーページ生成よりも、はるかに広くする必要があります。仮想マシンのダーティーページの生成速度を取得する手順は、コマンドラインインターフェイスを使用した仮想マシンの移行 の前提条件を参照してください。
    • 移行元ホストと移行先ホストの両方に、移行用の専用のネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) が必要です。メモリーが 1 TB を超える仮想マシンのライブマイグレーションの場合、Red Hat では、25 Gb/s 以上の速度を持つ NIC を推奨しています。
    • また、移行の開始時に --bandwidth オプションを使用して、ライブマイグレーションに割り当てるネットワーク帯域幅を指定することもできます。非常に大きな仮想マシンを移行するには、デプロイメントに実行可能な帯域幅をできるだけ多く割り当てます。
  • ライブマイグレーションのモード

    • デフォルトの pre-copy 移行モードでは、メモリーページがダーティーになると、繰り返しメモリーページをコピーします。
    • Post-copy 移行は、メモリーページを 1 回だけコピーします。

      移行が停止した場合にライブマイグレーションが post-copy モードに切り替わるようにするには、移行の開始時に virsh migrate を指定した --postcopy オプションを使用します。

  • デプロイメント用に指定されたダウンタイム

    • 前述のように、virsh migrate-setmaxdowntime を使用して移行中にこれを調整できます。

9.9. 仮想マシンの移行で対応しているホスト

仮想マシンの移行が適切に機能し、Red Hat でサポートされるようにするには、移行元ホストと移行先ホストが特定の RHEL バージョンおよびマシンタイプである必要があります。以下の表は、対応している仮想マシンの移行パスを示しています。

表9.2 ライブマイグレーションの互換性

移行の方法リリースタイプサポート状況

前方

メジャーリリース

7.6+ → 8.1

対応している RHEL 7 システム - マシンタイプ i440fx および q35

後方

メジャーリリース

8.1 → 7.6+

対応している RHEL 8 システム - マシンタイプ i440fx および q35

前方

マイナーリリース

8.0.1+ → 8.1+

対応している RHEL 7 システム - RHEL 7.6.0 以降のマシンタイプ i440fx および q35

対応している RHEL 8 システム - マシンタイプ q35

後方

マイナーリリース

8.1 → 8.0.1

サポートされている RHEL 7 システムマシンタイプ i440fx および q35 に完全対応

対応している RHEL 8 システム - マシンタイプ q35

9.10. 関連情報

第10章 仮想デバイスの管理

仮想マシンの機能、特徴、およびパフォーマンスを管理する最も効果的な方法の 1 つは、仮想デバイス を調整することです。

以下のセクションでは、仮想デバイスの 一般的な概要 と、CLI または Web コンソール を使用して仮想デバイスを管理する方法について説明します。

10.1. 仮想デバイスの動作

物理マシンと同様、仮想マシンでは、処理能力、メモリー、ストレージ、ネットワーク、グラフィックスなどの機能をシステムに提供する特殊なデバイスが必要になります。物理システムでは通常、これらの目的でハードウェアデバイスを使用します。ただし、仮想マシンはソフトウェア実装として機能するため、代わりにそのようなデバイスのソフトウェアの抽象化を使用する必要があります。これは、仮想デバイス と呼ばれています。

基本情報

仮想マシンの作成 時に、仮想マシンに接続されている仮想デバイスを設定でき、既存の仮想マシンでも管理できます。通常、仮想デバイスは、仮想マシンが停止している場合に限り仮想マシンに接続または切断できますが、仮想マシンの実行中に追加または削除できるものもあります。この機能は、デバイスの ホットプラグ および ホットアンプラグ と呼ばれています。

新しい仮想マシンを作成すると、特に指定しない限り、libvirt は、必須の仮想デバイスのデフォルトセットを自動的に作成して設定します。これは、ホストシステムのアーキテクチャーとマシンタイプに基づいており、通常は以下のものが含まれます。

  • CPU
  • メモリー
  • キーボード
  • ネットワークインターフェイスコントローラー (NIC)
  • さまざまなデバイスコントローラー
  • ビデオカード
  • サウンドカード

仮想マシンの作成後に仮想デバイスを管理するには、コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用します。ただし、仮想ストレージデバイス および NIC を管理する場合は、RHEL 8 Web コンソールを使用することもできます。

パフォーマンスまたは柔軟性

デバイスの種類によっては、RHEL 8 が複数の実装に対応し、しばしばパフォーマンスと柔軟性にトレードオフが伴います。

たとえば、仮想ディスクに使用される物理ストレージは、qcow2raw などのさまざまな形式のファイルで示され、次のようなさまざまなコントローラーを使用して仮想マシンに提示されます。

  • エミュレートされたコントローラー
  • virtio-scsi
  • virtio-blk

virtio デバイスは、仮想化を目的として特別に設計されているため、エミュレートされたコントローラーは、virtio コントローラーよりも遅くなります。一方、エミュレートされたコントローラーは、virtio デバイスに対するドライバーがないオペレーティングシステムを実行するのを可能にします。同様に、virtio-scsi は、SCSI コマンドへのより完全な対応を提供しており、仮想マシンにより多くのディスクを割り当てることができるようにします。最後に、virtio-blk は、virtio-scsi とエミュレートされたコントローラーよりも高いパフォーマンスを提供しますが、ユースケースは範囲がより限定されます。たとえば、virtio-blk を使用する場合には、物理ディスクを LUN デバイスとして仮想マシンに割り当てることはできません。

仮想デバイスの種類の詳細は、仮想デバイスの種類 を参照してください。

10.2. 仮想デバイスの種類

RHEL 8 の仮想化では、仮想マシン (VM) に接続できるいくつかの異なるタイプの仮想デバイスを提示できます。

エミュレートされたデバイス

エミュレートされたデバイスは、広く使用されている物理デバイスのソフトウェア実装です。物理デバイス用に設計されたドライバーは、エミュレートされたデバイスとも互換性があります。そのため、エミュレートされたデバイスは柔軟性に非常に優れています。

ただし、特定のタイプのハードウェアを正確にエミュレートする必要があるため、エミュレートされたデバイスは、対応する物理デバイス、またはより最適化された仮想デバイスと比較すると、パフォーマンスが大幅に低下する可能性があります。

以下のタイプのエミュレートされたデバイスに対応します。

  • 仮想 CPU (vCPU) があり、利用可能な CPU モデルが多数あります。エミュレーションのパフォーマンスへの影響は、ホストの CPU とエミュレートされた vCPU の差異に大きく左右されます。
  • PCI バスコントローラーなどのエミュレートされたシステムコンポーネント。
  • SATA、SCSI、IDE などのエミュレートされたストレージコントローラー。
  • ICH9、ICH6、AC97 などのエミュレートされたサウンドデバイス。
  • VGA カードや QXL カードなどのエミュレートされたグラフィックスカード。
  • rtl8139 などのエミュレートされたネットワークデバイス。
準仮想化デバイス

準仮想化は、仮想デバイスを仮想マシンに公開する高速かつ効率的な方法を提供します。準仮想化デバイスは、仮想マシンで使用するために特別に設計されたインターフェイスを公開するため、デバイスのパフォーマンスが大幅に向上します。RHEL 9 では、virtio API を、ハイパーバイザーと仮想マシンとの間のレイヤーとして使用して、仮想マシンに準仮想化デバイスを提供します。このアプローチの欠点は、ゲストオペレーティングシステムで特定のデバイスドライバーが必要になることです。

可能な場合、特に I/O 集約型アプリケーションを実行している場合は、仮想マシンにエミュレートされたデバイスの代わりに準仮想化デバイスを使用することが推奨されます。準仮想化デバイスは、I/O レイテンシーを低減し、I/O スループットを増加させます。場合によっては、ベアメタルのパフォーマンスに非常に近づくことがあります。その他の準仮想化デバイスも、他の方法では利用できない機能を仮想マシンに追加します。

以下のタイプの準仮想化デバイスに対応します。

  • 準仮想化ネットワークデバイス (virtio-net)
  • 準仮想化ストレージコントローラー:

    • virtio-blk - ブロックデバイスエミュレーションを提供します。
    • virtio-scsi - より完全な SCSI エミュレーションを提供します。
  • 準仮想化されたクロック
  • 準仮想化されたシリアルデバイス (virtio-serial)
  • 仮想マシンとそのホスト間でメモリーを動的に分散するために使用されるバルーンデバイス (virtio-balloon)。
  • 準仮想化された乱数ジェネレーター (virtio-rng)
  • 準仮想化グラフィックカード (QXL)
物理的に共有されているデバイス

特定のハードウェアプラットフォームにより、仮想マシンはさまざまなハードウェアデバイスやコンポーネントに直接アクセスできます。このプロセスは、デバイスの割り当て として、または パススルー として知られています。

この方法で接続すると、物理マシンの場合と同様に、物理デバイスの一部の側面が仮想マシンで直接利用できます。これにより、仮想マシンで使用されるデバイスのパフォーマンスが向上します。ただし、仮想マシンに物理的に接続されているデバイスはホストからは利用できず、移行もできません。

それにもかかわらず、いくつかのデバイスは、複数の仮想マシンで 共有 できます。たとえば、場合によっては、1 台の物理デバイスが複数の 仲介デバイス を提供します。これは、異なる仮想マシンに割り当てることができます。

以下の種類のパススルーデバイスに対応します。

  • USB、PCI、および SCSI のパススルー - ゲストソフトウェアで特定の機能が利用できるようにするために、一般的な業界標準のバスを仮想マシンに直接公開します。
  • シングルルート I/O 仮想化 (SR-IOV) - PCI Express リソースのハードウェアで強制された分離を可能にする仕様です。これにより、1 つの物理 PCI リソースを、複数の仮想 PCI 機能に分割する、安全かつ効率的な作業が可能になります。これは、通常、ネットワークインターフェイスカード (NIC) に使用されます。
  • NPIV (N_Port ID virtualization) - 1 つの物理ホストバスアダプター (HBA) を、複数の仮想ポートと共有するファイバーチャネル技術です。
  • GPU および vGPU - 特定のタイプのグラフィックスまたは計算ワークロード用のアクセラレーター。GPU によっては仮想マシンに直接接続できるものもありますが、一部のタイプでは、基本となる物理ハードウェアを共有する仮想 GPU (vGPU) を作成する機能も提供されます。
注記

これらのタイプの一部のデバイスはサポートされていないか、RHEL と互換性がない可能性があります。仮想デバイスのセットアップについてサポートが必要な場合は、Red Hat サポートにお問い合わせください。

10.3. CLI を使用した仮想マシンに接続されたデバイスの管理

仮想マシン (VM) の機能を変更するには、コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用して、仮想マシンに接続されているデバイスを管理できます。

CLI を使用して次のことができます。

10.3.1. 仮想マシンへのデバイスの割り当て

新しい仮想デバイスを割り当てることで、仮想マシンに特定の機能を追加できます。

次の手順では、コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用して仮想デバイスを作成し、仮想マシン (VM) に接続します。一部のデバイスは、RHEL Web コンソールを使用 して仮想マシンに接続することもできます。

たとえば、仮想マシンに新しい仮想ディスクデバイスを割り当てることで、仮想マシンのストレージ容量を増やすことができます。これは、メモリーのホットプラグとも呼ばれます。

警告

仮想マシンからのメモリーデバイスの削除 (メモリーのホットアンプラグ とも呼ばれる) は、RHEL 8 ではサポートされておらず、Red Hat ではその使用を推奨していません。

前提条件

  • 仮想マシンに接続するデバイスに必要なオプションを取得します。特定のデバイスで利用可能なオプションを確認するには、virt-xml --device=? コマンドを使用します。以下に例を示します。

    # virt-xml --network=?
    --network options:
    [...]
    address.unit
    boot_order
    clearxml
    driver_name
    [...]

手順

  1. デバイスを仮想マシンに接続するには、デバイスと必要なオプションの定義を含む virt-xml --add-device コマンドを使用します。

    • たとえば、次は、/var/lib/libvirt/images/ ディレクトリーに 20GB の newdisk qcow2 ディスクイメージを作成し、仮想マシンの次回の起動時にそれを仮想マシンとして、実行中の仮想マシン testguest に接続します。

      # virt-xml testguest --add-device --disk /var/lib/libvirt/images/newdisk.qcow2,format=qcow2,size=20
      Domain 'testguest' defined successfully.
      Changes will take effect after the domain is fully powered off.
    • 以下は、仮想マシンの稼働時に、ホストでバス 002 のデバイス 004 として、仮想マシン testguest2 に接続した USB フラッシュドライブを接続します。

      # virt-xml testguest2 --add-device --update --hostdev 002.004
      Device hotplug successful.
      Domain 'testguest2' defined successfully.

      USB を定義するバスとデバイスの組み合わせは、lsusb コマンドを使用して取得できます。

検証

デバイスが追加されたことを確認するには、次のいずれかを行います。

  • virsh dumpxml コマンドを実行し、デバイスの XML 定義が、仮想マシンの XML 設定の <devices> セクションに追加されました。

    たとえば、以下の出力は、仮想マシン testguest の設定を表示し、002.004 USB フラッシュディスクドライブが追加されていることを確認します。

    # virsh dumpxml testguest
    [...]
    <hostdev mode='subsystem' type='usb' managed='yes'>
      <source>
        <vendor id='0x4146'/>
        <product id='0x902e'/>
        <address bus='2' device='4'/>
      </source>
      <alias name='hostdev0'/>
      <address type='usb' bus='0' port='3'/>
    </hostdev>
    [...]
  • 仮想マシンを実行し、デバイスが存在し、正しく機能しているかどうかをテストします。

関連情報

  • man virt-xml コマンド

10.3.2. 仮想マシンに接続されているデバイスの変更

接続している仮想デバイスの設定を編集することで、仮想マシンの機能を変更できます。たとえば、仮想マシンのパフォーマンスを最適化する場合は、ホストの CPU に合わせて仮想 CPU モデルを変更できます。

以下の手順は、コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用して仮想デバイスを修正する一般的な手順を示しています。ディスクや NIC など、仮想マシンに接続されている一部のディスクは、RHEL 8 Web コンソール で修正できます。

前提条件

  • 仮想マシンに接続するデバイスに必要なオプションを取得します。特定のデバイスで利用可能なオプションを確認するには、virt-xml --device=? コマンドを使用します。以下に例を示します。
# virt-xml --network=?
--network options:
[...]
address.unit
boot_order
clearxml
driver_name
[...]
  • (必要に応じて) virsh dumpxml vm-name を使用してファイルに出力を送って、仮想マシンの XML 設定のバックアップを作成します。たとえば、以下は、testguest1 仮想マシンの設定のバックアップファイル testguest1.xml を作成します。
# virsh dumpxml testguest1 > testguest1.xml
# cat testguest1.xml
<domain type='kvm' xmlns:qemu='http://libvirt.org/schemas/domain/qemu/1.0'>
  <name>testguest1</name>
  <uuid>ede29304-fe0c-4ca4-abcd-d246481acd18</uuid>
  [...]
</domain>

手順

  1. デバイスの定義および必要なオプションを追加して、virt-xml --edit コマンドを使用します。

    たとえば、次のようにすると、停止する仮想マシン testguest<cpu> 設定を削除し、host-model に設定します。

    # virt-xml testguest --edit --cpu host-model,clearxml=yes
    Domain 'testguest' defined successfully.

検証

デバイスが変更されたことを確認するには、次のいずれかを行います。

  • デバイスが存在し、変更を反映する場合は、仮想マシンを実行してテストします。
  • virsh dumpxml コマンドを使用して、デバイスの XML 定義が、仮想マシンの XML 設定で変更されているかどうかを確認します。

    たとえば、次の出力は、仮想マシン testguest の設定を表示し、CPU モードが host-model として設定されていることを確認します。

    # virsh dumpxml testguest
    [...]
    <cpu mode='host-model' check='partial'>
      <model fallback='allow'/>
    </cpu>
    [...]

トラブルシューティング

  • デバイスを変更すると仮想マシンが起動できなくなる場合は、virsh define ユーティリティーを使用して、バックアップとして作成しておいた XML 設定ファイルを再読み込みして XML 設定を復元します。

    # virsh define testguest.xml
注記

仮想マシンの XML 設定を変更する場合は、virsh edit コマンド (virsh edit testguest など) も使用できます。ただし、より詳細な変更にはこの方法を使用しないでください。設定を壊し、仮想マシンの起動を妨げる可能性が高くなります。

関連情報

  • man virt-xml コマンド

10.3.3. 仮想マシンからのデバイスの削除

仮想デバイスを削除することで、仮想マシンの機能を変更できます。たとえば、仮想マシンから仮想ディスクデバイスが不要になった場合は、削除できます。

次の手順は、コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用して、仮想マシンから仮想デバイスを削除する方法を示しています。RHEL 8 Web コンソールを使用して、ディスクや NIC などの一部のデバイスも仮想マシンから削除できます。

前提条件

  • (必要に応じて) virsh dumpxml vm-name を使用してファイルに出力を送って、仮想マシンの XML 設定のバックアップを作成します。たとえば、以下は、testguest1 仮想マシンの設定のバックアップファイル testguest1.xml を作成します。
# virsh dumpxml testguest1 > testguest1.xml
# cat testguest1.xml
<domain type='kvm' xmlns:qemu='http://libvirt.org/schemas/domain/qemu/1.0'>
  <name>testguest1</name>
  <uuid>ede29304-fe0c-4ca4-abcd-d246481acd18</uuid>
  [...]
</domain>

手順

  1. デバイスの定義を付けて、virt-xml --remove-device コマンドを使用します。以下に例を示します。

    • 以下は、シャットダウン後に、稼働中の仮想マシン testguest から vdb としてマークされているストレージデバイスを削除します。

      # virt-xml testguest --remove-device --disk target=vdb
      Domain 'testguest' defined successfully.
      Changes will take effect after the domain is fully powered off.
    • 次は、稼働中の稼働マシン testguest2 からすぐに USB フラッシュドライブデバイスを削除します。

      # virt-xml testguest2 --remove-device --update --hostdev type=usb
      Device hotunplug successful.
      Domain 'testguest2' defined successfully.

トラブルシューティング

  • デバイスを取り外すと仮想マシンが起動できなくなる場合は、virsh define ユーティリティーを使用して、バックアップとして作成しておいた XML 設定ファイルを再読み込みして XML 設定を復元します。

    # virsh define testguest.xml

関連情報

  • man virt-xml コマンド

10.4. Web コンソールを使用したホストデバイスの管理

仮想マシン (VM) の機能を変更するには、RHEL 8 Web コンソールを使用して、仮想マシンに接続されているホストデバイスを管理します。

ホストデバイスは、ホストシステムに接続されている物理デバイスです。要件に基づいて、仮想マシンがこれらのハードウェアデバイスおよびコンポーネントに直接アクセスできるようにすることができます。

Web コンソールを使用して以下を行うことができます。

10.4.1. Web コンソールを使用した仮想マシンに接続されているデバイスの表示

仮想マシンに接続されているデバイスを追加または変更する前に、仮想マシンに接続されているデバイスを表示できます。以下の手順では、Web コンソールを使用してこのようなデバイスを表示する方法を説明します。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、情報を表示する仮想マシンを選択します。

    仮想マシンの詳細情報を含む新しいページが開きます。

    仮想マシンインターフェイスを表示するページ。
  2. ホストデバイス セクションまでスクロールします。

    仮想マシンのホストデバイスセクションを表示するページ。

10.4.2. Web コンソールを使用した仮想マシンへのデバイスの接続

仮想マシン (VM) に特定の機能を追加するには、Web コンソールを使用してホストデバイスを仮想マシンに接続します。

注記

複数のホストデバイスを同時に接続することはできません。一度に接続できるデバイスは 1 つだけです。

詳細は、RHEL 8 Known Issues を参照してください。

前提条件

  • PCI デバイスを接続している場合は、hostdev 要素の managed 属性のステータスが、yes に設定されていることを確認してください。

    注記

    PCI デバイスを仮想マシンに接続するときは、hostdev 要素の managed 属性を省略したり、no に設定したりしないでください。設定している場合は、PCI デバイスを仮想マシンに渡すときに、PCI デバイスをホストから自動的に切り離すことができなくなります。また、仮想マシンをオフにしたときに、ホストに自動的に再接続することもできません。

    その結果、ホストが応答しなくなったり、予期せずシャットダウンしたりする可能性があります。

    managed 属性のステータスは、仮想マシンの XML 設定で確認できます。次の例では、example-VM-1 仮想マシンの XML 設定を開きます。

    # virsh edit example-VM-1
  • 仮想マシンからの重要なデータのバックアップを作成する。
  • オプション: 仮想マシンの XML 設定をバックアップします。たとえば、example-VM-1 仮想マシンをバックアップするには、次のようにします。

    # virsh dumpxml example-VM-1 > example-VM-1.xml
  • Web コンソールの仮想マシンプラグインがシステムにインストールされている

手順

  1. Virtual Machines インターフェイスで、ホストデバイスを接続する仮想マシンをクリックします。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

  2. Host devices までスクロールします。

    Host devices セクションには、仮想マシンに接続されているデバイスに関する情報と、デバイスを 追加 または 削除 するためのオプションが表示されます。

    選択した仮想マシンのホストデバイスセクションを表示しているイメージ。
  3. ホストデバイスの追加 をクリックします。

    ホストデバイスの追加 ダイアログが表示されます。

    ホストデバイスの追加ダイアログボックスを表示しているイメージ。
  4. VM に接続するデバイスを選択します。
  5. 追加 をクリックします。

    選択したデバイスが仮想マシンに接続されます。

検証

  • VM を実行し、デバイスが ホストデバイス セクションに表示されるかどうかを確認します。

10.4.3. Web コンソールを使用した仮想マシンからのデバイスの削除

リソースを解放するか、仮想マシンの機能を変更するか、その両方を行うには、Web コンソールを使用して仮想マシンを変更し、不要になったホストデバイスを削除します。

警告

デバイスと USB デバイスのバス番号の相関が正しくないため、Web コンソールを使用して接続された USB ホストデバイスを削除できない場合があります。

詳細は、RHEL 8 Known Issues を参照してください。

回避策として、virsh ユーティリティーを使用して、仮想マシンの XML 設定から USB デバイスの <hostdev> 部分を削除します。次の例では、example-VM-1 仮想マシンの XML 設定を開きます。

# virsh edit <example-VM-1>

前提条件

  • Web コンソールの仮想マシンプラグインがシステムにインストールされている
  • オプション: virsh dumpxml example-VM-1 を使用してファイルに出力を送信し、仮想マシンの XML 設定のバックアップを作成します。たとえば、以下は、testguest1 仮想マシンの設定のバックアップファイル testguest1.xml を作成します。

    # virsh dumpxml testguest1 > testguest1.xml
    # cat testguest1.xml
    <domain type='kvm' xmlns:qemu='http://libvirt.org/schemas/domain/qemu/1.0'>
      <name>testguest1</name>
      <uuid>ede29304-fe0c-4ca4-abcd-d246481acd18</uuid>
      [...]
    </domain>

手順

  1. Virtual Machines インターフェイスで、ホストデバイスを削除する仮想マシンをクリックします。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

  2. Host devices までスクロールします。

    Host devices セクションには、仮想マシンに接続されているデバイスに関する情報と、デバイスを 追加 または 削除 するためのオプションが表示されます。

    選択した VM のホストデバイスセクションを表示するイメージ。
  3. VM から削除するデバイスの横にある 削除 ボタンをクリックします。

    デバイスの削除確認ダイアログが表示されます。

    接続されている仮想デバイスを削除するオプションを表示するイメージ。
  4. 削除 をクリックします。

    デバイスが VM から削除されます。

トラブルシューティング

  • ホストデバイスを取り外すことで、仮想マシンが起動できなくなる場合は、virsh define ユーティリティーを使用して、以前にバックアップした XML 設定ファイルを再ロードして XML 設定を復元します。

    # virsh define testguest1.xml

10.5. 仮想 USB デバイスの管理

仮想マシンを使用する場合は、ホストシステムに接続されているフラッシュドライブや Web マッピングなどの USB デバイスにアクセスし、制御できます。このシナリオでは、ホストシステムはデバイスの制御を仮想マシンに渡します。これは USB パススルーとしても知られています。

次のセクションでは、コマンドラインを使用して次のことを行う方法を説明します。

10.5.1. 仮想マシンへの USB デバイスの割り当て

USB デバイスを仮想マシンに割り当てるには、仮想マシンの XML 設定ファイルに USB デバイス情報を追加してください。

前提条件

  • 仮想マシンにパススルーするデバイスがホストに接続されていることを確認します。

手順

  1. 仮想マシンに接続する USB のバスおよびデバイス値を見つけます。

    たとえば、次のコマンドは、ホストに接続されている USB デバイスのリストを表示します。この例で使用するデバイスは、デバイス 005 としてバス 001 にアタッチされています。

    # lsusb
    [...]
    Bus 001 Device 003: ID 2567:0a2b Intel Corp.
    Bus 001 Device 005: ID 0407:6252 Kingston River 2.0
    [...]
  2. --add-device 引数を指定して virt-xml ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、USB フラッシュドライブを example-VM-1 仮想マシンに接続します。

    # virt-xml example-VM-1 --add-device --hostdev 001.005
    Domain 'example-VM-1' defined successfully.
注記

実行中の仮想マシンに USB デバイスを接続するには、--update 引数を直前のコマンドに追加します。

検証

  • 仮想マシンを実行し、デバイスが存在し、予想通りに機能しているかどうかをテストします。
  • virsh dumpxml コマンドを実行し、デバイスの XML 定義が、仮想マシンの XML 設定ファイルの <devices> セクションに追加されたかどうかを確認します。

    # virsh dumpxml example-VM-1
    [...]
    <hostdev mode='subsystem' type='usb' managed='yes'>
      <source>
        <vendor id='0x0407'/>
        <product id='0x6252'/>
        <address bus='1' device='5'/>
      </source>
      <alias name='hostdev0'/>
      <address type='usb' bus='0' port='3'/>
    </hostdev>
    [...]

関連情報

10.5.2. 仮想マシンからの USB デバイスの削除

仮想マシンから USB デバイスを削除するには、仮想マシンの XML 設定から USB デバイス情報を削除してください。

手順

  1. 仮想マシンから削除する USB のバスおよびデバイス値を見つけます。

    たとえば、次のコマンドは、ホストに接続されている USB デバイスのリストを表示します。この例で使用するデバイスは、デバイス 005 としてバス 001 にアタッチされています。

    # lsusb
    [...]
    Bus 001 Device 003: ID 2567:0a2b Intel Corp.
    Bus 001 Device 005: ID 0407:6252 Kingston River 2.0
    [...]
  2. --remove-device 引数を指定して virt-xml ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、example-VM-1 仮想マシンから、バス 001 でデバイス 005 としてホストに接続されている USB フラッシュドライブを削除します。

    # virt-xml example-VM-1 --remove-device --hostdev 001.005
    Domain 'example-VM-1' defined successfully.
注記

実行中の仮想マシンから USB デバイスを削除するには、--update 引数を直前のコマンドに追加します。

検証

  • 仮想マシンを実行して、デバイスのリストから、このデバイスが削除されたかどうかを確認します。

関連情報

10.5.3. スマートカードリーダーの仮想マシンへの割り当て

スマートカードリーダーがホストに割り当てられている場合は、そのホストの仮想マシンが利用できるようにすることもできます。libvirt は、ゲスト仮想マシンにスマートカードインターフェイスを提供する専用の仮想デバイスを提供します。spicevmc デバイスタイプのみを使用することを推奨します。これは、SPICE リモートディスプレイプロトコルを使用して、ホストへの認証要求をトンネル化します。

スマートカードリーダーで標準のデバイスパススルーを使用することは可能ですが、この方法ではホストとゲストシステムの両方でデバイスが利用できるようにはなりません。これにより、スマートカードリーダーを仮想マシンに割り当てると、ホストシステムをロックできました。

重要

SPICE リモートディスプレイプロトコルが RHEL 8 で非推奨になりました。仮想マシンにスマートカードリーダーを割り当てる唯一の推奨される方法は SPICE プロトコルによって異なるため、ゲスト仮想マシンでのスマートカードの使用も RHEL 8 で非推奨となりました。

RHEL の将来のメジャーバージョンでは、スマートカードリーダーを仮想マシンに割り当てる機能は、サードパーティーのリモート可視化ソリューションでのみサポートされる予定です。

前提条件

  • 仮想マシンに渡すスマートカードリーダーがホストに割り当てられていることを確認する。
  • スマートカードリーダーのタイプが、RHEL 8 でサポート対象 である。

手順

  • 仮想スマートカードリーダーデバイスを作成して仮想マシンに割り当てます。たとえば、スマートカードリーダーを testguest 仮想マシンに割り当てるには、以下を実行します。

    # virt-xml testguest --add-device --smartcard mode=passthrough,type=spicevmc
    Domain 'testguest' defined successfully.
    Changes will take effect after the domain is fully powered off.
    注記

    仮想スマートカードリーダーデバイスを実行中の仮想マシンに割り当てるには、--update 引数を直前のコマンドに追加します。

検証

  1. 仮想マシンの XML 設定を表示します。

    # virsh dumpxml testguest
  2. XML 設定に、以下のスマートカードデバイス定義が含まれていることを確認します。

    <smartcard mode='passthrough' type='spicevmc'/>

10.6. 仮想光学ドライブの管理

仮想マシンを使用する場合は、ホストの ISO イメージに保存されている情報にアクセスできます。これを行うには、CD ドライブや DVD ドライブなどの仮想光学ドライブとして、ISO イメージを仮想マシンに割り当てます。

次のセクションでは、コマンドラインを使用して次のことを行う方法を説明します。

10.6.1. 仮想マシンへの光学ドライブの割り当て

ISO イメージを仮想光学ドライブとして割り当てるには、仮想マシンの XML 設定ファイルを編集し、新しいドライブを追加します。

前提条件

  • ISO イメージのパスをホストマシンに保存してコピーしている。

手順

  • --add-device 引数を指定して virt-xml ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、/home/username/Downloads ディレクトリーに保存されている example-ISO-name ISO イメージを example-VM-name 仮想マシンに接続します。

    # virt-xml example-VM-name --add-device --disk /home/username/Downloads/example-ISO-name.iso,device=cdrom
    Domain 'example-VM-name' defined successfully.

検証

  • 仮想マシンを実行し、デバイスが存在し、予想通りに機能しているかどうかをテストします。

関連情報

10.6.2. Web コンソールを使用して実行中の仮想マシンに CD-ROM を追加する

Web コンソールを使用すると、メディアを指定せずに、実行中の仮想マシン (VM) に CD-ROM を挿入できます。

手順

  1. 仮想マシンをシャットダウンします。
  2. ソースイメージを指定せずに仮想 CD-ROM デバイスを接続します。

    # virt-xml vmname --add-device --disk target.dev=sda,device=cdrom
  3. 仮想マシンを実行します。
  4. Web コンソールを開き、仮想マシン インターフェイスで、CD-ROM を接続する仮想マシンをクリックします。
  5. ディスク までスクロールします。

    ディスクセクションには、仮想マシンに割り当てられたディスクに関する情報と、ディスクの 追加削除、または 編集 のオプションが表示されます。

  6. cdrom デバイスの Insert オプションをクリックします。

    cdrom デバイスのディスク行を表示するイメージ。
  7. 添付するファイルの Source を選択します。

    • カスタムパス: ファイルはホストマシン上のカスタムディレクトリーにあります。
    • 既存のものを使用: ファイルは、作成したストレージプールにあります。
  8. Insert をクリックします。

検証

  • 仮想マシン インターフェイスの Disks セクションにファイルが表示されます。

10.6.3. 仮想光学ドライブでの ISO イメージの置き換え

仮想マシンに仮想光学ドライブとして割り当てられた ISO イメージを置き換えるには、仮想マシンの XML 設定ファイルを編集し、別のイメージを指定します。

前提条件

  • ISO イメージをホストマシンに保存している。
  • ISO イメージへのパスを知っている。

手順

  1. CD-ROM が仮想マシンに接続されているターゲットデバイスを見つけます。この情報は、仮想マシンの XML 設定ファイルにあります。

    たとえば、次のコマンドは、example-VM-name 仮想マシンの XML 設定ファイルを表示します。ここでは、CD-ROM のターゲットデバイスは sda です。

    # virsh dumpxml example-VM-name
    ...
    <disk>
      ...
      <source file='$(/home/username/Downloads/example-ISO-name.iso)'/>
      <target dev='sda' bus='sata'/>
      ...
    </disk>
    ...
  2. --edit 引数を指定して virt-xml ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、ターゲットの sdaexample-VM-name 仮想マシンに接続されている example-ISO-name ISO イメージを、/dev/cdrom ディレクトリーに保存されている example-ISO-name-2 ISO イメージに置き換えます。

    # virt-xml example-VM-name --edit target=sda --disk /dev/cdrom/example-ISO-name-2.iso
    Domain 'example-VM-name' defined successfully.

検証

  • 仮想マシンを実行して、デバイスが置き換えられ、想定どおりに機能しているかどうかを確認します。

関連情報

  • man virt-xml コマンド

10.6.4. 仮想光学ドライブからの ISO イメージの削除

仮想マシンに接続されている仮想光学ドライブから ISO イメージを削除するには、仮想マシンの XML 設定ファイルを編集します。

手順

  1. CD-ROM が仮想マシンに接続されているターゲットデバイスを見つけます。この情報は、仮想マシンの XML 設定ファイルにあります。

    たとえば、次のコマンドは、example-VM-name 仮想マシンの XML 設定ファイルを表示します。ここでは、CD-ROM のターゲットデバイスは sda です。

    # virsh dumpxml example-VM-name
    ...
    <disk>
      ...
      <source file='$(/home/username/Downloads/example-ISO-name.iso)'/>
      <target dev='sda' bus='sata'/>
      ...
    </disk>
    ...
  2. --edit 引数を指定して virt-xml ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、example-VM-name 仮想マシンに接続されている CD ドライブから example-ISO-name ISO イメージを削除します。

    # virt-xml example-VM-name --edit target=sda --disk path=
    Domain 'example-VM-name' defined successfully.

検証

  • 仮想マシンを実行し、イメージが使用できなくなっていることを確認します。

関連情報

  • man virt-xml コマンド

10.6.5. 仮想マシンからの光学ドライブの削除

仮想マシンに接続されている光学ドライブを削除するには、仮想マシンの XML 設定ファイルを編集します。

手順

  1. CD-ROM が仮想マシンに接続されているターゲットデバイスを見つけます。この情報は、仮想マシンの XML 設定ファイルにあります。

    たとえば、次のコマンドは、example-VM-name 仮想マシンの XML 設定ファイルを表示します。ここでは、CD-ROM のターゲットデバイスは sda です。

    # virsh dumpxml example-VM-name
    ...
    <disk type='file' device='cdrom'>
      <driver name='qemu' type='raw'/>
      <target dev='sda' bus='sata'/>
      ...
    </disk>
    ...
  2. --remove-device 引数を指定して virt-xml ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、ターゲット sda として接続された光学ドライブを、仮想マシン example-VM-name から削除します。

    # virt-xml example-VM-name --remove-device --disk target=sda
    Domain 'example-VM-name' defined successfully.

検証

  • デバイスが仮想マシンの XML 設定ファイルにリスト表示されていないことを確認します。

関連情報

  • man virt-xml コマンド

10.6.6. Web コンソールを使用した実行中の仮想マシンからの CD-ROM の削除

Web コンソールを使用して、実行中の仮想マシン (VM) から CD-ROM デバイスを取り出すことができます。

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、CD-ROM を削除する仮想マシンをクリックします。
  2. ディスク までスクロールします。

    ディスクセクションには、仮想マシンに割り当てられたディスクに関する情報と、ディスクの 追加削除、または 編集 のオプションが表示されます。

    仮想マシンのディスクセクションを表示するイメージ。
  3. CDROM デバイスの Eject オプションをクリックします。

    Eject media from VM? ダイアログボックスが開きます。

  4. Eject をクリックします。

検証

  • 仮想マシン インターフェイスでは、添付ファイルが Disks セクションに表示されなくなりました。

10.7. SR-IOV デバイスの管理

エミュレートされた仮想デバイスは、多くの場合、ハードウェアネットワークデバイスよりも多くの CPU およびメモリーを使用します。これにより、仮想マシンのパフォーマンスを制限できます。ただし、仮想化ホストのデバイスが SR-IOV (Single Root I/O Virtualization) に対応する場合は、この機能を使用してデバイスのパフォーマンスを向上し、仮想マシンの全体的なパフォーマンスを向上させることができます。

10.7.1. SR-IOV とは

SR-IOV (Single-root I/O virtualization) は、1 つの PCIe (PCI Express) デバイスが、ホストに、複数の個別の PCI デバイス (仮想機能 (VF) と呼ばれます) をホストシステムに表示できるようにする仕様です。このデバイスはそれぞれ以下のようになります。

  • 元の PCIe デバイスと同一または同様のサービスを提供できます。
  • ホストの PCI バス上にある別のアドレスに表示されます。
  • VFIO の割り当てを使用して、別の仮想マシンに割り当てることができます。

たとえば、1 つの SR-IOV 対応ネットワークデバイスが、VF を複数の仮想マシンに提示できます。すべての VF は同じ物理カード、同じネットワーク接続、同じネットワークケーブルを使用しますが、各仮想マシンは直接そのハードウェアネットワークデバイスを制御し、ホストのリソースは使用しません。

SR-IOV の仕組み

SR-IOV 機能は、以下の PCIe 機能の導入により可能になりました。

  • Physical Function (PF) - デバイス (ネットワークなど) の機能をホストに提供しますが、一連の VF を作成して管理することもできる PCIe 機能。SR-IOV 対応の各デバイスには、1 つ以上の PF があります。
  • Virtual Function (VF) - 独立したデバイスとして動作する軽量の PCIe 機能。各 VF は PF から派生します。デバイスが持つことができる VF の最大数は、デバイスのハードウェアによって異なります。各 VF は、一度に 1 台の仮想マシンにのみ割り当てることができますが、1 台の仮想マシンには複数の VF を割り当てることができます。

仮想マシンは、VF を仮想デバイスとして認識します。たとえば、SR-IOV ネットワークデバイスによって作成された VF は、物理ネットワークカードがホストシステムに表示されるのと同じように、割り当てられた仮想マシンへのネットワークカードとして表示されます。

図10.1 SR-IOV アーキテクチャー

virt SR IOV

メリット

エミュレートされたデバイスではなく SR-IOV VF を使用する主な利点は以下のとおりです。

  • パフォーマンスが向上する
  • ホストの CPU およびメモリーリソースの使用が減少する

たとえば、vNIC として仮想マシンに接続する VF は、物理 NIC とほぼ同じレベルで実行され、準仮想化またはエミュレートされた NIC よりもはるかに適しています。特に、複数の VF を 1 台のホスト上で同時に使用する場合に、パフォーマンス上のメリットは重要です。

デメリット

  • PF の設定を変更する場合は、最初に PF により公開される VF の数をゼロに変更する必要があります。したがって、このような VF が提供するデバイスを、デバイスが割り当てられている仮想マシンから削除する必要もあります。
  • SR-IOV VF など、VFIO が割り当てられたデバイスが接続された仮想マシンは、別のホストに移行することができません。場合によっては、割り当てられたデバイスをエミュレートされたデバイスとペアにすることにより、この制限を回避できます。たとえば、割り当てられたネットワーク VF をエミュレートされた vNIC に ボンディング を行い、移行前に VF を削除できます。
  • さらに、VFIO が割り当てたデバイスには仮想マシンのメモリーの固定 (ピニング) が必要になるため、仮想マシンのメモリー消費が増加し、仮想マシンのメモリーバルーンが使用できなくなります。

10.7.2. SR-IOV ネットワークデバイスの仮想マシンへの割り当て

Intel ホストまたは AMD ホストの仮想マシンに SR-IOV ネットワークデバイスを割り当てるには、VF (Virtual Function) をホストの SR-IOV 対応ネットワークインターフェイスから作成し、VF をデバイスとして、指定された仮想マシンに割り当てます。詳細は、次の手順を参照してください。

前提条件

  • ホストの CPU およびファームウェアは、IOMMU (I/O Memory Management Unit) に対応している。

    • Intel CPU を使用している場合は、Intel VT-d (Virtualization Technology for Directed I/O) に対応する必要があります。
    • AMD CPU を使用している場合は、AMD-Vi 機能に対応している必要があります。
  • ホストシステムが、アクセス制御サービス (ACS) を使用して PCIe トポロジーの DMA (Direct Memory Access) 分離を提供している。この点をシステムベンダーに確認してください。

    詳細は、SR-IOV 実装に関するハードウェアの考慮事項 を参照してください。

  • 物理ネットワークデバイスが SR-IOV をサポートしている。システムのネットワークデバイスが SR-IOV に対応しているかどうかを確認するには、lspci -v コマンドを使用して、出力で Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) を探します。

    # lspci -v
    [...]
    02:00.0 Ethernet controller: Intel Corporation 82576 Gigabit Network Connection (rev 01)
    	Subsystem: Intel Corporation Gigabit ET Dual Port Server Adapter
    	Flags: bus master, fast devsel, latency 0, IRQ 16, NUMA node 0
    	Memory at fcba0000 (32-bit, non-prefetchable) [size=128K]
    [...]
    	Capabilities: [150] Alternative Routing-ID Interpretation (ARI)
    	Capabilities: [160] Single Root I/O Virtualization (SR-IOV)
    	Kernel driver in use: igb
    	Kernel modules: igb
    [...]
  • VF の作成に使用するホストのネットワークインターフェイスが実行中である。たとえば、eth1 インターフェイスをアクティブにして、実行していることを確認するには、次のコマンドを実行します。

    # ip link set eth1 up
    # ip link show eth1
    8: eth1: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc mq state UP mode DEFAULT qlen 1000
       link/ether a0:36:9f:8f:3f:b8 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
       vf 0 MAC 00:00:00:00:00:00, spoof checking on, link-state auto
       vf 1 MAC 00:00:00:00:00:00, spoof checking on, link-state auto
       vf 2 MAC 00:00:00:00:00:00, spoof checking on, link-state auto
       vf 3 MAC 00:00:00:00:00:00, spoof checking on, link-state auto
  • SR-IOV デバイス割り当てを有効にするには、ホスト BIOS およびカーネルで IOMMU 機能を有効にする必要があります。これを行うには、以下を行います。

    • Intel ホストで VT-d を有効にします。

      1. intel_iommu=on および iommu=pt パラメーターを使用して GRUB 設定を再生成します。

        # grubby --args="intel_iommu=on iommu=pt" --update-kernel=ALL
      2. ホストを再起動します。
    • AMD ホストで、AMD-Vi を有効にします。

      1. iommu=pt パラメーターで GRUB 設定を再生成します。

        # grubby --args="iommu=pt" --update-kernel=ALL
      2. ホストを再起動します。

手順

  1. (必要に応じて) ネットワークデバイスが使用できる VF の最大数を確認します。これを実行するには、次のコマンドを使用して、eth1 を SR-IOV 互換のネットワークデバイスに置き換えます。

