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18.4. 異なる環境での chrony の設定

18.4.1. 孤立したネットワークでのシステムにおける chrony の設定

インターネットに接続していないネットワークに関しては、1 台のコンピューターをマスタータイムサーバーとします。もう 1 台のコンピューターをマスターの直接クライアント、またはクライアントのクライアントとします。マスターでは、ドリフトファイルは、システムクロックのドリフトの平均率を使用して手動で設定します。マスターを再起動すると、周囲のシステムから時間を取得し、システムクロックを設定するために平均値を計算します。その後、drift ファイルに基づいて調整の適用を再開します。drift ファイルは、settime コマンドが使用されたときに自動的に更新されます。

マスターに選ばれたシステムで、テキストエディターを使用して、root/etc/chrony.conf を以下のように編集します。

driftfile /var/lib/chrony/drift
commandkey 1
keyfile /etc/chrony.keys
initstepslew 10 client1 client3 client6
local stratum 8
manual
allow 192.0.2.0

192.0.2.0 は、クライアントが接続できるネットワークアドレスまたはサブネットアドレスです。

マスターのダイレクトクライアントにしたシステムで、root でテキストエディターを実行し、以下のように /etc/chrony.conf を実行します。

server master
driftfile /var/lib/chrony/drift
logdir /var/log/chrony
log measurements statistics tracking
keyfile /etc/chrony.keys
commandkey 24
local stratum 10
initstepslew 20 master
allow 192.0.2.123

ここでの 192.0.2.123 はマスターのアドレスで、master はマスターのホスト名になります。この設定になっているクライアントは、システムが再起動するとマスターと再同期を行います。

マスターの直接のクライアントにはならないクライアントシステムの /etc/chrony.conf ファイルでは、local ディレクティブおよび allow ディレクティブが省略される以外は、同じになるべきです。

孤立したネットワークでは、ローカルの参照モードを有効にする local ディレクティブも使用できます。これにより、NTP サーバーとして動作している chronyd は、サーバーが一度も同期されていなかったり、クロックの最終更新から長い時間が経過している場合でも、リアルタイムに同期してるように見えます。

複数のサーバーをポーリングしているクライアントを混同することなく、ネットワーク上の複数のサーバーに同じローカル設定を使用し、互いを同期させるには、Orphan モードを有効にする local ディレクティブの orphan オプションを使用します。各サーバーは、他のすべてのサーバーを local でポーリングするように設定する必要があります。これにより、最小の参照 ID を持つサーバーでのみローカル参照が有効になり、他のサーバーはそれに同期します。サーバーが失敗すると別のサーバーが引き継ぎます。