第4章 ユーザーとグループの管理

ユーザーとグループの制御は、Red Hat Enterprise Linux システム管理の中核となる要素です。本章では、グラフィカルユーザーインターフェースおよびコマンドラインを使用してユーザーとグループを追加、管理、削除する方法を説明し、グループディレクトリーの作成などの高度なトピックを扱います。

4.1. ユーザーとグループの概要

ユーザーは、人 (物理的なユーザーに結び付けられたアカウント)、または使用する特定のアプリケーションに対して存在するアカウントのいずれかを指し、グループは、共通の目的でユーザーをまとめた組織の論理的表現です。グループ内のユーザーは、そのグループが所有するファイルの読み取り、書き込み、実行を行う権限を共有します。

各ユーザーは、ユーザー ID (UID) と呼ばれる一意の数値 ID に関連付けられています。同様に、各グループは グループ ID (GID) に関連付けられています。ファイルを作成するユーザーは、そのファイルの所有者であり、グループ所有者でもあります。ファイルには、所有者、グループ、その他に対して読み取り、書き込み、実行のパーミッションが別々に割り当てられます。ファイル所有者の変更ができるのは root のみです。アクセスパーミッションは、root ユーザーとファイル所有者の両方が変更できます。

さらに、Red Hat Enterprise Linux はファイルとディレクトリーに対する アクセス制御リスト (ACL) をサポートします。これにより、所有者以外の特定のユーザーにパーミッションを設定できます。この機能の詳細は 5章アクセス制御リスト を参照してください。

予備のユーザーとグループ ID

Red Hat Enterprise Linux は、1000 以下のユーザー ID とグループ ID を、システムユーザーとグループ用に予約しています。ユーザー管理 には、デフォルトではシステムユーザーが表示されません。予約されているユーザー ID およびグループ ID の詳細は、setup パッケージに記載されています。このドキュメントを表示するには、以下のコマンドを実行します。

cat /usr/share/doc/setup*/uidgid

予約に使用される ID の範囲は今後広がる可能性があるため、ID には 5,000 以降の番号を割り当てることが推奨されます。新規ユーザーに割り当てる ID を 5,000 から始まるようにするには、/etc/login.defs ファイルの UID_MIN および GID_MIN ディレクティブを変更します。

[file contents truncated]
UID_MIN         5000
[file contents truncated]
GID_MIN         5000
[file contents truncated]
注記

UID_MIN ディレクティブおよび GID_MIN ディレクティブを変更する前に作成したユーザーの UID は、デフォルトの 1,000 から開始します。

新規ユーザーおよびグループの ID を 5,000 から始まるようにした場合でも、システムが予約する ID が 1000 より上にならないようにすることが推奨されます。こうすることで、1000 を上限とするシステムとの競合を避けることができます。

4.1.1. ユーザープライベートグループ

Red Hat Enterprise Linux では、UPG (ユーザープライベートグループ) スキームが使用されているため、UNIX グループを簡単に管理できます。ユーザープライベートグループは、新規ユーザーがシステムに追加されるたびに作成されます。ユーザープライベートグループは作成したユーザーと同じ名前となり、そのユーザーがそのユーザープライベートグループの唯一のメンバーになります。

ユーザープライベートグループを使用すると、新規に作成したファイルやディレクトリーに対して確実にデフォルトのパーミッションを設定できます。作成したユーザーと、そのユーザーのグループ の両方がファイルやディレクトリーを修正できるようになります。

新規に作成するファイルまたはディレクトリーに適用される権限を決める設定は umask と呼ばれ、/etc/bashrc ファイルで設定します。従来の UNIX ベースのシステムでは、umask022 に設定されており、ファイルまたはディレクトリーを作成したユーザーしか変更できませんでした。このスキームでは、作成者のグループのメンバーなど、他のユーザーは変更できませんでした。ただし、UPG スキームでは、すべてのユーザーがそれぞれプライベートグループを持つため、この「グループ保護」は必須ではなくなりました。詳細はumask を使用した、新規ファイルのデフォルト権限の設定」を参照してください。