    # cat /sys/class/net/eth1/device/sriov_totalvfs
    7
  2. 次のコマンドを実行して、Virtual Function (VF) を作成します。

    # echo VF-number > /sys/class/net/network-interface/device/sriov_numvfs

    上記コマンドでは、以下のようになります。

    • VF-number には、PF に作成する VF の数を入力します。
    • network-interface は、VF が作成されるネットワークインターフェイスの名前に置き換えます。

    以下の例では、eth1 ネットワークインターフェイスから 2 つの VF を作成します。

    # echo 2 > /sys/class/net/eth1/device/sriov_numvfs
  3. VF が追加されたことを確認します。

    # lspci | grep Ethernet
    82:00.0 Ethernet controller: Intel Corporation 82599ES 10-Gigabit SFI/SFP+ Network Connection (rev 01)
    82:00.1 Ethernet controller: Intel Corporation 82599ES 10-Gigabit SFI/SFP+ Network Connection (rev 01)
    82:10.0 Ethernet controller: Intel Corporation 82599 Ethernet Controller Virtual Function (rev 01)
    82:10.2 Ethernet controller: Intel Corporation 82599 Ethernet Controller Virtual Function (rev 01)
  4. VF の作成に使用したネットワークインターフェイス用の udev ルールを作成して、作成した VF を永続化します。たとえば、eth1 インターフェイスの場合は、/etc/udev/rules.d/eth1.rules ファイルを作成し、以下の行を追加します。

    ACTION=="add", SUBSYSTEM=="net", ENV{ID_NET_DRIVER}=="ixgbe", ATTR{device/sriov_numvfs}="2"

    これにより、ホストの起動時に ixgbe ドライバーを使用する 2 つの VF が eth1 インターフェイスで自動的に利用できるようになります。永続的な SR-IOV デバイスが必要ない場合は、この手順を省略します。

    警告

    現在、Broadcom NetXtreme II BCM57810 アダプターで VF を永続化しようとすると、上記の設定が正しく機能しません。また、このアダプターに基づく VF を Windows 仮想マシンに接続することは、現在信頼性がありません。

  5. 新しく追加された VF インターフェイスデバイスの 1 つを実行中の仮想マシンにホットプラグします。

    # virsh attach-interface testguest1 hostdev 0000:82:10.0 --managed --live --config

検証

  • この手順が成功すると、ゲストオペレーティングシステムが新しいネットワークインターフェイスカードを検出します。

10.7.3. SR-IOV 割り当てに対応しているデバイス

すべてのデバイスを SR-IOV に使用できるわけではありません。以下のデバイスは、RHEL 8 の SR-IOV との互換性がテストおよび検証されています。

ネットワークデバイス

  • Intel 82599ES 10 Gigabit Ethernet Controller - ixgbe ドライバーを使用します。
  • Intel Ethernet Controller XL710 Series - i40e ドライバーを使用します。
  • Mellanox ConnectX-5 Ethernet Adapter Cards - mlx5_core ドライバーを使用します。
  • Intel Ethernet Network Adapter XXV710 - i40e ドライバーを使用します。
  • Intel 82576 Gigabit Ethernet Controller - igb ドライバーを使用します。
  • Broadcom NetXtreme II BCM57810 - bnx2x ドライバーを使用します。
  • QSFP 用イーサネットコントローラー E810-C - Ice ドライバーを使用
  • SFC9220 10/40G イーサネットコントローラー - sfc ドライバーを使用
  • FastLinQ QL41000 シリーズ 10/25/40/50GbE コントローラー - qede ドライバーを使用
  • MT2892 ファミリー [ConnectX-6 Dx] - mlx5_core ドライバーを使用します

ストレージデバイス

  • 不揮発性メモリーコントローラー: Samsung Electronics Co Ltd NVMe SSD コントローラー 172Xa/172Xb (rev 01)
  • 不揮発性メモリーコントローラー: 東芝株式会社 Cx5 NVMe SSD コントローラー (rev 01)

10.8. IBM Z の仮想マシンへの DASD デバイスの割り当て

vfio-ccw 機能を使用すると、直接アクセスストレージデバイス (DASD) を仲介デバイスとして IBM Z ホスト上の仮想マシンに割り当てることができます。これにより、たとえば仮想マシンは z/OS データセットにアクセスできるか、割り当てられた DASD を z/OS マシンに提供できるようになります。

前提条件

  • FICON プロトコルでサポートされる IBM Z ハードウェアアーキテクチャーを備えたシステムがあります。
  • Linux オペレーティングシステムのターゲット VM があります。
  • driverctl パッケージがインストールされている。

    # yum install driverctl
  • ホストに必要な vfio カーネルモジュールがロードされている。

    # lsmod | grep vfio

    このコマンドの出力には、以下のモジュールが含まれている必要があります。

    • vfio_ccw
    • vfio_mdev
    • vfio_iommu_type1
  • 仮想マシンによる排他的使用のために予備の DASD デバイスがあり、そのデバイスの識別子を把握している。

    次の手順では、例として 0.0.002c を使用しています。コマンドを実行する場合は、0.0.002c を DASD デバイスーの ID に置き換えます。

手順

  1. DASD デバイスのサブチャネル識別子を取得します。

    # lscss -d 0.0.002c
    Device   Subchan.  DevType CU Type Use  PIM PAM POM  CHPIDs
    ----------------------------------------------------------------------
    0.0.002c 0.0.29a8  3390/0c 3990/e9 yes  f0  f0  ff   02111221 00000000

    この例では、サブチャンネル ID は 0.0.29a8 として検出されます。以下のコマンドでは、0.0.29a8 を、検出されたデバイスのサブチャンネル ID に置き換えます。

  2. 前の手順の lscss コマンドでヘッダー出力のみが表示され、デバイスインフォメーションが表示されない場合は、以下の手順を実行します。

    1. cio_ignore リストからデバイスを削除します。

      # cio_ignore -r 0.0.002c
    2. ゲスト OS で、仮想マシンの edit the kernel command line を編集し、! マークを使用して、cio_ignore= で始まる行にデバイス識別子を追加します (まだ存在しない場合)。

      cio_ignore=all,!condev,!0.0.002c
    3. ホストで手順 1 を繰り返し、サブチャネル識別子を取得します。
  3. サブチャネルは vfio_ccw パススルードライバーにバインドします。

    # driverctl -b css set-override 0.0.29a8 vfio_ccw
    注記

    これにより、0.0.29a8 サブチャンネルが vfio_ccw に永続的にバインドされます。つまり、DASD はホストコンピューターでは使用できなくなります。ホストでデバイスを使用する必要がある場合は、まず 'vfio_ccw' への自動バインディングを削除し、サブチャンネルをデフォルトドライバーに再バインドする必要があります。

    # driverctl -b css unset-override 0.0.29a8

  4. DASD 仲介デバイスを定義して起動します。

    # cat nodedev.xml
    <device>
        <parent>css_0_0_29a8</parent>
        <capability type="mdev">
            <type id="vfio_ccw-io"/>
        </capability>
    </device>
    
    # virsh nodedev-define nodedev.xml
    Node device 'mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8' defined from 'nodedev.xml'
    
    # virsh nodedev-start mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8
    Device mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8 started
  5. 実行中の場合は、仮想マシンをシャットダウンします。
  6. 以前に定義したデバイスの UUID を表示し、次の手順のために保存します。

    # virsh nodedev-dumpxml mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8
    
    <device>
      <name>mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8</name>
      <parent>css_0_0_29a8</parent>
      <capability type='mdev'>
        <type id='vfio_ccw-io'/>
        <uuid>30820a6f-b1a5-4503-91ca-0c10ba12345a</uuid>
        <iommuGroup number='0'/>
        <attr name='assign_adapter' value='0x02'/>
        <attr name='assign_domain' value='0x002b'/>
      </capability>
    </device>
  7. 仲介デバイスを仮想マシンに接続します。これを行うには、virsh edit ユーティリティーを使用して仮想マシンの XML 設定を編集し、以下のセクションを XML に追加します。uuid の値は、前の手順で取得した UUID に置き換えます。

    <hostdev mode='subsystem' type='mdev' model='vfio-ccw'>
      <source>
        <address uuid="30820a6f-b1a5-4503-91ca-0c10ba12345a"/>
      </source>
    </hostdev>
  8. オプション: ホストの起動時に自動的に開始するように仲介デバイスを設定します。

    # virsh nodedev-autostart mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8

検証

  1. 仲介デバイスが正しく設定されていることを確認します。

    # virsh nodedev-info mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8
    Name:           mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8
    Parent:         css_0_0_0121
    Active:         yes
    Persistent:     yes
    Autostart:      yes
  2. libvirt が仲介 DASD デバイスに割り当てた識別子を取得します。これを行うには、仮想マシンの XML 設定を表示して、vfio-ccw デバイスを見つけます。

    # virsh dumpxml vm-name
    
    <domain>
    [...]
        <hostdev mode='subsystem' type='mdev' managed='no' model='vfio-ccw'>
          <source>
            <address uuid='10620d2f-ed4d-437b-8aff-beda461541f9'/>
          </source>
          <alias name='hostdev0'/>
          <address type='ccw' cssid='0xfe' ssid='0x0' devno='0x0009'/>
        </hostdev>
    [...]
    </domain>

    この例では、デバイスに割り当てられた識別子は 0.0.0009 です。

  3. 仮想マシンを起動し、ゲスト OS にログインします。
  4. ゲスト OS で、DASD デバイスがリストされていることを確認します。以下に例を示します。

    # lscss | grep 0.0.0009
    0.0.0009 0.0.0007  3390/0c 3990/e9      f0  f0  ff   12212231 00000000
  5. ゲスト OS で、デバイスをオンラインに設定します。以下に例を示します。

    # chccwdev -e 0.0009
    Setting device 0.0.0009 online
    Done

10.9. Web コンソールを使用した仮想マシンへのウォッチドッグデバイスの接続

仮想マシン (VM) が応答を停止したときに指定されたアクションを強制的に実行するには、仮想ウォッチドッグデバイスを仮想マシンに接続します。

前提条件

手順

  1. コマンドラインインターフェイスで、ウォッチドッグサービスをインストールします。

    # yum install watchdog

  2. 仮想マシンをシャットダウンします。
  3. ウォッチドッグサービスを仮想マシンに追加します。

    # virt-xml vmname  --add-device --watchdog action=reset --update

  4. 仮想マシンを実行します。
  5. Web コンソールを開き、Web コンソールの 仮想マシン インターフェイスで、ウォッチドッグデバイスを追加する仮想マシンをクリックします。
  6. 概要ペインの Watchdog フィールドの横にある add をクリックします。

    Add watchdog device type ダイアログが表示されます。

  7. 仮想マシンが応答を停止した場合にウォッチドッグデバイスが実行するアクションを選択します。

    ウォッチドッグデバイスタイプの追加ダイアログボックスを表示するイメージ。
  8. Add をクリックします。

検証

  • 選択したアクションは、Overview ペインの Watchdog フィールドの横に表示されます。

10.10. IBM Z の仮想マシンへの PCI デバイスの接続

vfio-pci デバイスドライバーを使用すると、パススルーモードで PCI デバイスを IBM Z ホストの仮想マシン (VM) に割り当てることができます。たとえば、これにより、仮想マシンはデータベースの処理に NVMe フラッシュディスクを使用できるようになります。

前提条件

  • IBM Z ハードウェアアーキテクチャーを備えたホストシステムがあります。
  • Linux オペレーティングシステムのターゲット VM があります。
  • ホストに必要な vfio カーネルモジュールがロードされている。

    # lsmod | grep vfio

    このコマンドの出力には、以下のモジュールが含まれている必要があります。

    • vfio_pci
    • vfio_pci_core
    • vfio_iommu_type1

手順

  1. 使用するデバイスの PCI アドレス識別子を取得します。

    # lspci -nkD
    
    0000:00:00.0 0000: 1014:04ed
    	Kernel driver in use: ism
    	Kernel modules: ism
    0001:00:00.0 0000: 1014:04ed
    	Kernel driver in use: ism
    	Kernel modules: ism
    0002:00:00.0 0200: 15b3:1016
    	Subsystem: 15b3:0062
    	Kernel driver in use: mlx5_core
    	Kernel modules: mlx5_core
    0003:00:00.0 0200: 15b3:1016
    	Subsystem: 15b3:0062
    	Kernel driver in use: mlx5_core
    	Kernel modules: mlx5_core
  2. PCI デバイスを接続する仮想マシンの XML 設定を開きます。

    # virsh edit vm-name
  3. 以下の <hostdev> 設定を XML ファイルの <devices> セクションに追加します。

    address 行の値を、デバイスの PCI アドレスに置き換えます。たとえば、デバイスアドレスが 0003:00:00.0 の場合は、以下の設定を使用します。

    <hostdev mode="subsystem" type="pci" managed="yes">
      <driver name="vfio"/>
       <source>
        <address domain="0x0003" bus="0x00" slot="0x00" function="0x0"/>
       </source>
       <address type="pci"/>
    </hostdev>
  4. オプション: ゲストオペレーティングシステムが PCI デバイスを検出する方法を変更するには、<zpci> サブ要素を <address> 要素に追加することもできます。<zpci> 行では、uid 値と fid 値を調整できます。これにより、ゲストオペレーティングシステムのデバイスの PCI アドレスと機能 ID が変更されます。

    <hostdev mode="subsystem" type="pci" managed="yes">
      <driver name="vfio"/>
       <source>
        <address domain="0x0003" bus="0x00" slot="0x00" function="0x0"/>
       </source>
       <address type="pci">
         <zpci uid="0x0008" fid="0x001807"/>
       </address>
    </hostdev>

    この例では、以下のように設定されています。

    • uid="0x0008" は、仮想マシンのデバイスのドメイン PCI アドレスを 0008:00:00.0 に設定します。
    • fid="0x001807" は、デバイスのスロット値を 0x001807 に設定します。これにより、仮想マシンのファイルシステムのデバイス設定が /sys/bus/pci/slots/00001087/address に保存されます。

      これらの値が指定されていない場合は、libvirt がこれらの値を自動的に設定します。

  5. XML 設定を保存します。
  6. 仮想マシンが実行中の場合はシャットダウンします。

    # virsh shutdown vm-name

検証

  1. 仮想マシンを起動し、ゲストオペレーティングシステムにログインします。
  2. ゲストオペレーティングシステムで、PCI デバイスがリストされていることを確認します。

    たとえば、デバイスアドレスが 0003:00:00.0 の場合は、次のコマンドを使用します。

    # lspci -nkD | grep 0003:00:00.0
    
    0003:00:00.0 8086:9a09 (rev 01)

第11章 仮想マシン用のストレージの管理

仮想マシンは、物理マシンと同様に、データ、プログラム、およびシステムファイル用にストレージを必要とします。仮想マシン管理者は、物理ストレージまたはネットワークベースのストレージを仮想マシンに仮想ストレージとして割り当てることができます。また、基本となるハードウェアに関係なく、ストレージを仮想マシンに表示する方法を変更することもできます。

次のセクションでは、仮想マシンのストレージの種類、その機能、および CLI または Web コンソールを使用してそれらを管理する方法を説明します。

11.1. 仮想マシンのストレージの概要

仮想マシンのストレージを初めて使用するユーザー、またはその仕組みがよくわからないユーザー向けに、次のセクションでは仮想マシンストレージのさまざまなコンポーネントの概要、その機能、管理の基本、Red Hat が提供するサポートされるソリューションを説明します。

以下の情報が記載されています。

11.1.1. ストレージプールの概要

ストレージプールは、仮想マシンにストレージを提供するために、libvirt が管理するファイル、ディレクトリー、またはストレージデバイスです。ストレージプールは、ストレージボリュームに分割できます。ストレージボリュームは、仮想マシンイメージを保存するか、追加のストレージとして仮想マシンに割り当てられます。

さらに、複数の仮想マシンが同じストレージプールを共有できるため、ストレージリソースの割り当てが改善されます。

  • ストレージプールは永続的または一時的なものにできます。

    • 永続ストレージプールは、ホストマシンのシステムを再起動しても維持します。この virsh pool-define を使用して、永続ストレージプールを作成できます。
    • 一時的なストレージプールは、ホストが再起動すると削除されます。virsh pool-create コマンドを使用すると、一時的なストレージプールを作成できます。

ストレージプールのストレージタイプ

ストレージプールは、ローカルまたはネットワークベース (共有) にできます。

  • ローカルストレージのプール

    ローカルストレージプールは、ホストサーバーに直接割り当てることができます。これには、ローカルデバイスのローカルディレクトリー、直接接続したディスク、物理パーティション、および論理ボリューム管理 (LVM) ボリュームグループが含まれます。

    ローカルストレージプールは、移行を必要としない、または仮想マシンが多数存在する、開発、テスト、および小規模なデプロイメントに役立ちます。

  • ネットワーク (共有) ストレージプール

    ネットワークストレージプールには、標準プロトコルを使用してネットワーク経由で共有されるストレージデバイスが含まれます。

11.1.2. ストレージボリュームの概要

ストレージプールは、ストレージボリューム に分類されます。ストレージボリュームは、libvirt が処理する物理パーティション、LVM 論理ボリューム、ファイルベースのディスクイメージ、その他のストレージタイプの抽象化です。ストレージボリュームは、基盤となるハードウェアに関係なく、ローカルのストレージデバイス (ディスクなど) として仮想マシンに表示されます。

ホストマシンでは、ストレージボリュームは、その名前と、そこから派生するストレージプールの識別子で参照されます。virsh コマンドラインでは、--pool storage_pool volume_name の形式を取ります。

たとえば、guest_images プールにある firstimage という名前のボリュームに関する情報を表示するには、次のコマンドを実行します。

# virsh vol-info --pool guest_images firstimage
  Name:             firstimage
  Type:             block
  Capacity:         20.00 GB
  Allocation:       20.00 GB

11.1.3. libvirt を使用したストレージ管理

libvirt リモートプロトコルを使用して、仮想マシンストレージのあらゆる側面を管理できます。これらの操作は、リモートホストで実行することもできます。したがって、RHEL Web コンソールなどの libvirt を使用する管理アプリケーションを使用して、仮想マシンのストレージを設定するために必要なすべてのタスクを実行できます。

libvirt の API を使用すると、ストレージプールのボリュームリストを照会したり、そのストレージプールの容量、割り当て、利用可能なストレージに関する情報を取得したりできます。それに対応するストレージプールの場合は、libvirt の API を使用して、ストレージボリュームを作成、クローン作成、サイズ変更、および削除することもできます。また、libvirt API を使用してデータをストレージボリュームにアップロードしたり、ストレージボリュームからデータをダウンロードしたり、ストレージボリュームのデータを消去したりできます。

11.1.4. ストレージ管理の概要

ストレージの管理で利用可能なオプションを説明するため、以下の例では、mount -t nfs nfs.example.com:/path/to/share /path/to/data を使用するサンプルの NFS サーバーを説明します。

ストレージ管理者は、以下を実行できます。

  • 仮想ホストに NFS ストレージプールを定義し、エクスポートするサーバーパスと、クライアントのターゲットパスを記述できます。その結果、libvirt は、libvirt の起動時に自動的に、または libvirt の実行中に必要に応じてストレージをマウントできます。
  • ストレージプールとストレージボリュームは、名前で仮想マシンに追加するだけです。ターゲットパスをボリュームに追加する必要はありません。そのため、ターゲットのクライアントパスが変更しても、仮想マシンには影響を及ぼしません。
  • ストレージプールを自動起動するように設定できます。これを行うと、libvirt は、libvirt の起動時に指定したディレクトリーに、NFS 共有ディスクを自動的にマウントします。libvirt は、コマンド mount nfs.example.com:/path/to/share /vmdata と同様に、指定したディレクトリーに共有をマウントします。
  • libvirt の API を使用して、ストレージボリュームパスをクエリーできます。このようなストレージボリュームは、基本的には NFS 共有ディスクにあるファイルです。その後、これらのパスを、仮想マシンのブロックデバイスのソースストレージを説明する仮想マシンの XML 定義のセクションにコピーできます。
  • NFS の場合は、libvirt の API を使用するアプリケーションを使用して、ストレージプール (NFS 共有内のファイル) にあるストレージボリュームを、プールのサイズ (共有のストレージ容量) の上限まで作成および削除できます。

    すべてのストレージプールタイプがボリュームの作成および削除に対応しているわけではないことに注意してください。

  • ストレージプールは、不要になったときに停止できます。ストレージプールを停止する (pool-destroy) と、開始操作が取り消されます。この場合は、NFS 共有のマウントが解除されます。コマンドの名前が記載されているにも関わらず、共有上のデータは destroy 操作で修正されません。詳細は、man virsh を参照してください。

11.1.5. 対応しているストレージプールのタイプと、対応していないストレージプールのタイプ

対応しているストレージプールの種類

以下は、RHEL で対応しているストレージプールタイプのリストです。

  • ディレクトリーベースのストレージプール
  • ディスクベースのストレージプール
  • パーティションベースのストレージプール
  • GlusterFS ストレージプール
  • iSCSI ベースのストレージプール
  • LVM ベースのストレージプール
  • NFS ベースのストレージプール
  • vHBA デバイスを使用した SCSI ベースのストレージプール
  • マルチパスベースのストレージプール
  • RBD ベースのストレージプール

対応していないストレージプールの種類

以下は、RHEL で対応していない libvirt ストレージプールタイプのリストです。

  • sheepdog ベースのストレージプール
  • vstorage ベースのストレージプール
  • ZFS ベースのストレージプール

11.2. CLI を使用した仮想マシンストレージプールの管理

CLI を使用して、ストレージプールの次の側面を管理し、仮想マシン (VM) にストレージを割り当てることができます。

11.2.1. CLI でストレージプール情報の表示

CLI を使用して、ストレージプールに関する詳細の一部またはすべてが含まれるストレージプールのリストを表示できます。また、リスト表示されているストレージプールにフィルターをかけることもできます。

手順

  • virsh pool-list コマンドを使用して、ストレージプール情報を表示します。

    # virsh pool-list --all --details
     Name                State    Autostart  Persistent    Capacity  Allocation   Available
     default             running  yes        yes          48.97 GiB   23.93 GiB   25.03 GiB
     Downloads           running  yes        yes         175.62 GiB   62.02 GiB  113.60 GiB
     RHEL-Storage-Pool   running  yes        yes         214.62 GiB   93.02 GiB  168.60 GiB

関連情報

  • virsh pool-list --help コマンド

11.2.2. CLI でディレクトリーベースのストレージプールの作成

ディレクトリーベースのストレージプールは、マウントされている既存のファイルシステムのディレクトリーを基にしています。これは、たとえば、ファイルシステムの残りの領域を他の目的で使用する場合に役立ちます。virsh ユーティリティーを使用して、ディレクトリーベースのストレージプールを作成できます。

前提条件

  • ハイパーバイザーがディレクトリーのストレージプールをサポートしていることを確認します。

    # virsh pool-capabilities | grep "'dir' supported='yes'"

    コマンドの出力が表示される場合には、ディレクトリープールはサポートの対象です。

手順

  1. ストレージプールを作成します。

    virsh pool-define-as コマンドを使用し、ディレクトリータイプのストレージプールを定義して作成します。たとえば、 /guest_images ディレクトリーを使用する guest_images_dir という名前のストレージプールを作成するには以下を実行します。

    # virsh pool-define-as guest_images_dir dir --target "/guest_images"
    Pool guest_images_dir defined

    作成するストレージプールの XML 設定がすでにある場合は、XML を基にプールを定義することもできます。詳細は、Directory-based storage pool parameters を参照してください。

  2. ストレージプールのターゲットパスの作成

    virsh pool-build コマンドを使用して、フォーマット済みファイルシステムのストレージプール用のストレージプールターゲットパスを作成し、ストレージソースデバイスを初期化し、データのフォーマットを定義します。

    # virsh pool-build guest_images_dir
      Pool guest_images_dir built
    
    # ls -la /guest_images
      total 8
      drwx------.  2 root root 4096 May 31 19:38 .
      dr-xr-xr-x. 25 root root 4096 May 31 19:38 ..
  3. プールが作成されたことを確認します。

    virsh pool-list コマンドを使用して、プールが作成されたことを確認します。

    # virsh pool-list --all
    
      Name                 State      Autostart
      -----------------------------------------
      default              active     yes
      guest_images_dir     inactive   no
  4. ストレージプールを起動します。

    virsh pool-start コマンドを使用して、ストレージプールをマウントします。

    # virsh pool-start guest_images_dir
      Pool guest_images_dir started
    注記

    virsh pool-start コマンドは、永続ストレージプールにのみ必要です。一時的なストレージプールは、作成時に自動的に起動します。

  5. (必要に応じて) 自動起動をオンにします。

    デフォルトでは、virsh コマンドで定義されたストレージプールは、仮想化サービスが起動するたびに自動的に起動するようには設定されていません。virsh pool-autostart コマンドを使用して、ストレージプールが自動的に起動するように設定します。

    # virsh pool-autostart guest_images_dir
      Pool guest_images_dir marked as autostarted

検証

  • virsh pool-info コマンドを使用して、ストレージプールが running 状態であることを確認します。報告されるサイズが期待どおりであるか、また、自動開始が正しく設定されているかを確認してください。

    # virsh pool-info guest_images_dir
      Name:           guest_images_dir
      UUID:           c7466869-e82a-a66c-2187-dc9d6f0877d0
      State:          running
      Persistent:     yes
      Autostart:      yes
      Capacity:       458.39 GB
      Allocation:     197.91 MB
      Available:      458.20 GB

11.2.3. CLI でディスクベースのストレージプールの作成

ディスクベースのストレージプールでは、プールはディスクパーティションに基づいています。これは、たとえば、ディスクパーティション全体を仮想マシン (VM) ストレージ専用にする場合に便利です。virsh ユーティリティーを使用して、ディスクベースのストレージプールを作成できます。

前提条件

  • ハイパーバイザーがディスクベースのストレージプールをサポートしていることを確認します。

    # virsh pool-capabilities | grep "'disk' supported='yes'"

    コマンドの出力が表示される場合には、ディスクベースのプールはサポートの対象です。

  • ストレージプールのベースとなるデバイスを準備します。この目的のために、パーティション (/dev/sdb1 など) または LVM ボリュームを優先します。ディスク全体またはブロックデバイス (/dev/sdb など) への書き込みアクセスを仮想マシンに提供すると、その仮想マシンはそれをパーティション分割するか、その上に独自の LVM グループを作成する可能性があります。これにより、ホストでシステムエラーが発生する可能性があります。

    ただし、ストレージプールにブロックデバイス全体を使用する必要がある場合、Red Hat は、デバイス上の重要なパーティションを GRUB の os-prober 機能から保護することを推奨します。これを行うには、/etc/default/grub ファイルを編集して、次のいずれかの設定を適用します。

    • os-prober を無効にします。

      GRUB_DISABLE_OS_PROBER=true
    • os-prober が特定のパーティションを検出しないようにします。以下に例を示します。

      GRUB_OS_PROBER_SKIP_LIST="5ef6313a-257c-4d43@/dev/sdb1"
  • ストレージプールを作成する前に、選択したストレージデバイス上のデータをバックアップします。使用されている libvirt のバージョンに応じて、ディスクをストレージプール専用にすると、現在ディスクデバイスに格納されているすべてのデータが再フォーマットされて消去される可能性があります。

手順

  1. ストレージプールを作成します。

    virsh pool-define-as コマンドを使用し、ディスクタイプのストレージプールを定義して作成します。次の例では、/dev/sdb デバイスを使用する guest_images_disk という名前のストレージプールを作成します。

    # virsh pool-define-as guest_images_disk disk --source-format=gpt --source-dev=/dev/sdb --target /dev
    Pool guest_images_disk defined

    作成するストレージプールの XML 設定がすでにある場合は、XML を基にプールを定義することもできます。詳細は、Disk-based storage pool parameters を参照してください。

  2. ストレージプールのターゲットパスの作成

    virsh pool-build コマンドを使用して、フォーマット済みファイルシステムのストレージプール用のストレージプールターゲットパスを作成し、ストレージソースデバイスを初期化し、データのフォーマットを定義します。

    # virsh pool-build guest_images_disk
      Pool guest_images_disk built
    注記

    ターゲットパスの構築は、ディスクベース、ファイルシステムベース、論理ストレージプールにのみ必要です。libvirt は、overwrite オプションが指定されている場合を除き、ソースストレージデバイスのデータフォーマットが、選択したストレージプールタイプと異なることを検出すると、ビルドに失敗します。

  3. プールが作成されたことを確認します。

    virsh pool-list コマンドを使用して、プールが作成されたことを確認します。

    # virsh pool-list --all
    
      Name                 State      Autostart
      -----------------------------------------
      default              active     yes
      guest_images_disk    inactive   no
  4. ストレージプールを起動します。

    virsh pool-start コマンドを使用して、ストレージプールをマウントします。

    # virsh pool-start guest_images_disk
      Pool guest_images_disk started
    注記

    virsh pool-start コマンドは、永続ストレージプールにのみ必要です。一時的なストレージプールは、作成時に自動的に起動します。

  5. (必要に応じて) 自動起動をオンにします。

    デフォルトでは、virsh コマンドで定義されたストレージプールは、仮想化サービスが起動するたびに自動的に起動するようには設定されていません。virsh pool-autostart コマンドを使用して、ストレージプールが自動的に起動するように設定します。

    # virsh pool-autostart guest_images_disk
      Pool guest_images_disk marked as autostarted

検証

  • virsh pool-info コマンドを使用して、ストレージプールが running 状態であることを確認します。報告されるサイズが期待どおりであるか、また、自動開始が正しく設定されているかを確認してください。

    # virsh pool-info guest_images_disk
      Name:           guest_images_disk
      UUID:           c7466869-e82a-a66c-2187-dc9d6f0877d0
      State:          running
      Persistent:     yes
      Autostart:      yes
      Capacity:       458.39 GB
      Allocation:     197.91 MB
      Available:      458.20 GB

11.2.4. CLI でファイルシステムベースのストレージプールの作成

マウントされていないファイルシステムにストレージプールを作成する場合は、ファイルシステムベースのストレージプールを使用します。このストレージプールは、指定のファイルシステムのマウントポイントを基にしています。virsh ユーティリティーを使用すると、ファイルシステムベースのストレージプールを作成できます。

前提条件

  • ハイパーバイザーがファイルシステムベースのストレージプールをサポートしていることを確認します。

    # virsh pool-capabilities | grep "'fs' supported='yes'"

    コマンドの出力が表示される場合には、ファイルベースのストレージプールはサポートの対象です。

  • ストレージプールのベースとなるデバイスを準備します。この目的のために、パーティション (/dev/sdb1 など) または LVM ボリュームを優先します。ディスク全体またはブロックデバイス (/dev/sdb など) への書き込みアクセスを仮想マシンに提供すると、その仮想マシンはそれをパーティション分割するか、その上に独自の LVM グループを作成する可能性があります。これにより、ホストでシステムエラーが発生する可能性があります。

    ただし、ストレージプールにブロックデバイス全体を使用する必要がある場合、Red Hat は、デバイス上の重要なパーティションを GRUB の os-prober 機能から保護することを推奨します。これを行うには、/etc/default/grub ファイルを編集して、次のいずれかの設定を適用します。

    • os-prober を無効にします。

      GRUB_DISABLE_OS_PROBER=true
    • os-prober が特定のパーティションを検出しないようにします。以下に例を示します。

      GRUB_OS_PROBER_SKIP_LIST="5ef6313a-257c-4d43@/dev/sdb1"

手順

  1. ストレージプールを作成します。

    virsh pool-define-as コマンドを使用し、ファイルシステムタイプのストレージプールを定義して作成します。たとえば、/dev/sdc1 パーティションを使用し、/guest_images ディレクトリーにマウントされるストレージプールに guest_images_fs という名前を指定して作成するには以下を実行します。

    # virsh pool-define-as guest_images_fs fs --source-dev /dev/sdc1 --target /guest_images
    Pool guest_images_fs defined

    作成するストレージプールの XML 設定がすでにある場合は、XML を基にプールを定義することもできます。詳細は、Filesystem-based storage pool parameters を参照してください。

  2. ストレージプールのターゲットパスの定義

    virsh pool-build コマンドを使用して、フォーマット済みファイルシステムのストレージプール用のストレージプールターゲットパスを作成し、ストレージソースデバイスを初期化し、データのフォーマットを定義します。

    # virsh pool-build guest_images_fs
      Pool guest_images_fs built
    
    # ls -la /guest_images
      total 8
      drwx------.  2 root root 4096 May 31 19:38 .
      dr-xr-xr-x. 25 root root 4096 May 31 19:38 ..
  3. プールが作成されたことを確認します。

    virsh pool-list コマンドを使用して、プールが作成されたことを確認します。

    # virsh pool-list --all
    
      Name                 State      Autostart
      -----------------------------------------
      default              active     yes
      guest_images_fs      inactive   no
  4. ストレージプールを起動します。

    virsh pool-start コマンドを使用して、ストレージプールをマウントします。

    # virsh pool-start guest_images_fs
      Pool guest_images_fs started
    注記

    virsh pool-start コマンドは、永続ストレージプールにのみ必要です。一時的なストレージプールは、作成時に自動的に起動します。

  5. オプション: 自動起動をオンにします。

    デフォルトでは、virsh コマンドで定義されたストレージプールは、仮想化サービスが起動するたびに自動的に起動するようには設定されていません。virsh pool-autostart コマンドを使用して、ストレージプールが自動的に起動するように設定します。

    # virsh pool-autostart guest_images_fs
      Pool guest_images_fs marked as autostarted

検証

  1. virsh pool-info コマンドを使用して、ストレージプールが running 状態であることを確認します。報告されるサイズが期待どおりであるか、また、自動開始が正しく設定されているかを確認してください。

    # virsh pool-info guest_images_fs
      Name:           guest_images_fs
      UUID:           c7466869-e82a-a66c-2187-dc9d6f0877d0
      State:          running
      Persistent:     yes
      Autostart:      yes
      Capacity:       458.39 GB
      Allocation:     197.91 MB
      Available:      458.20 GB
  2. ファイルシステムのターゲットパスに lost+found ディレクトリーがあることを確認します。これは、デバイスがマウントされていることを示しています。

    # mount | grep /guest_images
      /dev/sdc1 on /guest_images type ext4 (rw)
    
    # ls -la /guest_images
      total 24
      drwxr-xr-x.  3 root root  4096 May 31 19:47 .
      dr-xr-xr-x. 25 root root  4096 May 31 19:38 ..
      drwx------.  2 root root 16384 May 31 14:18 lost+found

11.2.5. CLI で GlusterFS ベースのストレージプールの作成

GlusterFS は、FUSE (File System in Userspace) ソフトウェアインターフェイスを使用するユーザー空間のファイルシステムです。Gluster サーバーにストレージプールが必要な場合は、virsh ユーティリティーを使用して GlusterFS ベースのストレージプールを作成できます。

前提条件

  • ホストに GlusterFS ベースのストレージプールを作成する前に、GlusterFS を準備します。

    1. 次のコマンドを使用してそのステータスをリスト表示して、Gluster サーバーの IP アドレスを取得します。

      # gluster volume status
      Status of volume: gluster-vol1
      Gluster process                           Port	Online	Pid
      ------------------------------------------------------------
      Brick 222.111.222.111:/gluster-vol1       49155	  Y    18634
      
      Task Status of Volume gluster-vol1
      ------------------------------------------------------------
      There are no active volume tasks
    2. glusterfs-fuse パッケージがインストールされていない場合はインストールします。
    3. virt_use_fusefs ブール値が有効になっていない場合は有効にします。有効になっていることを確認します。

      # setsebool virt_use_fusefs on
      # getsebool virt_use_fusefs
      virt_use_fusefs --> on
  • ハイパーバイザーが GlusterFS ベースのストレージプールをサポートしていることを確認します。

    # virsh pool-capabilities | grep "'gluster' supported='yes'"

    コマンドの出力が表示される場合には、GlusterFS ベースのストレージプールはサポートの対象です。

手順

  1. ストレージプールを作成します。

    virsh pool-define-as コマンドを使用し、GlusterFS ベースのストレージプールを定義して作成します。名前が gluster-vol1、 IP が 111.222.111.222 の Gluster サーバーを使用し、Gluster サーバーの root ディレクトリーにマウントされるストレージプールに guest_images_glusterfs という名前を指定して作成するには、以下を実行します。

    # virsh pool-define-as --name guest_images_glusterfs --type gluster --source-host 111.222.111.222 --source-name gluster-vol1 --source-path /
    Pool guest_images_glusterfs defined

    作成するストレージプールの XML 設定がすでにある場合は、XML を基にプールを定義することもできます。詳細は、GlusterFS-based storage pool parameters を参照してください。

  2. プールが作成されたことを確認します。

    virsh pool-list コマンドを使用して、プールが作成されたことを確認します。

    # virsh pool-list --all
    
      Name                    State      Autostart
      --------------------------------------------
      default                 active     yes
      guest_images_glusterfs  inactive   no
  3. ストレージプールを起動します。

    virsh pool-start コマンドを使用して、ストレージプールをマウントします。

    # virsh pool-start guest_images_glusterfs
      Pool guest_images_glusterfs started
    注記

    virsh pool-start コマンドは、永続ストレージプールにのみ必要です。一時的なストレージプールは、作成時に自動的に起動します。

  4. (必要に応じて) 自動起動をオンにします。

    デフォルトでは、virsh コマンドで定義されたストレージプールは、仮想化サービスが起動するたびに自動的に起動するようには設定されていません。virsh pool-autostart コマンドを使用して、ストレージプールが自動的に起動するように設定します。

    # virsh pool-autostart guest_images_glusterfs
      Pool guest_images_glusterfs marked as autostarted

検証

  • virsh pool-info コマンドを使用して、ストレージプールが running 状態であることを確認します。報告されるサイズが期待どおりであるか、また、自動開始が正しく設定されているかを確認してください。

    # virsh pool-info guest_images_glusterfs
      Name:           guest_images_glusterfs
      UUID:           c7466869-e82a-a66c-2187-dc9d6f0877d0
      State:          running
      Persistent:     yes
      Autostart:      yes
      Capacity:       458.39 GB
      Allocation:     197.91 MB
      Available:      458.20 GB

11.2.6. CLI で iSCSI ベースのストレージプールの作成

iSCSI (Internet Small Computer Systems Interface) は、データストレージ施設をリンクするための IP ベースのストレージネットワーク標準です。iSCSI サーバーにストレージプールを置く場合は、virsh ユーティリティーを使用して、iSCSI ベースのストレージプールを作成できます。

前提条件

  • ハイパーバイザーが iSCSI ベースのストレージプールをサポートしていることを確認します。

    # virsh pool-capabilities | grep "'iscsi' supported='yes'"

    コマンドの出力が表示される場合には、iSCSI ベースのストレージプールはサポートの対象です。

手順

  1. ストレージプールを作成します。

    virsh pool-define-as コマンドを使用し、iSCSI タイプのストレージプールを定義して作成します。たとえば、server1.example.comiqn.2010-05.com.example.server1:iscsirhel7guest IQN を使用し、/dev/disk/by-path パスにマウントされるストレージプールに guest_images_iscsi という名前を指定して作成するには、以下を実行します。

    # virsh pool-define-as --name guest_images_iscsi --type iscsi --source-host server1.example.com --source-dev iqn.2010-05.com.example.server1:iscsirhel7guest --target /dev/disk/by-path
    Pool guest_images_iscsi defined

    作成するストレージプールの XML 設定がすでにある場合は、XML を基にプールを定義することもできます。詳細は、iSCSI-based storage pool parameters を参照してください。

  2. プールが作成されたことを確認します。

    virsh pool-list コマンドを使用して、プールが作成されたことを確認します。

    # virsh pool-list --all
    
      Name                 State      Autostart
      -----------------------------------------
      default              active     yes
      guest_images_iscsi   inactive   no
  3. ストレージプールを起動します。

    virsh pool-start コマンドを使用して、ストレージプールをマウントします。

    # virsh pool-start guest_images_iscsi
      Pool guest_images_iscsi started
    注記

    virsh pool-start コマンドは、永続ストレージプールにのみ必要です。一時的なストレージプールは、作成時に自動的に起動します。

  4. (必要に応じて) 自動起動をオンにします。

    デフォルトでは、virsh コマンドで定義されたストレージプールは、仮想化サービスが起動するたびに自動的に起動するようには設定されていません。virsh pool-autostart コマンドを使用して、ストレージプールが自動的に起動するように設定します。

    # virsh pool-autostart guest_images_iscsi
      Pool guest_images_iscsi marked as autostarted

検証

  • virsh pool-info コマンドを使用して、ストレージプールが running 状態であることを確認します。報告されるサイズが期待どおりであるか、また、自動開始が正しく設定されているかを確認してください。

    # virsh pool-info guest_images_iscsi
      Name:           guest_images_iscsi
      UUID:           c7466869-e82a-a66c-2187-dc9d6f0877d0
      State:          running
      Persistent:     yes
      Autostart:      yes
      Capacity:       458.39 GB
      Allocation:     197.91 MB
      Available:      458.20 GB

11.2.7. CLI で LVM ベースのストレージプールの作成

LVM ボリュームグループに含まれるストレージプールが必要な場合は、virsh ユーティリティーを使用して LVM ベースのストレージプールを作成できます。

推奨事項

LVM ベースのストレージプールを作成する前に、以下の点に注意してください。

  • LVM ベースのストレージプールは、LVM の柔軟性を完全には提供しません。
  • libvirt は、シン論理ボリュームに対応しますが、シンストレージプールの機能は提供しません。
  • LVM ベースのストレージプールは、ボリュームグループです。virsh ユーティリティーを使用してボリュームグループを作成できますが、この方法では、作成したボリュームグループに 1 つのデバイスしか作成できません。複数のデバイスを持つボリュームグループを作成する場合は、代わりに LVM ユーティリティーを使用します。詳細は、How to create a volume group in Linux with LVM を参照してください。

    ボリュームグループの詳細は、Red Hat Enterprise Linux Logical Volume Manager Administration Guide を参照してください。

  • LVM ベースのストレージプールには、完全なディスクパーティションが必要です。virsh コマンドを使用して新しいパーティションまたはデバイスをアクティブにすると、パーティションがフォーマットされ、すべてのデータが消去されます。この手順で説明しているように、ホストの既存のボリュームグループを使用している場合は、何も消去されません。

前提条件

  • ハイパーバイザーが LVM ベースのストレージプールをサポートしていることを確認します。

    # virsh pool-capabilities | grep "'logical' supported='yes'"

    コマンドの出力が表示される場合には、LVM ベースのストレージプールはサポートの対象です。

手順

  1. ストレージプールを作成します。

    virsh pool-define-as コマンドを使用して、LVM タイプのストレージプールを定義して作成します。たとえば、次のコマンドは、lvm_vg ボリュームグループを使用し、/dev/lvm_vg ディレクトリーにマウントされている guest_images_lvm という名前のストレージプールを作成します。

    # virsh pool-define-as guest_images_lvm logical --source-name lvm_vg --target /dev/lvm_vg
    Pool guest_images_lvm defined

    作成するストレージプールの XML 設定がすでにある場合は、XML を基にプールを定義することもできます。詳細は、LVM-based storage pool parameters を参照してください。

