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Red Hat Training
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第9章 インストールと起動
キックスタートにネットワーク設定の記述があった場合の initrd でのネットワーク設定を修正
今まではネットワークインターフェースをキックスタートファイルで指定してもインストーラーでは
initrd
でその設定や再設定ができませんでした。このためインストールが失敗し、キックスタートファイル内の他のコマンドでネットワークアクセスが必要とされるとエマジェンシーモードに入っていました。
この問題が解決され Anaconda でキックスタートファイルのネットワーク設定を起動プロセスの初期
initrd
で正しく処理できるようになります。
Anaconda でキャッシュした論理ボリュームの作成に対応
インストーラーでキャッシュした LVM 論理ボリュームの作成とそのボリュームへのシステムのインストールに対応するようになります。
現在、この方法はキックスタートのみの対応になります。キャッシュした論理ボリュームを作成するには
logvol
キックスタートコマンドの新しいオプション --cachepvs=
、--cachesize=
、--cachemode=
を使用します。
新しいオプションについては Red Hat Enterprise Linux 7 インストールガイドを参照してください。
GRUB2 ブートメニューの並び順に関する改善
grub2-mkconfig
コマンドで使用されていた並べ替えメカニズムの問題が原因で生成される grub.cfg 設定ファイルの使用可能なカーネルの並び順が誤っていました。
GRUB2 は rpmdevtools パッケージを使ってカーネルを分類するため、設定ファイルが正しく生成され最新のカーネルバージョンが一番上に記載されるようになります。
Anaconda でディスク選択に変更があった場合にディスクの動作を元に戻す
今までは Anaconda と Blivet はディスク選択に変更があった場合にディスク上でスケジュールされた動作を元に戻せなかったためさまざまな問題が発生していました。本更新により Anaconda はオリジナルのストレージ構成のスナップショットを作成するよう修正され、ディスク選択に変更があった場合にはそのスナップショットに戻れるようになります。したがってディスクにスケジュールされた動作はすべて完全に元に戻ります。
デバイスマッパーのディスク名検出が改善
以前、論理ボリュームを持たせていたことがあるためボリュームのメタデータがまだ残っているディスクにインストールを行うと、Red Hat Enterprise Linux 7 の旧リリースではインストーラーがクラッシュする可能性がありました。インストーラーが正しい
device-mapper
名を認識できず新しい LVM 論理ボリュームの作成に失敗してしまうためクラッシュが発生します。
device-mapper
のデバイス名を取得する際に使用するメソッドが更新され、既存の LVM メタデータを含むディスクでのインストールの信頼性が高まります。
パーティション設定時の PReP Boot の処理に関する修正
カスタムにパーティション設定を行っている際、一定の状況下で IBM Power System の
PReP Boot
パーティションが無効なサイズに設定される場合があります。このような場合にパーティション削除を行うとインストーラーがクラッシュしていました。
パーティションのサイズが常に
4096 KiB
から 10 MiB
の間で正しく設定されるよう anaconda にチェックが実装されました。また、サイズ変更のために PReP Boot
パーティションの形式を変更する必要がなくなります。
RAID 1 デバイスの EFI パーティション
EFI システムパーティションを RAID1 デバイスに作成できるようになり、任意の起動ディスクに障害が発生した場合にはシステムを必ず復元できるようになりました。ただし、システムが発見できるのは 1 つの EFI システムパーティションであることから、ファームウェアで検出された ESP のボリュームが破損しており (しかし、有効な ESP として表示される)、かつ
Boot####
と BootOrder
の両方も破損している場合、起動順序は自動的には再構築されません。このケースでは、システムは 2 番目のディスクから手動で起動できるはずです。
ネットワーク設定中のテキストモードでのインストールのクラッシュが解消
テキストモードの対話式インストーラーを使ったネットワーク設定画面でネームーサーバーを指定する際に空白を使用するとインストールがクラッシュしていました。
Anaconda でテキストモードでネームサーバーを指定する際に空白を正しく処理するようになり、複数のネームサーバーのアドレスを分けるため空白を使用してもインストーラーがクラッシュしなくなります。
IBM System z のレスキューモード画面の切断が解消
IBM System z サーバーのレスキューモードの 2 番目と 3 番目の画面が不適切に表示されインターフェースの一部が切れた状態で表示されていました。このアーキテクチャーのレスキューモードが改善されすべての画面が正しく動作するようになります。
Anaconda の OpenSCAP アドオン
インストール中に SCAP (Security Content Automation Protocol) のコンテンツを適用できるようになります。この新しいアドオンによりカスタムのスクリプトに頼ることなくセキュリティポリシーを簡単且つ安全に設定することができるようになります。
キックスタートのセクション ("%addon org_fedora_oscap") や対話式インストール中のグラフィカルユーザーインターフェースの画面も新たに用意されています。詳細は Red Hat Enterprise Linux 7 インストールガイドに説明されています。
インストール中にセキュリティポリシーを適用すると有効にしたポリシーによってインストール中そしてインストール直後から各種の変更が行われます。プロファイルを選択すると openscap-scanner パッケージ (OpenSCAP 準拠のスキャンツール)がパッケージ選択に追加され、インストールが完了すると初期コンプライアンススキャンが行われます。スキャンの結果は
/root/openscap_data
に保存されます。
数種類のプロファイルが scap-security-guide パッケージによってインストールメディアに用意されます。必要に応じて HTTP、HTTPS、FTP サーバーからデータストリームやアーカイブ、RPM パッケージなど他のコンテンツをロードすることもできます。
セキュリティーポリシーの適用は必ずしもすべてのシステムで必要なわけではありません。このアドオンの使用は、所定のポリシーの適用が業務規定や法令で義務付けられている場合に限定してください。これ以外はセキュリティーポリシーを適用しないデフォルトの状態のままで構いません。
CD、DVD でキックスタートを待機する Anaconda のタイムアウトを削除
これまでは、
inst.ks=cdrom:/ks.cfg
コマンドを使って光学メディアからキックスタートファイルを読み込むよう Anaconda を設定し、システムを CD または DVD から起動すると、インストーラーはディスク交換のため 30 秒間のみ待機していました。この時間が経過すると、システムはエマジェンシーモードに入っていました。
今回の更新では、Anaconda に修正が加えられ、ユーザーによる CD または DVD のキックスタートファイル提供を待機する時間がタイムアウトしなくなりました。
inst.ks=cdrom
オプションが使用されていてキックスタートが検出されない場合、ユーザーがファイルを提供するか再起動するまで、Anaconda はプロンプトを表示して待機します。