グループの一覧は、/etc/group 設定ファイルに保存されます。

4.1.2. シャドウパスワード

マルチユーザー環境では、shadow-utils パッケージで提供される シャドウパスワード を使用することが非常に重要です。これを使用することで、システムの認証ファイルのセキュリティーを強化できます。このため、インストールプログラムでは、デフォルト設定でシャドウパスワードを有効にしています。

以下は、UNIX ベースシステムでパスワードを格納する従来の方法と比べた場合のシャドウパスワードの利点です。

  • シャドウパスワードは、暗号化されたパスワードハッシュを、あらゆるユーザーが読み取り可能な /etc/passwd ファイルから、root ユーザーのみが読み取り可能な /etc/shadow に移動して、システムセキュリティーを向上させます。
  • シャドウパスワードは、パスワードエージングに関する情報を保存します。
  • シャドウパスワードを使用すると、/etc/login.defs ファイルで設定したセキュリティーポリシーの実施が可能になります。

shadow-utils パッケージが提供するほとんどのユーティリティーは、シャドウパスワードが有効かどうかに関わらず適切に動作します。ただし、パスワードエージングの情報は /etc/shadow ファイルにのみ格納されているため、シャドウパスワードを有効にしないと、以下のユーティリティーとコマンドは動作しません。

  • パスワードエージングパラメーターを設定する chage ユーティリティー詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドPassword Security セクションをご覧ください。
  • /etc/group ファイルを管理する gpasswd ユーティリティー。
  • -e, --expiredate または -f, --inactive オプションを指定して usermod コマンド。
  • -e, --expiredate または -f, --inactive オプションを指定して useradd コマンド。

4.2. グラフィカル環境でのユーザーの管理

Users ユーティリティーは、グラフィカルユーザーインターフェースで、ローカルユーザーを表示、編集、追加、削除できます。

4.2.1. ユーザー設定ツールの使用

Super キーを押してアクティビティーの概要に入り、Users と入力して Enter を押します。ユーザー 設定ツールが表示されます。Super キーはキーボードや他のハードウェアによって外見が異なりますが、通常はスペースバーの左側にある Windows キーまたは Command キーになります。また、画面の右上にある自分のユーザー名をクリックし、設定メニューから ユーザー ユーティリティーを開くこともできます。

ユーザーアカウントに変更を加えるには、最初に Unlock (ロック解除) ボタンを選択し、表示されたダイアログボックスに従って自身を認証します。スーパーユーザー特権がない場合は、root で認証するよう求められます。ユーザーを追加および削除するには、+ ボタンと - ボタンをそれぞれクリックします。管理グループ wheel にユーザーを追加するには、アカウントの種別を Standard から Administrator に変更します。ユーザーの言語設定を編集するには、言語を選択します (ドロップダウンメニューが表示されます)。

図4.1 ユーザー設定ツール

ユーザー設定ツール

新しいユーザーを作成しても、パスワードを設定するまでアカウントは無効になります。Password (パスワード) ドロップダウンメニュー (図4.2「パスワードメニュー」 を参照) には、管理者がすぐにパスワードを設定できるオプションが含まれます。最初のログイン時にユーザーがパスワードを選択するか、ログインパスワードなしでゲストアカウントを作成します。また、このメニューからアカウントを無効または有効にすることもできます。

図4.2 パスワードメニュー

パスワードメニュー

4.3. コマンドラインツールの使用

「グラフィカル環境でのユーザーの管理」 で説明されている Users 設定ツール (ユーザーの基本的な管理用) のほかに、表4.1「ユーザーとグループを管理するためのコマンドラインユーティリティー」 に挙げられているユーザーとグループの管理コマンドラインツールを使用できます。