  2. プールが作成されたことを確認します。

    virsh pool-list コマンドを使用して、プールが作成されたことを確認します。

    # virsh pool-list --all
    
      Name                   State      Autostart
      -------------------------------------------
      default                active     yes
      guest_images_lvm       inactive   no
  3. ストレージプールを起動します。

    virsh pool-start コマンドを使用して、ストレージプールをマウントします。

    # virsh pool-start guest_images_lvm
      Pool guest_images_lvm started
    注記

    virsh pool-start コマンドは、永続ストレージプールにのみ必要です。一時的なストレージプールは、作成時に自動的に起動します。

  4. (必要に応じて) 自動起動をオンにします。

    デフォルトでは、virsh コマンドで定義されたストレージプールは、仮想化サービスが起動するたびに自動的に起動するようには設定されていません。virsh pool-autostart コマンドを使用して、ストレージプールが自動的に起動するように設定します。

    # virsh pool-autostart guest_images_lvm
      Pool guest_images_lvm marked as autostarted

検証

  • virsh pool-info コマンドを使用して、ストレージプールが running 状態であることを確認します。報告されるサイズが期待どおりであるか、また、自動開始が正しく設定されているかを確認してください。

    # virsh pool-info guest_images_lvm
      Name:           guest_images_lvm
      UUID:           c7466869-e82a-a66c-2187-dc9d6f0877d0
      State:          running
      Persistent:     yes
      Autostart:      yes
      Capacity:       458.39 GB
      Allocation:     197.91 MB
      Available:      458.20 GB

11.2.8. CLI を使用した NFS ベースのストレージプールの作成

ネットワークファイルシステム (NFS) サーバーにストレージプールを置く場合は、virsh ユーティリティーを使用して、NFS ベースのストレージプールを作成できます。

前提条件

  • ハイパーバイザーが NFS ベースのストレージプールに対応していることを確認します。

    # virsh pool-capabilities | grep "<value>nfs</value>"

    コマンドの出力が表示される場合には、NFS ベースのストレージプールはサポートの対象です。

手順

  1. ストレージプールを作成します。

    virsh pool-define-as コマンドを使用し、NFS タイプのストレージプールを定義して作成します。たとえば、ターゲットディレクトリー /var/lib/libvirt/images/nfspool を使用してサーバーディレクトリー /home/net_mount にマウントされる、 IP が 111.222.111.222 の NFS サーバーを使用するストレージプールに guest_images_netfs の名前を指定して作成するには、以下を実行します。

    # virsh pool-define-as --name guest_images_netfs --type netfs --source-host='111.222.111.222' --source-path='/home/net_mount' --source-format='nfs' --target='/var/lib/libvirt/images/nfspool'

    作成するストレージプールの XML 設定がすでにある場合は、XML を基にプールを定義することもできます。詳細は、NFS-based storage pool parameters を参照してください。

  2. プールが作成されたことを確認します。

    virsh pool-list コマンドを使用して、プールが作成されたことを確認します。

    # virsh pool-list --all
    
      Name                 State      Autostart
      -----------------------------------------
      default              active     yes
      guest_images_netfs   inactive   no
  3. ストレージプールを起動します。

    virsh pool-start コマンドを使用して、ストレージプールをマウントします。

    # virsh pool-start guest_images_netfs
      Pool guest_images_netfs started
    注記

    virsh pool-start コマンドは、永続ストレージプールにのみ必要です。一時的なストレージプールは、作成時に自動的に起動します。

  4. (必要に応じて) 自動起動をオンにします。

    デフォルトでは、virsh コマンドで定義されたストレージプールは、仮想化サービスが起動するたびに自動的に起動するようには設定されていません。virsh pool-autostart コマンドを使用して、ストレージプールが自動的に起動するように設定します。

    # virsh pool-autostart guest_images_netfs
      Pool guest_images_netfs marked as autostarted

検証

  • virsh pool-info コマンドを使用して、ストレージプールが running 状態であることを確認します。報告されるサイズが期待どおりであるか、また、自動開始が正しく設定されているかを確認してください。

    # virsh pool-info guest_images_netfs
      Name:           guest_images_netfs
      UUID:           c7466869-e82a-a66c-2187-dc9d6f0877d0
      State:          running
      Persistent:     yes
      Autostart:      yes
      Capacity:       458.39 GB
      Allocation:     197.91 MB
      Available:      458.20 GB

11.2.9. CLI で vHBA デバイスを使用した SCSI ベースのストレージプールを作成する手順

SCSI (Small Computer System Interface) デバイスにストレージプールを設定する場合は、ホストが、仮想ホストバスアダプター (vHBA) を使用して SCSI デバイスに接続できる必要があります。その後、virsh ユーティリティーを使用して、SCSI ベースのストレージプールを作成できます。

前提条件

  • ハイパーバイザーが SCSI ベースのストレージプールをサポートしている。

    # virsh pool-capabilities | grep "'scsi' supported='yes'"

    コマンドの出力が表示される場合には、SCSI ベースのストレージプールはサポートの対象です。

  • 先に vHBA を作成し、vHBA デバイスで SCSI ベースのストレージプールを作成できるようにしてある。詳細は、Creating vHBAs を参照してください。

手順

  1. ストレージプールを作成します。

    virsh pool-define-as コマンドで、vHBA を使用して SCSI ストレージプールを定義して作成します。たとえば、以下は、guest_images_vhba という名前のストレージプールを作成します。このストレージプールは、親アダプター (scsi_host3)、ワールドワイドポート番号 (5001a4ace3ee047d)、ワールドワイドノード番号 (5001a4a93526d0a1) で識別される vHBA を使用します。ストレージプールは /dev/disk/ ディレクトリーにマウントされます。

    # virsh pool-define-as guest_images_vhba scsi --adapter-parent scsi_host3 --adapter-wwnn 5001a4a93526d0a1 --adapter-wwpn 5001a4ace3ee047d --target /dev/disk/
    Pool guest_images_vhba defined

    作成するストレージプールの XML 設定がすでにある場合は、XML を基にプールを定義することもできます。詳細は、Parameters for SCSI-based storage pools with vHBA devices を参照してください。

  2. プールが作成されたことを確認します。

    virsh pool-list コマンドを使用して、プールが作成されたことを確認します。

    # virsh pool-list --all
    
      Name                 State      Autostart
      -----------------------------------------
      default              active     yes
      guest_images_vhba    inactive   no
  3. ストレージプールを起動します。

    virsh pool-start コマンドを使用して、ストレージプールをマウントします。

    # virsh pool-start guest_images_vhba
      Pool guest_images_vhba started
    注記

    virsh pool-start コマンドは、永続ストレージプールにのみ必要です。一時的なストレージプールは、作成時に自動的に起動します。

  4. (必要に応じて) 自動起動をオンにします。

    デフォルトでは、virsh コマンドで定義されたストレージプールは、仮想化サービスが起動するたびに自動的に起動するようには設定されていません。virsh pool-autostart コマンドを使用して、ストレージプールが自動的に起動するように設定します。

    # virsh pool-autostart guest_images_vhba
      Pool guest_images_vhba marked as autostarted

検証

  • virsh pool-info コマンドを使用して、ストレージプールが running 状態であることを確認します。報告されるサイズが期待どおりであるか、また、自動開始が正しく設定されているかを確認してください。

    # virsh pool-info guest_images_vhba
      Name:           guest_images_vhba
      UUID:           c7466869-e82a-a66c-2187-dc9d6f0877d0
      State:          running
      Persistent:     yes
      Autostart:      yes
      Capacity:       458.39 GB
      Allocation:     197.91 MB
      Available:      458.20 GB

11.2.10. CLI を使用したストレージプールの削除

ホストシステムからストレージプールを削除するには、プールを停止して、その XML 定義を削除する必要があります。

手順

  1. virsh pool-list コマンドを使用して、定義済みストレージプールをリスト表示します。

    # virsh pool-list --all
    Name                 State      Autostart
    -------------------------------------------
    default              active     yes
    Downloads            active     yes
    RHEL-Storage-Pool   active     yes
  2. virsh pool-destroy コマンドを使用して、削除するストレージプールを停止します。

    # virsh pool-destroy Downloads
    Pool Downloads destroyed
  3. 任意: ストレージプールの種類によっては、virsh pool-delete コマンドを使用して、ストレージプールが含まれるディレクトリーを削除できます。これを実行するには、ディレクトリーが空である必要があります。

    # virsh pool-delete Downloads
    Pool Downloads deleted
  4. virsh pool-undefine コマンドを使用して、ストレージプールの定義を削除します。

    # virsh pool-undefine Downloads
    Pool Downloads has been undefined

検証

  • ストレージプールが削除されたことを確認します。

    # virsh pool-list --all
    Name                 State      Autostart
    -------------------------------------------
    default              active     yes
    rhel-Storage-Pool   active     yes

11.3. Web コンソールを使用した仮想マシンストレージプールの管理

RHEL Web コンソールを使用すると、ストレージプールを管理して、仮想マシン (VM) にストレージを割り当てることができます。

Web コンソールを使用して以下を行うことができます。

11.3.1. Web コンソールでストレージプール情報の表示

Web コンソールを使用して、システムで利用可能なストレージプールの詳細情報を表示できます。ストレージプールを使用すると、仮想マシンのディスクイメージを作成できます。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで ストレージプール をクリックします。

    Storage pools 画面が表示され、設定されているストレージプールの一覧が示されます。

    既存のストレージプールの情報を含む Web コンソールのストレージプールタブを表示するイメージ

    この情報には以下が含まれます。

    • 名前 - ストレージプールの名前
    • サイズ - 現在の割り当てとストレージプールの合計容量。
    • 接続 - ストレージプールのアクセスに使用される接続
    • 状態 - ストレージプールのステータス
  2. 情報を表示するストレージプールの横にある矢印をクリックします。

    行がデプロイメントされ、選択したストレージプールに関する詳細情報を含む概要ペインが表示されます。

    選択したストレージプールの詳細情報を表示するイメージ。

    この情報には以下が含まれます。

    • ターゲットパス - dir または netfs などのディレクトリーによってサポートされるストレージプールの種類のソース。
    • 永続的 - ストレージプールの設定が永続的であるかどうかを示します。
    • 自動起動 - システムの起動時にストレージプールが自動的に起動するかどうかを示します。
    • 種類 - ストレージプールの種類。
  3. ストレージプールに関連付けられているストレージボリュームのリストを表示する場合は、ストレージボリューム をクリックします。

    ストレージボリュームペインが表示され、設定したストレージボリュームのリストが表示されます。

    選択したストレージプールに関連付けられているストレージボリュームのリストを表示するイメージ。

    この情報には以下が含まれます。

    • 名前 - ストレージボリュームの名前。
    • 使用者 - 現在ストレージボリュームを使用している仮想マシン。
    • サイズ - ボリュームのサイズ。

関連情報

  • Web コンソールで仮想マシン情報の表示

11.3.2. Web コンソールを使用したディレクトリーベースのストレージプールの作成

ディレクトリーベースのストレージプールは、マウントされている既存のファイルシステムのディレクトリーを基にしています。これは、たとえば、ファイルシステムの残りの領域を他の目的で使用する場合に役立ちます。

前提条件

手順

  1. RHEL Web コンソールで、Virtual Machines タブの Storage pools をクリックします。

    Storage pools 画面が表示され、設定されているストレージプールのリストが示されます。

    Image displaying all the storage pools currently configured on the host
  2. Create storage pool をクリックします。

    Create storage pool ダイアログボックスが表示されます。

  3. ストレージプールの名前を入力します。
  4. Type ドロップダウンメニューで、Filesystem directory を選択します。

    ストレージプールの作成ダイアログボックスが表示されるイメージ
    注記

    ドロップダウンメニューに Filesystem directory オプションが表示されない場合、ハイパーバイザーはディレクトリーベースのストレージプールをサポートしていません。

  5. 以下の情報を入力します。

    • ターゲットパス - dir または netfs などのディレクトリーによってサポートされるストレージプールの種類のソース。
    • 起動 - ホストの起動時にストレージプールが起動するかどうか
  6. 作成 をクリックします。

    ストレージプールが作成され、Create Storage Pool ダイアログが閉じて、新しいストレージプールがストレージプールのリストに表示されます。

関連情報

11.3.3. Web コンソールを使用した NFS ベースのストレージプールの作成

NFS ベースのストレージプールは、サーバーでホストされているファイルシステムに基づいています。

前提条件

手順

  1. RHEL Web コンソールで、Virtual Machines タブの Storage pools をクリックします。

    Storage pools 画面が表示され、設定されているストレージプールのリストが示されます。

    Image displaying all the storage pools currently configured on the host
  2. Create storage pool をクリックします。

    Create storage pool ダイアログボックスが表示されます。

  3. ストレージプールの名前を入力します。
  4. Type ドロップダウンメニューで、Network file system を選択します。

    ストレージプールの作成ダイアログボックスが表示されるイメージ
    注記

    ドロップダウンメニューに Network file system オプションが表示されない場合、ハイパーバイザーは nfs ベースのストレージプールをサポートしていません。

  5. 残りの情報を入力します。

    • Target path - ターゲットを指定するパス。ストレージプールに使用されるパスになります。
    • Host - マウントポイントがあるネットワークサーバーのホスト名。これは、ホスト名または IP アドレスになります。
    • Source path - ネットワークサーバーで使用されるディレクトリー。
    • 起動 - ホストの起動時にストレージプールが起動するかどうか
  6. 作成 をクリックします。

    ストレージプールが作成されます。Create storage pool ダイアログが閉じ、新しいストレージプールがストレージプールのリストに表示されます。

関連情報

11.3.4. Web コンソールを使用した iSCSI ベースのストレージプールの作成

iSCSI ベースのストレージプールは、iSCSI (Internet Small Computer Systems Interface) をベースとする、データストレージ施設をリンクするための IP ベースのストレージネットワーク規格です。

前提条件

手順

  1. RHEL Web コンソールで、Virtual Machines タブの Storage pools をクリックします。

    Storage pools 画面が表示され、設定されているストレージプールのリストが示されます。

    Image displaying all the storage pools currently configured on the host
  2. Create storage pool をクリックします。

    Create storage pool ダイアログボックスが表示されます。

  3. ストレージプールの名前を入力します。
  4. Type ドロップダウンメニューで、iSCSI target を選択します。

    ストレージプールの作成ダイアログボックスが表示されるイメージ
  5. 残りの情報を入力します。

    • Target Path - ターゲットを指定するパス。ストレージプールに使用されるパスになります。
    • Host - ISCSI サーバーのホスト名または IP アドレス。
    • Source path - iSCSI ターゲットの一意の iSCSI 修飾名 (IQN)。
    • 起動 - ホストの起動時にストレージプールが起動するかどうか
  6. 作成 をクリックします。

    ストレージプールが作成されます。Create storage pool ダイアログが閉じ、新しいストレージプールがストレージプールのリストに表示されます。

関連情報

11.3.5. Web コンソールを使用したディスクベースのストレージプールの作成

ディスクベースのストレージプールは、ディスクパーティション全体を使用します。

警告
  • 使用されている libvirt のバージョンに応じて、ディスクをストレージプール専用にすると、現在ディスクデバイスに格納されているすべてのデータが再フォーマットされて消去される可能性があります。ストレージプールを作成する前に、ストレージデバイスのデータのバックアップを作成することを強く推奨します。
  • ディスク全体またはブロックデバイスが仮想マシンに渡されると、仮想マシンはそれをパーティション分割するか、その上に独自の LVM グループを作成する可能性があります。これにより、ホストマシンがこのようなパーティションまたは LVM グループを検出し、エラーが発生する可能性があります。

    これらのエラーは、パーティションまたは LVM グループを手動で作成して仮想マシンに渡す場合にも発生する可能性があります。

    これらのエラーを回避するには、代わりにファイルベースのストレージプールを使用します。

前提条件

手順

  1. RHEL Web コンソールで、Virtual Machines タブの Storage pools をクリックします。

    Storage pools 画面が表示され、設定されているストレージプールのリストが示されます。

    Image displaying all the storage pools currently configured on the host
  2. Create storage pool をクリックします。

    Create storage pool ダイアログボックスが表示されます。

  3. ストレージプールの名前を入力します。
  4. Type ドロップダウンメニューで、Physical disk device を選択します。

    ストレージプールの作成ダイアログボックスが表示されるイメージ
    注記

    ドロップダウンメニューに Physical disk device オプションが表示されない場合、ハイパーバイザーはディスクベースのストレージプールをサポートしていません。

  5. 残りの情報を入力します。

    • Target Path - ターゲットデバイスを指定するパス。ストレージプールに使用されるパスになります。
    • Source path - ストレージデバイスを指定するパス。たとえば、/dev/sdb です。
    • Format - パーティションテーブルのタイプ。
    • 起動 - ホストの起動時にストレージプールが起動するかどうか
  6. 作成 をクリックします。

    ストレージプールが作成されます。Create storage pool ダイアログが閉じ、新しいストレージプールがストレージプールのリストに表示されます。

関連情報

11.3.6. Web コンソールを使用した LVM ベースのストレージプールの作成

LVM ベースのストレージプールはボリュームグループに基づいており、論理ボリュームマネージャー (LVM) を使用して管理できます。ボリュームグループは、単一のストレージ構造を作成する複数の物理ボリュームの組み合わせです。

注記
  • LVM ベースのストレージプールは、LVM の柔軟性を完全には提供しません。
  • libvirt は、シン論理ボリュームに対応しますが、シンストレージプールの機能は提供しません。
  • LVM ベースのストレージプールには、完全なディスクパーティションが必要です。virsh コマンドを使用して新しいパーティションまたはデバイスをアクティブにすると、パーティションがフォーマットされ、すべてのデータが消去されます。この手順で説明しているように、ホストの既存のボリュームグループを使用している場合は、何も消去されません。
  • 複数のデバイスを持つボリュームグループを作成する場合は、代わりに LVM ユーティリティーを使用します。詳細は、How to create a volume group in Linux with LVM を参照してください。

    ボリュームグループの詳細は、Red Hat Enterprise Linux Logical Volume Manager Administration Guide を参照してください。

前提条件

手順

  1. RHEL Web コンソールで、Virtual Machines タブの Storage pools をクリックします。

    Storage pools 画面が表示され、設定されているストレージプールのリストが示されます。

    Image displaying all the storage pools currently configured on the host
  2. Create storage pool をクリックします。

    Create storage pool ダイアログボックスが表示されます。

  3. ストレージプールの名前を入力します。
  4. Type ドロップダウンメニューで、LVM volume group を選択します。

    ストレージプールの作成ダイアログボックスが表示されるイメージ
    注記

    ドロップダウンメニューに LVM volume group オプションが表示されない場合、ハイパーバイザーは LVM ベースのストレージプールをサポートしていません。

  5. 残りの情報を入力します。

    • Source volume grou - 使用する LVM ボリュームグループの名前。
    • 起動 - ホストの起動時にストレージプールが起動するかどうか
  6. 作成 をクリックします。

    ストレージプールが作成されます。Create storage pool ダイアログが閉じ、新しいストレージプールがストレージプールのリストに表示されます。

関連情報

11.3.7. Web コンソールで vHBA デバイスを使用して SCSI ベースのストレージプールを作成

SCSI ベースのストレージプールは、Small Computer System Interface (SCSI) デバイスに基づいています。この設定では、ホストは仮想ホストバスアダプター (vHBA) を使用して SCSI デバイスに接続できる必要があります。

前提条件

手順

  1. RHEL Web コンソールで、Virtual Machines タブの Storage pools をクリックします。

    Storage pools 画面が表示され、設定されているストレージプールのリストが示されます。

    Image displaying all the storage pools currently configured on the host
  2. Create storage pool をクリックします。

    Create storage pool ダイアログボックスが表示されます。

  3. ストレージプールの名前を入力します。
  4. Type ドロップダウンメニューで、iSCSI direct target を選択します。

    ストレージプールの作成ダイアログボックスが表示されるイメージ
    注記

    ドロップダウンメニューに iSCSI direct target オプションが表示されない場合、ハイパーバイザーは SCSI ベースのストレージプールをサポートしていません。

  5. 残りの情報を入力します。

    • Host - マウントポイントがあるネットワークサーバーのホスト名。これは、ホスト名または IP アドレスになります。
    • Source path - iSCSI ターゲットの一意の iSCSI 修飾名 (IQN)。
    • Initiator - iSCSI イニシエーターである vHBA の一意の iSCSI 修飾名 (IQN)。
    • 起動 - ホストの起動時にストレージプールが起動するかどうか
  6. 作成 をクリックします。

    ストレージプールが作成されます。Create storage pool ダイアログが閉じ、新しいストレージプールがストレージプールのリストに表示されます。

関連情報

11.3.8. Web コンソールを使用したストレージプールの削除

ストレージプールを削除してホストまたはネットワーク上のリソースを解放し、システムパフォーマンスを向上させることができます。ストレージプールを削除すると、他の仮想マシンで使用できるようにリソースが解放されます。

重要

明示的に指定されていない限り、ストレージプールを削除しても、そのプール内のストレージボリュームは同時に削除されません。

削除せずにストレージプールを一時的に非アクティブにする場合は、Web コンソールでストレージプールの非アクティブ化 を参照してください。

前提条件

手順

  1. Virtual Machines タブの Storage Pools をクリックします。

    Storage Pools 画面が表示され、設定されているストレージプールのリストが示されます。

    ホストに現在設定されているすべてのストレージプールを表示するイメージ。
  2. 削除するストレージプールのメニューボタン をクリックし、Delete をクリックします。

    確認ダイアログが表示されます。

    ストレージプールのデフォルトの削除ダイアログボックスが表示されるイメージ
  3. Optional: プール内のストレージボリュームを削除するには、ダイアログで対応するチェックボックスをオンにします。
  4. Delete をクリックします。

    ストレージプールが削除されます。直前の手順でチェックボックスを選択した場合は、関連付けられたストレージボリュームも削除されます。

関連情報

11.3.9. Web コンソールでストレージプールの非アクティブ化

ストレージプールを永続的に削除しない場合は、代わりに一時的に無効にできます。

ストレージプールを無効にすると、そのプールに新しいボリュームを作成できません。ただし、そのプールにボリュームがある仮想マシンは、引き続き実行されます。この設定は、プールに作成できるボリューム数を制限してシステムパフォーマンスを向上させる場合などに役立ちます。

RHEL Web コンソールを使用してストレージプールを無効にするには、以下の手順を参照してください。

前提条件

手順

  1. 仮想マシンタブの上部にある ストレージプール をクリックします。ストレージプール画面が表示され、設定されているストレージプールのリストが示されます。

    ホストに現在設定されているすべてのストレージプールを表示するイメージ。
  2. ストレージプールの行で Deactivate をクリックします。

    ストレージプールは非アクティブになります。

関連情報

11.4. ストレージプールを作成するパラメーター

必要なストレージプールのタイプに基づいて、その XML 設定ファイルを変更し、特定のタイプのストレージプールを定義できます。本セクションは、さまざまなタイプのストレージプールを作成するために必要な XML パラメーターと、例を説明します。

11.4.1. ディレクトリーベースのストレージプールのパラメーター

XML 設定ファイルを使用してディレクトリーベースのストレージプールを作成または変更する場合は、必要なパラメーターを指定する必要があります。これらのパラメーターの詳細は、以下の表を参照してください。

virsh pool-define を使用すると、指定したファイルの XML 設定を基にしてストレージプールを作成できます。以下に例を示します。

# virsh pool-define ~/guest_images.xml
  Pool defined from guest_images_dir

パラメーター

以下の表は、ディレクトリーベースのストレージプールの XML ファイルに必要なパラメーターのリストです。

表11.1 ディレクトリーベースのストレージプールのパラメーター

説明XML

ストレージプールの種類

<pool type='dir'>

ストレージプールの名前

<name>name</name>

ターゲットを指定するパス。ストレージプールに使用されるパスになります。

<target>
   <path>target_path</path>
</target>

以下は、/guest_images ディレクトリーに基づいたストレージプールの XML ファイルの例です。

<pool type='dir'>
  <name>dirpool</name>
  <target>
    <path>/guest_images</path>
  </target>
</pool>

関連情報

  • CLI でディレクトリーベースのストレージプールの作成

11.4.2. ディスクベースのストレージプールのパラメーター

XML 設定ファイルを使用してディスクベースのストレージプールを作成または変更する場合は、必要なパラメーターを指定する必要があります。これらのパラメーターの詳細は、以下の表を参照してください。

virsh pool-define を使用すると、指定したファイルの XML 設定を基にしてストレージプールを作成できます。以下に例を示します。

# virsh pool-define ~/guest_images.xml
  Pool defined from guest_images_disk

パラメーター

以下の表は、ディスクベースのストレージプールの XML ファイルに必要なパラメーターのリストです。

表11.2 ディスクベースのストレージプールのパラメーター

説明XML

ストレージプールの種類

<pool type='disk'>

ストレージプールの名前

<name>name</name>

ストレージデバイスを指定するパス。たとえば、/dev/sdb です。

<source>
   <path>source_path</path>
</source>

ターゲットデバイスを指定するパス。ストレージプールに使用されるパスになります。

<target>
   <path>target_path</path>
</target>

以下は、ディスクに基づいたストレージプールに対する XML ファイルの例です。

<pool type='disk'>
  <name>phy_disk</name>
  <source>
    <device path='/dev/sdb'/>
    <format type='gpt'/>
  </source>
  <target>
    <path>/dev</path>
  </target>
</pool>

関連情報

  • CLI でディスクベースのストレージプールの作成

11.4.3. ファイルシステムベースのストレージプールパラメーター

XML 設定ファイルを使用してファイルシステムベースのストレージプールを作成または変更する場合は、必要なパラメーターを指定する必要があります。これらのパラメーターの詳細は、以下の表を参照してください。

virsh pool-define を使用すると、指定したファイルの XML 設定を基にしてストレージプールを作成できます。以下に例を示します。

# virsh pool-define ~/guest_images.xml
  Pool defined from guest_images_fs

パラメーター

次の表は、ファイルシステムベースのストレージプールの XML ファイルに必要なパラメーターのリストです。

表11.3 ファイルシステムベースのストレージプールパラメーター

説明XML

ストレージプールの種類

<pool type='fs'>

ストレージプールの名前

<name>name</name>

パーミッションを指定するパス。たとえば、/dev/sdc1 です。

<source>
   <device path=device_path />

ファイルシステムのタイプ (ext4 など)。

    <format type=fs_type />
</source>

ターゲットを指定するパス。ストレージプールに使用されるパスになります。

<target>
    <path>path-to-pool</path>
</target>

以下は、/dev/sdc1 パーティションに基づいたストレージプールに対する XML ファイルの例です。

<pool type='fs'>
  <name>guest_images_fs</name>
  <source>
    <device path='/dev/sdc1'/>
    <format type='auto'/>
  </source>
  <target>
    <path>/guest_images</path>
  </target>
</pool>

関連情報

  • CLI でファイルシステムベースのストレージプールの作成

11.4.4. GlusterFS ベースのストレージプールパラメーター

XML 設定ファイルを使用して GlusterFS ベースのストレージプールを作成または変更する場合は、必要なパラメーターを指定する必要があります。これらのパラメーターの詳細は、以下の表を参照してください。

virsh pool-define を使用すると、指定したファイルの XML 設定を基にしてストレージプールを作成できます。以下に例を示します。

# virsh pool-define ~/guest_images.xml
  Pool defined from guest_images_glusterfs

パラメーター

以下の表は、GlusterFS ベースのストレージプールの XML ファイルに必要なパラメーターのリストです。

表11.4 GlusterFS ベースのストレージプールパラメーター

説明XML

ストレージプールの種類

<pool type='gluster'>

ストレージプールの名前

<name>name</name>

Gluster サーバーのホスト名または IP アドレス

<source>
   <name=gluster-name />

ストレージプールに使用される Gluster サーバーのパス。

    <dir path=gluster-path />
</source>

以下は、111.222.111.222 の Gluster ファイルシステムに基づいたストレージプールに対する XML ファイルの例です。

<pool type='gluster'>
  <name>Gluster_pool</name>
  <source>
    <host name='111.222.111.222'/>
    <dir path='/'/>
    <name>gluster-vol1</name>
  </source>
</pool>

関連情報

  • CLI で GlusterFS ベースのストレージプールの作成

11.4.5. iSCSI ベースのストレージプールパラメーター

XML 設定ファイルを使用して iSCSI ベースのストレージプールを作成または変更する場合は、必要なパラメーターを指定する必要があります。これらのパラメーターの詳細は、以下の表を参照してください。

virsh pool-define を使用すると、指定したファイルの XML 設定を基にしてストレージプールを作成できます。以下に例を示します。

# virsh pool-define ~/guest_images.xml
  Pool defined from guest_images_iscsi

パラメーター

以下の表は、iSCSI ベースのストレージプールの XML ファイルに必要なパラメーターのリストです。

表11.5 iSCSI ベースのストレージプールパラメーター

説明XML

ストレージプールの種類

<pool type='iscsi'>

ストレージプールの名前

<name>name</name>

ホストの名前

<source>
  <host name=hostname />

iSCSI IQN

    <device path= iSCSI_IQN />
</source>

ターゲットを指定するパス。ストレージプールに使用されるパスになります。

<target>
   <path>/dev/disk/by-path</path>
</target>

(必要に応じて) iSCSI イニシエーターの IQN。これは、ACL が LUN を特定のイニシエーターに制限する場合に限り必要です。

<initiator>
   <iqn name='initiator0' />
</initiator>

注記

iSCSI イニシエーターの IQN は、virsh find-storage-pool-sources-as iscsi コマンドを使用して指定できます。

以下は、指定した iSCSI に基づいたストレージプールに対する XML ファイルの例です。

<pool type='iscsi'>
  <name>iSCSI_pool</name>
  <source>
    <host name='server1.example.com'/>
    <device path='iqn.2010-05.com.example.server1:iscsirhel7guest'/>
  </source>
  <target>
    <path>/dev/disk/by-path</path>
  </target>
</pool>

関連情報

  • CLI で iSCSI ベースのストレージプールの作成

11.4.6. LVM ベースのストレージプールパラメーター

XML 設定ファイルを使用して LVM ベースのストレージプールを作成または変更する場合は、必要なパラメーターを指定する必要があります。これらのパラメーターの詳細は、以下の表を参照してください。

virsh pool-define を使用すると、指定したファイルの XML 設定を基にしてストレージプールを作成できます。以下に例を示します。

# virsh pool-define ~/guest_images.xml
  Pool defined from guest_images_logical

パラメーター

以下の表は、LVM ベースのストレージプールの XML ファイルに必要なパラメーターのリストです。

表11.6 LVM ベースのストレージプールパラメーター

説明XML

ストレージプールの種類

<pool type='logical'>

ストレージプールの名前

<name>name</name>

ストレージプールのデバイスのパス

<source>
   <device path='device_path' />`

ボリュームグループの名前

    <name>VG-name</name>

仮想グループの形式

    <format type='lvm2' />
</source>

ターゲットパス

<target>
   <path=target_path />
</target>

注記

論理ボリュームグループが複数のディスクパーティションで作成されている場合は、複数のソースデバイスがリスト表示されている可能性があります。以下に例を示します。

<source>
  <device path='/dev/sda1'/>
  <device path='/dev/sdb3'/>
  <device path='/dev/sdc2'/>
  ...
</source>

以下は、指定した LVM に基づいたストレージプールに対する XML ファイルの例です。

<pool type='logical'>
  <name>guest_images_lvm</name>
  <source>
    <device path='/dev/sdc'/>
    <name>libvirt_lvm</name>
    <format type='lvm2'/>
  </source>
  <target>
    <path>/dev/libvirt_lvm</path>
  </target>
</pool>

関連情報

  • CLI で LVM ベースのストレージプールの作成

11.4.7. NFS ベースのストレージプールパラメーター

XML 設定ファイルを使用して NFS ベースのストレージプールを作成または変更する場合は、必要なパラメーターを指定する必要があります。これらのパラメーターの詳細は、以下の表を参照してください。

virsh pool-define を使用すると、指定したファイルの XML 設定を基にしてストレージプールを作成できます。以下に例を示します。

# virsh pool-define ~/guest_images.xml
  Pool defined from guest_images_netfs

パラメーター

以下の表は、NFS ベースのストレージプールの XML ファイルに必要なパラメーターのリストです。

表11.7 NFS ベースのストレージプールパラメーター

説明XML

ストレージプールの種類

<pool type='netfs'>

ストレージプールの名前

<name>name</name>

マウントポイントがあるネットワークサーバーのホスト名。これは、ホスト名または IP アドレスになります。

<source>
   <host name=hostname
/>

ストレージプールの形式

次のいずれかになります。

    <format type='nfs' />

    <format type='glusterfs' />

    <format type='cifs' />

ネットワークサーバーで使用されるディレクトリー

    <dir path=source_path />
</source>

ターゲットを指定するパス。ストレージプールに使用されるパスになります。

<target>
   <path>target_path</path>
</target>

以下は、NFS サーバー file_server/home/net_mount ディレクトリーでのストレージプールの XML ファイルの例です。

<pool type='netfs'>
  <name>nfspool</name>
  <source>
    <host name='file_server'/>
    <format type='nfs'/>
    <dir path='/home/net_mount'/>
  </source>
  <target>
    <path>/var/lib/libvirt/images/nfspool</path>
  </target>
</pool>

関連情報

  • CLI を使用した NFS ベースのストレージプールの作成

11.4.8. vHBA デバイスを使用した SCSI ベースのストレージプールのパラメーター

仮想ホストアダプターバス (vHBA) デバイスを使用する SCSi ベースのストレージプール用の XML 設定ファイルを作成または変更する場合は、XML 設定ファイルに必要な特定のパラメーターを含める必要があります。必要なパラメーターの詳細は、以下の表を参照してください。

virsh pool-define を使用すると、指定したファイルの XML 設定を基にしてストレージプールを作成できます。以下に例を示します。

# virsh pool-define ~/guest_images.xml
  Pool defined from guest_images_vhba

パラメーター

以下の表は、vHBA を使用する iSCSI ベースのストレージプールの XML ファイルに必要なパラメーターのリストです。

表11.8 vHBA デバイスを使用した SCSI ベースのストレージプールのパラメーター

説明XML

ストレージプールの種類

<pool type='scsi'>

ストレージプールの名前

<name>name</name>

vHBA の識別子。parent 属性はオプションです。

<source>
   <adapter type='fc_host'
   [parent=parent_scsi_device]
   wwnn='WWNN'
   wwpn='WWPN' />
</source>

ターゲットパス。ストレージプールに使用されるパスになります。

<target>
   <path=target_path />
</target>

重要

<path> フィールドが /dev/ の場合、libvirt は、ボリュームデバイスパスで一意の短いデバイスパスを生成します。たとえば、/dev/sdc です。それ以外の場合は、物理ホストパスが使用されます。たとえば、/dev/disk/by-path/pci-0000:10:00.0-fc-0x5006016044602198-lun-0 などです。一意の短いデバイスパスを使用すると、複数のストレージプールで、同じボリュームを複数の仮想マシン (VM) にリスト表示できます。物理ホストのパスを複数の仮想マシンで使用すると、デバイスタイプが重複していることを示す警告が発生することがあります。

注記

parent 属性は、パスを変更して NPIV LUN の使用元となる物理 HBA の親を識別する <adapter> フィールドで使用できます。scsi_hostN フィールドは、vports 属性および max_vports 属性と合わせて、親 ID を作成します。parentparent_wwnnparent_wwpn、または parent_fabric_wwn の属性は、ホストの再起動後に同じ HBA が使用されることを保証するさまざまなレベルを提供します。

  • を指定しないと、libvirt は、NPIV に対応する最初の scsi_hostN アダプターを使用します。
  • のみを指定し、設定に SCSI ホストアダプターを追加すると、問題が発生する可能性があります。
  • parent_wwnn または parent_wwpn を指定すると、ホストの再起動後に同じ HBA が使用されます。
  • ホストの再起動後、parent_fabric_wwn を使用すると、scsi_hostN が使用されたかどうかにかかわらず、同じファブリックの HBA が選択されます。

以下は、vHBA を使用する SCSI ベースのストレージプールの XML ファイルの例です。

  • HBA にある唯一のストレージプール

    <pool type='scsi'>
      <name>vhbapool_host3</name>
      <source>
        <adapter type='fc_host' wwnn='5001a4a93526d0a1' wwpn='5001a4ace3ee047d'/>
      </source>
      <target>
        <path>/dev/disk/by-path</path>
      </target>
    </pool>
  • parent 属性を使用して SCSI ホストデバイスを識別し、vHBA を 1 つ使用する複数のストレージプールの 1 つ。

    <pool type='scsi'>
      <name>vhbapool_host3</name>
      <source>
        <adapter type='fc_host' parent='scsi_host3' wwnn='5001a4a93526d0a1' wwpn='5001a4ace3ee047d'/>
      </source>
      <target>
        <path>/dev/disk/by-path</path>
      </target>
    </pool>

関連情報

  • CLI で vHBA デバイスを使用した SCSI ベースのストレージプールを作成する手順

11.5. CLI を使用した仮想マシンのストレージボリュームの管理

CLI を使用して、ストレージプボリュームの次の側面を管理し、仮想マシン (VM) にストレージを割り当てることができます。

11.5.1. CLI でストレージボリューム情報の表示

コマンドラインを使用して、ホストで利用可能なすべてのストレージプールのリストと、指定したストレージプールの詳細を表示できます。

手順

  1. virsh vol-list コマンドを使用して、指定したストレージプールにあるストレージボリュームをリスト表示します。

    # virsh vol-list --pool RHEL-Storage-Pool --details
     Name                Path                                               Type   Capacity  Allocation
    ---------------------------------------------------------------------------------------------
     .bash_history       /home/VirtualMachines/.bash_history       file  18.70 KiB   20.00 KiB
     .bash_logout        /home/VirtualMachines/.bash_logout        file    18.00 B    4.00 KiB
     .bash_profile       /home/VirtualMachines/.bash_profile       file   193.00 B    4.00 KiB
     .bashrc             /home/VirtualMachines/.bashrc             file   1.29 KiB    4.00 KiB
     .git-prompt.sh      /home/VirtualMachines/.git-prompt.sh      file  15.84 KiB   16.00 KiB
     .gitconfig          /home/VirtualMachines/.gitconfig          file   167.00 B    4.00 KiB
     RHEL_Volume.qcow2   /home/VirtualMachines/RHEL8_Volume.qcow2  file  60.00 GiB   13.93 GiB
  2. virsh vol-info コマンドを使用して、指定したストレージプール内のストレージボリュームをリスト表示します。

    # vol-info --pool RHEL-Storage-Pool --vol RHEL_Volume.qcow2
    Name:           RHEL_Volume.qcow2
    Type:           file
    Capacity:       60.00 GiB
    Allocation:     13.93 GiB

11.5.2. CLI でストレージボリュームの作成および割り当て

ディスクイメージを取得して、仮想ディスクとして仮想マシンに割り当てるには、ストレージボリュームを作成し、その XML 設定を仮想マシンに割り当てます。

前提条件

  • 空き領域が割り当てられていないストレージプールがホストに存在する。

    • ホストのストレージプールをリスト表示して確認します。

      # virsh pool-list --details
      
      Name               State     Autostart   Persistent   Capacity     Allocation   Available
      --------------------------------------------------------------------------------------------
      default            running   yes         yes          48.97 GiB    36.34 GiB    12.63 GiB
      Downloads          running   yes         yes          175.92 GiB   121.20 GiB   54.72 GiB
      VM-disks           running   yes         yes          175.92 GiB   121.20 GiB   54.72 GiB
    • 既存のストレージプールがない場合は、作成します。詳細は、仮想マシンのストレージの管理 を参照してください。

手順

  1. virsh vol-create-as コマンドを使用してストレージボリュームを作成します。たとえば、guest-images-fs ストレージプールをもとに 20 GB qcow2 ボリュームを作成するには以下を実行します。

    # virsh vol-create-as --pool guest-images-fs --name vm-disk1 --capacity 20 --format qcow2

    重要: ストレージプールタイプによっては、virsh vol-create-as コマンドがサポートされないため、代わりにストレージボリューム作成の特定のプロセスが必要になります。

    • GlusterFS ベース - qemu-img コマンドを使用して、ストレージボリュームを作成します。
    • iSCSI ベース - iSCSI サーバーに事前に iSCSI LUN を準備します。
    • マルチパスベース - multipathd コマンドを使用して、マルチパスを準備または管理します。
    • vHBA ベース - ファイバーチャンネルカードを事前に準備します。
  2. XML ファイルを作成し、そのファイルに以下の行を追加します。このファイルは、ストレージボリュームをディスクとして仮想マシンに追加するために使用します。

    <disk type='volume' device='disk'>
        <driver name='qemu' type='qcow2'/>
        <source pool='guest-images-fs' volume='vm-disk1'/>
        <target dev='hdk' bus='ide'/>
    </disk>

    この例では、前の手順で作成した vm-disk1 ボリュームを使用する仮想ディスクを指定し、このボリュームを ide バスに hdk ディスクとして指定するように設定します。実際の環境に応じてそれぞれのパラメーターを変更します。

    重要: 特定のストレージプールタイプでは、別の XML 形式を使用してストレージボリュームディスクを記述する必要があります。

    • GlusterFS ベース のプールの場合:

        <disk type='network' device='disk'>
          <driver name='qemu' type='raw'/>
          <source protocol='gluster' name='Volume1/Image'>
            <host name='example.org' port='6000'/>
          </source>
          <target dev='vda' bus='virtio'/>
          <address type='pci' domain='0x0000' bus='0x00' slot='0x03' function='0x0'/>
        </disk>
    • マルチパスベース のプールの場合:

      <disk type='block' device='disk'>
      <driver name='qemu' type='raw'/>
      <source dev='/dev/mapper/mpatha' />
      <target dev='sda' bus='scsi'/>
      </disk>
    • RBD ベースのストレージ プールの場合:

        <disk type='network' device='disk'>
          <driver name='qemu' type='raw'/>
          <source protocol='rbd' name='pool/image'>
            <host name='mon1.example.org' port='6321'/>
          </source>
          <target dev='vdc' bus='virtio'/>
        </disk>
  3. XML ファイルを使用して、ストレージボリュームをディスクとして仮想マシンに割り当てます。たとえば、~/vm-disk1.xml で定義されたディスクを testguest1 仮想マシンに割り当てるには、次のコマンドを使用します。

    # virsh attach-device --config testguest1 ~/vm-disk1.xml

検証

  • 仮想マシンのゲストオペレーティングシステムで、ディスクイメージが未フォーマットかつ未割り当てのディスクとして利用できるようになっていることを確認します。

11.5.3. CLI を使用したストレージボリュームの削除

ホストシステムからストレージボリュームを削除するには、プールを停止して、その XML 定義を削除する必要があります。

前提条件

  • 削除するストレージボリュームを使用する仮想マシンがすべてシャットダウンしている。

手順

  1. virsh vol-list コマンドを使用して、指定したストレージプールにあるストレージボリュームをリスト表示します。

    # virsh vol-list --pool RHEL-SP
     Name                 Path
    ---------------------------------------------------------------
     .bash_history        /home/VirtualMachines/.bash_history
     .bash_logout         /home/VirtualMachines/.bash_logout
     .bash_profile        /home/VirtualMachines/.bash_profile
     .bashrc              /home/VirtualMachines/.bashrc
     .git-prompt.sh       /home/VirtualMachines/.git-prompt.sh
     .gitconfig           /home/VirtualMachines/.gitconfig
     vm-disk1             /home/VirtualMachines/vm-disk1
  2. オプション - virsh vol-wipe コマンドを使用して、ストレージボリュームをワイプします。たとえば、ストレージプール RHEL-SP に関連付けられている vm-disk1 という名前のストレージボリュームを削除する場合は、次のコマンドを実行します。

    # virsh vol-wipe --pool RHEL-SP vm-disk1
    Vol vm-disk1 wiped
  3. virsh vol-delete コマンドを使用して、ストレージボリュームを削除します。たとえば、ストレージプール RHEL-SP に関連付けられている vm-disk1 という名前のストレージボリュームを削除する場合は、次のコマンドを実行します。

    # virsh vol-delete --pool RHEL-SP vm-disk1
    Vol vm-disk1 deleted

検証

  • virsh vol-list を再度実行して、ストレージボリュームが削除されたことを確認します。

    # virsh vol-list --pool RHEL-SP
     Name                 Path
    ---------------------------------------------------------------
     .bash_history        /home/VirtualMachines/.bash_history
     .bash_logout         /home/VirtualMachines/.bash_logout
     .bash_profile        /home/VirtualMachines/.bash_profile
     .bashrc              /home/VirtualMachines/.bashrc
     .git-prompt.sh       /home/VirtualMachines/.git-prompt.sh
     .gitconfig           /home/VirtualMachines/.gitconfig

11.6. CLI を使用した仮想ディスクイメージの管理

仮想ディスクイメージは、仮想ストレージボリューム の一種であり、ハードドライブが物理マシンにストレージを提供するのと同様に、仮想マシンにストレージを提供します。

新しい仮想マシンを作成する 場合、特に指定しない限り、libvirt は新しいディスクイメージを自動的に作成します。ただし、ユースケースによっては、仮想マシンとは別にディスクイメージを作成して管理することが必要になる場合があります。

11.6.1. qemu-img を使用した仮想ディスクイメージの作成

新しい仮想マシンとは別に新しい仮想ディスクイメージを作成する必要があり、ストレージボリュームの作成 が実行できない場合は、qemu-img コマンドラインユーティリティーを使用できます。

手順

  • qemu-img ユーティリティーを使用して仮想ディスクイメージを作成します。

    # qemu-img create -f <format> <image-name> <size>

    たとえば、次のコマンドは、test-image という名前の、30 GB の qcow2 ディスクイメージを作成します。

    # qemu-img create -f qcow2 test-image 30G
    
    Formatting 'test-img', fmt=qcow2 cluster_size=65536 extended_l2=off compression_type=zlib size=32212254720 lazy_refcounts=off refcount_bits=16

検証

  • 作成したイメージに関する情報を表示して、必要なサイズであること、および破損していないことを確認します。

    # qemu-img info <test-img>
    image: test-img
    file format: qcow2
    virtual size: 30 GiB (32212254720 bytes)
    disk size: 196 KiB
    cluster_size: 65536
    Format specific information:
        compat: 1.1
        compression type: zlib
        lazy refcounts: false
        refcount bits: 16
        corrupt: false
        extended l2: false

関連情報

  • CLI でストレージボリュームの作成および割り当て
  • Web コンソールで新しいディスクを仮想マシンに追加
  • qemu-img の man ページ

11.6.2. 仮想ディスクイメージの整合性のチェック

ディスクイメージを仮想マシンにアタッチする前に、ディスクイメージに破損や著しい断片化などの問題がないことを確認します。確認には、qemu-img check コマンドを使用します。

必要に応じて、このコマンドを使用してディスクイメージの修復を試みることもできます。

前提条件

  • ディスクイメージを使用する仮想マシンがすべてシャットダウンしている。

手順

  1. テストするイメージに対して qemu-img check コマンドを使用します。以下に例を示します。

    # qemu-img check <test-name.qcow2>
    
    No errors were found on the image.
    327434/327680 = 99.92% allocated, 0.00% fragmented, 0.00% compressed clusters
    Image end offset: 21478375424

    チェックでディスクイメージに問題が見つかった場合、コマンドの出力は次のようになります。

    167 errors were found on the image.
    Data may be corrupted, or further writes to the image may corrupt it.
    
