Red Hat Training
A Red Hat training course is available for Red Hat Enterprise Linux
A.5. tuned-adm
tuned-adm は Tuned のプロファイルを切り替えて、特定の使用事例でパフォーマンスの向上を可能にするコマンドラインツールです。システムを評価し、推奨されるチューニングプロファイルを出力する tuned-adm recommend サブコマンドも提供します。
Red Hat Enterprise Linux 7 より、Tuned にチューニングプロファイルの有効化または無効化の一環としてあらゆるシェルコマンドを実行できる機能が追加されました。これにより、Tuned に統合されていない機能を使用した Tuned の拡張が可能になります。
また、Red Hat Enterprise Linux 7 ではプロファイル定義ファイルに
include
パラメーターが用意されるため、既存のプロファイルで独自の Tuned プロファイルをベースにすることができます。
Tuned では以下のチューニングプロファイルが提供され、Red Hat Enterprise Linux 7 でサポートされます。
- throughput-performance
- 処理能力の改善に焦点をあてたサーバープロファイルになります。デフォルトのプロファイルでほとんどのシステムに推奨となります。このプロファイルは、
intel_pstate
とmin_perf_pct=100
を設定して節電によりパフォーマンスを重視します。透過的な HugePage を有効にし、cpupower を使ってperformance
cpufreq ガバナーを設定します。また、kernel.sched_min_granularity_ns
を10
μs、kernel.sched_wakeup_granularity_ns
を15
μs、vm.dirty_ratio
を40
% に設定します。 - latency-performance
- 待ち時間の短縮に焦点をあてたサーバープロファイルです。c-state チューニングや Transparent Huge Page の TLB 効率性の改善を目的とする待ち時間に制約のある作業負荷に推奨のプロファイルです。このプロファイルは、
intel_pstate
とmax_perf_pct=100
を設定して節電によりパフォーマンスを重視します。これは、Transparent Huge Page (THP) を有効にし、cpupower を使用して、performance
cpufreq ガバナーを設定し、cpu_dma_latency
値1
を要求します。 - network-latency
- ネットワークの待ち時間短縮に焦点をあてたサーバープロファイルです。このプロファイルは、
intel_pstate
とmin_perf_pct=100
を設定して節電によりパフォーマンスを重視します。透過的な巨大ページと NUMA 自動負荷分散が無効になります。また、cpupower を使用して、performance
cpufreq ガバナーを設定し、cpu_dma_latency
値1
を要求します。また、busy_read
およびbusy_poll
時間を50
μs に設定し、tcp_fastopen
を3
に設定します。 - network-throughput
- ネットワーク処理能力の改善に焦点をあてたサーバープロファイルです。
intel_pstate
とmax_perf_pct=100
を設定しカーネルのネットワークバッファーサイズを大きくして節電よりパフォーマンスを重視します。Transparent Huge Page を有効にし、cpupower を使ってperformance
cpufreq ガバナーを設定します。また、kernel.sched_min_granularity_ns
を10
μs、kernel.sched_wakeup_granularity_ns
を 15 μs、vm.dirty_ratio
を40
% に設定します。 - virtual-guest
- Red Hat Enterprise Linux 7 仮想マシンと VMware ゲストでのパフォーマンスの最適化に焦点をあてたプロファイルです。このプロファイルは、
intel_pstate
とmax_perf_pct=100
を設定して節電によりパフォーマンスを重視します。また仮想マシンの swap を低減します。Transparent Huge Page を有効にし、cpupower を使ってperformance
cpufreq ガバナーを設定します。また、kernel.sched_min_granularity_ns
を10
μs、kernel.sched_wakeup_granularity_ns
を 15 μs、vm.dirty_ratio
を40
% に設定します。 - virtual-host
- Red Hat Enterprise Linux 7 仮想ホストでのパフォーマンスの最適化に焦点をあてたプロファイルです。このプロファイルは、
intel_pstate
とmax_perf_pct=100
を設定して節電によりパフォーマンスを重視します。また仮想マシンの swap を低減します。Transparent Huge Page を有効にしダーティーなページをより頻繁にディスクに書き戻します。cpupower を使ってperformance
cpufreq ガバナーを設定しますまた、kernel.sched_min_granularity_ns
を10
μs、kernel.sched_wakeup_granularity_ns
を 15 μs、kernel.sched_migration_cost
を5
μs、vm.dirty_ratio
を40
% に設定します。 cpu-partitioning
cpu-partitioning
プロファイルは、システムの CPU を、分離されたハウスキーピングの CPU に分割します。分離された CPU のジッターと割り込みを減らすために、プロファイルは分離された CPU を、ユーザー空間プロセス、可動カーネルスレッド、割り込みハンドラー、およびカーネルタイマーから削除します。ハウスキーピング CPU は、すべてのサービス、シェルプロセス、およびカーネルスレッドを実行できます。/etc/tuned/cpu-partitioning-variables.conf
ファイルにcpu-partitioning
プロファイルを設定できます。設定オプションは以下のようになります。isolated_cores=cpu-list
- 分離する CPU を一覧表示します。分離された CPU の一覧はコンマで区切るか、ユーザーが範囲を指定できます。
3-5
のようにハイフンを使用して範囲を指定できます。このオプションは必須です。この一覧にない CPU は、自動的にハウスキーピング CPU と見なされます。 no_balance_cores=cpu-list
- システム全体のプロセスの負荷分散時に、カーネルに考慮されない CPU の一覧を表示します。このオプションは任意です。通常、これは
isolated_cores
と同じリストです。
cpu-partitioning
の詳細は、tuned-profiles-cpu-partitioning(7) の man ページを参照してください。
tuned-adm
で提供される節電プロファイルの詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 電力管理ガイドを参照してください。
tuned-adm
の使用に関する詳細は man ページをご覧ください。
$ man tuned-adm