第11章 アクセシビリティーのためのシステム設定
Red Hat Enterprise Linux 7 のアクセシビリティーは、オペレーティングシステムのデフォルトインストールに含まれる Orca スクリーンリーダーによって確保されています。本章では、システム管理者が、視覚障害を持つユーザーに有用なシステムを設定する方法を説明します。
Orca は画面から情報を読み取り、以下を使用してユーザーに伝えます。
- 音声合成装置 (音声出力を提供)
- 点字ディスプレイ (触知可能な出力を提供)
Orca の設定に関する詳細は、ヘルプページ をご覧ください。
Orca のコミュニケーション出力を正常に機能させるために、システム管理者は以下を行う必要があります。
-
「
brltty
サービスの設定」 の説明に従って、brltty
サービスを設定します。 -
「
Always Show Universal Access Menu
をオンに切り替えます」 の説明に従って、Always Show Universal Access Menu
をオンにします。 - 「Festival Speech Synthesis System の有効化」 の記載どおりに、Festival 音声合成装置を有効にします。
11.1. brltty
サービスの設定
点字ディスプレイは、brltty
サービスを使用して視覚障害のあるユーザーに触知可能な出力を提供します。
brltty サービスを有効する
点字ディスプレイは、brltty
が実行していないと作動しません。デフォルトでは、brltty
は無効化されています。システムの起動時に brltty
が起動するようにします。
~]# systemctl enable brltty.service
ユーザーへの点字ディスプレイの使用許可
点字ディスプレイの使用を許可されているユーザーを設定するには、以下のいずれか 1 つの手順を選択してください。/etc/brltty.conf
ファイルを使用した手順は、ユーザーまたはグループをファイルに割り当てることができないファイルシステムにも適しています。/etc/brlapi.key
ファイルを使用する方法は、ユーザーまたはグループをファイルに割り当てられるファイルシステムのみに適しています。
/etc/brltty.conf
を使用して点字ディスプレイへのアクセスの設定
-
/etc/brltty.conf
ファイルを開き、Application Programming Interface Parameters というセクションを見つけます。 ユーザーを指定します。
1 人以上の個々のユーザーを指定するには、次の行にユーザーを追加します。
api-parameters Auth=user:
user_1, user_2, ...
# Allow some local userユーザーグループを指定するには、次の行に名前を入力します。
api-parameters Auth=group:
group
# Allow some local group
/etc/brlapi.key
を使用して点字ディスプレイへのアクセスの設定
/etc/brlapi.key
ファイルを作成します。~]# mcookie > /etc/brlapi.key
/etc/brlapi.key
の所有権を特定のユーザーまたはグループに変更します。個々のユーザーを指定するには、次のコマンドを実行します。
~]# chown user_1 /etc/brlapi.key
グループを指定するには、次のコマンドを実行します。
~]# chown group_1 /etc/brlapi.key
/etc/brltty.conf
の内容を調整して、以下を追加します。api-parameters Auth=keyfile:
/etc/brlapi.key
点字ドライバーの設定
/etc/brltty.conf
の braille-driver
ディレクティブは、点字ディスプレイのドライバーの、2 文字から成るドライバー識別コードを指定します。
点字ドライバーの設定
適切な点字ドライバーを見つけるときに、自動検知機能を使用するかどうか決定します。
自動検出を使用する場合は、デフォルトのオプションである
auto
にbraille driver
を指定しておきます。braille-driver
auto
# autodetect警告自動検出はすべてのドライバーを試行します。そのため、時間がかかるか、失敗することさえあります。そのため、特定の点字ドライバーに設定しておくことが推奨されます。
自動検出を使用しない場合は、
braille-driver
ディレクティブで必要な braille ドライバーの識別コードを指定します。/etc/brltty.conf
に記載されている一覧から、必要な点字ドライバーの識別コードを選択します。たとえば、以下のようになります。braille-driver
xw
# XWindow複数のドライバーをコンマで区切って設定することもでき、それらの間で自動検出が実行されます。
点字装置の設定
/etc/brltty.conf
の braille-device
ディレクティブは、点字ディスプレイに接続する装置を指定します。以下の装置の種類に対応しています (表11.1「点字装置の種類と対応する構文」 を参照)。
表11.1 点字装置の種類と対応する構文
以下は、特定の装置の設定例です。
braille-deviceserial:ttyS0
# First serial device braille-deviceusb:
# First USB device matching braille driver braille-deviceusb:nnnnn
# Specific USB device by serial number braille-devicebluetooth:xx:xx:xx:xx:xx:xx
# Specific Bluetooth device by address
また、複数のデバイスをコンマで区切って設定することもでき、各デバイスは順番にプローブされます。
デバイスが serial-to-USB アダプターで接続されている場合は、braille-device
を usb:
に設定しても機能しません。この場合は、カーネルがアダプター用に作成した仮想シリアルデバイスを識別します。仮想シリアルデバイスは次のようになります。
serial:ttyUSB0
You can find the actual device name in the kernel messages on the device plug with the following command:
~]# dmesg | fgrep ttyUSB0
点字ディスプレイへ特定のパラメーターの設定
点字ディスプレイに特定のパラメーターを設定する必要がある場合は、/etc/brltty.conf