    453368 leaked clusters were found on the image.
    This means waste of disk space, but no harm to data.
    
    259 internal errors have occurred during the check.
    Image end offset: 21478375424
  2. qemu-img check コマンドで -r all オプションを指定して、問題を修復します。ただし、問題の一部しか解決されない可能性があることに注意してください。

    警告

    ディスクイメージを修復すると、データの破損やその他の問題が発生する可能性があります。修復を試みる前に、ディスクイメージをバックアップしてください。

    # qemu-img check -r all <test-name.qcow2>
    
    [...]
    122 errors were found on the image.
    Data may be corrupted, or further writes to the image may corrupt it.
    
    250 internal errors have occurred during the check.
    Image end offset: 27071414272

    この出力は、修復後にディスクイメージで見つかった問題の数を示しています。

  3. さらにディスクイメージの修復が必要な場合は、guestfish シェル のさまざまな libguestfs ツールを使用できます。

関連情報

  • qemu-img の man ページ
  • guestfish の man ページ

11.6.3. 仮想ディスクイメージのサイズ変更

既存のディスクイメージに追加の領域が必要な場合は、qemu-img resize ユーティリティーを使用して、ユースケースに合わせてイメージのサイズを変更できます。

前提条件

  • ディスクイメージのバックアップを作成している。
  • ディスクイメージを使用する仮想マシンがすべてシャットダウンしている。

    警告

    実行中の仮想マシンのディスクイメージのサイズを変更すると、データの破損やその他の問題が発生する可能性があります。

  • ホストのハードディスクに、意図したディスクイメージサイズに対して十分な空き領域がある。
  • オプション: ディスクイメージにデータの破損や同様の問題がないことを確認済みである。手順については、仮想ディスクイメージの整合性のチェック を参照してください。

手順

  1. サイズを変更する仮想マシンのディスクイメージファイルの場所を判別します。以下に例を示します。

    # virsh domblklist <vm-name>
    
     Target   Source
    ----------------------------------------------------------
     vda      /home/username/disk-images/example-image.qcow2
  2. オプション: 現在のディスクイメージをバックアップします。

    # cp <example-image.qcow2> <example-image-backup.qcow2>
  3. qemu-img resize ユーティリティーを使用して、イメージのサイズを変更します。

    たとえば、<example-image.qcow2> のサイズを 10 GB 増やすには、次のようにします。

    # qemu-img resize <example-image.qcow2> +10G
  4. ディスクイメージ内のファイルシステム、パーティション、または物理ボリュームのサイズを変更して、使用する領域を追加します。RHEL ゲストオペレーティングシステムでこれを行うには、ストレージデバイスの管理 および ファイルシステムの管理 の手順を使用します。

検証

  1. サイズを変更したイメージに関する情報を表示し、意図したサイズになっているかを確認します。

    # qemu-img info <converted-image.qcow2>
    
    image: converted-image.qcow2
    file format: qcow2
    virtual size: 30 GiB (32212254720 bytes)
    disk size: 196 KiB
    cluster_size: 65536
    Format specific information:
        compat: 1.1
        compression type: zlib
        lazy refcounts: false
        refcount bits: 16
        corrupt: false
        extended l2: false
  2. サイズを変更したディスクイメージに潜在的なエラーがないか確認します。手順については、仮想ディスクイメージの整合性のチェック を参照してください。

11.6.4. 仮想ディスクイメージの形式の変換

qemu-img convert コマンドを使用して、仮想ディスクイメージを別の形式に変換できます。たとえば、別のハイパーバイザーで実行している仮想マシンにディスクイメージをアタッチする場合、仮想ディスクイメージの形式の変換が必要になることがあります。

前提条件

  • ディスクイメージを使用する仮想マシンがすべてシャットダウンしている。

手順

  • qemu-im convert コマンドを使用して、既存の仮想ディスクイメージを別の形式に変換します。たとえば、raw ディスクイメージを QCOW2 ディスクイメージに変換するには、次のようにします。

    # qemu-img convert -f raw <original-image.img> -O qcow2 <converted-image.qcow2>

検証

  1. 変換したイメージに関する情報を表示し、意図した形式とサイズであるかどうかを確認します。

    # qemu-img info <converted-image.qcow2>
    
    image: converted-image.qcow2
    file format: qcow2
    virtual size: 30 GiB (32212254720 bytes)
    disk size: 196 KiB
    cluster_size: 65536
    Format specific information:
        compat: 1.1
        compression type: zlib
        lazy refcounts: false
        refcount bits: 16
        corrupt: false
        extended l2: false
  2. ディスクイメージに潜在的なエラーがないか確認します。手順については、仮想ディスクイメージの整合性のチェック を参照してください。

関連情報

11.7. Web コンソールを使用した仮想マシンのストレージボリュームの管理

RHEL を使用すると、仮想マシン (VM) にストレージを割り当てるために使用されるストレージボリュームを管理できます。

RHEL Web コンソールを使用して以下を実行できます。

11.7.1. Web コンソールでストレージボリュームの作成

機能している仮想マシンを作成するには、仮想マシンイメージと仮想マシン関連のデータを保存できるローカルストレージデバイスが仮想マシンに割り当てられている必要があります。ストレージプールにストレージボリュームを作成し、ストレージディスクとして仮想マシンに割り当てることができます。

Web コンソールを使用してストレージボリュームを作成するには、以下の手順を参照してください。

前提条件

手順

  1. 仮想マシンタブの上部にある ストレージプール をクリックします。ストレージプール画面が表示され、設定されているストレージプールのリストが示されます。

    ホストに現在設定されているすべてのストレージプールを表示するイメージ。
  2. ストレージプール 画面で、ストレージボリュームを作成するストレージプールをクリックします。

    行がデプロイメントされ、選択したストレージプールに関する基本情報を含む概要ペインが表示されます。

    選択したストレージプールの詳細情報を表示するイメージ。
  3. 拡張された行の概要タブの横にある ストレージボリューム をクリックします。

    ストレージボリュームタブが表示され、既存のストレージボリュームが存在する場合は、そのボリュームに関する基本的な情報が表示されます。

    選択したストレージプールに関連付けられているストレージボリュームのリストを表示するイメージ。
  4. ボリュームの作成 をクリックします。

    Create storage volume ダイアログが表示されます。

    ストレージボリュームの作成ダイアログボックスが表示されるイメージ
  5. ストレージボリュームの作成ダイアログに、次の情報を入力します。

    • 名前 - ストレージボリュームの名前。
    • サイズ - ストレージボリュームのサイズ (MiB または GiB)。
    • フォーマット - ストレージボリュームの形式。サポートされているタイプは qcow2 および raw です。
  6. 作成 をクリックします。

    ストレージボリュームが作成されると、ストレージボリュームの作成ダイアログが終了し、ストレージボリュームのリストに新しいストレージボリュームが表示されます。

関連情報

11.7.2. Web コンソールでストレージボリュームの削除

ストレージプールの領域を解放するためにストレージボリュームを削除したり、仮想マシンが切断された場合に関連付けられたストレージ項目を削除したりできます。

RHEL Web コンソールを使用してストレージボリュームを削除するには、以下の手順を参照してください。

前提条件

手順

  1. 仮想マシンタブの上部にある ストレージプール をクリックします。ストレージプール画面が表示され、設定されているストレージプールのリストが示されます。

    ホストに現在設定されているすべてのストレージプールを表示するイメージ。
  2. ストレージプール 画面で、ストレージボリュームを削除するストレージプールをクリックします。

    行がデプロイメントされ、選択したストレージプールに関する基本情報を含む概要ペインが表示されます。

    選択したストレージプールの詳細情報を表示するイメージ。
  3. 拡張された行の概要タブの横にある ストレージボリューム をクリックします。

    ストレージボリュームタブが表示され、既存のストレージボリュームが存在する場合は、そのボリュームに関する基本的な情報が表示されます。

    選択したストレージプールに関連付けられているストレージボリュームのリストを表示するイメージ。
  4. 削除するストレージボリュームを選択します。

    選択したストレージボリュームを削除するオプションを表示するイメージ。
  5. 1 ボリュームの削除 をクリックします。

11.8. Web コンソールを使用した仮想マシンストレージディスクの管理

RHEL を使用すると、仮想マシン (VM) に接続されているストレージディスクを管理できます。

RHEL Web コンソールを使用して以下を実行できます。

11.8.1. Web コンソールで仮想マシンのディスク情報の表示

Web コンソールを使用して、選択した仮想マシンに割り当てられたディスクの詳細情報を表示できます。

前提条件

手順

  1. 情報を表示する仮想マシンをクリックします。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

  2. ディスク までスクロールします。

    ディスクセクションには、仮想マシンに割り当てられたディスクに関する情報と、ディスクの 追加削除、または 編集 のオプションが表示されます。

    選択した仮想マシンのディスク使用率を表示するイメージ

この情報には以下が含まれます。

  • デバイス - ディスクのデバイスの種類。
  • 使用済み - 現在割り当てられているディスク容量。
  • 容量 - ストレージボリュームの最大サイズ。
  • バス - エミュレートされるディスクデバイスの種類。
  • アクセス - ディスクが書き込み可能 かどうか、読み取り専用 であるか。raw ディスクの場合は、書き込み可能および共有 へのアクセスを設定することもできます。
  • ソース - ディスクデバイスまたはファイル

関連情報

  • Web コンソールで仮想マシン情報の表示

11.8.2. Web コンソールで新しいディスクを仮想マシンに追加

新しいディスクを仮想マシンに追加するには、RHEL 9 Web コンソールを使用して、新しいストレージボリュームを作成し、仮想マシンに割り当てます。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、新しいディスクを作成して割り当てる仮想マシンを選択します。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

  2. ディスク までスクロールします。

    ディスクセクションには、仮想マシンに割り当てられたディスクに関する情報と、ディスクの 追加削除、または 編集 のオプションが表示されます。

    選択した仮想マシンのディスク使用率を表示するイメージ
  3. ディスクの追加 をクリックします。

    ディスクの追加ダイアログが表示されます。

    Image displaying the Add Disk dialog box.

  4. 新規作成 オプションを選択します。
  5. 新しいディスクを設定します。

    • プール - 仮想ディスクの作成元であるストレージプールを選択します。
    • 名前 - 作成する仮想ディスクの名前を入力します。
    • サイズ - 作成する仮想ディスクのサイズを入力し、単位 (MiB または GiB) を選択します。
    • フォーマット - 作成する仮想ディスクの形式を選択します。サポートされているタイプは qcow2 および raw です。
    • 永続 -選択すると、仮想ディスクが永続化されます。選択しないと、仮想ディスクは一時的になります。

      注記

      一時的なデバイスは、稼働中の仮想マシンにのみ追加できます。

    • 追加オプション - 仮想ディスクの追加設定を指定します。

      • キャッシュ - キャッシュメカニズムを選択します。
      • バス - エミュレートするディスクデバイスの種類を選択します。
  6. Add をクリックします。

    仮想ディスクが作成され、仮想マシンに接続します。

関連情報

11.8.3. Web コンソールで既存ディスクを仮想マシンに割り当てる手順

Web コンソールを使用して、既存のストレージボリュームをディスクとして仮想マシンに割り当てることができます。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、新しいディスクを作成して割り当てる仮想マシンを選択します。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

  2. ディスク までスクロールします。

    ディスクセクションには、仮想マシンに割り当てられたディスクに関する情報と、ディスクの 追加削除、または 編集 のオプションが表示されます。

    選択した仮想マシンのディスク使用率を表示するイメージ
  3. ディスクの追加 をクリックします。

    ディスクの追加ダイアログが表示されます。

    ディスクの追加ダイアログボックスが表示されるイメージ。
  4. 既存の使用 ラジオボタンをクリックします。

    ディスクの追加ダイアログに、適切な設定フィールドが表示されます。

    Use Existing オプションを選択してディスクの追加ダイアログボックスを表示するイメージ。width=100%
  5. 仮想マシンのディスクを設定します。

    • プール - 仮想ディスクを割り当てるストレージプールを選択します。
    • ボリューム - 割り当てるストレージボリュームを選択します。
    • 永続性: 仮想マシンの実行中に利用できます。常に接続 チェックボックスを選択して、仮想ディスクを永続化します。仮想ディスクを一時的にするには、チェックボックスをオフにします。
    • 追加オプション - 仮想ディスクの追加設定を指定します。

      • キャッシュ - キャッシュメカニズムを選択します。
      • バス - エミュレートするディスクデバイスの種類を選択します。
  6. 追加 をクリックします。

    選択した仮想ディスクが仮想マシンに割り当てられます。

関連情報

11.8.4. Web コンソールを使用した仮想マシンからのディスクの割り当て解除

Web コンソールを使用して、仮想マシンからディスクの割り当てを解除できます。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、ディスクの割り当てを解除する仮想マシンを選択します。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

  2. ディスク までスクロールします。

    ディスクセクションには、仮想マシンに割り当てられたディスクに関する情報と、ディスクの 追加削除、または 編集 のオプションが表示されます。

    選択した仮想マシンのディスク使用率を表示するイメージ
  3. 仮想マシンから接続を解除するディスクの横にある 削除 ボタンをクリックします。Remove Disk の確認ダイアログボックスが表示されます。
  4. 確認ダイアログボックスで、削除 をクリックします。

    仮想マシンから、仮想ディスクの割り当てが解除されます。

関連情報

11.9. libvirt シークレットを使用した iSCSI ストレージプールのセキュリティー保護

ユーザー名とパスワードのパラメーターは、iSCSI ストレージプールをセキュリティー保護するため、virsh で設定できます。プールの定義前または後に設定できますが、認証設定を有効にするにはプールを起動する必要があります。

ここでは、libvirt シークレットを使用して、iSCSI ベースのストレージプールのセキュリティーを保護する手順を説明します。

注記

この手順は、iSCSI ターゲットの作成時に user_ID および password が定義される場合に必要です。

前提条件

手順

  1. チャレンジハンドシェイク認証プロトコル (CHAP) のユーザー名を使用して、libvirt シークレットファイルを作成します。以下に例を示します。

    <secret ephemeral='no' private='yes'>
        <description>Passphrase for the iSCSI example.com server</description>
        <usage type='iscsi'>
            <target>iscsirhel7secret</target>
        </usage>
    </secret>
  2. virsh secret-define コマンドを使用して、libvirt シークレットを定義します。

    # virsh secret-define secret.xml
  3. virsh secret-list コマンドで UUID を確認します。

    # virsh secret-list
    UUID                                       Usage
    --------------------------------------------------------------
    2d7891af-20be-4e5e-af83-190e8a922360      iscsi iscsirhel7secret
  4. virsh secret-set-value コマンドを使用して、前の手順の出力の UUID に、シークレットを割り当てます。これにより、CHAP ユーザー名とパスワードが、libvirt が制御するシークレットリストにあることが保証されます。以下に例を示します。

    # virsh secret-set-value --interactive 2d7891af-20be-4e5e-af83-190e8a922360
    Enter new value for secret:
    Secret value set
  5. virsh edit コマンドを使用してストレージプールの XML ファイルに認証エントリーを追加し、<auth> 要素を追加して authentication typeusername、および secret usage を指定します。以下に例を示します。

    <pool type='iscsi'>
      <name>iscsirhel7pool</name>
        <source>
           <host name='192.0.2.1'/>
           <device path='iqn.2010-05.com.example.server1:iscsirhel7guest'/>
           <auth type='chap' username='_example-user_'>
              <secret usage='iscsirhel7secret'/>
           </auth>
        </source>
      <target>
        <path>/dev/disk/by-path</path>
      </target>
    </pool>
    注記

    サブ要素 <auth> は仮想マシンの <pool> および <disk> XML 要素内の異なる場所に存在します。<pool> の場合は、<auth><source> 要素に指定されます。認証は一部のプールソース (iSCSI および RBD) のプロパティーであるため、これはプールソースの検索場所を説明する要素となります。ドメインのサブ要素である <disk> の場合、iSCSI ディスクまたは RBD ディスクに対する認証は、ディスクのプロパティーです。また、ディスクのサブ要素 <auth> は、ストレージプールのサブ要素とは異なります。

    <auth username='redhat'>
      <secret type='iscsi' usage='iscsirhel7secret'/>
    </auth>
  6. 変更を有効にするには、ストレージプールを有効にします。プールがすでに起動している場合は、ストレージプールを停止して再起動します。

    # virsh pool-destroy iscsirhel7pool
    # virsh pool-start iscsirhel7pool

11.10. vHBA の作成

仮想ホストバスアダプター (vHBA) デバイスは、ホストシステムを SCSI デバイスに接続し、SCSI ベースのストレージプールを作成するために必要です。

vHBA デバイスは、XML 設定ファイルで定義することで作成できます。

手順

  1. virsh nodedev-list --cap vports コマンドを使用して、ホストシステムの HBA を見つけます。

    以下の例は、vHBA に対応する HBA が 2 つ搭載されているホストを示しています。

    # virsh nodedev-list --cap vports
    scsi_host3
    scsi_host4
  2. virsh nodedev-dumpxml HBA_device コマンドを使用して、HBA の詳細を表示します。

    # virsh nodedev-dumpxml scsi_host3

    コマンドからの出力には、<name><wwnn>、および <wwpn> フィールドのリストが表示されます。これは、vHBA を作成するために使用されます。<max_vports> は、対応している vHBA の最大数を示します。以下に例を示します。

    <device>
      <name>scsi_host3</name>
      <path>/sys/devices/pci0000:00/0000:00:04.0/0000:10:00.0/host3</path>
      <parent>pci_0000_10_00_0</parent>
      <capability type='scsi_host'>
        <host>3</host>
        <unique_id>0</unique_id>
        <capability type='fc_host'>
          <wwnn>20000000c9848140</wwnn>
          <wwpn>10000000c9848140</wwpn>
          <fabric_wwn>2002000573de9a81</fabric_wwn>
        </capability>
        <capability type='vport_ops'>
          <max_vports>127</max_vports>
          <vports>0</vports>
        </capability>
      </capability>
    </device>

    この例では、<max_vports> 値は、HBA 設定で使用できる合計 127 の仮想ポートがあることを示します。<vports> の値は、現在使用中の仮想ポートの数を示します。この値は、vHBA の作成後に更新されます。

  3. vHBA ホスト用に、以下のいずれかの XML ファイルを作成します。この例では、ファイルの名前は vhba_host3.xml です。

    次の例では、scsi_host3 を使用して親 vHBA を説明します。

    <device>
      <parent>scsi_host3</parent>
      <capability type='scsi_host'>
        <capability type='fc_host'>
        </capability>
      </capability>
    </device>

    次の例では、WWNN/WWPN のペアを使用して親 vHBA を説明します。

    <device>
      <name>vhba</name>
      <parent wwnn='20000000c9848140' wwpn='10000000c9848140'/>
      <capability type='scsi_host'>
        <capability type='fc_host'>
        </capability>
      </capability>
    </device>
    注記

    WWNN および WWPN の値は、前の手順で確認した HBA の詳細の値と一致する必要があります。

    <parent> フィールドは、この vHBA デバイスに関連付ける HBA デバイスを指定します。<device> タグの詳細は、ホスト用の新しい vHBA デバイスを作成するために、次の手順で使用されます。nodedev の XML 形式の詳細は、アップストリームの libvirt ページ を参照してください。

    注記

    virsh コマンドでは、parent_wwnn 属性、parent_wwpn 属性、または parent_fabric_wwn 属性を定義する方法が提供されません。

  4. virsh nodev-create コマンドを使用して、前の手順で作成した XML ファイルに基づいて VHBA を作成します。

    # virsh nodedev-create vhba_host3
    Node device scsi_host5 created from vhba_host3.xml

検証

  • virsh nodedev-dumpxml コマンドで、新しい vHBA の詳細 (scsi_host5) を確認します。

    # virsh nodedev-dumpxml scsi_host5
    <device>
      <name>scsi_host5</name>
      <path>/sys/devices/pci0000:00/0000:00:04.0/0000:10:00.0/host3/vport-3:0-0/host5</path>
      <parent>scsi_host3</parent>
      <capability type='scsi_host'>
        <host>5</host>
        <unique_id>2</unique_id>
        <capability type='fc_host'>
          <wwnn>5001a4a93526d0a1</wwnn>
          <wwpn>5001a4ace3ee047d</wwpn>
          <fabric_wwn>2002000573de9a81</fabric_wwn>
        </capability>
      </capability>
    </device>

関連情報

  • CLI で vHBA デバイスを使用した SCSI ベースのストレージプールを作成する手順

第12章 仮想マシンでの GPU デバイスの管理

RHEL 8 ホストで仮想マシンのグラフィカルパフォーマンスを向上させるために、仮想マシンにホスト GPU を割り当てることができます。

  • ホストから GPU を取り外し、GPU の完全な制御を仮想マシンに直接渡すことができます。
  • 物理 GPU から複数の仲介デバイスを作成し、これらのデバイスを仮想 GPU (vGPU) として複数のゲストに割り当てることができます。現在、これは選択した NVIDIA GPU でのみ対応しており、1 つのゲストに割り当てることができる仲介デバイスは 1 つだけです。

12.1. 仮想マシンへの GPU の割り当て

ホストシステムに接続されている GPU にアクセスして制御するには、GPU の直接制御を仮想マシンに渡すようにホストシステムを設定する必要があります。

注記

仮想 GPU の割り当て方法の詳細は、Managing NVIDIA vGPU devices を参照してください。

前提条件

  • ホストマシンカーネルで IOMMU サポートを有効にする必要があります。

    • Intel ホストでは、VT-d を有効にする必要があります。

      1. intel_iommu=on および iommu=pt パラメーターを使用して GRUB 設定を再生成します。

        # grubby --args="intel_iommu=on iommu_pt" --update-kernel DEFAULT
      2. ホストを再起動します。
    • AMD ホストでは、AMD-Vi を有効にする必要があります。

      AMD ホストでは、IOMMU はデフォルトで有効になっているため、iommu=pt を追加してパススルーモードに切り替えることができます。

      1. iommu=pt パラメーターで GRUB 設定を再生成します。

        # grubby --args="iommu=pt" --update-kernel DEFAULT
        注記

        pt オプションは、パススルーモードで使用されるデバイスにのみ IOMMU を有効にし、ホストパフォーマンスを向上させます。ただし、すべてのハードウェアがこのオプションに対応しているわけではありません。このオプションが有効かどうかに関係なく、デバイスを割り当てることができます。

      2. ホストを再起動します。

手順

  1. ドライバーが GPU にバインドしないようにします。

    1. GPU の接続先である PCI バスアドレスを特定します。

      # lspci -Dnn | grep VGA
      0000:02:00.0 VGA compatible controller [0300]: NVIDIA Corporation GK106GL [Quadro K4000] [10de:11fa] (rev a1)
    2. ホストのグラフィックドライバーが GPU を使用しないようにします。これには、pci-stub ドライバーで GPU の PCI ID を使用します。

      たとえば、次のコマンドは、ドライバーが10de: 11fa バスに接続されている GPU にバインドしないようにします。

      # grubby --args="pci-stub.ids=10de:11fa" --update-kernel DEFAULT
    3. ホストを再起動します。
  2. オプション: サポートの制限により、オーディオなどの特定の GPU 機能が仮想マシンに渡せない場合は、IOMMU グループ内のエンドポイントのドライバーバインドを変更して、必要な GPU 機能のみを通過させることができます。

    1. GPU 設定を XML に変換し、ホストドライバーに接続しないようにするエンドポイントの PCI アドレスを書き留めておきます。

      これを行うには、アドレスに pci_ 接頭辞を追加し、区切り文字をアンダースコアに変換することにより、GPU の PCI バスアドレスを libvirt 互換形式に変換します。

      たとえば、次のコマンドは、0000:02:00.0 バスアドレスに接続されている GPU の XML 設定を表示します。

      # virsh nodedev-dumpxml pci_0000_02_00_0
      <device>
       <name>pci_0000_02_00_0</name>
       <path>/sys/devices/pci0000:00/0000:00:03.0/0000:02:00.0</path>
       <parent>pci_0000_00_03_0</parent>
       <driver>
        <name>pci-stub</name>
       </driver>
       <capability type='pci'>
        <domain>0</domain>
        <bus>2</bus>
        <slot>0</slot>
        <function>0</function>
        <product id='0x11fa'>GK106GL [Quadro K4000]</product>
        <vendor id='0x10de'>NVIDIA Corporation</vendor>
        <iommuGroup number='13'>
         <address domain='0x0000' bus='0x02' slot='0x00' function='0x0'/>
         <address domain='0x0000' bus='0x02' slot='0x00' function='0x1'/>
        </iommuGroup>
        <pci-express>
         <link validity='cap' port='0' speed='8' width='16'/>
         <link validity='sta' speed='2.5' width='16'/>
        </pci-express>
       </capability>
      </device>
    2. エンドポイントがホストドライバーに接続されないようにします。

      この例では、GPU を仮想マシンに割り当て、オーディオ機能である <address domain='0x0000' bus='0x02' slot='0x00' function='0x1'/> に対応するエンドポイントがホストオーディオドライバーに接続されないようにし、代わりにエンドポイントを VFIO-PCI に接続します。

      # driverctl set-override 0000:02:00.1 vfio-pci
  3. GPU の仮想マシンへの接続

    1. PCI バスアドレスを使用して GPU 用の XML 設定ファイルを作成します。

      たとえば、GPU のバスアドレスからパラメーターを使用して、次の XML ファイル GPU-Assign.xml を作成できます。

      <hostdev mode='subsystem' type='pci' managed='yes'>
       <driver name='vfio'/>
       <source>
        <address domain='0x0000' bus='0x02' slot='0x00' function='0x0'/>
       </source>
      </hostdev>
    2. ホストシステムにファイルを保存します。
    3. ファイルを仮想マシンの XML 設定とマージします。

      たとえば、次のコマンドは、GPU XML ファイルの GPU-Assign.xml を、System1 仮想マシンの XML 設定ファイルにマージします。

      # virsh attach-device System1 --file /home/GPU-Assign.xml --persistent
      Device attached successfully.
      注記

      GPU は、セカンダリーグラフィックスデバイスとして仮想マシンに接続されています。GPU をプライマリーグラフィックスデバイスとして割り当てることには対応していません。Red Hat では、仮想マシンの XML 設定で、エミュレートしているプライマリーグラフィックスデバイスを削除することは推奨しません。

検証

既知の問題

  • VM に接続できる GPU の数は、割り当てられた PCI デバイスの最大数 (RHEL 8 では現在 64) によって制限されます。ただし、仮想マシンに複数の GPU を接続すると、ゲストのメモリーマップド I/O (MMIO) で問題が発生する可能性があり、その結果、GPU が仮想マシンで使用できなくなる可能性があります。

    これらの問題を回避するには、より大きな 64 ビット MMIO 空間を設定し、vCPU 物理アドレスビットを設定して、拡張された 64 ビット MMIO 空間をアドレス指定可能にします。

  • 現在 RHEL 8 ゲストオペレーティングシステムを使用している仮想マシンに NVIDIA GPU デバイスを接続すると、その仮想マシンで Wayland セッションが無効になり、代わりに Xorg セッションが読み込まれます。これは、NVIDIA ドライバーと Wayland の間の非互換性が原因です。

12.2. NVIDIA vGPU デバイスの管理

vGPU 機能により、仲介デバイス として参照される物理的な NVIDIA GPU デバイスを複数の仮想デバイスに分割できます。この仲介デバイスは、仮想 GPU として複数の仮想マシンに割り当てることができます。これにより、この仮想マシンが、1 つの物理 GPU のパフォーマンスを共有できます。

重要

仲介デバイスの使用にかかわらず、仮想マシンに物理 GPU を割り当てると、ホストが GPU を使用できなくなります。

12.2.1. NVIDIA vGPU デバイスの設定

NVIDIA の vGPU 機能を設定するには、GPU デバイスの NVIDIA vGPU ドライバーをダウンロードして、仲介デバイスを作成し、使用する仮想マシンに割り当てる必要があります。詳細な手順は、以下を参照してください。

前提条件

  • GPU が vGPU 仲介デバイスをサポートしている。vGPU の作成をサポートする NVIDIA GPU の最新のリストについては、NVIDIA vGPU ソフトウェアのドキュメント を参照してください。

    • ホストが使用している GPU が分からない場合は、lshw パッケージをインストールして、lshw -C display コマンドを使用します。以下の例は、システムが、vGPU と互換性がある NVIDIA Tesla P4 GPU を使用していることを示しています。

      # lshw -C display
      
      *-display
             description: 3D controller
             product: GP104GL [Tesla P4]
             vendor: NVIDIA Corporation
             physical id: 0
             bus info: pci@0000:01:00.0
             version: a1
             width: 64 bits
             clock: 33MHz
             capabilities: pm msi pciexpress cap_list
             configuration: driver=vfio-pci latency=0
             resources: irq:16 memory:f6000000-f6ffffff memory:e0000000-efffffff memory:f0000000-f1ffffff

手順

  1. NVIDIA vGPU ドライバーをダウンロードして、システムにインストールします。手順は NVIDIA ドキュメント を参照してください。
  2. NVIDIA ソフトウェアのインストーラーで /etc/modprobe.d/nvidia-installer-disable-nouveau.conf ファイルが作成されなかった場合は、/etc/modprobe.d/ に任意の名前で conf ファイルを作成し、そのファイルに以下の行を追加します。

    blacklist nouveau
    options nouveau modeset=0
  3. 現在のカーネル用に初期 ramdisk を再生成してから再起動します。

    # dracut --force
    # reboot
  4. カーネルで nvidia_vgpu_vfio モジュールが読み込まれていること、nvidia-vgpu-mgr.service サービスが実行されていることを確認してください。

    # lsmod | grep nvidia_vgpu_vfio
    nvidia_vgpu_vfio 45011 0
    nvidia 14333621 10 nvidia_vgpu_vfio
    mdev 20414 2 vfio_mdev,nvidia_vgpu_vfio
    vfio 32695 3 vfio_mdev,nvidia_vgpu_vfio,vfio_iommu_type1
    
    # systemctl status nvidia-vgpu-mgr.service
    nvidia-vgpu-mgr.service - NVIDIA vGPU Manager Daemon
       Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/nvidia-vgpu-mgr.service; enabled; vendor preset: disabled)
       Active: active (running) since Fri 2018-03-16 10:17:36 CET; 5h 8min ago
     Main PID: 1553 (nvidia-vgpu-mgr)
     [...]

    さらに、NVIDIA Ampere GPU デバイスに基づいて vGPU を作成する場合は、物理 GPU で仮想機能が有効になっていることを確認してください。手順は NVIDIA ドキュメント を参照してください。

  5. デバイスの UUID を生成します。

    # uuidgen
    30820a6f-b1a5-4503-91ca-0c10ba58692a
  6. 検出された GPU ハードウェアに基づいて、仲介されたデバイスの設定を含む XML ファイルを準備します。たとえば、次の例では、0000:01:00.0 PCI バスで実行され、前の手順で生成された UUID を使用する NVIDIA Tesla P4 カードで nvidia-63 vGPU タイプの仲介デバイスを設定します。

    <device>
        <parent>pci_0000_01_00_0</parent>
        <capability type="mdev">
            <type id="nvidia-63"/>
            <uuid>30820a6f-b1a5-4503-91ca-0c10ba58692a</uuid>
        </capability>
    </device>
  7. 準備した XML ファイルに基づいて vGPU 仲介デバイスを定義します。以下に例を示します。

    # virsh nodedev-define vgpu-test.xml
    Node device mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba58692a_0000_01_00_0 created from vgpu-test.xml
  8. オプション: 仲介デバイスが非アクティブとしてリストされていることを確認します。

    # virsh nodedev-list --cap mdev --inactive
    mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba58692a_0000_01_00_0
  9. 作成した vGPU 仲介デバイスを起動します。

    # virsh nodedev-start mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba58692a_0000_01_00_0
    Device mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba58692a_0000_01_00_0 started
  10. オプション: 仲介デバイスがアクティブとしてリストされていることを確認します。

    # virsh nodedev-list --cap mdev
    mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba58692a_0000_01_00_0
  11. ホストの再起動後に自動的に起動するように vGPU デバイスを設定します。

    # virsh nodedev-autostart mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba58692a_0000_01_00_0
    Device mdev_d196754e_d8ed_4f43_bf22_684ed698b08b_0000_9b_00_0 marked as autostarted
  12. vGPU リソースを共有する仮想マシンに仲介デバイスを割り当てます。これを行うには、以下の行を、仮想マシンの XML 設定の <devices/> セクションに追加します。

    <hostdev mode='subsystem' type='mdev' managed='no' model='vfio-pci' display='on'>
      <source>
        <address uuid='30820a6f-b1a5-4503-91ca-0c10ba58692a'/>
      </source>
    </hostdev>

    各 UUID は、一度に 1 つの仮想マシンにしか割り当てることができないのでご注意ください。さらに、仮想マシンに virtio-vga などの QEMU ビデオデバイスがない場合は、<hostdev> 行に ramfb='on' パラメーターも追加します。

  13. 割り当てられた仮想マシンに vGPU 仲介デバイスの全機能が提供されるように、これらの仮想マシンに NVIDIA vGPU ゲストソフトウェアのライセンスを設定します。詳細および手順は、NVIDIA の仮想 GPU ソフトウェアのライセンスサーバーユーザーガイド を参照してください。

検証

  1. 作成した vGPU の機能をクエリーし、アクティブで永続的な機能としてリストされていることを確認します。

    # virsh nodedev-info mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba58692a_0000_01_00_0
    Name:           virsh nodedev-autostart mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba58692a_0000_01_00_0
    Parent:         pci_0000_01_00_0
    Active:         yes
    Persistent:     yes
    Autostart:      yes
  2. 仮想マシンを起動し、ゲストオペレーティングシステムが仲介デバイスを NVIDIA GPU として検出することを確認します。たとえば、仮想マシンが Linux を使用している場合は、以下のとおりとなります。

    # lspci -d 10de: -k
    07:00.0 VGA compatible controller: NVIDIA Corporation GV100GL [Tesla V100 SXM2 32GB] (rev a1)
            Subsystem: NVIDIA Corporation Device 12ce
            Kernel driver in use: nvidia
            Kernel modules: nouveau, nvidia_drm, nvidia

既知の問題

  • 現在 RHEL 8 ゲストオペレーティングシステムを使用している仮想マシンに NVIDIA vGPU 仲介デバイスを割り当てると、その仮想マシンで Wayland セッションが無効になり、代わりに Xorg セッションが読み込まれます。これは、NVIDIA ドライバーと Wayland の間の非互換性が原因です。

関連情報

12.2.2. NVIDIA vGPU デバイスの削除

割り当てられた vGPU 仲介デバイス の設定を変更する場合は、割り当てられた仮想マシンから既存のデバイスを削除する必要があります。手順は、以下を参照してください。

前提条件

  • デバイスを削除する仮想マシンがシャットダウンしている。

手順

  1. 削除する仲介デバイスの ID を取得します。

    # virsh nodedev-list --cap mdev
    mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba58692a_0000_01_00_0
  2. vGPU 仲介バイスの実行中のインスタンスを停止します。

    # virsh nodedev-destroy mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba58692a_0000_01_00_0
    Destroyed node device 'mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba58692a_0000_01_00_0'
  3. オプション: 仲介デバイスが非アクティブであることを確認します。

    # virsh nodedev-info mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba58692a_0000_01_00_0
    Name:           virsh nodedev-autostart mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba58692a_0000_01_00_0
    Parent:         pci_0000_01_00_0
    Active:         no
    Persistent:     yes
    Autostart:      yes
  4. 仮想マシンの XML 設定からデバイスを削除します。これには、virsh edit ユーティリティーを使用して仮想マシンの XML 設定を編集し、mdev の設定セグメントを削除します。このセグメントは、以下のようになります。

    <hostdev mode='subsystem' type='mdev' managed='no' model='vfio-pci'>
      <source>
        <address uuid='30820a6f-b1a5-4503-91ca-0c10ba58692a'/>
      </source>
    </hostdev>

    仲介デバイスを停止してデタッチしても、このデバイスは削除されずに 定義された とおりに保持されるのでご注意ください。したがって、デバイスを 再起動 して、別の仮想マシンに 割り当てる ことができます。

  5. オプション: 停止した仲介デバイスを削除するには、デバイスの定義を削除します。

    # virsh nodedev-undefine mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba58692a_0000_01_00_0
    Undefined node device 'mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba58692a_0000_01_00_0'

検証

  • デバイスを停止して切り離しただけの場合は、仲介デバイスが非アクティブとしてリストされていることを確認してください。

    # virsh nodedev-list --cap mdev --inactive
    mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba58692a_0000_01_00_0
  • デバイスも削除した場合は、次のコマンドでデバイスが表示されないことを確認してください。

    # virsh nodedev-list --cap mdev

関連情報

  • man virsh コマンド

12.2.3. システムに関する NVIDIA vGPU 情報の取得

利用可能な vGPU 機能の機能を評価するには、お使いのシステムの仲介デバイスに関する以下のような追加情報を取得してください。

  • 特定タイプの仲介デバイスを何個作成できるか
  • お使いのシステムに設定済みの仲介デバイスはどれか

手順

  • vGPU 仲介デバイスをサポートできるホストで使用可能な GPU デバイスを確認するには、virsh nodedev-list--capmdev_types コマンドを使用します。たとえば、以下は 2 つの NVIDIA Quadro RTX6000 デバイスを備えたシステムを示しています。

    # virsh nodedev-list --cap mdev_types
    pci_0000_5b_00_0
    pci_0000_9b_00_0
  • 特定の GPU デバイスでサポートされている vGPU タイプと追加のメタデータを表示するには、virsh nodedev-dumpxml コマンドを使用します。

    # virsh nodedev-dumpxml pci_0000_9b_00_0
    <device>
      <name>pci_0000_9b_00_0</name>
      <path>/sys/devices/pci0000:9a/0000:9a:00.0/0000:9b:00.0</path>
      <parent>pci_0000_9a_00_0</parent>
      <driver>
        <name>nvidia</name>
      </driver>
      <capability type='pci'>
        <class>0x030000</class>
        <domain>0</domain>
        <bus>155</bus>
        <slot>0</slot>
        <function>0</function>
        <product id='0x1e30'>TU102GL [Quadro RTX 6000/8000]</product>
        <vendor id='0x10de'>NVIDIA Corporation</vendor>
        <capability type='mdev_types'>
          <type id='nvidia-346'>
            <name>GRID RTX6000-12C</name>
            <deviceAPI>vfio-pci</deviceAPI>
            <availableInstances>2</availableInstances>
          </type>
          <type id='nvidia-439'>
            <name>GRID RTX6000-3A</name>
            <deviceAPI>vfio-pci</deviceAPI>
            <availableInstances>8</availableInstances>
          </type>
          [...]
          <type id='nvidia-440'>
            <name>GRID RTX6000-4A</name>
            <deviceAPI>vfio-pci</deviceAPI>
            <availableInstances>6</availableInstances>
          </type>
          <type id='nvidia-261'>
            <name>GRID RTX6000-8Q</name>
            <deviceAPI>vfio-pci</deviceAPI>
            <availableInstances>3</availableInstances>
          </type>
        </capability>
        <iommuGroup number='216'>
          <address domain='0x0000' bus='0x9b' slot='0x00' function='0x3'/>
          <address domain='0x0000' bus='0x9b' slot='0x00' function='0x1'/>
          <address domain='0x0000' bus='0x9b' slot='0x00' function='0x2'/>
          <address domain='0x0000' bus='0x9b' slot='0x00' function='0x0'/>
        </iommuGroup>
        <numa node='2'/>
        <pci-express>
          <link validity='cap' port='0' speed='8' width='16'/>
          <link validity='sta' speed='2.5' width='8'/>
        </pci-express>
      </capability>
    </device>

