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18.3. 異なるホストのユーザーアカウントに対する異なる属性値の定義
管理者は、ユーザーアカウントで使用される属性値を上書きする複数の ID ビューを作成し、これらの ID ビューを別のクライアントホストに適用することができます。例: サービスアカウントは、異なるホストで認証を行う際に異なる SSH 公開鍵を使用するように設定されます。
本セクションには、以下の手順が含まれています。
この手順では、
host1.example.com
という名前のクライアントホストの ID ビューを作成する方法を説明します。他のホストの属性値も上書きするには、手順を使用して、ホストごとに 1 つずつ、複数の ID ビューを作成します。
手順では、以下を前提としています。
user
は、属性を上書きする必要があるユーザーアカウントですhost1.example.com
は、ID ビューが適用されるホストです。
重要
新しい ID ビューを作成したら、ID ビューが適用されるすべてのクライアントで SSSD を再起動します。
新しい ID ビューが UID または GID を変更する場合は、これらのクライアントで SSSD キャッシュも消去します。
18.3.1. Web UI: 特定ホストの属性値の上書き
ID ビューを管理するには、最初に IdM 管理者として IdM Web UI にログインします。
新規 ID ビューの作成
- Identity タブで、ID Views サブタブを選択します。
- Add をクリックして、ID ビューの名前を指定します。
図18.1 ID ビューの追加
- Add をクリックして確定します。
新しい ID ビューが ID ビューのリストに表示されます。
図18.2 ID ビューのリスト

ID ビューへのユーザーオーバーライドの追加
- ID ビューのリストで、ID ビューの名前をクリックします。
図18.3 ID ビューの編集
- Users タブで Add をクリックして、ユーザーの上書きを追加します。
- 上書きする属性値を持つユーザーアカウントを選択し、Add をクリックします。
ユーザーオーバーライドが
example_for_host1
ID ビューページに表示されるようになります。
図18.4 オーバーライドのリスト

上書きする属性の指定
- 属性値を変更するために使用するオーバーライドをクリックします。
図18.5 オーバーライドの編集
- 属性の新しい値を定義します。たとえば、ユーザーアカウントが使用する SSH 公開鍵を上書きするには、以下の手順を実施します。
- SSH public keys: Add をクリックします。
図18.6 SSH 公開鍵の追加
- 公開鍵に貼り付けます。
注記IdM に SSH キーを追加する方法は、「ユーザーの公開 SSH 鍵の管理」 を参照してください。 - Save をクリックして上書きを更新します。
特定のホストへの ID ビューの適用
- ID ビューのリストで、ID ビューの名前をクリックします。
図18.7 ID ビューの編集
- Hosts タブで、Apply to hosts をクリックします。
host1.example.com
ホストを選択し、Prospective 列に移動します。- Apply をクリックします。
これで、ID ビューが適用されるホストリストにホストが表示されます。
図18.8 ID ビューが適用されるホストのリスト表示

18.3.2. コマンドライン: 特定ホストの属性値の上書き
ID ビューを管理する前に、IdM 管理者としてチケットを要求します。以下に例を示します。
$ kinit admin
- 新しい ID ビューを作成します。たとえば、
example_for_host1
という名前の ID ビューを作成するには、次のコマンドを実行します。$ ipa idview-add example_for_host1 --------------------------- Added ID View "example_for_host1" --------------------------- ID View Name: example_for_host1
- ユーザーオーバーライドを
example_for_host1
ID ビューに追加します。ipa idoverrideuser-add コマンドでは、ID ビューの名前と上書きするユーザーが必要です。- 新しい属性値を指定するには、対応するコマンドラインオプションも追加します。利用可能なオプションのリストは、ipa idoverrideuser-add --help を実行します。たとえば、
--sshpubkey
オプションを使用して、SSH 公開鍵の値を上書きします。$ ipa idoverrideuser-add example_for_host1 user --sshpubkey="ssh-rsa AAAAB3NzaC1yrRqFE...gWRL71/miPIZ user@example.com" ----------------------------- Added User ID override "user" ----------------------------- Anchor to override: user SSH public key: ssh-rsa AAAB3NzaC1yrRqFE...gWRL71/miPIZ user@example.com
注記IdM に SSH キーを追加する方法は、「ユーザーの公開 SSH 鍵の管理」 を参照してください。 - ipa idoverrideuser-add --certificate コマンドは、指定された ID ビューのアカウントの既存証明書をすべて置き換えます。追加の証明書を追加するには、代わりに ipa idoverrideuser-add-cert コマンドを使用します。
$ ipa idoverrideuser-add-cert example_for_host1 user --certificate="MIIEATCC..."
- ipa idoverrideuser-mod コマンドを使用すると、既存のユーザーのオーバーライドに新しい属性値を指定することもできます。
- ipa idoverrideuser-del コマンドを使用して、ユーザーの上書きを削除します。注記このコマンドを使用して SSH キーのオーバーライドを削除しても、キャッシュから SSH キーはすぐに削除されません。デフォルトのキャッシュタイムアウト値 (
entry_cache_timeout = 5400
) では、キーが 1 時間半の間キャッシュに残ります。
example_for_host1
をhost1.example.com
ホストに適用します。$ ipa idview-apply example_for_host1 --hosts=host1.example.com ----------------------------- Applied ID View "example_for_host1" ----------------------------- hosts: host1.example.com --------------------------------------------- Number of hosts the ID View was applied to: 1 ---------------------------------------------
注記ipa idview-apply コマンドでは、--hostgroups
オプションも使用できます。このオプションは、ID ビューを、指定のホストグループに所属するホストに適用しますが、ホストグループ自体との関連付けは行いません。代わりに、--hostgroups
オプションは指定されたホストグループのメンバーを拡張して、--hosts
オプションを個別に適用します。