表4.1 ユーザーとグループを管理するためのコマンドラインユーティリティー

ユーティリティー詳細

id

ユーザー ID およびグループ ID を表示します。

useradd, usermod, userdel

ユーザーアカウントを追加、修正、削除する標準ユーティリティーです。

groupadd, groupmod, groupdel

グループを追加、修正、削除する標準ユーティリティーです。

gpasswd

ユーティリティーは、主に、newgrp コマンドが使用する /etc/gshadow ファイルでグループパスワードの修正に使用されます。

pwck, grpck

パスワード、グループ、関連シャドウファイルを検証するユーティリティーです。

pwconv, pwunconv

通常のパスワードをシャドウパスワードに変換する、またはシャドウパスワードから通常のパスワードに変換するユーティリティーです。

grpconv, grpunconv

pwconv、pwunconv と同様、このユーティリティーは、グループアカウントのシャドウ化された情報を変換するのに使用できます。

4.3.1. 新規ユーザーの追加

システムにユーザーを追加するには、root で次のコマンドを実行します。

useradd options username

ここで、options表4.2「一般的な useradd コマンドラインオプション」 で説明されているコマンドラインオプションです。

デフォルトでは、useradd コマンドは、ロックされたユーザーアカウントを作成します。アカウントをアンロックするには、root で次のコマンドを実行して、パスワードを割り当てます。

passwd username

オプションで、パスワードエージングポリシーを設定できます。詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドPassword Security セクションをご覧ください。

表4.2 一般的な useradd コマンドラインオプション

オプション 

-c 'comment'

comment にはどの文字列でも使用できます。このオプションは、通常、ユーザーの氏名を指定するのに使用されます。

-d home_directory

デフォルトの /home/username/ の代わりに使用するホームディレクトリーです。

-e 日付

YYYY-MM-DD の形式でアカウントを無効にする日付です。

-f

パスワードが失効してからアカウントが無効になるまでの日数です。0 にすると、パスワードが失効した直後にアカウントが無効になります。-1 にすると、パスワードが失効してもアカウントは無効になりません。

-g group_name

ユーザーのデフォルト (プライマリー) グループ用のグループ名またはグループ番号です。グループは、ここで指定するよりも前に作成されている必要があります。

-G group_list

ユーザーがメンバーとなる追加 (補助、デフォルト以外のもの) のグループ名またはグループ番号の一覧で、コンマで区切ります。グループは、ここで指定する前に作成しておく必要があります。

-m

ホームディレクトリーがない場合は、これを作成します。

-M

ホームディレクトリーを作成しません。

-N

ユーザー用のユーザープライベートグループを作成しません。

-p パスワード

crypt を使用してパスワードを暗号化しました。

-r

UID が 1000 未満でホームディレクトリーがないシステムアカウントを作成します。

-s

ユーザーのログインシェルです。デフォルトは /bin/bash に設定されています。

-u uid

ユーザーのユーザー ID です。一意の番号で 999 より大きい数でなければなりません。

重要

Red Hat Enterprise Linux 7 では、システムユーザーおよび通常のユーザーのデフォルトの ID 範囲が変更になりました。以前はシステムユーザーに UID 1 ~ 499 が使用され、それよりも上の値が通常のユーザーに使用されていました。変更後は、システムユーザーのデフォルト範囲が 1 ~ 999 になりました。この変更により、既存のユーザーの UID と GID に 500 ~ 999 を使用している場合に Red Hat Enterprise Linux 7 に移行すると、問題が発生する場合があります。UID および GID のデフォルトの範囲は /etc/login.defs ファイルで変更できます。