関連情報

  • man virsh コマンド

12.2.4. NVIDIA vGPU のリモートデスクトップストリーミングサービス

次のリモートデスクトップストリーミングサービスは、NVIDIA vGPU または NVIDIA GPU パススルーが有効になっている RHEL 8 ハイパーバイザーでサポートされています。

  • HP ZCentral Remote Boost/Teradici
  • NICE DCV
  • Mechdyne TGX

サポートの詳細については、適切なベンダーサポートマトリックスを参照してください。

第13章 仮想マシンのネットワーク接続の設定

ホストや、ホスト上の他の仮想マシン、外部ネットワークの場所に、ネットワーク経由で仮想マシンを接続する場合には、仮想マシンネットワークをそれぞれに合わせて設定する必要があります。RHEL 8 ハイパーバイザーおよび新規作成仮想マシンには、仮想マシンネットワークを提供するためにデフォルトのネットワーク設定があり、この設定は後から変更も可能です。以下に例を示します。

  • 仮想マシンがホストと同じネットワーク上にあるかのように、ホスト上の仮想マシンを検出し、ホスト外の場所に接続できます。
  • 仮想マシンを受信ネットワークトラフィックから部分的に分離するか、完全に分離して、セキュリティーを強化し、仮想マシンに影響を及ぼすリスクを最小限に抑えることができます。

以下のセクションでは、仮想マシンネットワーク設定と、選択した仮想マシンネットワークオプションの設定について説明しあ m す。

13.1. 仮想ネットワークの概要

ホストハードウェアにより、ネットワーク上の他のデバイスや場所への仮想マシンの接続が容易になります。以下のセクションでは、仮想マシンのネットワーク接続のメカニズムや、デフォルトの仮想マシンのネットワーク設定について説明します。

13.1.1. 仮想ネットワークの仕組み

仮想ネットワークは、仮想ネットワークスイッチの概念を使用します。仮想ネットワークスイッチは、ホストマシンで動作するソフトウエア設定です。仮想マシンは、仮想ネットワークスイッチを介してネットワークに接続します。仮想スイッチの設定に基づいて、仮想マシンはハイパーバイザーによって管理される既存の仮想ネットワーク、または別のネットワーク接続メソッドを使用できます。

以下の図は、2 つの仮想マシンをネットワークに接続する仮想ネットワークスイッチを示しています。

vn 02 スイッチおよび 2 台のゲスト

ゲストオペレーティングシステムの視点から見ると、仮想ネットワーク接続は物理ネットワーク接続と同じです。ホストのマシンサーバーは、仮想ネットワークスイッチをネットワークインターフェイスとして表示します。libvirtd サービスを初めてインストールして起動すると、仮想マシンのデフォルトのネットワークインターフェイスである virbr0 が作成されます。

このインターフェイスに関する情報を表示するには、ホストで ip ユーティリティーを使用します。

$ ip addr show virbr0
3: virbr0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue state
UNKNOWN link/ether 1b:c4:94:cf:fd:17 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
inet 192.0.2.1/24 brd 192.0.2.255 scope global virbr0

デフォルトでは、1 台のホストにあるすべての仮想マシンが、virbr0 インターフェイスを使用する default という名前の同じ NAT タイプ の仮想ネットワークに接続されています。詳細は、Virtual networking default configuration を参照してください。

仮想マシンからの基本的なアウトバウンドのみのネットワークアクセスでは、デフォルトのネットワークが libvirt-daemon-config-network パッケージと一緒にインストールされ、libvirtd サービスが起動すると自動的に開始するため、通常は追加のネットワーク設定は必要ありません。

別の仮想マシンのネットワーク機能が必要な場合は、仮想ネットワークおよびネットワークインターフェイスを追加で作成し、仮想マシンがその機能を使用するように設定できます。デフォルトの NAT に加えて、これらのネットワークとインターフェイスは以下のいずれかのモードを使用するように設定できます。

13.1.2. デフォルトの仮想ネットワーク設定

仮想化ホストへの libvirtd サービスの初回インストール時に、仮想化ホストに、ネットワークアドレス変換 (NAT) モードの仮想ネットワークの初期設定が含まれます。デフォルトでは、1 台のホストにあるすべての仮想マシンが、同じ libvirt 仮想ネットワーク (default) に接続されています。このネットワーク上の仮想マシンは、ホスト上およびホスト外のネットワーク上の場所の両方に接続できますが、以下の制限があります。

  • ネットワーク上の仮想マシンはホストと、ホスト上の他の仮想マシンに表示されますが、ネットワークトラフィックはゲストオペレーティングシステムのネットワークスタックのファイアウォールと、ゲストインターフェイスに接続されている libvirt ネットワークフィルタールールの影響を受けます。
  • ネットワーク上の仮想マシンは、ホスト外の場所に接続可能ですが、表示されません。送信トラフィックは NAT ルールおよびホストシステムのファイアウォールの影響を受けます。

以下の図は、仮想マシンのデフォルトのネットワーク設定を示しています。

vn 08 ネットワークの概要

13.2. Web コンソールで仮想マシンのネットワークインターフェイスの管理

RHEL 8 Web コンソールを使用して、Web コンソールが接続している仮想マシンの仮想ネットワークインターフェイスを管理できます。以下を行うことができます。

13.2.1. Web コンソールで仮想ネットワークインターフェイス情報の表示および編集

RHEL 8 Web コンソールを使用して、選択した仮想マシン (VM) で仮想ネットワークインターフェイスを表示および変更することができます。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、情報を表示する仮想マシンを選択します。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

  2. ネットワークインターフェイス までスクロールします。

    ネットワークインターフェイスセクションには、仮想マシンに設定された仮想ネットワークインターフェイスに関する情報と、ネットワークインターフェイスの追加削除編集、またはアンプラグ のオプションが表示されます。

    選択した仮想マシンのネットワークインターフェイスの詳細を表示するイメージ。

    この情報には以下が含まれます。

    • 種類 - 仮想マシンのネットワークインターフェイスの種類。タイプには、仮想ネットワーク、LAN へのブリッジ、および直接割り当てが含まれます。

      注記

      RHEL 8 以降では、汎用イーサネット接続はサポートされていません。

    • モデルタイプ - 仮想ネットワークインターフェイスのモデル。
    • MAC アドレス - 仮想ネットワークインターフェイスの MAC アドレス。
    • IP アドレス - 仮想ネットワークインターフェイスの IP アドレス。
    • ソース - ネットワークインターフェイスのソース。これはネットワークの種類によって異なります。
    • 状態 - 仮想ネットワークインターフェイスの状態。
  3. 仮想ネットワークインターフェイスの設定を編集するには、編集 をクリックします。仮想ネットワークインターフェイスの設定ダイアログが開きます。

    選択したネットワークインターフェイスで編集可能なさまざまなオプションを表示するイメージ。
  4. インターフェイスの種類、ソース、モデル、または MAC アドレスを変更します。
  5. Save をクリックします。ネットワークインターフェイスが変更しました。

    注記

    仮想ネットワークインターフェイス設定の変更は、仮想マシンを再起動しないと有効になりません。

    また、MAC アドレスは、仮想マシンがシャットダウンしている場合にのみ変更できます。

関連情報

  • Web コンソールで仮想マシン情報の表示

13.2.2. Web コンソールでの仮想ネットワークインターフェイスの追加および接続

RHEL 9 Web コンソールを使用して、仮想ネットワークインターフェイスを作成し、これに仮想マシン (VM) を接続できます。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、情報を表示する仮想マシンを選択します。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

  2. ネットワークインターフェイス までスクロールします。

    ネットワークインターフェイスセクションには、仮想マシンに設定された仮想ネットワークインターフェイスに関する情報と、ネットワークインターフェイスの追加削除編集、またはプラグ のオプションが表示されます。

    Image displaying the network interface details of the selected virtual machine.

  3. 接続する仮想ネットワークインターフェイスの行の プラグ をクリックします。

    選択した仮想ネットワークインターフェイスが仮想マシンに接続します。

13.2.3. Web コンソールでの仮想ネットワークインターフェイスの切断および削除

RHEL 9 Web コンソールを使用して、選択した仮想マシンに接続した仮想ネットワークインターフェイスの接続を解除できます。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、情報を表示する仮想マシンを選択します。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

  2. ネットワークインターフェイス までスクロールします。

    ネットワークインターフェイスセクションには、仮想マシンに設定された仮想ネットワークインターフェイスに関する情報と、ネットワークインターフェイスの追加削除編集、またはアンプラグ のオプションが表示されます。

    選択した仮想マシンのネットワークインターフェイスの詳細を表示するイメージ。
  3. 切断する仮想ネットワークインターフェイスの行で アンプラグ をクリックします。

    選択した仮想ネットワークインターフェイスが仮想マシンから切断されます。

13.4. 仮想マシンのネットワーク接続の種類

仮想マシンのネットワークプロパティーと動作を変更するには、仮想マシンが使用する仮想ネットワークまたはインターフェイスの種類を変更します。次のセクションでは、RHEL 8 の仮想マシンで利用可能な接続の種類を説明します。

13.4.1. ネットワークアドレス変換のある仮想ネットワーク

デフォルトでは、仮想ネットワークスイッチはネットワークアドレス変換 (NAT) モードで動作します。Source-NAT (SNAT) または Destination-NAT (DNAT) の代わりに IP マスカレードを使用します。IP マスカレードで接続されている仮想マシンは、外部ネットワークとの通信にホストマシンの IP アドレスを使用できるようになります。ホスト外のコンピューターは、仮想ネットワークスイッチが NAT モードで動作している場合に、ホスト内部の仮想マシンと通信ができません。

vn 04 NAT スイッチを使用するホスト
警告

仮想ネットワークスイッチは、ファイアウォールルールで設定された NAT を使用します。スイッチの実行中にこのルールを編集することは推奨されていません。誤ったルールがあると、スイッチが通信できなくなる可能性があるためです。

13.4.2. ルーティングモードの仮想ネットワーク

ルーティング モードを使用する場合は、仮想スイッチを、ホストマシンに接続された物理 LAN に接続し、NAT を使用せずにトラフィックをやり取りします。仮想スイッチは、すべてのトラフィックを調べ、ネットワークパケットに含まれる情報を使用して、ルーティングの決定を行うことができます。このモードを使用すると、仮想マシンはすべて 1 つのサブネット内に入り、ホストマシンから分離されます。仮想マシンサブネットは、ホストマシンにある仮想スイッチを介してルーティングされます。これにより、着信接続が有効になりますが、外部ネットワークのシステムに追加のルーティングテーブルエントリーが必要になります。

ルーティングモードは、IP アドレスベースのルーティングを使用します。

vn 06 ルーティングスイッチ

ルーティングモードを使用する一般的なトポロジーは、仮想サーバーホスティング (VSH) です。VSH プロバイダーには複数のホストマシンがあり、それぞれに 2 つの物理ネットワーク接続がある場合があります。管理とアカウンティングにはいずれかのインターフェイスが使用されており、もう 1 つは仮想マシンによる接続に使用されます。各仮想マシンには独自のパブリック IP アドレスがありますが、ホストマシンはプライベート IP アドレスを使用するため、内部管理者のみが仮想マシンを管理できます。

vn 10 ルーティングモードのデータセンター

13.4.3. ブリッジモードの仮想ネットワーク

その他の仮想マシンネットワークモードは、仮想ブリッジ virbr0 を自動的に作成して接続します。一方、ブリッジ モードでは、仮想マシンはホストの既存の Linux ブリッジに接続します。これにより、仮想マシンが物理ネットワークに直接表示されます。これにより、着信接続が有効になりますが、追加のルーティングテーブルエントリーは必要ありません。

ブリッジモードは、MAC アドレスをベースにした接続スイッチを使用します。

VN ブリッジモードダイアグラム

ブリッジモードでは、仮想マシンがホストマシンと同じサブネットに表示されます。同じ物理ネットワーク上にある他の物理マシンはすべて、仮想マシンを検出してアクセスできます。

ブリッジネットワークボンディング

ハイパーバイザーで複数の物理ブリッジインターフェイスを使用する場合は、ボンドで複数のインターフェイスを結合します。ボンドをブリッジに追加すると、仮想マシンをブリッジに追加できるようになります。ただし、ボンディングドライバーにはいくつかの動作モードがあり、このモードのすべてが、仮想マシンが使用されているブリッジで機能するわけではありません。

以下の ボンディングモード を使用できます。

  • モード 1
  • モード 2
  • モード 4

対照的に、モード 0、3、5、または 6 を使用すると、接続が失敗する可能性が高くなります。また、アドレス解決プロトコル (ARP) の監視が正しく機能しないため、MII (Media-Independent Interface) 監視を使用してボンディングモードを監視する必要があります。

ボンディングモードの詳細は、Red Hat ナレッジベース を参照してください。

一般的なシナリオ

ブリッジモードにおける最も一般的なユースケースには、たとえば以下のようなものがあります。

  • ホストマシンとともに既存のネットワークに仮想マシンをデプロイし、仮想マシンと物理マシンの相違点をエンドユーザーに見えないようにする。
  • 既存の物理ネットワーク設定を変更せずに仮想マシンをデプロイする。
  • 既存の物理ネットワークから簡単にアクセスできる必要がある仮想マシンをデプロイする。また、DHCP サービスにアクセスする必要のある物理ネットワークに仮想マシンを配置する。
  • 仮想 LAN (VLAN) が使用されている既存のネットワークに仮想マシンを接続する。
  • 非武装地帯 (DMZ) ネットワーク。VM を使用した DMZ デプロイメントの場合、Red Hat は、物理ネットワークのルーターとスイッチで DMZ を設定し、ブリッジモードを使用して VM を物理ネットワークに接続することを推奨しています。

関連情報

  • コマンドラインインターフェイスを使用した外部に表示される仮想マシンの設定
  • Web コンソールを使用した外部に表示される仮想マシンの設定
  • Explanation of bridge_opts parameters

13.4.4. 分離モードの仮想ネットワーク

分離 モードを使用すると、仮想スイッチに接続されている仮想マシンは相互に通信でき、ホストマシンとも通信できますが、トラフィックはホストマシンの外部を通過せず、ホストマシンの外部からトラフィックを受信することができません。DHCP などの基本的な機能には、このモードの dnsmasq を使用する必要があります。

vn 07 分離スイッチ

13.4.5. オープンモードの仮想ネットワーク

ネットワークに オープン モードを使用する場合、libvirt はネットワークにファイアウォールルールを生成しません。したがって、libvirt はホストが提供するファイアウォールルールを上書きせず、仮想マシンのファイアウォールルールを手動で管理できます。

13.4.6. 仮想マシンの接続タイプの比較

以下の表では、選択したタイプの仮想マシンネットワーク設定が接続できる場所と、表示できる内容を示します。

表13.1 仮想マシンの接続タイプ

 ホストへの接続ホスト上の他の仮想マシンへの接続外部ロケーションへの接続外部の場所に表示可能か

ブリッジモード

はい

はい

はい

はい

NAT

はい

はい

はい

いいえ

ルーティングモード

はい

はい

はい

はい

分離モード

はい

はい

いいえ

いいえ

オープンモード

ホストのファイアウォールルールにより異なります。

13.5. PXE サーバーから仮想マシンの起動

PXE (Preboot Execution Environment) を使用する仮想マシンは、ネットワークから起動して設定を読み込むことができます。本章では、libvirt を使用して、仮想ネットワークまたはブリッジネットワークの PXE サーバーから仮想マシンを起動する方法を説明します。

警告

以下の手順は、例としてのみ提供されます。続行する前に、十分なバックアップがあることを確認してください。

13.5.1. 仮想ネットワークで PXE ブートサーバーの設定

この手順では、PXE (Preboot Execution Environment) を提供するように libvirt 仮想ネットワークを設定する方法を説明します。これにより、ホストの仮想マシンを、仮想ネットワークで利用可能な起動イメージから起動するように設定できます。

前提条件

  • 次のようなローカルの PXE サーバー (DHCP および TFTP)

    • libvirt 内部サーバー
    • 手動で設定した dhcpd および tftpd
    • dnsmasq
    • Cobbler サーバー
  • Cobbler が設定した PXELINUX など、または手動で設定した PXE 起動イメージ。

手順

  1. PXE ブートイメージおよび設定を /var/lib/tftpboot フォルダーに置きます。
  2. フォルダーのパーミッションを設定する:

    # chmod -R a+r /var/lib/tftpboot
  3. フォルダーの所有権を設定する:

    # chown -R nobody: /var/lib/tftpboot
  4. SELinux コンテキストを更新します。

    # chcon -R --reference /usr/sbin/dnsmasq /var/lib/tftpboot
    # chcon -R --reference /usr/libexec/libvirt_leaseshelper /var/lib/tftpboot
  5. 仮想ネットワークをシャットダウンします。

    # virsh net-destroy default
  6. デフォルトエディターで仮想ネットワーク設定ファイルを開きます。

    # virsh net-edit default
  7. <ip> 要素を編集して、適切なアドレス、ネットワークマスク、DHCP アドレス範囲、および起動ファイルを追加します。example-pxelinux は、ブートイメージファイルの名前になります。

    <ip address='192.0.2.1' netmask='255.255.255.0'>
       <tftp root='/var/lib/tftpboot'/>
       <dhcp>
          <range start='192.0.2.2' end='192.0.2.254' />
          <bootp file='example-pxelinux'/>
       </dhcp>
    </ip>
  8. 仮想ネットワークを起動します。

    # virsh net-start default

検証

  • default 仮想ネットワークが有効であることを確認します。

    # virsh net-list
    Name             State    Autostart   Persistent
    ---------------------------------------------------
    default          active   no          no

関連情報

  • PXE を使用してネットワークからインストールするための準備

13.5.2. PXE および仮想ネットワークを使用した仮想マシンの起動

仮想ネットワークで利用可能な PXE (Preboot Execution Environment) サーバーから仮想マシンを起動するには、PXE ブートを有効にする必要があります。

前提条件

手順

  • PXE 起動が有効になっている新しい仮想マシンを作成します。たとえば、default 仮想ネットワークで利用可能な PXE から、新しい 10GB の qcow2 イメージファイルにインストールする場合は、次のコマンドを実行します。

    # virt-install --pxe --network network=default --memory 2048 --vcpus 2 --disk size=10
    • または、既存の仮想マシンの XML 設定ファイルを手動で編集できます。

      1. <os> 要素の内部に <boot dev='network'/> 要素があることを確認します。

        <os>
           <type arch='x86_64' machine='pc-i440fx-rhel7.0.0'>hvm</type>
           <boot dev='network'/>
           <boot dev='hd'/>
        </os>
      2. 仮想ネットワークを使用するようにゲストネットワークが設定されている。

        <interface type='network'>
           <mac address='52:54:00:66:79:14'/>
           <source network='default'/>
           <target dev='vnet0'/>
           <alias name='net0'/>
           <address type='pci' domain='0x0000' bus='0x00' slot='0x03' function='0x0'/>
        </interface>

検証

  • virsh start コマンドを使用して VM を起動します。PXE が正しく設定されていると、仮想マシンは、PXE サーバーで利用可能な起動イメージから起動します。

13.5.3. PXE およびブリッジネットワークを使用した仮想マシンの起動

ブリッジネットワークで利用可能な PXE (Preboot Execution Environment) サーバーから仮想マシンを起動するには、PXE ブートを有効にする必要があります。

前提条件

  • ネットワークブリッジが有効になっている。
  • ブリッジネットワークでは、PXE ブートサーバーが利用できます。

手順

  • PXE 起動が有効になっている新しい仮想マシンを作成します。たとえば、breth0 ブリッジネットワークで利用可能な PXE から、新しい 10GB の qcow2 イメージファイルにインストールする場合は、次のコマンドを実行します。

    # virt-install --pxe --network bridge=breth0 --memory 2048 --vcpus 2 --disk size=10
    • または、既存の仮想マシンの XML 設定ファイルを手動で編集できます。

      1. <os> 要素の内部に <boot dev='network'/> 要素があることを確認します。

        <os>
           <type arch='x86_64' machine='pc-i440fx-rhel7.0.0'>hvm</type>
           <boot dev='network'/>
           <boot dev='hd'/>
        </os>
      2. ブリッジネットワークを使用するように仮想マシンが設定されていることを確認します。

        <interface type='bridge'>
           <mac address='52:54:00:5a:ad:cb'/>
           <source bridge='breth0'/>
           <target dev='vnet0'/>
           <alias name='net0'/>
           <address type='pci' domain='0x0000' bus='0x00' slot='0x03' function='0x0'/>
        </interface>

検証

  • virsh start コマンドを使用して VM を起動します。PXE が正しく設定されていると、仮想マシンは、PXE サーバーで利用可能な起動イメージから起動します。

13.6. 関連情報

第14章 ホストとその仮想マシン間でのファイルの共有

ホストシステムと、そのホストが実行する仮想マシンとの間で、データを共有することが頻繁に必要になります。これを迅速かつ効率的に行うために、システムに NFS ファイル共有をセットアップできます。

14.1. NFS を使用してホストとその仮想マシン間でファイルを共有する

RHEL 9 ホストシステムと仮想マシンの間でファイルを効率的に共有するために、仮想マシンがマウントしてアクセスできる NFS 共有をエクスポートできます。

前提条件

  • nfs-utils パッケージがホストにインストールされている。

    # yum install nfs-utils -y
  • NAT または bridge タイプの仮想ネットワークが、ホストを仮想マシンに接続するように設定されている。
  • (必要に応じて) セキュリティーを強化する場合は、仮想マシンが NFS バージョン 4 以降と互換性があることを確認してください。

手順

  1. ホストで、ネットワークファイルシステム (NFS) として共有するファイルを含むディレクトリーをエクスポートします。

    1. 既存のディレクトリーを仮想マシンと共有します。既存のディレクトリーを共有したくない場合は、新しいディレクトリーを作成します。

      # mkdir shared-files
    2. ホストからファイルを共有するために各仮想マシンの IP アドレスを取得します (例: testguest1testguest2)。

      # virsh domifaddr testguest1
      Name       MAC address          Protocol     Address
      ----------------------------------------------------------------
      vnet0      52:53:00:84:57:90    ipv4         192.0.2.2/24
      
      # virsh domifaddr testguest2
      Name       MAC address          Protocol     Address
      ----------------------------------------------------------------
      vnet1      52:53:00:65:29:21    ipv4         192.0.2.3/24
    3. ホスト上の /etc/exports ファイルを編集し、共有するディレクトリー、共有する仮想マシンの IP、および追加のオプションを含む行を追加します。

      /home/<username>/Downloads/<shared_directory>/ <VM1-IP(options)> <VM2-IP(options)>
      ...

      たとえば、以下は、testguest1 および testguest2 があるホストの /usr/local/shared-files ディレクトリーを共有し、仮想マシンがディレクトリーのコンテンツを編集できるようにします。

      /usr/local/shared-files/ 192.0.2.2(rw,sync) 192.0.2.3(rw,sync)
      注記

      Windows の仮想マシンとディレクトリーを共有するには、Windows NFS クライアントに共有ディレクトリーへの書き込み権限があることを確認する必要があります。/etc/exports ファイルでは、all_squashanonuid、および anongid オプションを使用できます。

      /usr/local/shared-files/ 192.0.2.2(rw,sync,all_squash,anonuid=<directory-owner-UID>,anongid=<directory-owner-GID>)

      <directory-owner-UID><directory-owner-GID> は、ホスト上の共有ディレクトリーを所有するローカルユーザーの UID と GID です。

      NFS クライアントの権限を管理するその他のオプションについては、NFS サービスの保護 ガイドに従ってください。

    4. 更新したファイルシステムをエクスポートします。

      # exportfs -a
    5. nfs-server サービスを起動します。

      # systemctl start nfs-server
    6. ホストシステムの IP アドレスを取得して、仮想マシンに共有ディレクトリーをマウントします。

      # ip addr
      ...
      5: virbr0: [BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP] mtu 1500 qdisc noqueue state UP group default qlen 1000
      link/ether 52:54:00:32:ff:a5 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
      inet 192.0.2.1/24 brd 192.0.2.255 scope global virbr0
      valid_lft forever preferred_lft forever
      ...

      関連するネットワークはホストと仮想マシンを接続してファイルを共有することに注意してください。通常、これは virbr0 です。

  2. /etc/exports ファイルで指定されている Linux 仮想マシンに共有ディレクトリーをマウントします。

    # mount 192.0.2.1:/usr/local/shared-files /mnt/host-share
    • 192.0.2.1: ホストの IP アドレスです。
    • /usr/local/shared-files: ホスト上のエクスポートされたディレクトリーへのファイルシステムパスです。
    • /mnt/host-share: 仮想マシン上のマウントポイントです。

      注記

      マウントポイントは空のディレクトリーである必要があります。

  3. /etc/exports ファイルに指定されているように Windows 仮想マシンに共有ディレクトリーをマウントするには、次の手順を実行します。

    1. 管理者として PowerShell シェルプロンプトを開きます。
    2. Windows に NFS-Client パッケージをインストールします。

      1. サーバーバージョンにインストールするには、次のように入力します。

        # Install-WindowsFeature NFS-Client
      2. デスクトップバージョンにインストールするには、次のように入力します。

        # Enable-WindowsOptionalFeature -FeatureName ServicesForNFS-ClientOnly, ClientForNFS-Infrastructure -Online -NoRestart
    3. ホストによってエクスポートされたディレクトリーを Windows 仮想マシンにマウントします。

      # C:\Windows\system32\mount.exe -o anon \\192.0.2.1\usr\local\shared-files Z:

      この例では、以下のように設定されています。

      • 192.0.2.1: ホストの IP アドレスです。
      • /usr/local/shared-files: ホスト上のエクスポートされたディレクトリーへのファイルシステムパスです。
      • Z:: マウントポイントのドライブ文字です。

        注記

        システムで使用されていないドライブ文字を選択する必要があります。

検証

  • ホストと仮想マシンの間でファイルを共有できるように、仮想マシン上の共有ディレクトリーの内容をリスト表示します。

    $ ls <mount_point>
    shared-file1  shared-file2  shared-file3

    この例では、<mount_point> を、マウントされた共有ディレクトリーへのファイルシステムパスに置き換えます。

第15章 仮想マシンの保護

仮想マシンを使用する RHEL 8 システムの管理者は、仮想マシンのセキュリティーをできる限り確保することで、ゲストおよびホストの OS が悪意のあるソフトウェアに感染するリスクを大幅に低減します。

本書は、RHEL 8 ホストで 仮想マシンを保護するメカニズム の概要を説明し、仮想マシンのセキュリティーを強化する 方法のリスト を提供します。

15.1. 仮想マシンでセキュリティーが機能する仕組み

仮想マシンを使用する場合は、複数のオペレーティングシステムを 1 台のホストマシンに格納できます。このシステムは、ハイパーバイザーを介してホストに接続しますが、通常は仮想ネットワークを介して接続します。したがって、各仮想マシンを、悪意のあるソフトウェアでホストを攻撃するベクトルとして使用できます。また、ホストも、仮想マシンを攻撃するベクトルとして使用できます。

図15.1 仮想化ホストの潜在的なマルウェア攻撃ベクトル

仮想のセキュリティーが攻撃に成功

ハイパーバイザーは、ホストカーネルを使用して仮想マシンを管理するため、仮想マシンのオペレーティングシステムで実行しているサービスは、悪意のあるコードをホストシステムに挿入するのによく使用されます。ただし、ホストおよびゲストのシステムで 多数のセキュリティー機能 を使用して、このようなセキュリティーの脅威からシステムを保護できます。

このような SELinux や QEMU サンドボックスなどの機能は、悪意のあるコードがハイパーバイザーを攻撃し、ホストと仮想マシンとの間の転送をより困難にするさまざまな対策を提供します。

図15.2 仮想化ホストでマルウェア攻撃を阻止

仮想のセキュリティーが攻撃を防ぐ

仮想マシンのセキュリティーに対して RHEL 8 が提供する機能の多くは、常にアクティブで、有効または設定する必要がありません。詳細は、Automatic features for virtual machine security を参照してください。

さらに、仮想マシンおよびハイパーバイザーの脆弱性を最小限に抑えるために、さまざまなベストプラクティスを実行することもできます。詳細は、Best practices for securing virtual machines を参照してください。

15.2. 仮想マシンのセキュリティー保護に関するベストプラクティス

以下の手順を行うと、仮想マシンが悪意のあるコードに感染し、ホストシステムに侵入するための攻撃ベクトルとして使用されるリスクが大幅に低減します。

ゲストで以下を行います。

  • 仮想マシンを、物理マシンと同じように保護します。セキュリティーを強化するのに使用できる方法は、ゲスト OS によって異なります。

    仮想マシンで RHEL 8 を実行している場合、ゲストシステムのセキュリティーを強化する方法の詳細は、Securing Red Hat Enterprise Linux 8 を参照してください。

ホストで以下を行います。

  • 仮想マシンをリモートで管理する場合は、SSH などの暗号化ユーティリティーと、SSL などのネットワークプロトコルを使用して仮想マシンに接続します。
  • SELinux が Enforcing モードであることを確認します。

    # getenforce
    Enforcing

    SELinux が無効または Permissive モードになっている場合は、SELinux の使用 で Enforcing モードを有効にする手順を参照してください。

    注記

    SELinux の Enforcing モードでは、sVirt RHEL 8 機能も有効になります。これは、仮想化に使用される特別な SELinux ブール値のセットです。この値は 手動で調整 でき、仮想マシンのセキュリティーを詳細に管理できます。

  • SecureBoot で仮想マシンを使用します。

    SecureBoot は、仮想マシンが暗号化で署名された OS を実行していることを確認する機能です。これにより、マルウェア攻撃が変更した OS の仮想マシンを起動できなくなります。

    SecureBoot は、OVMF ファームウェアを使用する Linux 仮想マシンをインストールする場合に限り適用できます。手順は、Creating a SecureBoot virtual machine を参照してください。

  • qemu-kvm などの qemu-* コマンドは使用しないでください。

    QEMU は、RHEL 8 における仮想化アーキテクチャーの必須コンポーネントですが、手動で管理することが難しく、QEMU 設定に誤りがあるとセキュリティーの脆弱性を引き起こす可能性があります。したがって、Red Hat では、大半の qemu-* コマンドの使用をサポートしていません。代わりに、ベストプラクティスに従って QEMU のオーケストレーションを行うため、virshvirt-installvirt-xml などの libvirt ユーティリティーを使用します。

    ただし、仮想ディスクイメージの管理 には qemu-img ユーティリティーがサポートされていることに注意してください。

15.3. SecureBoot の仮想マシンの作成

SecureBoot 機能を使用する Linux 仮想マシンを作成できます。これにより、仮想マシンで暗号で署名された OS を実行できるようになります。これは、仮想マシンのゲスト OS がマルウェアにより変更された場合に役立ちます。このようなシナリオでは、SecureBoot により仮想マシンが起動しなくなり、ホストマシンへのマルウェアの潜在的な拡散を阻止します。

前提条件

  • VM は Q35 マシンタイプです。
  • edk2-OVMF パッケージがインストールされている。

    # yum install edk2-ovmf
  • オペレーティングシステム (OS) のインストールソースがローカルまたはネットワークで利用できる。これには、以下のいずれかの形式を使用できます。

    • インストールメディアの ISO イメージ
    • 既存の仮想マシンインストールのディスクイメージ

      警告

      RHEL 8 では、ホストの CD-ROM デバイスまたは DVD-ROM デバイスからインストールすることができません。RHEL 8 で利用可能な仮想マシンのインストール方法を使用する際に、インストールソースに CD-ROM または DVD-ROM を選択するとインストールに失敗します。詳細は Red Hat ナレッジベース を参照してください。

  • 任意: インストールをより速く、簡単に設定するために、キックスタートファイルを利用できます。

手順

  1. virt-install コマンドを使用して、Creating virtual machines using the command-line interface で説明されているとおりに仮想マシンを作成します。--boot オプションには、uefi,nvram_template=/usr/share/OVMF/OVMF_VARS.secboot.fd を使用します。これは、OVMF_VARS.secboot.fd ファイルおよび OVMF_CODE.secboot.fd ファイルをテンプレートとして使用します。仮想マシンの不揮発性 RAM (NVRAM) 設定のテンプレートとして使用します。これにより、SecureBoot 機能を有効にします。

    以下に例を示します。

    # virt-install --name rhel8sb --memory 4096 --vcpus 4 --os-variant rhel8.0 --boot uefi,nvram_template=/usr/share/OVMF/OVMF_VARS.secboot.fd --disk boot_order=2,size=10 --disk boot_order=1,device=cdrom,bus=scsi,path=/images/RHEL-8.0-installation.iso
  2. 画面の指示に従って、OS のインストール手順を進めます。

検証

  1. ゲスト OS がインストールされたら、グラフィカルゲストコンソール で端末を開いて仮想マシンのコマンドラインにアクセスするか、SSH を使用 してゲスト OS へ接続します。
  2. 仮想マシンで SecureBoot が有効になっていることを確認するには、mokutil --sb-state コマンドを使用します。

    # mokutil --sb-state
    SecureBoot enabled

15.4. 仮想マシンユーザーが使用できるアクションの制限

場合によっては、RHEL 8 でホストされる仮想マシン (VM) のユーザーがデフォルトで実行できるアクションにより、セキュリティーリスクが発生する可能性があります。この場合は、ホストマシンで polkit ポリシーツールキットを使用するように libvirt デーモンを設定して、仮想マシンユーザーに利用可能なアクションを制限できます。

手順

  1. オプション: お使いの設定に基づいて、libvirt に関連するシステムの polkit コントロールポリシーが設定されていることを確認してください。

    1. /usr/share/polkit-1/actions/ ディレクトリーおよび /usr/share/polkit-1/rules.d/ ディレクトリーにある libvirt 関連のファイルすべてを検索します。

      # ls /usr/share/polkit-1/actions | grep libvirt
      # ls /usr/share/polkit-1/rules.d | grep libvirt
    2. ファイルを開き、ルール設定を確認します。

      polkit 制御ポリシーの構文の読み取りに関する詳細は、man polkit を使用します。

    3. libvirt 制御ポリシーを変更します。これを行うには、以下を行います。

      1. /etc/polkit-1/rules.d/ ディレクトリーに新しい .rules ファイルを作成します。
      2. このファイルにカスタムポリシーを追加して保存します。

        libvirt コントロールポリシーの詳細および例については、アップストリームの libvirt ドキュメント を参照してください。

  2. polkit で決定されるアクセスポリシーを使用するように仮想マシンを設定します。

    これを行うには、/etc/libvirt/libvirtd.conf ファイルの access_drivers = [ "polkit" ] 行のコメントを外します。

    # sed -i 's/#access_drivers = \[ "polkit" \]/access_drivers = \[ "polkit" \]/' /etc/libvirt/libvirtd.conf
  3. libvirtd サービスを再起動します。

    # systemctl restart libvirtd

検証

  • VM アクションを制限する予定だったユーザーとして、制限されたアクションの 1 つを実行します。

    たとえば、特権のないユーザーがシステムセッションで作成された VM の表示を制限されている場合は、以下を実行します。

    $ virsh -c qemu:///system list --all
    Id   Name           State
    -------------------------------

    お使いのシステムに 1 つ以上の仮想マシンが存在していても、このコマンドで仮想マシンがリスト表示されない場合は、polkit は特権のないユーザーのアクションを正常に制限します。

トラブルシューティング

  • 現在、polkit を使用するように libvirt を設定すると、libvirt-dbus サービスとの互換性がないため、RHEL 8 Web コンソールを使用 する VM に接続できなくなります。

    Web コンソールで仮想マシンのきめ細かいアクセス制御が必要な場合は、カスタム D-Bus ポリシーを作成します。手順については、Red Hat ナレッジベースの How to configure fine-grained control of Virtual Machines in Cockpit を参照してください。

関連情報

15.5. 仮想マシンのセキュリティーの自動機能

Best practices for securing virtual machines に記載されている、仮想マシンのセキュリティーを向上させる手動での手段に加えて、RHEL 8 で仮想化を使用する場合は、libvirt ソフトウェアスイートにより、多くのセキュリティー機能が提供され、自動的に有効になります。これには以下が含まれます。

システムおよびセッションの接続

RHEL 8 で仮想マシン管理に使用できるすべてのユーティリティーにアクセスするには、libvirt (qemu:///system) のシステム接続を使用する必要があります。そのためには、システムで root 権限を持っているか、libvirt ユーザーグループの一部である必要があります。

libvirt グループに属していない root 以外のユーザーは、libvirt (qemu:///session) のセッション接続にのみアクセスできます。これは、リソースにアクセスする際に、ローカルユーザーのアクセス権限が有効である必要があります。たとえば、セッション接続を使用しても、システム接続で作成された仮想マシンや、その他のユーザーを検出したり、アクセスしたりすることはできません。また、利用可能な仮想マシンネットワーク設定オプションも大幅に制限されます。

注記

RHEL 8 のドキュメントでは、システムの接続特権があることを前提としています。

仮想マシンの分離
個々の仮想マシンは、ホストで孤立したプロセスとして動作し、ホストカーネルにより強制されるセキュリティーに依存します。したがって、仮想マシンは、同じホストにある他の仮想マシンのメモリーやストレージを読み取ったり、アクセスすることができません。
QEMU サンドボックス
QEMU コードが、ホストのセキュリティーを侵害する可能性のあるシステムコールを実行できない機能です。
KASLR (Kernel Address Space Randomization)
カーネルイメージをデプロイメントする物理アドレスおよび仮想アドレスをランダム化できるようにします。したがって、KASLR は、カーネルオブジェクトの場所に基づいて、ゲストのセキュリティーが悪用されるのを防ぎます。

15.6. 仮想化用の SELinux ブール値

RHEL 8 システムにおける仮想マシンのセキュリティーの詳細な設定には、ハイパーバイザーが特定の方法で機能するように、ホストで SELinux のブール値を設定できます。

仮想化関連のブール値とそのステータスのリストを表示するには、getsebool -a | grep virt コマンドを実行します。

$ getsebool -a | grep virt
[...]
virt_sandbox_use_netlink --> off
virt_sandbox_use_sys_admin --> off
virt_transition_userdomain --> off
virt_use_comm --> off
virt_use_execmem --> off
virt_use_fusefs --> off
[...]

