第1章 GFS2 の概要

Red Hat GFS2 ファイルシステムは、 64 ビットの対称クラスターファイルシステムです。これは、一般的なブロックデバイスを共有している複数のノード間において共有の名前空間を利用でき、整合性を管理できます。GFS2 ファイルシステムは、ローカルファイルシステムに可能な限り近い機能を利用できるようにし、ノード間の完全なクラスターの完全性を確立するためのものです。場合によっては、Linux ファイルシステム API では、GFS2 のクラスター化の特性を完全に透明化できません。例えば、クラスター環境では指定のプロセス ID が別のノード用である場合もあるため、GFS2 で POSIX ロックを使用するプログラムは、GETLK 関数の使用を避けるべきです。ただし、多くの場合、GFS2 ファイルシステムの機能性は、ローカルファイルシステムのものと同じです。
Red Hat Enterprise Linux (RHEL) Resilient Storage Add-On では GFS2 を利用できます。GFS2 に必要なクラスター管理については、RHEL High Availability Add-On に依存します。High Availability Add-On の説明は、『Red Hat クラスターの設定と管理』 を参照してくだださい。
gfs2.ko カーネルモジュールは GFS2 ファイルシステムを実装しており、GFS2 クラスターノードにロードされます。
GFS2 環境を最大限に利用するためにも、基礎となる設計に起因するパフォーマンス事情を考慮することが重要です。GFS2 はローカルファイルシステムのように、頻繁に使用されるデータのローカルキャッシングによりパフォーマンスを向上するため、ページキャッシュに依存します。クラスター内のノードにわたる一貫性を維持するため、キャッシュ制御は、glock 状態のマシンが行います。glocks やそのパフォーマンス状態の説明は、「GFS2 のノードロック機能」 を参照してください。
この章では、GFS2 に対する理解を深めるための予備知識となる、基本的な情報を簡潔にまとめています。

1.1. GFS2 サポート制限

表1.1「GFS2 サポート制限」 では、GFS2 が現在サポートしているファイルシステムの最大サイズと最大ノード数をまとめています。

表1.1 GFS2 サポート制限

ノードの最大数
16 (x86、PowerVM 上の Power8)
4 (z/VM 下の s390x)
ファイルシステムの最大サイズすべての対応アーキテクチャー上の 100TB
GFS2 は、理論的には 8 EB のファイルシステムに対応できる 64 ビットアーキテクチャに基づいています。お使いのシステムに、現在対応している以上の GFS2 ファイルシステムが必要な場合は、Red Hat サービス担当者までご連絡ください。

注記

GFS2 ファイルシステムはスタンドアローンシステムで実装したり、クラスター構成の一部として実装したりできますが、Red Hat Enterprise Linux 7 リリースでは Red Hat はシングルノードファイルシステムとしての GFS2 の使用をサポートしません。Red Hat は、シングルノード向けに最適化され、一般的にクラスターファイルシステムよりもオーバーヘッドが小さい複数の高パフォーマンスのシングルノードファイルシステムをサポートします。また、Red Hat は、シングルノードがファイルシステムをマウントする必要がある場合のみ、GFS2 ではなく高パフォーマンスのシングルノードファイルシステムを使用することをお勧めします。
Red Hat は、クラスターファイルシステムのスナップショットのマウントを目的とした (例: バックアップ)、単一ノード GFS2 ファイルシステムを引き続きサポートしています。
ファイルシステムのサイズを決定する際には、復旧時のニーズを考慮してください。非常に大規模なファイルシステムでは、fsck.gfs2 コマンドの実行に時間がかかり、大容量のメモリーを消費する可能性があります。また、ディスクやディスクサブシステムの障害発生時には、使用するバックアップメディアの速度によって復旧時間が制限されます。fsck.gfs2 コマンドに必要なメモリー容量については、「ファイルシステムの修復」 を参照してください。
GFS2 ファイルシステムは LVM 外でも使用できますが、Red Hat は CLVM 論理ボリュームで作成された GFS2 ファイルシステムのみサポートします。CLVM は Resilient Storage アドオンに含まれます。これはクラスター全体での LVM の実装であり、クラスター内で LVM 論理ボリュームを管理する CLVM デーモン clvmd で有効になります。このデーモンにより、LVM2 を使用してクラスター全体で論理ボリュームの管理が可能となり、クラスター内のすべてのノードで論理ボリュームを共有できるようになります。LVM ボリュームマネージャーについては、『Logical Volume Manager Administration』 を参照してください。

注記

GFS2 ファイルシステムをクラスターファイルシステムとして設定する場合は、クラスター内の全ノードが共有ストレージにアクセス可能であることを確認する必要があります。共有ストレージにアクセスできるノードとできないノードが混在する、非対称型のクラスター構成はサポートしていません。この場合、全ノードが実際に GFS2 ファイルシステム自体をマウントしている必要はありません。