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14.2. DHCP サーバーの設定

dhcp パッケージには、インターネットシステムの Consortium (ISC) DHCP サーバーが含まれます。root でこのパッケージをインストールします。
~]# yum install dhcp
dhcp パッケージをインストールすると、ファイル /etc/dhcp/dhcpd.conf が作成されます。このファイルは、空の設定ファイルです。これは単なる空の設定ファイルです。root で以下のコマンドを実行します。
~]# cat /etc/dhcp/dhcpd.conf
#
# DHCP Server Configuration file.
#   see /usr/share/doc/dhcp*/dhcpd.conf.example
#   see dhcpd.conf(5) man page
#
サンプルの設定ファイルは、/usr/share/doc/dhcp-version;/dhcpd.conf.example にあります。/etc/dhcp/dhcpd.conf を設定するする際に、このファイルを使用してください。詳細は以下で説明します。
また、DHCP/var/lib/dhcpd/dhcpd.leases ファイルを使用してクライアントのリースデータベースを格納します。詳細は、「リースデータベース」を参照してください。

14.2.1. 設定ファイル

DHCP サーバーを設定するには、最初にクライアントのネットワーク情報を保存している設定ファイルを作成します。このファイルを使用して、クライアントシステムに対するオプションを宣言します。
設定ファイルには追加のタブや空白行が含まれているため、簡単に書式を整えることができます。キーワードは大文字と小文字の区別がなく、行頭がハッシュ記号 (#) で始まる行はコメントとみなされます。
設定ファイルのステートメントには、次のような 2 つのタイプがあります。
  • パラメーター: タスクの実行方法、タスクを実行するかどうか、クライアントに送信するネットワーク設定のオプションを規定します。
  • 宣言 - ネットワークトポロジの記述、クライアントの記述、クライアントのアドレス指定、宣言グループへのパラメーターグループの適用を行います。
キーワードオプションから始まるパラメーターは、オプション と呼ばれます。オプションは、DHCP オプションを制御します。一方、パラメーターはオプションでない値を設定し、DHCP サーバーの動作を制御します。
中括弧 ({ }) で囲まれたセクションの前で宣言されたパラメーター (オプションを含む) は、グローバルパラメーターとみなされます。グローバルパラメーターは、これ以降のすべてのセクションに適用されます。
重要
設定ファイルが変更された場合、systemctl restart dhcpd コマンドを使って DHCP デーモンを再起動するまでは変更内容は反映されません。
注記
毎回 DHCP 設定ファイルを変更してサービスを再起動させる代わりに、omshell コマンドを使用すると、DHCP サーバーへの接続、クエリー、設定の変更をインタラクティブに行うことができます。omshell を使用すると、DHCP サーバーの実行中でも変更を行うことができます。omshell の詳細については、omshell の man ページを参照してください。
例14.1「サブネットの宣言」では、routerssubnet-maskdomain-searchdomain-name-servers、および time-offset の各オプションは、それらの下で宣言されている host ステートメントに使用されます。
機能するサブネットと、DHCP サーバーが接続するサブネットではすべて、subnet 宣言が 1 つ必要になります。これは、アドレスがそのサブネットにあることを認識する方法を DHCP デーモンに伝えます。subnet 宣言は、そのサブネットに動的に割り当てるアドレスがない場合でも、各サブネットに必要となります。
この例では、サブネット内のすべての DHCP クライアントに対するグローバルオプションと range が宣言されています。クライアントには range 内の IP アドレスが割り当てられています。

例14.1 サブネットの宣言

subnet 192.168.1.0 netmask 255.255.255.0 {
        option routers                  192.168.1.254;
        option subnet-mask              255.255.255.0;
        option domain-search              "example.com";
        option domain-name-servers       192.168.1.1;
        option time-offset              -18000;     # Eastern Standard Time
	range 192.168.1.10 192.168.1.100;
}
サブネット内のシステムに動的 IP アドレスをリースする DHCP サーバーを設定するには、例14.2「Range パラメーター」の例の値を修正します。これにより、クライアントのデフォルトのリース時間、最大リース時間、ネットワークの設定値を宣言します。この例ではクライアントシステムに、range 192.168.1.10 から 192.168.1.100 までの IP アドレスを割り当てます。

