Red Hat Training
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10.4. システムのシャットダウン、サスペンド、および休止状態
Red Hat Enterprise Linux 7 では、systemctl
ユーティリティーが、これまでのバージョンの Red Hat Enterprise Linux システムで使用されていた多くの電源管理コマンドに置き換わっています。表10.8「電源管理コマンドと systemctl の比較」 に表示されているコマンドは、互換性の理由から現在も利用することができますが、可能な場合は systemctl
の使用が推奨されます。
表10.8 電源管理コマンドと systemctl の比較
古いコマンド | 新しいコマンド | 詳細 |
---|---|---|
|
| システムを停止します。 |
|
| システムの電源を切ります。 |
|
| システムを再起動します。 |
|
| システムをサスペンドします。 |
|
| システムを休止状態にします。 |
|
| システムを休止状態にしてサスペンドします。 |
10.4.1. システムのシャットダウン
systemctl
ユーティリティーは、システムをシャットダウンするコマンドを提供します。ただし、従来の shutdown
コマンドもサポートされます。shutdown
コマンドは、systemctl
ユーティリティーを呼び出してシャットダウンを実行しますが、time 引数もサポートするという利点があります。これは、計画メンテナーンスにとりわけ役立ち、システムシャットダウンの予定に関する警告にユーザーが対応する時間をより長く確保できます。シャットダウンをキャンセルするオプションがあることも利点です。
systemctl コマンドの使用
システムをシャットダウンし、マシンの電源を切るには、root
で次のコマンドを実行します。
systemctl poweroff
マシンの電源を切らずにシステムをシャットダウンして停止するには、root
で以下のコマンドを実行します。
systemctl halt
デフォルトでは、このコマンドのいずれかを実行すると、systemd が、システムに現在ログインしたすべてのユーザーに情報メッセージを送信します。systemd がメッセージを送信しないようにするには、たとえば、コマンドラインオプション --no-wall
を付けてコマンドを実行します。
systemctl --no-wall poweroff
shutdown コマンドの使用
指定した時間にシステムをシャットダウンしてマシンの電源を切るには、root
で、以下の形式でコマンドを実行します。
shutdown --poweroff hh:mm
hh:mm は 24 時間形式の時刻となります。新たなログインを防ぐために、システムをシャットダウンする 5 分前に /run/nologin
ファイルが作成されます。時間引数を使用する場合は、コマンドに任意のメッセージ wall message を付けることができます。
マシンの電源を切らずに、少し待ってシステムをシャットダウンして停止するには、root
で以下の形式のコマンドを実行します。
shutdown --halt +m
+m は遅らせる時間 (分) です。キーワード now
は、+0
のエイリアスとなります。
保留中のシャットダウンは、root
で以下のコマンドを実行するとキャンセルできます。
shutdown -c
詳細なコマンドオプションは、shutdown(8)
man ページを参照してください。
10.4.2. システムの再起動
システムを再起動するには、root
で以下のコマンドを実行します。
systemctl reboot
デフォルトでは、このコマンドにより、systemd が、システムに現在ログインしたすべてのユーザーに情報メッセージを送信します。systemd がこのメッセージを送信しないようにするには、コマンドラインオプション --no-wall
を付けてこのコマンドを実行します。
systemctl --no-wall reboot
10.4.3. システムのサスペンド
システムをサスペンドするには、root
で次のコマンドを実行します。
systemctl suspend
このコマンドは、システムの状態を RAM に保存し、マシンにある、RAM モジュール以外のほとんどのデバイスの電源を切ります。マシンの電源を戻すと、システムは再起動せずに RAM からその状態を復元します。システムの状態がハードディスクではなく RAM に保存されるので、システムのサスペンドモードから復元する場合は、休止状態からの復元と比べて著しく速くなります。ただし、システムをサスペンドした状態は、停電に対して脆弱となります。
システムを休止状態にする方法は、「システムの休止状態」 を参照してください。
10.4.4. システムの休止状態
システムを休止状態にするには、root
で次のコマンドを実行します。
systemctl hibernate
このコマンドは、システムの状態をハードディスクドライブに保存し、マシンの電源を切ります。マシンの電源を戻すと、システムは再起動せずに、保存されたデータからその状態を復元します。システムの状態が RAM ではなくハードディスクに保存されるため、マシンが RAM モジュールに電力を維持する必要がありません。ただし、システムの休止状態から復元する場合は、サスペンドモードからの復元と比べて大幅に遅くなります。
システムを休止状態にしてサスペンドするには、root
で次のコマンドを実行します。
systemctl hybrid-sleep
システムをサスペンドする方法は、「システムのサスペンド」 を参照してください。