プロセスの説明

以下の手順は、シャドウパスワードが有効なシステムで useradd juan コマンドを実行したときに発生する内容を解説したものです。

  1. juan の新しい行は、/etc/passwd に作成されます。

    juan:x:1001:1001::/home/juan:/bin/bash

    この行には以下の特徴があります。

    • ユーザー名 juan で始まります。
    • パスワードフィールドには x が表示されます。これは、システムがシャドウパスワードを使用していることを示しています。
    • 999 より大きい UID が作成されます。Red Hat Enterprise Linux 7 では、1000 未満の UID は、システムが使用するために予約されています。1000 未満の UID をユーザーに割り当てないでください。
    • 999 より大きい GID が作成されます。Red Hat Enterprise Linux 7 では、1000 未満の GID は、システムが使用するために予約されています。1000 未満の GID はユーザーに割り当てないでください。
    • オプションの GECOS 情報は空白のままになっています。GECOS フィールドは、氏名や電話番号などユーザーの追加情報を提供するために使用されます。
    • juan のホームディレクトリーは /home/juan/ に設定されます。
    • デフォルトシェルは /bin/bash に設定されます。
  2. juan の新しい行は、/etc/shadow に作成されます。

    juan:!!:14798:0:99999:7:::

    この行には以下の特徴があります。

    • ユーザー名 juan で始まります。
    • !! ファイルのパスワードフィールドには 2 つの感嘆符 (/etc/shadow) が表示され、アカウントがロックされていることを示しています。

      注記

      暗号化したパスワードを、-p フラグを使用して渡す場合は、そのユーザー用に、/etc/shadow ファイルに新しい行が追加されます。

    • パスワードは有効期限なしで設定されています。
  3. juan という名前のグループ用の新しい行が /etc/group に作成されます。

    juan:x:1001:

    ユーザーと同じ名前のグループは、ユーザープライベートグループ と呼ばれます。ユーザープライベートグループの詳細は「ユーザープライベートグループ」を参照してください。

    /etc/group に作成した行には、以下の特徴があります。

    • グループ名 juan で始まります。
    • パスワードフィールドには x が表示されます。これは、システムがシャドウグループパスワードを使用していることを示しています。
    • GID は、/etc/passwdjuan のプライマリーグループに記載されているものと一致します。
  4. juan という名前のグループ用の新しい行が /etc/gshadow に作成されます。

    juan:!::

    この行には以下の特徴があります。

    • グループ名 juan で始まります。
    • ! ファイルのパスワードフィールドには 1 つの感嘆符 (/etc/gshadow) が表示され、グループがロックされていることを示しています。
    • その他のフィールドはすべて空白です。
  5. ユーザー juan ディレクトリーが /home ディレクトリーに作成されます。

    ~]# ls -ld /home/juan
    drwx------. 4 juan juan 4096 Mar 3 18:23 /home/juan

    このディレクトリーは juan ユーザーおよび juan グループが所有します。ユーザー juanのみ読み取り書き込み および 実行 の権限が与えられています。その他のパーミッションは拒否されます。

  6. (デフォルトユーザー設定を含む) /etc/skel/ ディレクトリーが、新しい /home/juan/ ディレクトリーにコピーされます。

    ~]# ls -la /home/juan
    total 28
    drwx------. 4 juan juan 4096 Mar 3 18:23 .
    drwxr-xr-x. 5 root root 4096 Mar 3 18:23 ..
    -rw-r--r--. 1 juan juan  18 Jun 22 2010 .bash_logout
    -rw-r--r--. 1 juan juan 176 Jun 22 2010 .bash_profile
    -rw-r--r--. 1 juan juan 124 Jun 22 2010 .bashrc
    drwxr-xr-x. 4 juan juan 4096 Nov 23 15:09 .mozilla

この時点では、juan という名前のロックされたアカウントがシステムに存在します。このアカウントをアクティブにするには、管理者が passwd コマンドを使用して、このアカウントにパスワードを割り当てる必要があります。オプションでパスワードエージングのガイドラインを設定することもできます (詳細は 『Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイド』の「パスワードセキュリティー」を参照)。