特定のブール値を有効にするには、root で setsebool -P boolean_name on コマンドを実行します。ブール値を無効にするには、setsebool -P boolean_name off を使用します。

以下の表は、RHEL 8 で利用可能な仮想化関連のブール値と、その値が有効な場合の動作を示しています。

表15.1 SELinux 仮想化ブール値

SELinux のブール値説明

staff_use_svirt

非 root ユーザーが仮想マシンを作成して、sVirt に移行できるようになります。

unprivuser_use_svirt

非特権ユーザーが仮想マシンを作成して、sVirt に移行できるようになります。

virt_sandbox_use_audit

サンドボックスコンテナーが監査メッセージを送信できるようになります。

virt_sandbox_use_netlink

サンドボックスコンテナーでネットリンクシステム呼び出しが使用できるようになります。

virt_sandbox_use_sys_admin

サンドボックスコンテナーで sys_admin システム呼び出し (mount 等) が使用できるようになります。

virt_transition_userdomain

仮想プロセスをユーザードメインとして実行できるようになります。

virt_use_comm

virt でシリアルおよびパラレルの通信ポートが使用できるようになります。

virt_use_execmem

制限された仮想ゲストが実行可能メモリーおよび実行可能スタックを使用できるようになります。

virt_use_fusefs

FUSE がマウントしたファイルを virt が読み取りできるようになります。

virt_use_nfs

NFS がマウントしたファイルを virt が管理できるようになります。

virt_use_rawip

virt で rawip ソケットとの通信ができるようになります。

virt_use_samba

CIFS がマウントしたファイルを virt が管理できるようになります。

virt_use_sanlock

制限された仮想ゲストが sanlock と相互作用できるようになります。

virt_use_usb

virt で USB デバイスが使用できるようになります。

virt_use_xserver

仮想マシンで X Window System と相互作用できるようになります。

15.7. IBM Z での IBM Secure Execution の設定

IBM Z ハードウェアを使用して RHEL 8 ホストを実行する場合は、仮想マシンの IBM Secure Execution を設定して、仮想マシンのセキュリティーを強化できます。

IBM Secure Execution (Protected Virtualization とも呼ばれる) は、ホストシステムが仮想マシンの状態とメモリーのコンテンツにアクセスできないようにします。その結果、ホストが危険にさらされても、ゲストオペレーティングシステムを攻撃するベクトルとして使用できません。さらに、セキュア実行を使用して、信頼できないホストが仮想マシンから機密情報を取得しないようにすることもできます。

次の手順では、IBM Z ホストの既存の仮想マシンを、セキュアな仮想マシンに変換する方法を説明します。

前提条件

  • システムハードウェアに以下のいずれかを使用している。

    • IBM z15 以降
    • IBM LinuxONE III 以降
  • Secure Execution 機能がお使いのシステムで有効になっている。確認するには、次のコマンドを実行します。

    # grep facilities /proc/cpuinfo | grep 158

    このコマンドで出力が表示された場合には、お使いの CPU は Secure Execution と互換性があります。

  • カーネルに Secure Execution のサポートが含まれている。これを確認するには、次のコマンドを実行します。

    # ls /sys/firmware | grep uv

    このコマンドで出力が表示された場合には、カーネルで Secure Execution がサポートされています。

  • ホストの CPU モデルに unpack 機能が含まれている。これを確認するには、次のコマンドを実行します。

    # virsh domcapabilities | grep unpack
    <feature policy='require' name='unpack'/>

    このコマンドで上記の出力が表示された場合には、お使いの CPU ホストモデルは Secure Execution と互換性があります。

  • 仮想マシンの CPU モードが host-model に設定されている。これを確認するには、以下を使用します。vm-name は、仮想マシンの名前に置き換えます。

    # virsh dumpxml vm-name | grep "<cpu mode='host-model'/>"

    このコマンドで出力が表示された場合には、仮想マシンの CPU モデルは正しく設定されています。

  • IBM Z のホストキーのドキュメントを取得および確認している。この方法は、IBM ドキュメントの ホストキードキュメントの確認 を参照してください。

手順

お使いのホスト で、以下の手順を実行します。

  1. prot_virt=1 カーネルパラメーターをホストの ブート設定 に追加します。

    # grubby --update-kernel=ALL --args="prot_virt=1"
  2. ブートメニューを更新します。

    # zipl

  3. virsh edit を使用して、セキュリティー保護する仮想マシンの XML 設定を変更します。
  4. <launchSecurity type="s390-pv"/></devices> 行の下に追加します。以下に例を示します。

    [...]
        </memballoon>
      </devices>
      <launchSecurity type="s390-pv"/>
    </domain>
  5. 設定の <devices> セクションに virtio-rng デバイス(<rng model="virtio">)が含まれている場合は、<rng> </rng> ブロックのすべての行を削除します。

セキュリティーを保護する仮想マシンの ゲストオペレーティングシステム で、以下の手順を実行します。

  1. パラメーターファイルを作成します。以下に例を示します。

    # touch ~/secure-parameters
  2. /boot/loader/entries ディレクトリーで、最新バージョンのブートローダーエントリーを特定します。

    # ls /boot/loader/entries -l
    [...]
    -rw-r--r--. 1 root root  281 Oct  9 15:51 3ab27a195c2849429927b00679db15c1-4.18.0-240.el8.s390x.conf
  3. ブートローダーエントリーからカーネルオプションの行を取得します。

    # cat /boot/loader/entries/3ab27a195c2849429927b00679db15c1-4.18.0-240.el8.s390x.conf | grep options
    options root=/dev/mapper/rhel-root
    crashkernel=auto
    rd.lvm.lv=rhel/root rd.lvm.lv=rhel/swap
  4. オプションの行の内容と swiotlb=262144 を作成したパラメーターのファイルに追加します。

    # echo "root=/dev/mapper/rhel-root crashkernel=auto rd.lvm.lv=rhel/root rd.lvm.lv=rhel/swap swiotlb=262144" > ~/secure-parameters
  5. IBM Secure Execution イメージを生成します。

    たとえば、以下は secure-parameters ファイル、/boot/initramfs-4.18.0-240.el8.s390x.img 初期 RAM ディスクファイル、および HKD-8651-000201C048.crt ホストキードキュメントを使用して、/boot/vmlinuz-4.18.0-240.el8.s390x イメージをもとに、セキュアなイメージ (/boot/secure-image) を作成します。

    # genprotimg -i /boot/vmlinuz-4.18.0-240.el8.s390x -r /boot/initramfs-4.18.0-240.el8.s390x.img -p ~/secure-parameters -k HKD-8651-00020089A8.crt -o /boot/secure-image

    genprotimg ユーティリティーを使用すると、カーネルパラメーター、初期 RAM ディスク、ブートイメージを含む、セキュアなイメージが作成されます。

  6. 仮想マシンのブートメニューを更新して、セキュアなイメージから起動します。さらに、initrd および オプション で始まる行は必要ないので削除します。

    たとえば、RHEL 8.3 仮想マシンでは、/boot/loader/entries/ ディレクトリーでブートメニューの編集が可能です。

    # cat /boot/loader/entries/3ab27a195c2849429927b00679db15c1-4.18.0-240.el8.s390x.conf
    title Red Hat Enterprise Linux 8.3
    version 4.18.0-240.el8.s390x
    linux /boot/secure-image
    [...]
  7. ブート可能なディスクイメージの作成

    # zipl -V
  8. 保護されていない元のファイルを安全に削除します。以下に例を示します。

    # shred /boot/vmlinuz-4.18.0-240.el8.s390x
    # shred /boot/initramfs-4.18.0-240.el8.s390x.img
    # shred secure-parameters

    元のブートイメージ、初期 RAM イメージ、およびカーネルパラメーターファイルは保護されていません。削除しない場合には、Secure Execution が有効になっている仮想マシンで、ハッキングまたは機密データマイニングの攻撃を受ける可能性があります。

検証

  • ホストで、virsh dumpxml ユーティリティーを使用して、セキュアな仮想マシンの XML 設定を確認します。設定には <launchSecurity type="s390-pv"/> 要素を含み、<rng model="virtio"> 行は使用しないでください。

    # virsh dumpxml vm-name
    [...]
      <cpu mode='host-model'/>
      <devices>
        <disk type='file' device='disk'>
          <driver name='qemu' type='qcow2' cache='none' io='native'>
          <source file='/var/lib/libvirt/images/secure-guest.qcow2'/>
          <target dev='vda' bus='virtio'/>
        </disk>
        <interface type='network'>
          <source network='default'/>
          <model type='virtio'/>
        </interface>
        <console type='pty'/>
        <memballoon model='none'/>
      </devices>
      <launchSecurity type="s390-pv"/>
    </domain>

15.8. IBM Z 上の仮想マシンへの暗号化コプロセッサーの割り当て

IBM Z ホストの仮想マシンでハードウェア暗号化を使用するには、暗号化プロセッサーデバイスから仲介デバイスを作成して目的の仮想マシンに割り当てます。詳細な手順は、以下を参照してください。

前提条件

  • お使いのホストを IBM Z ハードウェアで実行している。
  • 暗号化コプロセッサーは、デバイスの割り当てと互換性があります。これを確認するには、コプロセッサーの タイプCEX4 以降として表示されているかをチェックします。

    # lszcrypt -V
    
    CARD.DOMAIN TYPE  MODE        STATUS  REQUESTS  PENDING HWTYPE QDEPTH FUNCTIONS  DRIVER
    --------------------------------------------------------------------------------------------
    05         CEX5C CCA-Coproc  online         1        0     11     08 S--D--N--  cex4card
    05.0004    CEX5C CCA-Coproc  online         1        0     11     08 S--D--N--  cex4queue
    05.00ab    CEX5C CCA-Coproc  online         1        0     11     08 S--D--N--  cex4queue
  • vfio_ap カーネルモジュールが読み込まれている。確認するには、次のコマンドを実行します。

    # lsmod | grep vfio_ap
    vfio_ap         24576  0
    [...]

    モジュールを読み込むには、以下を使用します。

    # modprobe vfio_ap
  • s390utils バージョンは ap 処理をサポートしています。

    # lszdev --list-types
    ...
    ap           Cryptographic Adjunct Processor (AP) device
    ...

手順

  1. 仮想マシンに割り当てるデバイスの 10 進数値を取得します。たとえば、デバイス 05.0004 および 05.00ab の場合は以下のようになります。

    # echo "obase=10; ibase=16; 04" | bc
    4
    # echo "obase=10; ibase=16; AB" | bc
    171
  2. ホストで、デバイスを vfio-ap ドライバーに再割り当てします。

    # chzdev -t ap apmask=-5 aqmask=-4,-171
    注記

    デバイスを永続的に割り当てるには、-p フラグを使用します。

  3. 暗号化デバイスが正しく再割り当てされていることを確認します。

    # lszcrypt -V
    
    CARD.DOMAIN TYPE  MODE        STATUS  REQUESTS  PENDING HWTYPE QDEPTH FUNCTIONS  DRIVER
    --------------------------------------------------------------------------------------------
    05          CEX5C CCA-Coproc  -              1        0     11     08 S--D--N--  cex4card
    05.0004     CEX5C CCA-Coproc  -              1        0     11     08 S--D--N--  vfio_ap
    05.00ab     CEX5C CCA-Coproc  -              1        0     11     08 S--D--N--  vfio_ap

    ドメインキューの DRIVER の値が vfio_ap に変更されると、再割り当ては成功します。

  4. 新しい仲介デバイスを定義する XML スニペットを作成します。

    以下の例では、永続的な仲介デバイスを定義してそのデバイスにキューを割り当てます。具体的には、この例の vfio_ap.xml XML スニペットは、ドメインアダプター 0x05、ドメインキュー 0x0004 および 0x00ab、および制御ドメイン 0x00ab を仲介デバイスに割り当てます。

    # vim vfio_ap.xml
    
    <device>
      <parent>ap_matrix</parent>
      <capability type="mdev">
        <type id="vfio_ap-passthrough"/>
        <attr name='assign_adapter' value='0x05'/>
        <attr name='assign_domain' value='0x0004'/>
        <attr name='assign_domain' value='0x00ab'/>
        <attr name='assign_control_domain' value='0x00ab'/>
      </capability>
    </device>
  5. vfio_ap.xml XML スニペットから新しい仲介デバイスを作成します。

    # virsh nodedev-define vfio_ap.xml
    Node device 'mdev_8f9c4a73_1411_48d2_895d_34db9ac18f85_matrix' defined from 'vfio_ap.xml'
  6. 前の手順で作成した仲介デバイス (この場合は mdev_8f9c4a73_1411_48d2_895d_34db9ac18f85_matrix) を起動します。

    # virsh nodedev-start mdev_8f9c4a73_1411_48d2_895d_34db9ac18f85_matrix
    Device mdev_8f9c4a73_1411_48d2_895d_34db9ac18f85_matrix started
  7. 設定が正しく適用されたことを確認します。

    # cat /sys/devices/vfio_ap/matrix/mdev_supported_types/vfio_ap-passthrough/devices/669d9b23-fe1b-4ecb-be08-a2fabca99b71/matrix
    05.0004
    05.00ab

    出力に vfio-ap に割り当てられたキューの数値が含まれる場合には、プロセスは成功です。

  8. 仲介デバイスを仮想マシンに接続します。

    1. 作成した仲介デバイスの UUID を表示し、次の手順のために保存します。

      # virsh nodedev-dumpxml mdev_8f9c4a73_1411_48d2_895d_34db9ac18f85_matrix
      
      <device>
        <name>mdev_8f9c4a73_1411_48d2_895d_34db9ac18f85_matrix</name>
        <parent>ap_matrix</parent>
        <capability type='mdev'>
          <type id='vfio_ap-passthrough'/>
          <uuid>8f9c4a73-1411-48d2-895d-34db9ac18f85</uuid>
          <iommuGroup number='0'/>
          <attr name='assign_adapter' value='0x05'/>
          <attr name='assign_domain' value='0x0004'/>
          <attr name='assign_domain' value='0x00ab'/>
          <attr name='assign_control_domain' value='0x00ab'/>
        </capability>
      </device>
    2. 暗号化カード仲介デバイスの XML ファイルを作成して開きます。以下に例を示します。

      # vim crypto-dev.xml
    3. 以下の行をファイルに追加して保存します。uuid 値は、手順 a で取得した UUID に置き換えます。

      <hostdev mode='subsystem' type='mdev' managed='no' model='vfio-ap'>
        <source>
          <address uuid='8f9c4a73-1411-48d2-895d-34db9ac18f85'/>
        </source>
      </hostdev>
    4. XML ファイルを使用して、仲介デバイスを仮想マシンに接続します。たとえば、crypto-dev.xml ファイルで定義されたデバイスを、実行中の testguest1 仮想マシンに永続的に接続するには、次のコマンドを実行します。

      # virsh attach-device testguest1 crypto-dev.xml --live --config

      --live オプションは、実行中の仮想マシンにのみデバイスを接続します。再起動後に永続性は維持されません。--config オプションは、設定の変更を永続化します。--config オプションのみを使用すると、デバイスをシャットダウンした仮想マシンに接続できます。

      各 UUID は、一度に 1 つの仮想マシンにしか割り当てることができないのでご注意ください。

検証

  1. ゲストオペレーティングシステムが、割り当てられた暗号化デバイスを検出していることを確認します。

    # lszcrypt -V
    
    CARD.DOMAIN TYPE  MODE        STATUS  REQUESTS  PENDING HWTYPE QDEPTH FUNCTIONS  DRIVER
    --------------------------------------------------------------------------------------------
    05          CEX5C CCA-Coproc  online         1        0     11     08 S--D--N--  cex4card
    05.0004     CEX5C CCA-Coproc  online         1        0     11     08 S--D--N--  cex4queue
    05.00ab     CEX5C CCA-Coproc  online         1        0     11     08 S--D--N--  cex4queue

    ゲストオペレーティングシステムでのこのコマンドの出力は、利用可能な暗号化コプロセッサーデバイスが同じホストの論理パーティションで表示される出力と同じです。

  2. ゲストオペレーティングシステムで、制御ドメインが暗号化デバイスに正常に割り当てられていることを確認します。

    # lszcrypt -d C
    
    DOMAIN 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 0a 0b 0c 0d 0e 0f
    ------------------------------------------------------
        00  .  .  .  .  U  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .
        10  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .
        20  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .
        30  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .
        40  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .
        50  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .
        60  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .
        70  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .
        80  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .
        90  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .
        a0  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  B  .  .  .  .
        b0  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .
        c0  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .
        d0  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .
        e0  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .
        f0  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .
    ------------------------------------------------------
    C: Control domain
    U: Usage domain
    B: Both (Control + Usage domain)

    lszcrypt -d C で暗号化デバイスマトリックスに UB の交差が表示された場合、制御ドメインの割り当ては成功しています。

15.9. Windows 仮想マシンでの標準ハードウェアセキュリティーの有効化

Windows 仮想マシンのセキュリティーを保護するには、Windows デバイスの標準ハードウェア機能を使用して基本的なレベルのセキュリティーを有効にします。

前提条件

  • 最新の WHQL 認定 VirtIO ドライバーがインストールされている。
  • 仮想マシンのファームウェアが UEFI ブートに対応している。
  • edk2-OVMF パッケージをホストマシンにインストールしている。

    # {PackageManagerCommand} install edk2-ovmf
  • ホストマシンに vTPM パッケージをインストールしている。

    # {PackageManagerCommand} install swtpm libtpms
  • 仮想マシンが Q35 マシンアーキテクチャーを使用している。
  • Windows インストールメディアを使用している。

手順

  1. TPM 2.0 を有効にするには、仮想マシンの XML 設定の <devices> セクションに以下のパラメーターを追加します。

    <devices>
    [...]
      <tpm model='tpm-crb'>
        <backend type='emulator' version='2.0'/>
      </tpm>
    [...]
    </devices>
  2. UEFI モードで Windows をインストールします。詳細は、SecureBoot の仮想マシンの作成 を参照してください。
  3. Windows 仮想マシンに virtio ドライバーをインストールします。詳細は、Windows ゲストへの virtio ドライバーのインストール を参照してください。
  4. UEFI でセキュアブートを有効にします。詳細は、セキュアブート を参照してください。

検証

  • Windows マシンの デバイスのセキュリティー ページに、以下のメッセージが表示されていることを確認します。

    Settings > Update & Security > Windows Security > Device Security

    Your device meets the requirements for standard hardware security.

15.10. Windows 仮想マシンでの拡張ハードウェアセキュリティーの有効化

Windows 仮想マシンをさらにセキュアにするために、コード整合性の仮想化ベースの保護 (HVCI (Hypervisor-Protected Code Integrity) とも呼ばれます) を有効にできます。

前提条件

手順

  1. Windows VM の XML 設定を開きます。次の例では、Example-L1 VM の設定を開きます。

    # virsh edit Example-L1
  2. <cpu> セクションで、CPU モードを指定し、ポリシーフラグを追加します。

    重要
    • Intel CPU の場合は、vmx ポリシーフラグを有効にします。
    • AMD CPU の場合は、svm ポリシーフラグを有効にします。
    • カスタム CPU を指定したくない場合は、<cpu mode>host-passthrough として設定できます。
    <cpu mode='custom' match='exact' check='partial'>
        <model fallback='allow'>Skylake-Client-IBRS</model>
        <topology sockets='1' dies='1' cores='4' threads='1'/>
        <feature policy='require' name='vmx'/>
    </cpu>
  3. XML 設定を保存し、仮想マシンを再起動します。
  4. 仮想マシンオペレーティングシステムで、Core isolation details ページに移動します。

    Settings > Update & Security > Windows Security > Device Security > Core isolation details

  5. スイッチを切り替えて、メモリーの整合性 を有効にします。
  6. 仮想マシンを再起動します。
注記

HVCI を有効にするその他の方法は、関連する Microsoft ドキュメントを参照してください。

検証

  • Windows 仮想マシンの デバイスのセキュリティー ページに、以下のメッセージが表示されていることを確認します。

    Settings > Update & Security > Windows Security > Device Security

    Your device meets the requirements for enhanced hardware security.
  • または、Windows 仮想マシンのシステム情報を確認します。

    1. コマンドプロンプトで msinfo32.exe を実行します。
    2. Virtualization-based security Services Running の下に Credential Guard, Hypervisor enforced Code Integrity がリスト表示されているかどうかを確認します。

第16章 仮想マシンのパフォーマンスの最適化

仮想マシンでは、ホストと比べて、パフォーマンス低下が常に見られます。以下のセクションでは、この低下の理由を説明します。また、ハードウェアのインフラストラクチャーリソースを可能な限り効率的に使用できるように、RHEL 8 での仮想化によるパフォーマンスへの影響を最小限に抑える方法を説明します。

16.1. 仮想マシンのパフォーマンスに影響を及ぼすもの

仮想マシンは、ホストのユーザー空間プロセスとして実行します。したがって、ハイパーバイザーは、仮想マシンがホストシステムのリソースを使用できるように、ホストのシステムリソースを変換する必要があります。したがって、変換によりリソースの一部が消費されるため、仮想マシンのパフォーマンス効率は、ホストと同じにはなりません。

システムパフォーマンスにおける仮想化の影響

仮想マシンのパフォーマンス低下の理由には、以下のようなものがあります。

  • 仮想 CPU (vCPU) がホスト上のスレッドとして実装され、Linux スケジューラーで処理される。
  • 仮想マシンは、ホストカーネルから NUMA や Huge Page などの最適化機能を自動的に継承しない。
  • ホストのディスクおよびネットワーク I/O の設定が、仮想マシンのパフォーマンスに大きく影響する可能性がある。
  • ネットワークトラフィックは、一般的に、ソフトウェアベースのブリッジから仮想マシンに流れる。
  • ホストデバイスとそのモデルによっては、その特定のハードウェアのエミュレーションにより、オーバーヘッドが著しくなる可能性がある。

仮想化が仮想マシンのパフォーマンスに与える影響の重大度は、次のようなさまざまな要因の影響を受けます。

  • 同時に実行している仮想マシンの数
  • 各仮想マシンで使用される仮想デバイスのサイズ
  • 仮想マシンが使用するデバイスの種類

仮想マシンのパフォーマンス損失を減らす

RHEL 8 は、仮想化のパフォーマンスへの悪影響を減らすのに使用できる多くの機能を提供します。以下に例を示します。

重要

仮想マシンのパフォーマンスのチューニングは、その他の仮想化機能に悪影響を与える可能性があります。たとえば、変更した仮想マシンの移行がより困難になります。

16.2. TuneD を使用した仮想マシンのパフォーマンスの最適化

TuneD ユーティリティーは、CPU 集中型タスクや、ストレージネットワークスループットの応答などの特定のワークロードの特性に対して RHEL を調整するプロファイル配信メカニズムです。これにより、特定のユースケースで、パフォーマンスを強化し、電力消費を減らすように事前設定されたチューニングプロファイルを多数利用できます。これらのプロファイルを編集するか、新規プロファイルを作成して、仮想化環境に適したパフォーマンスソリューション (仮想化環境を含む) を作成できます。

RHEL 8 を仮想化に最適化するには、次のプロファイルを使用します。

  • RHEL 8 仮想マシンの場合は、virtual-guest プロファイルを使用します。これは、一般的に適用された throughput-performance プロファイルをベースにしていますが、仮想メモリーのスワップは減少します。
  • RHEL 8 仮想ホストの場合は、virtual-host プロファイルを使用します。これにより、ダーティーメモリーページのより集中的なライトバックが有効になり、ホストのパフォーマンスを活用できます。

手順

特定の TuneD プロファイルを有効にするには、以下を実行します。

  1. 使用可能な Tuned プロファイルをリスト表示します。

    # tuned-adm list
    
    Available profiles:
    - balanced             - General non-specialized TuneD profile
    - desktop              - Optimize for the desktop use-case
    [...]
    - virtual-guest        - Optimize for running inside a virtual guest
    - virtual-host         - Optimize for running KVM guests
    Current active profile: balanced
  2. (必要に応じて) 新しい TuneD プロファイルを作成するか、既存の TuneD プロファイルを編集します。

    詳しくは、TuneD プロファイルのカスタマイズ を参照してください。

  3. TuneD プロファイルをアクティベートします。

    # tuned-adm profile selected-profile
    • 仮想化ホストを最適化するには、virtual-host プロファイルを使用します。

      # tuned-adm profile virtual-host
    • RHEL ゲストオペレーティングシステムで、virtual-guest プロファイルを使用します。

      # tuned-adm profile virtual-guest

16.3. 仮想マシンのメモリーの設定

仮想マシンのパフォーマンスを改善するために、追加のホスト RAM を仮想マシンに割り当てることができます。同様に、仮想マシンに割り当てるメモリー量を減らして、ホストメモリーを他の仮想マシンやタスクに割り当てることができます。

これらのアクションを実行するには、Web コンソール または コマンドラインインターフェイス を使用します。

16.3.1. Web コンソールで仮想マシンのメモリーの追加と削除

仮想マシンのパフォーマンスを向上させるか、仮想マシンが使用するホストリソースを解放するために、Web コンソールを使用して、仮想マシンに割り当てられたメモリーの量を調整できます。

前提条件

  • ゲスト OS がメモリーバルーンドライバーを実行している。これを確認するには、以下を実行します。

    1. 仮想マシンの設定に memballoon デバイスが含まれていることを確認します。

      # virsh dumpxml testguest | grep memballoon
      <memballoon model='virtio'>
          </memballoon>

      このコマンドで出力が表示され、モデルが none に設定されていない場合は、memballoon デバイスが存在します。

    2. バルーンドライバーがゲスト OS で実行していることを確認します。

      • Windows ゲストでは、ドライバーは virtio-win ドライバーパッケージの一部としてインストールされます。手順は、Installing KVM paravirtualized drivers for Windows virtual machines を参照してください。
      • Linux ゲストでは、通常、このドライバーはデフォルトで含まれており、memballoon デバイスがあれば、アクティベートされます。
  • Web コンソールの仮想マシンプラグインが システムにインストールされている

手順

  1. 任意: 最大メモリーと、仮想マシンに現在使用されている最大メモリーの情報を取得します。これは、変更のベースラインとしても、検証のためにも機能します。

    # virsh dominfo testguest
    Max memory:     2097152 KiB
    Used memory:    2097152 KiB
  2. 仮想マシン インターフェイスで、情報を表示する仮想マシンを選択します。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

  3. 概要ペインで、Memory 行の横にある 編集 をクリックします。

    メモリー調整 ダイアログが表示されます。

    仮想マシンのメモリー調整ダイアログボックスを表示するイメージ。
  4. 選択した仮想マシンの仮想 CPU を設定します。

    • 最大割り当て: 仮想マシンがそのプロセスに使用できるホストメモリーの最大量を設定します。VM の作成時に最大メモリーを指定することも、後で増やすこともできます。メモリーは、MiB または GiB の倍数で指定できます。

      仮想マシンをシャットダウンしてからでないと、最大メモリー割り当てを調整できません。

    • 現在の割り当て - 仮想マシンに割り当てる実際のメモリー量を設定します。この値は、最大割り当てより小さい値にすることができますが、上限を超えることはできません。値を調整して、仮想マシンで利用可能なメモリーをプロセス用に調整できます。メモリーは、MiB または GiB の倍数で指定できます。

      この値を指定しない場合、デフォルトの割り当ては最大割り当て の値になります。

  5. Save をクリックします。

    仮想マシンのメモリー割り当てが調整されます。

関連情報

16.3.2. コマンドラインインターフェイスで仮想マシンのメモリーの追加と削除

仮想マシンのパフォーマンスを改善したり、使用しているホストリソースを解放したりするために、CLI を使用して仮想マシンに割り当てられたメモリーの量を調整できます。

前提条件

  • ゲスト OS がメモリーバルーンドライバーを実行している。これを確認するには、以下を実行します。

    1. 仮想マシンの設定に memballoon デバイスが含まれていることを確認します。

      # virsh dumpxml testguest | grep memballoon
      <memballoon model='virtio'>
          </memballoon>

      このコマンドで出力が表示され、モデルが none に設定されていない場合は、memballoon デバイスが存在します。

    2. ballon ドライバーがゲスト OS で実行されていることを確認します。

      • Windows ゲストでは、ドライバーは virtio-win ドライバーパッケージの一部としてインストールされます。手順は、Installing KVM paravirtualized drivers for Windows virtual machines を参照してください。
      • Linux ゲストでは、通常、このドライバーはデフォルトで含まれており、memballoon デバイスがあれば、アクティベートされます。

手順

  1. 任意: 最大メモリーと、仮想マシンに現在使用されている最大メモリーの情報を取得します。これは、変更のベースラインとしても、検証のためにも機能します。

    # virsh dominfo testguest
    Max memory:     2097152 KiB
    Used memory:    2097152 KiB
  2. 仮想マシンに割り当てる最大メモリーを調整します。この値を増やすと、仮想マシンのパフォーマンスが低下する可能性が向上し、値を減らすことで、仮想マシンがホスト上にあるパフォーマンスフットプリントが低減します。この変更は、停止している仮想マシンでのみ実行できるため、実行中の仮想マシンを調整するには再起動する必要があります。

    たとえば、仮想マシン testguest が使用可能な最大メモリーを 4096 MiB に変更するには、次のコマンドを実行します。

    # virt-xml testguest --edit --memory memory=4096,currentMemory=4096
    Domain 'testguest' defined successfully.
    Changes will take effect after the domain is fully powered off.

    実行中の仮想マシンの最大メモリーを増やすには、仮想マシンにメモリーデバイスを割り当てます。これは、メモリーのホットプラグとも呼ばれます。詳細は、デバイスの仮想マシンへの接続 を参照してください。

    警告

    実行中の仮想マシン (メモリーのホットアンプラグとも呼ばれる) から、メモリーデバイスを削除することはサポートされておらず、Red Hat では推奨していません。

  3. 任意: 仮想マシンが現在使用しているメモリーを最大割り当てまで調整することもできます。これにより、仮想マシンの最大割り当てを変更せずに、仮想マシンが次回の再起動までホスト上にあるメモリー負荷が調整されます。

    # virsh setmem testguest --current 2048

検証

  1. 仮想マシンが使用するメモリーが更新されていることを確認します。

    # virsh dominfo testguest
    Max memory:     4194304 KiB
    Used memory:    2097152 KiB
  2. (必要に応じて) 現在の仮想マシンメモリーを調整すると、仮想マシンのメモリーバルーンの統計を取得して、そのメモリー使用量をどの程度効果的に調整するかを評価できます。

     # virsh domstats --balloon testguest
    Domain: 'testguest'
      balloon.current=365624
      balloon.maximum=4194304
      balloon.swap_in=0
      balloon.swap_out=0
      balloon.major_fault=306
      balloon.minor_fault=156117
      balloon.unused=3834448
      balloon.available=4035008
      balloon.usable=3746340
      balloon.last-update=1587971682
      balloon.disk_caches=75444
      balloon.hugetlb_pgalloc=0
      balloon.hugetlb_pgfail=0
      balloon.rss=1005456

16.3.3. 関連情報

16.4. 仮想マシンの I/O パフォーマンスの最適化

仮想マシンの入出力 (I/O) 機能は、仮想マシンの全体的な効率を大幅に制限する可能性があります。これに対処するために、ブロック I/O パラメーターを設定して、仮想マシンの I/O を最適化できます。

16.4.1. 仮想マシンにおけるブロック I/O のチューニング

複数のブロックデバイスが、複数の仮想マシンで使用されている場合は、I/O ウェイト を変更して特定の仮想デバイスの I/O の優先度を調整することが重要になる場合があります。

デバイスの I/O ウェイトを上げると、I/O 帯域幅の優先度が高まるため、より多くのホストリソースが提供されます。同様に、デバイスのウェイトを下げると、ホストのリソースが少なくなります。

注記

各デバイスの ウェイト の値は 100 から 1000 の範囲内でなければなりません。もしくは、値を 0 にすると、各デバイスのリストからそのデバイスを削除できます。

手順

仮想マシンのブロック I/O パラメーターを表示および設定するには、以下を行います。

  1. 仮想マシンの現在の <blkio> パラメーターを表示します。

    # virsh dumpxml VM-name

    <domain>
      [...]
      <blkiotune>
        <weight>800</weight>
        <device>
          <path>/dev/sda</path>
          <weight>1000</weight>
        </device>
        <device>
          <path>/dev/sdb</path>
          <weight>500</weight>
        </device>
      </blkiotune>
      [...]
    </domain>
  2. 指定したデバイスの I/O ウェイトを編集します。

    # virsh blkiotune VM-name --device-weights device, I/O-weight

    たとえば、以下では、liftrul 仮想マシンの /dev/sda デバイスのウェイトを 500 に変更します。

    # virsh blkiotune liftbrul --device-weights /dev/sda, 500

16.4.2. 仮想マシンのディスク I/O スロットリング

複数の仮想マシンが同時に実行する場合は、過剰なディスク I/O により、システムパフォーマンスに影響が及ぶ可能性があります。KVM 仮想化のディスク I/O スロットリングでは、仮想マシンからホストマシンに送られるディスク I/O 要求に制限を設定する機能を利用できます。これにより、仮想マシンが共有リソースを過剰に使用し、その他の仮想マシンのパフォーマンスに影響を及ぼすことを防ぐことができます。

ディスク I/O スロットリングを有効にするには、仮想マシンに割り当てられた各ブロックデバイスからホストマシンに送られるディスク I/O 要求に制限を設定します。

手順

  1. virsh domblklist コマンドを使用して、指定された仮想マシン上のすべてのディスクデバイスの名前をリスト表示します。

    # virsh domblklist rollin-coal
    Target     Source
    ------------------------------------------------
    vda        /var/lib/libvirt/images/rollin-coal.qcow2
    sda        -
    sdb        /home/horridly-demanding-processes.iso
  2. スロットルする仮想ディスクがマウントされているホストブロックデバイスを見つけます。

    たとえば、前の手順の sdb 仮想ディスクをスロットリングする場合は、以下の出力では、ディスクが /dev/nvme0n1p3 パーティションにマウントされていることを示しています。

    $ lsblk
    NAME                                          MAJ:MIN RM   SIZE RO TYPE  MOUNTPOINT
    zram0                                         252:0    0     4G  0 disk  [SWAP]
    nvme0n1                                       259:0    0 238.5G  0 disk
    ├─nvme0n1p1                                   259:1    0   600M  0 part  /boot/efi
    ├─nvme0n1p2                                   259:2    0     1G  0 part  /boot
    └─nvme0n1p3                                   259:3    0 236.9G  0 part
      └─luks-a1123911-6f37-463c-b4eb-fxzy1ac12fea 253:0    0 236.9G  0 crypt /home
  3. virsh blkiotune コマンドを使用して、ブロックデバイスの I/O 制限を設定します。

    # virsh blkiotune VM-name --parameter device,limit

    以下の例は、rollin-coal 仮想マシン上の sdb ディスクを毎秒 1000 の読み書き操作にスロットリングし、毎秒 50 MB の読み書きスループットにスロットリングします。

    # virsh blkiotune rollin-coal --device-read-iops-sec /dev/nvme0n1p3,1000 --device-write-iops-sec /dev/nvme0n1p3,1000 --device-write-bytes-sec /dev/nvme0n1p3,52428800 --device-read-bytes-sec /dev/nvme0n1p3,52428800

関連情報

  • ディスク I/O スロットリングは、異なる顧客に属する仮想マシンが同じホストで実行されている場合や、異なる仮想マシンに QoS 保証が提供されている場合など、さまざまな状況で役立ちます。ディスク I/O スロットリングは、低速なディスクをシミュレートするために使用することもできます。
  • I/O スロットリングは、仮想マシンに割り当てられた各ブロックデバイスに個別に適用でき、スループットおよび I/O 操作の制限に対応します。
  • Red Hat は、virsh blkdeviotune コマンドを使用した仮想マシンでの I/O スロットリングの設定はサポートしていません。RHEL 8 を仮想マシンホストとして使用する場合にサポートされていない機能の詳細は、RHEL 8 仮想化でサポートされていない機能 を参照してください。

16.4.3. マルチキュー virtio-scsi の有効化

仮想マシンで virtio-scsi ストレージデバイスを使用する場合は、マルチキュー virtio-scsi 機能により、ストレージパフォーマンスおよびスケーラビリティーが向上します。このため、各仮想 CPU (vCPU) に別のキューを持たせることが可能になります。また仮想 CPU は、その他の vCPU に影響を及ぼすことなく使用するために、割り込みできるようになります。

手順

  • 特定の仮想マシンに対してマルチキュー virtio-scsi サポートを有効にするには、仮想マシンの XML 設定に以下を追加します。ここでの N は、vCPU キューの合計数です。

    <controller type='scsi' index='0' model='virtio-scsi'>
       <driver queues='N' />
    </controller>

16.5. 仮想マシンの CPU パフォーマンスの最適化

vCPU は、ホストマシンの物理 CPU と同様、仮想マシンのパフォーマンスにおいて極めて重要です。したがって、vCPU を最適化すると、仮想マシンのリソース効率に大きな影響を及ぼす可能性があります。vCPU を最適化するには、以下を実行します。

  1. 仮想マシンに割り当てられているホスト CPU の数を調整します。これは、CLI または Web コンソール を使用して実行できます。
  2. vCPU モデルが、ホストの CPU モデルに調整されていることを確認します。たとえば、仮想マシン testguest1 を、ホストの CPU モデルを使用するように設定するには、次のコマンドを実行します。

    # virt-xml testguest1 --edit --cpu host-model
  3. Kernel Same-page Merging (KSM) を無効にします
  4. ホストマシンが Non-Uniform Memory Access (NUMA) を使用する場合は、その仮想マシンに対して NUMA を設定 することもできます。これにより、ホストの CPU およびメモリープロセスが、仮想マシンの CPU およびメモリープロセスにできるだけ近くにマッピングされます。事実上、NUMA チューニングにより、仮想マシンに割り当てられたシステムメモリーへのより効率的なアクセスが可能になります。これにより、vCPU 処理の効果が改善されます。

    詳細は、仮想マシンで NUMA の設定 および サンプルの vCPU パフォーマンスチューニングシナリオ を参照してください。

16.5.1. コマンドラインインターフェイスを使用した仮想 CPU の追加と削除

仮想マシンの CPU パフォーマンスを増減するには、仮想マシンに割り当てられた仮想 CPU (vCPU) を追加または削除します。

実行中の仮想マシンで実行する場合、これは vCPU ホットプラグおよびホットアンプラグとも呼ばれます。ただし、RHEL 8 では vCPU のホットアンプラグに対応しておらず、Red Hat ではその使用を強く推奨していません。

前提条件

  • オプション: ターゲット仮想マシン内の vCPU の現在の状態を表示します。たとえば、仮想マシン testguest 上の仮想 CPU 数を表示するには、以下を実行します。

    # virsh vcpucount testguest
    maximum      config         4
    maximum      live           2
    current      config         2
    current      live           1

    この出力は、testguest が現在 1 vCPU を使用していることを示し、1 つ以上の vCPU をホットプラグして仮想マシンのパフォーマンスを向上できることを示しています。ただし、再起動後に使用される vCPU の testguest 数は 2 に変更され、2 以上の vCPU のホットプラグが可能になります。

手順

  1. 仮想マシンに割り当てることができる vCPU の最大数を調整します。これは、仮想マシンの次回起動時に有効になります。

    たとえば、仮想マシン testguest の vCPU の最大数を 8 に増やすには、次のコマンドを実行します。

    # virsh setvcpus testguest 8 --maximum --config

    最大値は、CPU トポロジー、ホストハードウェア、ハイパーバイザー、およびその他の要素によって制限される可能性があることに注意してください。

  2. 仮想マシンに割り当てられている現在の仮想 CPU の数を調整し、直前のステップで設定された最大数まで調整します。以下に例を示します。

    • 実行中の仮想マシン testguest にアタッチされている vCPU を 4 に増やすには、以下を実行します。

      # virsh setvcpus testguest 4 --live

      これにより、仮想マシンの次回の起動まで、仮想マシンのパフォーマンスおよび testguest のホスト負荷のフットプリントが高まります。

    • testguest 仮想マシンにアタッチされている vCPU の数を永続的に 1 に減らすには、次のコマンドを実行します。

      # virsh setvcpus testguest 1 --config

      これにより、仮想マシンの次回の起動後に、仮想マシンのパフォーマンスおよび testguest のホスト負荷のフットプリントが低下します。ただし、必要に応じて、仮想マシンに追加の vCPU をホットプラグして、一時的にパフォーマンスを向上させることができます。

検証

  • 仮想マシンの vCPU の現在の状態に変更が反映されていることを確認します。

    # virsh vcpucount testguest
    maximum      config         8
    maximum      live           4
    current      config         1
    current      live           4

16.5.2. Web コンソールを使用した仮想 CPU の管理

RHEL 9 Web コンソールを使用して、Web コンソールが接続している仮想マシンが使用する仮想 CPU を確認し、設定できます。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、情報を表示する仮想マシンを選択します。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

  2. 概要ペインで、vCPU の数の横にある 編集 をクリックします。

    vCPU の詳細ダイアログが表示されます。

    VM CPU 詳細ダイアログボックスを表示しているイメージ
  1. 選択した仮想マシンの仮想 CPU を設定します。

    • vCPU 数: 現在使用中の vCPU の数

      注記

      vCPU 数は、vCPU 最大値以下にする必要があります。

    • vCPU 最大値 - 仮想マシンに設定できる仮想 CPU の最大数を入力します。この値が vCPU 数 よりも大きい場合には、vCPU を追加で仮想マシンに割り当てることができます。
    • ソケット - 仮想マシンに公開するソケットの数を選択します。
    • ソケットごとのコア - 仮想マシンに公開する各ソケットのコア数を選択します。
    • コアあたりのスレッド - 仮想マシンに公開する各コアのスレッド数を選択します。

      SocketsCores per socket、および Threads per core オプションは、仮想マシンの CPU トポロジーを調整することに注意してください。これは、vCPU のパフォーマンスにメリットがあり、ゲスト OS の特定のソフトウェアの機能に影響を与える可能性があります。デプロイメントで別の設定が必要ない場合は、デフォルト値のままにします。

  2. Apply をクリックします。

    仮想マシンに仮想 CPU が設定されます。

    注記

    仮想 CPU 設定の変更は、仮想マシンの再起動後にのみ有効になります。

関連情報

  • コマンドラインインターフェイスを使用した仮想 CPU の追加と削除

16.5.3. 仮想マシンでの NUMA の設定

以下の方法は、RHEL 8 ホストで、仮想マシンの Non-Uniform Memory Access (NUMA) 設定の設定に使用できます。

前提条件

  • ホストが NUMA 対応のマシンである。これを確認するには、virsh nodeinfo コマンドを使用して、NUMA cell(2) の行を確認します。

    # virsh nodeinfo
    CPU model:           x86_64
    CPU(s):              48
    CPU frequency:       1200 MHz
    CPU socket(s):       1
    Core(s) per socket:  12
    Thread(s) per core:  2
    NUMA cell(s):        2
    Memory size:         67012964 KiB

    行の値が 2 以上であると、そのホストは NUMA に対応しています。

手順

使いやすさのため、自動化ユーティリティーとサービスを使用して、仮想マシンの NUMA を設定できます。ただし、手動で NUMA を設定すると、パフォーマンスが大幅に向上する可能性が高くなります。

自動方式

  • 仮想マシンの NUMA ポリシーを Preferred に設定します。たとえば、仮想マシン testguest5 に対してこれを行うには、次のコマンドを実行します。

    # virt-xml testguest5 --edit --vcpus placement=auto
    # virt-xml testguest5 --edit --numatune mode=preferred
  • ホストで NUMA の自動負荷分散を有効にします。

    # echo 1 > /proc/sys/kernel/numa_balancing
  • umad サービスを開始して、VM CPU とメモリーリソースを自動的に調整します。

    # systemctl start numad

手動方式

  1. 特定ホストの CPU、またはある範囲の CPU に特定の vCPU スレッドをピニングします。これは、NUMA 以外のホストおよび仮想マシンでも可能で、vCPU のパフォーマンスを向上させる安全な方法として推奨されています。

    たとえば、次のコマンドでは、仮想マシン testguest6 の vCPU スレッドの 0 から 5 を、ホストの CPU 1、3、5、7、9、11 にそれぞれピニングします。

    # virsh vcpupin testguest6 0 1
    # virsh vcpupin testguest6 1 3
    # virsh vcpupin testguest6 2 5
    # virsh vcpupin testguest6 3 7
    # virsh vcpupin testguest6 4 9
    # virsh vcpupin testguest6 5 11

    その後、これが成功したかどうかを確認できます。

    # virsh vcpupin testguest6
    VCPU   CPU Affinity
    ----------------------
    0      1
    1      3
    2      5
    3      7
    4      9
    5      11
  2. vCPU スレッドのピニング後に、指定の仮想マシンに関連付けられた QEMU プロセススレッドを、特定ホスト CPU、またはある範囲の CPU に固定することもできます。たとえば、以下のコマンドは、testguest6 の QEMU プロセススレッドを CPU 13 および 15 にピニングし、これが成功したことを確認します。

    # virsh emulatorpin testguest6 13,15
    # virsh emulatorpin testguest6
    emulator: CPU Affinity
    ----------------------------------
           *: 13,15
  3. これで、特定の仮想マシンに対して割り当てられるホストの NUMA ノードを指定することができます。これにより、仮想マシンの vCPU によるホストメモリーの使用率が向上します。たとえば、次のコマンドでは、ホスト NUMA ノード 3 ~ 5 を使用するように testguest6 を設定し、これが成功したかどうかを確認します。

    # virsh numatune testguest6 --nodeset 3-5
    # virsh numatune testguest6
注記

最善のパフォーマンス結果を得るためにも、上記の手動によるチューニングメソッドをすべて使用することが推奨されます。

16.5.4. vCPU のパフォーマンスチューニングシナリオ例

最適な vCPU パフォーマンスを得るためにも、以下のシナリオなど、手動で vcpupinemulatorpin、および numatune 設定をまとめて使用することが推奨されます。

開始シナリオ

  • ホストには以下のハードウェア仕様があります。

    • 2 つの NUMA ノード
    • 各ノードにある 3 つの CPU コア
    • 各コアにある 2 スレッド

    このようなマシンの virsh nodeinfo の出力は以下のようになります。

    # virsh nodeinfo
    CPU model:           x86_64
    CPU(s):              12
    CPU frequency:       3661 MHz
    CPU socket(s):       2
    Core(s) per socket:  3
    Thread(s) per core:  2
    NUMA cell(s):        2
    Memory size:         31248692 KiB
  • 既存の仮想マシンを変更して、8 つの vCPU を使用できるようにします。これは、1 つの NUMA ノードに収まらないことを意味します。

    したがって、各 NUMA ノードに 4 つの vCPU を分散し、vCPU トポロジーをホストトポロジーに可能な限り近づけるようにする必要があります。つまり、指定の物理 CPU のシブリングスレッドとして実行される vCPU は、同じコア上のホストスレッドに固定 (ピニング) される必要があります。詳細は、以下の ソリューション を参照してください。

