16.3. 印刷設定
重要
cupsd.conf
の man ページには、CUPS サーバーの設定が記載されています。これには、SSL
サポートを有効にするためのディレクティブが含まれています。ただし、CUPS では使用されるプロトコルバージョンのコントロールが許可されません。『設定から SSLv3 を無効にできないコンポーネントで POODLE SSLv3.0 脆弱性 (CVE-2014-3566) を解決する方法』 で説明されている脆弱性により、Red Hat ではセキュリティー保護のためにこれに依存するのではなく、stunnel を使用してセキュアなトンネルを提供し、SSLv3
を無効にすることを推奨します。stunnel の使用方法は Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティガイド を参照してください。
注記
16.3.1. 印刷設定の設定ツールの起動
system-config-printer
と入力します。この結果、印刷設定 ツールが表示されます。もしくは、GNOME デスクトップを使用している場合は、Super キーを押してアクティビティーの概要に入り、Print Settings
と入力し、Enter を押します。この結果、印刷設定ツールが表示されます。Super キーはキーボードまたはその他のハードウェアに応じて様々なキーで表示されますが、通常はWindows または Command キーであり、スペースバー の左側に表示されます。

図16.1 印刷設定ウィンドウ
16.3.2. プリンター設定の開始
root
ユーザーパスワードの入力が求められます。他のポートタイプに接続したローカルプリンターやネットワークプリンターの場合は、手動で設定する必要があります。
- 印刷設定ツールを起動します (「印刷設定の設定ツールの起動」 を参照)。
- 認証 ダイアログボックスで、管理者または
root
ユーザーのパスワードを入力します。リモートプリンターの初回設定時の場合は、ファイアウォールの調整の承認を求めるプロンプトが出されます。 - プリンターの接続タイプを選択し、右側エリアでその詳細を記入します。
16.3.3. ローカルプリンターの追加
- 追加 プリンターダイアログを開きます (「プリンター設定の開始」 を参照)。
- デバイスが自動的に表示されない場合は、左側の一覧でプリンターを接続するポートを選択してください (Serial Port #1、LPT #1 など)。
- 右側で、接続プロパティーを入力します。
- その他 の場合
- URI (例: file:/dev/lp0)
- Serial Port の場合
- 通信速度パリティーデータビットフロー制御
図16.2 ローカルプリンターの追加
- プリンターのモデルを選択します。詳細は 「プリンターモデルの選択と完了」 を参照して下さい。
16.3.4. AppSocket/HP JetDirect プリンターの追加
新規プリンター
ダイアログを開きます 「印刷設定の設定ツールの起動」 を参照)。- 左側の一覧で→ の順に選択します。
- 右側で、接続設定を入力します。
- ホスト名
- プリンターホスト名または
IP
アドレス。 - ポート番号
- 印刷ジョブをリッスンするプリンターポート (デフォルトは
9100
)
図16.3 JetDirect プリンターの追加
- プリンターのモデルを選択します。詳細は 「プリンターモデルの選択と完了」 を参照して下さい。
16.3.5. IPP プリンターの追加
IPP
プリンターは同じ TCP/IP ネットワークにある異なるシステムに接続されているプリンターです。このプリンターが取り付けられているシステムは CUPS を実行しているか、または単に IPP
を使用するように設定されているだけです。
631
で受信 TCP
接続が可能になるようにファイアウォールを設定する必要があります。プロトコルを参照する CUPS により、クライアントマシンは共有 CUPS キューを自動的に検出することが可能です。これを有効にするには、クライアントマシンのファイアウォールをポート631
で受信 UDP
パッケージを許可するよう設定する必要があります。
IPP
プリンターを追加します。
新規プリンター
ダイアログを開きます (「プリンター設定の開始」 を参照)。- 左側のデバイスの一覧で、、 、 の順に選択します。
- 右側で、接続設定を入力します。
- ホスト
IPP
プリンターのホスト名。- キュー
- 新規のキューに与えるキューの名前です (このボックスを空白のままにすると、デバイスノードに基づいた名前が使用されます)。
図16.4 IPP プリンターの追加
- プリンターのモデルを選択します。詳細は 「プリンターモデルの選択と完了」 を参照して下さい。
16.3.6. LPD/LPR Host or Printer の追加
新規プリンター
ダイアログを開きます (「プリンター設定の開始」 を参照)。- 左のデバイス一覧から、→ の順に選択します。
- 右側で、接続設定を入力します。
- ホスト
- LPD/LPR プリンターまたはホストのホスト名オプションでをクリックすると、LPD ホスト上のキューを検索できます。
- キュー
- 新規のキューに与えるキューの名前です (このボックスを空白のままにすると、デバイスノードに基づいた名前が使用されます)。
図16.5 LPD/LPR プリンターの追加
- プリンターのモデルを選択します。詳細は 「プリンターモデルの選択と完了」 を参照して下さい。
16.3.7. Samba (SMB) プリンターの追加
注記
root
で以下を実行します。
yum install samba-client
新規プリンター
ダイアログを開きます (「プリンター設定の開始」 を参照)。- 左側の一覧で、→ の順に選択します。
- smb:// フィールドに SMB アドレスを入力します。入力形式は computer name/printer share にします。図16.6「SMB プリンターの追加」 では、computer name は