4.3.2. 新規グループの追加

システムに新しいグループを追加するには、root で次のコマンドを実行します。

groupadd options group_name

ここで、options表4.3「一般的な groupadd コマンドラインオプション」 で説明されているコマンドラインオプションです。

表4.3 一般的な groupadd コマンドラインオプション

オプション詳細

-f, --force

-g gid を使用し、gid が存在していると、groupadd により、そのグループに別の一意の gid を選択します。

-g gid

グループのグループ ID です。一意の番号で 999 より大きい数でなければなりません。

-K, --key key=value

/etc/login.defs デフォルトを上書きします。

-o, --non-unique

GID が重複するグループの作成を許可します。

-p--password パスワード

新規グループ用にこの暗号化されたパスワードを使用します。

-r

GID が 1000 未満のシステムグループを作成します。

4.3.3. 既存グループへの既存ユーザーの追加

usermod ユーティリティーを使用して、既存のユーザーを既存のグループに追加します。

usermod のさまざまなオプションは、ユーザーのプライマリーグループと補助グループにさまざまな影響を与えます。

ユーザーのプライマリーグループを上書きするには、root で以下のコマンドを実行します。

~]# usermod -g group_name user_name

ユーザーの補助グループを上書きするには、root で以下のコマンドを実行します。

~]# usermod -G group_name1,group_name2,... user_name

この場合、ユーザーの補助グループは、すべて新しいグループに置き換えられます。

ユーザーの補助グループにグループを追加するには、root で以下のコマンドのいずれかを実行します。

~]# usermod -aG group_name1,group_name2,... user_name
~]# usermod --append -G group_name1,group_name2,... user_name

この場合は、新しいグループが、ユーザーの現在の補助グループに追加されます。

4.3.4. グループディレクトリーの作成

システム管理者は、通常、主要なプロジェクトに対してそれぞれグループを作成し、そのプロジェクトのファイルにアクセスする必要がある場合に、そのユーザーをグループに割り当てる傾向があります。こうした従来型のスキームの場合は、誰かがファイルを作成すると、そのユーザーが属するプライマリーグループにそのファイルが関連付けられるため、ファイル管理は困難になります。このため、1 人のユーザーが複数のプロジェクトに関わっている場合に、正しいファイルを正しいグループに関連付けることは難しくなります。一方、UPG スキームを使用すると、グループは setgid ビットセットを持つディレクトリーに作成されたファイルに自動的に割り当てられます。setgid ビットにより、共通のディレクトリーを共有するグループプロジェクトを非常に簡単に管理できます。ユーザーがディレクトリー内で作成するすべてのファイルは、ディレクトリーを所有するグループが所有するためです。

たとえば、あるグループが /opt/myproject/ ディレクトリーのファイルを作業する必要があるとします。グループの中には、このディレクトリーのコンテンツの修正を信頼して任せられる人もいますが、全員ではありません。

  1. root で、シェルプロンプトで以下を入力して、/opt/myproject/ ディレクトリーを作成します。

    mkdir /opt/myproject
  2. システムに myproject グループを追加します。

    groupadd myproject
  3. /opt/myproject/ ディレクトリーの内容を myproject グループに関連付けます。

    chown root:myproject /opt/myproject
  4. グループのユーザーがそのディレクトリーにファイルを作成し、setgid ビットを設定できるようにします。

    chmod 2775 /opt/myproject

    この設定により、ユーザーがファイルを作成するたびに、管理者がファイルのパーミッションを変更しなくても、myproject グループの全メンバーが /opt/myproject/ ディレクトリーにファイルを作成および編集できます。パーミッションが正しく設定されていることを確認するには、以下のコマンドを実行します。

    ~]# ls -ld /opt/myproject
    drwxrwsr-x. 3 root myproject 4096 Mar 3 18:31 /opt/myproject
  5. myproject グループにユーザーを追加します。

    usermod -aG myproject username

4.3.5. umask を使用した、新規ファイルのデフォルト権限の設定

プロセスがファイルを作成すると、そのファイルにはデフォルト権限 (-rw-rw-r-- など) が設定されます。こうした初期権限は、ファイルモード作成マスク (ファイル権限マスク または umask とも呼ばれる) で部分的に定義されます。たとえば、bashumask は、デフォルトで 0022 となるなど、すべてのプロセスにそれぞれの umask が設定されています。プロセスの umask は変更できます。