解決方法

  1. ホストトポロジーに関する情報を取得します。

    # virsh capabilities

    この出力には、以下のようなセクションが含まれます。

    <topology>
      <cells num="2">
        <cell id="0">
          <memory unit="KiB">15624346</memory>
          <pages unit="KiB" size="4">3906086</pages>
          <pages unit="KiB" size="2048">0</pages>
          <pages unit="KiB" size="1048576">0</pages>
          <distances>
            <sibling id="0" value="10" />
            <sibling id="1" value="21" />
          </distances>
          <cpus num="6">
            <cpu id="0" socket_id="0" core_id="0" siblings="0,3" />
            <cpu id="1" socket_id="0" core_id="1" siblings="1,4" />
            <cpu id="2" socket_id="0" core_id="2" siblings="2,5" />
            <cpu id="3" socket_id="0" core_id="0" siblings="0,3" />
            <cpu id="4" socket_id="0" core_id="1" siblings="1,4" />
            <cpu id="5" socket_id="0" core_id="2" siblings="2,5" />
          </cpus>
        </cell>
        <cell id="1">
          <memory unit="KiB">15624346</memory>
          <pages unit="KiB" size="4">3906086</pages>
          <pages unit="KiB" size="2048">0</pages>
          <pages unit="KiB" size="1048576">0</pages>
          <distances>
            <sibling id="0" value="21" />
            <sibling id="1" value="10" />
          </distances>
          <cpus num="6">
            <cpu id="6" socket_id="1" core_id="3" siblings="6,9" />
            <cpu id="7" socket_id="1" core_id="4" siblings="7,10" />
            <cpu id="8" socket_id="1" core_id="5" siblings="8,11" />
            <cpu id="9" socket_id="1" core_id="3" siblings="6,9" />
            <cpu id="10" socket_id="1" core_id="4" siblings="7,10" />
            <cpu id="11" socket_id="1" core_id="5" siblings="8,11" />
          </cpus>
        </cell>
      </cells>
    </topology>
  2. (必要に応じて) 適用可能なツールおよびユーティリティー を使用して、仮想マシンのパフォーマンスをテストします。
  3. ホストに 1 GiB の Huge Page を設定してマウントします。

    1. ホストのカーネルコマンドラインに次の行を追加します。

      default_hugepagesz=1G hugepagesz=1G
    2. /etc/systemd/system/hugetlb-gigantic-pages.service ファイルを以下の内容で作成します。

      [Unit]
      Description=HugeTLB Gigantic Pages Reservation
      DefaultDependencies=no
      Before=dev-hugepages.mount
      ConditionPathExists=/sys/devices/system/node
      ConditionKernelCommandLine=hugepagesz=1G
      
      [Service]
      Type=oneshot
      RemainAfterExit=yes
      ExecStart=/etc/systemd/hugetlb-reserve-pages.sh
      
      [Install]
      WantedBy=sysinit.target
    3. /etc/systemd/hugetlb-reserve-pages.sh ファイルを以下の内容で作成します。

      #!/bin/sh
      
      nodes_path=/sys/devices/system/node/
      if [ ! -d $nodes_path ]; then
      	echo "ERROR: $nodes_path does not exist"
      	exit 1
      fi
      
      reserve_pages()
      {
      	echo $1 > $nodes_path/$2/hugepages/hugepages-1048576kB/nr_hugepages
      }
      
      reserve_pages 4 node1
      reserve_pages 4 node2

      これにより、4 つの 1GiB の Huge Page が node1 から予約され、さらに別の 4 つの 1 GiB の Huge Page が node2 から予約されます。

    4. 前の手順で作成したスクリプトを実行ファイルにします。

      # chmod +x /etc/systemd/hugetlb-reserve-pages.sh
    5. システムの起動時に Huge Page 予約を有効にします。

      # systemctl enable hugetlb-gigantic-pages
  4. virsh edit コマンドを使用して、最適化する仮想マシンの XML 設定 (この例では super-VM) を編集します。

    # virsh edit super-vm
  5. 次の方法で仮想マシンの XML 設定を調整します。

    1. 仮想マシンが 8 つの静的 vCPU を使用するように設定します。これを行うには、<vcpu/> 要素を使用します。
    2. トポロジーでミラーリングする、対応するホスト CPU スレッドに、各 vCPU スレッドをピニングします。これを行うには、<cputune> セクションの <vcpupin/> 要素を使用します。

      上記の virsh 機能 ユーティリティーで示されているように、ホストの CPU スレッドは、各コアで連続的に順次付けされません。また、vCPU スレッドは、同じ NUMA ノード上のホストのコアの利用可能な最大セットに固定される必要があります。表の図については、以下の トポロジーの例 セクションを参照してください。

      手順 a と b の XML 設定は次のようになります。

      <cputune>
        <vcpupin vcpu='0' cpuset='1'/>
        <vcpupin vcpu='1' cpuset='4'/>
        <vcpupin vcpu='2' cpuset='2'/>
        <vcpupin vcpu='3' cpuset='5'/>
        <vcpupin vcpu='4' cpuset='7'/>
        <vcpupin vcpu='5' cpuset='10'/>
        <vcpupin vcpu='6' cpuset='8'/>
        <vcpupin vcpu='7' cpuset='11'/>
        <emulatorpin cpuset='6,9'/>
      </cputune>
    3. 1 GiB の Huge Page を使用するように仮想マシンを設定します。

      <memoryBacking>
        <hugepages>
          <page size='1' unit='GiB'/>
        </hugepages>
      </memoryBacking>
    4. ホスト上で対応する NUMA ノードからメモリーを使用するように、仮想マシンの NUMA ノードを設定します。これを行うには、<numatune/> セクションの <memnode/> 要素を使用します。

      <numatune>
        <memory mode="preferred" nodeset="1"/>
        <memnode cellid="0" mode="strict" nodeset="0"/>
        <memnode cellid="1" mode="strict" nodeset="1"/>
      </numatune>
    5. CPU モードが host-passthrough に設定され、CPU が passthrough モードでキャッシュを使用していることを確認します。

      <cpu mode="host-passthrough">
        <topology sockets="2" cores="2" threads="2"/>
        <cache mode="passthrough"/>

検証

  1. 仮想マシンの XML 設定に、以下のようなセクションが含まれていることを確認します。

    [...]
      <memoryBacking>
        <hugepages>
          <page size='1' unit='GiB'/>
        </hugepages>
      </memoryBacking>
      <vcpu placement='static'>8</vcpu>
      <cputune>
        <vcpupin vcpu='0' cpuset='1'/>
        <vcpupin vcpu='1' cpuset='4'/>
        <vcpupin vcpu='2' cpuset='2'/>
        <vcpupin vcpu='3' cpuset='5'/>
        <vcpupin vcpu='4' cpuset='7'/>
        <vcpupin vcpu='5' cpuset='10'/>
        <vcpupin vcpu='6' cpuset='8'/>
        <vcpupin vcpu='7' cpuset='11'/>
        <emulatorpin cpuset='6,9'/>
      </cputune>
      <numatune>
        <memory mode="preferred" nodeset="1"/>
        <memnode cellid="0" mode="strict" nodeset="0"/>
        <memnode cellid="1" mode="strict" nodeset="1"/>
      </numatune>
      <cpu mode="host-passthrough">
        <topology sockets="2" cores="2" threads="2"/>
        <cache mode="passthrough"/>
        <numa>
          <cell id="0" cpus="0-3" memory="2" unit="GiB">
            <distances>
              <sibling id="0" value="10"/>
              <sibling id="1" value="21"/>
            </distances>
          </cell>
          <cell id="1" cpus="4-7" memory="2" unit="GiB">
            <distances>
              <sibling id="0" value="21"/>
              <sibling id="1" value="10"/>
            </distances>
          </cell>
        </numa>
      </cpu>
    </domain>
  2. (必要に応じて) アプリケーションツールおよびユーティリティー を使用して仮想マシンのパフォーマンスをテストし、仮想マシンの最適化への影響を評価します。

トポロジーの例

  • 以下の表は、ピニングされる必要のある vCPU とホスト CPU 間の接続を示しています。

    表16.1 ホストトポロジー

    CPU スレッド

    0

    3

    1

    4

    2

    5

    6

    9

    7

    10

    8

    11

    コア

    0

    1

    2

    3

    4

    5

    ソケット

    0

    1

    NUMA ノード

    0

    1

    表16.2 仮想マシントポロジー

    vCPU スレッド

    0

    1

    2

    3

    4

    5

    6

    7

    コア

    0

    1

    2

    3

    ソケット

    0

    1

    NUMA ノード

    0

    1

    表16.3 ホストと仮想マシントポロジーの組み合わせ

    vCPU スレッド

     

    0

    1

    2

    3

     

    4

    5

    6

    7

    ホストの CPU スレッド

    0

    3

    1

    4

    2

    5

    6

    9

    7

    10

    8

    11

    コア

    0

    1

    2

    3

    4

    5

    ソケット

    0

    1

    NUMA ノード

    0

    1

    このシナリオでは、2 つの NUMA ノードと 8 つの vCPU があります。したがって、4 つの vCPU スレッドは各ノードに固定 (ピニング) される必要があります。

    また、Red Hat では、ホストシステムの操作のために、各ノードで少なくとも 1 つの CPU スレッドを使用できるようにしておくことを推奨します。

    以下の例では、NUMA ノードにはそれぞれ 3 コアで、2 個のホスト CPU スレッドがあるため、ノード 0 のセットは、以下のように変換できます。

    <vcpupin vcpu='0' cpuset='1'/>
    <vcpupin vcpu='1' cpuset='4'/>
    <vcpupin vcpu='2' cpuset='2'/>
    <vcpupin vcpu='3' cpuset='5'/>

16.5.5. Kernel Same-page Merging の無効化

Kernel same-page merging (KSM) はメモリーの密度を向上させますが、CPU 使用率が増え、ワークロードによっては全体のパフォーマンスに悪影響を与える可能性があります。このような場合には、KSM を無効にすることで、仮想マシンのパフォーマンスを向上させることができます。

要件に応じて、KSM を 1 回のセッションだけ無効にしたり、永続的に無効にしたりできます。

手順

  • KSM をセッション 1 回分無効にするには、systemctl ユーティリティーを使用して ksm サービスおよび ksmtuned サービスを停止します。

    # systemctl stop ksm
    
    # systemctl stop ksmtuned
  • KSM を永続的に無効にするには、systemctl ユーティリティーを使用して ksm サービスおよび ksmtuned サービスを無効にします。

    # systemctl disable ksm
    Removed /etc/systemd/system/multi-user.target.wants/ksm.service.
    # systemctl disable ksmtuned
    Removed /etc/systemd/system/multi-user.target.wants/ksmtuned.service.
注記

KSM を無効にする前に仮想マシン間で共有されていたメモリーページは、そのまま共有されます。共有を停止するには、以下のコマンドを使用して、システムの PageKSM ページをすべて削除します。

# echo 2 > /sys/kernel/mm/ksm/run

KSM ページを匿名ページに置き換えると、khugepaged カーネルサービスは仮想マシンの物理メモリーに透過的なヒュージページを再ビルドします。

16.6. 仮想マシンのネットワークパフォーマンスの最適化

仮想マシンのネットワークインターフェイスカード (NIC) の性質上、仮想マシンは、割り当てられているホストネットワークの帯域幅の一部を失います。これにより、仮想マシンの全体的なワークロード効率が削減されることがあります。以下のヒントは、仮想 NIC (vNIC) のスループットで仮想化の影響を最小限に抑えることができます。

手順

以下の方法のいずれかを使用し、仮想マシンのネットワークパフォーマンスにメリットがあるかどうかを調べます。

vhost_net モジュールの有効化

ホストで vhost_net カーネル機能が有効になっていることを確認します。

# lsmod | grep vhost
vhost_net              32768  1
vhost                  53248  1 vhost_net
tap                    24576  1 vhost_net
tun                    57344  6 vhost_net

このコマンドの出力が空白である場合は、vhost_net カーネルモジュールを有効にします。

# modprobe vhost_net
マルチキュー virtio-net の設定

仮想マシンに マルチキュー virtio-net 機能を設定するには、virsh edit コマンドを使用して、仮想マシンの XML 設定を編集します。XML で、以下を <devices> セクションに追加し、N を、仮想マシンの vCPU 数 (最大 16) に変更します。

<interface type='network'>
      <source network='default'/>
      <model type='virtio'/>
      <driver name='vhost' queues='N'/>
</interface>

仮想マシンが実行中の場合は、再起動して変更を適用します。

ネットワークパケットのバッチ処理

転送パスが長い Linux の仮想マシン設定では、パケットをバッチ処理してからカーネルに送信することで、キャッシュが有効に活用される場合があります。パケットバッチ機能を設定するには、ホストで次のコマンドを実行し、tap0 を、仮想マシンが使用するネットワークインターフェイスの名前に置き換えます。

# ethtool -C tap0 rx-frames 64
SR-IOV
ホスト NIC が SR-IOV に対応している場合は、vNIC に SR-IOV デバイス割り当てを使用します。詳しくは、Managing SR-IOV devices を参照してください。

16.7. 仮想マシンのパフォーマンス監視ツール

最も多くの仮想マシンリソースを消費するものと、仮想マシンで最適化を必要とする部分を認識するために、一般的なパフォーマンス診断ツールや仮想マシン固有のパフォーマンス診断ツールを使用できます。

デフォルトの OS パフォーマンス監視ツール

標準のパフォーマンス評価には、ホストおよびゲストのオペレーティングシステムでデフォルトで提供されるユーティリティーを使用できます。

  • RHEL 8 ホストで、root として top ユーティリティーまたは システムモニター アプリケーションを使用し、出力結果から qemuvirt を見つけます。これは、仮想マシンが消費しているホストシステムのリソースのサイズを示します。

    • 監視ツールにおいて、qemu プロセスまたは virt プロセスのいずれかで、ホストの CPU またはメモリーの容量を大幅に消費していることが示されている場合は、perf ユーティリティーを使用して調査を行います。詳細は以下を参照してください。
    • また、vhost_net スレッドプロセス (例: vhost_net-1234) が、ホストの CPU 容量を過剰に消費する際に表示される場合は、multi-queue virtio-net などの 仮想ネットワークの最適化機能 を使用することを検討してください。
  • ゲストオペレーティングシステムでは、システムで利用可能なパフォーマンスユーティリティーとアプリケーションを使用して、どのプロセスが最も多くのシステムリソースを消費するかを評価します。

    • Linux システムでは、top ユーティリティーを使用できます。
    • Windows システムでは、Task Manager アプリケーションを使用できます。

perf kvm

perf ユーティリティーを使用して、RHEL 8 ホストのパフォーマンスに関する仮想化固有の統計を収集および分析できます。これを行うには、以下を行います。

  1. ホストに、perf パッケージをインストールします。

    # yum install perf
  2. perf kvm stat コマンドの 1 つを使用して、仮想化ホストの perf 統計を表示します。

    • お使いのハイパーバイザーのリアルタイム監視には、perf kvm stat live コマンドを使用します。
    • 一定期間でハイパーバイザーの perf データをログに記録するには、perf kvm stat record コマンドを使用してロギングを有効にします。コマンドをキャンセルまたは中断した後、データは perf.data.guest ファイルに保存されます。これは、perf kvm stat report コマンドを使用して分析できます。
  3. VM-EXIT イベントとそのディストリビューションのタイプについて perf 出力を分析します。たとえば、PAUSE_INSTRUCTION イベントは頻繁に存在すべきではありませんが、以下の出力では、このイベントが頻繁に現れ、ホスト CPU が vCPU を適切に処理していないことを示しています。このようなシナリオでは、アクティブな一部の仮想マシンの電源オフ、その仮想マシンからの vCPU の削除、または vCPU のパフォーマンスの調整 を検討してください。

    # perf kvm stat report
    
    Analyze events for all VMs, all VCPUs:
    
    
                 VM-EXIT    Samples  Samples%     Time%    Min Time    Max Time         Avg time
    
      EXTERNAL_INTERRUPT     365634    31.59%    18.04%      0.42us  58780.59us    204.08us ( +-   0.99% )
               MSR_WRITE     293428    25.35%     0.13%      0.59us  17873.02us      1.80us ( +-   4.63% )
        PREEMPTION_TIMER     276162    23.86%     0.23%      0.51us  21396.03us      3.38us ( +-   5.19% )
       PAUSE_INSTRUCTION     189375    16.36%    11.75%      0.72us  29655.25us    256.77us ( +-   0.70% )
                     HLT      20440     1.77%    69.83%      0.62us  79319.41us  14134.56us ( +-   0.79% )
                  VMCALL      12426     1.07%     0.03%      1.02us   5416.25us      8.77us ( +-   7.36% )
           EXCEPTION_NMI         27     0.00%     0.00%      0.69us      1.34us      0.98us ( +-   3.50% )
           EPT_MISCONFIG          5     0.00%     0.00%      5.15us     10.85us      7.88us ( +-  11.67% )
    
    Total Samples:1157497, Total events handled time:413728274.66us.

    perf kvm stat の出力で問題を知らせる他のイベントタイプには、以下が含まれます。

perf を使用した仮想化パフォーマンスを監視する方法は、perf-kvm man ページを参照してください。

numastat

システムの現在の NUMA 設定を表示するには、numastat ユーティリティーを使用できます。これは numactl パッケージをインストールすることで利用できます。

以下は、4 つの実行中の仮想マシンが含まれるホストを示しています。それぞれは、複数の NUMA ノードからメモリーを取得しています。これは、vCPU のパフォーマンスに対して最適なのではなく、保証調整 です。

# numastat -c qemu-kvm

Per-node process memory usage (in MBs)
PID              Node 0 Node 1 Node 2 Node 3 Node 4 Node 5 Node 6 Node 7 Total
---------------  ------ ------ ------ ------ ------ ------ ------ ------ -----
51722 (qemu-kvm)     68     16    357   6936      2      3    147    598  8128
51747 (qemu-kvm)    245     11      5     18   5172   2532      1     92  8076
53736 (qemu-kvm)     62    432   1661    506   4851    136     22    445  8116
53773 (qemu-kvm)   1393      3      1      2     12      0      0   6702  8114
---------------  ------ ------ ------ ------ ------ ------ ------ ------ -----
Total              1769    463   2024   7462  10037   2672    169   7837 32434

一方、以下では、1 つのノードで各仮想マシンに提供されているメモリーを示しています。これは、より一層効率的です。

# numastat -c qemu-kvm

Per-node process memory usage (in MBs)
PID              Node 0 Node 1 Node 2 Node 3 Node 4 Node 5 Node 6 Node 7 Total
---------------  ------ ------ ------ ------ ------ ------ ------ ------ -----
51747 (qemu-kvm)      0      0      7      0   8072      0      1      0  8080
53736 (qemu-kvm)      0      0      7      0      0      0   8113      0  8120
53773 (qemu-kvm)      0      0      7      0      0      0      1   8110  8118
59065 (qemu-kvm)      0      0   8050      0      0      0      0      0  8051
---------------  ------ ------ ------ ------ ------ ------ ------ ------ -----
Total                 0      0   8072      0   8072      0   8114   8110 32368

第17章 Windows 仮想マシンのインストールおよび管理

RHEL 8 ホスト上の仮想マシンでゲストオペレーティングシステムとして Microsoft Windows を使用するには、この仮想マシンが正しく実行されるように追加の手順を実行することが推奨されます。

このため、以下のセクションでは、ホストマシンに Windows 仮想マシンをインストールし、最適化する方法を説明します。また、Windows 仮想マシンにドライバーをインストールし、設定する方法を説明します。

17.1. Windows 仮想マシンのインストール

RHEL 8 ホストに完全仮想化 Windows マシンを作成し、仮想マシン内でグラフィカル Windows インストーラーを起動して、インストールした Windows ゲストオペレーティングシステム (OS) を最適化できます。

仮想マシンを作成し、Windows ゲスト OS をインストールするには、virt-install コマンドまたは RHEL 8 Web コンソールを使用します。

前提条件

  • ローカルまたはネットワークで利用可能な OS のインストールソースがある。次のいずれかになります。

    • インストールメディアの ISO イメージ
    • 既存の仮想マシンインストールのディスクイメージ
  • KVM virtio ドライバーを備えた記憶媒体がある。

    このメディアを作成するには、Preparing virtio driver installation media on a host machine 参照してください。

  • Windows 11 をインストールする場合は、edk2-ovmf パッケージ、swtpm パッケージ、および libtpms パッケージをホストにインストールする必要があります。

手順

  1. 仮想マシンを作成します。手順については、仮想マシンの作成 を参照してください。ただし、次の詳細に注意してください。

    • virt-install ユーティリティーを使用して仮想マシンを作成する場合は、次のオプションをコマンドに追加します。

      • KVM virtio ドライバーを備えた記憶媒体。以下に例を示します。

        --disk path=/usr/share/virtio-win/virtio-win.iso,device=cdrom
      • インストールする Windows バージョン。たとえば、Windows 10 および 11 の場合は、以下のようになります。

        --os-variant win10

        Windows のバージョンと、適切なオプションのリストを表示するには、次のコマンドを実行します。

        # osinfo-query os
      • Windows 11 をインストールする場合は、Unified Extensible Firmware Interface (UEFI) および 仮想 Trusted Platform Module (vTPM) を有効にします。

        --boot uefi --tpm model=tpm-crb,backend.type=emulator,backend.version=2.0
    • Web コンソールを使用して仮想マシンを作成する場合は、仮想マシンの新規作成 画面の オペレーティングシステム フィールドで Windows のバージョンを指定します。

      • Windows 11 および Windows Server 2022 より前のバージョンの Windows をインストールする場合は、Create and run をクリックしてインストールを開始します。
      • Windows 11 をインストールする場合、または追加の Windows Server 2022 機能を使用する場合は、Create and edit をクリックして確認し、CLI を使用して UEFI および vTPM を有効にします。

        1. 仮想マシンの XML 設定を開きます。

          # virsh edit windows-vm
        2. firmware='efi' オプションを os 要素に追加します。

          <os firmware='efi'>
            <type arch='x86_64' machine='pc-q35-6.2'>hvm</type>
            <boot dev='hd'/>
          </os>
        3. devices 要素内に tpm デバイスを追加します。

          <devices>
            <tpm model='tpm-crb'>
              <backend type='emulator' version='2.0'/>
            </tpm>
          </devices>
        4. Virtual machines テーブルで Install をクリックして、Windows のインストールを開始します。
  2. 仮想マシンに Windows OS をインストールします。

    Windows オペレーティングシステムのインストール方法は、関連する Microsoft インストールドキュメントを参照してください。

  3. Web コンソールを使用して仮想マシンを作成する場合は、Disks インターフェイスを使用して、virtio ドライバーを含むストレージメディアを仮想マシンに接続します。手順は、Attaching existing disks to virtual machines using the web console を参照してください。
  4. Windows ゲスト OS で、KVM virtio ドライバーを設定します。詳細は、Installing KVM paravirtualized drivers for Windows virtual machines を参照してください。

17.2. Windows 仮想マシンの最適化

RHEL 8 でホストされる仮想マシンで Microsoft Windows をゲストオペレーティングシステムとして使用すると、ゲストのパフォーマンスが悪影響を受ける可能性があります。

そのため、Red Hat は、以下のいずれかを組み合わせて実行して Windows 仮想マシンを最適化することを推奨しています。

17.2.1. Windows 仮想マシン用の KVM 準仮想化ドライバーのインストール

Windows 仮想マシンのパフォーマンスを改善する主な方法は、Windows 用の KVM 準仮想化 (virtio) ドライバーをゲストオペレーティングシステムにインストールすることです。

注記

virtio-win ドライバーは、各 virtio-win リリースの時点で利用可能な Windows 10 および 11 の最新リリースに対して認定 (WHQL) されています。ただし、virtio-win ドライバーは広くテストされており、Windows 10 および 11 の以前のビルドでも正しく機能することが期待されます。

Windows VM にドライバーをインストールするには、次の操作を実行します。

  1. ホストマシンにインストールメディアを準備します。詳細は、Preparing virtio driver installation media on a host machine を参照してください。
  2. インストールメディアを既存の Windows 仮想マシンに接続するか、新しい Windows 仮想マシンを作成するときに接続します。詳細については、RHEL への Windows 仮想マシンのインストール を参照してください。
  3. Windows ゲストオペレーティングシステムに virtio ドライバーをインストールします。詳細は、Installing virtio drivers on a Windows guest を参照してください。
  4. QEMU Guest Agent を Windows ゲストオペレーティングシステムにインストールします。詳細は、Windows ゲストへの QEMU ゲストエージェントのインストール を参照してください。

17.2.1.1. Windows virtio ドライバーの仕組み

準仮想化ドライバーは仮想マシンのパフォーマンスを向上し、I/O レイテンシーを下げ、ベアメタルレベルまでスループットを増加させます。Red Hat は、I/O 負荷の高いタスクとアプリケーションを実行する仮想マシンには、準仮想化ドライバーを使用することを推奨します。

virtio ドライバーは、KVM ホストで実行する Windows 仮想マシンで利用可能な、KVM の準仮想化デバイスドライバーです。これらのドライバーは、virtio-win パッケージにより提供されます。これには、以下のドライバーが含まれます。

  • ブロック (ストレージ) デバイス
  • ネットワークインターフェイスコントローラー
  • ビデオコントローラー
  • メモリーバルーニングデバイス
  • 準仮想化シリアルポートデバイス
  • エントロピーソースデバイス
  • 準仮想化パニックデバイス
  • マウス、キーボード、タブレットなどの入力デバイス
  • エミュレートされたデバイスの小規模セット
注記

エミュレートされたデバイス、virtio デバイス、および割り当てられたデバイスの詳細は、仮想デバイスの管理 を参照してください。

KVM の virtio ドライバーを使用すると、以下の Microsoft Windows バージョンが、物理システムと同様のバージョンのように動作することが見込まれます。

17.2.1.2. ホストマシンでの virtio ドライバーインストールメディアの準備

KVM virtio ドライバーを Windows 仮想マシン (VM) にインストールまたは更新するには、最初にホストマシンで virtio ドライバーインストールメディアを準備する必要があります。これを行うには、virtio-win パッケージで提供される .iso ファイルをストレージデバイスとして Windows VM に接続します。

前提条件

  • RHEL 8 ホストシステムで仮想化が有効になっていることを確認する。詳細は、Enabling virtualization を参照してください。
  • 仮想マシンへのルートアクセス権限があることを確認します。

手順

  1. サブスクリプションデータを更新します。

    # subscription-manager refresh
    All local data refreshed
  2. virtio-win パッケージの最新バージョンを入手します。

    • virtio-win がインストールされていない場合:

      # yum install -y virtio-win
    • virtio-win がインストールされている場合:

      # yum upgrade -y virtio-win

      インストールが成功すると、virtio-win ドライバーファイルが /usr/share/virtio-win/ ディレクトリーで使用可能になります。これには、ISO ファイルと、ディレクトリーにドライバーファイルを持つ drivers ディレクトリー (各アーキテクチャーと対応している Windows バージョン用のファイル) が含まれます。

      # ls /usr/share/virtio-win/
      drivers/  guest-agent/  virtio-win-1.9.9.iso  virtio-win.iso
  3. virtio-win.iso ファイルをストレージデバイスとして Windows VM に接続します。

    • 新しい Windows VM を作成する ときは、virt-install コマンドオプションを使用してファイルをアタッチします。
    • 既存の Windows VM にドライバーをインストールする場合は、virt-xml ユーティリティーを使用してファイルを CD-ROM としてアタッチします。

      # virt-xml WindowsVM --add-device --disk virtio-win.iso,device=cdrom
      Domain 'WindowsVM' defined successfully.

17.2.1.3. Windows ゲストへの virtio ドライバーのインストール

KVM virtio ドライバーを Windows ゲストオペレーティングシステムにインストールするには、ドライバーを含むストレージデバイスを (仮想マシン (VM) の作成時または作成後に) 追加し、Windows ゲストオペレーティングシステムにドライバーをインストールする必要があります。

この手順では、グラフィカルインターフェイスを使用してドライバーをインストールする手順を説明します。Microsoft Windows インストーラー (MSI) コマンドラインインターフェイスを使用することもできます。

前提条件

手順

  1. Windows ゲストオペレーティングシステムで、File Explorer アプリケーションを開きます。
  2. この PC をクリックします。
  3. デバイスおよびドライブ ペインで、virtio-win メディアを開きます。
  4. 仮想マシンにインストールされているオペレーティングシステムに基づいて、次のいずれかのインストーラーを実行します。

    • 32 ビットオペレーティングシステムを使用している場合は、virtio-win-gt-x86.msi インストーラーを実行します。
    • 64 ビットオペレーティングシステムを使用している場合は、virtio-win-gt-x64.msi インストーラーを実行します。
  5. 表示された Virtio-win-driver-installer セットアップウィザードで、表示される指示に従い、Custom Setup ステップまで進みます。

    Virtio-win-guest-tools セットアップウィザードを表示しているイメージ。
  6. カスタムセットアップ画面で、インストールするデバイスドライバーを選択します。推奨されるドライバーセットが自動的に選択され、ドライバーの説明がリストの右側に表示されます。
  7. 次へ をクリックして、インストール をクリックします。
  8. インストールが完了したら、完了 をクリックします。
  9. 仮想マシンを再起動してドライバーのインストールを完了します。

検証

  1. Windows 仮想マシンで、Device Manager に移動します。

    1. Start をクリックします。
    2. Device Manager を検索します。
  2. デバイスが正しいドライバーを使用していることを確認します。

    1. デバイスをクリックして Driver Properties ウィンドウを開きます。
    2. Driver タブに移動します。
    3. Driver Details をクリックします。

次のステップ

  • NetKVM ドライバーをインストールした場合は、Windows ゲストのネットワークパラメーターの設定も必要になる場合があります。詳細は、Configuring NetKVM driver parameters を参照してください。

17.2.1.4. Windows ゲストでの virtio ドライバーの更新

Windows ゲストオペレーティングシステム (OS) で KVM virtio ドライバーを更新するには、Windows OS バージョンがサポートしている場合、Windows Update サービスを使用できます。そうでない場合は、Windows 仮想マシン (VM) に接続されている virtio ドライバーインストールメディアからドライバーを再インストールします。

前提条件

手順 1: Windows Update を使用してドライバーを更新する

Windows 10、Windows Server 2016 以降のオペレーティングシステムでは、Windows Update グラフィカルインターフェイスを使用して、ドライバーの更新が利用可能かどうかを確認します。

  1. Windows 仮想マシンを起動し、ゲスト OS にログインします。
  2. Optional updates ページに移動します。

    Settings → Windows Update → Advanced options → Optional updates

  3. Red Hat, Inc. からのすべての更新をインストールします。

手順 2: ドライバーを再インストールして更新する

Windows 10 および Windows Server 2016 より前のオペレーティングシステムの場合、または OS が Windows Update にアクセスできない場合は、ドライバーを再インストールします。これにより、Windows ゲスト OS のネットワーク設定がデフォルト (DHCP) に復元されます。カスタマイズしたネットワーク設定を保持する場合は、バックアップを作成し、netsh ユーティリティーを使用して復元する必要もあります。

  1. Windows 仮想マシンを起動し、ゲスト OS にログインします。
  2. Windows コマンドプロンプトを開きます。

    1. Super+R キーボードショートカットを使用します。
    2. 表示されるウィンドウで、cmd と入力し、Ctrl+Shift+Enter を押して管理者として実行します。
  3. Windows コマンドプロンプトを使用して、OS ネットワーク設定をバックアップします。

    C:\WINDOWS\system32\netsh dump > backup.txt
  4. 付属のインストールメディアから KVM virtio ドライバーを再インストールします。次のいずれかを行います。

    • Windows コマンドプロンプトを使用してドライバーを再インストールします。ここで、X はインストールメディアのドライブ文字です。次のコマンドは、すべての virtio ドライバーをインストールします。

      • 64 ビット vCPU を使用している場合:

        C:\WINDOWS\system32\msiexec.exe /i X:\virtio-win-gt-x64.msi /passive /norestart
      • 32 ビット vCPU を使用している場合:

        C:\WINDOWS\system32\msiexec.exe /i X:\virtio-win-gt-x86.msi /passive /norestart
    • VM を再起動せずに、グラフィカルインターフェイスを使用して ドライバーを再インストールします。
  5. Windows コマンドプロンプトを使用して、OS ネットワーク設定を復元します。

    C:\WINDOWS\system32\netsh -f backup.txt
  6. 仮想マシンを再起動してドライバーのインストールを完了します。

17.2.1.5. Windows ゲストへの QEMU ゲストエージェントのインストール

ホストが Windows 仮想マシン (VM) 上でさまざまな操作を実行できるようにするには、QEMU ゲストエージェントをインストールします。これを行うには、QEMU ゲストエージェントインストーラーを含むストレージデバイスを、既存の仮想マシンに追加するか、新しい仮想マシンを作成するときに追加し、Windows ゲストオペレーティングシステムにドライバーをインストールします。

この手順では、グラフィカルインターフェイスを使用してゲストエージェントをインストールする手順を説明します。Microsoft Windows インストーラー (MSI) コマンドラインインターフェイスを使用することもできます。

前提条件

手順

  1. Windows ゲストオペレーティングシステムで、File Explorer アプリケーションを開きます。
  2. この PC をクリックします。
  3. デバイスおよびドライブ ペインで、virtio-win メディアを開きます。
  4. guest-agent フォルダーを開きます。
  5. 仮想マシンにインストールされているオペレーティングシステムに基づいて、次のいずれかのインストーラーを実行します。

    • 32 ビットオペレーティングシステムを使用している場合は、qemu-ga-i386.msi インストーラーを実行します。
    • 64 ビットオペレーティングシステムを使用している場合は、qemu-ga-x86_64.msi インストーラーを実行します。

検証

  1. Windows 仮想マシンで、Services ウィンドウに移動します。

    Computer Management > Services

  2. QEMU ゲストエージェントサービスの StatusRunning であることを確認します。

17.2.2. Hyper-V Enlightenment の有効化

Hyper-V Enlightenment では、KVM が Microsoft Hyper-V ハイパーバイザーをエミュレートするための方法を利用できます。これにより、Windows 仮想マシンのパフォーマンスが向上します。

以下のセクションは、対応している Hyper-V Enlightenment と、その有効化に関する情報を提供します。

17.2.2.1. Windows 仮想マシンでの Hyper-V Englightenment の有効化

Hyper-V Enlightenment により、RHEL 8 ホストで実行している Windows 仮想マシン (VM) でパフォーマンスが向上します。それを有効にする方法は、次を参照してください。

手順

  1. virsh edit コマンドを使用して、仮想マシンの XML 設定を表示します。以下に例を示します。

    # virsh edit windows-vm
  2. XML の <features> セクションに、以下の <hyperv> サブセクションを追加します。

    <features>
      [...]
      <hyperv>
        <relaxed state='on'/>
        <vapic state='on'/>
        <spinlocks state='on' retries='8191'/>
        <vpindex state='on'/>
        <runtime state='on' />
        <synic state='on'/>
        <stimer state='on'>
          <direct state='on'/>
        </stimer>
        <frequencies state='on'/>
      </hyperv>
      [...]
    </features>

    XML に <hyperv> サブセクションが含まれている場合は、上記のように変更します。

  3. 以下のように、設定の クロック セクションを変更します。

    <clock offset='localtime'>
      ...
      <timer name='hypervclock' present='yes'/>
    </clock>
  4. XML 設定を保存して終了します。
  5. 仮想マシンが実行中の場合は再起動します。

検証

  • virsh dumpxml コマンドを使用して、実行中の仮想マシンの XML 設定を表示します。次のセグメントが含まれている場合は、Hyper-V Enlightenment が仮想マシンで有効になります。

    <hyperv>
      <relaxed state='on'/>
      <vapic state='on'/>
      <spinlocks state='on' retries='8191'/>
      <vpindex state='on'/>
      <runtime state='on' />
      <synic state='on'/>
      <stimer state='on'>
        <direct state='on'/>
      </stimer>
      <frequencies state='on'/>
    </hyperv>
    
    <clock offset='localtime'>
      ...
      <timer name='hypervclock' present='yes'/>
    </clock>

17.2.2.2. 設定可能な Hyper-V Enlightenment

特定の Hyper-V 機能を設定して Windows 仮想マシンを最適化できます。以下の表では、設定可能な Hyper-V 機能およびその値に関する情報を提供します。

表17.1 設定可能な Hyper-V 機能

Enlightenment説明

crash

仮想マシンがクラッシュした場合に、情報とログを保存するために使用できる MSR を仮想マシンに提供します。QEMU ログの情報を利用できます。

注記

hv_crash が有効になっている場合、Windows クラッシュダンプは作成されません。

on、off

evmcs

L0 (KVM) と L1 (Hyper-V) ハイパーバイザーとの間で準仮想化プロトコルを実装し、L2 を終了してハイパーバイザーに移動する時間を短縮できます。

注記

この機能は Intel プロセッサーのみを対象とします。

on、off

frequencies

Hyper-V 周波数 MSR (Machine Specific Registeres) を有効にします。

on、off

ipi

IPI (準仮想化された相互プロセッサー割り込み) サポートを有効にします。

on、off

no-nonarch-coresharing

仮想プロセッサーが SMT シブリングスレッドとして報告されない限り、物理コアを共有しないように、ゲスト OS に指示します。この情報は、SMT (同時マルチスレッド) に関連する CPU の脆弱性を適切に軽減するために、Windows および Hyper-V ゲストで必要です。

on、off、auto

reenlightenment

タイムスタンプカウンター (TSC) 周波数の変更がある場合に (移行時のみ) 通知します。新しい周波数に切替える準備ができるまで、ゲストでそのまま以前の周波数を使用することも可能です。

on、off

relaxed

仮想マシンを高負荷のホストで実行すると、一般的に BSOD に陥る Windows のサニティーチェックを無効化します。これは、Linux カーネルオプション no_timer_check と似ています。これは、Linux が KVM で実行している場合に自動的に有効になります。

on、off

runtime

ゲストコードの実行に費やすプロセッサー時間および、ゲストコードの代わりに費やすプロセッサー時間を設定します。

on、off

spinlocks

  • 仮想マシンのオペレーティングシステムによって使用され、呼び出し仮想プロセッサーが同じパーティション内の別の仮想プロセッサーで保持する可能性があるリソースを取得することを Hyper-V に通知します。
  • Hyper-V に過度のスピン状況を示す前に、スピンロックの取得が施行されるべき回数についてを仮想マシンのオペレーティングシステムに示すために Hyper-V によって使用されます。

on、off

stimer

仮想プロセッサーの合成タイマーを有効にします。この Enlightenment が指定されない場合には、特定の Windows バージョンが、HPET (HPET が利用できない場合には RTC も使用) を使用するように戻るため、仮想 CPU がアイドル状態であっても、CPU の消費量が大幅に消費される可能性があることに注意してください。

on、off

stimer-direct

有効期限イベントが通常の割り込みで配信されると合成タイマーを有効にします。

on、off

synic

stimer とともに、synic タイマーをアクティブにします。Windows 8 では、この機能は定期的なモードで使用します。

on、off

時間

仮想マシンでできるように、以下の Hyper-V 固有のクロックソースを有効にします。

  • MSR ベースの 82 Hyper-V クロックソース (HV_X64_MSR_TIME_REF_COUNT, 0x40000020)
  • MSR で有効にされる Reference TSC 83 ページ (HV_X64_MSR_REFERENCE_TSC, 0x40000021)

on、off

tlbflush

仮想プロセッサーの TLB をフラッシュします。

on、off

vapic

仮想 APIC を有効にして、高負荷のメモリーマッピングされた APIC (Advanced Programmable Interrupt Controller) レジスターへのアクセラレート MSR アクセスを提供します。

on、off

vendor_id

Hyper-V ベンダー ID を設定します。

  • on、off
  • ID 値: 文字列 (最大 12 文字)

vpindex

仮想プロセッサーのインデックスを有効にします。

on、off

17.2.3. NetKVM ドライバーパラメーターの設定

NetKVM ドライバーをインストールした後は、ご使用の環境に応じて設定を行うことができます。次の手順にリストされているパラメーターは、Windows デバイスマネージャー (devmgmt.msc) を使用して設定できます。

重要

ドライバーのパラメーターを変更すると、Windows はそのドライバーを再読み込みします。これにより、既存のネットワークアクティビティーが中断します。

前提条件

手順

  1. Windows デバイスマネージャーを開きます。

    Device Manager を開く方法は、Windows のドキュメントを参照してください。

  2. Red Hat VirtIO Ethernet Adapter を見つけます。

    1. Device Manager 画面で、Network アダプターの隣にある + をクリックします。
    2. ネットワークアダプターのリストの下で、Red Hat VirtIO Ethernet Adapter をダブルクリックします。

      デバイスの プロパティー ウィンドウが開きます。

  3. デバイスパラメーターを表示します。

    プロパティー ウィンドウで、詳細設定 タブをクリックします。

  4. デバイスパラメーターを変更します。

    1. 変更するパラメーターをクリックします。

      そのパラメーターのオプションが表示されます。

    2. 必要に応じてオプションを変更します。

      NetKVM パラメーターオプションの詳細は、NetKVM ドライバーパラメーター を参照してください。

    3. OK をクリックして変更を保存します。

17.2.4. NetKVM ドライバーパラメーター

次の表に、設定可能な NetKVM ドライバーのロギングパラメーターに関する情報を示します。

表17.2 ロギングパラメーター

パラメーター説明 2

logging.Enable

ロギングが有効であるかどうかを決定するブール値。デフォルト値は Enabled です。

logging.Level

ロギングレベルを定義する整数。この整数を高くすると、ログの詳細度が上がります。

  • デフォルト値は 0 (エラーのみ) です。
  • 1-2 は設定メッセージを追加します。
  • 3-4 は、パケットフロー情報を追加します。
  • 5-6 は割り込みおよび DPC レベルのトレース情報を追加します。
注記

ロギングレベルが高くなると、仮想マシンの速度が低下します。

次の表に、設定可能な NetKVM ドライバーの初期パラメーターに関する情報を示します。

表17.3 初期パラメーター

パラメーター説明

Assign MAC

準仮想化 NIC のローカル管理 MAC アドレスを定義する文字列。これはデフォルトでは設定されません。

Init.Do802.1PQ

Priority/VLAN タグポピュレーションと削除サポートを有効にするブール値。デフォルト値は Enabled です。

Init.MaxTxBuffers

割り当てられた TX リング記述子の数を表す整数。この値は、QEMU の Tx キューのサイズによって制限されます。

デフォルト値は 1024 です。

有効な値は、16、32、64、128、256、512、1024 です。

Init.MaxRxBuffers

割り当てられた RX リング記述子の数を表す整数。この値は、QEMU の Tx キューのサイズによって制限されます。

デフォルト値は 1024 です。

有効な値は、16、32、64、128、256、512、1024、2048、および 4096 です。

Offload.Tx.Checksum

TX チェックサムオフロード機能を指定します。

Red Hat Enterprise Linux 8 では、このパラメーターの有効な値は次のとおりです。

  • IPv4 と IPv6 の両方で IP、TCP、および UDP チェックサムオフロードを有効にする All (デフォルト)
  • IPv4 と IPv6 の両方で TCP および UDP チェックサムオフロードを有効にする TCP/UDP (v4,v6)
  • IPv4 でのみ TCP および UDP チェックサムオフロードを有効にする TCP/UDP (v4)
  • IPv4 でのみ TCP (v4) チェックサムオフロードを有効にする TCP (v4)

Offload.Rx.Checksum

RX チェックサムオフロード機能を指定します。

Red Hat Enterprise Linux 8 では、このパラメーターの有効な値は次のとおりです。

  • IPv4 と IPv6 の両方で IP、TCP、および UDP チェックサムオフロードを有効にする All (デフォルト)
  • IPv4 と IPv6 の両方で TCP および UDP チェックサムオフロードを有効にする TCP/UDP (v4,v6)
  • IPv4 でのみ TCP および UDP チェックサムオフロードを有効にする TCP/UDP (v4)
  • IPv4 でのみ TCP (v4) チェックサムオフロードを有効にする TCP (v4)

Offload.Tx.LSO

TX ラージセグメントオフロード (LSO) 機能を指定します。

Red Hat Enterprise Linux 8 では、このパラメーターの有効な値は次のとおりです。

  • TCPv4 と TCPv6 の両方で LSO オフロードを有効にする Maximal (デフォルト)
  • TCPv4 でのみ LSO オフロードを有効にする IPv4
  • LSO オフロードを無効にする Disable

MinRxBufferPercent

RX キュー内の使用可能なバッファーの最小量を、RX バッファーの合計量に対するパーセントで指定します。使用可能なバッファーの実際の数がこの値よりも少ない場合、NetKVM ドライバーは、オペレーティングシステムにリソース不足状態を通知します (できるだけ早く RX バッファーを返すように要求します)。

最小値 (デフォルト) - 0。ドライバーがリソース不足状態を示さないことを意味します。

最大値 - 100。ドライバーが常にリソース不足状態を示すことを意味します。

17.2.5. Windows 仮想マシンでのバックグラウンドプロセスの最適化

Windows OS を実行している仮想マシンのパフォーマンスを最適化するには、さまざまな Windows プロセスを設定するか、無効化してください。

警告

設定を変更すると、プロセスによっては、予想通り機能しない場合があります。

手順

次の組み合わせを実行すると、Windows 仮想マシンを最適化できます。

  • USB や CD-ROM などの未使用のデバイスを削除して、ポートを無効にします。
  • SuperFetch や Windows Search などのバックグラウンドサービスを無効にします。サービスの停止に関する詳細は、システムサービスの無効化 または サービス停止 を参照してください。
  • useplatformclock を無効にします。これには以下のコマンドを実行します。

    # bcdedit /set useplatformclock No
  • スケジュール済みのディスクのデフラグなど、不要なスケジュールタスクを確認して無効にします。方法は、スケジュール済みタスクの無効化 を参照してください。
  • ディスクが暗号化されていないことを確認します。
  • 定期的なサーバーアプリケーションのアクティビティーを減らします。これには、各タイマーを編集します。詳細は Multimedia Timers を参照してください。
  • 仮想マシンで Server Manager アプリケーションを閉じます。
  • ウイルス対策ソフトウェアを無効にします。ウイルス対策ソフトウェアを無効にすると、仮想マシンのセキュリティーが侵害される可能性があることに注意してください。
  • スクリーンセーバーを無効にします。
  • 使用時以外は、Windows OS のサインイン画面のままにします。

17.3. Windows 仮想マシンでの標準ハードウェアセキュリティーの有効化

Windows 仮想マシンのセキュリティーを保護するには、Windows デバイスの標準ハードウェア機能を使用して基本的なレベルのセキュリティーを有効にします。

前提条件

  • 最新の WHQL 認定 VirtIO ドライバーがインストールされている。
  • 仮想マシンのファームウェアが UEFI ブートに対応している。
  • edk2-OVMF パッケージをホストマシンにインストールしている。

    # {PackageManagerCommand} install edk2-ovmf
  • ホストマシンに vTPM パッケージをインストールしている。

    # {PackageManagerCommand} install swtpm libtpms
  • 仮想マシンが Q35 マシンアーキテクチャーを使用している。
  • Windows インストールメディアを使用している。

手順

  1. TPM 2.0 を有効にするには、仮想マシンの XML 設定の <devices> セクションに以下のパラメーターを追加します。

    <devices>
    [...]
      <tpm model='tpm-crb'>
        <backend type='emulator' version='2.0'/>
      </tpm>
    [...]
    </devices>
  2. UEFI モードで Windows をインストールします。詳細は、SecureBoot の仮想マシンの作成 を参照してください。
  3. Windows 仮想マシンに virtio ドライバーをインストールします。詳細は、Windows ゲストへの virtio ドライバーのインストール を参照してください。
  4. UEFI でセキュアブートを有効にします。詳細は、セキュアブート を参照してください。

検証

  • Windows マシンの デバイスのセキュリティー ページに、以下のメッセージが表示されていることを確認します。

    Settings > Update & Security > Windows Security > Device Security

    Your device meets the requirements for standard hardware security.

