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第3章 Red Hat Virtualization 製品と機能の紹介

この章では、Red Hat Enterprise Linux 7 で利用可能な主な仮想化製品と機能を紹介します。

3.1. Red Hat Enterprise Linux での KVM と仮想化

KVM (カーネルベースの仮想マシン) は、さまざまなアーキテクチャー上の Linux 向けの完全な仮想化ソリューションです。標準の Red Hat Enterprise Linux 7 カーネルに組み込まれ、Quick Emulator (QEMU) と統合されており、複数の ゲストオペレーティングシステムを実行できます。Red Hat Enterprise Linux の KVM ハイパーバイザーは、libvirt API、および libvirt 用に構築されたツール (virt-managervirsh など) で管理されます。仮想マシンは、マルチスレッドの Linux プロセスとして実行され、これらのツールによって制御されます。
警告
QEMU と libvirt は、ハードウェア仮想化のサポートを必要としない QEMU Tiny Code Generator (TCG) を使用した動的変換モードもサポートしています。この設定は、Red Hat ではサポートされていません。
この制限の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 仮想化の導入および管理ガイド を参照してください。

図3.1 KVM アーキテクチャー

KVM アーキテクチャー
Red Hat Enterprise 7 の KVM でサポートされる仮想化機能には、以下が含まれます。
オーバーコミット
KVM ハイパーバイザーは、システムリソースの オーバーコミット をサポートしています。オーバーコミットとは、システムで利用可能なリソースよりも多くの仮想化された CPU またはメモリーを割り当てることで、あるゲストが必要とし、別のゲストが使用しない場合に、リソースを動的にスワップできるようにすることです。これにより、ゲストがホストのリソースを効率的に使用できるようになり、ユーザーが必要とするホストの数を減らすことができます。
重要
オーバーコミットには、システムの安定性に対する潜在的なリスクが伴います。 KVM でのオーバーコミットの詳細と注意事項については、Red Hat Enterprise Linux 7 仮想化の導入および管理ガイド を参照してください。
KSM
KVM ハイパーバイザーが使用する Kernel Same-page Merging (KSM) により、KVM ゲストは同じメモリーページを共有できます。これらの共有ページは通常、一般的なライブラリーまたは他の同一の使用頻度の高いデータです。KSM を使用すると、メモリーの重複を避けることで、同一または同様のゲストオペレーティングシステムのゲスト密度が大きくなります。
注記
QEMU ゲストエージェント
QEMU ゲストエージェント はゲストオペレーティングシステム上で実行され、ホストマシンがゲストオペレーティングシステムにコマンドを発行できるようにします。
注記
QEMU ゲストエージェントの詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 仮想化の導入および管理ガイド を参照してください。
ディスク I/O スロットリング
複数の仮想マシンが同時に実行されている場合、過剰なディスク I/O が使用され、システム全体のパフォーマンスに影響が及ぶ可能性があります。KVM の ディスク I/O スロットリング では、 個々の仮想マシンからホストマシンに送られるディスク I/O 要求に制限を設定する機能を利用できます。これにより、仮想マシンが共有リソースを過剰に使用して、他の仮想マシンのパフォーマンスに影響を与えるのを防ぐことができます。
注記
ディスク I/O スロットリングの使用方法は、Red Hat Enterprise Linux 7 仮想化のチューニングと最適化ガイド を参照してください。
自動 NUMA バランシング
自動 Non-Uniform Memory Access (NUMA) バランシング は、タスク (スレッドまたはプロセス) を、アクセスしているメモリーの近くに移動します。これにより、Red Hat Enterprise Linux 7 ゲストを手動で調整しなくても、Non-Uniform Memory Access (NUMA) ハードウェアシステムで実行されているアプリケーションのパフォーマンスが向上します。
注記
自動 NUMA バランシングの詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 仮想化のチューニングと最適化ガイド を参照してください。
仮想 CPU ホットアド
仮想 CPU (vCPU) ホットアド機能 は、ゲストをシャットダウンすることなく、実行中の仮想マシンの処理能力を必要に応じて向上させる機能を提供します。仮想マシンに割り当てられた vCPU は、 ワークロードの要求を満たすため、またはワークロードに関連するサービスレベルアグリーメント (SLA) を維持するために、実行中のゲストに追加できます。
注記
仮想 CPU ホットアドの詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 仮想化の導入および管理ガイド を参照してください。
ネストされた仮想化
Red Hat Enterprise Linux 7.2 以降では、テクノロジープレビューとして、ハードウェア支援によるネストされた仮想化を提供しています。この機能により、KVM ゲストはハイパーバイザーとして機能し、独自のゲストを作成できます。
これは、たとえば、仮想マシンでのハイパーバイザーのデバッグや、限られた数の物理マシンでの大規模な仮想デプロイメントのテストに使用できます。
注記
ネストされた仮想化の設定と使用に関する詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 仮想化の導入および管理ガイド を参照してください。
KVM ゲスト仮想マシンの互換性
Red Hat Enterprise Linux 7 サーバーには、特定のサポート制限があります。
以下の URL では、Red Hat Enterprise Linux のプロセッサーとメモリーの制限を説明します。
サポートされているオペレーティングシステムとホストとゲストの組み合わせの完全な表は、Red Hat カスタマーポータル を参照してください。
注記
お使いのプロセッサーが仮想化拡張機能をサポートしているかどうかを確認する方法、および仮想化拡張機能が無効になっている場合に仮想化拡張機能を有効にする方法の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 仮想化の導入および管理ガイド を参照してください。