umask を構成するもの

umask は、標準のファイル権限に対応するビットで構成されています。たとえば、umask 0137 の場合、その数字は次のような意味になります。

  • 0 = 意味なし。必ず 0 になります (umask は特別なビットに影響しません)。
  • 1 = オーナーの権限。実行ビットが設定されます。
  • 3 = グループの権限。実行ビットおよび書き込みビットが設定されます。
  • 7 = その他のユーザーの権限。実行ビット、書き込みビット、読み取りビットが設定されます。

umask では 2 進法、8 進法、またはシンボリック表示が使用できます。たとえば、8 進法の 0137 はシンボリック表示では u=rw-,g=r--,o=--- となります。シンボリック表示は 8 進法表示とは異なり、禁止権限ではなく、許可された権限を示します。

umask の仕組み

umask は、ファイルに パーミッションを付与するのを禁止する ようにします。

  • umask に設定しているビットは、ファイルには設定されません。
  • umask に設定していないビットは、他の要素にもよりますが、ファイルに設定されます。

以下の図は、umask 0137 が新しいファイルの作成にどのように影響するかを示しています。

図4.3 ファイルの作成時に umask を適用

ユーザーグループ umask の例
重要

セキュリティー上の理由から、レギュラーファイルにはデフォルトで実行権限が設定されていません。したがって、umask がいかなる権限も禁止しない 0000 であっても、新しいレギュラーファイルは実行権限を持ちません。ただし、ディレクトリーは実行権限を持つ状態で作成できます。

[john@server tmp]$ umask 0000
[john@server tmp]$ touch file
[john@server tmp]$ mkdir directory
[john@server tmp]$ ls -lh .
total 0
drwxrwxrwx. 2 john john 40 Nov 2 13:17 directory
-rw-rw-rw-. 1 john john 0 Nov 2 13:17 file

4.3.5.1. シェルで umask の管理

bashkshzshtcsh などの一般的なシェルでは umaskumask シェル builtin を使用して管理されます。シェルから起動したプロセスは、その umask を継承します。

現在のマスクの表示

現在の umask を 8 進法で表示するには、以下のコマンドを実行します。

~]$ umask
0022

現在の umask をシンボリック表示で表示するには、以下のコマンドを実行します。

~]$ umask -S
u=rwx,g=rx,o=rx
umask を使用したシェルにおけるマスクの設定

8 進法を使用して、現行シェルセッションに umask を設定するには、以下のコマンドを実行します。

~]$ umask octal_mask

octal_mask を、0 から 7 の 4 桁以下の数値に置き換えます。3 桁以下の数値を指定すると、頭に 0 が付いた 4 桁の数値として権限が設定されます。たとえば、入力したコマンドが umask 7 であれば、そのコマンドの数値は 0007 として解釈されます。

例4.1 8 進法を使用した umask の設定

新しいファイルで、オーナーとグループに書き込み権限と実行権限を持たせず、その他のユーザーにはいかなる権限も持たせないようにするには、以下を実行します。

~]$ umask 0337

もしくは、簡潔に次のコマンドを実行します。

~]$ umask 337

シンボリック表記法を使用して、現行シェルセッションの umask を設定するには、以下のコマンドを実行します。

~]$ umask -S symbolic_mask

例4.2 シンボリック表示を使用した umask の設定

シンボリック表記法を使用して umask 0337 を設定するには、次のコマンドを実行します。

~]$ umask -S u=r,g=r,o=
デフォルトシェルの umask での作業

シェルには、通常、デフォルトの umask が設定されている構成ファイルがあります。bash では、/etc/bashrc になります。デフォルトの bash umask を表示するには、以下のコマンドを実行します。

~]$ grep -i -B 1 umask /etc/bashrc

出力では、umask の設定が、umask コマンドまたは UMASK 変数のいずれかを使用して行われていることが示されます。以下の例では、umask コマンドを使用して、umask022 に設定されています。

