32.4. Master DNS ゾーンの管理
32.4.1. Master DNS ゾーンの追加と削除
Web UI での Master DNS ゾーンの追加
- Network Services タブから DNS サブタブを開き、DNS Zones セクションを選択します。

図32.1 Master DNS ゾーンの管理
- 新規の master ゾーンを追加するには、全ゾーン一覧上部にある をクリックします。

図32.2 Master DNS ゾーンの追加
- ゾーン名を入力して をクリックします。

図32.3 新規 Master ゾーンの入力
コマンドラインからの Master DNS ゾーンの追加
ipa dnszone-add コマンドで、新規ゾーンが DNS ドメインに追加されます。新規ゾーンを追加するには、新規サブドメインの名前を指定する必要があります。下記のようにこのコマンドでサブドメイン名を直接渡すことができます。
$ ipa dnszone-add newserver.example.com
ipa dnszone-add で名前を渡さない場合は、スクリプトが自動的にこれを要求します。
ipa dnszone-add コマンドは各種のコマンドラインオプションも受け付けます。オプションの完全一覧を確認するには、ipa dnszone-add --help コマンドを実行してください。
Master DNS ゾーンの削除

図32.4 Master DNS ゾーンの削除
ipa dnszone-del コマンドを実行します。
$ ipa dnszone-del server.example.com
32.4.2. マスター DNS ゾーンの追加設定
DNS ゾーン設定の属性
表32.1 ゾーン属性
| 属性 | コマンドラインオプション | 説明 |
|---|---|---|
| Authoritative name server | --name-server |
マスター DNS ネームサーバーのドメイン名 (SOA MNAME とも呼ぶ) を設定します。
デフォルトでは、各 IdM サーバーが自身を SOA MNAME フィールドに公開します。この結果、
--name-server を使用して LDAP に保存された値は無視されます。
|
| Administrator e-mail address | --admin-email | ゾーン管理者が使用する電子メールアドレスを設定します。デフォルトでは、ホストの root アカウントになります。 |
| SOA serial | --serial | Sets a serial number in the SOA レコードのシリアル番号を設定します。IdM はバージョン番号を自動的に設定し、これはユーザーが編集しないことになっています。 |
| SOA refresh | --refresh | セカンダリー DNS サーバーがプライマリ DNS サーバーから更新を要求するまでの待機時間を秒単位で設定します。 |
| SOA retry | --retry | 失敗したリフレッシュ動作を再試行するまでの待機時間を秒単位で設定します。 |
| SOA expire | --expire | セカンダリー DNS サーバーがリフレッシュ更新を試行して、その動作を停止するまでの時間を秒単位で設定します。 |
| SOA minimum | --minimum | RFC 2308 に従って、ネガティブキャッシュの有効時間 (TTL) の値を秒単位で設定します。 |
| SOA time to live | --ttl | ゾーン apex のレコードの TTL を秒単位で設定します。たとえば、ゾーン example.com では、example.com 名の全レコード (A、NS、または SOA) が設定されますが、test.example.com のような他のドメイン名は影響を受けません。 |
| Default time to live | --default-ttl | 個別の TTL 値が設定されたことのないゾーンの全値について、ネガティブキャッシュの有効時間 (TTL) のデフォルト値を秒単位で設定します。変更を反映するには、全 IdM DNS サーバーで named-pkcs11 サービスを再起動する必要があります。 |
| BIND update policy | --update-policy |
DNS ゾーンでクライアントに許可されるパーミッションを設定します。
更新ポリシーの構文については、Dynamic Update Policies in the 『BIND 9 Administrator Reference Manual』 を参照してください。
|
| Dynamic update | --dynamic-update=TRUE|FALSE | クライアントの DNS レコードへの動的更新を有効にします。
これを false に設定すると、IdM クライアントマシンは IP アドレスの追加や更新ができなくなります。詳細情報は、「動的 DNS 更新の有効化」 を参照してください。
|
| Allow transfer | --allow-transfer=string |
指定されたゾーンの転送が可能な IP アドレスまたはネットワーク名をセミコロン区切りのリストで提供します。
ゾーン転送はデフォルトでは無効になっています。
--allow-transfer のデフォルト値は none です。
|
| Allow query | --allow-query | DNS クエリーの発行が可能な IP アドレスまたはネットワーク名をセミコロン区切りのリストで提供します。 |
| Allow PTR sync | --allow-sync-ptr=1|0 | ゾーンの A または AAAA レコード (正引きレコード) が自動的に PTR (逆引き) レコードと同期されるかどうかを設定します。 |
| Zone forwarders | --forwarder=IP_address | DNS ゾーン向けに特別に設定されたフォワーダーを指定します。これは、IdM ドメインで使用されるグローバルのフォワーダーとは別のものです。
複数のフォワーダーを指定するには、このオプションを複数回使用します。
|
| Forward policy | --forward-policy=none|only|first | 転送ポリシーを指定します。サポートされるポリシーについての情報は、「転送ポリシー」 を参照してください。 |
Web UI でのゾーン設定編集