例14.2 Range パラメーター

default-lease-time 600;
max-lease-time 7200;
option subnet-mask 255.255.255.0;
option broadcast-address 192.168.1.255;
option routers 192.168.1.254;
option domain-name-servers 192.168.1.1, 192.168.1.2;
option domain-search "example.com";
subnet 192.168.1.0 netmask 255.255.255.0 {
   range 192.168.1.10 192.168.1.100;
}
ネットワークインターフェースカードの MAC アドレスに基づいてクライアントに IP アドレスを割り当てるには、host 宣言内の hardware ethernet パラメーターを使用します。例14.3「DHCP を使用した静的 IP アドレス」の例では、host apex 宣言により、MAC アドレス 00:A0:78:8E:9E:AA のネットワークインターフェースカードが常に IP アドレス 192.168.1.4 を受け取るように指定されます。
オプションのパラメーターである host-name を使用すると、クライアントにホスト名を割り当てることができる点にも注目して下さい。

例14.3 DHCP を使用した静的 IP アドレス

host apex {
   option host-name "apex.example.com";
   hardware ethernet 00:A0:78:8E:9E:AA;
   fixed-address 192.168.1.4;
}
Red Hat Enterprise Linux 7 では、InfiniBand IPoIB インターフェースへの静的 IP アドレスの割り当てをサポートしています。ただし、これらのインターフェースには通常のハードウェアイーサネットアドレスがないため、IPoIB インターフェースに一意の ID を指定する別の方法を使用する必要があります。標準は、dhcp-client-identifier= construct オプションを使用して IPoIB インターフェースの dhcp-client-identifier フィールドを指定することです。DHCP サーバーホストコンストラクトは、最大 1 つのハードウェアイーサネットと、host スタンザごとに 1 つの dhcp-client-identifier エントリーに対応しています。ただし、固定アドレスエントリーは複数ある場合があり、DHCP サーバーは、DHCP リクエストを受信したネットワークに適切なアドレスに自動的に応答します。

例14.4 複数インターフェースにおける DHCP を使用した静的 IP アドレス

たとえば 2 つの InfiniBand インターフェースと各物理的インターフェース上に P_Key インターフェースがあり、イーサネット接続もある場合など、マシンの設定が複雑な場合は、以下の静的 IP コンストラクトを使用できます。
Host apex.0 {
    option host-name “apex.example.com”;
    hardware ethernet 00:A0:78:8E:9E:AA;
    option dhcp-client-identifier=ff:00:00:00:00:00:02:00:00:02:c9:00:00:02:c9:03:00:31:7b:11;
    fixed-address 172.31.0.50,172.31.2.50,172.31.1.50,172.31.3.50;
}