~]$ grep -i -B 1 umask /etc/bashrc
  # By default, we want umask to get set. This sets it for non-login shell.
--
  if [ $UID -gt 199 ] && [ “id -gn” = “id -un” ]; then
    umask 002
  else
    umask 022

bash のデフォルトの umask を変更するには、umask コマンド呼び出しまたは /etc/bashrcUMASK 変数の割り当てを変更します。この例では、デフォルトの umask0227 に変更します。

  if [ $UID -gt 199 ] && [ “id -gn” = “id -un” ]; then
    umask 002
  else
    umask 227
特定ユーザーのデフォルトシェルの umask での作業

デフォルトでは、新規ユーザーの bash umask はデフォルトで /etc/bashrc で定義されているものに設定されます。

特定ユーザーの bash umaskを変更するには、そのユーザーの $HOME/.bashrc ファイルで umask コマンドに呼び出しを追加します。たとえば、ユーザー johnbash umask0227 に変更するには、以下のコマンドを実行します。

john@server ~]$ echo 'umask 227' >> /home/john/.bashrc
新しく作成されたホームディレクトリーのデフォルト権限設定

作成したユーザーホームディレクトリーの権限を変更するには、UMASK ファイルで /etc/login.defs 変数を変更します。

# The permission mask is initialized to this value. If not specified,
# the permission mask will be initialized to 022.
UMASK 077

4.4. 関連資料

Red Hat Enterprise Linux でユーザーとグループを管理する方法は、下記の資料を参照してください。

インストールされているドキュメント

ユーザーおよびグループの管理に使用する各種ユーティリティーの詳細情報は、以下の man ページを参照してください。

  • useradd(8): useradd コマンドの man ページでは、新しいユーザーを作成する方法が説明されています。
  • userdel(8): userdel コマンドの man ページでは、新しいユーザーを削除する方法が説明されています。
  • usermod(8): usermod コマンドの man ページでは、新しいユーザーを変更する方法が説明されています。
  • groupadd(8): groupadd コマンドの man ページでは、新しいグループを作成する方法が説明されています。
  • groupdel(8): groupdel コマンドの man ページでは、ユーザーを削除する方法が説明されています。
  • groupmod(8): groupmod コマンドの man ページでは、グループメンバーシップを変更する方法が説明されています。
  • gpasswd(1): gpasswd コマンドの man ページでは、/etc/group ファイルの管理方法が説明されています。
  • grpck(8): grpck コマンドの man ページでは、/etc/group ファイルの整合性を検証する方法が説明されています。
  • pwck(8): pwck コマンドの man ページでは、/etc/passwd および /etc/shadow ファイルの整合性を検証する方法が説明されています。
  • pwconv(8): pwconvpwunconvgrpconv、および grpunconv コマンドの man ページでは、、パスワードおよびグループ用にシャドウ化された情報を変換する方法が説明されています。
  • id(1): id コマンドの man ページでは、ユーザー ID およびグループ ID を表示する方法が説明されています。
  • umask(2): umask コマンドの man ページでは、ファイルモード作成マスクの使用方法が説明されています。

関連する設定ファイルの詳細は、以下をご覧ください。

  • group(5): /etc/group ファイルの man ページでは、このファイルを使用してシステムグループを定義する方法が説明されています。
  • passwd(5): /etc/passwd ファイルの man ページでは、このファイルを使用してユーザー情報を定義する方法が説明されています。
  • shadow(5): /etc/shadow ファイルの man ページでは、システムでパスワードおよびアカウントの有効期限情報を設定する方法が説明されています。

オンラインドキュメント

  • Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイド: Red Hat Enterprise Linux 7 の セキュリティーガイド では、パスワードのエージングとユーザーアカウントのロックを有効にして、パスワードとワークステーションのセキュリティーを高める追加情報を提供しています。

関連項目

  • 6章権限の取得 では、su および sudo コマンドを使って管理者権限を取得する方法を説明しています。

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