図32.5 Master DNS ゾーンの管理
- ゾーンの全一覧からゾーン名をクリックして DNS ゾーンページを開きます。

図32.6 マスターゾーンの編集
- Settings をクリックして、ゾーン設定を変更します。

図32.7 マスターゾーン編集ページの Settings タブ
利用可能な設定については、表32.1「ゾーン属性」 を参照してください。 - をクリックして新規設定を保存します。
注記
named-pkcs11 サービスを再起動する必要があります。その他の設定は、即座に有効になります。
コマンドラインでのゾーン設定編集
ipa dnszone-mod コマンドを使用します。利用可能な設定については、表32.1「ゾーン属性」 を参照してください。
ipa dnszone-mod コマンドは属性を追加します。属性がある場合は、指定された値で現行の値を上書きします。
ipa dnszone-mod コマンドおよびそのオプションについての詳細は、ipa dnszone-mod --help コマンドを実行してください。
注記
named-pkcs11 サービスを再起動する必要があります。その他の設定は、即座に有効になります。
32.4.3. ゾーン転送の有効化
重要
UI でのゾーン転送の有効化

図32.8 ゾーン転送の有効化
コマンドラインでのゾーン転送の有効化
--allow-transfer オプションを ipa dnszone-mod コマンドに追加します。以下のように、--allow-transfer を使ってゾーンレコードを転送するネームサーバーの一覧を指定します。
[user@server ~]$ ipa dnszone-mod --allow-transfer=192.0.2.1;198.51.100.1;203.0.113.1 example.com
bind サービス内でゾーン転送を有効にすると、dig ユーティリティーのようなクライアントで IdM DNS ゾーンを名前で転送できるようになります。
[root@server ~]# dig @ipa-server zone_name AXFR
32.4.4. DNS ゾーンへのレコードの追加
- A
- これはホスト名および通常の IPv4 アドレスの基本的なマップです。A レコードのレコード名は、
wwwなどのホスト名です。IP Address の値は、192.0.2.1などの標準的な IPv4 アドレスになります。A レコードに関する詳細情報は、RFC 1035 を参照してください。 - AAAA
- これはホスト名および IPv6 アドレスの基本的なマップです。AAAA レコードのレコード名は、
wwwなどのホスト名です。IP Address の値は、2001:DB8::1111などの 16 進数の標準的な IPv6 アドレスになります。AAAA レコードに関する詳細情報は、RFC 3596 を参照してください。 - SRV
- サービス (SRV) リソースレコードは、サービス名を、その特定サービスを提供するサーバーの DNS 名にマッピングします。たとえば、このタイプのレコードは LDAP ディレクトリーのようなサービスを管理するサーバーに、このサービスをマッピングします。SRV レコードのレコード名は
_service._protocolという形式になり、たとえば_ldap._tcpとなります。SRV レコードの設定オプションには、優先順位、加重、ポート番号、およびターゲットサービスのホスト名などがあります。SRV レコードに関する詳細情報は、RFC 2782 を参照してください。 - PTR
- ポインター (PTR) レコードは、IP アドレスをドメイン名にマッピングする逆引き DNS レコードを追加します。
注記
IPv4 アドレスの逆引き DNS ルックアップはすべて、in-addr.arpa.ドメインで定義される逆引きエントリーを使用します。ヒューマンリーダブルな形式の逆アドレスは、通常の IP とまったく逆のもので、in-addr.arpa.ドメインが最後に付いています。たとえば、ネットワークアドレス192.0.2.0/24の逆引きゾーンは、2.0.192.in-addr.arpaになります。PTR レコードのレコード名は、RFC 1035、RFC 2317、および RFC 3596 に指定されている標準形式である必要があります。ホスト名の値は、レコードを作成するホストの正規のホスト名である必要があります。詳細は 例32.8「PTR レコード」 を参照してください。注記
.ip6.arpa.ドメイン内のゾーンについても、IPv6 アドレスの逆引きゾーンを設定できます。IPv6 逆引きゾーンについての詳細情報は、RFC 3596 を参照してください。
DNS のワイルドカードのサポート
* をワイルドカードとしてサポートします。
例32.2 DNS ワイルドカードの例
- DNS ゾーン example.com で以下を設定します。
- ワイルドカード A レコード
*.example.com mail.example.comの MX レコード。ただし、このホストでは A レコードなしとします。demo.example.comではレコードなしとします。
- 既存および存在しない DNS レコードとタイプをクエリーシマス。以下の結果が返されます。
# host -t MX mail.example.com. mail.example.com mail is handled by 10 server.example.com. # host -t MX demo.example.com. demo.example.com. has no MX record. # host -t A mail.example.com. mail.example.com has no A record # host -t A demo.example.com. random.example.com has address 192.168.1.1
Web UI での DNS リソースレコードの追加
- 「Web UI でのゾーン設定編集」 にあるように DNS ゾーンページを開きます。
- DNS Resource Records セクションで、 をクリックして新規レコードを追加します。