の braille-parameters
ディレクティブを使用します。braille-parameters
ディレクティブは、非汎用パラメーターを点字ドライバーに渡します。/etc/brltty.conf
の一覧から必要なパラメーターを選択します。
テキストテーブルの設定
/etc/brltty.conf
の text-table
ディレクティブは、記号のエンコードに使用するテキストテーブルを指定します。テキストテーブルの相対パスは /etc/brltty/Text/
ディレクトリーにあります。
テキストテーブルの設定
- 適切なテキストテーブルを見つけるために自動選択を使用するかどうかを決定します。
自動選択を使用する場合は、
text-table
をデフォルトオプションのauto
に指定したままにします。text-table
auto
# locale-based autoselectionこれにより、
en-nabcc
へのフォールバックを使用したローカルベースの自動選択が実行されます。自動選択機能を使用したくない場合は、
/etc/brltty.conf
の一覧から必要なtext-table
を選択します。たとえば、アメリカ英語のテキストテーブルを使用するには、次を指定します。
text-table
en_US
# English (United States)
Contraction テーブルの設定
/etc/brltty.conf
の contraction-table
ディレクティブは、略語のエンコードに使用するテーブルを指定します。特定の収縮テーブルの相対パスは /etc/brltty/Contraction/
ディレクトリーにあります。
/etc/brltty.conf
の一覧から必要な contraction-table
を選択します。
たとえば、グレード 2 のアメリカ英語の収縮表を使用するには、次を指定します。
contraction-table en-us-g2
# English (US, grade 2)
指定しない場合、収縮表は使用されません。
11.2. Always Show Universal Access Menu
をオンに切り替えます
Orca スクリーンリーダーのスイッチを入れるには、Super+Alt+S キーを同時に押します。これにより、Universal Access Menu アイコンがトップバーに表示されます。

ユーザーがユニバーサルアクセスメニュー (Universal Access Menu) にあるすべてのオプションのスイッチをオフにしていると、このアイコンは表示されません。アイコンがないと、視覚障害のあるユーザーのご利用が難しくなります。システム管理者は、Always Show Universal Access Menu
をオンにしてアイコンにアクセスできないようにすることができます。Always Show Universal Access Menu
を有効にすると、このメニューのすべてのオプションが無効になっている場合でも、アイコンがトップバーに表示されます。
Always Show Universal Access Menu
をオンにする
- Gnome Settings メニューを開き、 をクリックします。
Always Show Universal Access Menu
をオンにします。オプション: このメニューのすべてのオプションのスイッチがオフになっていても、ユニバーサルアクセスメニュー (Universal Access Menu) アイコンがトップバーに表示されていることを確認します。
11.3. Festival Speech Synthesis System の有効化
デフォルトでは Orca は eSpeak 音声合成装置を使用していますが、Festival Speech Synthesis System にも対応しています。eSpeak および Festival Speech Synthesis System (Festival) は、異なる方法で音声を合成します。一部のユーザーは、デフォルトの eSpeakシンセサイザーより、Festival を好む場合があります。Festival を有効化する手順は以下のとおりです。
Festival のインストールとブート時の実行
Festival をインストールします。
~]# yum install festival festival-freebsoft-utils
Festival を起動時に実行します。
新しい
systemd
ユニットファイルを作成します。/etc/systemd/system/
ディレクトリーにファイルを作成し、実行可能にします。~]# touch /etc/systemd/system/festival.service ~]# chmod 664 /etc/systemd/system/festival.service
/usr/bin/festival_server
ファイルのスクリプトが Festival の実行に使用されていることを確認します。以下の内容を/etc/systemd/system/festival.service
ファイルに追加します。[Unit] Description=Festival speech synthesis server [Service] ExecStart=/usr/bin/festival_server Type=simple
新しいファイル
festival.service
が存在することをsystemd
に通知します。~]# systemctl daemon-reload ~]# systemctl start festival.service
festival.service
を有効化します。~]# systemctl enable festival.service
Festival の音声の選択
Festival には複数の音声が用意されています。
音声を利用するには、以下の一覧から関連するパッケージをインストールしてください。
- festvox-awb-arctic-hts
- festvox-bdl-arctic-hts
- festvox-clb-arctic-hts
- festvox-kal-diphone
- festvox-ked-diphone
- festvox-rms-arctic-hts
- festvox-slt-arctic-hts
- hispavoces-pal-diphone
- hispavoces-sfl-diphone
特定の音声に関する詳細は以下でご覧ください。
~]# yum info package_name
必要な音声を利用するには、その音声を含むパッケージをインストールして、再起動します。
~]# yum install package_name ~]# reboot
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