17.4. Windows 仮想マシンでの拡張ハードウェアセキュリティーの有効化

Windows 仮想マシンをさらにセキュアにするために、コード整合性の仮想化ベースの保護 (HVCI (Hypervisor-Protected Code Integrity) とも呼ばれます) を有効にできます。

前提条件

手順

  1. Windows VM の XML 設定を開きます。次の例では、Example-L1 VM の設定を開きます。

    # virsh edit Example-L1
  2. <cpu> セクションで、CPU モードを指定し、ポリシーフラグを追加します。

    重要
    • Intel CPU の場合は、vmx ポリシーフラグを有効にします。
    • AMD CPU の場合は、svm ポリシーフラグを有効にします。
    • カスタム CPU を指定したくない場合は、<cpu mode>host-passthrough として設定できます。
    <cpu mode='custom' match='exact' check='partial'>
        <model fallback='allow'>Skylake-Client-IBRS</model>
        <topology sockets='1' dies='1' cores='4' threads='1'/>
        <feature policy='require' name='vmx'/>
    </cpu>
  3. XML 設定を保存し、仮想マシンを再起動します。
  4. 仮想マシンオペレーティングシステムで、Core isolation details ページに移動します。

    Settings > Update & Security > Windows Security > Device Security > Core isolation details

  5. スイッチを切り替えて、メモリーの整合性 を有効にします。
  6. 仮想マシンを再起動します。
注記

HVCI を有効にするその他の方法は、関連する Microsoft ドキュメントを参照してください。

検証

  • Windows 仮想マシンの デバイスのセキュリティー ページに、以下のメッセージが表示されていることを確認します。

    Settings > Update & Security > Windows Security > Device Security

    Your device meets the requirements for enhanced hardware security.
  • または、Windows 仮想マシンのシステム情報を確認します。

    1. コマンドプロンプトで msinfo32.exe を実行します。
    2. Virtualization-based security Services Running の下に Credential Guard, Hypervisor enforced Code Integrity がリスト表示されているかどうかを確認します。

17.5. 次のステップ

  • RHEL 8 ホストとその Windows 仮想マシンとの間でファイルを共有するには、NFS を使用できます。

第18章 入れ子仮想マシンの作成

RHEL 8 システム以降では、ネストした仮想マシンを作成できます。つまり、RHEL 8 物理ホスト (レベル 0 または L0) で実行している RHEL 8 仮想マシン (レベル 1 または L1) は、ハイパーバイザーとして機能し、独自の仮想マシン (レベル 2 または L2) を作成できます。

つまり、L0 ホストは L1 仮想マシンを実行でき、これらの L1 仮想マシンはそれぞれ独自の L2 仮想マシンをホストできます。この場合、L0 ホストおよび L1 ホストの両方が RHEL 8 システムである必要がありますが、L2 ゲストは、対応している RHEL または Windows システムになります。

警告

Red Hat は現在、ネストされた仮想化を テクノロジープレビュー としてのみ提供しているため、これはサポート対象外となります。

また、さまざまな 機能の制限 があるため、実稼働ユーザー環境ではネストされた仮想化を使用することは推奨されません。代わりに、ネストされた仮想化は、主に以下のような開発およびテストシナリオを対象としています。

  • 制限された環境でのハイパーバイザーのデバッグ
  • 限られた物理リソースでの大規模な仮想デプロイメントのテスト

IntelAMDIBM POWER9IBM Z などの複数のアーキテクチャーでは、ネストした仮想マシンを作成することもできます。使用されるアーキテクチャーに関係なく、ネスティングは テクノロジープレビュー であるため、Red Hat ではサポート対象外である点に注意してください。

18.1. Intel でのネスト化された仮想マシンの作成

以下の手順に従って、Intel ホストでネストされた仮想化を有効にし、設定します。

警告

ネストされた仮想化は現在、Intel アーキテクチャーで テクノロジープレビュー としてのみ提供されているため、サポート対象外となります。

前提条件

  • L1 仮想マシンを実行している L0 RHEL 8 ホスト。
  • ハイパーバイザー CPU でネストされた仮想化をサポートしている。L0 ハイパーバイザーで cat /proc/cpuinfo コマンドを使用して、サポートがあるか確認します。コマンドの出力に vmx および ept フラグが含まれる場合は、L2 仮想マシンを作成できます。通常、Intel Xeon v3 コア以降が対象です。
  • L0 ホストでネストされた仮想化が有効になっていることを確認します。

    # cat /sys/module/kvm_intel/parameters/nested
    • コマンドが 1 または Y を返すと、この機能は有効になっています。残りの前提条件の手順を省略し、手順セクションに進みます。
    • コマンドで 0 または N が返されたにも拘らず、システムがネストされた仮想化に対応している場合は、以下の手順に従って機能を有効にします。

      1. kvm_intel モジュールをアンロードします。

        # modprobe -r kvm_intel
      2. ネスト機能をアクティブにします。

        # modprobe kvm_intel nested=1
      3. ネスト機能は有効になりましたが、L0 ホストの次回起動後は無効になります。永続的に有効にするには、以下の行を /etc/modprobe.d/kvm.conf ファイルに追加します。

        options kvm_intel nested=1

手順

  1. ネストされた仮想化用に L1 仮想マシンを設定します。

    1. 仮想マシンの XML 設定を開きます。以下の例では、Intel-L1 仮想マシンの設定が開きます。

      # virsh edit Intel-L1
    2. <cpu> 要素を編集して、host-passthrough CPU モードを使用するように仮想マシンを設定します。

      <cpu mode='host-passthrough'/>

      仮想マシンで特定の CPU モデルを使用する必要がある場合は、custom CPU モードを使用するように仮想マシンを設定します。<cpu> 要素内に、<feature policy='require' name='vmx'/> 要素と <model> 要素を追加し、内部で CPU モデルを指定します。以下に例を示します。

      <cpu mode ='custom' match ='exact' check='partial'>
        <model fallback='allow'>Haswell-noTSX</model>
        <feature policy='require' name='vmx'/>
        ...
      </cpu>
  2. L1 仮想マシン内に L2 仮想マシンを作成します。これには、L1 仮想マシンの作成 時と同じ手順に従います。

18.2. AMD でのネスト化された仮想マシンの作成

以下の手順に従って、AMD ホストでネストされた仮想化を有効にして設定します。

警告

ネストされた仮想化は、現在 AMD64 アーキテクチャーでのみ テクノロジープレビュー として提供されているため、サポート対象外となります。

前提条件

  • L1 仮想マシンを実行している L0 RHEL 8 ホスト。
  • ハイパーバイザー CPU でネストされた仮想化をサポートしている。L0 ハイパーバイザーで cat /proc/cpuinfo コマンドを使用して、サポートがあるか確認します。コマンドの出力に svm および npt フラグが含まれる場合は、L2 仮想マシンを作成できます。通常、これは AMD EPYC コア以降が対象です。
  • L0 ホストでネストされた仮想化が有効になっていることを確認します。

    # cat /sys/module/kvm_amd/parameters/nested
    • コマンドが 1 または Y を返すと、この機能は有効になっています。残りの前提条件の手順を省略し、手順セクションに進みます。
    • コマンドで 0 または N が返された場合は、以下の手順に従ってこの機能を有効にします。

      1. L0 ホストで実行中の仮想マシンをすべて停止します。
      2. kvm_amd モジュールをアンロードします。

        # modprobe -r kvm_amd
      3. ネスト機能をアクティブにします。

        # modprobe kvm_amd nested=1
      4. ネスト機能は有効になりましたが、L0 ホストの次回起動後は無効になります。永続的に有効にするには、以下を /etc/modprobe.d/kvm.conf ファイルに追加します。

        options kvm_amd nested=1

手順

  1. ネストされた仮想化用に L1 仮想マシンを設定します。

    1. 仮想マシンの XML 設定を開きます。以下の例では、AMD-L1 仮想マシンの設定が開きます。

      # virsh edit AMD-L1
    2. <cpu> 要素を編集して、host-passthrough CPU モードを使用するように仮想マシンを設定します。

      <cpu mode='host-passthrough'/>

      仮想マシンで特定の CPU モデルを使用する必要がある場合は、custom CPU モードを使用するように仮想マシンを設定します。<cpu> 要素内に、<feature policy='require' name='svm'/> 要素と <model> 要素を追加し、内部で CPU モデルを指定します。以下に例を示します。

      <cpu mode="custom" match="exact" check="none">
        <model fallback="allow">EPYC-IBPB</model>
        <feature policy="require" name="svm"/>
        ...
      </cpu>
  2. L1 仮想マシン内に L2 仮想マシンを作成します。これには、L1 仮想マシンの作成 時と同じ手順に従います。

18.3. IBM Z でのネストされた仮想マシンの作成

以下の手順に従って、IBM Z ホストでネストされた仮想化を有効にして設定します。

警告

ネストされた仮想化は現在、IBM Z アーキテクチャーでのみ テクノロジープレビュー として提供されているため、サポート対象外となります。

前提条件

  • L1 仮想マシンを実行している L0 RHEL 8 ホスト。
  • ハイパーバイザー CPU でネストされた仮想化をサポートしている。これを確認するには、L0 ハイパーバイザーで cat /proc/cpuinfo コマンドを使用します。コマンドの出力に sie フラグが含まれる場合は、L2 仮想マシンを作成できます。
  • L0 ホストでネストされた仮想化が有効になっていることを確認します。

    # cat /sys/module/kvm/parameters/nested
    • コマンドが 1 または Y を返すと、この機能は有効になっています。残りの前提条件の手順を省略し、手順セクションに進みます。
    • コマンドで 0 または N が返された場合は、以下の手順に従ってこの機能を有効にします。

      1. L0 ホストで実行中の仮想マシンをすべて停止します。
      2. kvm モジュールをアンロードします。

        # modprobe -r kvm
      3. ネスト機能をアクティブにします。

        # modprobe kvm nested=1
      4. ネスト機能は有効になりましたが、L0 ホストの次回起動後は無効になります。永続的に有効にするには、以下の行を /etc/modprobe.d/kvm.conf ファイルに追加します。

        options kvm nested=1

手順

  • L1 仮想マシン内に L2 仮想マシンを作成します。これには、L1 仮想マシンの作成 時と同じ手順に従います。

18.4. IBM POWER9 でネストされた仮想マシンの作成

以下の手順に従って、IBM POWER9 ホストでネストされた仮想化を有効にして設定します。

警告

ネストされた仮想化は現在、IBM POWER9 アーキテクチャーでのみ テクノロジープレビュー として提供されているため、サポート対象外となります。さらに、IBM POWER8 などの旧バージョンの IBM POWER システムでは、ネストされた仮想マシンを作成できません。

前提条件

  • L0 RHEL 8 ホストは L1 仮想マシンを実行しています。L1 仮想マシンは、RHEL 8 をゲストオペレーティングシステムとして使用している。
  • L0 ホストでネストされた仮想化が有効になっている。

    # cat /sys/module/kvm_hv/parameters/nested
    • コマンドが 1 または Y を返すと、この機能は有効になっています。残りの前提条件の手順を省略し、手順セクションに進みます。
    • コマンドが 0 または N を返す場合は、以下の手順に従ってこの機能を有効にします。

      1. L0 ホストで実行中の仮想マシンをすべて停止します。
      2. kvm モジュールをアンロードします。

        # modprobe -r kvm_hv
      3. ネスト機能をアクティブにします。

        # modprobe kvm_hv nested=1
      4. ネスト機能は有効になりましたが、L0 ホストの次回起動後は無効になります。永続的に有効にするには、以下の行を /etc/modprobe.d/kvm.conf ファイルに追加します。

        options kvm_hv nested=1

手順

  1. L1 仮想マシンが L2 仮想マシンを作成できるようにするには、cap-nested-hv パラメーターを L1 仮想マシンのマシンタイプに追加します。これには、virsh edit コマンドを使用して L1 仮想マシンの XML 設定を変更し、<features> セクションに以下の行を追加します。

    <nested-hv state='on'/>
  2. L1 仮想マシン内に L2 仮想マシンを作成します。これには、L1 仮想マシンの作成 時と同じ手順に従います。

    Red Hat は、L2 仮想マシンの XML 設定にも cap-nested-hv パラメーターを追加して、L2 仮想マシンのパフォーマンスを大幅に向上させることを推奨します。手順については、前の手順を参照してください。

関連情報

  • L2 VM のアーキテクチャーとしての IBM POWER8 は 現在サポートされていないことに注意してください。

18.5. ネストされた仮想化の制限

ネストされた仮想化を使用する場合は、以下の制限に注意してください。

警告

現在、Red Hat はネストされた仮想化に対応しておらず、テクノロジープレビュー としてのみのネスティングを提供しています。

サポート対象のアーキテクチャー

  • L0 ホストは、Intel、AMD、IBM POWER9、または IBM Z システムである必要があります。ネストされた仮想化は、現在他のアーキテクチャーでは機能しません。

サポート対象のゲストオペレーティングシステム

  • ネストされた仮想マシンを作成するには、次のゲストオペレーティングシステム (OS) を使用する必要があります。

    • L0 ホスト - RHEL 8.2 以降
    • L1 仮想マシン - RHEL 7.8 以降、または RHEL 8.2 以降

      注記

      L1 仮想マシンで RHEL 7 および 8 をベースとした仮想化オファリングを使用している場合は、このサポートは対象外となります。これには以下が含まれます。

      • Red Hat Virtualization
      • Red Hat OpenStack Platform
      • OpenShift Virtualization
    • L2 仮想マシン では、以下のいずれかの OS を使用する必要があります。

      • RHEL 7.8 以降
      • RHEL 8.2 以降
      • Microsoft Windows Server 2016
      • Microsoft Windows Server 2019
  • また、IBM POWER9 では、ネスト化された仮想化は、現在、以下の状況でのみ動作します。

    • L0 ホストと L1 仮想マシンの両方が RHEL 8 を使用している。
    • L2 仮想マシンが、RHEL 8、または RHEL 7 を rhel-alt カーネルで使用している。
    • L1 仮想マシンおよび L2 仮想マシンを、POWER8 互換モードで実行していない。

Hypervisor の制限

  • 現在、Red Hat は RHEL-KVM でのみネストをサポートしています。RHEL を L0 ハイパーバイザーとして使用する場合は、RHEL 8 または Windows for WSL 2 を L1 ハイパーバイザーとして使用できます。
  • VMware ESXi や Amazon Web Services (AWS) など、KVM 以外の L0 ハイパーバイザーで L1 RHEL 8 仮想マシンを使用する場合は、RHEL 8 ゲスト OS で L2 仮想マシンを作成できますが、サポート対象外となります。

機能の制限

  • L2 仮想マシンをハイパーバイザーとして使用した L3 ゲストの作成は適切にテストされていないため、これは想定外です。
  • 現在、AMD システムでの仮想マシンの移行は、L0 ホストでネストされた仮想化が有効になっている場合には機能しません。
  • IBM Z システムでは、huge-page バッキングストレージとネストされた仮想化を同時に使用することはできません。

    # modprobe kvm hpage=1 nested=1
    modprobe: ERROR: could not insert 'kvm': Invalid argument
    # dmesg |tail -1
    [90226.508366] kvm-s390: A KVM host that supports nesting cannot back its KVM guests with huge pages
  • L0 ホストで利用可能な機能は、L1 ハイパーバイザーで利用できない場合があります。

    たとえば、IBM POWER 9 ハードウェアでは、XIVE (External Interrupt Virtualization Engine) は動作しません。ただし、L1 仮想マシンはエミュレートされた XIVE 割り込みコントローラーを使用して、L2 仮想マシンを起動できます。

第19章 仮想マシンの問題診断

仮想マシンを使用していると、さまざまな重大度の問題が発生する可能性があります。問題によってはすぐ簡単に修正できる可能性がありますが、仮想マシン関連のデータおよびログを取得して、問題を報告または診断しなければならない場合もあります。

以下のセクションでは、ログの生成および一般的な仮想マシンの問題の診断方法と、このような問題の報告方法を説明します。

19.1. libvirt デバッグログの生成

仮想マシンの問題を診断するには、libvirt デバッグログを生成し、確認すると便利です。また仮想マシン関連の問題解決のサポートを受ける場合には、デバッグログを添付すると役立ちます。

次のセクションでは、デバッグログとは何かデバッグログの永続設定実行時の有効化、問題報告時の 添付方法 について説明します。

19.1.1. libvirt デバッグログについて

デバッグログは、仮想マシンランタイム時に発生するイベント関連のデータが含まれるテキストファイルです。ログには、ホストライブラリーや libvirt デーモンなどの、サーバー側の基本機能に関する情報が含まれます。ログファイルには、実行中の全仮想マシンの標準エラー出力 (stderr) も含まれます。

デバッグロギングはデフォルトでは有効ではないので、libvirt の起動時に有効にする必要があります。セッション 1 回分のロギングを有効にしたり、永続的 にロギングを有効にすることができます。また、デーモンのランタイム設定を変更 することにより、libvirt デーモンセッションがすでに実行中の場合にロギングを有効にすることもできます。

仮想マシンの問題のサポートを受ける場合に、libvirt デバッグログ を添付すると役立ちます。

19.1.2. libvirt デバッグログの永続的な設定の有効化

libvirt の起動時に毎回、libvirt デバッグロギングを自動的に有効にするように設定できます。デフォルトでは、libvirtd は RHEL 8 の libvirt デーモンのみになります。libvirt 設定で永続的な変更を行うには、/etc/libvirt ディレクトリーにある libvirtd.conf ファイルを編集する必要があります。

手順

  1. エディターで libvirtd.conf ファイルを開きます。
  2. 要件に応じてフィルターを置き換えるか、設定します。

    表19.1 フィルター値のデバッグ

    1

    libvirt が生成したすべてのメッセージをログに記録します。

    2

    すべての非デバッグ情報をログに記録します。

    3

    すべての警告およびエラーメッセージをログに記録します。これはデフォルト値です。

    4

    エラーメッセージのみをログに記録します。

    例19.1 ロギングフィルターのデーモン設定例

    以下の設定を行います。

    • remoteutil.json、および rpc 層からのすべてのエラーメッセージおよび警告メッセージをログに記録します。
    • event レイヤーからのエラーメッセージのみを記録します。
    • フィルターされたログを /var/log/libvirt/libvirt.log に保存します。
    log_filters="3:remote 4:event 3:util.json 3:rpc"
    log_outputs="1:file:/var/log/libvirt/libvirt.log"
  3. 保存して終了します。
  4. libvirt デーモンを再起動します。

    $ systemctl restart libvirtd.service

19.1.3. ランタイム時の libvirt デバッグログの有効化

libvirt デーモンのランタイム設定を変更し、デバッグログを有効にして出力ファイルに保存できます。

これは、再起動すると問題が解決するため、libvirt デーモンを再起動できない場合や、マイグレーションやバックアップなどの別のプロセスが同時に実行されている場合などに便利です。設定ファイルを編集したり、デーモンを再起動せずにコマンドを試行したりする場合にも、ランタイム設定を変更すると便利です。

前提条件

  • libvirt-admin パッケージがインストールされている。

手順

  1. 任意: アクティブなログフィルターのバックアップを作成します。

    # virt-admin daemon-log-filters >> virt-filters-backup
    注記

    ログの生成後に復元できるように、アクティブなフィルターセットをバックアップすることが推奨されます。フィルターを復元しないと、メッセージがログに記録され、システムパフォーマンスに影響する可能性があります。

  2. virt-admin ユーティリティーを使用してデバッグを有効にし、要件に応じてフィルターを設定します。

    表19.2 フィルター値のデバッグ

    1

    libvirt が生成したすべてのメッセージをログに記録します。

    2

    すべての非デバッグ情報をログに記録します。

    3

    すべての警告およびエラーメッセージをログに記録します。これはデフォルト値です。

    4

    エラーメッセージのみをログに記録します。

    例19.2 ロギングフィルターの virt-admin 設定の例

    以下のコマンドを実行します。

    • remoteutil.json、および rpc レイヤーからのエラーメッセージおよび警告メッセージをすべてログに記録します。
    • イベント レイヤーからのエラーメッセージのみを記録します。
    # virt-admin daemon-log-filters "3:remote 4:event 3:util.json 3:rpc"
  3. virt-admin ユーティリティーを使用して、ログを特定のファイルまたはディレクトリーに保存します。

    たとえば、以下のコマンドはログ出力を /var/log/libvirt/ ディレクトリーの libvirt.log ファイルに保存します。

    # virt-admin daemon-log-outputs "1:file:/var/log/libvirt/libvirt.log"
  4. 任意: フィルターを削除して、仮想マシン関連の情報をすべて含むログファイルを生成することもできます。ただし、このファイルには libvirt のモジュールが生成した多くの冗長情報が含まれる可能性があるため、推奨されません。

    • virt-admin ユーティリティーを使用して空のフィルターを指定します。

      # virt-admin daemon-log-filters
        Logging filters:
  5. 任意: バックアップファイルを使用して、フィルターを元の状態に復元します。
    保存した値を使用して 2 番目の手順を実行し、フィルターを復元します。

19.1.4. サポートリクエストへの libvirt デバッグログの添付

仮想マシンの問題の診断および解決に追加のサポートを依頼する必要がある場合があります。仮想マシン関連の問題を迅速に解決するために、サポートチームが必要な情報すべてにアクセスできるように、サポートリクエストにデバッグログを添付することを強く推奨します。

手順

  • 問題およびサポートを報告するには、サポートケースを作成 してください。
  • 発生した問題に応じて、レポートに以下のログを添付します。

    • libvirt サービスに問題がある場合は、ホストから /var/log/libvirt/libvirt.log ファイルを添付します。
    • 特定の仮想マシンに関する問題は、該当するログファイルを添付します。

      たとえば、仮想マシン testguest1 の場合は、/var/log/libvirt/qemu/testguest1.log にある testguest1.log ファイルを添付します。

19.2. 仮想マシンのコアのダンプ

仮想マシンがクラッシュしたり、誤作動した理由を分析する場合は、後で分析と診断を行えるように仮想マシンのコアをディスクのファイルにダンプします。

本セクションでは、コアダンプ概要 と、仮想マシンのコア を特定のファイルにダンプする方法を説明します。

19.2.1. 仮想マシンのコアダンプの仕組み

仮想マシンでは、数多くの実行中のプロセスを正確かつ効率的に機能させる必要があります。場合によっては、実行中の仮想マシンが、使用中に予期せず終了したり、誤作動したりすることがあります。仮想マシンを再起動すると、データがリセットされたり失われてしまう可能性があり、仮想マシンがクラッシュした問題の正確な診断が困難になります。

このような場合は、virsh dump ユーティリティーを使用して、仮想マシンを再起動する前に仮想マシンのコアをファイルに保存 (または ダンプ) できます。コアダンプファイルには、仮想マシンの生の物理メモリーイメージが含まれ、その中に仮想マシンの詳細情報が含まれます。この情報は、手動、または crash ユーティリティーなどのツールで、仮想マシンの問題診断に使用できます。

関連情報

19.2.2. 仮想マシンのコアダンプファイルの作成

仮想マシンのコアダンプには、任意の時点における仮想マシンの状態に関する詳細情報が含まれます。この情報は、VM のスナップショットに似ており、VM が誤動作したり、突然シャットダウンしたりした場合に問題を検出するのに役立ちます。

前提条件

  • ファイルを保存するのに十分なディスク領域があることを確認してください。仮想マシンが占有する領域は、その仮想マシンに割り当てられている RAM のサイズによって異なることに注意してください。

手順

  • virsh dump ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、仮想マシンのコア lander1、メモリー、CPU 共通レジスターファイルを、/core/filegargantua.file にダンプします。

    # virsh dump lander1 /core/file/gargantua.file --memory-only
    Domain 'lander1' dumped to /core/file/gargantua.file
重要

crash ユーティリティーは、virsh dump コマンドのデフォルトファイル形式に対応しなくなりました。crash を使用してコアダンプファイルを分析するには、--memory-only オプションを使用してファイルを作成する必要があります。

また、コアダンプファイルを作成して Red Hat サポートケースに添付する場合は、--memory-only オプションを使用する必要があります。

トラブルシューティング

virsh dump コマンドが System is deadlocked on memory エラーで失敗する場合、コアダンプファイルに十分なメモリーが割り当てられていることを確認してください。これを行うには、以下の crashkernel オプション値を使用します。または、コアダンプメモリーを自動的に割り当てる crashkernel は一切使用しないでください。

crashkernel=1G-4G:192M,4G-64G:256M,64G-:512M

関連情報

19.3. 仮想マシンプロセスのバックトレース

仮想マシンの誤作動に関連するプロセスが機能する場合には、プロセス識別子 (PID) を指定して gstack コマンドを使用し、誤作動しているプロセスの実行スタックトレースを生成できます。プロセスがスレッドグループの一部である場合は、スレッドもすべてトレースされます。

前提条件

  • GDB パッケージがインストールされている。

    GDB および利用可能なコンポーネントのインストール方法は、Installing the GNU Debugger を参照してください。

  • バックトレースするプロセスの PID を把握している。

    pgrep コマンドの後にプロセス名を使用すると、PID を検索できます。以下に例を示します。

    # pgrep libvirt
    22014
    22025

手順

  • gstack ユーティリティーの後にバックトレースするプロセスの PID を指定して使用します。

    たとえば、以下のコマンドは、PID 22014 で libvirt プロセスをバックトレースします。

    # gstack 22014
    Thread 3 (Thread 0x7f33edaf7700 (LWP 22017)):
    #0  0x00007f33f81aef21 in poll () from /lib64/libc.so.6
    #1  0x00007f33f89059b6 in g_main_context_iterate.isra () from /lib64/libglib-2.0.so.0
    #2  0x00007f33f8905d72 in g_main_loop_run () from /lib64/libglib-2.0.so.0
    ...

関連情報

仮想マシンの問題報告およびログ提供に使用する追加のリソース

追加でヘルプおよびサポートを依頼するには、以下を行います。

  • redhat-support-tool コマンドラインオプション、Red Hat Portal UI、または FTP のいくつかの方法を使用して、サービスリクエストを発行します。

  • サービス依頼の送信時に SOS Report およびログファイルをアップロードします。

    これにより、Red Hat サポートエンジニアが必要な診断情報をすべて参照できるようになります。

第20章 RHEL 8 仮想化における機能のサポートおよび制限

このドキュメントでは、Red Hat Enterprise Linux 8 (RHEL 8) 仮想化の機能のサポートと制限事項について説明します。

20.1. RHEL 9 仮想化サポートの動作

一連のサポート制限は、Red Hat Enterprise Linux 8 (RHEL 8) の仮想化に適用されます。つまり、RHEL 8 で仮想マシンを使用する際に、特定の機能を使用したり、割り当てられたリソースの量をある程度超えたりすると、特別なサブスクリプションプランがない限り、Red Hat はこれらのゲストをサポートしません。

Recommended features in RHEL 8 virtualization に記載されている機能は、RHEL 8 システムの KVM ハイパーバイザーと連携するように、Red Hat によりテストおよび認定されています。したがって、RHEL 8 の仮想化の使用が完全にサポートされ、推奨されます。

Unsupported features in RHEL 8 virtualization に記載されている機能は動作する場合もありますが、サポート対象外であり、RHEL 8 での使用は意図されていません。したがって、Red Hat は、KVM を使用する RHEL 8 でこの機能を使用しないことを強く推奨します。

Resource allocation limits in RHEL 8 virtualization は、RHEL 8 の KVM ゲストで対応する特定のリソースの最大数をリスト表示します。この制限を超えるゲストは、Red Hat ではサポートされていません。

さらに、特に記載がない限り、RHEL 8 の仮想化のドキュメントで使用されるすべての機能とソリューションがサポートされます。ただし、その一部は完全にテストされていないため、完全には最適化されない場合があります。

重要

この制限の多くは、Red Hat が提供するその他の仮想化ソリューション (Red Hat Virtualization (RHV)、OpenShift Virtualization や Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) など) には適用されません。

20.3. RHEL 8 仮想化でサポートされていない機能

以下の機能は、Red Hat Enterprise Linux 8 (RHEL 8) に含まれる KVM ハイパーバイザーでは対応していません。

重要

この制限の多くは、Red Hat が提供するその他の仮想化ソリューション (Red Hat Virtualization (RHV) や Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) など) には適用されない場合があります。

RHV 4.2 以降、または RHOSP 13 以降でサポートされる機能は、以下の段落で説明します。

ホストシステムのアーキテクチャー

KVM を使用した RHEL 8 は、Recommended features in RHEL 8 virtualization に記載されていないホストアーキテクチャーではサポートされません。

特に、Red Hat は、RHEL 8 での KVM 仮想化に、64 ビット ARM アーキテクチャー (ARM 64) のシステムの使用をサポートしていません。

ゲストのオペレーティングシステム

RHEL 8 ホストは、次のゲストオペレーティングシステム (OS) を使用する KVM 仮想マシンには対応していません。

  • Microsoft Windows 8.1 以前
  • Microsoft Windows Server 2008 R2 以前
  • MacOS
  • x86 システム用の Solaris
  • 2009 年より前にリリースされたすべての OS

RHEL ホスト、Red Hat Virtualization (RHV)、およびその他の仮想化ソリューションでサポートされるゲスト OS の一覧は、Certified Guest Operating Systems in Red Hat OpenStack Platform, Red Hat Virtualization, OpenShift Virtualization and Red Hat Enterprise Linux with KVM を参照してください。

コンテナーでの仮想マシンの作成

Red Hat は、RHEL 8 ハイパーバイザーの要素を含むコンテナーの種類 (QEMU エミュレーターや libvirt パッケージなど) に関係なく、KVM 仮想マシンの作成に対応していません。

コンテナーに仮想マシンを作成する場合は、OpenShift Virtualization オファリングの使用を推奨します。

QEMU コマンドライン

QEMU は、RHEL 8 における仮想化アーキテクチャーの必須コンポーネントですが、手動で管理することが難しく、QEMU 設定に誤りがあるとセキュリティーの脆弱性を引き起こす可能性があります。したがって、qemu-kvm などの qemu-* コマンドラインユーティリティーの使用は、Red Hat ではサポートされていません。代わりに、ベストプラクティスに従って QEMU のオーケストレーションを行うため、virshvirt-installvirt-xml などの libvirt ユーティリティーを使用します。

ただし、仮想ディスクイメージの管理 には qemu-img ユーティリティーがサポートされていることに注意してください。

vCPU のホットアンプラグ

実行中の仮想マシンから仮想 CPU (vCPU) を削除することは vCPU ホットアンプラグと呼ばれますが、RHEL 8 では対応していません。

メモリーのホットアンプラグ

実行中の仮想マシンに接続されているメモリーデバイスの削除 (メモリーのホットアンプラグとも呼ばれる) は、RHEL 8 では対応していません。

QEMU 側の I/O スロットリング

virsh blkdeviotune ユーティリティーを使用して、仮想ディスクでの操作の最大入出力レベルを設定することは、QEMU 側の I/O スロットリング としても知られていますが、RHEL 9 では対応していません。

RHEL 8 で I/O スロットリングを設定するには、virsh blkiotune を使用します。これは、libvirt 側の I/O スロットリングとしても知られています。手順は、Disk I/O throttling in virtual machines を参照してください。

QEMU 側の I/O スロットリングは RHOSP でもサポートされています。詳細は、RHOSP ストレージガイドディスクでのリソース制限の設定 およびサービス品質の仕様の使用セクションを参照してください。

さらに、OpenShift Virtualizaton は QEMU 側の I/O スロットリングもサポートします。

ストレージのライブマイグレーション

実行している仮想マシンのディスクイメージをホスト間で移行することは、RHEL 8 では対応していません。

その他のソリューション:

  • ストレージライブマイグレーションは RHOSP でサポートされますが、制限がいくつかあります。詳細は ボリュームの移行 を参照してください。

ライブスナップショット

実行中の仮想マシンのスナップショットの作成または読み込み (ライブスナップショットとも呼ばれる) は、RHEL 8 では対応していません。

さらに、非ライブ仮想マシンスナップショットは RHEL 8 で非推奨となっていることに注意してください。したがって、シャットダウンされた仮想マシンのスナップショットの作成または読み込みには対応していますが、Red Hat は推奨していません。

その他のソリューション:

  • ライブスナップショットは RHOSP でサポートされています。詳細は、Importing virtual machines into the overcloud を参照してください。
  • ライブスナップショットは OpenShift Virtualization でもサポートされています。

vhost-user

RHEL 8 は、ユーザー空間の vHost インターフェイスの実装には対応していません。

vhost-user は RHOSP でサポートされていますが、対象は、virtio-net インターフェイスのみであることに注意してください。詳細は virtio-net implementation および vhost user ports を参照してください。

S3 および S4 のシステムの電力状態

仮想マシンを Suspend to RAM (S3) または Suspend to disk (S4) のシステム電源状態にサスペンドすることには対応していません。この機能はデフォルトでは無効になっており、有効にすると、仮想マシンが Red Hat のサポート対象外となります。

現在、S3 および S4 の状態は、Red Hat が提供する他の仮想化ソリューションでもサポートされていないことに注意してください。

マルチパス化された vDisk の S3-PR

マルチパス化された vDisk の SCSI3 の永続的な予約 (S3-PR) は、RHEL 8 では対応していません。これにより、RHEL 8 では、Windows Cluster に対応していません。

virtio-crypto

virtio-crypto デバイスを使用することは RHEL 8 では対応していないため、これを使用しないことが強く推奨されています。

virtio-crypto デバイスは、Red Hat が提供する他の仮想化ソリューションでもサポートされていないことに注意してください。

インクリメンタルバックアップ

最後のバックアップ (インクリメンタルライブバックアップとも呼ばれる) 以降の仮想マシンの変更のみを保存する仮想マシンバックアップの設定は、RHEL 8 ではサポートされておらず、Red Hat はこれを使用しないことを強く推奨しています。

net_failover

RHEL 8 では、net_failover ドライバーを使用した自動ネットワークデバイスフェイルオーバーメカニズムの設定はサポートされていません。

現在、net_failover は、Red Hat が提供する他の仮想化ソリューションでもサポートされていないことに注意してください。

マルチ FD の移行

RHEL 8 では、マルチ FD マイグレーションとも呼ばれる、複数のファイル記述子 (FD) を使用する仮想マシンの移行には対応していません。

マルチ FD 移行は現在、Red Hat が提供する他の仮想化ソリューションでもサポートされていないことに注意してください。

TPM パススルー

仮想マシンへのパススルーバックエンドを使用した物理 Trusted Platform Module (TPM) デバイスの割り当ては、RHEL 8 ホストではサポートされません。代わりに、エミュレーターバックエンドを使用し、完全にサポートされる vTPM 機能を使用してください。

virtiofs

RHEL 8 では virtiofs ファイルシステムを使用したホストと仮想マシンの間のファイル共有はサポートされません。

ただし、RHEL 9 では virtiofs の使用がサポートされていることに注意してください。詳細は、RHEL 9 での仮想化の設定および管理 を参照してください。

TCG

QEMU および libvirt には、QEMU Tiny Code Generator (TCG) を使用した動的な変換モードが含まれます。このモードでは、ハードウェアの仮想化のサポートは必要ありません。ただし、TCG は Red Hat ではサポートされていません。

TCG ベースのゲストは、PEAP dumpxml コマンドを使用するなど、XML 設定を調べることで確認できます。

  • TCG ゲストの設定ファイルでは、以下の行が含まれます。

    <domain type='qemu'>
  • KVM ゲストの設定ファイルでは、以下の行が含まれます。

    <domain type='kvm'>

SR-IOV InfiniBand ネットワークデバイス

シングルルート I/O 仮想化 (SR-IOV) を使用した VM への InfiniBand ネットワークデバイスの接続はサポートされていません。

20.4. RHEL 8 仮想化におけるリソース割り当ての制限

以下の制限は、Red Hat Enterprise Linux 8 (RHEL 8) ホストの 1 台の KVM 仮想マシンに割り当てることができる仮想化リソースに適用されます。

重要

この制限の多くは、Red Hat が提供するその他の仮想化ソリューション (Red Hat Virtualization (RHV)、OpenShift Virtualization や Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) など) には適用されません。

仮想マシンごとの vCPU の最大数

RHEL 8 ホストで実行されている単一の VM でサポートされる vCPU とメモリーの最大量については、KVM による Red Hat Enterprise Linux の仮想化の制限 を参照してください。

各仮想マシンの PCI デバイス

RHEL 8 は、各仮想マシンバスごとに 64 個の PCI デバイススロットをサポートし、デバイススロットごとに 8 個の PCI 機能をサポートします。これにより、仮想マシンで多機能の性能が有効になり、PCI ブリッジが使用されていない場合に、理論上は 1 つのバスあたり最大 512 個の PCI 機能が提供されます。

各 PCI ブリッジは新しいバスを追加します。これにより、別の 512 個のデバイスアドレスが有効になる可能性があります。ただし、一部のバスでは、512 個のデバイスアドレスすべてをユーザーが使用できるわけではありません。たとえば、ルートバスには、スロットを占有する複数の組み込みデバイスがあります。

仮想化 IDE デバイス

KVM は、各仮想マシンで仮想化されている IDE デバイスの最大数を 4 に制限します。

20.5. RHEL 8 における仮想化機能のサポートの概要

以下の表は、対応するシステムアーキテクチャーで、RHEL 8 で選択された仮想化機能のサポート状態に関する比較情報を示しています。

表20.1 デバイスのホットプラグとホットアンプラグ

 Intel 64 および AMD64IBM ZIBM POWER

CPU ホットプラグ

サポート対象

サポート対象

サポート対象

CPU のホットアンプラグ

サポート対象外

サポート対象外

サポート対象外

メモリーのホットプラグ

サポート対象

サポート対象外

サポート対象

メモリーのホットアンプラグ

サポート対象外

サポート対象外

サポート対象外

PCI ホットプラグ

サポート対象

サポート対象 [a]

サポート対象

PCI ホットアンプラグ

サポート対象

サポート対象 [b]

サポート対象

[a] virtio-*-pci ではなく virtio-*-ccw デバイスを使用する必要があります。
[b] virtio-*-pci ではなく virtio-*-ccw デバイスを使用する必要があります。

表20.2 選択したその他の機能

 Intel 64 および AMD64IBM ZIBM POWER

NUMA チューニング

サポート対象

サポート対象外

サポート対象

SR-IOV デバイス

サポート対象

サポート対象外

サポート対象

virt-v2v および p2v

サポート対象

サポート対象外

サポート対象外

サポートされていない機能の一部は、Red Hat Virtualization や Red Hat OpenStack プラットフォームなどのその他の Red Hat 製品でサポートしていることに注意してください。詳細は、Unsupported features in RHEL 8 virtualization を参照してください。

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