図32.9 新規 DNS リソースレコードの追加
- 作成するレコードタイプを選択し、必要なフィールドに入力します。

図32.10 新規 DNS リソースレコードの定義
- をクリックして新規レコードを保存します。
コマンドラインでの DNS リソースレコードの追加
ipa dnsrecord-add コマンドを以下の構文で使用します。
$ ipa dnsrecord-add zone_name record_name --record_type_option=data
ipa dnsrecord-add オプション」 では、A (IPv4)、AAAA (IPv6)、SRV、および PTR という一般的なリソースレコードのタイプのオプションを示しています。エントリーのリストは、同一コマンドでオプションを複数回使用して設定するか、Bash では --option={val1,val2,val3} のように中括弧内にオプションをコンマ区切りの一覧で記載します。
ipa dnsrecord-add の使用方法および IdM がサポートする DNS レコードタイプについての詳細情報は、ipa dnsrecord-add --help コマンドを実行してください。
表32.2 一般的な ipa dnsrecord-add オプション
| 全般的なレコードのオプション | |
|---|---|
| オプション | 説明 |
--ttl=number | レコードの有効期間を設定します。 |
--structured | raw DNS レコードを解析し、それらを構造化された形式で返します。 |
| "A" レコードのオプション | |
|---|---|
| オプション | 説明 |
--a-rec=ARECORD | A レコードのリストを渡します。 |
--a-ip-address=string | レコードの IP アドレスを渡します。 |
| "AAAA" レコードのオプション | |
|---|---|
| オプション | 説明 |
--aaaa-rec=AAAARECORD | AAAA (IPv6) レコードのリストを渡します。 |
--aaaa-ip-address=string | レコードの IPv6 アドレスを渡します。 |
| "PTR" レコードのオプション | |
|---|---|
| オプション | 説明 |
--ptr-rec=PTRRECORD | PTR レコードのリストを渡します。 |
--ptr-hostname=string | レコードのホスト名を渡します。 |
| "SRV" レコードのオプション | |
|---|---|
| オプション | 説明 |
--srv-rec=SRVRECORD | SRV レコードのリストを渡します。 |
--srv-priority=number | レコードの優先順位を設定します。あるサービスタイプに複数の SRV レコードがある場合もあります。優先順位 (0 - 65535) はレコードの階級を設定し、数字が小さいほど優先順位が高くなります。サービスは、優先順位の最も高いレコードを最初に使用する必要があります。 |
--srv-weight=number | レコードの加重を設定します。これは、SRV レコードの優先順位が同じ場合に順序を判断する際に役立ちます。設定された加重は最大 100 とし、これは特定のレコードが使用される可能性をパーセンテージで示しています。 |
--srv-port=number | ターゲットホスト上のサービスのポートを渡します。 |
--srv-target=string | ターゲットホストのドメイン名を提供します。該当サービスがドメイン内で利用可能でない場合は、単一のピリオド (.) にすることもできます。 |
32.4.5. コマンドラインからの DNS リソースレコードの追加および修正
例32.3 IPv4 レコードの追加
www.example.com が IP アドレス 192.0.2.123 で作成されます。
$ ipa dnsrecord-add example.com www --a-rec 192.0.2.123
例32.4 IPv4 ワイルドカードレコードの追加
192.0.2.123 で作成されます。
$ ipa dnsrecord-add example.com "*" --a-rec 192.0.2.123
例32.5 IPv4 レコードの修正
--a-record です。ただし、A レコード修正時には --a-record オプションはそのレコードの現在の値を指定します。新しい値は --a-ip-address オプションで設定します。
$ ipa dnsrecord-mod example.com www --a-rec 192.0.2.123 --a-ip-address 192.0.2.1
例32.6 IPv6 レコードの追加
www.example.com が IP アドレス 2001:db8::1231:5675 で作成されます。
$ ipa dnsrecord-add example.com www --aaaa-rec 2001:db8::1231:5675
例32.7 SRV レコードの追加
_ldap._tcp が SRV レコードのサービスタイプと接続プロトコルを定義します。--srv-rec オプションで優先順位、加重、ポート、およびターゲットの値を定義します。
[root@server ~]# ipa dnsrecord-add server.example.com _ldap._tcp --srv-rec="0 51 389 server1.example.com." [root@server ~]# ipa dnsrecord-add server.example.com _ldap._tcp --srv-rec="1 49 389 server2.example.com."
51 と 49) では最大 100 が追加され、これは特定のレコードが使用される可能性をパーセンテージで示しています。
例32.8 PTR レコード
ipa dnsrecord-add コマンドで使用されるゾーン名も逆になります。
$ ipa dnsrecord-add reverseNetworkIpAddress hostIpAddress --ptr-rec FQDN
server4.example.com の PTR レコードが追加されます。
$ ipa dnsrecord-add 2.0.192.in-addr.arpa 4 --ptr-rec server4.example.com.
2001:DB8::1111 のホスト server2.example.com の 0.0.0.0.0.0.0.0.8.b.d.0.1.0.0.2.ip6.arpa. IPv6 逆引きゾーンに追加されます。
$ ipa dnsrecord-add 0.0.0.0.0.0.0.0.8.b.d.0.1.0.0.2.ip6.arpa. 1.1.1.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0 --ptr-rec server2.example.com.
32.4.6. DNS ゾーンからレコードを削除する
Web UI によるレコード削除
- 「Web UI でのゾーン設定編集」 にあるように DNS ゾーンページを開きます。
- DNS Resource Records セクションで、リソースレコードの名前をクリックします。

