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第15章 KVM の移行

本章では、KVM ハイパーバイザーを実行するホスト物理マシンから別のホストマシンから移行ゲスト仮想マシンについて説明します。仮想マシンは、ハードウェア上で直接ではなく仮想化環境で実行するため、ゲストの移行が可能です。

15.1. 移行の定義および利点

移行は、ゲスト仮想マシンのメモリーと仮想デバイスを移行先ホストの物理マシンに送信することで機能します。共有されるネットワークのストレージを使用して、移行するゲストのイメージを保存することを推奨します。また、仮想マシンの移行時には、共有 ストレージに libvirt 管理ストレージプール を使用することを推奨します。
移行は、ライブ(実行中および非ライブ(shut-down )ゲストの両方で実行できます。
ライブマイグレーションでは、ゲスト仮想マシンは移行元ホストマシンでそのまま実行し、ゲストのメモリーページは移行先ホストマシンに転送されます。移行中、KVM は既に転送されているページの変更のためにソースを監視し、すべての初期ページが転送された時にこれらの変更を転送することを開始します。また、KVM は移行中に転送速度を見積もります。そのため、転送する残りのデータ量が特定の時間(デフォルトでは(10 ミリ秒)に達する場合、KVM は元のゲスト仮想マシンを中断し、残りのデータを転送し、移行先のホストの物理マシンと同じゲスト仮想マシンを再開します。
反対に、非ライブマイグレーション(オフラインマイグレーション )はゲスト仮想マシンを一時中断し、ゲストのメモリーを移行先ホストにコピーします。その後、ゲストは移行先ホストマシンで再開され、移行先のホストマシンで使用されるゲストが解放されます。このような移行の完了までにかかる時間は、ネットワークの帯域幅とレイテンシーによって異なります。ネットワークの使用率が大きい場合や低帯域幅の場合、移行にはかなり時間がかかります。元のゲスト仮想マシンが KVM が移行先ホスト物理マシンに転送するよりも早くページが変わる場合には、ライブマイグレーションが完了しないため、オフラインマイグレーションを使用する必要があります。
移行は以下に役立ちます。
負荷分散
負荷分散: ホストマシンに負荷がかかりすぎた場合に使用率の低いホスト物理マシンにゲスト仮想マシンを移動したり、別のホストマシンの使用率が低くなっている場合にそちらにゲスト仮想マシンを移動することができます。
ハードウェアの非依存性
ホスト物理マシンでハードウェアデバイスのアップグレード、追加、削除を行う必要がある場合は、ゲスト仮想マシンを別のホストの物理マシンに安全に移動できます。つまり、ゲスト仮想マシンには、ハードウェアを改善する際にダウンタイムが生じることはありません。
エネルギー節約
仮想マシンを他のホスト物理マシンに再配分することで、アンロードされたホストシステムの電源を電力使用量の少ない時間帯にオフにして節電とコスト削減が可能になります。
地理的な移行
待ち時間の短縮や他の特別な状況のために、仮想マシンを別の場所に移動することができます。