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16.2.2.2. vsftpd の複数コピーの起動
1 台のコンピューターを複数の FTP
ドメインに使用する場合があります。これは、マルチホーミング と呼ばれるテクニックです。vsftpd
を使用してマルチホーミングを行う方法の 1 つに、デーモンの複数コピーを実行し、各コピーに設定ファイルを与える方法があります。
これを行うには、最初に、関連するすべての IP
アドレスをシステム上のネットワークデバイスまたはエイリアスネットワークデバイスに割り当てます。ネットワークデバイス、デバイスのエイリアス、およびネットワーク設定スクリプトの追加情報は、Red Hat Enterprise Linux 7 Networking Guide を参照してください。
次に、FTP
ドメインの DNS サーバーが正しいマシンを参照するように設定する必要があります。BIND、Red Hat Enterprise Linux で使用されている DNS
プロトコル実装、設定ファイルの詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 Networking Guide を参照してください。
vsftpd
が異なる IP
アドレスにおけるリクエストに応答するには、デーモンの複数コピーが実行中である必要があります。vsftpd
デーモンの複数インスタンスの起動を促進するために、特別な systemd サービスユニット (vsftpd@.service
) が vsftpd
起動用にインスタンス化されたサービスとして vsftpd パッケージ内で提供されています。
このサービスユニットを活用するには、FTP
サーバーで必要な各インスタンスの個別の vsftpd
設定ファイルを作成し、それを /etc/vsftpd/
ディレクトリーに格納する必要があります。これらの設定ファイルは、(/etc/vsftpd/vsftpd-site-2.conf
などの) 一意の名前を持ち、root
ユーザーのみが読み取り、書き込み可能とする必要があることに注意してください。
IPv4
ネットワーク上で待機している各 FTP
サーバーの設定ファイル内で、以下のディレクティブは一意のものである必要があります。
listen_address=N.N.N.N
N.N.N.N を、使用中の FTP サイト用の 一意の
IP
アドレスに置き換えます。サイトが IPv6
を使用している場合は、代わりに listen_address6
ディレクティブを使用します。
複数の設定ファイルを /etc/vsftpd/
ディレクトリーに格納しておけば、vsftpd
デーモンの個別インスタンスは、root
で以下のコマンドを実行すると開始できます。
~]# systemctl start vsftpd@configuration-file-name.service
上記のコマンドで、configuration-file-name を、vsftpd-site-2
などの、要求しているサーバーの設定ファイルの一意の名前に置き換えます。設定ファイルの .conf
拡張子は、コマンドに含めないことに注意してください。
vsftpd
デーモンの複数インスタンスを同時に開始する場合は、vsftpd パッケージに含まれる、systemd ターゲットユニットファイル (vsftpd.target
) を活用することができます。この systemd ターゲットでは、/etc/vsftpd/
ディレクトリーで利用できる各 vstpd
設定ファイルに対して、独立した vsftpd
デーモンが起動します。root
として次のコマンドを実行し、ターゲットを有効にします。
~]# systemctl enable vsftpd.target Created symlink from /etc/systemd/system/multi-user.target.wants/vsftpd.target to /usr/lib/systemd/system/vsftpd.target.
上記のコマンドは、システムの起動時に、(設定された vsftpd
サーバーインスタンスとともに) vsftpd
サービスを起動するように systemd サービスマネージャーを設定します。システムを再起動することなく、サービスをすぐに開始するには、root
で以下のコマンドを実行します。
~]# systemctl start vsftpd.target
systemd ターゲットを使用してサービスを管理する方法は、「systemd ターゲットでの作業」 を参照してください。
サーバーごとに変更するディレクティブには、以下のものがあります。
-
anon_root
-
local_root
-
vsftpd_log_file
-
xferlog_file