dellbox
、printer share はr2
です。図16.6 SMB プリンターの追加
- 利用できるワークグループやドメインを確認するには、をクリックします。特定のホストのキューだけを表示させるには、ホスト名 (NetBios 名) を入力して、 をクリックします。
- 以下のオプションのいずれかを選択します。
- 認証が必要な場合はプロンプトを表示する (Prompt user if authentication is required) を選択すると、文書を印刷する際に、ユーザー名とパスワードを入力することが必要になります。
- ここで認証の詳細を設定する (Set authentication details now) を選択すると、前もって認証情報を提供するため後で入力する必要がなくなります。ユーザー名 フィールドには、プリンターにアクセスするユーザー名を入力します。このユーザーは、SMB システムで存在している必要があり、ユーザーはプリンターへのアクセス権限を持っている必要があります。デフォルトのユーザー名は通常、Windows のサーバーでは
guest
、あるいは Samba サーバーではnobody
です。
- (必要な場合は) ユーザー名 フィールドに指定したユーザーの パスワード を入力します。
警告
Samba プリンターのユーザー名とパスワードは、root
およびlpd
(Linux Printing Daemon) が読み取り可能な非暗号化ファイルとしてプリンターサーバーに保存されています。そのため、プリンターサーバーにroot
アクセスを持つ他のユーザーは、Samba プリンターへのアクセスに使用するユーザー名とパスワードを閲覧することができます。Samba プリンターへアクセスするためのユーザー名とパスワードを選択する場合は、ローカルの Red Hat Enterprise Linux システムにアクセスする時に使用するパスワードとは異なるパスワードを選ぶことをお勧めします。Samba プリンターサーバーで共有するファイルがある場合も、印刷キューで使用されるパスワードとは異なるパスワードを使用することが推奨されます。 - プリンターのモデルを選択します。詳細は 「プリンターモデルの選択と完了」 を参照して下さい。
16.3.8. プリンターモデルの選択と完了
- ドライバーの自動検知が失敗すると、ウィンドウが表示されます。以下のオプションのいずれかを選択します。
- データベースからプリンターを選択 (Select a Printer from database): システムは、製造元 の一覧から、使用するプリンターの製造元に基づきドライバーを選択します。ご使用のプリンターのモデルが一覧にない場合は、Generic を選択してください。
- PPD ファイルを提供 (Provide PPD file): システムは備わっているポストスクリプトプリンターデスクリプション (PPD) を使用します。PPD ファイルは製造元が通常提供するプリンターに同梱されています。PPD ファイルが利用可能な場合は、このオプションを選択し、オプションの詳細の下にあるブラウザバーを使用して、PPD ファイルを選択できます。
- ダウンロードするプリンタードライバーを検出 (Search for a printer driver to download): 製造元とプリンターモデルを 製造元とモデル フィールドに入力し、OpenPrinting.org で適切なパッケージを検索します。
図16.7 プリンターブランドの選択
- 上で選択した内容により、以下に表示される詳細は異なります。
- データベースからプリンターを選択 オプションの場合は、プリンターブランドを表示
- PPD ファイルを提供 オプションの場合は、PPD ファイルの場所を表示
- ダウンロードするプリンタードライバーを検出 オプションの場合は、プリンターの製造元とモデルを表示
- 選択したオプションが該当する場合は、図16.8「プリンターモデルの選択」 のようなウィンドウが表示されます。左側の モデル の列で該当するモデルを選択します。
注記
右側で、推奨される印刷ドライバーが自動的に選択されています。ただし、別の利用可能なドライバーを選ぶことも可能です。印刷ドライバーは、プリンターが理解できる形式で印刷したいデータを処理します。ローカルプリンターはご使用のコンピュータに直接つながっているため、プリンターに送られるデータを処理するプリンタードライバーが必要になります。図16.8 プリンターモデルの選択
プリンターの説明 (Describe Printer)
の下の、プリンター名 (Printer Name) フィールドに一意のプリンター名を入力します。名前には文字、数字、ハイフン (-)、アンダースコア (_) を使用できますが、スペースは 使用できません。また、説明 (Description) フィールドと 場所 (Location) フィールドに詳細情報を追加することもできます。どちらもオプションで、スペースを入れることは可能です。図16.9 プリンターの設定
- 設定が正しければ、をクリックして、ご使用のプリンター設定を確認し、印刷キューを追加できます。 をクリックすると、プリンター設定を変更できます。
- 変更が適用されると、テストページの印刷を行うダイアログボックスが表示されます。「テストページの印刷」 の記載通りに、テストページを後で印刷することもできます。をクリックするとテストページが印刷されます。
16.3.9. テストページの印刷
- 印刷 (Printing) ウィンドウでプリンターを右クリックし、 をクリックします。
- プロパティーウィンドウで、左側の 設定 (Settings) をクリックします。
- 表示されている 設定 タブで、 ボタンをクリックします。
16.3.10. 既存プリンターの修正
16.3.10.1. 設定のページ