図32.11 DNS リソースレコードの選択
- 削除するレコードタイプの名前にチェックを入れます。

図32.12 DNS リソースレコードの削除
これで選択したレコードタイプのみが削除され、他の設定は有効なままになります。
- 「Web UI でのゾーン設定編集」 にあるように DNS ゾーンページを開きます。
- DNS Resource Records セクションで、削除するリソースレコードの名前の横にあるチェックボックスを選択し、 をクリックします。

図32.13 リソースレコード全体の削除
これでリソースレコード全体が削除されます。
コマンドラインからのレコード削除
ipa dnsrecord-del コマンドに --recordType-rec オプションとレコードの値を渡します。
$ ipa dnsrecord-del example.com www --a-rec 192.0.2.1
ipa dnsrecord-del を実行すると、削除するレコードについての情報が要求されます。このコマンドを --del-all オプションと使用すると、ゾーンの関連する全レコードが削除されることに注意してください。
ipa dnsrecord-del コマンドの使用方法および使用可能なオプションの完全一覧については、ipa dnsrecord-del --help コマンドを実行してください。
32.4.7. ゾーンの有効化および無効化
Web UI でのゾーンの有効化および無効化

図32.14 DNS ゾーンの管理

図32.15 DNS ゾーンの無効化
コマンドラインからの DNS ゾーンの無効化および有効化
ipa dnszone-disable コマンドを実行します。
[user@server ~]$ ipa dnszone-disable zone.example.com ----------------------------------------- Disabled DNS zone "example.com" -----------------------------------------
ipa dnszone-enable コマンドを実行します。

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