host apex.1 {
    option host-name “apex.example.com”;
    hardware ethernet 00:A0:78:8E:9E:AB;
    option dhcp-client-identifier=ff:00:00:00:00:00:02:00:00:02:c9:00:00:02:c9:03:00:31:7b:12;
    fixed-address 172.31.0.50,172.31.2.50,172.31.1.50,172.31.3.50;
}
デバイスに適した dhcp-client-identifier を見つけるには、通常、接頭辞 ff:00:00:00:00:00:02:00:00:02:c9:00 を使用して、IPoIB インターフェースの最後の 8 バイトを追加します (これは、IPoIB インターフェースが接続されている InfiniBand ポートの 8 バイトの GUID と同じものです)。旧式のコントローラーのなかには、この接頭辞が適切でないものもあります。このような場合には、DHCP サーバーで tcpdump を使用して受信 IPoIB DHCP 要求を取得し、そのキャプチャーから適切な dhcp-client-identifier を収集することが推奨されます。以下に例を示します。
]$ tcpdump -vv -i mlx4_ib0
tcpdump: listening on mlx4_ib0, link-type LINUX_SLL (Linux cooked), capture size 65535 bytes
23:42:44.131447 IP (tos 0x10, ttl 128, id 0, offset 0, flags [none], proto UDP (17), length 328)
    0.0.0.0.bootpc > 255.255.255.255.bootps: [udp sum ok] BOOTP/DHCP, Request, length 300, htype 32, hlen 0, xid 0x975cb024, Flags [Broadcast] (0x8000)
          Vendor-rfc1048 Extensions
            Magic Cookie 0x63825363
            DHCP-Message Option 53, length 1: Discover
            Hostname Option 12, length 10: "rdma-qe-03"
            Parameter-Request Option 55, length 18:
              Subnet-Mask, BR, Time-Zone, Classless-Static-Route
              Domain-Name, Domain-Name-Server, Hostname, YD
              YS, NTP, MTU, Option 119
              Default-Gateway, Classless-Static-Route, Classless-Static-Route-Microsoft, Static-Route
              Option 252, NTP
            Client-ID Option 61, length 20: hardware-type 255, 00:00:00:00:00:02:00:00:02:c9:00:00:02:c9:02:00:21:ac:c1
上記のダンプでは、Client-ID フィールドが表示されています。hardware-type 255 は ID の最初の ff: に対応しており、ID の残りの部分は DHCP 設定ファイルに表記するそのままの形で引用されています。
同じ物理ネットワークを共有するすべてのサブネットは、例14.5「Shared-network 宣言」のように shared-network 宣言内で宣言される必要があります。shared-network 内でも囲まれた subnet 宣言の外にあるパラメーターは、グローバルパラメーターとみなされます。shared-network に割り当てる名前は、そのネットワークの記述的なタイトルにします。たとえば、テストラボ環境のサブネットの場合は、test-labというタイトルにします。

例14.5 Shared-network 宣言

shared-network name {
    option domain-search            "test.redhat.com";
    option domain-name-servers      ns1.redhat.com, ns2.redhat.com;
    option routers                  192.168.0.254;
    #more parameters for EXAMPLE shared-network
    subnet 192.168.1.0 netmask 255.255.252.0 {
        #parameters for subnet
        range 192.168.1.1 192.168.1.254;
    }
    subnet 192.168.2.0 netmask 255.255.252.0 {
        #parameters for subnet
        range 192.168.2.1 192.168.2.254;
    }
}
例14.6「Group 宣言」にあるように、group 宣言を使用すると、宣言のグループにグローバルパラメーターを適用できます。たとえば、共有ネットワーク、サブネット、ホストをグループ化することができます。

例14.6 Group 宣言

group {
   option routers                  192.168.1.254;
   option subnet-mask              255.255.255.0;
   option domain-search              "example.com";
   option domain-name-servers       192.168.1.1;
   option time-offset              -18000;     # Eastern Standard Time
   host apex {
      option host-name "apex.example.com";
      hardware ethernet 00:A0:78:8E:9E:AA;
      fixed-address 192.168.1.4;
   }
   host raleigh {
      option host-name "raleigh.example.com";
      hardware ethernet 00:A1:DD:74:C3:F2;
      fixed-address 192.168.1.6;
   }
}
注記
提供されている設定ファイルのサンプルをベースとして使用し、それにカスタムの設定オプションを追加できます。このファイルを適切な場所にコピーするには、root で以下のコマンドを実行します。
~]# cp /usr/share/doc/dhcp-version_number/dhcpd.conf.example /etc/dhcp/dhcpd.conf
ここでの version_number は、DHCP バージョン番号になります。
オプションステートメントの全一覧とその機能については、dhcp-options(5) の man ページを参照してください。