図16.10 設定のページ
16.3.10.2. ポリシーのページ
16.3.10.2.1. プリンターの共有

図16.11 ポリシーのページ
631
への受信 TCP
接続を許可していることを確認してください。これは Network Printing Server (IPP
) プロトコル用のポートです。Red Hat Enterprise Linux 7 のファイアウォールで IPP
トラフィックを許可するには、firewalld
の IPP
サービスを使用します。これを実行するには、以下を行います。
手順16.24 firewalld での IPP サービスの有効化
- グラフィカルの firewall-config ツールを起動するには、Super キーを押してアクティビティーの概要に入り、
firewall
と入力して Enter を押します。ファイアウォールの設定 ウィンドウが開きます。次に管理者またはroot
のパスワード入力が求められます。または、コマンドラインを使用してグラフィカルなファイアウォール設定ツールを起動するには、root
で以下のコマンドを入力します。~]#
ファイアウォールの設定 ウィンドウが開きます。firewall-config
ウィンドウ左下の 「接続しました」 の表示を確認してください。これは、firewall-config ツールがユーザースペースデーモンfirewalld
に接続されていることを示します。現行のファイアウォール設定をただちに変更するには、設定 というラベルのドロップダウン選択メニューが に設定されていることを確認します。または、システムの次回の起動時またはファイアウォールの再読み込み時に設定が適用されるように編集するには、ドロップダウンリストから を選択します。 - Zones (ゾーン) タブを選択してから、使用されるネットワークインターフェースに対応するファイアウォールゾーンを選択します。デフォルトは ゾーンです。 タブには、ゾーンに割り当てられたインターフェースが表示されます。
- Services (サービス) タブを選択してから サービスを選択して共有を有効にします。 サービスがネットワークプリンターへのアクセスに必要です。
- firewall-config ツールを閉じます。
firewalld
でのポートのオープンおよびクローズの詳細については、Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティガイド を参照してください。
16.3.10.2.2. アクセス制御のページ

図16.12 アクセス制御のページ
16.3.10.2.3. プリンターオプションのページ

図16.13 プリンターオプションのページ
16.3.10.2.4. ジョブオプションのページ

図16.14 ジョブオプションのページ
16.3.10.2.5. インク/トナーのレベルのページ

図16.15 インク/トナーのレベルのページ
16.3.10.3. 印刷ジョブの管理

図16.16 GNOME 印刷の状態
lpstat -o
コマンドを入力します。最後の数行は以下のようになります。
例16.15 lpstat -o
出力の例
$ lpstat -o
Charlie-60 twaugh 1024 Tue 08 Feb 2011 16:42:11 GMT
Aaron-61 twaugh 1024 Tue 08 Feb 2011 16:42:44 GMT
Ben-62 root 1024 Tue 08 Feb 2011 16:45:42 GMT
lpstat -o
コマンドを使用して該当するジョブ番号を見つけます。その後 cancel ジョブ番号
コマンドを使用します。たとえば、cancel 60
の場合は、例16.15「lpstat -o
出力の例」 の印刷ジョブを取り消します。他のユーザーが開始した印刷ジョブを cancel
コマンドでキャンセルすることはできませんが、cancel -U root job_number
コマンドを使用して、強制的にジョブを削除することはできます。このようなキャンセルは、プリンターの操作ポリシーを 認証済
に変更し、root
認証を強制することで、禁止することができます。
lp sample.txt
コマンドはテキストファイル sample.txt
を印刷します。印刷フィルターはファイルのタイプを決定し、プリンターが理解できる形式に変換します。
16.3.11. 関連資料
インストールされているドキュメント
lp(1)
: コマンドラインからのファイルの印刷を可能にするlp
コマンドの man ページです。lpr(1)
: コマンドラインからのファイルの出力を可能にするlpr
コマンドの man ページです。cancel(1)
: 印刷キューから印刷ジョブを削除するためのコマンドユーティリティーの man ページです。mpage(1)
: 1 枚の用紙に複数ページを印刷するためのコマンドラインユーティリティーの man ページです。cupsd(8)
: CUPS プリンターデーモンの man ページです。cupsd.conf(5)
: CUPS プリンターデーモンの設定ファイルの man ページです。classes.conf(5)
: CUPS のクラス設定ファイルの man ページです。lpstat(1)
: クラス、ジョブ、プリンターなどの状態情報を表示するlpstat
コマンドの man ページです。
オンラインのドキュメント
- http://www.linuxprinting.org/: Linux Foundation web サイトの OpenPrinting グループには、Linux の印刷に関する豊富な情報が記載されています。
- http://www.cups.org/: CUPS web サイトでは、CUPS のドキュメンテーション、FAQ、およびニュースグループについて記載しています。
Where did the comment section go?
Red Hat's documentation publication system recently went through an upgrade to enable speedier, more mobile-friendly content. We decided to re-evaluate our commenting platform to ensure that it meets your expectations and serves as an optimal feedback mechanism. During this redesign, we invite your input on providing feedback on Red Hat documentation via the discussion platform.